説明

内視鏡による角度分解低コヒーレンス干渉法のためのシステムおよび方法

【課題】フーリエドメインa/LCI(faLCI)システムおよび方法は単一走査により高速度の生体データ収集を可能にする。
【解決手段】角度分解および深さ分解スペクトル情報は1回走査で取得される。基準アーム送出ファイバ14’’は、1回走査が必要とされるだけであるため、サンプル18’’に対して固定状態を維持できる。基準信号および反射サンプル信号は相互相関を有し、サンプル18’’から多数の反射角で散乱され、これにより並行して同時にサンプル上の多数の点からの反射を表す。サンプル上の多数の異なる点のそれぞれにおけるサンプル18’’のすべての深さに関する情報は約40ミリ秒のオーダーの1回走査で取得できる。空間的、相互相関を有する基準信号から、構造(サイズ)情報はまた、散乱体のサイズ情報を角度分解データから取得できる技法を用いて取得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年10月11日出願の米国特許仮出願第60/725,603号の発明の名称「SYSTEMS AND METHODS FOR ENDOSCOPIC ANGLE−RESOLVED LOW COHERENCE INTERFEROMETRY」の優先権を主張する。この仮出願の全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた米国特許出願第7,102,758号の発明の名称「FOURIER DOMAIN LOW−COHERENCE INTERFEROMETRY FOR LIGHT SCATTERING SPECTROSCOPY APPARATUS AND METHOD」に関する。この出願の全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
フーリエドメイン型角度分解低コヒーレンス干渉法(faLCI)システムおよび方法はサンプルの角度分解および深さ分解スペクトル情報のデータ収集を可能にし、このシステムでは、サンプルに関する深さおよびサイズ情報は、詳細には、生体への適用に対して高速度の単一走査により取得できる。
【背景技術】
【0004】
細胞の構造特徴を試験することは、多くの臨床研究および実験研究に不可欠である。細胞研究のために試験において使用されるもっとも一般的なツールは顕微鏡である。顕微鏡試験は細胞および細胞構造の解明において大きな進歩をもたらしてきたが、顕微鏡試験は標本のアーティファクトにより本質的に制限される。細胞の特性は、化学薬品の添加のため変質する細胞の構造特徴を瞬間的に確認できるだけである。さらに、試験目的で細胞サンプルを取得するために、侵襲が必要である。
【0005】
このような理由から、光散乱分光法(LSS)が、細胞を含む生体試験への適用を可能にするために開発された。LSS方法は、細胞小器官の弾性散乱特性の変化を試験し、これらのサイズおよび他の寸法情報を推定する。組織および他の細胞構造体における細胞特徴を測定するためには、多重散乱されており、および散乱物体に関する容易に利用可能な情報を保有しない散乱光から、個々に散乱された光を区別することが必要である。この区別および弁別は、弱い散乱のサンプルに対する試験および分析を制限または限定することにより、あるいはモデリングを用いて拡散構成要素を除去することによって、偏光格子を利用するといったいくつかの方法で達成できる。
【0006】
表面下の部位からの個々の拡散光を選択的に検出する代替の方法として、低コヒーレンス干渉法(LCI)もまたLSSの1つの方法として探求されてきた。LCIは、例えば広帯域の白色光源といった、低い時間干渉性を有する光源を利用する。干渉は干渉計の経路長の遅延が光源の干渉時間と一致するときに実現するだけである。システムの距離分解能は光源の干渉長さにより決定され、通常組織のサンプルの試験に好適なマイクロメートル範囲にある。実験結果は、広帯域の光源およびその2次高調波を使用することにより、LCIを使用する弾性散乱に関する情報の復元を可能にすることが示されている。LCIは時間深さ走査を用いており、この走査では、サンプルを基準アームに対して移動させて光源をサンプル上に誘導し、サンプル上の特定点から散乱情報を受信する。その結果、サンプルを完全に走査するための走査時間は、約5から30分のオーダーであった。
【0007】
角度分解LCI(a/LCI)は細胞サイズに関する表面下の構造情報を取得する手段として開発されてきた。光は参照ビームとサンプルビームとに分割され、サンプルビームは散乱光の角度分布を試験するために様々な角度でサンプルに投射される。a/LCI方法は、表面下の部位からの個々の散乱光を検出するLCIの性能と、サブ波長の精度および正確度で構造情報を取得する光拡散方法の性能とを組み合わせることにより、深さ分解断層撮影画像を構成する。構造情報は、伝達角を備える基準場と混合される単一広帯域光源を使用して、後方散乱光の角度分布を試験することにより決定される。細胞のサイズ分布は、測定された角度分布の振動部分とMie理論の予測とを比較することにより決定される。このようなシステムは、「角度分解型低コヒーレンス干渉法を用いて測定される細胞組織および構造(Cellular Organization and Substructure Measured Using Angle−Resolved Low−Coherence Inteferometry)」(Biophysical Journal、82、2002年4月、2256−2265)に説明されており、この全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
a/LCI方法は、細胞形態の測定および発がん現象の動物モデルにおける上皮内腫瘍の診断に適用されて好結果を得てきた。本出願の発明者は「改善された角度分解型低コヒーレンス干渉システムを用いる核形態の決定(Determining nuclear morphology using an improved angle−resolved low coherence interferometry system)」(Optics Express、2003年、11(25):3473−3484頁)においてこのようなシステムを開示しており、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。サンプルに関する構造情報を取得するa/LCI方法は、組織および生体の細胞形態の測定、ならびに発がん現象の動物モデルにおける上皮内腫瘍の診断および化学抗がん剤の効能の評価に適用されて好結果を得てきた。a/LCIは組織処理することなく組織サンプルを予測的に選別するのに用いられ、生物医学診断として技術の可能性を実証してきた。
【0009】
初期の試作品および第2世代のa/LCIシステムは同様のデータを取得するのにそれぞれ30分および5分を必要としていた。時間領域深さに依存しているこれら従来のシステムは、従来のLCIベースのシステムで実現されているのと同様に走査する。検出される散乱角の逐次走査を達成するために、干渉計の基準アームの長さは機械的に調整されなければならなかった。角度特定性を得る方法は、干渉分析方式の参照ビームを可変角度で検出器平面と交差させることにより達成された。角度分解、深さ分解後方拡散分布を取得するこの一般的な方法は、米国特許第6,847,456号「Methods and systems using field−based light scattering spectroscopy」に開示されており、この全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
