説明

内視鏡カメラおよび内視鏡装置

【課題】 さらなる小型化をすることのできる内視鏡カメラおよび内視鏡装置を提供する。
【解決手段】 内視鏡装置1の内視鏡カメラ5は、円筒状の硬性ケース6と、球状のカメラヘッド7と、ドーム状のカバー8を備えている。カメラヘッド7は、硬性ケース6の先端部から少なくとも一部が外出した状態で、硬性ケース6の先端部に設けられる。カメラヘッド7には、板状のベルト11、12の両方の端部が固定される。板状のベルト11、12の厚さは、カメラヘッド7とカバー8との間の隙間より小さい。この板状のベルト11、12により、カメラヘッド7は硬性ケース6内に保持され、また、この板状のベルト11、12の端部を引っ張ることにより、カメラヘッド7を所定の回転軸(パン軸やチルト軸)を中心に回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬性ケースの先端部に球状のカメラヘッドを備えた内視鏡カメラ、および、その内視鏡カメラを備えた内視鏡装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野や工業分野などの種々の分野で、硬性内視鏡カメラが用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。このような内視鏡カメラには、使用用途や観察対象に応じて、内視鏡カメラの視野方向を変える機能が必要とされる。そのため、従来の内視鏡カメラには、使用用途や観察対象に応じて、撮像部の撮影方向(内視鏡カメラの視野方向)を変えるための機構が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−327916号公報
【特許文献2】特開2009−125188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の内視鏡カメラでは、撮像部の撮影方向を変えることができるようにするために、内視鏡カメラの先端部に、撮像部を保持するための保持機構(フレームなど)と撮像部を回転させるための回転機構(ワイヤなど)を別々に設ける必要があった。そのため、内視鏡カメラの先端部に、それらの保持機構や回転機構を設けるためのスペースをそれぞれ別々に確保する必要があり、その分、内視鏡カメラの小型化が困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたもので、さらなる小型化を可能にすることのできる内視鏡カメラおよび内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡カメラは、円筒状の硬性ケースと、前記硬性ケースの先端部から少なくとも一部が外出した状態で、前記硬性ケースの先端部に設けられる球状のカメラヘッドと、前記硬性ケースの先端部に取り付けられ、前記カメラヘッドとの間に所定の隙間を介在させた状態で、前記カメラヘッドの外出した部分を覆う半球ドーム状のカバーと、前記隙間より小さい厚さを有し、両方の端部が前記カメラヘッドに固定され、前記カメラヘッドを両側から挟んで保持する板状のベルトと、前記硬性ケースの内部において前記カメラヘッドとは異なる位置に設けられ、前記ベルトの一方の端部を引っ張ることにより、前記カメラヘッドを所定の回転軸を中心に回転させる回転駆動部と、を備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、円筒状の硬性ケースの先端部で、球状のカメラヘッドが板状のベルトによって両側から挟まれるように保持される。このように、板状のベルトを用いてカメラヘッドの位置を定めることができるので、硬性ケースの先端部においてカメラヘッドの周囲にカメラヘッドの位置を定めるための他の機構を設ける必要がない。また、カメラヘッドを所定の回転軸(チルト軸やパン軸)を中心に回転させるときには、その板状のベルトを介してカメラヘッドに回転駆動部からの回転駆動力(ベルトを引っ張る力)が伝達される。この回転駆動部は、硬性ケースの内部においてカメラヘッドとは異なる位置に配置されている。したがって、硬性ケースの先端部においてカメラヘッドの周囲にカメラヘッドを回転させるための他の機構を設ける必要がない。すなわち、本発明によれば、板状のベルトという一つの構成によって、カメラヘッドを保持する機能とカメラヘッドを回転させる機能の両方を実現することができるので、内視鏡カメラの小型化(従来のように保持機構と回転機構を別々に設けた場合には困難であった小型化)が可能になる。
【0008】
また、本発明の内視鏡カメラは、前記ベルトの一方の端部を引っ張ること及び前記ベルトの他方の端部を押し出すことにより前記カメラヘッドの回転角が最大となるときに、前記回転駆動部により前記ベルトの一方の端部が引っ張られる方向が、前記カメラヘッドの球中心を通りかつ前記カメラヘッドの回転軸に垂直な平面と前記カメラヘッドの球面とが交差することにより形成される円の、前記ベルトの一方の端部の位置における接線方向に設定された構成を有している。
【0009】
