説明

内視鏡装置

【課題】撮像手段から画像信号を出力する信号ラインが防爆構造としての安全基準を満たすとともに、画像信号のもつ周波数特性に係らず、画像信号の信号品質を確保することが可能な内視鏡装置を提供する。
【解決手段】内視鏡装置1は、被検体に挿入される挿入部と、挿入部の先端側に設けられて被検体を撮像して画像信号を出力する撮像手段9と、撮像手段9よりも基端側に設けられて信号ライン20a、20bを介して入力された画像信号を信号処理する画像信号処理手段11と、撮像手段9と画像信号処理手段11との間に設けられ、電気エネルギーを制限して撮像手段9側を防爆構造とする撮像出力バリア部22とを備え、撮像出力バリア部22は、画像信号の内、所定の周波数領域を透過周波数成分として、他の周波数領域と比較して低減衰量で透過させる信号入力側バリア回路25、26を、互いに透過周波数成分を異なるものとして複数有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントやビルのメンテナンス、可燃ガス又は粉塵の存在する機器やボイラを被検体として内部の検査等を行うための内視鏡装置に関するものであり、特に、爆発の可能性の高い場所での使用が可能な内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内臓器等を観察し、また、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置をすることが可能な内視鏡装置が広く利用されている。また、工業用分野においても、ボイラ、タービン、エンジン、化学プラント等の内部の傷、腐食等の観察、検査に工業用内視鏡装置が広く用いられている。上記のように使用される内規鏡装置には、被検体の内部に挿入される挿入部の先端部に、撮像手段として光学像を画像信号に光電変換するCCDなどの撮像素子を配設した電子内視鏡装置(以下内視鏡装置と略記する)がある。
【0003】
より詳しくは、このような内規鏡装置は、例えば、観察部位を撮像するCCDなどの上記撮像素子と、観察部位を照明する光源部と、電源及び信号処理部を有する制御部とから構成されている。制御部と、撮像素子及び光源部とは複数の電線からなるケーブルで接続されており、このケーブルを介して、制御部から撮像素子及び光源部に対する電力供給と、撮像素子、光源部を制御する制御信号、及び、撮像素子、光源部からの画像信号等の送受信とが行われている。そして、光源部から供給される照明光によって照らされた観察部位の観察像を撮像素子の撮像面に結像させ、この撮像素子で光電変換した観察像の画像信号を、制御部の信号処理部に伝達する。そして、信号処理部で映像信号を生成し、モニタ画面上に観察像を表示させて観察を行うことが可能である。
【0004】
ところで、工業用分野で使用される内視鏡装置の中には、化学プラントの配管やガスタンク等、爆発性雰囲気等の危険場所(以下危険場所と記載する)で使用されるものがある。このような内視鏡装置としては、制御部の電源と、撮像素子及び光源部との間に、安全基準条件を満たすようにエネルギー制限を行うバリア回路が介挿されている内視鏡装置がある(例えば、特許文献1参照)。
近年、防爆構造に求められる安全基準条件としては、少なくとも本質安全防爆の安全基準条件を満たしていなければならない。
【0005】
ここで、以下に防爆の内、特に本質安全防爆について説明する。
本質安全防爆については、IEC (国際電気標準会議)、ATEX(ヨーロッパ)、FM(アメリカ)、CSA (カナダ)、TIIS(日本)等で規格化され、検定機関により防爆機器として検定される。本明細書中においては、IECのガス蒸気防爆規格IEC60079及び粉塵防爆IEC61241に基づいて説明する。ただし、他の各国の規格と実質的に対応する部分については、他の各国の規格にも適用可能であり、他の規格を排除するものではないことは言うまでもない。
【0006】
危険領域における爆発のメカニズムについて考察すると、爆発は、一般に、可燃性ガスまたは粉塵及び酸素が混合して存在する環境下において、着火源の温度が上昇して混合ガス又は粉塵の発火温度を超えることにより、誘発して起こる。例えば、ガソリンタンク,プラント及びエンジンの内部においては、燃料がガス化又は粉塵化して可燃性となっており、また、周囲には酸素が存在しており、可燃性混合状態となっている。
【0007】
このような環境下においては、上記ように着火源が存在する場合、着火源の温度によって爆発を引き起こす危険性がある。逆に言うと、爆発の要素は、可燃性ガスまたは粉塵、酸素、着火源の3つであり、この3つのうちの1つでも欠ければ爆発は起こらない。このうち、可燃性ガスまたは粉塵と、酸素とは環境的に存在するものであり、基本的に着火源によるエネルギー印加要素を絶つことによって、本質安全防爆を確実なものとする。