他の従来のLCIシステムは米国特許第6,002,480号および6,501,551号に開示されており、この全開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第6,002,780号は、深さ分解分光分布を取得することを範囲に含み、弾性散乱特性による波長の変化を観測することにより散乱体のサイズを得ることを開示している。米国特許第6,501,551号は、干渉画像化の内視鏡応用を範囲に含み、フーリエドメイン概念を用いて深さ分解能を得ることを予測している。米国特許第6,501,551号は、角度分解散乱分布の測定、弾性散乱特性の分析により散乱体のサイズを決定するための散乱光の利用、およびそのデータが散乱または画像化データであるかどうかによらず、並行してデータを記録するための画像化分光計の使用、を述べていない。最後に、米国特許第7,061,622号は角度散乱分布を測定するための光ファイバ手段を開示しているが、フーリエドメイン概念を論じていない。また、画像化技術を説明するために、実施形態のすべては、試験される領域を制限する集束光学系を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,847,456号明細書
【特許文献2】米国特許第6,002,480号明細書
【特許文献3】米国特許第6,501,551号明細書
【特許文献4】米国特許第7,061,622号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Cellular Organization and Substructure Measured Using Angle−Resolved Low−Coherence Inteferometry(Biophysical Journal、82、2002年4月、2256−2265)
【非特許文献2】Determining nuclear morphology using an improved angle−resolved low coherence interferometry system(Optics Express、2003年、11(25):3473−3484頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明はフーリエドメインa/LCI(faLCI)と称される新しいa/LCI方法を含み、この方法により、単一走査により高速のデータ収集を可能にし、生体への適用を十分可能にする。本発明は、サンプルに関する角度分解および深さ分解スペクトル情報を取得し、サンプルに関する深さおよびサイズ情報は単一走査により取得でき、また基準アームは、1回走査が必要とされるだけであるため、サンプルに対して固定状態を維持できる。基準信号および反射サンプル信号は相互相関を有し、サンプルから多数の反射角で散乱され、これにより並行して同時にサンプル上の多数の点からの反射を表す。
【0014】
この角度分解、相互相関信号はスペクトル的に分散しているため、新しいデータ収集方式は重要である。この理由は、この新しいデータ収集方式により、データを1秒未満で取得でき、生体組織からデータを収集するのに必要とされる閾値を決定できるからである。サンプル上の多数の異なる点のそれぞれにおけるサンプルのすべての深さに関する情報は約40ミリ秒オーダーの1回走査により取得できる。空間的、相互相関を有する基準信号から、構造(サイズ)情報はまた、散乱体のサイズ情報を角度分析データから取得できる方法を用いて取得できる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のfaLCI方法は、フーリエドメイン概念を用いて深さ分解情報を収集する。データ収集時間における信号対雑音および同一基準(commensurate)の低減はフーリエ(またはスペクトル)ドメインにおける深さ走査を記録することにより可能である。faLCIシステムはフーリエドメイン概念を画像分光器の使用と組み合わせることにより、角度分布を並行してスペクトル的に記録する。その後、本発明の深さ分解能は、サンプルに対するフーリエ変換平面における画像分光器の入口スリットを置くことにより得られる角度分解測定によって2つの混合場(field)のスペクトルをフーリエ変換することにより達成される。これは、スペクトル情報を深さ分解情報に、および角度情報を横方向空間分布に変換する。faLCIの性能は、最初は、深さ分解測定におけるポリスチレンビーズのサイズを抽出することにより実証された。
【0016】
様々な数学的技術および方法が、角度分解、相互相関信号を利用してサンプルのサイズ情報を決定するために提供されている。
【0017】
本発明は特定のいずれの装置にも限定されない。1つの実施形態では、装置は改良されたマッハ−ツェンダー干渉計に基づいており、この装置では、スーパールミネッセントダイオードからの広帯域光はビームスプリッタによりサンプルに対して参照ビームおよび入力ビームに分割される。別の実施形態では、固有の光ファイバプローブを用いて光を送出し、所定のサンプルから散乱光の角度分布を収集できる。
【0018】
a/LCI方法は、生検またはその後の組織病理学的評価を介する組織抽出の必要なく、組織の健康を評価するための臨床的に実行可能な方法である。a/LCIシステムは多数の目的、すなわち形成異常上皮組織の早期検出およびスクリーニング、疾病期間、治療行為の監視、および生検部位への臨床医の案内に適用できる。光学的a/LCIプローブの非侵襲性、非電離性特性は、悪影響を与えることなく繰返し適用できることを意味する。迅速な結果を提供するa/LCIの能力は疾病のスクリーニングに対する広範な適用性を大幅に強化する。
【0019】
本明細書に記載され、および本明細書の一部を形成する添付図面は本発明のいくつかの態様を説明し、記述と併せて本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】マッハ−ツェンダー干渉計を使用するfaLCIシステムの1つの例示的実施形態の図である。
【図1B】図1Aの干渉計構成において分光器のスリットに対して検出される散乱角の関係を示す図である。
【図2】分析用のサンプルに関する深さ分解空間相互相関情報を復元するために干渉計装置により実行されるステップを示すフローチャートである。
【図3A】ポリスチレンビーズの例示的サンプルに対して空間ドメインで復元されるfaLCIデータの例であって、取得された全体信号(図3A)を示している。
【図3B】ポリスチレンビーズの例示的サンプルに対して空間ドメインで復元されるfaLCIデータの例であって、基準場の強度(図3B)を示している。
【図3C】ポリスチレンビーズの例示的サンプルに対して空間ドメインで復元されるfaLCIデータの例であって、信号場強度(図3C)を示している。
【図3D】ポリスチレンビーズの例示的サンプルに対して空間ドメインで復元されるfaLCIデータの例であって、基準場強度と信号場強度との間の抽出された相互相関信号(図3D)を示している。
