内視鏡挿入補助装置
【課題】 回転により十分な推進力が得られる内視鏡挿入補助装置を提供する。
【解決手段】 可撓性のチューブ16の先端には、このチューブ16の外径よりも太い先端部材17が取り付けられ、チューブ16及び先端部材17の外周面には螺旋状構造体18、19が設けられ、チューブ16の中空部内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態で、チューブ16の後端に設けた回転駆動装置21によりチューブ16を回転駆動することにより、体腔内壁に接触する螺旋状構造体18、19をスパイラル状に推進させて内視鏡2の挿入を補助する。
【解決手段】 可撓性のチューブ16の先端には、このチューブ16の外径よりも太い先端部材17が取り付けられ、チューブ16及び先端部材17の外周面には螺旋状構造体18、19が設けられ、チューブ16の中空部内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態で、チューブ16の後端に設けた回転駆動装置21によりチューブ16を回転駆動することにより、体腔内壁に接触する螺旋状構造体18、19をスパイラル状に推進させて内視鏡2の挿入を補助する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状構造体を利用して内視鏡の挿入を補助する内視鏡挿入補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療用分野及び工業用分野において広く使用されるようになった。この内視鏡を体腔内等の屈曲した部位に挿入する場合、円滑に挿入できるように内視鏡挿入補助装置が使用される場合がある。
例えば第1の従来例としての特開昭54−78884号公報には、挿入部自体を螺旋状にして、手元側で捻る操作を行うことにより、大腸内への挿入を行い易くしたファイバスコープが開示されている。
また、第2の従来例としての実開昭51−73884号公報には、円筒と輪(リング)をリベットで多数連結し、さらに外側に螺旋状の部材を設けて、その内側にファイバスコープを挿通して、大腸に挿入し易くした内視鏡挿入補助装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭54−78884号公報
【特許文献2】実開昭51−73884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記第1の従来例では、挿入部が直線状となる通常の内視鏡の挿入には利用できない欠点がある。また、第2の従来例は、構造が複雑となり、コストが嵩む。
また、第2の従来例は、外径が可変でないため、様々な径をとり得る体腔との接触が十分でなく、回転した場合、推進力が不足する可能性がある。
また、第2の従来例は、抜去する場合、螺旋状の部材による凹凸が円滑な抜去の妨げになる可能性がある。
【0004】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、回転により円滑に推進させることができる内視鏡挿入補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内視鏡挿入補助装置は、可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径より大きい外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする。
上記構成により、チューブの外径より大きい外径を有する先端部材が、管腔内壁に接触する。このとき、先端部材の管腔内壁への接触面積が大きくとれることにより、ハウストラ(結腸膨起)へ捕捉されることなく、チューブが管腔に挿入される。また、チューブに設けられた螺旋状構造体が、管腔内壁に接触して回転することにより、チューブが推進し、円滑な挿入を可能とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、先端部材の外径がチューブの外径より大きいため、管腔内壁へ与える圧力を減らせる。こうすることで、螺旋状構造体の回転により得られるチューブの推進力を有効に利用できるため、内視鏡を挿通させたチューブの管腔への挿入性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図16は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡装置の構成を示し、図2は実施例1の内視鏡挿入補助装置の外観を示し、図3は図2の先端側の構造を示し、図4は図1における回転駆動装置の構造を示し、図5は回転方向と進行方向の関係を示し、図6は内視鏡挿入補助装置に内視鏡の挿入部を挿通した状態を示す。
また、図7は内視鏡の挿入部を挿通した状態における内視鏡の湾曲機構を利用して湾曲可能であることを示し、図8は内視鏡と内視鏡挿入補助装置との空隙に流体を注入した様子を示し、図9は大腸内に挿入する様子を示し、図10は第1変形例における回転駆動装置を示す。
また、図11は第2変形例における回転駆動装置等を分解して示し、図12は第3変形例における回転駆動装置を示し、図13は第4変形例の内視鏡挿入補助装置の概略の構成を示し、図14は挿入部位に対応して先端部材の外径を変更した様子等を示し、図15は第5変形例における内部構成の概略を示し、図16は第6変形例における内部構成の概略を示す。
【0009】
図1に示すように実施例1を備えた内視鏡装置1は、内視鏡検査等を行う内視鏡2と、この内視鏡2を内側に挿通可能とし、内視鏡2の挿入を補助する実施例1の内視鏡挿入補助装置3と、内視鏡2に照明光を供給する光源装置4と、内視鏡2に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)5と、このCCU5から出力される映像信号が入力されることにより、撮像素子で撮像した内視鏡画像を表示するモニタ6とを有する。
内視鏡2は、体腔内等に挿入される可撓性を有する細長の挿入部7と、この挿入部7の後端に設けられた操作部8と、この操作部8の側部から延出されるケーブル部9とを有する。ここで、ケーブル部9の末端は、光源装置4とCCU5とに接続される。
また、挿入部7は、その先端に照明窓と観察窓とが設けられた硬質の先端部11(図6及び図8参照)と、この先端部11の後端に設けられ、湾曲自在の湾曲部12(図8参照)とを有する。この湾曲部12は、操作部8に設けた湾曲操作ノブ14を操作することにより、所望とする方向に湾曲することができるようにしている。
【0010】
光源装置4は、内視鏡2の図示しないライトガイドに照明光を供給する。供給された照明光は、照明窓から出射され、体腔内を照明する。照明された体腔内において反射又は拡散した光は、観察窓に取り付けた対物レンズにより、その結像位置に配置された固体撮像素子にその光学像として結像されて、撮像面において光電変換される。固体撮像素子により光電変換された信号は、CCU5により信号処理され、標準的な映像信号に変換された後モニタ6に送られる。そして、モニタ6の表示面に固体撮像素子に結像された光学像が内視鏡画像として表示される。
図1及び図2に示すように本実施例の内視鏡挿入補助装置3は、可撓性(軟性)のチューブ16を有している。このチューブ16の先端には、例えば樹脂等の軟性部材で形成された適度の硬さを有し、チューブ16より拡径の先端部材17が設けてある。
【0011】
また、チューブ16の外表面には、細径の中空或いは中実の紐状の樹脂を螺旋状に取り付けて、その部分を外表面から螺旋状に突出させた螺旋状構造体18が設けてある。また、先端部材17の略円筒状の外表面にも、同様に螺旋状構造体19が設けてある。なお、螺旋状構造体18と19とは、連結して形成しても良い。
本実施例では、チューブ16の外周面に螺旋状構造体18を設けると共に、このチューブ16の先端にさらに拡径の先端部材17を設け、この先端部材17の外周面にも螺旋状構造体19を設けて、チューブ16を回転することにより、特に先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体19による大きな推進力で推進させることができるようにしていることが特徴となっている。
【0012】
図3に示すようにチューブ16内側の中空部16aは、先端部材17の中心軸に沿って設けた貫通孔17aと連通している。そして、この中空部16aの後端から内視鏡2の挿入部7を挿通し、挿入部7の先端部11を貫通孔17a内に配置し、さらに貫通孔17aの先端開口に内視鏡2の照明窓及び観察窓を露出させた状態に設定することで、体腔内を観察できるようにすることができる。
図1に示すように、このチューブ16の後端には、このチューブ16を回転する回転駆動装置21が設けてある。
図1及び図4にも示すように、この回転駆動装置21は、保持体22に取り付けられたモータ23と、このモータ23の回転軸に取り付けたギヤ24と、チューブ16の後端を保持する筒体26の先端に取り付けられたギヤ25とを有している。このギヤ25は、モータ23の回転軸に取り付けたギヤ24と噛合している。そして、モータ23を回転することにより、該ギヤ25を回転させて、筒体26及びチューブ16を回転できるようになっている。
【0013】
また、このモータ23はケーブルを介してモータ駆動装置27に接続されている。このモータ駆動装置27は、駆動用バッテリを内蔵すると共に、モータ23の回転数、回転方向を制御する制御回路も内蔵し、さらにこのモータ駆動装置27の上面には操作ノブ28が設けてある。
そして、ユーザは、この操作ノブ28を前方側に傾けるとチューブ16を前方側に移動させる、つまり推進させる方向にモータ23を回転させることができ、操作ノブ28を後方側に傾けるとチューブ16を後方側に移動させる、つまり後退させる方向にモータ23を回転させることができるようにしている。
なお、図4に示すようにチューブ16の後端は、筒体26の内周面に取り付けられており、この筒体26は、回転自在に支持する軸受け29を介して保持体22に回転自在に保持されている。
【0014】
図5は、回転方向と進行方向との関係を示す。図5に示すように螺旋状構造体18,19は右ねじ状に設けてあり、チューブ16を時計回り方向に回転させることにより、チューブ16を前進させることができ、チューブ16を反時計回り方向に回転させることにより、チューブ16を後方側に移動させることができる。
上述したが、図6に示すようにこのチューブ16の中空部16a内には、内視鏡2の挿入部7を挿通することができる。つまり、チューブ16の末端から細径の内視鏡2の挿入部7の先端側を挿入し、先端部材17まで挿入部7を挿通させることが可能である。図6では、挿入部7の先端部11を先端部材17の貫通孔17aより僅かに突出させた状態を示している。貫通孔17aの先端開口に内視鏡2の先端面を露呈させた状態にすることにより、観察機能を使用することができる。
【0015】
また、内視鏡2には、湾曲部12が設けてあるので、図1或いは図6のようにチューブ16内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態では、図7に示すように内視鏡2の湾曲機構を利用して、チューブ16を湾曲させることができる。
つまり、本実施例では、内視鏡2を挿通した状態では、内視鏡2の観察機能と湾曲機能を使用することができる。このため、本実施例の内視鏡挿入補助装置3は、簡単な構成で内視鏡2の挿入を円滑に補助する機構を備えたものを実現している。
また、図8に示すように内視鏡2の挿入部7側を回転させないで、その外周側のチューブ16及び先端部材17側を円滑に回転させることができる機能(円滑な回転機能)を向上するために、チューブ16の末端側から潤滑剤として水あるいは空気のような流体31を両者の隙間に注入するようにしても良い。
【0016】
このように両者の隙間に流体31を注入することにより、挿入部7を推進させるために、チューブ16側を回転駆動した際、内視鏡2の挿入部7側が回転されないで、より円滑な挿入を維持することができる。
このような構成による本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて体腔内に内視鏡2を挿入する作用を説明する。
図9は、大腸37内に本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて、この内視鏡挿入補助装置3の中空部内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態で、肛門36から大腸37の深部側に挿入した様子を示している。
大腸37の深部側に内視鏡2の挿入部7を挿入する場合、本実施例の内視鏡挿入補助装置3内に挿入部7を挿通した状態で、この内視鏡挿入補助装置3の先端部材17から肛門36内に挿入する。
【0017】
肛門36内に挿入した直後の状態を示す図9(B)のように、大腸37が略直線状の場合には湾曲操作を必要としないで、手元側の回転駆動装置21によりチューブ16の後端を回転させることにより、先端部材17を大腸37の深部側に推進させることができる。 つまり、本実施例では、チューブ16の先端に、チューブ16の外径よりも大きな外径の先端部材17の外周面(外表面)に螺旋状構造体19が設けてあるので、大腸37の内壁面との接触による摩擦力が作用する状態で先端部材17を回転することにより、螺旋状構造体19が大腸37の内壁面に螺旋状に順次当接するような軌跡で移動する。
そして、螺旋状の移動軌跡と共に、先端部材17を深部側に効率良く推進させることができる。
また、S字結腸等の屈曲している部分では、図9(C)に示すように、内視鏡2による観察下で内視鏡2の湾曲部12を屈曲している方向へ湾曲させるようにして、回転駆動装置21による回転を行うことにより、先端部材17に屈曲部分を通過させる。
【0018】
このようにして、図9(A)に示すように、先端部材17を大腸37内の深部側に推進させることができる。また、さらに深部側に挿入することも円滑に行うことができる。 図10は、第1変形例の内視鏡挿入補助装置3Bにおける回転駆動装置21B部分の構成を示す。この回転駆動装置21Bは、モータ23の回転軸にプーリ41を取り付け、ベルト42を介してチューブ16の後端を保持する筒体26に取り付けたプーリ43を回転駆動する構成にしている。
なお、図10では、簡単化のため、図1或いは図4に示した筒体26及びモータ23を保持する保持体22を省略している。この第1変形例を用いた場合の作用効果は、図1或いは図4のギヤ24、25を用いた場合とほぼ同様である。
【0019】
図11(A)は、第2変形例における回転駆動装置21Cを分解して示す。この回転駆動装置21Cは、図11(B)に示すように中空の回転軸44aを備えたモータ44を採用している。このようにモータ44を中空の回転軸44aとすることで、モータ44の回転による回転駆動力を直接チューブ16に伝達する構造にしている。
つまり、チューブ16の後端をモータ44の中空の回転軸44aの前端に取り付け、また、この回転軸44aにおける中空部内に後端から内視鏡2の挿入部7を挿通する構造にしている。
この第2変形例における回転駆動装置21Cを用いると、伝達ロスを低減できると共に、簡単な構成で実現でき、また低コスト化することもできる。
図12(A)は、第3変形例における回転駆動装置21Dの縦断面を示し、図12(B)は、そのA−A線断面図を示す。
【0020】
チューブ16の後端付近は、軸受け29を介して保持用筒体46に回転自在に保持されている。また、チューブ16の後端の外周面には、例えばコイル(或いは電磁石)47が取り付けてあり、このコイル47の外周側に対向する保持用筒体46の内周面にもコイル(或いは電磁石)48が取り付けてある。
図12(B)に示すように、両コイル47、48は周方向に複数に分割して形成されている。そして、図示しない電源装置が対向するコイル47、48間に位相をずらした交流電流を印加するように設定されている。こうすることで、保持用筒体46の内周面に固定されたコイル48に対してコイル47側に相対的に回転磁界を印加し、コイル47と共にチューブ16側を回転できるようにしている。
本変形例は、図11の第2変形例の場合とほぼ同様の効果を有する。なお、本変形例において、両コイル47、48における一方のコイルをマグネットに置換しても良い。例えば回転される側のコイル47をマグネットにすると、コイル47に電流を供給する接点等の構造を不要にできる。