【0008】
IECにおいては、安全防爆製品についての使用場所として、危険のレベルにより、Zone0、Zone1及びZone2を定義している。すなわち、Zone0が最も危険性が高く、Zone1が次に危険性が高く、そして、Zone2がその次に危険性が高い。危険区域はHazardous Areaとされ、非危険区域はNon−Hazardous Areaとされる。
【0009】
機器構造については、ia機器、ib機器及びType−nが定義されている。すなわち、ia機器が最も爆発に対して信頼性が高く、ib機器がその次に信頼性が高い。ここで、ia機器は、Zone0、Zone1でも使用可能であり、ib機器はZone1でのみ使用可能である。そして、Zone0またはZone1にて使用可能な機器は本質安全防爆機器と呼ばれている。なお、Type−n機器はZone2での使用が可能である。
【特許文献1】特開2001−75020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の内視鏡装置では、撮像素子からの出力ラインにはバリア回路が設けられておらず、少なくとも防爆構造としての安全基準条件を満たさない。条件を
満たすためには、撮像素子からの出力ラインにバリア回路を設ける必要がある。一方、特許文献1に示す内視鏡装置では、撮像素子をC−MOSイメージセンサとしているが、内視鏡装置では撮像素子としてCCDイメージセンサも広く使用されている。ここで、撮像素子としてCCDイメージセンサを選択し、出力ラインにバリア回路を設ける場合、CCD出力信号がアナログ信号であるために、デジタル出力のC−MOSイメージセンサでバリア回路を設ける場合と比較して非常に難しい。特に、CCDイメージセンサでは、バリア回路の周波数特性に関しては注意が必要で、周波数特性が広く、直流・交流の両面で透過する広い周波数特性のバリア回路を設けないと信号品質が低下してしまう問題があった。
【0011】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、撮像手段から画像信号を出力する信号ラインが防爆構造としての安全基準を満たすとともに、画像信号のもつ周波数特性に係らず、画像信号の信号品質を確保することが可能な内視鏡装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、被検体に挿入される挿入部と、該挿入部の先端側に設けられて前記被検体を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段よりも基端側に設けられて信号ラインを介して入力された前記画像信号を信号処理する画像信号処理手段と、前記撮像手段と前記画像信号処理手段との間に設けられ、電気エネルギーを制限して前記撮像手段側を防爆構造とする撮像出力バリア部とを備え、該撮像出力バリア部は、前記画像信号の内、所定の周波数領域を透過周波数成分として、他の周波数領域と比較して低減衰量で透過させる信号入力側バリア回路を、互いに前記透過周波数成分を異なるものとして複数有することを特徴としている。
【0013】
この発明に係る内視鏡装置によれば、撮像手段によって撮像して出力される画像信号は、信号ラインを介して画像信号処理手段に入力されて信号処理されることとなる。この際、撮像手段と画像信号処理手段との間に撮像出力バリア部が設けられていることで、撮像手段及び信号ライン上を防爆構造とすることができる。また、撮像出力バリア部が、透過周波数成分が異なる複数の信号入力側バリア回路を有しているので、各信号入力側バリア回路によって効果的に電気エネルギーを制限しつつ、一の信号入力側バリア回路で減衰した画像信号の周波数領域を、他の信号入力側バリア回路を透過する画像信号によって補完し、全体として信号品質を確保することができる。なお、ここでいう防爆構造とは、爆発性雰囲気に対してエネルギー印加要素とならないように供給される電気エネルギーが制限されている全ての構造を含み、爆発性雰囲気の種類や濃度、爆発性雰囲気に対して要求される安全率等によって限定されるものではない。
【0014】
また、上記の内視鏡装置において、前記撮像出力バリア部は前記信号入力側バリア回路として、前記透過周波数成分として低周波成分を透過させる第一のバリア回路と、前記透過周波数成分として高周波成分を透過させる第二のバリア回路とを有することがより好ましいとされている。
【0015】
