説明

内視鏡装置

【課題】同一装置内に使用可能地域に対応した数の言語データを備えることなく、また言語選択のための全体構成を変更することなく、使用地域の言語のメッセージを表示する。
【解決手段】内視鏡を動作させる際にメッセージをモニタ12に表示する内視鏡装置で、内視鏡動作用プログラムPaに基づいてメッセージ表示される英語の第1言語メッセージデータを第1言語領域Dに格納し、かつ第2言語領域Dを有するフラッシュROM20と、第2言語(例えば日本語)メッセージデータを格納したメモリカード24とを備え、このメモリカード24内のメッセージデータの存在を認識することにより、第2言語メッセージデータを読み出し、これをフラッシュROM20内の第2言語領域Dに書き込み、CPU14は第2言語メッセージデータの存在を判定し、第1言語メッセージに代えて第2言語メッセージを用いたメッセージの表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡を動作させる際にモニタ等にメッセージを表示する内視鏡装置、特に内視鏡を使用する地域の言語に対応させるための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内視鏡装置(電子内視鏡装置等)が消化器官等の体腔内の観察のために用いられており、この内視鏡装置では、例えば固体撮像素子であるCCDを内視鏡(スコープ)先端部へ搭載し、このCCDで撮像された被観察体の撮像信号をプロセッサ装置へ供給し、このプロセッサ装置にて所定の信号処理を施すことにより、被観察体映像(画像)をモニタに表示することができる。
【0003】
そして、このような内視鏡装置では、その動作中に、使用者に対して動作状態を知らせ、或いは動作中の注意や警告をするためのメッセージが、適宜、モニタ等の表示器に表示されており、これによって、内視鏡の使用(開始動作、観察時動作、終了動作等)が円滑に進められるようになっている。
【特許文献1】特開平6−153034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したメッセージを表示する従来の内視鏡装置では、その表示メッセージがプログラムに含まれていたことから、言語が異なる複数の地域で内視鏡装置を使用する場合、或いは同一言語の地域でもその使用条件により適切でないメッセージが存在する場合は、プログラム自体を書き換えなければならないという問題がある。
【0005】
一方、上記特許文献1に示されるように、内視鏡用光源装置において、NTSC方式、PAL方式等のカラーテレビジョンの方式が変わっても、同一の光源装置を使用できるようにするため、初期設定で、各国語に対応した複数の表示文字及び表示方式の中から該当するものを選択することも提案されている。
【0006】
しかしながら、この選択設定の方法では、各国語に対応した複数の表示文字等のデータを装置内メモリに備えていなければならず、使用できる地域が増えれば、事前に準備するデータが膨大となり、装置としても無駄が多くなるという問題がある。
【0007】
また、後に言語の異なる地域を追加し使用可能にする場合は、その追加する言語の表示文字等のデータを含ませるように、選択設定のプログラム及びメモリ内データの全体構成を変更しなければならない。
更に、複数の言語の中から該当する言語を選択設定するための操作が煩雑であるという問題もある。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一装置内に使用可能地域に対応した数の言語データを備えることなく、また言語選択のための全体構成を変更することなく、更には選択設定の操作を行うことなく、使用地域の言語に対応するメッセージを表示することができる内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内視鏡を動作させる際にメッセージを表示器に表示する内視鏡装置において、内視鏡動作用プログラムを格納すると共に、この内視鏡動作用プログラムに基づいてメッセージ表示される第1言語メッセージデータを第1言語領域に格納し、かつ第2言語メッセージデータを格納するための第2言語領域を確保したメモリと、第2言語メッセージデータを格納した外部記憶手段と、上記第2言語メッセージデータを格納した外部記憶手段と、この外部記憶手段を接続し、第2言語メッセージデータを読み出すための記憶手段用インターフェースと、この記憶手段用インターフェースから読み出された第2言語メッセージデータを上記メモリ内の第2言語領域に書き込む制御を行うと共に、このメモリ内の第1言語メッセージデータ及び第2言語メッセージデータのいずれかを自動的に選択してメッセージ表示を行う制御回路と、を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、上記制御回路において、上記メモリ内に第2言語メッセージデータが存在すると判定されたとき、第1言語メッセージデータに代えて第2言語メッセージデータを用いてメッセージ表示を行うことを特徴とする。
請求項3の発明は、上記制御回路において、上記記憶手段用インターフェースに接続された外部記憶手段に第2言語メッセージデータが存在することを認識したとき、この第2言語メッセージデータを上記メモリ内の第2言語領域に書き込む制御を実行することを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、例えば英語のメッセージデータが第1言語(基準)メッセージデータとして内視鏡装置メモリ内の第1言語領域に格納され、その他の、例えば日本語、ドイツ語、スペイン語、中国語等の各国言語のいずれかの言語が第2言語メッセージデータとして外部記憶手段(メモリカード等)に格納される。その後、装置が使用される地域が確定し、例えば日本で使用するのであれば、日本語メッセージデータ(第2言語メッセージデータ)が格納された外部記憶手段を記憶手段用インターフェースに接続すると、制御部によって、この日本語のメッセージデータが外部記憶手段から読み出され、メモリ内の第2言語領域に書き込まれる。