【0021】
図13は、第4変形例の内視鏡挿入補助装置3Eの概略の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Eにおいては、流体給排装置として(流体としての)圧縮空気を給排するコンプレッサ51を有する。本変形例では、チューブ16に設けた螺旋状構造体18は、中空チューブにより構成されており、この中空チューブの後端は、コンプレッサ51に接続されている。
また、この螺旋状構造体18を構成する中空チューブの先端は、先端部材17の外周面に設けたバルーン52に接続されている。なお、この場合には、螺旋状構造体18は先端部材17の外周面を覆うバルーン52の外周面に設けられた伸縮性に富むゴム等の弾性部材により形成されている。
そして、コンプレッサ51から中空チューブを介してバルーン52の内側に圧縮空気を送ることにより、バルーン52を膨張させることができるようにしている。
【0022】
ユーザは、スイッチ53をOFFからONの状態にすることにより、コンプレッサ51から圧縮空気をバルーン52に送ることができる。
図14は、この内視鏡挿入補助装置3Eによる作用説明図を示す。
図14(A)に示すように、例えばこの内視鏡挿入補助装置3Eを体腔54内に挿入した場合、体腔54の内径が先端部材17の外径よりも大きいと、先端部材17を回転させても十分な推進力が得られない場合がある。
このような場合、ユーザは、スイッチ53をONにすることにより、コンプレッサ51を作動させて、圧縮空気をバルーン52に送り、図14(B)に示すようにバルーン52を膨張させることができる。
そして、その外周面の螺旋状構造体19を体腔54の内壁に接触させることができる。この状態で内視鏡挿入補助装置3Eを回転させることにより、大きな推進力を発生できる状態に設定することができ、体腔54内を円滑に推進させることができる。
【0023】
図15は、第5変形例における内視鏡挿入補助装置3Fの内部構成の概略を示す。本変形例では、チューブ16と内視鏡2の挿入部7との間の潤滑性を向上するため、挿入部7の先端部11の外周面と先端部材17の内周面との間にベアリング等による円環状の軸受け55を配置して回転可能に密閉し、その密閉した内部にオイル等の潤滑材56を充填している。
このようにすることにより、内視鏡2側を回転させることなく、その外周側のチューブ16及び先端部材17側を回転させることができる。
図16は、第6変形例における内視鏡挿入補助装置3Gの内部構成の概略を示す。本変形例では、チューブ16と内視鏡2の挿入部7との間の潤滑性向上のため、チューブ16を二重のシース57、58により構成している。
内側のシース58は、挿通される内視鏡2の挿入部7が殆どぴったりはまるようにし、シース57と58との間には、例えば適宜の間隔で軸受け59を配置している。
このような構成にすることにより、外側のシース57側のみを回転し易い構造にしている。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の実施例2を説明する。
図17は、本発明の実施例2の内視鏡挿入補助装置3Hの概略を示す。この内視鏡挿入補助装置3Hは、例えばチューブ16の後端側に回転駆動装置60を設けている。
この回転駆動装置60は、チューブ16の後端に取り付けられたギヤ61aと、このギヤ61aに噛合して、回転規制手段となるトルクリミッタ62を介してモータ63に接続されたギヤ61bとを有している。
また、チューブ16の外周面に設けた螺旋状構造体18は、中空チューブにより構成されている。この中空チューブの先端は閉塞され、また後端はコンプレッサ64に接続されている。
また、モータ63及びコンプレッサ64は、制御部65に接続され、この制御部65は、操作部66に接続されている。この操作部66による操作により、モータ63による回転及び回転停止の制御や回転速度の制御、及びコンプレッサ64による圧縮空気の供給のON/OFFを制御できるようにしている。
【0025】
上記操作部66を操作してコンプレッサ64により、例えば圧縮空気を送った状態にすることにより、図17或いは図18(A)に示すように柔軟性に富む中空チューブにより形成される螺旋状構造体18を、チューブ16の外径よりも突出させた状態にできる。
一方、上記操作部66を操作してコンプレッサ64により圧縮空気を送らない状態にすることにより、図18(B)に示すように螺旋状構造体18を形成するための中空チューブを膨らませない状態にして、その部分をチューブ16の外径と殆ど同じ外径の状態にできるようにしている。
また、圧縮空気を送る量を調整することによって、螺旋状構造体18を形成する中空チューブのチューブ16表面から突出する高さを調整することもできるようにしている。
【0026】
例えば、図18(A)に示す状態よりもさらに圧縮空気を送る量を多くすることにより、図18(C)に示すように螺旋状構造体18のチューブ16外表面から突出する高さをより高くすることもできる。
このように本実施例においては、螺旋状構造体18を形成するための中空チューブに対して圧縮空気等の流体の供給及び供給停止を制御することにより、螺旋状構造体18を形成した状態にしたり、螺旋状構造体18を形成しない状態にすることが選択できると共に、チューブ16表面から突出する螺旋状構造体18の高さの調整も行うことができるようにしている。
従って、例えば体腔内にチューブ16を挿入する時には、図18(A)或いは図18(C)に示すように、螺旋状構造体18がチューブ16外表面から突出する状態の高さにする。また、チューブ16を抜去する時には図18(B)に示すようにチューブ16の表面を平坦面にして、円滑にかつ短時間に抜去することができる。
【0027】
なお図19に示す第1変形例の内視鏡挿入補助装置3H′のように、チューブ16の外周面に設けた螺旋状構造体18を構成する中空チューブの先端と、先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体19を構成する中空チューブとを接続して、中空部分を連通させても良い。
この場合には、螺旋状構造体19を構成する中空チューブの先端が閉塞されているため、コンプレッサ64により圧縮空気を送ると、図19に示すようにチューブ16の外周面には突出する螺旋状構造体18が形成され、また先端部材17の外周面にも突出する螺旋状構造体19が形成される。
一方、圧縮空気を排気することにより、図20に示すように先端部材17の外周面は略平坦な外周面となり、またチューブ16側の外周面も同様に平坦な面になる。なお、圧縮空気の送気量を変更することにより、螺旋状構造体18及び19における外周面から突出する部分の高さを制御できる。
【0028】
このように本変形例では、チューブ16の外周面と先端部材17の外周面とに中空チューブにより形成した螺旋状構造体18及び19を連通させた状態で、外周面から突出する部分の高さを制御することにより、挿入時における挿入や抜去時における抜去をより円滑に行える。
【0029】
また、本実施例(第1変形例も含む)においては、例えばチューブ16の先端付近の部分、つまり、先端部材17の後端に隣接する部分には、湾曲部(湾曲手段)67を形成している。この湾曲部67は、例えば電圧を印加することにより伸縮させることができる導電性高分子人工筋肉(EPAMと略記)を用いて形成されている。
つまり、図21に示すようにチューブ16の先端付近は、例えば同じ寸法のチューブ状のEPAM68が連結して一体的に形成され、このチューブ状のEPAM68における上下、左右に対応する帯状部分の両面には、それぞれ電極69が形成されている。
【0030】
そして、電極69は、チューブ16の内部などを通した信号線70の一端と接続されている。また、信号線70の他端は、図17に示すようにチューブ16の後端の外周面に取り付けたロータ側となる中空の円板状接点部材71の同心状接点に接続され、この同心状接点に接触するステータ側接点部材72を介して制御部65と接続されている。
そして、操作部66に設けた、例えば湾曲方向指示操作手段としてのジョイスティック66aを傾動する操作を行うことにより、制御部65は、その傾動操作に対応して駆動電圧をEPAM68の電極69に印加して(ジョイスティック66aが)傾動された方向に湾曲部67を湾曲させる。
例えば、ジョイスティック66aが上方向に傾動された場合には、下方向に対応する電極69に最も大きな駆動電圧を印加してその部分のEPAM68を最も大きく伸張させ、、これらの両側の左右の電極69に適度な駆動電圧を印加して少し伸張させることにより、伸張していない上方向に湾曲部67を湾曲させることができる。
【0031】
なお、このEPAM68は、例えば印加する電圧による電界強度の略2乗に比例した歪み量となる特性を有する。
湾曲部67を湾曲させる湾曲手段として、EPAM68以外の手段を用いることもできる。例えばEPAM68の代わりに、図22に示すように、通電することによって収縮する形状記憶合金(SMAと略記)によるSMAワイヤ78を採用しても良い。
【0032】
このSMAワイヤ78は、湾曲部67における上下、左右に相当する部分に、例えば平行線を先端側で折り返すようにして設けてあり、それぞれ湾曲部67の後端付近で信号線70に接続されている。
【0033】
この信号線70の後端側は、EPAM68の場合と同様の構造にしている。そして、湾曲させたい方向のSMAワイヤ78に通電することで、湾曲部67を湾曲させることができる。
この他に、湾曲部67に接続されたワイヤを機械的に引っ張る手段で構成しても良い。 このように湾曲部67を湾曲させるためにいくつかの手段、方法を選択して使用することができる。
【0034】
このように本実施例の内視鏡挿入補助装置3Hでは、チューブ16自体に湾曲機構を設けているので、内視鏡2の挿入部7を挿通しない状態でもその先端側を湾曲させることができる。つまり、実施例1では内視鏡2の挿入部7を挿通した状態では、内視鏡2の湾曲機能を利用して図7に示すように湾曲させることができるが、本実施例では挿入部7を挿通しない状態でもチューブ16の先端側を湾曲させることができる。
つまり、本実施例では、図23(A)に示すように(内視鏡を挿通しない状態で)チューブ16の先端側を所望とする方向に湾曲させることができる。なお、湾曲させたままチューブ16を回転させると、図23(B)に示すように先端側がぶれるので、チューブ16を回転させた場合にも、図23(A)に示すようにチューブ16の湾曲形状を一方向にのみ維持するように湾曲部67を制御しても良い。
【0035】
また、本実施例では、モータ63を回転してチューブ16を回転した場合、螺旋状構造体18,19により円滑にチューブ16側を推進させることができるが、螺旋状構造体18,19に所定値以上のトルクがかかると、回転規制手段となるトルクリミッタ62により、チューブ16側が回転しないようにしている。
このトルクリミッタ62は、クラッチによる滑り構造により構成することができる。例えば、図24(A)に示すように、摩擦面を有する回転伝達用の2枚の円板62a、62bを、それぞれの摩擦面を対向させて、適度の圧力を加えた状態で接触させている。
従って、一方の円板に所定の力以上のトルクが作用すると、図24(B)に示すように2枚の円板62a、62bは、回転力を伝達しない状態になる。本実施例の場合には、モータ63に接続される側の円板62aは回転するが、他方の円板62bは回転しない状態になる。
【0036】
このようにトルクリミッタ62を設けているので、螺旋状構造体18,19の回転により体腔内壁側から螺旋状構造体18、19に所定値以上の力が加わるのを防止するようにしている。
このように本実施例では、実施例1と同様にチューブ16と先端部材17との外周面に螺旋状構造体18、19を設けており、またチューブ16を回転する回転駆動機構を設けているので、実施例1と同様な作用効果を有する。
また(第1変形例を含む)本実施例では、チューブ16及び先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体18、19の(表面から突出する)高さを変更できるようにしているので、挿入や抜去を円滑に行うことができる。
また、回転規制手段としてのトルクリミッタ62を設けているので、螺旋状構造体18,19の回転により体腔内壁側から螺旋状構造体18,19に所定値以上の力が加わるのを防止することができる。
【0037】
また、本実施例では、湾曲部67を設けているので、内視鏡2の挿入部7の先端を、先端部材17まで挿通しないで、本実施例をガイドワイヤとして利用することで体腔内への挿入などを行うこともできる。
図25は第2変形例における螺旋状構造体18bを示す。本変形例では、チューブ16を抜去する時、より円滑に行えるようにため、螺旋の高さを小さくしている。なお、図25では、細径な密巻きコイル状に螺旋状構造体18bを設けている(螺旋状構造体18bの内側に図示しないチューブ16がある)。この螺旋状構造体18bは小さな螺旋状構造であるが、単位長さ当たりに多くの螺旋状構造体18bを設けているので、回転させた場合に所定の推進力を維持できる。
一方、抜去時には、螺旋状構造体18bは小さな凹凸の螺旋状構造であるので、円滑に抜去できる。
【0038】
また、図26は第3変形例におけるチューブ構造の例を示す。本変形例では、図25と同様の目的のために、チューブ16表面を柔軟で薄肉の外チューブ74で覆うようにしている。この外チューブ74の後端側は、コンプレッサ64に接続され、外チューブ74の内側に空気75を送り込んだり、送り込んだ空気を排気できるようにしている。
そして、チューブ16を挿入する時には、空気を排気して図26(A)のように外チューブ74を螺旋状構造体18及びチューブ16の外表面に密着させて螺旋状構造が形成される状態にする。
一方、抜去時には柔軟な外チューブ74内に空気75を注入し膨らませることで図26(B)に示すように平滑な表面構造を形成する。この状態にすることにより、円滑かつ短時間にチューブ16を抜去できる。
図27は第4変形例におけるチューブ構造の例を示す。本変形例では、図25と同様に抜去時のチューブ16の移動性向上のため、図27(A)に示すように螺旋状構造がチューブ16の外表面に設けた螺旋状の溝76により構成されている。
【0039】
また、この溝76には柔軟で薄肉のチューブ77が取り付けられており、その後端から空気の給排を行うことができるようにしている。そして、挿入時には、図27(A)の状態にする。
一方、抜去時には溝76内に沿って設けたチューブ77に空気を送り、膨らませることにより、図27(B)に示すように平滑な表面を形成する。この状態にすることにより、チューブ16を円滑に抜去できる。
この他に、図28に示す第5変形例におけるチューブ構造の例のように、抜去性を向上させるため、チューブ16の挿入の後、螺旋状構造がチューブ16から外れる構造にしている。つまり、本変形例では、図28(A)に示すように、螺旋状構造体18は、チューブ16の先端と後端に接着等で固着されている。
そして、チューブ16の抜去時には、所定の値以上の力で螺旋状構造体18の後端を引っ張ることにより、先端の接着等による固着が外れ、図28(B)に示すように、螺旋状構造体18がチューブ16から外れるようになっている。
図29は、第6変形例における回転規制機構81を示す。本変形例では2つの円板62a、62bが連結状態を維持するように、例えば粘着テープ82が、2つの円板62a、62bに貼り付けられている。
そして、所定のトルク値以下の状態では、図29(A)に示すようにモータ側の円板62aを回転させると、円板62bも回転する。
一方、所定のトルク値以上の状態では、図29(B)のように粘着テープ82が分離や引きちぎれる等して、連結状態が破れ、モータ側の円板62aは回転するが、円板62bは回転しない状態になるようにしている。このようにして所定のトルク値以上が作用すると回転規制が行われる。なお、粘着テープ82に限らず、連結を行うための接着剤その他の手段でも良い。例えば両円板62a、62bを磁石で連結状態に保持し、所定のトルク値以上の状態では連結が破れて分離する連結手段でも良い。
【0040】
図30は第7変形例における回転規制機構81Bを示す。本変形例では、モータ63の回転軸には、トルクを検出するトルクセンサ83が接続されている。つまり、本変形例は、図17において、モータ63の回転軸にトルクリミッタ62を設ける代わりに、トルクセンサ83を採用している。
