説明

内視鏡システム及び画像生成方法

【課題】表層微細構造や肥厚などの生体組織上の凹凸の視認性を向上させる。
【解決手段】励起光ELを蛍光体に当てて白色光Wを励起発光させる。白色光のうち血中ヘモグロビンの吸光係数が高い高吸光波長域A1,A2の成分を、高吸光波長除去フィルタで除去して高吸光波長カット光を生成する。この高吸光波長カット光を被検体に照明し、その反射光の像光をカラーのCCDで撮像する。CCDのB画素から出力される信号Bpに基づき微細構造画像を生成する。この微細構造画像は、表層微細血管の表示が抑制されていることで、相対的にピットパターンなどの表層微細構造の視認性が向上している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織上に形成されるピットパターンなどの微細構造や肥厚などの凹凸パターンを明瞭に観察することができる内視鏡システム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の医療においては、内視鏡装置を用いた診断等が広く行われている。この内視鏡診断では、被検体内の照明光として広帯域光の白色光を用いる通常光観察の他、特定波長の特殊光を照明光として用いることによって、ガンなどの病変部を他の部位よりも明瞭化したり、また、病変部の位置や大きさを直感的に把握し易くする特殊光観察も行われるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1では、生体組織の深さ方向への深達度及び血中ヘモグロビンの吸光特性が波長依存性を有すること利用し、短波長の青色狭帯域光で、生体組織表層に形成される微細血管やピットパターンなどの微細構造の明瞭化するとともに、青色狭帯域光よりも長波長の緑色狭帯域光で、生体組織の中深層に位置する太い血管を明瞭化している。これら表層〜中深層の血管や表層微細構造は、ガンの鑑別や深達度診断をする際の重要な手がかりとなることから、青色狭帯域光や緑色狭帯域光で明瞭化することによって、鑑別等の精度を飛躍的に向上させることができる。
【0004】
また、特許文献2では、自家蛍光を励起するための励起光を生体組織に照射したときには、ガンなどの病変によって肥厚している病変部位から発せられる自家蛍光は、肥厚していない正常部位からの自家蛍光よりも光量が減少するという特性を利用することで、病変部位と正常部位との境界の明確化を図っている。このように病変部位との境界を明確化することで、スクリーニング時のように遠景状態から観察を行う場合に、病変部の位置や大きさの把握が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−170009号公報
【特許文献2】特開平8−252218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、ガンの鑑別方法や深達度診断の方法は多岐にわたっている。したがって、表層微細血管や中深層血管などの血管パターンと、表層微細構造や肥厚などの凹凸パターンの両方から、ガン診断を行う場合の他、凹凸パターンのみに着目して診断を行う場合もある。このように凹凸パターンのみに着目して診断を行う場合には、凹凸パターンの視認性を向上させる一方で、血管パターンの視認性を低下させる必要がある。
【0007】
この凹凸パターンのみの明瞭化については、特許文献1には記載及び示唆がない。また、特許文献2によれば、凹凸パターンのうち肥厚の明瞭化を行うことができる。しかしながら、肥厚の検出に用いる自家蛍光は微弱であるため、これを感度良く捉えるためには、EMCCDのような高感度の撮像素子が別途必要となってしまう。
【0008】
本発明は、表層微細構造や肥厚などの生体組織上の凹凸の視認性を向上することができる内視鏡システム及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の内視鏡システムは、被検体に照明光を照射する照明手段と、被検体からの反射光の像光を撮像することにより画像信号を取得する画像信号取得手段と、画像信号に基づき、被検体における血管の表示抑制で相対的に生体組織上の凹凸の視認性を向上させた凹凸画像を生成する凹凸画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
凹凸画像生成手段は、画像信号のうち青色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた信号に基づき、血管の表示抑制で相対的に表層微細構造の視認性を向上させた微細構造画像を生成する微細構造画像生成部を有することが好ましい。第1の高吸光波長域は400〜450nmであることが好ましい。
【0011】
凹凸画像生成手段は、画像信号のうち緑色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第2の高吸光波長域の成分が除かれた信号に基づき、血管の表示抑制で相対的に肥厚の視認性を向上させた肥厚画像を生成する肥厚画像生成部を有することが好ましい。第2の高吸光波長域は520〜580nmであることが好ましい。
【0012】
本発明は、更に、照明光のうち血中ヘモグロビンの吸光係数が高い高吸光波長域の成分を除去する高吸光波長除去フィルタを備え、画像信号取得手段は、高吸光波長除去フィルタで高吸光波長域の成分が除かれた被検体の反射光の像光を撮像することが好ましい。被検体の撮像は、色分離フィルタが設けられた複数色の画素を有するカラーの撮像素子によって行うことが好ましい。照明手段は、複数色の光を被検体に順次照射し、被検体の撮像は、照明手段で順次照射される毎に、モノクロの撮像素子で行うことが好ましい。
【0013】
