説明

内燃機関用の点火コイル

【課題】1次巻線の巻き始めと巻き終わりが同方向であり、且つ前記1次巻線の無理な方向転換を行わずに前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりの絶縁被膜の破壊及び断線を防ぐことを可能とした内燃機関用点火コイルを提供することを目標とする。
【解決手段】1次ボビンに段差を形成することによって、1次巻線の巻き始めと巻き終わりの交差する位置での接触を防止し、絶縁被膜の破壊及び1次巻線の断線を防ぐことができる内燃機関用点火コイルが実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関用の点火コイルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりケースのコイル収容部に1次コイルと2次コイルと鉄芯からなるコイル部と、当該コイル部へ1次電圧と点火信号とを供給するイグナイタと、当該イグナイタと外部のバッテリとを接続するコネクタを備え、ケースのコイル収容部にモールド樹脂を充填した内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次コイルの巻線の断線を防ぐ方法が提案されている。代表的な例として、特開2006−278867号公報(以下「特許文献1」)では、一次コイルボビンの外周に巻線を巻き付けて形成した一次コイルと、この一次コイルの外側に配置した二次コイルとを、前記一次コイルボビン内に配置したセンタ鉄心で磁気的に結合させた内燃機関用点火コイルにおいて、前記巻線の巻き始め端部が接続、固定される第1端子を設けた前記一次コイルボビンの一方の鍔部と対向する他方の鍔部側に、前記第1端子に接続、固定して引き出した前記巻線を引っ掛けて方向を変更させ、前記一次コイルボビンの外周に巻き付けるための引っ掛け部を設けている。また前記一次コイルボビンに、前記第1端子からの前記巻線を前記引っ掛け部へ誘導する誘導凹部を設け、前記センタ鉄心に、前記誘導凹部に対応させて凹部を設け、前記センタ鉄心の長手方向と直交する断面形状を、長方形の4隅の1つに前記凹部を設けた形状とし、前記一次コイルボビンを四角筒とするとともに、前記センタ鉄心の凹部に対応する隅に前記誘導凹部を設け、前記センタ鉄心の断面形状の残りの隅にも凹部を設け、前記一次コイルボビンの残りの隅を円筒面にし、前記センタ鉄心を前記一次コイルボビンにインサート成形したことを特徴とする内燃機関用点火コイルが提案されている。
【0003】
また別の例として、特開2009−299552号公報(以下「特許文献2」)では、一次コイルボビンの外周に巻線を巻き付けて形成した一次コイル、一次コイルを囲繞するように配設された二次コイル、および一次コイルボビン内を挿通するように配設された鉄芯を有するトランスが外装ケース内に収納され、絶縁性樹脂が上記外装ケース内に充填、硬化されている内燃機関用点火装置において、上記一次コイルボビンは、上記巻線が巻き付けられる筒状の巻胴部と、該巻胴部の外周面上に軸方向に離間して相対して設けられ、巻線巻回空間を構成する第1および第2鍔部と、上記第1鍔部の一部に形成された第1巻線方向転換突起と、上記第2鍔部の一部に形成された第2巻線方向転換突起と、上記巻胴部の上記第1鍔部の軸方向外方位置に突設され、上記巻線の巻き始め端部が接続、固定される第1巻線固定部と、上記巻胴部の上記第1鍔部の軸方向外方で、かつ上記第1巻線固定部に対して周方向に離間した位置に突設され、上記巻線の巻終わり端部が接続、固定される第2巻線固定部と、上記第1巻線固定部に接続、固定された上記巻線を案内して上記第1巻線方向転換突起の巻線巻回方向の前方から上記巻線巻回空間内に引き出す案内壁と、を備え、上記巻線が、その巻き始め端部を上記第1巻線固定部に接続、固定され、上記案内壁に案内されて上記巻線巻回空間内に引き出され、上記第1鍔部の内壁面に沿って上記巻胴部の外周を約1周巻かれ、上記第1巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて該巻線巻回空間内に戻され、ついで該巻線巻回空間内を通って上記第2巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて該巻線巻回空間内に戻され、該巻胴部の外周に奇数層巻き付けられた後該巻線巻回空間から引き出され、その巻終わり端部を上記第2巻線固定部に接続、固定されているおり、また上記巻胴部が四角形の筒状体に作製され、誘導凹部が上記巻胴部の1つの外周面の対角線上に位置するように当該外周面に形成され、上記第1巻線方向転換突起および上記第2巻線方向転換突起が上記誘導凹部の両端部のそれぞれに対応するように形成され、上記巻線が上記第1巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて上記誘導凹部内を通って上記第2巻線方向転換突起に誘導されていることを特徴とする内燃機関用点火装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−278867号公報
【特許文献2】特開2009−299552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の点火コイルでは次のような課題が生じている。即ち、上記特許文献1の点火コイルでは、巻線の巻き始め端部が接続、固定される第1端子を設けた一次コイルボビンの一方の鍔部と対向する他方の鍔部に、第1端子に接続、固定して引き出した巻線を引っ掛けて方向を変更させ、一次コイルボビン(筒状部)の外周に巻き付けるための引っ掛け支柱を設け、一次コイルボビン(筒状部)に、端子からの巻線を引っ掛け支柱へ誘導する誘導凹部を設けることで一次コイルを形成する巻線の積層数(奇数、偶数)に拘わらず、巻線の巻き終わり端部を一次コイルボビンの任意の鍔部にすることができ、巻線が断線するのを防止することのできるが、前記巻線の巻き始めと巻き終わりが別方向の前記一次コイルでしか実施できないという問題が生じている。
【0006】