このトルクセンサ83は、トルク検出信号を制御部65に出力する。そして、制御部65は、トルク検出信号が所定のトルク値以上か否かをモニタし、所定のトルク値以上の場合にはモータ63の回転を停止させる。或いはトルク値が所定値を超えないように、回転速度を落とす機能を持った回転速度制御手段を設けても良い。
図31は、図24等に示したトルクリミッタ62の設置場所の例を示す。トルクリミッタ62を配置する位置としては、モータ63とギヤ61bの間の他に、ギヤ61a、61bと61c、61d同士の間、ギヤ61aとチューブ16との間等が適している。図31(A)〜図31(C)はこれらを具体的に示している。図31(A)では、トルクリミッタ62は、図17と同じように配置している。
つまり、チューブ16の後端に取り付けたギヤ61aに噛合する61bは、トルクリミッタ62を介してモータ63に接続されている。
【0041】
図31(B)に示す変形例では、図31(A)におけるトルクリミッタ62とモータ63との間にさらにギヤ61c及び61dを介挿している。
また、図31(C)に示す変形例では、チューブ16の後端に中空構造のトルクリミッタ62を取り付け、このトルクリミッタ62の中空の軸にギヤ61aを取り付け、このギヤ61aをモータ63の回転軸に取り付けたギヤ61bに噛合させている。
図31ではトルクリミッタ62により、所定の値以上のトルクが作用した場合、回転伝達を規制しているが、図32は異なる構造により部分的に回転規制を行う構造を示している。
第8変形例の内視鏡挿入補助装置3Iは、先端部材17、チューブ16それぞれに回転規制機構として、適当な長さに設定した円筒体85a,86aに螺旋状構造体85b,86bをそれぞれ設けた円筒構造体85、86を嵌め込んだ構成を有している。
【0042】
チューブ16外周面と円筒体86a内周面間の摩擦力により、チューブ16が円筒構造体86に対し、(円筒構造体86の外周面が体腔内壁に接触している等のために)あるトルク以上で回転しようとするとすべりが生じる。円筒構造体86を複数に切り分けておくことで、抵抗が大きな部分、具体的には周囲の体腔内壁に強く接触して回転しにくくなっている部分では回転が止まり、それ以外のところでは回転がなされて推進力が得られる。 先端部材17側もほぼ同様の作用をする。つまり先端部材17外周面と円筒体85a内周面間の摩擦力により、先端部材17が円筒構造体85に対し、あるトルク以上で回転しようとするとすべりが生じる。
そして、円筒構造体85が体腔内壁に強く接触して回転しにくくなっている場合には、円筒構造体85の回転が止まるようになる。なお、先端部材17自体が、その長さがチューブ16に比べて短いので、1つの円筒構造体85のみ設けているが、複数に分けても良い。
【0043】
次に第9変形例を説明する。図17では、上下、左右の4方向に湾曲できる湾曲機構を設けていたが、本変形例の内視鏡挿入補助装置3Jは、1方向にのみ湾曲する湾曲部67bを設けたものを採用している。この場合には、挿入する場合、以下のように行うと、屈曲した体腔内へも円滑に挿入し易くなる。
図33(A)〜図33(C)は大腸等の体腔54内に挿入していく様子を示す。図33(A)に示すようにほぼ直線状の体腔54内に挿入する場合には、まっすぐな状態で回転させる等して挿入できる。そして、図33(B)に示すように屈曲部位に到達した際、まず回転を止め、ある方向に湾曲をさせ、内挿した内視鏡の画像を見るなどして、現在の湾曲方向を確認する。その方向が進ませたい方向(体腔の屈曲している方向)と異なっている場合、ゆっくり回転を再開させ、湾曲方向と進行方向を合わせる。その状態で湾曲機能を解き、回転を通常の速度で開始し、屈曲に沿って挿入させる。
【0044】
これを繰り返すことで屈曲部位を通過して、図33(C)に示すように、より深部側に挿入することができる。
【0045】
次に第10変形例を説明する。図34は第10変形例の内視鏡挿入補助装置3Kの先端側を示す。本変形例は、図21で説明したEPAMを用いてチューブ16の先端部分でなく、先端部材17Bを形成している。そして、4方向或いは少なくとも1方向などに湾曲可能にしている。
湾曲可能な先端部材17Bを形成することにより、図34(A)に示すように真っ直ぐな状態から図34(B)に示すように先端部材17Bを湾曲させることができる。先端部材17Bを湾曲できる構造にすることにより、より円滑な挿入が容易となる。
【0046】
つまり、先端部材17B自体を柔軟な材料で構成すると共に、湾曲機能を搭載することで硬質長が短くでき、体腔内に挿入する場合、この屈曲した部分に対応して先端部材17Bを屈曲させることにより良好な挿入性を確保できる。
また、湾曲機能を搭載せず、先端部材をかかる力に応じて屈曲するように柔軟な材料で構成するだけでも良い。
この場合でも、先端部材が腸の屈曲に沿うように受動的に湾曲するので、同様に良好な挿入性を確保できる。
【実施例3】
【0047】
次に本発明の実施例3を説明する。図35は本発明の実施例3の内視鏡挿入補助装置3Lの概略を示す。この内視鏡挿入補助装置3Lは、内視鏡2の外周面に取り付けて挿入補助を行うものである。
実施例1及び2において説明した内視鏡挿入補助装置3〜3Kは、内視鏡2の挿入部7を挿通する中空部を設けていたが、その中空部に挿通できる挿入部7は、細径のものとなる。こうすると、実質的には観察はできても処置具を挿通するチャンネルを持たないものに制約される場合があり、その場合には、処置ができない。
そこで本実施例では、処置具を挿通可能なチャンネル91を備えた内視鏡2にも適用できるようにしている。
このため、本実施例は、上記のように内視鏡2の外周面に取り付けて挿入補助を行うようにした構成を有している。
【0048】
そして、この内視鏡挿入補助装置3Lにより挿入しようとする大腸等の体腔内にガイドワイヤのように(内視鏡2よりも先に)挿入し、そして挿入された内視鏡挿入補助装置3Lのあとに挿入の難しいチャンネルを持つ内視鏡2の挿入部7を容易に挿入できるようにするものである。
本実施例の内視鏡挿入補助装置3Lは、チューブ16とその先端に設けた先端部材17との外周面に螺旋状構造体18、19を設けたものを通すことができる推進用保持体としての筒体92を内視鏡2の先端部11にテープ93で固定している。
そして、この筒体92内に螺旋状構造体18を設けたチューブ16が移動自在に通るようにしている。
【0049】
なお、本実施例では、チューブ16及び先端部材17には中空部16a及び貫通孔17aを設けて、その内側に細径の処置具等を挿通するのに利用できるようにしているが、中実の紐状の構造にしても良い。
上記チューブ16の後端は、図17の実施例2で説明したように回転駆動装置60に接続され、チューブ16の後端を回転することにより、チューブ16を円滑に推進させることができるようにしている。
また螺旋状構造体18の後端は、図17の実施例2に示すコンプレッサ64に接続されており、空気の給排等により、図18等で説明したように中空チューブで形成された螺旋状構造体18の凹凸を調整できるようにしている。
なお、内視鏡2の先端部11には、照明窓94と観察窓95とが設けてある。
このような構成の本実施例によれば、図35に示すように本内視鏡挿入補助装置3Lを筒体92内に通し、この筒体92を内視鏡検査や処置を行う内視鏡2の先端部11に固定する。
【0050】
そして、内視鏡2の先端部11よりも前方側に突出する内視鏡挿入補助装置3Lの先端部材17を大腸等に先に挿入する。そして、チューブ16の後端を回転駆動機構により回転することにより、この内視鏡挿入補助装置3Lを円滑に推進させて大腸等の体腔内の深部側に挿入することができる。
この内視鏡挿入補助装置3Lを挿入した後、内視鏡2の後端側を押し込む操作を行うことにより、内視鏡挿入補助装置3Lをガイドとして、内視鏡2の挿入部7の先端側を大腸等の体腔内の深部側に円滑に挿入することができる。
内視鏡2の挿入部7の先端側を大腸等の体腔内の深部側に挿入する際、内視鏡挿入補助装置3Lにおいて、コンプレッサ64により排気することにより、チューブ16の表面を図18(B)のように平坦な表面状態にでき、これにより円滑に内視鏡2を挿入することができる。
【0051】
本実施例によれば、チャンネルを有さない細径の挿入部7の内視鏡2の場合はもとより、チャンネル91を有するより太い挿入部7の内視鏡2の場合にも使用でき、その内視鏡の挿入補助に利用できる。
なお、図18の構造の他に、図25〜図28の変形例の構造を利用して、内視鏡2の挿入作業を行うようにしてもほぼ同様の作用効果が得られる。
図36は第1変形例における推進用保持体92Cを示す。この推進用保持体92Cには、図36(B)に示すようにチューブ16を通す孔96aとチューブ16外周面に設けた螺旋状構造体18のピッチで形成し、この螺旋状構造体18を収納する螺旋状溝96bを有するナット状ガイド92Bを有する。
この第1変形例によれば、チャンネル91を有するより太い挿入部7の内視鏡2をより効率良く推進させることができる。
【0052】
図37に示す推進用保持体92Cは、図38の切り欠き図に示すように内視鏡2の挿入部7の例えば先端部11付近を通す孔97aを有すると共に、螺旋状構造体18を設けたチューブ16を通すナット状ガイド92Bを回転自在に保持する孔97bを有する。
また、この推進用保持体92Cの内部には、回転駆動用のモータ99が設けてあり、このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aは、ナット状ガイド92Bの外周面に取り付けたギヤ100bと噛合している。なお、ギヤ100a、100bの周囲の推進用保持体92C部分は、ギヤ100a、100bが回転できるように切り欠かれている。
【0053】
なお、モータ99は、図示しない信号線を介して手元側の制御部65と接続され、操作部66の操作によりモータ99の回転及び回転停止を制御することができる。
そして、術者等のユーザは、操作部66を操作して、モータ99を回転駆動することにより、ナット状ガイド92Bを回転駆動できるようにしている。なお、ナット状ガイド92Bの内周面には、図36で説明したようにチューブ16を通す孔と螺旋状構造体18を嵌合して通す螺旋状溝が設けてある。
このような構成とすることにより、チューブ16が大腸等の体腔内に挿入された後に、推進用保持体92Cに取り付けられた回転駆動用モータ99を回転させると、内視鏡2の先端側が自動的にガイドワイヤのように機能するチューブ16に沿って推進することができる。
【0054】
図39は第2変形例の内視鏡挿入補助装置3Nの先端側を内視鏡2に取り付けた状態を示す。本変形例は、例えば図35の内視鏡挿入補助装置3Lにおいては、筒体92内に螺旋状構造体18を設けたチューブ16を通していたが、本変形例では、螺旋状構造体18を設けたチューブ16を挿通するシース102を通すようにしている。
また、本変形例では、このシース102の先端に推進用保持体92Dを設けている。この推進用保持体92Dを図40に示す。また、図41は、推進用保持体92Dの内部構造を示す。この推進用保持体92Dは、図38に示したものとほぼ同様な構造を有している。
つまり図41に示すように、この推進用保持体92Dの内部には、回転駆動用のモータ99と、このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aと、このギヤ100aに噛合するギヤ100b及びこのギヤ100bを取り付けたナット状ガイド92Bが設けられている。
【0055】
そして、術者等のユーザは、チューブ16を体腔内深部に挿入後、操作部66を操作して、モータ99を回転駆動することにより、推進用保持体92D内部に回転自在に保持されたナット状ガイド92Bを回転駆動して、シース102をチューブ16の先端部にまで推進させることができるようにしている。
本変形例の場合、螺旋状構造体18が外周面に設けられたチューブ16を外周面が平坦なシース102により覆うようにしているので、内視鏡2の挿入作業を円滑にする効果を有する。
図42は第3変形例の内視鏡挿入補助装置3Pの先端側を専用の内視鏡112に挿通した状態を示す。本変形例は、図43に示すように例えば下方側から挿脱できる先端開口113(及びこの先端開口113と同じ断面形状のチャンネル)を有する専用の内視鏡112を用い、この先端開口113から内視鏡挿入補助装置3Pを前方に突出して挿入補助に用いることができる。なお、図43(A)は内視鏡112の先端側の斜視図を示し、図43(B)は正面図を示す。
【0056】
なお、この内視鏡112は、挿入部7及びその他の部分は、上述した内視鏡2と同様の構成である。
本変形例の場合、この内視鏡挿入補助装置3Pをガイドワイヤのように使用することができる。
また、この内視鏡挿入補助装置3Pの場合には、図44に示すように、このチューブ16の中空部内に処置具114を挿通して処置を行うこともできる。
さらに図示しないが太径のチャンネルや複数のチャンネルを持った処置具用の内視鏡のチャンネルに内視鏡挿入補助装置を内視鏡先端から挿通し、利用する利用方法も可能である。
【実施例4】
【0057】
次に本発明の実施例4を説明する。図45は本発明の実施例4の内視鏡挿入補助装置3Qの先端側の構成を示す。本実施例では、先端部材17には、螺旋状構造体を設けない構成にしている。
この内視鏡挿入補助装置3Qは、先端部材17の硬度が、先端側程柔らかく、後端に向けて硬度が連続的に変化する構成にしている。
具体的には、この先端部材17は、点線で示すように円錐形状をした硬度が高い部材121と、この円錐形状をした硬度が高い部材121の外周面を覆う硬度が低い部材122とにより構成されている。
【0058】
そして、先端側を屈曲した体腔内に円滑に挿入し易い構造にしている。例えば管路の先端側が下方に屈曲していると、その屈曲に応じて、この先端部材17の先端側が1点鎖線で示すように屈曲し、スムーズに挿入することができるようになる。その他は実施例1等と同様の構成である。
このような構成とすることにより、本実施例における先端部材17の硬度変化により、先端部材17が曲がりやすく、屈曲追従性が向上する効果を有する。
図46は、第1変形例の内視鏡挿入補助装置3Rの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Rは、先端部材17をその先端側程、外径が小さくなる円錐面123を有する形状、或いは先細りテーパ形状にしている。本変形例は、閉じた管腔の通過性が向上する効果を有する。
【0059】
図47は、第2変形例の内視鏡挿入補助装置3Sの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Sは、例えば図45の先端部材17の表面に潤滑剤124等を塗布するなどして先端部材17の表面の滑り性を向上している。
本変形例によれば、潤滑処理により先端部材17の滑りがよくなり、挿入性が向上する。潤滑剤は、光触媒などの親水潤滑剤や滑り性の良いテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂コートでも良い。
図48は、第3変形例の内視鏡挿入補助装置3Tの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Tは、中空ビーズ125を複数個、回転自在に連結した先端部材17を形成している。このような構成にして、先端部材17を屈曲し易い構造にしている。
【0060】
そして、体腔内に挿入した場合、例えば先端側が下側に屈曲していると、2点鎖線で示すようにその方向に屈曲させることができ、屈曲した部分への追従性を向上している。
【0061】
本変形例によれば、先端が柔軟に曲がる構造になり、屈曲部への追従性が向上する効果を有する。
【0062】
図49は、第4変形例の内視鏡挿入補助装置3Yの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Yは、所定周期Tで先端部材17を構成する部材125の硬度が変化する構成にしている。具体的には、チューブ16の先端に、その長手方向に沿って所定周期Tで凸部及び凹部を丸みを付けて形成し、凹部を形成した部分の硬度をより柔らかくして屈曲し易くしている。
【0063】
本変形例によれば、硬度が変化することで、先端部材が曲がりやすく屈曲の追従性が向上する効果を有する。
【0064】
上述した実施例等においては、先端部材17は、チューブ16の外径よりも太くしていたが、図50に示すようにチューブ16の外径と等しくした外径の先端部材17′として内視鏡挿入補助装置3Vにしても良い。