照明手段は、青色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた表層用照明光と、緑色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた中深層用照明光とを順次照射し、被検体の撮像は、前記照明手段で順次照射される毎に行うことが好ましい。
【0014】
凹凸画像生成手段は、画像信号に基づく分光推定により、反射光のうち血中ヘモグロビンの吸光係数が高い波長成分以外の波長成分の分光画像を取得し、その分光画像に基づいて、凹凸画像を生成する画像生成部とを有することが好ましい。凹凸画像を表示する表示手段を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の画像生成方法は、被検体に照明光を照明手段により照射し、被検体からの反射光の像光を撮像することにより画像信号を画像信号取得手段で取得し、画像信号に基づき、被検体における血管の表示抑制で相対的に生体組織上の凹凸の視認性を向上させた凹凸画像を凹凸画像生成手段で生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、凹凸画像生成手段で得られる凹凸画像は、被検体における血管の表示抑制によって、相対的に生体組織上の凹凸の視認性を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の内視鏡システムを示す図である。
【図2】第1実施形態の内視鏡システムの内部構成を示す図である。
【図3】白色光Wの発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】高吸光波長除去フィルタの分光透過率とヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。
【図5A】ズームレンズがワイド位置にある場合の被検体内の画像を示す図である。
【図5B】ズームレンズがテレ位置にある場合の被検体内の画像を示す図である。
【図6A】CCDのB画素、G画素、R画素を表す図である。
【図6B】R色、G色、B色のカラーフィルターの分光透過率を示すグラフである。
【図7A】CCDのB画素が受光する光の波長成分を表すグラフである。
【図7B】CCDのG画素が受光する光の波長成分を表すグラフである。
【図7C】CCDのR画素が受光する光の波長成分を表すグラフである。
【図8A】第1実施形態における通常観察モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図8B】第1実施形態における微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図9】微細構造画像を表す図である。
【図10】肥厚画像を表す図である。
【図11】微細構造観察モードにおける一連の流れを表したフローチャートである。
【図12】キセノンランプで白色光Wを生成する内視鏡システムの内部構成を示す図である。
【図13】第2実施形態の内視鏡システムの内部構成を示す図である。
【図14】RGBロータリフィルタを示す図である。
【図15】RGBロータリフィルタのBフィルタ、Gフィルタ、Rフィルタの分光透過率を示すグラフである。
【図16A】第2実施形態における通常観察モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図16B】第2実施形態における微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図17】第3実施形態の内視鏡システムの内部構成を示す図である。
【図18】特殊観察用ロータリフィルタの図である。
【図19】第1BPFの分光透過率を示すグラフである。
【図20】第2BPFの分光透過率を示すグラフである。
【図21A】第3実施形態における通常観察モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図21B】第3実施形態における微細構造観察モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図21C】第3実施形態における肥厚観察モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図21D】第3実施形態における微細構造・肥厚モード時のCCDの撮像制御を説明するための図である。
【図22】第4実施形態の内視鏡システムの内部構成を示す図である。
【図23】微細構造画像の生成方法を説明するための図である。
【図24】肥厚画像の生成方法を説明するための図である。
【図25】微細構造・肥厚画像の生成方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1及び図2に示すように、第1実施形態の内視鏡システム10は、被検体内を撮像する電子内視鏡11と、電子内視鏡11で撮像した画像に各種画像処理を施すプロセッサ装置12と、被検体を照明する光を電子内視鏡11に供給する光源装置13と、プロセッサ装置12で各種画像処理が施された画像を表示するモニタ14とを備えている。
【0019】
電子内視鏡11は、被検体内に挿入される可撓性の挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた操作部17と、操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。挿入部16の先端には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部19が形成されている。湾曲部19は、操作部17のアングルノブ21を操作することにより、上下左右方向に湾曲動作する。湾曲部19の先端には、体腔内撮影用の光学系等を内蔵した先端部16aが設けられている。先端部16aは、湾曲部19の湾曲動作によって被検体内の所望の方向に向けられる。