また、特許文献2の点火コイルでは、巻線が、その巻き始め端部を第1巻線固定部に接続、固定され、案内壁に案内されて巻線巻回空間内に引き出され、第1鍔部の内壁面に沿って巻胴部の外周を約1周巻かれ、第1巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて巻線巻回空間内に戻され、ついで誘導凹部内を通って第2巻線方向転換突起に掛けられて方向を転換されて巻線巻回空間内に戻され、巻胴部の外周に奇数層巻き付けられた後巻線巻回空間から引き出され、その巻終わり端部を第2巻線固定部に接続、固定されていることによって巻き始め端部から第1巻線方向転換突起に至る巻線の部位の長さを長くして応力を緩和し、断線の発生を抑制できるが、前記第1巻線の巻き始めと巻き終わりの交差を避けるため巻線の方向転換を行っているため巻線の長さが長くなることや、突起部による構造の複雑化が生じるという問題が生じている。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、1次巻線の巻き始めと巻き終わりが同方向であり、且つ前記1次巻線の無理な方向転換を行わずに前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりの絶縁被膜の破壊及び断線を防ぐことを可能とした内燃機関用点火コイルを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は次のような構成とする。すなわち、請求項1の発明においては、ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、前記1次ボビンの上端の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を少なくとも1つ備え、前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【0009】
また、請求項2の発明においては、ケース内には少なくとも鉄芯の一部とこの外周に配置される1次コイルと2次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれのボビンに1次巻線と2次巻線を巻き回し、当該ケースには点火プラグへ高電圧を供給する高圧タワーと点火コイルへの電力供給と制御信号を入力するコネクタを備え、前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、前記1次ボビンの一端には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を少なくとも1つ備え、前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構造を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【0010】
上記構成においては、前記1次ボビンの上端の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導くためのガイドを形成してもよい。
【0011】
また、請求項4の発明においては、ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次ボビンの上端の径方向外周部には第1の鍔部が設けられており、当該第1の鍔部の前記1次ボビンの径方向両端にはアーム部を形成し、当該アーム部には前記1次巻線を橋渡しするようにして前記1次コイルの巻き始め又はまき終わりの接続部を有し、当該アーム部には前記1次巻線の巻き始め又は巻き終わりを巻き付ける巻き付け部を形成し、前記1次ボビンの上端且つ前記第1の鍔部の下方の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりの巻線を上下に分岐させるための第2の鍔部が設けられており、前記1次ボビンの上端且つ当該第2の鍔部の下方の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導くためのガイドが形成されており、前記1次ボビンの上端且つ当該第2の鍔部の下方の径方向外周部には前記巻線本体の巻き崩れを防止する巻崩れ防止部を形成し、前記第1の鍔部−前記第2の鍔部間又は前記第2の鍔部―当該巻崩れ防止部間の少なくとも一方には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を備え、前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【0012】
さらに、請求項5の発明においては、ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、前記1次ボビンの上端の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぎ、前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導ためのガイド兼段差を少なくとも1つ備え、前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該ガイド兼段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【0013】
さらに、請求項6の発明においては、ケース内には少なくとも鉄芯の一部とこの外周に配置される1次コイルと2次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれのボビンに1次巻線と2次巻線を巻き回し、当該ケースには点火プラグへ高電圧を供給する高圧タワーと点火コイルへの電力供給と制御信号を入力するコネクタを備え、前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、前記1次ボビンの一端の外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぎ、前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導ためのガイド兼段差を少なくとも1つ備え、前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該ガイド兼段差によって接触しない構造を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【発明の効果】