【0065】
この内視鏡挿入補助装置3Vは、螺旋状構造体18が設けられたチューブ16の先端に、このチューブ16の外径と等しくした外径の先端部材17′を設けている。なお、中空部内には内視鏡2を挿通可能にしている。
【0066】
本変形例においても体腔内への良好な挿入性を確保することができる。
【0067】
また、図50に示した先端部材17′の形状や硬度を、上述した先端部材17を適用しても良い。
【0068】
つまり、先端部材としては、チューブ16の外径と略同径以上の最大外径を有するものは本発明に属する。
また、上述した各実施例等を部分的に組み合わせたり、一部を変更したりしたものも本発明に属する。
【0069】
[付記]
1.請求項4において、前記回転駆動手段は、所定値以上のトルクが作用した場合には、前記チューブ側の回転を規制する回転規制手段を有する。
2.請求項1において、前記チューブ及び先端部材の少なくとも一方を湾曲する湾曲機構を有する。
3.付記2において、前記湾曲機構は、電圧の印加により収縮する部材を用いて構成される。
4.請求項5において、前記可変手段は、前記螺旋状構造体を構成する中空チューブと、前記中空チューブに流体を給排する給排手段とからなる。
5.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間に流体を供給する手段を有する。
6.請求項4において、前記回転駆動手段は、モータによる回転力により前記チューブを回転駆動する。
【0070】
7.付記6において、前記モータは、中空の回転軸を有し、内視鏡の挿入部を挿通可能である。
8.請求項4において、前記回転駆動手段は、チューブの外周面に設けた複数の電磁石と、前記複数の電磁石の外周側に設けられた複数の電磁石とを用いて構成される。
9.請求項6において、前記先端部材の外径を可変にする手段は、前記先端部材の外周面に設けたバルーンと、前記バルーンに流体を給排する給排手段とからなる。
10.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間を回転自在に密閉して内部に潤滑材を充填した。
11.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間にさらに回転自在に保持したチューブを介挿した。
【0071】
12.付記2において、前記チューブの先端付近に前記湾曲機構を設けた。
13.請求項5において、前記チューブの外周面に設けた螺旋状構造体と前記先端部材の外周面に設けた螺旋状構造体とをそれぞれ中空チューブで形成し、両中空チューブを連通させた。
14.付記2において、前記湾曲機構は、少なくとも1方向に湾曲する。
15.付記1において、前記回転規制手段は、摩擦面が圧接された2つの円板状部材を用いて構成される。
16.請求項5において、前記可変手段は、前記螺旋状構造体を覆う中空チューブと、前記中空チューブに流体を給排する給排手段とからなる。
17.付記1において、前記回転規制手段は、圧接された2つの円板状部材と、両円板状部材を連結状態に保持し、適度のトルクで分離可能な連結部材を用いて構成される。
【0072】
18.付記1において、前記回転規制手段は、トルクを検出するセンサと、前記センサの出力で回転駆動手段の回転駆動を停止させる制御手段を有する。
19.付記1において、前記回転規制手段は、前記チューブの外周面に、その長手方向に沿って複数配置される円筒部材と、各円筒部材の外周面にそれぞれ設けられた螺旋状構造体とからなる。
20.請求項1において、内視鏡の挿入部の先端側の側面に取り付けられ、前記螺旋状構造体が設けられた前記チューブを移動可能に保持する保持体を有する。
21.付記20において、前記保持体は、前記チューブを回転駆動する回転駆動手段を有する。
22.請求項1において、前記螺旋状構造体が設けられた前記チューブは内視鏡のチャンネル内に挿通可能である。
【0073】
23.請求項1において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の最大外径を持ち、先端に向けて該外径が小さくなる形状となっている。(効果:先端形状が曲面なので屈曲に追従しやすい。綴じた管腔を通過しやすい。)
24.付記23において、前記先端部材が先端に近いほど外径が小さいテーパ形状である。(効果:閉じた管腔の通過性が向上する。)
25.請求項1において、前記先端部材が外力によって受動湾曲可能である柔軟な材料からなる。(効果:先端が柔軟に曲がる構造になり、屈曲部への追従性が向上する。)
26.請求項1において、前記先端部材の外径が周期的に変化する形状である。(効果:硬度が変化することで、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
27.請求項1において、前記先端部材の硬度が周期的に変化する形状である。
【0074】
(効果:硬度変化により、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
28.請求項1において、前記先端部材の硬度が先端ほど軟らかく、後端に向けて連続的に変化する構成となっている。(効果:硬度変化により、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
29.請求項1において、前記先端部材の表面に潤滑処理を施したことを特徴とする。(効果:潤滑処理により先端部材の滑りがよくなり、挿入性が向上する。)
30.付記2において、前記湾曲機構が手元操作部側でワイヤを引っ張ることで湾曲する構成となっている。
31.付記2において、前記湾曲機構が複数方向への湾曲が可能であり、湾曲機構が湾曲したままチューブを回転させても湾曲方向が一定となるように制御する制御手段が設けられている。
【0075】
33.付記2において、前記湾曲機構が一方向へのみ湾曲が可能であり、湾曲、チューブの回転、回転停止、湾曲解除を繰り返すことで屈曲部分が通過するように制御する制御手段が設けられている。
34.請求項3において、前記チューブの挿通された内視鏡の湾曲部に重なる箇所付近は、それ以外の部分より軟らかい材料で構成されている。(効果:内視鏡の湾曲機構を用いて前記チューブを湾曲させることができる。)
35.請求項3において、前記チューブの前記先端部材との接続部近傍が湾曲可能なように軟らかい材料で構成されている。
【0076】
36.請求項5において、前記螺旋構造体の高さを無くし前記チューブを平坦とする手段として、体腔挿入後に螺旋構造体をチューブから取り外す機構を有する。
37.請求項1において、前記内視鏡挿入補助装置挿入後に挿入される内視鏡は、該補助装置を下方側から挿脱できる断面形状を持つ専用の内視鏡である。
38.請求項1において、前記内視鏡補助装置挿入後に内視鏡を挿入する場合、前記チューブに別のチューブを重ねて前記螺旋構造体による凹凸をなくし、内視鏡の挿入を円滑にする。
39.請求項3において、前記チューブと前記先端部材に連通した貫通孔は、内視鏡チャンネルとして処置具を挿通することができる。
【0077】
40.可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径と同径以上の外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする内視鏡挿入補助装置。
41.付記40において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の最大外径を持ち、先端に向けて該外径が小さくなる形状となっている。
42.付記41において、前記先端部材が先端に近いほど外径が小さいテーパ形状である。
43.付記40において、前記先端部材が外力によって受動湾曲可能である柔軟な材料からなる。
44.付記40において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の外径を持つ中空ビーズ体を複数個回転自在に連結したものである。
【0078】
45.付記40において、前記先端部材の外径が周期的に変化する形状である。
46.付記40において、前記先端部材の硬度が周期的に変化する形状である。
47.付記40において、前記先端部材の硬度が先端ほど軟らかく、後端に向けて連続的に変化する構成となっている。
48.付記40において、前記先端部材の表面に潤滑処理を施したことを特徴とする。 49.付記40において、前記チューブ及び先端部材の少なくとも一方を湾曲する湾曲機構を有する。
【0079】
50.付記49において、前記湾曲機構が手元操作部側でワイヤを引っ張ることで湾曲する構成となっている。
51.付記49において、前記湾曲機構が複数方向への湾曲が可能であり、湾曲機構が湾曲したままチューブを回転させても湾曲方向が一定となるように制御する制御手段が設けられている。
52.付記49において、前記湾曲機構が一方向へのみ湾曲が可能であり、湾曲、チューブの回転、回転停止、湾曲解除を繰り返すことで屈曲部分が通過するように制御する制御手段が設けられている。
53.付記49において、前記チューブの挿通された内視鏡の湾曲部に重なる箇所付近は、それ以外の部分より軟らかい材料で構成されている。
54.付記40において、前記先端部材は、前記チューブの中空部と連通する貫通孔を有し、前記チューブの末端側から貫通孔まで内視鏡の挿入部を挿通可能にした。
【0080】
55.付記54において、前記チューブの前記先端部材との接続部近傍が湾曲可能なように軟らかい材料で構成されている。
【0081】
56.付記40において、前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体の前記外周面から突出する高さを可変にする可変手段を有する。
57.付記56において、前記螺旋構造体の高さをなくし前記チューブを平坦とする手段として、体腔挿入後に螺旋構造体をチューブから取り外す機構を有する。
58.付記40において、前記内視鏡挿入補助装置挿入後に挿入される内視鏡は、該補助装置を下方側から挿脱できる断面形状を持つ専用の内視鏡である。
59.付記40において、前記内視鏡補助装置挿入後に内視鏡を挿入する場合、前記チューブに別のチューブを重ねて前記螺旋構造体による凹凸をなくし、内視鏡の挿入を円滑にする。
60.付記54において、前記チューブと前記先端部材に連通した貫通孔は、内視鏡チャンネルとして処置具を挿通することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
可撓性のチューブ及びその先端に設けた拡径の先端部材との外周面に螺旋状突起を設けているので、回転することにより、大きな推進力が得られ、体内等に挿入される内視鏡の挿入を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例1を備えた内視鏡装置の全体構成図。
【図2】実施例1の内視鏡挿入補助装置の外観を示す斜視図。
【図3】図2の先端側の構造を示す図。
【図4】図1における回転駆動装置の構造を示す断面図。
【図5】回転方向と進行方向の関係を示す図。
【図6】内視鏡挿入補助装置に内視鏡の挿入部を挿通した状態を示す図。
【図7】内視鏡の挿入部を挿通した状態で、内視鏡の湾曲機構により湾曲可能であることを示す図。
【図8】内視鏡と内視鏡挿入補助装置との空隙に流体を注入した様子を示す断面図。
【図9】大腸内に挿入する様子を示す説明図。
【図10】第1変形例における回転駆動装置を示す斜視図。
【図11】第2変形例における回転駆動装置等を分解して示す斜視図。
【図12】第3変形例における回転駆動装置を示す断面図。
【図13】第4変形例の内視鏡挿入補助装置の概略の構成を示す図。
【図14】挿入部位に対応して先端部材の外径を変更した様子等を示す説明図。
【図15】第5変形例における内部構成の概略図。
【図16】第6変形例における内部構成の概略図。
【図17】本発明の実施例2の内視鏡挿入補助装置の全体構成図。
【図18】中空チューブにより構成した螺旋構造体の突出する高さを変更した様子を示す図。
【図19】第1変形例の内視鏡挿入補助装置の全体構成図。
【図20】第1変形例において、中空チューブにより構成した螺旋構造体の突出する高さを平坦にした状態を示す図。
【図21】実施例2における湾曲部の構造を示す斜視図。
【図22】変形例における湾曲部の構造を示す斜視図。
【図23】湾曲制御した場合における先端側の屈曲形状を示す図。
【図24】トルクリミッタによる作用説明図。
【図25】第2変形例における細径の密巻きコイル状の部材で形成した螺旋状構造体を示す図。
【図26】第3変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図27】第4変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図28】第5変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図29】第6変形例における回転規制機構を示す図。
【図30】第7変形例における回転規制機構の構成を示す図。
【図31】トルクリミッタの設置場所を示す図。
【図32】第8変形例における部分的な回転規制機構の構成を示す図。
【図33】第9変形例における体腔内への挿入の作用の説明図。
【図34】第10変形例の先端側を示す図。
【図35】本発明の実施例3の先端側の構成を示す斜視図。
【図36】第1変形例における推進用保持体の構造を示す図。
【図37】第2変形例における推進用保持体の概略の構成を示す斜視図。
【図38】図37の推進用保持体の内部構成を示す図。
【図39】第3変形例における内視鏡に取り付けた状態の推進用保持体付近を示す斜視図。
【図40】図39における推進用保持体の概略の構成を示す斜視図。
【図41】図40の推進用保持体の内部構成を示す図。
【図42】専用の内視鏡のチャンネル内に挿通した第4変形例の先端側を示す斜視図。
【図43】専用の内視鏡の先端部付近の外観等を示す図。
【図44】第4変形例の中空部内に処置具を挿通した状態を示す図。
【図45】本発明の実施例4の先端側の構成を示す斜視図。
【図46】第1変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図47】第2変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図48】第3変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図49】第4変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図50】チューブの外径と等しい外径の先端部材を設けた内視鏡挿入補助装置の先端側の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0084】
1…内視鏡装置
2…内視鏡
3…内視鏡挿入補助装置
5…CCU
6…モニタ
7…挿入部
8…操作部
11…先端部
12…湾曲部
16…チューブ
16a…中空部
17…先端部材
17a…貫通孔
18、19…螺旋状構造体
21…回転駆動装置
22…保持体
23…モータ
24、25…ギヤ
26…筒体
27…駆動装置
28…操作ノブ
29…軸受け
代理人 弁理士 伊藤 進
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋状構造体を利用して内視鏡の挿入を補助する内視鏡挿入補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療用分野及び工業用分野において広く使用されるようになった。この内視鏡を体腔内等の屈曲した部位に挿入する場合、円滑に挿入できるように内視鏡挿入補助装置が使用される場合がある。
例えば第1の従来例としての特開昭54−78884号公報には、挿入部自体を螺旋状にして、手元側で捻る操作を行うことにより、大腸内への挿入を行い易くしたファイバスコープが開示されている。
また、第2の従来例としての実開昭51−73884号公報には、円筒と輪(リング)をリベットで多数連結し、さらに外側に螺旋状の部材を設けて、その内側にファイバスコープを挿通して、大腸に挿入し易くした内視鏡挿入補助装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭54−78884号公報