この構成により、カメラヘッドの回転角(チルト角やパン角)が最大となるときに、ベルトの一方の端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られ、かつ、ベルトの他方の端部が接線方向(円に正接する方向)に押し出されるので、回転駆動部によってベルトを引っ張る力および押し出す力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッドに効率よく伝達することができる。
【0010】
また、本発明の内視鏡カメラは、前記硬性ケースの内部には、前記接線方向に延びる傾斜面を備えたガイド部が設けられた構成を有している。
【0011】
この構成により、ガイド部の傾斜面にベルトがガイドされて、カメラヘッドの回転角(チルト角やパン角)が最大となるときに、ベルトの端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるようになる。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力および押し出す力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッドに効率よく伝達することができる。
【0012】
また、本発明の内視鏡カメラでは、前記ベルトは、前記カメラヘッドと前記回転駆動部との間で交差している構成を有している。
【0013】
この構成により、カメラヘッドと回転駆動部との間でベルトを交差させて、カメラヘッドの回転角(チルト角やパン角)が最大となるときに、ベルトの一方の端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られ、また、ベルトの他方の端部が接線方向(円に正接する方向)に押し出されるようにされている。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッドに効率よく伝達することができる。
【0014】
また、本発明の内視鏡カメラでは、前記ベルトの両方の端部は、前記端部が引っ張られる方向および押し出される方向に対して前記カメラヘッドの最大の回転角に相当する分だけ反対方向にずらされた位置において、前記カメラヘッドに固定されている構成を有している。
【0015】
この構成により、ベルトの端部がカメラヘッドに固定される位置が適度にずらされて、カメラヘッドの回転角(チルト角やパン角)が最大となるときに、ベルトの一方の端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるようになり、ベルトの他方の端部が接線方向(円に正接する方向)に押し出されるようになる。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力および押し出す力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッドに効率よく伝達することができる。
【0016】
本発明の内視鏡装置は、上記の内視鏡カメラと、前記内視鏡カメラからの映像信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と、を備えた構成を有している。
【0017】
この内視鏡装置によっても、上記と同様に、板状のベルトという一つの構成によって、カメラヘッドを保持する機能とカメラヘッドを回転させる機能の両方を実現することができるので、さらなる小型化(従来のように保持機構と回転機構を別々に設けた場合には困難であった小型化)が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、板状のベルトによってカメラヘッドの保持と回転の両方を実現することにより、内視鏡カメラのさらなる小型化が可能になるという効果を有する内視鏡カメラおよび内視鏡装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における内視鏡カメラの主要部の拡大図
【図2】本実施の形態における内視鏡装置のブロック図
【図3】本実施の形態における内視鏡カメラの主要な構成の説明図
【図4】本実施の形態におけるのパン方向の回転機構の説明図
【図5】本実施の形態におけるチルト方向の回転機構の説明図
【図6】他の実施の形態における回転機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の内視鏡装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、腹腔内を観察するための腹腔鏡等として用いられる内視鏡装置の場合を例示する。
【0021】
本発明の実施の形態の内視鏡装置の構成を、図1〜5を参照して説明する。ここでは、まず、図2を参照して、内視鏡装置の全体の構成について説明する。図2に示すように、内視鏡装置1は、信号処理部2や光源部3などが内蔵されている本体部4と、本体部4に着脱自在に取り付けられる内視鏡カメラ5で構成されている。信号処理部2は、内視鏡カメラ5から得られた映像入力信号に所定の信号処理を施して、モニタ(図示せず)などに出力される映像出力信号を生成する機能を備えている。光源部3は、光ファイバ(図示せず)などを用いて内視鏡カメラ5に照明光を送る機能を備えている。