【0020】
また、操作部17には、各種モードに切り替えるためのモード切替SW15が設けられている。モードは、白色光で照明された被検体を撮像することで得られる通常光画像をモニタ14に表示する通常観察モードと、生体組織の表層上に形成された微細構造を強調した微細構造強調画像をモニタ14に表示する微細構造観察モードと、生体組織において表層から中深層にかけて厚みを帯びた肥厚を強調した肥厚強調画像を表示する肥厚観察モードと、微細構造及び肥厚の両方を微細構造・肥厚強調画像をモニタ14に表示する微細構造・肥厚観察モードとの合計3つのモードで構成される。
【0021】
ユニバーサルコード18には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ24が取り付けられている。コネクタ24は、通信用コネクタと光源用コネクタからなる複合タイプのコネクタであり、電子内視鏡11は、このコネクタ24を介して、プロセッサ装置12および光源装置13に着脱自在に接続される。
【0022】
図2に示すように、光源装置13は、励起光光源30と、蛍光体31と、フィルタ挿脱部32と、高吸光波長除去フィルタ33とを備えている。励起光光源30はレーザーダイオードなどの半導体光源で構成され、図3に示すように、中心波長445nmの励起光ELを発する。この励起光ELは、励起光光源30の出射部に取り付けられた蛍光体31に照射される。蛍光体31では、励起光ELの一部を吸収して緑色〜赤色の蛍光FLを励起発光する複数種の蛍光物質(例えばYAG系蛍光物質、或いはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光物質)を含んで構成される。蛍光体31で励起発光した蛍光FLは、蛍光体31により吸収されず透過した励起光ELと合波することで、白色光Wが生成される。
【0023】
フィルタ挿脱部32は、設定されているモードに応じて、高吸光波長除去フィルタ33を白色光Wの光路Lwに挿入する挿入位置と、高吸光波長除去フィルタ33を光路Lwから退避させる退避位置との間で、高吸光波長除去フィルタ33を移動させる。通常観察モードに設定されている場合には、高吸光波長除去フィルタ33は退避位置にセットされる。これにより、白色光Wは、集光レンズ34を介して、ライトガイド43に入射する。一方、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードに設定されている場合には、高吸光波長除去フィルタ33は挿入位置にセットされる。これにより、白色光Wのうちヘモグロビンの吸光係数が高い波長域(図4参照)の光がカットされた高吸光波長カット光Wcutが、高吸光波長除去フィルタ33を透過する。透過した高吸光波長カット光Wcutは、集光レンズ34を介して、ライトガイド43に入射する。
【0024】
高吸光波長除去フィルタ32は、図4に示すように、400nm〜450nmの高吸光波長域A1及び520nm〜580nmの高吸光波長域A2の光をカット(透過率0%)する一方で、高吸光波長域A1,A2以外の波長域の光をそのまま透過させる(透過率100%)。この高吸光波長除去フィルタ32に白色光Wが入射したときには、白色光Wのうち高吸光波長A1,A2が除去された高吸光波長カット光Wcutが、高吸光波長除去フィルタ32から出射する。
【0025】
このように高吸光波長域A1,A2の光をカットするのは、以下の理由からである。高吸光波長域A1,A2の光は、図4に示すように、血中のヘモグロビンに高い吸光特性を示している。そのため、これら高吸光波長域A1,A2の像光に基づく画像をモニタ14に表示したときには、血管とその他の組織とのコントラストが高くなるため、血管が強調表示される。したがって、血管ではなく、ピットパターンなどの表層微細構造や生体組織表層から中深層にかけて厚みを帯びた肥厚などの凹凸にのみ着目して診断を行う場合には、血管の明瞭化は診断能を低下させる一因となる。そこで、白色光Wの反射光のうち吸光特性が高い高吸光波長域A1,A2の光を、高吸光波長除去フィルタ32でカットすることで、モニタ14に表示したときの血管の表示を抑制する。このように血管の明瞭化を抑えることによって、血管以外の表層微細構造や肥厚などの生体組織上の凹凸の視認性は向上する。
【0026】
図2に示すように、電子内視鏡11は、ライトガイド43、CCD44、アナログ処理回路45(AFE:Analog Front End)、撮像制御部46、倍率制御部47を備えている。ライトガイド43は大口径光ファイバ、バンドルファイバなどであり、入射端が光源装置内に接続されており、出射端がズームレンズ48aに向けられている。したがって、ライトガイド43内で導光された光は、照射レンズ48b、及び照明窓49を通して、被検体内に照射される。観察窓50は、被検体から反射光を受光する。受光した光は、集光レンズ51及びズームレンズ48aを介して、CCD44に入射する。
【0027】
ズームレンズ48aには、このズームレンズ48aを光軸方向に移動させるアクチュエータ48cが取り付けられている。アクチュエータ48cは、コントローラ59に接続された倍率制御部47によって駆動制御される。倍率制御部47は、ズーム操作部20で設定された倍率に応じた位置にズームレンズ48aが移動するように、アクチュエータ48cを制御する。スクリーニング時のように、被検体内の全体的な様子を観察する必要がある場合には、ズームレンズ48aをワイド位置にセットして、図5Aのような非拡大画像をモニタ14に表示させる。一方、癌の鑑別診断時のように、観察部位の詳細構造を観察する必要がある場合には、ズームレンズ48aをテレ位置にセットして、図5Bのような拡大画像をモニタ14に表示させる。