【特許文献2】実開昭51−73884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記第1の従来例では、挿入部が直線状となる通常の内視鏡の挿入には利用できない欠点がある。また、第2の従来例は、構造が複雑となり、コストが嵩む。
また、第2の従来例は、外径が可変でないため、様々な径をとり得る体腔との接触が十分でなく、回転した場合、推進力が不足する可能性がある。
また、第2の従来例は、抜去する場合、螺旋状の部材による凹凸が円滑な抜去の妨げになる可能性がある。
【0004】
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、回転により円滑に推進させることができる内視鏡挿入補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の内視鏡挿入補助装置は、可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径より大きい外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする。
上記構成により、チューブの外径より大きい外径を有する先端部材が、管腔内壁に接触する。このとき、先端部材の管腔内壁への接触面積が大きくとれることにより、ハウストラ(結腸膨起)へ捕捉されることなく、チューブが管腔に挿入される。また、チューブに設けられた螺旋状構造体が、管腔内壁に接触して回転することにより、チューブが推進し、円滑な挿入を可能とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、先端部材の外径がチューブの外径より大きいため、管腔内壁へ与える圧力を減らせる。こうすることで、螺旋状構造体の回転により得られるチューブの推進力を有効に利用できるため、内視鏡を挿通させたチューブの管腔への挿入性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図16は本発明の実施例1に係り、図1は本発明の実施例1を備えた内視鏡装置の構成を示し、図2は実施例1の内視鏡挿入補助装置の外観を示し、図3は図2の先端側の構造を示し、図4は図1における回転駆動装置の構造を示し、図5は回転方向と進行方向の関係を示し、図6は内視鏡挿入補助装置に内視鏡の挿入部を挿通した状態を示す。
また、図7は内視鏡の挿入部を挿通した状態における内視鏡の湾曲機構を利用して湾曲可能であることを示し、図8は内視鏡と内視鏡挿入補助装置との空隙に流体を注入した様子を示し、図9は大腸内に挿入する様子を示し、図10は第1変形例における回転駆動装置を示す。
また、図11は第2変形例における回転駆動装置等を分解して示し、図12は第3変形例における回転駆動装置を示し、図13は第4変形例の内視鏡挿入補助装置の概略の構成を示し、図14は挿入部位に対応して先端部材の外径を変更した様子等を示し、図15は第5変形例における内部構成の概略を示し、図16は第6変形例における内部構成の概略を示す。
【0009】
図1に示すように実施例1を備えた内視鏡装置1は、内視鏡検査等を行う内視鏡2と、この内視鏡2を内側に挿通可能とし、内視鏡2の挿入を補助する実施例1の内視鏡挿入補助装置3と、内視鏡2に照明光を供給する光源装置4と、内視鏡2に内蔵された撮像素子に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)5と、このCCU5から出力される映像信号が入力されることにより、撮像素子で撮像した内視鏡画像を表示するモニタ6とを有する。
内視鏡2は、体腔内等に挿入される可撓性を有する細長の挿入部7と、この挿入部7の後端に設けられた操作部8と、この操作部8の側部から延出されるケーブル部9とを有する。ここで、ケーブル部9の末端は、光源装置4とCCU5とに接続される。
また、挿入部7は、その先端に照明窓と観察窓とが設けられた硬質の先端部11(図6及び図8参照)と、この先端部11の後端に設けられ、湾曲自在の湾曲部12(図8参照)とを有する。この湾曲部12は、操作部8に設けた湾曲操作ノブ14を操作することにより、所望とする方向に湾曲することができるようにしている。
【0010】
光源装置4は、内視鏡2の図示しないライトガイドに照明光を供給する。供給された照明光は、照明窓から出射され、体腔内を照明する。照明された体腔内において反射又は拡散した光は、観察窓に取り付けた対物レンズにより、その結像位置に配置された固体撮像素子にその光学像として結像されて、撮像面において光電変換される。固体撮像素子により光電変換された信号は、CCU5により信号処理され、標準的な映像信号に変換された後モニタ6に送られる。そして、モニタ6の表示面に固体撮像素子に結像された光学像が内視鏡画像として表示される。
図1及び図2に示すように本実施例の内視鏡挿入補助装置3は、可撓性(軟性)のチューブ16を有している。このチューブ16の先端には、例えば樹脂等の軟性部材で形成された適度の硬さを有し、チューブ16より拡径の先端部材17が設けてある。
【0011】
また、チューブ16の外表面には、細径の中空或いは中実の紐状の樹脂を螺旋状に取り付けて、その部分を外表面から螺旋状に突出させた螺旋状構造体18が設けてある。また、先端部材17の略円筒状の外表面にも、同様に螺旋状構造体19が設けてある。なお、螺旋状構造体18と19とは、連結して形成しても良い。
本実施例では、チューブ16の外周面に螺旋状構造体18を設けると共に、このチューブ16の先端にさらに拡径の先端部材17を設け、この先端部材17の外周面にも螺旋状構造体19を設けて、チューブ16を回転することにより、特に先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体19による大きな推進力で推進させることができるようにしていることが特徴となっている。
【0012】
図3に示すようにチューブ16内側の中空部16aは、先端部材17の中心軸に沿って設けた貫通孔17aと連通している。そして、この中空部16aの後端から内視鏡2の挿入部7を挿通し、挿入部7の先端部11を貫通孔17a内に配置し、さらに貫通孔17aの先端開口に内視鏡2の照明窓及び観察窓を露出させた状態に設定することで、体腔内を観察できるようにすることができる。
図1に示すように、このチューブ16の後端には、このチューブ16を回転する回転駆動装置21が設けてある。
図1及び図4にも示すように、この回転駆動装置21は、保持体22に取り付けられたモータ23と、このモータ23の回転軸に取り付けたギヤ24と、チューブ16の後端を保持する筒体26の先端に取り付けられたギヤ25とを有している。このギヤ25は、モータ23の回転軸に取り付けたギヤ24と噛合している。そして、モータ23を回転することにより、該ギヤ25を回転させて、筒体26及びチューブ16を回転できるようになっている。
【0013】
また、このモータ23はケーブルを介してモータ駆動装置27に接続されている。このモータ駆動装置27は、駆動用バッテリを内蔵すると共に、モータ23の回転数、回転方向を制御する制御回路も内蔵し、さらにこのモータ駆動装置27の上面には操作ノブ28が設けてある。
そして、ユーザは、この操作ノブ28を前方側に傾けるとチューブ16を前方側に移動させる、つまり推進させる方向にモータ23を回転させることができ、操作ノブ28を後方側に傾けるとチューブ16を後方側に移動させる、つまり後退させる方向にモータ23を回転させることができるようにしている。
なお、図4に示すようにチューブ16の後端は、筒体26の内周面に取り付けられており、この筒体26は、回転自在に支持する軸受け29を介して保持体22に回転自在に保持されている。
【0014】
図5は、回転方向と進行方向との関係を示す。図5に示すように螺旋状構造体18,19は右ねじ状に設けてあり、チューブ16を時計回り方向に回転させることにより、チューブ16を前進させることができ、チューブ16を反時計回り方向に回転させることにより、チューブ16を後方側に移動させることができる。
上述したが、図6に示すようにこのチューブ16の中空部16a内には、内視鏡2の挿入部7を挿通することができる。つまり、チューブ16の末端から細径の内視鏡2の挿入部7の先端側を挿入し、先端部材17まで挿入部7を挿通させることが可能である。図6では、挿入部7の先端部11を先端部材17の貫通孔17aより僅かに突出させた状態を示している。貫通孔17aの先端開口に内視鏡2の先端面を露呈させた状態にすることにより、観察機能を使用することができる。
【0015】
また、内視鏡2には、湾曲部12が設けてあるので、図1或いは図6のようにチューブ16内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態では、図7に示すように内視鏡2の湾曲機構を利用して、チューブ16を湾曲させることができる。
つまり、本実施例では、内視鏡2を挿通した状態では、内視鏡2の観察機能と湾曲機能を使用することができる。このため、本実施例の内視鏡挿入補助装置3は、簡単な構成で内視鏡2の挿入を円滑に補助する機構を備えたものを実現している。
また、図8に示すように内視鏡2の挿入部7側を回転させないで、その外周側のチューブ16及び先端部材17側を円滑に回転させることができる機能(円滑な回転機能)を向上するために、チューブ16の末端側から潤滑剤として水あるいは空気のような流体31を両者の隙間に注入するようにしても良い。
【0016】
このように両者の隙間に流体31を注入することにより、挿入部7を推進させるために、チューブ16側を回転駆動した際、内視鏡2の挿入部7側が回転されないで、より円滑な挿入を維持することができる。
このような構成による本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて体腔内に内視鏡2を挿入する作用を説明する。
図9は、大腸37内に本実施例の内視鏡挿入補助装置3を用いて、この内視鏡挿入補助装置3の中空部内に内視鏡2の挿入部7を挿通した状態で、肛門36から大腸37の深部側に挿入した様子を示している。
大腸37の深部側に内視鏡2の挿入部7を挿入する場合、本実施例の内視鏡挿入補助装置3内に挿入部7を挿通した状態で、この内視鏡挿入補助装置3の先端部材17から肛門36内に挿入する。
【0017】
肛門36内に挿入した直後の状態を示す図9(B)のように、大腸37が略直線状の場合には湾曲操作を必要としないで、手元側の回転駆動装置21によりチューブ16の後端を回転させることにより、先端部材17を大腸37の深部側に推進させることができる。 つまり、本実施例では、チューブ16の先端に、チューブ16の外径よりも大きな外径の先端部材17の外周面(外表面)に螺旋状構造体19が設けてあるので、大腸37の内壁面との接触による摩擦力が作用する状態で先端部材17を回転することにより、螺旋状構造体19が大腸37の内壁面に螺旋状に順次当接するような軌跡で移動する。
そして、螺旋状の移動軌跡と共に、先端部材17を深部側に効率良く推進させることができる。
また、S字結腸等の屈曲している部分では、図9(C)に示すように、内視鏡2による観察下で内視鏡2の湾曲部12を屈曲している方向へ湾曲させるようにして、回転駆動装置21による回転を行うことにより、先端部材17に屈曲部分を通過させる。
【0018】
このようにして、図9(A)に示すように、先端部材17を大腸37内の深部側に推進させることができる。また、さらに深部側に挿入することも円滑に行うことができる。 図10は、第1変形例の内視鏡挿入補助装置3Bにおける回転駆動装置21B部分の構成を示す。この回転駆動装置21Bは、モータ23の回転軸にプーリ41を取り付け、ベルト42を介してチューブ16の後端を保持する筒体26に取り付けたプーリ43を回転駆動する構成にしている。
なお、図10では、簡単化のため、図1或いは図4に示した筒体26及びモータ23を保持する保持体22を省略している。この第1変形例を用いた場合の作用効果は、図1或いは図4のギヤ24、25を用いた場合とほぼ同様である。
【0019】
図11(A)は、第2変形例における回転駆動装置21Cを分解して示す。この回転駆動装置21Cは、図11(B)に示すように中空の回転軸44aを備えたモータ44を採用している。このようにモータ44を中空の回転軸44aとすることで、モータ44の回転による回転駆動力を直接チューブ16に伝達する構造にしている。
つまり、チューブ16の後端をモータ44の中空の回転軸44aの前端に取り付け、また、この回転軸44aにおける中空部内に後端から内視鏡2の挿入部7を挿通する構造にしている。
この第2変形例における回転駆動装置21Cを用いると、伝達ロスを低減できると共に、簡単な構成で実現でき、また低コスト化することもできる。
図12(A)は、第3変形例における回転駆動装置21Dの縦断面を示し、図12(B)は、そのA−A線断面図を示す。
【0020】
チューブ16の後端付近は、軸受け29を介して保持用筒体46に回転自在に保持されている。また、チューブ16の後端の外周面には、例えばコイル(或いは電磁石)47が取り付けてあり、このコイル47の外周側に対向する保持用筒体46の内周面にもコイル(或いは電磁石)48が取り付けてある。
図12(B)に示すように、両コイル47、48は周方向に複数に分割して形成されている。そして、図示しない電源装置が対向するコイル47、48間に位相をずらした交流電流を印加するように設定されている。こうすることで、保持用筒体46の内周面に固定されたコイル48に対してコイル47側に相対的に回転磁界を印加し、コイル47と共にチューブ16側を回転できるようにしている。
本変形例は、図11の第2変形例の場合とほぼ同様の効果を有する。なお、本変形例において、両コイル47、48における一方のコイルをマグネットに置換しても良い。例えば回転される側のコイル47をマグネットにすると、コイル47に電流を供給する接点等の構造を不要にできる。
【0021】
図13は、第4変形例の内視鏡挿入補助装置3Eの概略の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Eにおいては、流体給排装置として(流体としての)圧縮空気を給排するコンプレッサ51を有する。本変形例では、チューブ16に設けた螺旋状構造体18は、中空チューブにより構成されており、この中空チューブの後端は、コンプレッサ51に接続されている。
また、この螺旋状構造体18を構成する中空チューブの先端は、先端部材17の外周面に設けたバルーン52に接続されている。なお、この場合には、螺旋状構造体18は先端部材17の外周面を覆うバルーン52の外周面に設けられた伸縮性に富むゴム等の弾性部材により形成されている。
そして、コンプレッサ51から中空チューブを介してバルーン52の内側に圧縮空気を送ることにより、バルーン52を膨張させることができるようにしている。
【0022】
ユーザは、スイッチ53をOFFからONの状態にすることにより、コンプレッサ51から圧縮空気をバルーン52に送ることができる。
図14は、この内視鏡挿入補助装置3Eによる作用説明図を示す。
図14(A)に示すように、例えばこの内視鏡挿入補助装置3Eを体腔54内に挿入した場合、体腔54の内径が先端部材17の外径よりも大きいと、先端部材17を回転させても十分な推進力が得られない場合がある。
このような場合、ユーザは、スイッチ53をONにすることにより、コンプレッサ51を作動させて、圧縮空気をバルーン52に送り、図14(B)に示すようにバルーン52を膨張させることができる。
そして、その外周面の螺旋状構造体19を体腔54の内壁に接触させることができる。この状態で内視鏡挿入補助装置3Eを回転させることにより、大きな推進力を発生できる状態に設定することができ、体腔54内を円滑に推進させることができる。
【0023】
図15は、第5変形例における内視鏡挿入補助装置3Fの内部構成の概略を示す。本変形例では、チューブ16と内視鏡2の挿入部7との間の潤滑性を向上するため、挿入部7の先端部11の外周面と先端部材17の内周面との間にベアリング等による円環状の軸受け55を配置して回転可能に密閉し、その密閉した内部にオイル等の潤滑材56を充填している。
このようにすることにより、内視鏡2側を回転させることなく、その外周側のチューブ16及び先端部材17側を回転させることができる。