【0014】
上記構成の通り、1次ボビンに段差を形成することによって、1次巻線の巻き始めと巻き終わりの交差する位置での接触を防止し、絶縁被膜の破壊及び1次巻線の断線を防ぐことができる点火コイルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施例とする点火コイルの側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例とする1次ボビンの斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】図3の矢印(a)方向から見たB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の第1の実施例とする点火コイルの側面断面図を図1に示す。本発明の点火コイルは、図示しないエンジン上部に形成されたプラグホール内に収容され、この高圧出力側は点火プラグに接続され、高電圧を点火プラグへ供給している。
【0018】
図1において、点火コイル50の外形を形成するケース44は、エンジンのプラグホールに挿入される部分を円筒形状とし、当該プラグホール外に突出している部分はこの断面積を前記円筒形状部分より広い空間形状とした一体樹脂成形で形成されている。前記ケース44の前記円筒部分には棒状の中心鉄芯40と、当該中心鉄芯40の軸方向外周に同軸的に配置された2次コイル34と、当該2次コイル34の外周に同軸的に配置された1次コイル10と、当該1次コイル10の外周に同軸的に設けられる筒状の外装鉄心42を収容している。上記構成において、前記2次コイル34は2次ボビン36の外周に2次巻線38を、前記1次コイル10は1次ボビン12の外周に1次巻線14を巻き回しており、一般的に前記2次コイル34は1万ターン前後、前記1次コイル10は200ターン前後の巻数となっている。また、前記ケース44のプラグホールより外に突出している空間には前記点火コイル50の点火動作を制御するイグナイタが配置されると共に、前記ケース44の外周側面の一面には図示しないバッテリ及び外部のECU等点火コイル制御部とを接続するコネクタ46が備えており、前記円筒部分と突出空間には前記点火コイル50の電気的絶縁と各部材の物理的固定を実現するために熱硬化性のモールド樹脂が充填されている。
【0019】
次に本発明の実施例とする点火コイルの1次ボビンの構造について説明する。本発明の第1の実施例とする1次ボビンの斜視図を示す図2と図2のA部拡大図でを示す図3、図3の矢印(a)方向から見たB−B断面図を示す図4に基づき説明する。図2乃至図4において、本実施例では前記1次ボビン12の上端の径方向外周部には第1の鍔部20が設けられており、当該第1の鍔部20の前記1次ボビン12の径方向両端180度の間隔の位置にはアーム部26を形成されており、当該アーム部26には前記1次巻線14を橋渡しするようにして前記1次コイル10の巻き始め又は巻き終わりの接続部30を有しており、当該アーム部26には前記1次巻線14の巻き始め又は巻き終わりを巻き付ける巻き付け部28を形成している。また前記1次ボビン12の上端且つ前記第1の鍔部20の下方の径方向外周部には前記1次巻線14の巻き始めと巻き終わりの巻線を上下に分岐させるための第2の鍔部22が設けられており、前記1次ボビン12の上端且つ当該第2の鍔部22の下方の径方向外周部には前記1次巻線14の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイル10の巻線本体32に導くためのガイド18が形成されており、前記第2の鍔部22によって前記1次巻線14の巻き始めと巻き終わりが上下に分岐され当該ガイド18部分で交差している。また前記1次ボビン12の上端且つ当該第2の鍔部22の下方の径方向外周部には前記巻線本体32の巻崩れを防止する巻崩れ防止部24を形成している。さらに前記第1の鍔部20−前記第2の鍔部22間には前記1次巻線14の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差16を備えており、前記1次巻線14の巻き終わりが前記1次巻線14の巻き始めと交差する位置で当該段差16によって接触しない構成を持っている。
【0020】
なお上記実施例の変形例として、前記第1の鍔部20形成されるアーム部26の間隔及び位置は設計事情により任意に変更してもよい。また前記の段差16の位置及び個数は設計事情により任意に変更してもよい。また前記1次ボビン12に形成される前記段差16と前記ガイド18を前記段差16と前記ガイド18を1つに統合したガイド兼段差48に置き換えて前記1次ボビン12に形成してもよい。さらに上記実施例の開磁路型点火コイルにおいては閉磁路型点火コイルで実施してもよい。
【符号の説明】
【0021】
10:1次コイル
12:1次ボビン
14:1次巻線
16:段差
18:ガイド
20:第1の鍔部
22:第2の鍔部
24:巻崩れ防止部
26:アーム部
28:巻き付け部
30:接続部
32:巻線本体
34:2次コイル
36:2次ボビン
38:2次巻線
40:中心鉄芯
42:外装鉄芯
44:ケース
46:コネクタ
48:ガイド兼段差
50:点火コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、
当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、
当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、
前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、
前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、
前記1次ボビンの上端の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を少なくとも1つ備え、
前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項2】