【図4A】深さおよび角度の関数としての、図3Dに示された相互相関faLCIデータについて実行された軸方向の空間相互相関関数の図である。
【図4B】サンプルに関するサイズ情報を復元するために、角度の関数としての、散乱サンプル信号強度に関する生データおよびフィルタ処理されたデータの角度分布グラフである。
【図5A】サンプルに関するサイズ情報を決定するために最適Mie理論と比較された、散乱サンプル信号強度のフィルタ処理された角度分布図である。
【図5B】サンプル中の細胞の直径を推定するための、サンプルに関するサイズ情報のカイ2乗最小化である。
【図6】光ファイバプローブを使用するfaLCIシステムの例示的実施形態の図である。
【図7A】図6に示されたfaLCIシステムで使用されるa/LCI光ファイバプローブ先端の切断図である。
【図7B】図7Aに示されたfaLCIシステムにおけるファイバプローブの配置を示している。
【図8A】本発明により使用される代替の光ファイバfaLCIシステムの図である。
【図8B】図8Bに示されたfaLCIシステムにおけるプローブの遠位端におけるサンプル照射および散乱光収集の図である。
【図8C】図8Aに示されたfaLCIシステムのプローブの照射された遠位端の画像の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に記載される実施形態は、当業者が本発明を実現できるのに必要な情報を示しており、本発明を実現する最良様式を示す。添付図面と照合して以下の説明を読むことにより、当業者は本発明の概念を理解し、本明細書で詳細には説明されていないこれらの概念の適用を認識する。これらの概念および適用は本開示および添付の特許請求の範囲内であることは理解されるべきである。
【0022】
本発明はフーリエドメインa/LCI(faLCI)と称される新しいa/LCI方法を含み、この方法により、単一走査により高速のデータ収集を可能にし、生体への適用を十分可能にする。本発明は、サンプルに関する角度分解および深さ分解スペクトル情報を取得し、サンプルに関する深さおよびサイズ情報は単一走査により取得でき、また基準アームは、1回走査が必要とされるだけであるため、サンプルに対して固定状態を維持できる。基準信号および反射サンプル信号は相互相関を有し、サンプルから多数の反射角で散乱され、これにより並行して同時にサンプル上の多数の点からの反射を表す。
【0023】
この角度分解、相互相関信号はスペクトル的に分散しているため、新しいデータ収集方式は重要である。この理由は、この新しいデータ収集方式により、データを1秒未満で取得でき、生体組織からデータを収集するのに必要とされる閾値を決定できるからである。サンプル上の多数の異なる点のそれぞれにおけるサンプルのすべての深さに関する情報は約40ミリ秒オーダーの1回走査により取得できる。空間的、相互相関を有する基準信号から、構造(サイズ)情報はまた、散乱体のサイズ情報を角度分析データから取得できる方法を用いて取得できる。
【0024】
本発明のfaLCI方法は、フーリエドメイン概念を用いて深さ分解情報を収集する。データ収集時間における信号対雑音および同一基準の低減はフーリエ(またはスペクトル)ドメインにおける深さ走査を記録することにより可能である。faLCIシステムはフーリエドメイン概念を画像分光器の使用と組み合わせることにより、角度分布を並行してスペクトル的に記録する。その後、本発明の深さ分解能は、サンプルに対するフーリエ変換平面における画像分光器の入口スリットを置くことにより得られる角度分解測定によって2つの混合場のスペクトルをフーリエ変換することにより達成される。これは、スペクトル情報を深さ分解情報に、および角度情報を横方向空間分布に変換する。faLCIの性能は、最初は、深さ分解測定におけるポリスチレンビーズのサイズを抽出することにより実証された。
【0025】
本発明の主要な進歩は3つの構成要素、すなわち(1)新しい迅速なデータ収集方法、(2)ファイバプローブ設計、および(3)データ分析方式に分類される。したがって、本発明は理解を容易にするためにこの分類事項に従って説明される。
【0026】
また図2には、例示的な装置ならびにサンプルから散乱される角度および深さ分解分布データを取得するプロセスに含まれるステップが示されている。本発明の1つの実施形態によるfaLCI方式は図1Aに示される改良されたマッハ−ツェンダー干渉計に基づいている。スーパールミネッセントダイオード(SLD)12からの広帯域光10はミラー13により方向変更され(図2のステップ60)、ビームスプリッタBS1 20により参照ビーム14とサンプル18への入力ビーム16と分割される(図3のステップ62)。SLD12の出力パワーは3ミリワットであってもよく、例えば、λo=850nm、Δλ=20nmFWHMの仕様を有し、組織内の細胞層から散乱を分離するのに十分な低コヒーレンス長さを提供する。参照ビーム14の経路長は逆反射体RR22を調節するにより設定されるが、測定中は固定された状態を維持する。参照ビーム14はレンズL1(24)およびL2(26)を用いて拡大され、照射光を生成する(図2のステップ64)。この照射光は均一な平行光であり、画像分光器29内の分光器スリット48に到達する。例えば、L1は焦点距離1.5センチメートルを有してもよく、L2 26は焦点距離15センチメートルを有してもよい。
【0027】
レンズL3(31)およびL4(38)はサンプル18上に入射する平行ペンシルビーム30を生成するように配置される(図2のステップ66)。レンズL3(31)に対して垂直にレンズL4(38)を配置することにより、入力ビーム30は光軸に対して0.10ラジアンの角度でサンプルを照射するように生成される。この配置によりレンズL4(38)の全開口角を用いてサンプル18から散乱光40を収集できる。レンズL4(38)は焦点距離3.5センチメートルを有してもよい。
【0028】
サンプル18により散乱された光40はレンズL4(32)により収集され、レンズL5(43)およびL6(44)から構成される4f画像化システムにより中継され、これにより、レンズL4(32)のフーリエ平面が分光器スリット48で位相および振幅を再生される(図2のステップ68)。散乱光40は、画像分光器29への入口スリット(要素48として図1Bに示されている)に位置する組み合わせ場46と、第2ビームスプリッタBS2 42における基準場14と混合される(図2のステップ70)。画像分光器29は例えばActon Research社により製造されるモデルSP2150iであってもよい。図1Bはスリット48の寸法に対する散乱角の分布を示している。混合場は高い分解能格子(例えば1200l/mm)で分散され、冷却されたCCD50(例えば、Princeton Instruments社により製造されている1340×400、20μm×20μmピクセル、仕様10:400)を使用して検出される(図2のステップ72)。
【0029】
検出信号46は、光が分光器29により分散されると、分光器スリット48上の垂直位置yおよび波長λの関数である。ピクセル(m、n)における検出信号は、信号40および参照場16(E、E)と以下の式のように関連付けることができる。
【数1】

【0030】
ここで、φは2つの場30、16の間の位相差であり、<...>は時間における集合平均を示す。干渉項は信号ビーム30および参照ビーム16の強度を独立に測定し、全体強度からこれらを減算することにより抽出される。
【0031】