図16は、第6変形例における内視鏡挿入補助装置3Gの内部構成の概略を示す。本変形例では、チューブ16と内視鏡2の挿入部7との間の潤滑性向上のため、チューブ16を二重のシース57、58により構成している。
内側のシース58は、挿通される内視鏡2の挿入部7が殆どぴったりはまるようにし、シース57と58との間には、例えば適宜の間隔で軸受け59を配置している。
このような構成にすることにより、外側のシース57側のみを回転し易い構造にしている。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の実施例2を説明する。
図17は、本発明の実施例2の内視鏡挿入補助装置3Hの概略を示す。この内視鏡挿入補助装置3Hは、例えばチューブ16の後端側に回転駆動装置60を設けている。
この回転駆動装置60は、チューブ16の後端に取り付けられたギヤ61aと、このギヤ61aに噛合して、回転規制手段となるトルクリミッタ62を介してモータ63に接続されたギヤ61bとを有している。
また、チューブ16の外周面に設けた螺旋状構造体18は、中空チューブにより構成されている。この中空チューブの先端は閉塞され、また後端はコンプレッサ64に接続されている。
また、モータ63及びコンプレッサ64は、制御部65に接続され、この制御部65は、操作部66に接続されている。この操作部66による操作により、モータ63による回転及び回転停止の制御や回転速度の制御、及びコンプレッサ64による圧縮空気の供給のON/OFFを制御できるようにしている。
【0025】
上記操作部66を操作してコンプレッサ64により、例えば圧縮空気を送った状態にすることにより、図17或いは図18(A)に示すように柔軟性に富む中空チューブにより形成される螺旋状構造体18を、チューブ16の外径よりも突出させた状態にできる。
一方、上記操作部66を操作してコンプレッサ64により圧縮空気を送らない状態にすることにより、図18(B)に示すように螺旋状構造体18を形成するための中空チューブを膨らませない状態にして、その部分をチューブ16の外径と殆ど同じ外径の状態にできるようにしている。
また、圧縮空気を送る量を調整することによって、螺旋状構造体18を形成する中空チューブのチューブ16表面から突出する高さを調整することもできるようにしている。
【0026】
例えば、図18(A)に示す状態よりもさらに圧縮空気を送る量を多くすることにより、図18(C)に示すように螺旋状構造体18のチューブ16外表面から突出する高さをより高くすることもできる。
このように本実施例においては、螺旋状構造体18を形成するための中空チューブに対して圧縮空気等の流体の供給及び供給停止を制御することにより、螺旋状構造体18を形成した状態にしたり、螺旋状構造体18を形成しない状態にすることが選択できると共に、チューブ16表面から突出する螺旋状構造体18の高さの調整も行うことができるようにしている。
従って、例えば体腔内にチューブ16を挿入する時には、図18(A)或いは図18(C)に示すように、螺旋状構造体18がチューブ16外表面から突出する状態の高さにする。また、チューブ16を抜去する時には図18(B)に示すようにチューブ16の表面を平坦面にして、円滑にかつ短時間に抜去することができる。
【0027】
なお図19に示す第1変形例の内視鏡挿入補助装置3H′のように、チューブ16の外周面に設けた螺旋状構造体18を構成する中空チューブの先端と、先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体19を構成する中空チューブとを接続して、中空部分を連通させても良い。
この場合には、螺旋状構造体19を構成する中空チューブの先端が閉塞されているため、コンプレッサ64により圧縮空気を送ると、図19に示すようにチューブ16の外周面には突出する螺旋状構造体18が形成され、また先端部材17の外周面にも突出する螺旋状構造体19が形成される。
一方、圧縮空気を排気することにより、図20に示すように先端部材17の外周面は略平坦な外周面となり、またチューブ16側の外周面も同様に平坦な面になる。なお、圧縮空気の送気量を変更することにより、螺旋状構造体18及び19における外周面から突出する部分の高さを制御できる。
【0028】
このように本変形例では、チューブ16の外周面と先端部材17の外周面とに中空チューブにより形成した螺旋状構造体18及び19を連通させた状態で、外周面から突出する部分の高さを制御することにより、挿入時における挿入や抜去時における抜去をより円滑に行える。
【0029】
また、本実施例(第1変形例も含む)においては、例えばチューブ16の先端付近の部分、つまり、先端部材17の後端に隣接する部分には、湾曲部(湾曲手段)67を形成している。この湾曲部67は、例えば電圧を印加することにより伸縮させることができる導電性高分子人工筋肉(EPAMと略記)を用いて形成されている。
つまり、図21に示すようにチューブ16の先端付近は、例えば同じ寸法のチューブ状のEPAM68が連結して一体的に形成され、このチューブ状のEPAM68における上下、左右に対応する帯状部分の両面には、それぞれ電極69が形成されている。
【0030】
そして、電極69は、チューブ16の内部などを通した信号線70の一端と接続されている。また、信号線70の他端は、図17に示すようにチューブ16の後端の外周面に取り付けたロータ側となる中空の円板状接点部材71の同心状接点に接続され、この同心状接点に接触するステータ側接点部材72を介して制御部65と接続されている。
そして、操作部66に設けた、例えば湾曲方向指示操作手段としてのジョイスティック66aを傾動する操作を行うことにより、制御部65は、その傾動操作に対応して駆動電圧をEPAM68の電極69に印加して(ジョイスティック66aが)傾動された方向に湾曲部67を湾曲させる。
例えば、ジョイスティック66aが上方向に傾動された場合には、下方向に対応する電極69に最も大きな駆動電圧を印加してその部分のEPAM68を最も大きく伸張させ、、これらの両側の左右の電極69に適度な駆動電圧を印加して少し伸張させることにより、伸張していない上方向に湾曲部67を湾曲させることができる。
【0031】
なお、このEPAM68は、例えば印加する電圧による電界強度の略2乗に比例した歪み量となる特性を有する。
湾曲部67を湾曲させる湾曲手段として、EPAM68以外の手段を用いることもできる。例えばEPAM68の代わりに、図22に示すように、通電することによって収縮する形状記憶合金(SMAと略記)によるSMAワイヤ78を採用しても良い。
【0032】
このSMAワイヤ78は、湾曲部67における上下、左右に相当する部分に、例えば平行線を先端側で折り返すようにして設けてあり、それぞれ湾曲部67の後端付近で信号線70に接続されている。
【0033】
この信号線70の後端側は、EPAM68の場合と同様の構造にしている。そして、湾曲させたい方向のSMAワイヤ78に通電することで、湾曲部67を湾曲させることができる。
この他に、湾曲部67に接続されたワイヤを機械的に引っ張る手段で構成しても良い。 このように湾曲部67を湾曲させるためにいくつかの手段、方法を選択して使用することができる。
【0034】
このように本実施例の内視鏡挿入補助装置3Hでは、チューブ16自体に湾曲機構を設けているので、内視鏡2の挿入部7を挿通しない状態でもその先端側を湾曲させることができる。つまり、実施例1では内視鏡2の挿入部7を挿通した状態では、内視鏡2の湾曲機能を利用して図7に示すように湾曲させることができるが、本実施例では挿入部7を挿通しない状態でもチューブ16の先端側を湾曲させることができる。
つまり、本実施例では、図23(A)に示すように(内視鏡を挿通しない状態で)チューブ16の先端側を所望とする方向に湾曲させることができる。なお、湾曲させたままチューブ16を回転させると、図23(B)に示すように先端側がぶれるので、チューブ16を回転させた場合にも、図23(A)に示すようにチューブ16の湾曲形状を一方向にのみ維持するように湾曲部67を制御しても良い。
【0035】
また、本実施例では、モータ63を回転してチューブ16を回転した場合、螺旋状構造体18,19により円滑にチューブ16側を推進させることができるが、螺旋状構造体18,19に所定値以上のトルクがかかると、回転規制手段となるトルクリミッタ62により、チューブ16側が回転しないようにしている。
このトルクリミッタ62は、クラッチによる滑り構造により構成することができる。例えば、図24(A)に示すように、摩擦面を有する回転伝達用の2枚の円板62a、62bを、それぞれの摩擦面を対向させて、適度の圧力を加えた状態で接触させている。
従って、一方の円板に所定の力以上のトルクが作用すると、図24(B)に示すように2枚の円板62a、62bは、回転力を伝達しない状態になる。本実施例の場合には、モータ63に接続される側の円板62aは回転するが、他方の円板62bは回転しない状態になる。
【0036】
このようにトルクリミッタ62を設けているので、螺旋状構造体18,19の回転により体腔内壁側から螺旋状構造体18、19に所定値以上の力が加わるのを防止するようにしている。
このように本実施例では、実施例1と同様にチューブ16と先端部材17との外周面に螺旋状構造体18、19を設けており、またチューブ16を回転する回転駆動機構を設けているので、実施例1と同様な作用効果を有する。
また(第1変形例を含む)本実施例では、チューブ16及び先端部材17の外周面に設けた螺旋状構造体18、19の(表面から突出する)高さを変更できるようにしているので、挿入や抜去を円滑に行うことができる。
また、回転規制手段としてのトルクリミッタ62を設けているので、螺旋状構造体18,19の回転により体腔内壁側から螺旋状構造体18,19に所定値以上の力が加わるのを防止することができる。
【0037】
また、本実施例では、湾曲部67を設けているので、内視鏡2の挿入部7の先端を、先端部材17まで挿通しないで、本実施例をガイドワイヤとして利用することで体腔内への挿入などを行うこともできる。
図25は第2変形例における螺旋状構造体18bを示す。本変形例では、チューブ16を抜去する時、より円滑に行えるようにため、螺旋の高さを小さくしている。なお、図25では、細径な密巻きコイル状に螺旋状構造体18bを設けている(螺旋状構造体18bの内側に図示しないチューブ16がある)。この螺旋状構造体18bは小さな螺旋状構造であるが、単位長さ当たりに多くの螺旋状構造体18bを設けているので、回転させた場合に所定の推進力を維持できる。
一方、抜去時には、螺旋状構造体18bは小さな凹凸の螺旋状構造であるので、円滑に抜去できる。
【0038】
また、図26は第3変形例におけるチューブ構造の例を示す。本変形例では、図25と同様の目的のために、チューブ16表面を柔軟で薄肉の外チューブ74で覆うようにしている。この外チューブ74の後端側は、コンプレッサ64に接続され、外チューブ74の内側に空気75を送り込んだり、送り込んだ空気を排気できるようにしている。
そして、チューブ16を挿入する時には、空気を排気して図26(A)のように外チューブ74を螺旋状構造体18及びチューブ16の外表面に密着させて螺旋状構造が形成される状態にする。
一方、抜去時には柔軟な外チューブ74内に空気75を注入し膨らませることで図26(B)に示すように平滑な表面構造を形成する。この状態にすることにより、円滑かつ短時間にチューブ16を抜去できる。
図27は第4変形例におけるチューブ構造の例を示す。本変形例では、図25と同様に抜去時のチューブ16の移動性向上のため、図27(A)に示すように螺旋状構造がチューブ16の外表面に設けた螺旋状の溝76により構成されている。
【0039】
また、この溝76には柔軟で薄肉のチューブ77が取り付けられており、その後端から空気の給排を行うことができるようにしている。そして、挿入時には、図27(A)の状態にする。
一方、抜去時には溝76内に沿って設けたチューブ77に空気を送り、膨らませることにより、図27(B)に示すように平滑な表面を形成する。この状態にすることにより、チューブ16を円滑に抜去できる。
この他に、図28に示す第5変形例におけるチューブ構造の例のように、抜去性を向上させるため、チューブ16の挿入の後、螺旋状構造がチューブ16から外れる構造にしている。つまり、本変形例では、図28(A)に示すように、螺旋状構造体18は、チューブ16の先端と後端に接着等で固着されている。
そして、チューブ16の抜去時には、所定の値以上の力で螺旋状構造体18の後端を引っ張ることにより、先端の接着等による固着が外れ、図28(B)に示すように、螺旋状構造体18がチューブ16から外れるようになっている。
図29は、第6変形例における回転規制機構81を示す。本変形例では2つの円板62a、62bが連結状態を維持するように、例えば粘着テープ82が、2つの円板62a、62bに貼り付けられている。
そして、所定のトルク値以下の状態では、図29(A)に示すようにモータ側の円板62aを回転させると、円板62bも回転する。
一方、所定のトルク値以上の状態では、図29(B)のように粘着テープ82が分離や引きちぎれる等して、連結状態が破れ、モータ側の円板62aは回転するが、円板62bは回転しない状態になるようにしている。このようにして所定のトルク値以上が作用すると回転規制が行われる。なお、粘着テープ82に限らず、連結を行うための接着剤その他の手段でも良い。例えば両円板62a、62bを磁石で連結状態に保持し、所定のトルク値以上の状態では連結が破れて分離する連結手段でも良い。
【0040】
図30は第7変形例における回転規制機構81Bを示す。本変形例では、モータ63の回転軸には、トルクを検出するトルクセンサ83が接続されている。つまり、本変形例は、図17において、モータ63の回転軸にトルクリミッタ62を設ける代わりに、トルクセンサ83を採用している。
このトルクセンサ83は、トルク検出信号を制御部65に出力する。そして、制御部65は、トルク検出信号が所定のトルク値以上か否かをモニタし、所定のトルク値以上の場合にはモータ63の回転を停止させる。或いはトルク値が所定値を超えないように、回転速度を落とす機能を持った回転速度制御手段を設けても良い。
図31は、図24等に示したトルクリミッタ62の設置場所の例を示す。トルクリミッタ62を配置する位置としては、モータ63とギヤ61bの間の他に、ギヤ61a、61bと61c、61d同士の間、ギヤ61aとチューブ16との間等が適している。図31(A)〜図31(C)はこれらを具体的に示している。図31(A)では、トルクリミッタ62は、図17と同じように配置している。
つまり、チューブ16の後端に取り付けたギヤ61aに噛合する61bは、トルクリミッタ62を介してモータ63に接続されている。
【0041】
図31(B)に示す変形例では、図31(A)におけるトルクリミッタ62とモータ63との間にさらにギヤ61c及び61dを介挿している。
また、図31(C)に示す変形例では、チューブ16の後端に中空構造のトルクリミッタ62を取り付け、このトルクリミッタ62の中空の軸にギヤ61aを取り付け、このギヤ61aをモータ63の回転軸に取り付けたギヤ61bに噛合させている。
図31ではトルクリミッタ62により、所定の値以上のトルクが作用した場合、回転伝達を規制しているが、図32は異なる構造により部分的に回転規制を行う構造を示している。
第8変形例の内視鏡挿入補助装置3Iは、先端部材17、チューブ16それぞれに回転規制機構として、適当な長さに設定した円筒体85a,86aに螺旋状構造体85b,86bをそれぞれ設けた円筒構造体85、86を嵌め込んだ構成を有している。
【0042】
チューブ16外周面と円筒体86a内周面間の摩擦力により、チューブ16が円筒構造体86に対し、(円筒構造体86の外周面が体腔内壁に接触している等のために)あるトルク以上で回転しようとするとすべりが生じる。円筒構造体86を複数に切り分けておくことで、抵抗が大きな部分、具体的には周囲の体腔内壁に強く接触して回転しにくくなっている部分では回転が止まり、それ以外のところでは回転がなされて推進力が得られる。 先端部材17側もほぼ同様の作用をする。つまり先端部材17外周面と円筒体85a内周面間の摩擦力により、先端部材17が円筒構造体85に対し、あるトルク以上で回転しようとするとすべりが生じる。