【0028】
なお、通常観察モード時、肥厚観察モード時には、被検体内の全体的な様子を観察することが多いことから、ズームレンズ48aをワイド位置にセットすることが多い。一方、微細構造観察モード時には、観察対象を拡大して観察することが多いことから、ズームレンズ48aをテレ位置にセットすることが多い。
【0029】
CCD44は入射した光を受光する撮像面44aを備え、この撮像面44aで光電変換して信号電荷を蓄積する。蓄積された信号電荷は撮像信号として読み出され、AFE45に送られる。CCD44はカラーCCDであり、撮像面44aには、図6Aに示すように、B色のBフィルタ44bが設けられたB画素、G色のGフィルタ44gが設けられたG画素、R色のRフィルタ44rが設けられたR画素の3色の画素が多数配列されている。これらBフィルタ44b、Gフィルタ44g、Rフィルタ44rは、図6Bに示すようなにB,G、R透過領域52、53、54を有している。B透過領域52は、380〜560nmの波長範囲を占めており、G透過領域53は450〜630nmの波長範囲を占めており、R透過領域54は580〜780nmの波長範囲を占めている。
【0030】
CCD44で受光する光は、設定されているモードによって異なるため、各フィルタ44b、44g、44rが受光する波長成分も異なる。通常観察モードに設定されている場合には、白色光WがCCD44の各色の画素に入射する。したがって、B画素にはB透過領域52に含まれる白色光Wの波長成分が入射し、G画素にはG透過領域53に含まれる白色光Wの波長成分が入射し、R画素にはR透過領域54に含まれる白色光Wの波長成分が入射する。
【0031】
一方、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードに設定されている場合には、高吸光波長カット光WcutがCCD44の各色の画素に入射する。したがって、CCD44のB画素には、図7Aに示すように、高吸光波長カット光Wcutのうち、B透過領域52に含まれる380〜400nm及び450〜500nmの第1透過光が入射する。第1透過光は、生体組織表層にまで深達度を有しており、またヘモグロビンの吸光特性が400〜450nmの高吸光波長域A1と比較して低い。したがって、この第1透過光の像光の撮像画像をモニタ14に表示したときには、表層微細血管の表示が抑制される一方で、この血管の表示抑制によって、ピットパターンなどの表層微細構造の視認性が向上する。
【0032】
また、図7Bに示すように、CCD44のG画素には、高吸光波長カット光WcutのうちG透過領域に含まれる450〜520nm及び580〜630nmの第2透過光が入射する。第2透過光は、生体組織の中深層にまで深達度を有しており、また、ヘモグロビンの吸光特性が520〜580nmの高吸光波長域A2と比較して低い。したがって、この第2透過光の像光の撮像画像をモニタ14に表示したときには、中深層血管の表示が抑制される一方で、この血管の表示抑制によって、表層から中深層にかけて厚みを帯びた肥厚の視認性が向上する。そして、図7Cに示すように、CCD44のR画素には、高吸光波長カット光WcutのうちR透過領域に含まれる580〜780nmの第3透過光が入射する。
【0033】
図2に示すように、AFE45は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、CCD44からの撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、CCD44の駆動により生じたノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された撮像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された撮像信号を、所定のビット数のデジタルな撮像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
【0034】
撮像制御部46は、プロセッサ装置12内のコントローラー59に接続されており、コントローラー59から指示がなされたときにCCD44に対して駆動信号を送る。CCD44は、撮像制御部46からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで撮像信号をAFE45に出力する。
【0035】
通常観察モードに設定されている場合には、図8Aに示すように、1フレーム期間内で、白色光の像光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップと、蓄積した信号電荷として読み出すステップとが行なわれる。この撮像制御は、繰り返し行なわれる。なお、通常観察モード時にCCD44のB画素、G画素、R画素から出力される信号を、それぞれ青色信号Bc、緑色信号Gc、赤色信号Rcとする。
【0036】
一方、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードに設定されている場合には、図8Bに示すように、1フレーム期間内で、高吸光波長カット光Wcutの像光を光電変換して信号電荷を蓄積するステップと、蓄積した信号電荷として読み出すステップとが行なわれる。この撮像制御は、繰り返し行なわれる。なお、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モード時にCCD44のB画素、G画素、R画素から出力される信号を、それぞれ青色信号Bp、緑色信号Gp、赤色信号Rpとする。
【0037】