深さ分解情報を得るために、各散乱角における波長スペクトルは、波数(k=2π/λ)スペクトルに補間され、およびフーリエ変換されて、以下の式で表される各垂直ピクセルyに対する空間相互相関ΓSR(z)を与える。
【数2】

【0032】
参照場14は以下の式で表される。
【数3】

【0033】
ここで、k(yおよびΔk(Δy))はガウス波動ベクトル(空間)分布の中心および幅を表し、Δlは選択された経路長の差である。散乱場40は以下の式で表される。
【数4】

【0034】
ここで、Sは深さlに置かれたj番目の界面から生じる散乱の振幅分布を表す。散乱場40の角度分布は、関係y=fθによってレンズL4のフーリエ画像平面における位置分布に変換される。CCD50のピクセルサイズ(例えば20μm)に対して、これは角度分解能(例えば、0.57ミリラジアン)および予測される角度範囲(例えば228ミリラジアン)が得られる。
【0035】
式(3)および(4)を式(2)に代入し、および参照場14(Δy>>スリットの高さ)の均一性に注目することにより、検出器29上のn番目の垂直位置における空間相互相関性が得られる。
【数5】

【0036】
単一界面に対してこの式の値を求めると以下のようになる。
【数6】

【0037】
ここでは、散乱振幅Sは光源12の帯域幅全体にわたって感知できるほど変化しないと仮定した。この表現は、散乱角に対応する各垂直ピクセルにおける散乱分布40の深さ分解プロファイルを得ることができることを示している。
【0038】
図3Aは、基準場16と、後方散乱方向に対して与えられる、波長および角度の関数として仮定した周波数ドメインにおける、ポリスチレンビーズのサンプルにより散乱された場40との和の全体の検出強度(上記の式(1))を表す典型的なデータを以下に示している。例示的な実施形態において、このデータは、40ミリ秒で収集され、予測範囲の約85%の186ミリラジアン全体にわたるデータを記録しており、高角度において信号の若干の損失を有する。
【0039】
図3Bおよび図3Cはそれぞれ基準場および信号場14、30の強度を示している。全体の検出強度から、信号場および基準場14、30を減算すると、2つの場の間の干渉46は図3Dに示されるとおりに発生する。各角度において、干渉データ46はk空間に補間され、フーリエ変換されて、図4Aに示されるとおりサンプル18の角度深さ分解プロファイルを得る。角度分解相互相関信号46のフーリエ変換は、サンプル18からの多数の反射角度で散乱され、レンズL4(32)のフーリエ平面において得られた信号40の結果であって、角度および深さの関数としてサンプル18に関する深さ分解情報を生成する。これはサンプル18に関する深さ分解情報を提供する。角度分解、相互相関信号46はスペクトル的に分散しているため、データ収集においては1秒未満でデータを取得できる。サンプル18上の多数の異なる点(すなわち角度)のそれぞれにおいてサンプル18のすべての深さに関する情報は、約40ミリ秒オーダーで1回走査により取得できる。通常、時間ドメインベースの走査は多数の異なる点におけるサンプルのすべての深さに関する情報を取得するように要求され、その結果、長時間とサンプルに対する基準アームの運動を要求する。
【0040】
図4Aに示されるサンプル18の深さ分解プロファイルを生成した実験では、サンプル18は、中立浮力を提供するために、水80%およびグリセリン20%(n=1.36)の混合物に懸濁するポリスチレン微小球(例えば、n=1.59、平均直径10.1μm、8.9%の分散、NIST(国立標準技術研究所)認定、Duke Scientific社)からなる。溶液は散乱長f=200μmを得るために調製される。サンプルはガラスカバースリップ(厚さd〜170μm)の後方の円形ウェル(直径8mm、深さ1mm)内に含まれる(図示せず)。サンプルビーム30はカバースリップを通してサンプル18上に入射する。カバースリップを通る往復厚み(第2=2(1.5)(170μm)=0.53mm、図4A参照)はこの方法の深さ分解性能を示している。データは1つの平均自由行程(MFP)全体を積分することにより集合平均される。空間平均により、低コヒーレンス光を使用する場合のスペックルを低減して、散乱サンプルを試験できる。フィッティング手順を容易にするために、散乱分布は、16μmを超える長さスケールにおける空間相関を抑圧するために選択されたカットオフ周波数を有するローパスフィルタされ、平滑な曲線を生成する。
【0041】
サンプル18に関する深さ分解情報を取得することに加えて、開示されたデータ収集方式を用いてサンプル18から得られる散乱分布データ(すなわちa/LCIデータ)を用いて、Mie理論を用いて核のサイズを決定することもできる。サンプル18の散乱分布74はプロット線図(contour plot)として図4Bに示される。サンプル18に関する生の散乱情報74は信号場30および角度の関数として示される。フィルタ処理された曲線は散乱データ74を使用して決定される。フィルタ処理された散乱分布曲線76(すなわち散乱データ74の表示)とMie理論の予測との比較(図5Aの曲線78)により、サイズ分布を生成できる。
【0042】
散乱データ76をMie理論に適合させるために、a/LCI信号を処理して核のサイズの特性である振動成分を抽出する。平滑化データ76は、低次多項式(例えばここでは4次が使用されるが、さらに最近の研究ではより低次の2次を使用する)に適合され、その後、背景傾向を除去するために分布76から減算される。結果として得られる振動成分は、次に、Mie理論78を用いて得られる理論上の予測値のデータベースと比較され、分析のために緩やかに変化する特徴が同様に除去される。
【0043】
フィルタ処理されたa/LCIデータ76とMie理論データ78との直接比較は、カイ2乗フィッティングアルゴリズムが固有振動でなくバックグラウンドスロープと一致する傾向があるため、不可能である。算出された理論的予測は、平均直径(d)および標準偏差(δD)により特徴付けられるサイズのガウス分布ならびに波長の分布を含み、広範な帯域幅光源を正確にモデル化する。
【0044】
最良フィッティング(図5A)はデータ76とMie理論と間のカイ2乗を最小化することにより決定され(図5B)、10.2+/−1.7μmのサイズが得られ、真のサイズと優れた一致を示す。測定誤差は、おそらくは測定において記録される角度の制限範囲のために、ビーズの大きさの変化より大きい。
【0045】
a/LCIデータの処理するおよびMie理論との比較の代替として、診断情報を得ることができるいくつか他の方法がある。これらは、フーリエ変換を用いて角度データを分析することにより、細胞核の周期的振動特性を識別することを含む。周期的振動は核のサイズと相関があり、したがって診断価値を有する。a/LCIデータを分析する別の方法は、データを有限要素法(FEM)またはT−マトリクス計算を用いて生成される角度散乱分布のデータベースと比較することである。このような計算は、Mie理論と同様な制限を受けないため、優れた分析を提供できる。例えば、FEMまたはT−マトリクス計算は非球形散乱体および含有物を有する散乱体をモデル化できるのに対して、Mie理論は同質球体だけしかモデル化できない。
【0046】
代替の実施形態として、本発明はまた、内視鏡用途に対してa/LCIシステムにおいて使用するために、対象のサンプルに光を送出および光を収集する光ファイバを使用することもできる。この代替の実施形態は図6に示されている。