【0011】
そして、内視鏡動作用プログラムに基づいてメッセージ表示を行うとき、第2言語領域に第2言語メッセージデータが存在するか否かが判定され、例えば第2言語メッセージデータが存在する場合は、この第2言語メッセージデータを読み出して表示する処理が実行され、第2言語メッセージデータが存在しない場合は、第1言語メッセージデータを読み出して表示する処理が実行される。なお、プロセッサ装置で、使用されている言語情報、地域情報が取得できる場合は、この情報によって、第1言語メッセージと第2言語メッセージのいずれかを自動的に選択してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内視鏡装置によれば、使用地域(各国等)に対応する第2言語メッセージデータを記憶した外部記憶手段を用意し、ユーザーに販売等する際等に、この外部記憶手段内の第2言語メッセージデータを装置内メモリに格納するのみでよく、同一装置内に使用可能地域に対応した数の言語メッセージデータを備える必要がない。また、使用可能な地域を新たに追加する場合でも、その追加地域の言語のメッセージデータを第2言語メッセージデータとして格納した外部記憶手段を用意するだけでよく、従来のように新たな地域の言語を含む各国言語の選択のための全体構成を変更する必要もなく、更には複数の言語の中から該当する言語を選択設定する操作を行わなくてもよいという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1には、実施例に係る内視鏡装置の構成が示されており、図1に示されるように、この内視鏡装置として、プロセッサ装置10とモニタ(表示器)12が設けられると共に、このプロセッサ装置10には、図示していないが、例えば被観察体を撮像する固体撮像素子(CCD)を搭載する内視鏡(スコープ)が着脱自在に接続される。
【0014】
上記プロセッサ装置10内には、制御を統括するCPU14、上記固体撮像素子から出力された撮像信号に対し所定の画像処理を施す画像処理回路15、この画像処理回路15で処理された画像信号を一旦格納する画像格納メモリ16、メッセージ文字を含むキャラクタを発生させるキャラクタ発生回路17が設けられる。また、各種動作(ワーク)の際に使用するRAM(DRAM等からなる書込み自在メモリ)18と、フラッシュROM(消去、書き込みができる読出し専用メモリ)20が設けられ、このフラッシュROM20には、内視鏡動作用プログラム(データ)Paが格納されると共に、第1言語領域Dに、英語メッセージからなる第1言語メッセージデータが最初から格納されている。そして、このフラッシュROM20には、第2言語メッセージデータを格納するための第2言語領域Dと、特殊な文字情報等のフォント情報を格納するその他の領域D(の容量)が備えられている。
【0015】
更に、このプロセッサ装置10には、メモリカード接続部22を有するメモリカードインターフェース23が設けられており、このメモリカード接続部22に、第2言語メッセージデータを格納した外部記憶手段として、記憶媒体であるCF(コンパクトフラッシュ:登録商標)カード等のメモリカード24が着脱できるように構成される。このメモリカード24には、第2言語メッセージデータとして、日本語、ドイツ語、スペイン語、中国語、フランス語等の各地域言語の中の1つの言語メッセージのメッセージ記述ファイル(1行に1メッセージが書かれたテキストデータ等)が格納されている。なお、プロセッサ装置10では、イーサネット(登録商標)に接続するためのTCP/IPインターフェース26等も備えられる。
【0016】
上記CPU14は、内視鏡動作用プログラムPaとメッセージデータに基づいて、メッセージ表示を含む内視鏡の動作を制御すると共に、上記メモリカード24から第2言語メッセージデータを読み込み、そのデータをフラッシュROM20に書き込む等の制御を実行し、また、メッセージ表示をする際にはキャラクタ発生回路17等を制御する。
【0017】
更に、各国の言語においては、内視鏡装置で表示できる標準の文字で表示できない特殊な文字(言語に特有な文字)が含まれている場合があり、この場合は、この特殊文字情報をフォント情報としてメモリカード24に格納し、このフォント情報を第2言語メッセージデータの読み出しの際に読み出し、フラッシュROM20のフォント情報領域Dに格納するようにしてもよい。
【0018】
実施例は以上の構成からなり、その作用を図2〜図4に基づいて説明する。まず図3において、装置のシステムが起動すると、ステップ101では、メモリカード接続部22にメモリカード24が接続されているか否かが判定され、Y(YES)のときには、ステップ102にてメモリカード24内にメッセージ記述ファイルが有るか否かが判定される。ここで、Yのとき、ステップ103では、メッセージ記述ファイルから第2言語メッセージデータが読み出され、このデータがフラッシュROM20の第2言語領域Dに書き込まれる。また、フォント情報がある場合は、その情報がその他の領域(フォント情報領域)Dに書き込まれる。
【0019】
図2には、上記フラッシュROM20内での言語メッセージのデータ格納状態が示されており、例えばアドレス101〜150の間には、最初から、“ERROR”、“PLEASE WAIT FOR A WHILE”等の英語の第1言語メッセージのデータが記憶されており、上記図3の処理では、第2言語メッセージデータとして、日本語の場合、“エラー”、“しばらくお待ち下さい”等のメッセージデータが、例えばアドレス151〜200の間に書き込まれる。