【0022】
つぎに、図1および図3を参照して、内視鏡カメラ5の構成について説明する。図1に示すように、内視鏡カメラ5は、円筒状の硬性ケース6を備えており、硬性ケース6の先端部には、球状のカメラヘッド7が備えられている。この例では、カメラヘッド7の一部(ほぼ半分)は、硬性ケース6の先端部から外出しており、カメラヘッド7の残部(残りの半分)が、硬性ケース6の内部に収納されている。そして、硬性ケース6の先端部には、カメラヘッド7の外出した部分を覆う半球ドーム状のカバー8が備えられている。このカバー8は、透明な光学ガラスや光学プラスチックで構成されている。なお、カメラヘッド7とカバー8との間には、所定の隙間9が設けられている。また、図1では、説明の便宜のため、カバー8の1/4球のみが図示されているが、実際には、カバー8の形状は、1/2球(半球)形状である。
【0023】
図3に示すように、カメラヘッド7には、レンズ10が備えられている。また、カメラヘッド7の球面上において、レンズ10の光軸から90度ずれた左右一対の極の位置には、パンベルト11の両方の端部がそれぞれ固定されている。また、このカメラヘッド7の球面上において、レンズ10の光軸から90度ずれた上下一対の極の位置には、チルトベルト12の両端がそれぞれ固定されている。この場合、パンベルト11やチルトベルト12の厚さは、カメラヘッド7とカバー8との間の隙間9より小さい。また、パンベルト11やチルトベルト12は、固定用のボルト13を用いてカメラヘッド7に固定されている。
【0024】
パンベルト11には、パン用モータ14の回転駆動力がパン用プーリ15を介して伝達される。パン用モータ14の回転駆動力によって、パンベルト11の一方の端部が引っ張られるとともに、パンベルト11の他方の端部が押し出されると、カメラヘッド7が所定の回転軸(パン軸)を中心にしてパン方向に回転する(図4参照)。この場合、カメラヘッド7は、チルトベルト12の両方の端部によって上下両側から挟むように保持されている。そして、チルトベルト12の両方の端部は、カメラヘッド7がパン方向に回転するときの回転軸(パン軸)上に位置している。したがって、カメラヘッド7がパン方向に回転するときには、チルトベルト12の両方の端部を軸として回転するともいえる。なお、ここでは、内視鏡カメラ5で撮影された画像をモニタに表示したときのモニタ上の左右方向が「パン方向」に相当する。
【0025】
また、チルトベルト12には、チルト用モータ16の回転駆動力がチルト用プーリ17を介して伝達される。チルト用モータ16の回転駆動力によって、チルトベルト12の一方の端部が引っ張られるとともに、チルトベルト12の他方の端部が押し出されると、カメラヘッド7がパン軸を中心にしてチルト方向に回転する(図5参照)。この場合、カメラヘッド7は、パンベルト11の両方の端部によって左右両側から挟むように保持されている。そして、パンベルト11の両方の端部は、カメラヘッド7がチルト方向に回転するときの回転軸(チルト軸)上に位置している。したがって、カメラヘッド7がチルト方向に回転するときには、パンベルト11の両方の端部を軸として回転するともいえる。なお、ここでは、内視鏡カメラ5で撮影された画像をモニタに表示したときのモニタ上の上下方向が「チルト方向」に相当する。
【0026】
本実施の形態では、パン用モータ14やパン用プーリ15が、硬性ケース6の内部においてカメラヘッド7と異なる位置(硬性ケース6内の後方の位置)に設けられている。これは、カメラヘッド7のパン方向の回転駆動力を発生させる回転軸(パン用モータ14の回転軸、または、パン用プーリ15の回転軸)が、カメラヘッド7の回転軸(パン軸)と異なる位置に配置されているともいえる。同様に、チルト用モータ16やチルト用プーリ17は、硬性ケース6の内部においてカメラヘッド7と異なる位置(硬性ケース6内の後方の位置)に設けられている。これは、カメラヘッド7のチルト方向の回転駆動力を発生させる回転軸(チルト用モータ16の回転軸、または、チルト用プーリ17の回転軸)が、カメラヘッド7の回転軸(チルト軸)と異なる位置に配置されているともいえる。
【0027】
そして、図1および図4に示すように、硬性ケース6の内部には、傾斜面18を備えたガイド部19が設けられており、このガイド部19の傾斜面18にパンベルト11がガイドされて、パンベルト11の端部が傾斜面18の方向に引っ張られるように構成されている。図4(a)および(b)に示すように、傾斜面18の方向(パンベルト11の端部が引っ張られる方向)は、そのパンベルト11の一方の端部を引っ張ると同時にそのパンベルト11の他方の端部を押し出すことによりカメラヘッド7のパン方向の回転角θpが最大となるときに、パン平面上のカメラヘッド7の円の接線方向(この場合、そのパンベルト11の端部における接線方向)に設定されている。ここで、「パン平面」とは、カメラヘッド7の球中心を通りかつカメラヘッド7のパン軸に垂直な平面をいい、「パン平面上のカメラヘッド7の円」とは、パン平面とカメラヘッド7の球面とが交差することにより形成される円をいう。