図2に示すように、プロセッサ装置12は、通常光画像生成部55と、フレームメモリ56と、特殊光画像生成部57と、表示制御回路58を備えており、コントローラー59が各部を制御している。通常光画像生成部55は、通常観察モード時に得られる信号Bc、Gc、Rcから、通常光画像を作成する。生成された通常光画像はフレームメモリ56に一時的に記憶される。
【0038】
特殊光画像生成部57は、微細構造画像生成部61と、肥厚画像生成部62と、微細構造・肥厚画像生成部63とを備えている。微細構造画像生成部61は、微細構造観察モード時に取得した青色信号Bpに基づいて、ピットパターンなどの表層微細構造の視認性を向上させた微細構造画像を生成する。生成された微細構造画像68は、図9に示すように、表示制御回路58によってモニタ14に表示される。この微細構造画像68では、高吸光波長域A1が除去された高吸光波長カット光Wcutを用いて生成しているため、表層微細血管70の表示抑制がなされている。この表示抑制によって、相対的に微細構造71の視認性が向上している。
【0039】
肥厚画像生成部62は、肥厚観察モード時に取得した緑色信号Gpと赤色信号Rpとに基づいて、肥厚の視認性を向上させた肥厚画像を生成する。生成された肥厚画像78は、図10に示すように、表示制御回路58によってモニタ14に表示される。この肥厚画像78では、高吸光波長域A2が除去された高吸光波長カット光Wcutを用いて生成しているため、中深層血管80の表示抑制がなされている。この表示抑制によって、肥厚81の視認性が相対的に向上している。
【0040】
微細構造・肥厚画像生成部63は、微細構造・肥厚観察モード時に取得した青色信号Bp、緑色信号Gp、赤色信号Rpに基づいて、微細構造と肥厚の両方の視認性を向上させた微細構造・肥厚画像を生成する。生成された微細構造・肥厚画像は、表示制御回路58によってモニタ14に表示される。
【0041】
次に、微細構造観察モードにおける一連の流れを、図11に示すフローチャートを用いて説明する。なお、肥厚観察モード、微細構造観察モード時における一連の流れも略同様であるので、説明を省略する。
【0042】
モード切替SW15により微細構造観察モードに切り替えられると、高吸光波長除去フィルタ33が白色光Wの光路Lwに挿入される。これにより、白色光Wのうち高吸光波長域A1,A2の波長成分が除去された高吸光波長カット光Wcutが、高吸光波長除去フィルタ33から出射する。透過した高吸光波長カット光Wcutは、集光レンズ34及びライトガイド43等を介して、被検体に照射される。
【0043】
被検体からの戻り光の像光は、カラーのCCD44で撮像される。このとき、CCD44のB画素、G画素、R画素から、青色信号Bp、緑色信号Gp、赤色信号Rpが出力する。これら信号のうち青色信号Bpに基づいて、表層微細構造の視認性を向上させた微細構造画像を生成する。生成した微細構造画像は、表示制御回路58によってモニタ14に表示される。
【0044】
なお、第1実施形態では、励起光ELを蛍光体31に照射して蛍光FLを励起発光させることにより白色光Wを生成したが、これに代えて、図12に示すように、キセノンランプ90によって、波長域が、例えば380〜700nmにわたるような白色光Wを生成してもよい。なお、キセノンランプに限る必要なく、ハロゲンランプなど波長域が青色〜赤色にわたる広帯域の光を発することができる光源であればよい。
【0045】
図13に示すように、第2実施形態の内視鏡システム100は、カラーのCCD44を用いた同時方式で被検体の撮像を行う第1実施形態と異なり、モノクロのCCD144を用いた面順次方式で被検体の撮像を行う。したがって、光源装置113の構成が第1実施形態の光源装置13とは異なる。また、電子内視鏡11内のCCDが、カラーフィルタが設けられていないモノクロ撮像素子144であることにより、CCD144の撮像制御方法も第1実施形態と異なる。それ以外については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
光源装置113は、励起光光源30と、蛍光体31と、RGBロータリフィルタ134と、フィルタ挿脱部32と、高吸光波長除去フィルタ33とを備えている。第2実施形態においても、白色光Wの生成は、励起光光源30及び蛍光体31により行う。RGBロータリフィルタ134は、図14に示すように、円板形状をしており、円周方向に3分割されて中心角が120°の扇型の領域に、それぞれBフィルタ部134b、Gフィルタ部134g、Rフィルタ部134rが設けられている。このロータリフィルタ134は、Bフィルタ部134a、Gフィルタ部134b、Rフィルタ部134cが選択的に白色光Wの光路Lwに挿入されるように回転自在に設けられている。
【0047】
図15に示すように、Bフィルタ部134bは第1実施形態のCCD44のBフィルタ44bと同様のB透過領域を有している。また、同様にして、Gフィルタ部134g及びRフィルタ部134rは、それぞれCCD44のGフィルタ44g、Rフィルタ44rと同様のG透過領域、R透過領域を有している。
【0048】
フィルタ挿脱部32は、第1実施形態と同様、通常観察モード時に設定されているときには、高吸収波長除去フィルタ33が退避位置にセットされる。退避位置にセットされることで、蛍光体31からの白色光Wは、高吸収波長除去フィルタ33を介さずに、回転中のRGBロータリフィルタ134に入射する。このRGBロータリフィルタ134のうち、Bフィルタ部134bが光路Lwに挿入されたときには白色光Wから青色帯域のB光が透過し、Gフィルタ部134gが光路Lwに挿入されたときには白色光Wから緑色帯域のG光が透過し、Rフィルタ部134rが光路Lwに挿入されたときには白色光Wから赤色帯域のR光が透過する。これによって、RGBロータリフィルタ134からはB光、G光、R光が順次出射する。順次出射したB光、G光、R光は、集光レンズ34を介して、ライトガイド43に入射する。