【0047】
この代替の実施形態における光ファイバa/LCI方式はレンズのフーリエ変換特性を利用する。この特性は、物体がレンズの前方焦点面に配置される場合、共役画像平面における画像はこの物体のフーリエ変換であることを示す。空間分布のフーリエ変換(物体または画像)は、mm当たりの周期についての画像情報内容の表示である、空間周波数分布により表される。弾性散乱光の光学画像においては、波長は固定された最初の値を維持し、空間周波数表示は単に、散乱光の角度分布の倍率変更バージョンである。
【0048】
光ファイバa/LCI方式では、角度分布は、収集レンズを使用してサンプルの共役フーリエ変換平面にファイバ束の遠位端を配置することにより捕集される。この角度分布は次に、画像分光器の入口スリット上に4fシステムを使用して画像化される位置である、ファイバ束の遠心端に伝えられる。ビームスプリッタは、スリットに入る前に基準場と散乱場を重ね合わせるために使用され、この結果、低コヒーレンス干渉法はまた深さ分解測定値を得るためにも使用できる。
【0049】
次に図6に戻ると、光ファイバfaLCIスキームが示されている。広帯域光源10’からの光12’は、ファイバスプリッタ(FS)80を用いて基準場14’と信号場16’とに分割される。スプリッタ比20:1は、1つの実施形態においては、組織から戻される光が一般にわずかな入射パワーであるため、信号アーム82を介してサンプル18’により大きいパワーを振り向けるように選択される。
【0050】
基準ファイバ14’内の光はファイバF1から出て、基準アーム経路長の全体位置合わせを可能にするために、変換ステージ86上に取り付けられたレンズL1(84)により平行光に変換される。この経路長は作動中に走査されないが、位置合わせ中に変更されてもよい。平行ビーム88はファイバ束F3(90)の端部91に寸法的に等しくなる配置され、この結果、平行ビーム88は等しい強度でF3内のすべてのファイバを照射する。F3(90)の遠位先端から出る基準場14’はファイバF4(94)により伝えられる散乱場と重ね合わせるために、レンズL3(92)により平行光に変換される。代替の実施形態では、ファイバF1(14’)から出る光は平行光に変換され、その後レンズ系を用いて拡大されてブロードビームを生成する。
【0051】
散乱場は干渉ファイバ束を用いて検出される。散乱場は、レンズL2(98)を使用して対象のサンプル18’の方向に向けられる信号アーム82内で光を用いて生成される。自由空間システムにおけるのと同様に、レンズL2(98)は単一モードファイバF2の中心から横方向に移動され、これにより、光軸に対してある角度をなして移動する平行ビームを生成するようにされる。入射ビームがある傾斜角でサンプルを照射する事実は、鏡面反射から弾性散乱情報を分離するのに不可欠である。サンプル18’により散乱される光は、干渉性単一モードまたは多重モードファイバのアレイからなるファイバ束により収集される。ファイバの遠位先端は、散乱光の角度分布を画像化するためにレンズL2(98)から離れて1つの焦点距離を維持される。図6に示される実施形態では、サンプル18’は機械式取付台100を使用してレンズL2(98)の前方焦点平面に配置される。図7に示される内視鏡と互換性のあるプローブでは、サンプルは、透明シース(要素102)を使用してレンズL2(98)の前方焦点平面に配置される。
【0052】
図6および図7Bに示されるとおり、ファイバプローブF4(94)の近位端105から出る散乱光104はレンズL4(104)により平行光に変換され、ビームスプリッタBS(108)を使用して基準場14’と重ね合わされる。2つの結合された場110はレンズL5(112)を使用して画像分光器29’のスリット(図7の要素48’)に再画像化される。レンズL5(112)の焦点距離はスリット48’を最適に満たすために変更されてもよい。結果として得られる光信号は、図1Aおよび図1Bの装置に対して上述されたとおり、スリット48’の垂直寸法全体にわたる各散乱角に関する情報を含む。
【0053】
上述のa/LCI光ファイバプローブは0.45ラジアン範囲(約30°)にわたる角度分布を収集し、一瞬の間に完全な深さ分解散乱分布110を収集すると予測される。
【0054】
光工学の点からは同一であるファイバプローブを生成するためのいくつかの可能な方式が存在する。1つの可能な実現形態は信号および基準アームの両方における単一モードファイバの線形アレイである。代替として、基準アーム96は、干渉性ファイバ束または線形ファイバアレイのいずれかからなる信号アーム82を備える個別の単一モードファイバから構成される。
【0055】
ファイバプローブの先端はまた、実質的に同等であるいくつかの実現形態を有する。これらは、レンズL2(98)の代わりにドラムレンズまたはボールレンズの使用を含む。側視型プローブは、レンズおよびミラーまたはプリズムの組み合わせを使用して、またはレンズ−ミラーの組み合わせと交換するために凸面鏡を使用して作製できる。最終的に、プローブ全体は、探求される範囲の周辺走査を可能にするために半径方向に回転するように作製される。
【0056】
本発明のさらに別のデータ収集の実施形態は、図5Aに示されるとおり改良されたマッハ−ツェンダー干渉計に基づくfa/LCIシステムである。ファイバ結合型スーパールミネッセントダイオード(SLD)光源12’’(例えば、Superlum社、P=15mW、λ=841.5nm、Δλ=49.5nm、干渉長さ=6.3μm)からの出力10’’は90/10ファイバスプリッタFS(80’)(例えばAC Photonics社により製造されている)によりサンプルアーム送出ファイバ16’’および基準アーム送出ファイバ14’’に分割される。サンプルアーム送出ファイバ16’’は、例えば次のいずれか、すなわち(1)先端部で組み込まれた偏光制御を備える単一モードファイバ、または(2)偏光維持ファイバのいずれかからなる。サンプルプローブ113は、送出ファイバ16’’の端面がファイバ束116の面と平行で同一平面となるように、ファイバ束116の遠位端にフェルール114に沿って送出ファイバ16’’(NA≒0.12)を固定することにより組み立てられる。ボールレンズL1(115)(例えば、f=2.2mm)はプローブ113の面から1つの焦点距離に配置され、ファイバ束116上に中心合わせされ、レンズL1(115)の光軸から送出ファイバ16’’を片寄らせる。また図8Bに示されているこの構成は、例えば0.25ラジアンの角度でサンプル18’’上に入射する0.5mmの直径(例えば2fNA)を有する平行ビーム120(例えばP=9mW)を生成する。
【0057】