そして、円筒構造体85が体腔内壁に強く接触して回転しにくくなっている場合には、円筒構造体85の回転が止まるようになる。なお、先端部材17自体が、その長さがチューブ16に比べて短いので、1つの円筒構造体85のみ設けているが、複数に分けても良い。
【0043】
次に第9変形例を説明する。図17では、上下、左右の4方向に湾曲できる湾曲機構を設けていたが、本変形例の内視鏡挿入補助装置3Jは、1方向にのみ湾曲する湾曲部67bを設けたものを採用している。この場合には、挿入する場合、以下のように行うと、屈曲した体腔内へも円滑に挿入し易くなる。
図33(A)〜図33(C)は大腸等の体腔54内に挿入していく様子を示す。図33(A)に示すようにほぼ直線状の体腔54内に挿入する場合には、まっすぐな状態で回転させる等して挿入できる。そして、図33(B)に示すように屈曲部位に到達した際、まず回転を止め、ある方向に湾曲をさせ、内挿した内視鏡の画像を見るなどして、現在の湾曲方向を確認する。その方向が進ませたい方向(体腔の屈曲している方向)と異なっている場合、ゆっくり回転を再開させ、湾曲方向と進行方向を合わせる。その状態で湾曲機能を解き、回転を通常の速度で開始し、屈曲に沿って挿入させる。
【0044】
これを繰り返すことで屈曲部位を通過して、図33(C)に示すように、より深部側に挿入することができる。
【0045】
次に第10変形例を説明する。図34は第10変形例の内視鏡挿入補助装置3Kの先端側を示す。本変形例は、図21で説明したEPAMを用いてチューブ16の先端部分でなく、先端部材17Bを形成している。そして、4方向或いは少なくとも1方向などに湾曲可能にしている。
湾曲可能な先端部材17Bを形成することにより、図34(A)に示すように真っ直ぐな状態から図34(B)に示すように先端部材17Bを湾曲させることができる。先端部材17Bを湾曲できる構造にすることにより、より円滑な挿入が容易となる。
【0046】
つまり、先端部材17B自体を柔軟な材料で構成すると共に、湾曲機能を搭載することで硬質長が短くでき、体腔内に挿入する場合、この屈曲した部分に対応して先端部材17Bを屈曲させることにより良好な挿入性を確保できる。
また、湾曲機能を搭載せず、先端部材をかかる力に応じて屈曲するように柔軟な材料で構成するだけでも良い。
この場合でも、先端部材が腸の屈曲に沿うように受動的に湾曲するので、同様に良好な挿入性を確保できる。
【実施例3】
【0047】
次に本発明の実施例3を説明する。図35は本発明の実施例3の内視鏡挿入補助装置3Lの概略を示す。この内視鏡挿入補助装置3Lは、内視鏡2の外周面に取り付けて挿入補助を行うものである。
実施例1及び2において説明した内視鏡挿入補助装置3〜3Kは、内視鏡2の挿入部7を挿通する中空部を設けていたが、その中空部に挿通できる挿入部7は、細径のものとなる。こうすると、実質的には観察はできても処置具を挿通するチャンネルを持たないものに制約される場合があり、その場合には、処置ができない。
そこで本実施例では、処置具を挿通可能なチャンネル91を備えた内視鏡2にも適用できるようにしている。
このため、本実施例は、上記のように内視鏡2の外周面に取り付けて挿入補助を行うようにした構成を有している。
【0048】
そして、この内視鏡挿入補助装置3Lにより挿入しようとする大腸等の体腔内にガイドワイヤのように(内視鏡2よりも先に)挿入し、そして挿入された内視鏡挿入補助装置3Lのあとに挿入の難しいチャンネルを持つ内視鏡2の挿入部7を容易に挿入できるようにするものである。
本実施例の内視鏡挿入補助装置3Lは、チューブ16とその先端に設けた先端部材17との外周面に螺旋状構造体18、19を設けたものを通すことができる推進用保持体としての筒体92を内視鏡2の先端部11にテープ93で固定している。
そして、この筒体92内に螺旋状構造体18を設けたチューブ16が移動自在に通るようにしている。
【0049】
なお、本実施例では、チューブ16及び先端部材17には中空部16a及び貫通孔17aを設けて、その内側に細径の処置具等を挿通するのに利用できるようにしているが、中実の紐状の構造にしても良い。
上記チューブ16の後端は、図17の実施例2で説明したように回転駆動装置60に接続され、チューブ16の後端を回転することにより、チューブ16を円滑に推進させることができるようにしている。
また螺旋状構造体18の後端は、図17の実施例2に示すコンプレッサ64に接続されており、空気の給排等により、図18等で説明したように中空チューブで形成された螺旋状構造体18の凹凸を調整できるようにしている。
なお、内視鏡2の先端部11には、照明窓94と観察窓95とが設けてある。
このような構成の本実施例によれば、図35に示すように本内視鏡挿入補助装置3Lを筒体92内に通し、この筒体92を内視鏡検査や処置を行う内視鏡2の先端部11に固定する。
【0050】
そして、内視鏡2の先端部11よりも前方側に突出する内視鏡挿入補助装置3Lの先端部材17を大腸等に先に挿入する。そして、チューブ16の後端を回転駆動機構により回転することにより、この内視鏡挿入補助装置3Lを円滑に推進させて大腸等の体腔内の深部側に挿入することができる。
この内視鏡挿入補助装置3Lを挿入した後、内視鏡2の後端側を押し込む操作を行うことにより、内視鏡挿入補助装置3Lをガイドとして、内視鏡2の挿入部7の先端側を大腸等の体腔内の深部側に円滑に挿入することができる。
内視鏡2の挿入部7の先端側を大腸等の体腔内の深部側に挿入する際、内視鏡挿入補助装置3Lにおいて、コンプレッサ64により排気することにより、チューブ16の表面を図18(B)のように平坦な表面状態にでき、これにより円滑に内視鏡2を挿入することができる。
【0051】
本実施例によれば、チャンネルを有さない細径の挿入部7の内視鏡2の場合はもとより、チャンネル91を有するより太い挿入部7の内視鏡2の場合にも使用でき、その内視鏡の挿入補助に利用できる。
なお、図18の構造の他に、図25〜図28の変形例の構造を利用して、内視鏡2の挿入作業を行うようにしてもほぼ同様の作用効果が得られる。
図36は第1変形例における推進用保持体92Cを示す。この推進用保持体92Cには、図36(B)に示すようにチューブ16を通す孔96aとチューブ16外周面に設けた螺旋状構造体18のピッチで形成し、この螺旋状構造体18を収納する螺旋状溝96bを有するナット状ガイド92Bを有する。
この第1変形例によれば、チャンネル91を有するより太い挿入部7の内視鏡2をより効率良く推進させることができる。
【0052】
図37に示す推進用保持体92Cは、図38の切り欠き図に示すように内視鏡2の挿入部7の例えば先端部11付近を通す孔97aを有すると共に、螺旋状構造体18を設けたチューブ16を通すナット状ガイド92Bを回転自在に保持する孔97bを有する。
また、この推進用保持体92Cの内部には、回転駆動用のモータ99が設けてあり、このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aは、ナット状ガイド92Bの外周面に取り付けたギヤ100bと噛合している。なお、ギヤ100a、100bの周囲の推進用保持体92C部分は、ギヤ100a、100bが回転できるように切り欠かれている。
【0053】
なお、モータ99は、図示しない信号線を介して手元側の制御部65と接続され、操作部66の操作によりモータ99の回転及び回転停止を制御することができる。
そして、術者等のユーザは、操作部66を操作して、モータ99を回転駆動することにより、ナット状ガイド92Bを回転駆動できるようにしている。なお、ナット状ガイド92Bの内周面には、図36で説明したようにチューブ16を通す孔と螺旋状構造体18を嵌合して通す螺旋状溝が設けてある。
このような構成とすることにより、チューブ16が大腸等の体腔内に挿入された後に、推進用保持体92Cに取り付けられた回転駆動用モータ99を回転させると、内視鏡2の先端側が自動的にガイドワイヤのように機能するチューブ16に沿って推進することができる。
【0054】
図39は第2変形例の内視鏡挿入補助装置3Nの先端側を内視鏡2に取り付けた状態を示す。本変形例は、例えば図35の内視鏡挿入補助装置3Lにおいては、筒体92内に螺旋状構造体18を設けたチューブ16を通していたが、本変形例では、螺旋状構造体18を設けたチューブ16を挿通するシース102を通すようにしている。
また、本変形例では、このシース102の先端に推進用保持体92Dを設けている。この推進用保持体92Dを図40に示す。また、図41は、推進用保持体92Dの内部構造を示す。この推進用保持体92Dは、図38に示したものとほぼ同様な構造を有している。
つまり図41に示すように、この推進用保持体92Dの内部には、回転駆動用のモータ99と、このモータ99の回転軸に取り付けたギヤ100aと、このギヤ100aに噛合するギヤ100b及びこのギヤ100bを取り付けたナット状ガイド92Bが設けられている。
【0055】
そして、術者等のユーザは、チューブ16を体腔内深部に挿入後、操作部66を操作して、モータ99を回転駆動することにより、推進用保持体92D内部に回転自在に保持されたナット状ガイド92Bを回転駆動して、シース102をチューブ16の先端部にまで推進させることができるようにしている。
本変形例の場合、螺旋状構造体18が外周面に設けられたチューブ16を外周面が平坦なシース102により覆うようにしているので、内視鏡2の挿入作業を円滑にする効果を有する。
図42は第3変形例の内視鏡挿入補助装置3Pの先端側を専用の内視鏡112に挿通した状態を示す。本変形例は、図43に示すように例えば下方側から挿脱できる先端開口113(及びこの先端開口113と同じ断面形状のチャンネル)を有する専用の内視鏡112を用い、この先端開口113から内視鏡挿入補助装置3Pを前方に突出して挿入補助に用いることができる。なお、図43(A)は内視鏡112の先端側の斜視図を示し、図43(B)は正面図を示す。
【0056】
なお、この内視鏡112は、挿入部7及びその他の部分は、上述した内視鏡2と同様の構成である。
本変形例の場合、この内視鏡挿入補助装置3Pをガイドワイヤのように使用することができる。
また、この内視鏡挿入補助装置3Pの場合には、図44に示すように、このチューブ16の中空部内に処置具114を挿通して処置を行うこともできる。
さらに図示しないが太径のチャンネルや複数のチャンネルを持った処置具用の内視鏡のチャンネルに内視鏡挿入補助装置を内視鏡先端から挿通し、利用する利用方法も可能である。
【実施例4】
【0057】
次に本発明の実施例4を説明する。図45は本発明の実施例4の内視鏡挿入補助装置3Qの先端側の構成を示す。本実施例では、先端部材17には、螺旋状構造体を設けない構成にしている。
この内視鏡挿入補助装置3Qは、先端部材17の硬度が、先端側程柔らかく、後端に向けて硬度が連続的に変化する構成にしている。
具体的には、この先端部材17は、点線で示すように円錐形状をした硬度が高い部材121と、この円錐形状をした硬度が高い部材121の外周面を覆う硬度が低い部材122とにより構成されている。
【0058】
そして、先端側を屈曲した体腔内に円滑に挿入し易い構造にしている。例えば管路の先端側が下方に屈曲していると、その屈曲に応じて、この先端部材17の先端側が1点鎖線で示すように屈曲し、スムーズに挿入することができるようになる。その他は実施例1等と同様の構成である。
このような構成とすることにより、本実施例における先端部材17の硬度変化により、先端部材17が曲がりやすく、屈曲追従性が向上する効果を有する。
図46は、第1変形例の内視鏡挿入補助装置3Rの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Rは、先端部材17をその先端側程、外径が小さくなる円錐面123を有する形状、或いは先細りテーパ形状にしている。本変形例は、閉じた管腔の通過性が向上する効果を有する。
【0059】
図47は、第2変形例の内視鏡挿入補助装置3Sの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Sは、例えば図45の先端部材17の表面に潤滑剤124等を塗布するなどして先端部材17の表面の滑り性を向上している。
本変形例によれば、潤滑処理により先端部材17の滑りがよくなり、挿入性が向上する。潤滑剤は、光触媒などの親水潤滑剤や滑り性の良いテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂コートでも良い。
図48は、第3変形例の内視鏡挿入補助装置3Tの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Tは、中空ビーズ125を複数個、回転自在に連結した先端部材17を形成している。このような構成にして、先端部材17を屈曲し易い構造にしている。
【0060】
そして、体腔内に挿入した場合、例えば先端側が下側に屈曲していると、2点鎖線で示すようにその方向に屈曲させることができ、屈曲した部分への追従性を向上している。
【0061】
本変形例によれば、先端が柔軟に曲がる構造になり、屈曲部への追従性が向上する効果を有する。
【0062】
図49は、第4変形例の内視鏡挿入補助装置3Yの先端側の構成を示す。この内視鏡挿入補助装置3Yは、所定周期Tで先端部材17を構成する部材125の硬度が変化する構成にしている。具体的には、チューブ16の先端に、その長手方向に沿って所定周期Tで凸部及び凹部を丸みを付けて形成し、凹部を形成した部分の硬度をより柔らかくして屈曲し易くしている。
【0063】
本変形例によれば、硬度が変化することで、先端部材が曲がりやすく屈曲の追従性が向上する効果を有する。
【0064】
上述した実施例等においては、先端部材17は、チューブ16の外径よりも太くしていたが、図50に示すようにチューブ16の外径と等しくした外径の先端部材17′として内視鏡挿入補助装置3Vにしても良い。
【0065】
この内視鏡挿入補助装置3Vは、螺旋状構造体18が設けられたチューブ16の先端に、このチューブ16の外径と等しくした外径の先端部材17′を設けている。なお、中空部内には内視鏡2を挿通可能にしている。
【0066】
本変形例においても体腔内への良好な挿入性を確保することができる。
【0067】
また、図50に示した先端部材17′の形状や硬度を、上述した先端部材17を適用しても良い。
【0068】
つまり、先端部材としては、チューブ16の外径と略同径以上の最大外径を有するものは本発明に属する。
また、上述した各実施例等を部分的に組み合わせたり、一部を変更したりしたものも本発明に属する。
【0069】
[付記]
1.請求項4において、前記回転駆動手段は、所定値以上のトルクが作用した場合には、前記チューブ側の回転を規制する回転規制手段を有する。
2.請求項1において、前記チューブ及び先端部材の少なくとも一方を湾曲する湾曲機構を有する。
3.付記2において、前記湾曲機構は、電圧の印加により収縮する部材を用いて構成される。
4.請求項5において、前記可変手段は、前記螺旋状構造体を構成する中空チューブと、前記中空チューブに流体を給排する給排手段とからなる。
5.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間に流体を供給する手段を有する。
6.請求項4において、前記回転駆動手段は、モータによる回転力により前記チューブを回転駆動する。
【0070】
7.付記6において、前記モータは、中空の回転軸を有し、内視鏡の挿入部を挿通可能である。
8.請求項4において、前記回転駆動手段は、チューブの外周面に設けた複数の電磁石と、前記複数の電磁石の外周側に設けられた複数の電磁石とを用いて構成される。
9.請求項6において、前記先端部材の外径を可変にする手段は、前記先端部材の外周面に設けたバルーンと、前記バルーンに流体を給排する給排手段とからなる。
10.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間を回転自在に密閉して内部に潤滑材を充填した。
11.請求項3において、前記挿入部の外周面と前記チューブの内周面との間にさらに回転自在に保持したチューブを介挿した。
【0071】
12.付記2において、前記チューブの先端付近に前記湾曲機構を設けた。
13.請求項5において、前記チューブの外周面に設けた螺旋状構造体と前記先端部材の外周面に設けた螺旋状構造体とをそれぞれ中空チューブで形成し、両中空チューブを連通させた。