【0049】
一方、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モード時に設定されているときには、第1実施形態と同様、高吸収波長除去フィルタ33が挿入位置にセットされる。挿入位置にセットされることで、蛍光体31からの白色光Wは、高吸収波長除去フィルタ33に入射する。この高吸光波長除去フィルタ33は第1実施形態と同様であり、白色光Wのうち高吸光波長域A1,A2の波長成分を除去した高吸光波長カット光Wcutを透過させる。透過した高吸光波長カット光Wcutは、回転中のRGBロータリフィルタ134に入射する。
【0050】
RGBロータリフィルタ134のBフィルタ部134bが光路Lwに挿入されたときには、高吸光波長カット光WcutのうちB透過領域に含まれる第1透過光が透過する。また、Gフィルタ部134gが光路Lwに挿入されたときには、高吸光波長カット光WcutのうちG透過領域に含まれる第2透過光が透過する。また、Rフィルタ部134rが光路Lwに挿入されたときには高吸光波長カット光WcutのうちR透過領域に含まれる第3透過光が透過する。これによって、RGBロータリフィルタ134からは第1透過光、第2透過光、第3透過光が順次出射する。順次出射した第1透過光、第2透過光、第3透過光は、集光レンズ34を介して、ライトガイド43に入射する。
【0051】
第2実施形態の撮像制御部46では、以下のようにして、モノクロのCCD144の撮像制御を行う。通常観察モードにおいては、図16Aに示すように、B、G、Rの三色の像光を順次撮像して電荷を蓄積し、この蓄積した電荷に基づいて面順次撮像信号B、G、Rを順次出力する。この一連の動作は、通常観察モードに設定されている間、繰り返される。なお、面順次撮像信号B、G、Rは、それぞれ第1実施形態のBc、Gc、Rcに略対応している。
【0052】
また、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードにおいては、図16Bに示すように、第1透過光、第2透過光、第3透過光の像光を順次撮像して電荷を蓄積し、この蓄積した電荷に基づいて面順次撮像信号X1、X2、X3を順次出力する。この一連の動作は微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードに設定されている間、繰り返される。面順次撮像信号X1、X2、X3は、それぞれ第1実施形態のBp、Gp、Rpに対応している。
【0053】
図17に示すように、第3実施形態の内視鏡システム200は、高吸光波長カット光Wcutの生成のために、白色光Wの光路Lwに挿脱自在な高吸光波長除去フィルタ33を使用した第1及び第2実施形態と異なり、特殊観察用ロータリフィルタ234を用いる。この特殊観察用ロータリフィルタ234の使用によって、カラーのCCD44の撮像制御方法が第1実施形態と異なる。また、微細構造画像、肥厚画像、微細構造・肥厚画像の画像生成方法が第1実施形態と異なる。それ以外については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
図18に示すように、特殊観察用ロータリフィルタ234は、白色光Wをそのまま透過させる開口部234aと、白色光Wのうち表層微細構造の視認性向上に用いられる表層用照明光を透過させる第1BPF(バンドパスフィルタ―)234bと、白色光Wのうち肥厚の視認性向上に用いられる中深層用照明光を透過させる第2BPF(バンドパスフィルター)234cが周方向に沿って設けられている。この特殊観察用ロータリフィルタ234は、開口部234a、第1BPF234b、第2BPF234cが選択的に白色光Wの光路Lwに挿入されるように回転自在に設けられている。
【0055】
第1BPF234bは、図19に示すように、白色光Wの青色成分うち400〜450nmの高吸光波長域A1の光及び500nm以上の波長域の光をカット(透過率0%)する一方で、それ以外の400nm以下の光及び450〜500nmの光をそのまま透過させる(透過率100%)。したがって、白色光Wが第1BPF234bを透過して得られる表層用照明光は、400nm以下及び450〜500nmの波長域を有する光となる。一方、図20に示すように、第2BPF234cは、白色光Wの緑色成分及び赤色成分うち520〜580nmの高吸光波長域A2の光及び500nm以下の波長域の光をカットする一方で、それ以外の500〜520nmの波長域の光及び580nm以上の波長域の光をそのまま透過させる。したがって、白色光Wが第2BPF234cを透過して得られる中深層用照明光は、500〜520nmの波長域及び580nm以上の波長域を有する光となる。
【0056】
特殊観察用ロータリフィルタ234のうち、開口部234aが光路Lwに挿入されたときには白色光Wがそのまま透過し、第1BPF234bが光路Lwに挿入されたときには白色光Wのうち表層用照明光が透過し、第2BPF234cが光路Lwに挿入されたときには白色光Wのうち中深層用照明光が透過する。これによって、特殊観察用ロータリフィルタ234からは白色光W、表層用照明光、中深層用照明光が順次出射する。順次出射した白色光W、表層用照明光、中深層用照明光は、集光レンズ34を介して、ライトガイド43に入射する。
【0057】
第3実施形態の撮像制御部46では、以下のようにして、カラーのCCD44の撮像制御を行う。通常観察モードにおいては、図21Aに示すように、白色光Wの像光を撮像して電荷を蓄積し、この蓄積した電荷に基づいてCCD44のB画素、G画素、R画素から撮像信号B1、G1、R1を出力する。一方、表層用照明光及び中深層用照明光が照射されたときには、電荷の蓄積及び撮像信号の出力は行わない。この一連の動作は、通常観察モードに設定されている間、繰り返される。なお、撮像信号B1、G1、R1は、それぞれ第1実施形態のBc、Gc、Rcに略対応している。