サンプルからの散乱光112はレンズL1(115)およびレンズL1(115)のフーリエ変換特性により収集され、散乱場122の角度分布は、レンズL1(115)のフーリエ画像平面に配置される多重モード干渉性ファイバ束116(例えば、Schott North America社、長さ=840mm、ピクセルサイズ=8.2μm、画素数=13.5K)の遠位面において、空間分布に変換される。ファイバ束y’上の垂直位置と散乱角θと間の関係はy’=fθにより与えられる。図のとおり、3つの選択された散乱角における散乱光122の光経路は図8Bに示されている。全体として、角度分布は、図8Cの強調表示された領域により示されるとおり、ファイバ束116’’の垂直ストリップを交差して、例えば約130の個別ファイバによりサンプリングされる。例えば、送出ファイバ16’’およびファイバ束116を分離する0.2mmの厚いフェルール(dj)は、この例では、最小の理論的集束角(θmin,th=(d/f)を0.09ラジアンに制限する。最大の理論的集束角はdおよびdにより決定され、ファイバ束の直径は(θmax,th=(d+d)/f)により0.50ラジアンになるように決定される。標準的な散乱サンプル122を使用する実験では、有効角度範囲はθmin=0.12ラジアンからθmax=0.45ラジアンを示す。dは、例えば、遠位フェルール123内にチャネルを形成し、チャネル内に送出ファイバ16’’を配置することにより最小化できる。ファイバ束116は空間干渉性を有し、近位面で収集される角度散乱分布の再生成をもたらす。加えて、ファイバ束116内のすべてのファイバが干渉長さ以内に一致する経路長であるため、各角度における散乱光122により移動される光経路長は同一である。参照により全内容を本明細書に組み込まれる、T.Q.Xie、D.Mukai、S.G.Guo、M.BrennerおよびZ.P.Chenによる「光ファイバ束光干渉断層撮影(Fiber−optic−bundle−based optical coherence tomography)」(Optics Letters 30(14)、1803‐1805(2005))(以下「Xie」)に開示されているシステムは、時間ドメイン光干渉断層撮影システムにおける多重モード干渉ファイバ束を開示しており、個別のファイバに結合された光のモードは異なる経路長を移動することを実証している。本発明のここでの例では、高次モードは、関連データを臨床的に収集するのに要求される深さ(約100μm)をはるかに超えて、基本モードから3.75mmの片寄りがあることが実験的に決定された。加えて、サンプルアームパワーが基準アームパワーより大幅に小さいため、高次モードにおけるパワーはダイナミックレンジに大きな影響を与えなかった。最終的に、Xieに開示されたシステムは個別のファイバを通して順次にデータを収集するが、本発明のここでの例では、130のファイバを用いて、ある角度範囲全体わたって同時に並行して散乱光を収集し、結果的に高速データ収集が達成される。
【0058】
ファイバ束116の近位端124から出る角度分布はL2およびL3の4f画像化システム(f=3.0cm、f=20.0cm)により中継され、画像分光器29’’(例えば、Acton Research社、InSpectrum 150)の入力スリット48’’に達する。4f画像化システムの理論上の大きさはこの例では(f/f)6.67である。実験的に、この大きさはこの例ではM=7.0と測定されたが、おそらくは、ンズL2(126)に対するファイバ束116の近位面124の位置に起因する相違を有する。分光器スリット48’’上の垂直位置yとθと間の結果として得られる関係はy=Mf(θ−θmin)である。基準アームの光経路長はサンプルアームの基本モードの経路長と一致する。基準ファイバ14’’を出る光127はレンズL4(128)により平行光に変換され(例えば、f=3.5cm、スポットサイズ=8.4mm)、サンプル光の位相面曲率と一致し、画像分光器29’’のスリット48’’全体わたる一様な照射を生成する。基準場130は中性濃度フィルタ132により減衰され、ビームスプリッタBS(134)において角度散乱分布と混合される。混合場136は高分解能格子(例えば1200ライン/mm)により分散され、例えば、840nmを中心とするスペクトル範囲99nmをカバーする、一体型冷却CCD(図示せず)(例えば、1024×252、24μm×24μmピクセル、0.1nm分解能)を使用して検出される。
【0059】
検出された信号136、波長λおよびθの関数は以下の式のとおり信号および基準場(E、E)に関連付けできる。
【数7】

【0060】
ここで、φは2つの場の間の位相差であり、(mn)はCCD上のピクセルを表し、<...>は時間的平均を指す。I(λ、θ)はNational Instruments社ソフトウェアにより製造されたLab VIEW(登録商標)を使用してPCにアップロードされ、320msで処理されて散乱強度の深さおよび角度分解プロット線図を生成する。上述の深さおよびサイズ情報を取得するための角度分解散乱場の処理を利用して、および特に図1Aおよび図1Bのデータ収集装置を参照して、次に、図8の装置により生成される散乱混合場136を用いてサンプル18’’に関する角度分解、深さ分解情報を得ることが利用できる。
【0061】
上述の実施形態は、当業者が本発明を実現できるのに必要な情報を示し、本発明を実現する最良モードを示している。添付図面に照らして後続の説明を読むことにより、当業者は本発明の概念を理解し、本明細書で特に対応していないこれらの概念の用途を認識する。これらの概念および用途は本開示の範囲内であることが理解されなければならない。
【0062】
当業者であれば本発明の好ましい実施形態に対する改良形態および変更形態を認識する。このような改良形態および変更形態のすべては、本明細書に開示された概念および特許請求の範囲内であると見なされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルの深さ分解スペクトルを取得することによりサンプル内の散乱体の深さ特性を決定する方法であって、
サンプルに対して固定されたスプリッタ上に光源ビームを放射し、スプリッタは光源ビームからの光を分割して参照ビームおよびサンプルビームとを生成することと、
サンプルビームをサンプルの方向にある角度で誘導することと、
サンプルビームがサンプルから並行して同時に多数の反射角で反射散乱する結果として、角度分解反射サンプルビームを受光し、角度分解反射サンプルビームは反射サンプルビームの角度散乱分布を含むことと、
角度分解反射サンプルビームと参照ビームとの相互相関を取ることにより、サンプルに関する角度分解相互相関信号を生成することと、
角度分解相互相関信号をスペクトル的に分散することにより、多数の反射角のそれぞれにおいてサンプルに関する深さ分解情報を有する単一の角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルを生成することと、
角度相互相関信号をフーリエ変換することにより、角度および深さの関数としてサンプルに関する深さ分解信号を生成することと、
を含む方法。
【請求項2】
角度分解相互相関信号を処理して、角度分解、スペクトル分解、相互相関反射プロファイルからサンプルの多数の異なる点でサンプルの散乱体に関する深さ分解情報を取得することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
角度分解、スペクトル分解、相互相関反射プロファイルから散乱体に関するサイズ情報を復元することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
サイズ情報を復元することが、サンプルの角度散乱分布を、サンプルの分析的に予測されるまたは数値的に計算される角度散乱分布と比較することにより得られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