この発明に係る内視鏡装置によれば、撮像出力バリア部において、第一のバリア回路によって画像信号の内、低周波成分を低減衰量で透過させ、第二のバリア回路によって画像信号の内、高周波成分を低減衰量で透過させることで、減衰した成分を互いに補完して全体として信号品質を確保することができる。
【0016】
また、上記の内視鏡装置において、複数の前記信号入力側バリア回路は、前記画像信号処理手段側で互いに接続されて、出力を合成して該画像信号処理手段に前記画像信号を入力することがより好ましいとされている。
【0017】
この発明に係る内視鏡装置によれば、複数の信号入力側バリア回路で透過した画像信号を合成することで、減衰した成分を互いに補完して、一つの画像信号として出力することができる。
【0018】
また、上記の内視鏡装置において、前記撮像手段と前記撮像出力バリア部との間に設けられ、前記画像信号を、前記撮像出力バリア部の複数の前記信号入力側バリア回路に分配して入力する画像信号分配回路を備えることがより好ましいとされている。
【0019】
この発明に係る内視鏡装置によれば、画像信号分配回路によって、撮像出力バリア部の各信号入力側バリア回路に画像信号を好適に入力することができる。
【0020】
また、上記の内視鏡装置において、前記撮像出力バリア部は、前記画像信号処理手段側から前記撮像手段側へ電力を供給する電源ラインに設けられて、電気エネルギーを制限する電力供給側バリア回路を有することがより好ましいとされている。
【0021】
この発明に係る内視鏡装置によれば、撮像出力バリア部の電力供給側バリア回路によって、画像信号処理手段から撮像手段側の各構成に電力を供給する電源ラインにおいても電気エネルギーを制限することができる。
【0022】
また、上記の内視鏡装置において、前記第一のバリア回路は、前記信号ラインに介挿された抵抗と、前記信号ラインと接地点との間に接続された少なくとも一つのツェナーダイオードとを有することがより好ましいとされている。
【0023】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードによって、画像信号の内、低周波成分を低減衰量で透過させつつ撮像手段側に与える電圧を効果的に制限することができ、また、抵抗によって撮像手段側に流れ込む電流を効果的に制限することができる。
【0024】
また、上記の内視鏡装置において、前記第一のバリア回路は、前記ツェナーダイオードを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることがより好ましいとされている。
【0025】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードを二つ以上有していることで、一つが破損しても防爆構造を保証することができ、ib機器として対応することが可能である。
【0026】
また、上記の内視鏡装置において、前記第一のバリア回路は、前記ツェナーダイオードを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることがより好ましいとされている。
【0027】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードを三つ以上有していることで、二つが破損しても防爆構造を保証することができ、ia機器として対応することが可能である。
【0028】
また、上記の内視鏡装置において、前記第二のバリア回路は、前記信号ラインに介挿された少なくとも一つのコンデンサを有することがより好ましいとされている。
【0029】
この発明に係る内視鏡装置によれば、コンデンサによって、画像信号の内、高周波成分を低減衰量で透過させつつ撮像手段側に与える電気エネルギーを効果的に制限することができる。
【0030】
また、上記の内視鏡装置において、前記第二のバリア回路は、前記コンデンサを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることがより好ましいとされている。
【0031】
この発明に係る内視鏡装置によれば、コンデンサを二つ以上有していることで、一つが破損しても防爆構造を保証することができ、ib機器として対応することが可能である。
【0032】
また、上記の内視鏡装置において、前記第二のバリア回路は、前記コンデンサを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることがより好ましいとされている。
【0033】
この発明に係る内視鏡装置によれば、コンデンサを三つ以上有していることで、二つが破損しても防爆構造を保証することができ、ia機器として対応することが可能である。
【0034】