【0058】
また、微細構造観察モードにおいては、図21Bに示すように、白色光W及び中深層用照明光の照射時には、電荷の蓄積及び撮像信号の出力は行わない。一方、表層用照明光が照射されたときには、それら光の像光を順次撮像して電荷を蓄積する。そして、蓄積した電荷に基づき、CCD44のB画素、G画素、R画素から撮像信号B2、G2、R2を出力する。この一連の動作は微細構造観察モードに設定されている間、繰り返される。なお、撮像信号B2は第1実施形態のBpに対応する。
【0059】
また、肥厚観察モードにおいては、図21Cに示すように、白色光W及び表層用照明光の照射時には、電荷の蓄積及び撮像信号の出力は行わない。一方、中深層用照明光が照射されたときには、それら光の像光を順次撮像して電荷を蓄積する。そして、蓄積した電荷に基づき、CCD44のB画素、G画素、R画素から撮像信号B3、G3、R3を出力する。この一連の動作は肥厚観察モードに設定されている間、繰り返される。なお、撮像信号G3、R3は第1実施形態のGp、Rpに対応する。
【0060】
また、微細構造・肥厚観察モードにおいては、図21Dに示すように、白色光Wの照射時には、電荷の蓄積及び撮像信号の出力は行わない。一方、表層用照明光及び中深層用照明光が照射されたときには、それら光の像光を順次撮像して電荷を蓄積する。そして、蓄積した電荷に基づき、表層用照明光の照射時にはCCD44のB画素、G画素、R画素から撮像信号B2、G2、R2を出力し、中深層用照明光の照射時にはB画素、G画素、R画素から撮像信号B3、G3、R3を出力する。この一連の動作は微細構造・肥厚観察モードに設定されている間、繰り返される。なお、上記同様、撮像信号B2は第1実施形態のBpに略対応し、撮像信号G3、R3は第2実施形態のGp、Rpに対応する。
【0061】
なお、微細構造観察モード、肥厚観察モード、微細構造・肥厚観察モードにおいては、白色光Wの照射時にも電荷の蓄積及び撮像信号の出力を行い、その出力から得られる撮像信号に基づき通常光画像を生成してもよい。そして、その通常光画像に撮像信号B2の画素値を加えることによって、より明るい微細構造画像を生成することができる。また、通常光画像に撮像信号G3、R3の画素値を加えることによって、より明るい肥厚画像を生成することができる。
【0062】
図22に示すように、第4実施形態の内視鏡システム300は、微細構造画像や肥厚画像の生成に必要な波長成分を、高吸光波長除去フィルタで波長分離して取得した第1及び第2実施形態と異なり、分光推定技術によって必要な波長成分を取得する。したがって、内視鏡システム300の光源装置13には、高吸光波長除去フィルタ33及びそれを白色光Wの光路Lwに挿脱するためのフィルタ挿脱部32が設けられていない。また、微細構造画像、肥厚画像、微細構造・肥厚画像の画像生成方法が、第1実施形態とは異なる。それ以外は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
第4実施形態の光源装置313は、第1実施形態と異なり、キセノンランプ314によって、380〜700nmの波長域を有する白色光Wを生成する。キセノンランプ314は常時点灯している。したがって、キセノンランプ314から発せられる白色光Wは、集光レンズ34、ライトガイド43を介して被検体に常時照射される。そして、第1実施形態と同様、被検体からの白色光の像光は、カラーのCCD44で撮像される。この撮像により、CCD44のB画素からは青色信号Bが出力し、G画素からは緑色信号Gが出力し、R画素からは赤色信号Rが出力する。
【0064】
特殊光画像生成部57内の分光推定部301は、信号B,G,Rに基づいて、380nm〜700nm内の分光画像を生成する。分光画像は、380nm画像、385nm画像・・・のように、5nm間隔で生成される。分光推定部301内は、内部メモリ(図示省略)に記憶された推定マトリックスデータを用いて、以下の[数1]に従って、分光推定を行う。
【数1】

ここで、[数1]において、信号B,G,Rの画素値は、それぞれB,G,Rで表されている。また、推定マトリックスデータは380nmから700nmの波長域を5nm間隔で分けた65セット分の波長域パラメータからなり、各波長域パラメータは、それぞれ、係数knr、kng、knb(n=1〜65)から構成されている。これら波長域パラ―メータに信号B,G,Rの画素値を掛け合わせることによって、380nmから700nmまでの分光画像の画素値qn(n=1〜65)が得られる。なお、分光画像の生成方法については、特開2003−93336号公報に詳細が記載されている。
【0065】
分光推定部301では、微細構造観察モードに設定されている場合、380〜400nmの分光画像と、450〜500nmの分光画像を取得する。また、肥厚観察モードに設定されている場合には、500〜520nmの分光画像と、580〜700nmの分光画像を取得する。また、微細構造・肥厚観察モードに設定されている場合には、380〜400nmの分光画像、450〜500nmの分光画像、500〜520nmの分光画像、580〜700nmの分光画像を取得する。
【0066】
第4実施形態の微細構造画像生成部61は、図23に示すように、分光推定部301で得られた380〜400nmの分光画像と450〜500nmの分光画像に基づいて、微細構造画像を生成する。この微細構造画像は、第1実施形態の微細構造画像と同様の波長成分を有しているため、第1実施形態と同様、表層微細血管の表示が抑制されることで、相対的に微細構造の視認性が向上している。