14.付記2において、前記湾曲機構は、少なくとも1方向に湾曲する。
15.付記1において、前記回転規制手段は、摩擦面が圧接された2つの円板状部材を用いて構成される。
16.請求項5において、前記可変手段は、前記螺旋状構造体を覆う中空チューブと、前記中空チューブに流体を給排する給排手段とからなる。
17.付記1において、前記回転規制手段は、圧接された2つの円板状部材と、両円板状部材を連結状態に保持し、適度のトルクで分離可能な連結部材を用いて構成される。
【0072】
18.付記1において、前記回転規制手段は、トルクを検出するセンサと、前記センサの出力で回転駆動手段の回転駆動を停止させる制御手段を有する。
19.付記1において、前記回転規制手段は、前記チューブの外周面に、その長手方向に沿って複数配置される円筒部材と、各円筒部材の外周面にそれぞれ設けられた螺旋状構造体とからなる。
20.請求項1において、内視鏡の挿入部の先端側の側面に取り付けられ、前記螺旋状構造体が設けられた前記チューブを移動可能に保持する保持体を有する。
21.付記20において、前記保持体は、前記チューブを回転駆動する回転駆動手段を有する。
22.請求項1において、前記螺旋状構造体が設けられた前記チューブは内視鏡のチャンネル内に挿通可能である。
【0073】
23.請求項1において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の最大外径を持ち、先端に向けて該外径が小さくなる形状となっている。(効果:先端形状が曲面なので屈曲に追従しやすい。綴じた管腔を通過しやすい。)
24.付記23において、前記先端部材が先端に近いほど外径が小さいテーパ形状である。(効果:閉じた管腔の通過性が向上する。)
25.請求項1において、前記先端部材が外力によって受動湾曲可能である柔軟な材料からなる。(効果:先端が柔軟に曲がる構造になり、屈曲部への追従性が向上する。)
26.請求項1において、前記先端部材の外径が周期的に変化する形状である。(効果:硬度が変化することで、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
27.請求項1において、前記先端部材の硬度が周期的に変化する形状である。
【0074】
(効果:硬度変化により、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
28.請求項1において、前記先端部材の硬度が先端ほど軟らかく、後端に向けて連続的に変化する構成となっている。(効果:硬度変化により、先端部材が曲がりやすく屈曲追従性が向上する。)
29.請求項1において、前記先端部材の表面に潤滑処理を施したことを特徴とする。(効果:潤滑処理により先端部材の滑りがよくなり、挿入性が向上する。)
30.付記2において、前記湾曲機構が手元操作部側でワイヤを引っ張ることで湾曲する構成となっている。
31.付記2において、前記湾曲機構が複数方向への湾曲が可能であり、湾曲機構が湾曲したままチューブを回転させても湾曲方向が一定となるように制御する制御手段が設けられている。
【0075】
33.付記2において、前記湾曲機構が一方向へのみ湾曲が可能であり、湾曲、チューブの回転、回転停止、湾曲解除を繰り返すことで屈曲部分が通過するように制御する制御手段が設けられている。
34.請求項3において、前記チューブの挿通された内視鏡の湾曲部に重なる箇所付近は、それ以外の部分より軟らかい材料で構成されている。(効果:内視鏡の湾曲機構を用いて前記チューブを湾曲させることができる。)
35.請求項3において、前記チューブの前記先端部材との接続部近傍が湾曲可能なように軟らかい材料で構成されている。
【0076】
36.請求項5において、前記螺旋構造体の高さを無くし前記チューブを平坦とする手段として、体腔挿入後に螺旋構造体をチューブから取り外す機構を有する。
37.請求項1において、前記内視鏡挿入補助装置挿入後に挿入される内視鏡は、該補助装置を下方側から挿脱できる断面形状を持つ専用の内視鏡である。
38.請求項1において、前記内視鏡補助装置挿入後に内視鏡を挿入する場合、前記チューブに別のチューブを重ねて前記螺旋構造体による凹凸をなくし、内視鏡の挿入を円滑にする。
39.請求項3において、前記チューブと前記先端部材に連通した貫通孔は、内視鏡チャンネルとして処置具を挿通することができる。
【0077】
40.可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径と同径以上の外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする内視鏡挿入補助装置。
41.付記40において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の最大外径を持ち、先端に向けて該外径が小さくなる形状となっている。
42.付記41において、前記先端部材が先端に近いほど外径が小さいテーパ形状である。
43.付記40において、前記先端部材が外力によって受動湾曲可能である柔軟な材料からなる。
44.付記40において、前記先端部材は前記チューブの略同径以上の外径を持つ中空ビーズ体を複数個回転自在に連結したものである。
【0078】
45.付記40において、前記先端部材の外径が周期的に変化する形状である。
46.付記40において、前記先端部材の硬度が周期的に変化する形状である。
47.付記40において、前記先端部材の硬度が先端ほど軟らかく、後端に向けて連続的に変化する構成となっている。
48.付記40において、前記先端部材の表面に潤滑処理を施したことを特徴とする。 49.付記40において、前記チューブ及び先端部材の少なくとも一方を湾曲する湾曲機構を有する。
【0079】
50.付記49において、前記湾曲機構が手元操作部側でワイヤを引っ張ることで湾曲する構成となっている。
51.付記49において、前記湾曲機構が複数方向への湾曲が可能であり、湾曲機構が湾曲したままチューブを回転させても湾曲方向が一定となるように制御する制御手段が設けられている。
52.付記49において、前記湾曲機構が一方向へのみ湾曲が可能であり、湾曲、チューブの回転、回転停止、湾曲解除を繰り返すことで屈曲部分が通過するように制御する制御手段が設けられている。
53.付記49において、前記チューブの挿通された内視鏡の湾曲部に重なる箇所付近は、それ以外の部分より軟らかい材料で構成されている。
54.付記40において、前記先端部材は、前記チューブの中空部と連通する貫通孔を有し、前記チューブの末端側から貫通孔まで内視鏡の挿入部を挿通可能にした。
【0080】
55.付記54において、前記チューブの前記先端部材との接続部近傍が湾曲可能なように軟らかい材料で構成されている。
【0081】
56.付記40において、前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体の前記外周面から突出する高さを可変にする可変手段を有する。
57.付記56において、前記螺旋構造体の高さをなくし前記チューブを平坦とする手段として、体腔挿入後に螺旋構造体をチューブから取り外す機構を有する。
58.付記40において、前記内視鏡挿入補助装置挿入後に挿入される内視鏡は、該補助装置を下方側から挿脱できる断面形状を持つ専用の内視鏡である。
59.付記40において、前記内視鏡補助装置挿入後に内視鏡を挿入する場合、前記チューブに別のチューブを重ねて前記螺旋構造体による凹凸をなくし、内視鏡の挿入を円滑にする。
60.付記54において、前記チューブと前記先端部材に連通した貫通孔は、内視鏡チャンネルとして処置具を挿通することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
可撓性のチューブ及びその先端に設けた拡径の先端部材との外周面に螺旋状突起を設けているので、回転することにより、大きな推進力が得られ、体内等に挿入される内視鏡の挿入を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例1を備えた内視鏡装置の全体構成図。
【図2】実施例1の内視鏡挿入補助装置の外観を示す斜視図。
【図3】図2の先端側の構造を示す図。
【図4】図1における回転駆動装置の構造を示す断面図。
【図5】回転方向と進行方向の関係を示す図。
【図6】内視鏡挿入補助装置に内視鏡の挿入部を挿通した状態を示す図。
【図7】内視鏡の挿入部を挿通した状態で、内視鏡の湾曲機構により湾曲可能であることを示す図。
【図8】内視鏡と内視鏡挿入補助装置との空隙に流体を注入した様子を示す断面図。
【図9】大腸内に挿入する様子を示す説明図。
【図10】第1変形例における回転駆動装置を示す斜視図。
【図11】第2変形例における回転駆動装置等を分解して示す斜視図。
【図12】第3変形例における回転駆動装置を示す断面図。
【図13】第4変形例の内視鏡挿入補助装置の概略の構成を示す図。
【図14】挿入部位に対応して先端部材の外径を変更した様子等を示す説明図。
【図15】第5変形例における内部構成の概略図。
【図16】第6変形例における内部構成の概略図。
【図17】本発明の実施例2の内視鏡挿入補助装置の全体構成図。
【図18】中空チューブにより構成した螺旋構造体の突出する高さを変更した様子を示す図。
【図19】第1変形例の内視鏡挿入補助装置の全体構成図。
【図20】第1変形例において、中空チューブにより構成した螺旋構造体の突出する高さを平坦にした状態を示す図。
【図21】実施例2における湾曲部の構造を示す斜視図。
【図22】変形例における湾曲部の構造を示す斜視図。
【図23】湾曲制御した場合における先端側の屈曲形状を示す図。
【図24】トルクリミッタによる作用説明図。
【図25】第2変形例における細径の密巻きコイル状の部材で形成した螺旋状構造体を示す図。
【図26】第3変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図27】第4変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図28】第5変形例におけるチューブ構造を示す図。
【図29】第6変形例における回転規制機構を示す図。
【図30】第7変形例における回転規制機構の構成を示す図。
【図31】トルクリミッタの設置場所を示す図。
【図32】第8変形例における部分的な回転規制機構の構成を示す図。
【図33】第9変形例における体腔内への挿入の作用の説明図。
【図34】第10変形例の先端側を示す図。
【図35】本発明の実施例3の先端側の構成を示す斜視図。
【図36】第1変形例における推進用保持体の構造を示す図。
【図37】第2変形例における推進用保持体の概略の構成を示す斜視図。
【図38】図37の推進用保持体の内部構成を示す図。
【図39】第3変形例における内視鏡に取り付けた状態の推進用保持体付近を示す斜視図。
【図40】図39における推進用保持体の概略の構成を示す斜視図。
【図41】図40の推進用保持体の内部構成を示す図。
【図42】専用の内視鏡のチャンネル内に挿通した第4変形例の先端側を示す斜視図。
【図43】専用の内視鏡の先端部付近の外観等を示す図。
【図44】第4変形例の中空部内に処置具を挿通した状態を示す図。
【図45】本発明の実施例4の先端側の構成を示す斜視図。
【図46】第1変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図47】第2変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図48】第3変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図49】第4変形例の先端側の構成を示す斜視図。
【図50】チューブの外径と等しい外径の先端部材を設けた内視鏡挿入補助装置の先端側の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0084】
1…内視鏡装置
2…内視鏡
3…内視鏡挿入補助装置
5…CCU
6…モニタ
7…挿入部
8…操作部
11…先端部
12…湾曲部
16…チューブ
16a…中空部
17…先端部材
17a…貫通孔
18、19…螺旋状構造体
21…回転駆動装置
22…保持体
23…モータ
24、25…ギヤ
26…筒体
27…駆動装置
28…操作ノブ
29…軸受け
代理人 弁理士 伊藤 進
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径より大きい外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする内視鏡挿入補助装置。
【請求項2】
前記先端部材の外周面に螺旋状構造体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項3】
前記先端部材は、前記チューブの中空部と連通する貫通孔を有し、前記チューブの末端側から貫通孔まで内視鏡の挿入部を挿通可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項4】
前記チューブを回転駆動する回転駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項5】
前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体の前記外周面から突出する高さを可変にする可変手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項6】
前記先端部材の外径を可変にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項7】
前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体が中空構造であり、この中空部により手元操作部から供給された流体によって前記可変手段を駆動することを特徴とする請求項3又は4に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項1】
可撓性のチューブと、
前記チューブの先端に設けられ、前記チューブの外径より大きい外径を有する先端部材と、
前記チューブの外周面に設けられた螺旋状構造体と、
を具備したことを特徴とする内視鏡挿入補助装置。
【請求項2】
前記先端部材の外周面に螺旋状構造体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項3】
前記先端部材は、前記チューブの中空部と連通する貫通孔を有し、前記チューブの末端側から貫通孔まで内視鏡の挿入部を挿通可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項4】
前記チューブを回転駆動する回転駆動手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項5】
前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体の前記外周面から突出する高さを可変にする可変手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項6】
前記先端部材の外径を可変にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡挿入補助装置。
【請求項7】
前記チューブ及び前記先端部材の少なくとも一方の外周面に設けられた前記螺旋状構造体が中空構造であり、この中空部により手元操作部から供給された流体によって前記可変手段を駆動することを特徴とする請求項3又は4に記載の内視鏡挿入補助装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【公開番号】特開2006−34627(P2006−34627A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219214(P2004−219214)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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