サンプルの分析的に予測されるおよび数値的に計算される角度散乱分布は、サンプルのMie理論角度散乱分布である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
比較ステップの前に、サンプルの角度散乱分布をフィルタ処理することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
平均直径および標準偏差を計算することにより散乱体のサイズのガウス分布を計算し、サンプルの角度散乱分布をモデル化することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
サンプルビームを平行光にすることにより平行サンプルビームを生成するステップをさらに含み、サンプルビームをサンプルの方向にある角度で誘導するステップは、平行サンプルビームをサンプルの方向にある角度で誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
参照ビームを平行光にすることにより平行参照ビームを生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
相互相関を取ることにより反射参照ビームを生成するステップの前に、参照ビームは反射される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
反射参照ビームが参照ミラーから参照ビームを反射することにより生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
スプリッタが光ファイバスプリッタである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
光源ビームが、アーク灯からの白色光、熱光源、LED、広帯域レーザからの干渉光、スーパールミネッセントダイオード、ダイオードレーザおよびスーパーコンティニューム光源からなるグループから選択される光から構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
角度分解反射サンプルビームと参照ビームとの相互相関を取るステップは、
角度分解反射サンプルビームおよび参照ビームの強度を別個に測定することにより干渉項を決定することと、
角度分解反射サンプルビームの全体強度から干渉項を減算することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
参照ビームの経路長が固定されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
スプリッタが固定された参照アームに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
サンプルが固定されたサンプルアームに取り付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
角度分解相互相関信号をスペクトル的に分散するステップが、参照ビームと結合された角度分解反射サンプルビームを分光器内に誘導することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
分光器が複数の画像点から構成される画像分光器を備え、複数の画像点のそれぞれはサンプルに関する角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルを生成するために特定の散乱角に対応する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
分光器が、複数のチャネルから構成されるマルチチャネル分光器を備え、複数のチャネルのそれぞれはサンプルに関する角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルを生成するために特定の散乱角に対応する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
同時に並行してサンプルから多数の反射角で反射散乱するサンプルビームの結果として、角度分解反射サンプルビームを受光するステップは、複数のファイバから構成されるファイバ束の端部で反射サンプルビームの角度分布を収集することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ファイバ束の複数のファイバが、反射サンプルビームの角度散乱分布を収集するように反射サンプルビームの様々な角度反射を収集するように配置されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ファイバ束が単一モードファイバの線形アレイを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
送出ファイバ上でサンプルビームを伝達するステップをさらに含み、サンプルによる鏡面反射がファイバ束により受光されないように、送出ファイバはサンプルおよびファイバ束に対してある傾斜角でサンプルビームを送出する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
光ファイバ束とサンプルの間に位置する光学要素のフーリエ変換特性を介して角度分解反射サンプルビームを受光し、光学要素の他方の焦点に位置する角度分解反射サンプルビームを受光するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
複数のファイバが複数のファイバの遠位端および近位端に同一または実質的に同一の空間配置を有し、これにより、ファイバ束は角度分解反射サンプルビームの角度分布の伝達に対して空間干渉性を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
スプリッタにおいて光源からの光をさらに多く分割して、サンプルビーム内の光の数を参照ビーム内の光の数より多く生成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
光学要素がレンズまたは画像化光学要素のいずれかである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
サンプルの深さ分解スペクトルを取得することによりサンプル内の散乱体のサイズおよび深さ特性を決定する装置であって、
サンプルに対して固定された受光体を備え、この受光体は、
同時に並行してサンプルから多数の反射角で反射散乱する角度分解反射サンプルビームを受光することにより、スプリッタにより光源ビームから分割されたサンプルビームの結果として生成される、角度および深さの関数としてサンプルに関する深さ分解情報をフーリエ変換を介して生成し、角度分解反射サンプルビームは角度分解反射サンプルビームの角度散乱分布を含み、
スプリッタにより光源ビームから分割された参照ビームを受光し、
角度分解反射サンプルビームと参照ビームとの相互相関を取ることにより、サンプルに関する角度分解および深さ分解相互相関信号を生成し、
装置はさらに、
角度分解および深さ分解相互相関信号をスペクトル的に分散することにより、多数の反射角のそれぞれにおいてサンプルに関する深さ分解情報を有する単一の角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルを生成する検出器と、