【0028】
また、図1および図5に示すように、チルトベルト12は、カメラヘッド7とチルト用プーリ17との間で交差しており、チルトベルト12が交差する位置には、ベルト挿通孔20が設けられている。この場合、チルトベルト12を交差させることによって、チルトベルト12の端部が所定方向に引っ張られるように構成されている。このチルトベルト12の端部が引っ張られる方向は、チルトベルト12の一方の端部を引っ張ることによりカメラヘッド7のチルト方向の回転角θtが最大となるときに、チルト平面上のカメラヘッド7の円の接線方向(この場合、チルトベルト12の一方の端部における接線方向)に設定されている。ここで、「チルト平面」とは、カメラヘッド7の球中心を通りかつカメラヘッド7のチルト軸に垂直な平面をいい、「チルト平面上のカメラヘッド7の円」とは、チルト平面とカメラヘッド7の球面とが交差することにより形成される円をいう。なお、図5(a)および(b)に示すように、チルトベルト12を交差させる場合にも、硬性ケース6の内部に、チルトベルト12を所定方向(接線方向)にガイドするガイド部21が設けられてもよい。
【0029】
このような本発明の実施の形態の内視鏡装置1によれば、板状のベルトによってカメラヘッド7の保持と回転の両方を実現することができ、内視鏡カメラ5のさらなる小型化が可能になる。
【0030】
本実施の形態では、円筒状の硬性ケース6の先端部で、球状のカメラヘッド7が板状のベルトによって両側から挟まれるように保持される。このように、板状のベルトを用いてカメラヘッド7の位置を定めることができるので、硬性ケース6の先端部においてカメラヘッド7の周囲にカメラヘッド7の位置を定めるための他の機構を設ける必要がない。また、カメラヘッド7を所定の回転軸(チルト軸やパン軸)を中心に回転させるときには、その板状のベルトを介してカメラヘッド7に回転駆動部からの回転駆動力(ベルトを引っ張る力)が伝達される。この回転駆動部は、硬性ケース6の内部においてカメラヘッド7とは異なる位置に配置されている。したがって、硬性ケース6の先端部においてカメラヘッド7の周囲にカメラヘッド7を回転させるための他の機構を設ける必要がない。
【0031】
すなわち、本実施の形態によれば、板状のベルトを用いることによって、カメラヘッド7を保持する機能とカメラヘッド7を回転させる機能の両方を実現することができるので、内視鏡カメラ5の小型化(従来のように保持機構と回転機構を別々に設けた場合には困難であった小型化)が可能になる。なお、この場合、板状のベルトの厚さはカメラヘッド7とカバー8との間の隙間9より小さいので、カメラヘッド7を回転させるときにベルトがカバー8に擦れることがない。また、このようにベルトを利用すると、引っ張る長さと同じ長さを押し出すため、カメラヘッド7の中心位置がずれることがなく、したがって、カメラヘッド7とカバー8が接触することがない。
【0032】
また、本実施の形態では、カメラヘッド7の回転角(パン角θpやチルト角θt)が最大となるときに、ベルトの端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるので、回転駆動部によってベルトを引っ張る力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッド7に効率よく伝達することができる。
【0033】
例えば、パン方向の回転機構については、図4(b)に示すように、ガイド部19の傾斜面18にベルトがガイドされて、カメラヘッド7の回転角(パン角θp)が最大となるときに、ベルトの端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるようになっている。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッド7に効率よく伝達することができる。
【0034】
また、チルト方向の回転機能については、図5(b)に示すように、カメラヘッド7と回転駆動部との間でベルトを交差させて、カメラヘッド7の回転角(チルト角θt)が最大となるときに、ベルトの端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるようにされている。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッド7に効率よく伝達することができる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0036】
例えば、以上の説明では、パン方向の回転機構とチルト方向の回転機構の両方を備える例について説明したが、いずれか一方の回転機構のみを備えるものでもよい。また、以上の説明では、パン方向の回転機構にガイド部19を採用し、チルト方向の回転機構にベルトの交差を採用したが、パン方向の回転機構にベルトの交差を採用してもよく、チルト方向の回転機構のベルトの交差を採用してもよい。