【0020】
この内視鏡装置においては、プログラムデータPaに基づきメッセージ表示を含む内視鏡動作が行われており、メッセージ表示の際には、図4の処理が行われる。図4において、ステップ201では、第2言語領域Dに第2言語メッセージデータがあるか否かが判定され、Yのときは、ステップ202にて、第2言語領域Dの文字列によるメッセージ表示が行われる。即ち、CPU14は、図2において、アドレス101〜150の文字列データの代わりに、数値50を加算したアドレス151〜200の文字列データを読み出す処理をすることにより、モニタ12の画面には、日本語のメッセージが表示される。
【0021】
一方、第2言語領域Dに第2言語メッセージがなく、上記ステップ201にてN(NO)となるときは、ステップ203にて、第1言語領域Dの文字列によるメッセージ表示が行われる。即ち、CPU14は、図2において、基本設定通りに、アドレス101〜150の文字列データを読み出す処理をすることにより、モニタ12の画面には、英語のメッセージが表示される。
【0022】
このようにして、日本語に限らず、ドイツ語、スペイン語、中国語、フランス語等のメッセージ記述ファイルのそれぞれが格納されたメモリカード24を用意し、販売、出荷等の時点で、このメモリカード24内の所定の言語メッセージデータをフラッシュROM20内の第2言語領域Dに書き込むことにより、それぞれの地域に適合した言語のメッセージが表示可能となる内視鏡装置を容易に得ることができる。また、各国の言語に特有な文字がある場合には、フラッシュROM20内に格納されているフォント情報を用いることにより、特殊文字によるメッセージの表示が可能である。
【0023】
上記実施例では、外部記憶手段(記憶媒体)として、メモリカード24を用いたが、USBメモリ、CD、MD、DVD、フレキシブルディスク等のその他の記憶媒体を利用する構成としてもよい。また、外部記憶手段として、TCP/IPインターフェース26を経由してイーサネットに接続されたネットワーク上のコンピュータ(の記憶部)を用い、このコンピュータに格納されたメッセージを読み出してもよい。
【0024】
また、実施例では、上記フラッシュROM20内に第2言語メッセージデータが存在することを認識したとき、第2言語メッセージデータを自動的に用いるようにしたが、内視鏡装置のメモリに記憶されている、患者情報、使用者(ドクター)情報に含まれる患者単位、使用者単位の言語情報、地域情報、或いはプロセッサ装置に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)からの言語情報、地域情報を取得し、これらの情報によって、該当する第1言語メッセージ又は第2言語メッセージのいずれかを自動的に用いてメッセージ表示を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係る内視鏡装置(プロセッサ装置及びモニタ)の構成を示す回路図である。
【図2】図1の内視鏡装置のフラッシュROM内のメッセージデータの格納状態を示す図である。
【図3】実施例における第2言語メッセージデータの取り込み処理(システム起動時処理)を示す図である。
【図4】実施例におけるメッセージ表示の処理を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10…プロセッサ装置、 12…モニタ、
14…CPU、 17…キャラクタ発生回路、
18…RAM、 20…フラッシュROM、
22…メモリカード接続部、 23…メモリカードインターフェース、
24…メモリカード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を動作させる際にメッセージを表示器に表示する内視鏡装置において、
内視鏡動作用プログラムを格納すると共に、この内視鏡動作用プログラムに基づいてメッセージ表示される第1言語メッセージデータを第1言語領域に格納し、かつ第2言語メッセージデータを格納するための第2言語領域を確保したメモリと、
第2言語メッセージデータを格納した外部記憶手段と、
この外部記憶手段を接続し、第2言語メッセージデータを読み出すための記憶手段用インターフェースと、
この記憶手段用インターフェースから読み出された第2言語メッセージデータを上記メモリ内の第2言語領域に書き込む制御を行うと共に、このメモリ内の第1言語メッセージデータ及び第2言語メッセージデータのいずれかを自動的に選択してメッセージ表示を行う制御回路と、を設けたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
上記制御回路は、上記メモリ内に第2言語メッセージデータが存在すると判定されたとき、第1言語メッセージデータに代えて第2言語メッセージデータを用いてメッセージ表示を行うことを特徴とする請求項1記載の内視鏡装置。
【請求項3】
上記制御回路は、上記記憶手段用インターフェースに接続された外部記憶手段に第2言語メッセージデータが存在することを認識したとき、この第2言語メッセージデータを上記メモリ内の第2言語領域に書き込む制御を実行することを特徴とする請求項1記載の内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−229086(P2008−229086A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74105(P2007−74105)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】