単一の角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルを受け取るプロセッサと、
を備える装置。
【請求項30】
プロセッサが、単一の角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルからサンプル上の多数の異なる点でサンプルの散乱体の深さを決定するように適合される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
プロセッサが、角度分解、スペクトル分解相互相関反射プロファイルから散乱体に関するサイズ情報を復元するように適合される、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
プロセッサが、サンプルの角度散乱分布とサンプルの分析的に予測されるまたは数値的に計算される角度散乱分布とを比較することによりサイズ情報を復元する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
サンプルの分析的に予測されるまたは数値的に計算される角度散乱分布がサンプルのMie理論角度散乱分布である、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
プロセッサがさらに、サンプルの角度散乱分布とサンプルの分析的に予測されるまたは数値的に計算される角度散乱分布とを比較する前に、サンプルの角度散乱分布をフィルタ処理するように適合される、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
プロセッサがさらに、平均直径および標準誤差を識別することにより散乱体のサイズのガウス分布を識別して、角度散乱分布をモデル化するように適合される、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
サンプルビームが平行ビームに変換される、請求項29に記載の装置。
【請求項37】
参照ビームが平行ビームに変換される、請求項29に記載の装置。
【請求項38】
参照ビームを受光して反射する反射デバイスをさらに備え、受光体は反射参照ビームを受光する、請求項29に記載の装置。
【請求項39】
反射デバイスが参照ミラーである、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
スプリッタが光ファイバスプリッタである、請求項29に記載の装置。
【請求項41】
光源ビームが、アーク灯からの白色光、熱光源、LED、広帯域レーザからの干渉光、スーパールミネッセントダイオード、ダイオードレーザおよびスーパーコンティニューム源からなるグループから選択される光から構成されている、請求項29に記載の装置。
【請求項42】
参照ビームの経路長が固定されている、請求項29に記載の装置。
【請求項43】
スプリッタが固定された参照アームに取り付けられている、請求項29に記載の装置。
【請求項44】
サンプルが固定されたサンプルアームに取り付けられている、請求項29に記載の装置。
【請求項45】
角度分解反射サンプルビームおよび参照ビームを受光して、サンプルに関する角度分解および深さ分解相互相関信号を生成する分光器をさらに備える、請求項29に記載の装置。
【請求項46】
受光体が複数のファイバから構成されるファイバ束である、請求項29に記載の装置。
【請求項47】
ファイバ束の複数のファイバが、反射サンプルビームの様々な角度の反射を収集するように配置されて、角度分解反射サンプルビームの角度散乱分布を収集する、請求項46に記載の装置。
【請求項48】
ファイバ束が単一モードファイバの線形アレイを備える、請求項46に記載の装置。
【請求項49】
サンプルビームを伝達する送出ファイバをさらに備え、送出ファイバは、サンプルによる鏡面反射がファイバ束により受光されないようにサンプルおよびファイバ束に対してある傾斜角でサンプルビームを送出する、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
複数のファイバが光学要素の一方の焦点に位置して、光学要素の他方の焦点に配置される角度分解反射サンプルビームを受光し、これにより、ファイバ束は光学要素のフーリエ変換特性を介して散乱光の角度分布を受け取る、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
複数のファイバが複数のファイバの遠位端および近位端に同一または実質的に同一の空間配置を有し、これにより、ファイバ束は角度分解反射サンプルビームの角度分布の伝達に対して空間干渉性を有する、請求項47に記載の装置。
【請求項52】
スプリッタが光源からの光をさらに多く分割して、参照ビームよりも光源ビームを生成する、請求項29に記載の装置。
【請求項53】
光学要素がレンズまたは画像化光学要素のいずれかである、請求項50に記載の装置。
【請求項54】
サンプルの深さ分解スペクトルを取得することによりサンプル内の散乱体のサイズおよび深さ特性を決定する装置であって、
サンプルビームを伝達する送出ファイバであり、サンプルビームは送出ファイバを通してサンプルまで誘導され、サンプルから多数の反射角で散乱されて、散乱サンプルビームを生成する送出ファイバと、
光学要素の他方の焦点に配置されるサンプルにより反射される散乱サンプルビームを受光するために、光学要素の一方の焦点に位置する複数のファイバから構成される光ファイバ束受光体であり、光ファイバ束受光体は光学要素のフーリエ変換特性を介して散乱サンプルビームの角度分布を受け取る光ファイバ束受光体と、
散乱サンプルビームをスペクトル分散することにより、同時に並行して多数の反射角のそれぞれにおいて角度分解、スペクトル分解反射プロファイルを生成する検出器と、
角度分解、スペクトル分解反射プロファイルを受け取り、分析するプロセッサと、
を備える装置。
【請求項55】
光ファイバ束受光体内の複数のファイバがサンプルビームの様々な角度反射を収集するように配置され、散乱サンプルビームの角度散乱分布を収集する、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
光ファイバ束受光体が単一モードファイバの線形アレイを備える、請求項54に記載の装置。
【請求項57】
複数のファイバが、複数のファイバの遠位端および近位端において同一の空間的配置を有し、これにより、光ファイバ束受光体は散乱サンプルビームの角度散乱分布の伝達に対して空間干渉性を有する、請求項54に記載の装置。
【請求項58】
光学要素がレンズまたは画像化光学要素のいずれかである、請求項54に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2012−198221(P2012−198221A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−106902(P2012−106902)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2008−535655(P2008−535655)の分割
【原出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(504409945)デユーク・ユニバーシテイ (4)
【Fターム(参考)】