【0067】
第4実施形態の肥厚画像生成部62は、図24に示すように、分光推定部301で得られた500〜520nmの分光画像と580〜700nmの分光画像に基づいて、肥厚画像を生成する。この肥厚画像についても、第1実施形態の肥厚画像と同様の波長成分を有しているため、第1実施形態と同様、中深層血管の表示が抑制されることで、相対的に肥厚の視認性が向上している。
【0068】
第4実施形態の微細構造・肥厚生成部63は、分光推定部301で得られた380〜400nmの分光画像、450〜500nmの分光画像、500〜520nmの分光画像、580〜700nmの分光画像に基づいて、微細構造・肥厚画像を生成する。この微細構造・肥厚画像についても第1実施形態の微細構造・肥厚画像と同様の波長成分を有しているため、第1実施形態と同様、微細構造及び肥厚の両方の視認性が向上している。
【符号の説明】
【0069】
10,100,200,300 内視鏡システム
33 高吸光波長除去フィルタ
44 (カラーの)CCD
61 微細構造画像生成部
62 肥厚画像生成部
68 微細構造画像
78 肥厚画像
134 RGBロータリフィルタ
144 (モノクロの)CCD
234 特殊観察用ロータリフィルタ
234b 第1BPF
234c 第2BPF
301 分光推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照明光を照射する照明手段と、
前記被検体からの反射光の像光を撮像することにより画像信号を取得する画像信号取得手段と、
前記画像信号に基づき、被検体における血管の表示抑制で相対的に生体組織上の凹凸の視認性を向上させた凹凸画像を生成する凹凸画像生成手段とを備えることを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記凹凸画像生成手段は、
前記画像信号のうち青色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた信号に基づき、血管の表示抑制で相対的に表層微細構造の視認性を向上させた微細構造画像を生成する微細構造画像生成部を有することを特徴とする請求項1記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1の高吸光波長域は400〜450nmであることを特徴とする請求項2記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記凹凸画像生成手段は、
前記画像信号のうち緑色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第2の高吸光波長域の成分が除かれた信号に基づき、血管の表示抑制で相対的に肥厚の視認性を向上させた肥厚画像を生成する肥厚画像生成部を有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1高記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記第2の高吸光波長域は520〜580nmであることを特徴とする請求項4記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記照明光のうち血中ヘモグロビンの吸光係数が高い高吸光波長域の成分を除去する高吸光波長除去フィルタを備え、
前記画像信号取得手段は、前記高吸光波長除去フィルタで前記高吸光波長域の成分が除かれた被検体の反射光の像光を撮像することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記被検体の撮像は、色分離フィルタが設けられた複数色の画素を有するカラーの撮像素子によって行うことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記照明手段は、複数色の光を被検体に順次照射し、
前記被検体の撮像は、前記照明手段で順次照射される毎に、モノクロの撮像素子で行うことを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記照明手段は、青色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた表層用照明光と、緑色波長域内で血中ヘモグロビンの吸光係数が高い第1の高吸光波長域の成分が除かれた中深層用照明光とを順次照射し、
前記被検体の撮像は、前記照明手段で順次照射される毎に行うことを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記凹凸画像生成手段は、前記画像信号に基づく分光推定により、前記反射光のうち血中ヘモグロビンの吸光係数が高い波長成分以外の波長成分の分光画像を取得し、その分光画像に基づいて、前記凹凸画像を生成する画像生成部とを有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記凹凸画像を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1項記載の内視鏡システム。
【請求項12】
被検体に照明光を照明手段により照射し、
前記被検体からの反射光の像光を撮像することにより画像信号を画像信号取得手段で取得し、
前記画像信号に基づき、被検体における血管の表示抑制で相対的に生体組織上の凹凸の視認性を向上させた凹凸画像を凹凸画像生成手段で生成することを特徴とする画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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