【0037】
また、パン方向の回転機構またはチルト方向の回転機構として、例えば、図6に示すような回転機構を採用してもよい。図6(a)および(b)に示すように、この回転機構では、ベルトの両方の端部が、その端部が引っ張られる方向に対してカメラヘッド7の最大の回転角に相当する分だけ反対方向にずらされた位置でも、カメラヘッド7に固定されるように構成されている。例えば、図6の例では、ベルトが上記のずらされた位置で折り返されるように構成されている。また、この場合、ベルトが上記の位置で折り返されていても、ベルトによってケラレが発生しないように、折り返しの位置(ずらされた位置)が設定されている。
【0038】
この場合、図6(b)に示すように、ベルトの端部がカメラヘッド7に固定される位置が適度にずらされて、カメラヘッド7の回転角θ(チルト角やパン角)が最大となるときに、ベルトの端部が接線方向(円に正接する方向)に引っ張られるようになる。したがって、回転駆動部によってベルトを引っ張る力(回転駆動力)を、ベルトを介してカメラヘッド7に効率よく伝達することができる。なお、図6に示すように、ベルトを折り返すように構成した場合にも、硬性ケース6の内部に、ベルトを所定方向(接線方向)にガイドするガイド部22が設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる内視鏡装置は、内視鏡カメラのさらなる小型化が可能になるという効果を有し、医療用や工業用の内視鏡カメラ等として有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 内視鏡装置
2 信号処理部
3 光源部
4 本体部
5 内視鏡カメラ
6 硬性ケース
7 カメラヘッド
8 カバー
9 隙間
10 レンズ
11 パンベルト
12 チルトベルト
13 ボルト
14 パン用モータ
15 パン用プーリ
16 チルト用モータ
17 チルト用プーリ
18 傾斜面
19 ガイド部
20 ベルト挿通孔
21 ガイド部
22 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の硬性ケースと、
前記硬性ケースの先端部から少なくとも一部が外出した状態で、前記硬性ケースの先端部に設けられる球状のカメラヘッドと、
前記硬性ケースの先端部に取り付けられ、前記カメラヘッドとの間に所定の隙間を介在させた状態で、前記カメラヘッドの外出した部分を覆うドーム状のカバーと、
前記隙間より小さい厚さを有し、両方の端部が前記カメラヘッドに固定され、前記カメラヘッドを両側から挟んで保持する板状のベルトと、
前記硬性ケースの内部において前記カメラヘッドとは異なる位置に設けられ、前記ベルトの一方の端部を引っ張ることにより、前記カメラヘッドを所定の回転軸を中心に回転させる回転駆動部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡カメラ。
【請求項2】
前記ベルトの一方の端部を引っ張ることにより前記カメラヘッドの回転角が最大となるときに、前記回転駆動部により前記ベルトの一方の端部が引っ張られる方向が、前記カメラヘッドの球中心を通りかつ前記カメラヘッドの回転軸に垂直な平面と前記カメラヘッドの球面とが交差することにより形成される円の、前記ベルトの一方の端部の位置における接線方向に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡カメラ。
【請求項3】
前記硬性ケースの内部には、前記接線方向に延びる傾斜面を備えたガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡カメラ。
【請求項4】
前記ベルトは、前記カメラヘッドと前記回転駆動部との間で交差していることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡カメラ。
【請求項5】
前記ベルトの両方の端部は、前記端部が引っ張られる方向に対して前記カメラヘッドの最大の回転角に相当する分だけ反対方向にずらされた位置において、前記カメラヘッドに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡カメラ。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の内視鏡カメラと、
前記内視鏡カメラからの映像信号に対して所定の信号処理を施す信号処理部と、
を備えたことを特徴とする内視鏡カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−143426(P2012−143426A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4668(P2011−4668)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】