ケース内には少なくとも鉄芯の一部とこの外周に配置される1次コイルと2次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれのボビンに1次巻線と2次巻線を巻き回し、
当該ケースには点火プラグへ高電圧を供給する高圧タワーと点火コイルへの電力供給と制御信号を入力するコネクタを備え、
前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、
前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、
前記1次ボビンの一端の外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を少なくとも1つ備え、
前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構造を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項3】
請求項1及び2に記載の点火コイルにおいて、前記1次ボビンの上端の外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導くためのガイドが形成されていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項4】
ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、
当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、
当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、
前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、
前記1次ボビンの上端の径方向外周部には第1の鍔部が設けられており、
当該第1の鍔部の前記1次ボビンの径方向両端にはアーム部を形成し、
当該アーム部には前記1次巻線を橋渡しするようにして前記1次コイルの巻き始め又はまき終わりの接続部を有し、
当該アーム部には前記1次巻線の巻き始め又は巻き終わりを巻き付ける巻き付け部を形成し、
前記1次ボビンの上端且つ前記第1の鍔部の下方の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりの巻線を上下に分岐させるための第2の鍔部が設けられており、
前記1次ボビンの上端且つ当該第2の鍔部の下方の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導くためのガイドが形成されており、
前記1次ボビンの上端且つ当該第2の鍔部の下方の径方向外周部には前記巻線本体の巻き崩れを防止する巻崩れ防止部を形成し、
前記第1の鍔部−前記第2の鍔部間又は前記第2の鍔部―当該巻崩れ防止部間の少なくとも一方には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぐための段差を備え、
前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項5】
ケース内には少なくとも中心鉄芯とこの外周に配置される2次コイルと1次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれの略円筒状のボビンに1次巻線と2次巻線とを巻き回し、
当該ケースの軸方向上端部に点火コイルへの電源供給と制御信号を入力するコネクタを備え、
当該ケースの軸方向下端部には点火プラグへ高電圧を供給する高圧出力部を備え、
前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、
前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、
前記1次ボビンの上端の径方向外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぎ、前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導ためのガイド兼段差を少なくとも1つ備え、
前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該ガイド兼段差によって接触しない構成を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。
【請求項6】
ケース内には少なくとも鉄芯の一部とこの外周に配置される1次コイルと2次コイルとから成るコイル部を収容し、前記1次コイルと前記2次コイルは樹脂成形されたそれぞれのボビンに1次巻線と2次巻線を巻き回し、
当該ケースには点火プラグへ高電圧を供給する高圧タワーと点火コイルへの電力供給と制御信号を入力するコネクタを備え、
前記ケース内にはモールド樹脂を充填している内燃機関用点火コイルにおいて、
前記1次コイルには前記1次巻線の巻線本体に向かう巻き始めと前記1次巻線の巻線本体から出てくる巻き終わりを有し、
前記1次ボビンの一端の外周部には前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりが交差する際の接触を防ぎ、前記1次巻線の巻き始めと巻き終わりを前記1次コイルの巻線本体に導ためのガイド兼段差を少なくとも1つ備え、
前記1次巻線の巻き終わりが前記1次巻線の巻き始めと交差する位置で当該ガイド兼段差によって接触しない構造を持っていることを特徴とする内燃機関用点火コイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−249594(P2011−249594A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121741(P2010−121741)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000109093)ダイヤモンド電機株式会社 (387)
【Fターム(参考)】