また、上記の内視鏡装置において、前記電力供給側バリア回路は、前記電源ラインと接地点との間に接続された少なくとも一つのツェナーダイオードを有することがより好ましいとされている。
【0035】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードによって、撮像手段側に与える電気エネルギーを効果的に制限することができる。
【0036】
また、上記の内視鏡装置において、前記電力供給側バリア回路は、前記ツェナーダイオードを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることがより好ましいとされている。
【0037】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードを二つ以上有していることで、一つが破損しても防爆構造を保証することができ、ib機器として対応することが可能である。
【0038】
また、上記の内視鏡装置において、前記電力供給側バリア回路は、前記ツェナーダイオードを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることがより好ましいとされている。
【0039】
この発明に係る内視鏡装置によれば、ツェナーダイオードを三つ以上有していることで、二つが破損しても防爆構造を保証することができ、ia機器として対応することが可能である。
【0040】
また、上記の内視鏡装置において、前記信号ラインによって前記撮像手段と前記画像信号処理手段との間で前記画像信号を伝送することによる該画像信号の減衰分を増幅させるプリアンプを備えることがより好ましいとされている。
【0041】
この発明に係る内視鏡装置によれば、プリアンプで画像信号を増幅させることで、撮像手段から出力されて信号ラインを伝送することで減衰した画像信号の出力を増大させることができ、信号品質をより好適なものとすることができる。
【0042】
また、上記の内視鏡装置において、前記プリアンプは、前記撮像出力バリア部よりも前記撮像手段側に設けられていることがより好ましいとされている。
【0043】
この発明に係る内視鏡装置によれば、プリアンプが撮像手段側に設けられていて、増幅した画像信号を撮像出力バリア部に入力することで、撮像出力バリア部で画像信号が劣化してしまうことを防ぎ、信号品質をより好適なものとすることができる。
【0044】
また、上記の内視鏡装置において、前記プリアンプは、前記信号ラインによる減衰分に、前記撮像出力バリア部による増減分を含めて前記画像信号を増幅させることがより好ましいとされている。
【0045】
この発明に係る内視鏡装置によれば、プリンアンプが撮像出力バリア部による増減分も含めて画像信号を増幅させることで、画像信号の信号品質をより好適なものとすることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の内視鏡装置によれば、撮像出力バリア部が複数の信号入力側バリア回路を有していることで、撮像手段及び画像信号を伝送する信号ラインが防爆構造としての安全基準を満たすとともに、画像信号の周波数特性に係らず、画像信号の信号品質を確保することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
(第1の実施形態)
本発明に係る第1の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態に係る内視鏡装置1は、細長で被検体に挿入される挿入部2と、挿入部2の基端側に設けられた本体部3と、液晶ディプレイ(LCD)などの表示部4と、本体部3に接続されて各種操作を行うリモコン5とを備える。さらに、本体部3には、記録媒体6が着脱可能となっていて、後述する画像信号処理手段11によって生成された映像信号をデータとして記録して静止画や動画記録を行うことが可能となっている。
【0048】
挿入部2の先端部には、先端側を照明する照明手段であるLED7と、先端側の被検体を撮像する撮像手段9とが設けられている。撮像手段9は、対物レンズ9aと、対物レンズ9aの結像位置に配置されて結像された観察像を画像信号に光電変換する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)9bとを有する。また、本体部3には、CCD9bを駆動する撮像駆動部10と、CCD9bから出力された画像信号を処理する画像信号処理手段11と、LED7を駆動する照明駆動部12と、画像信号処理手段11及び照明駆動部12を制御するシステム制御部13とが内蔵されている。
【0049】
撮像駆動部10と画像信号処理手段11とは、互いに接続されているとともに、それぞれ挿入部2に配設された複合同軸ケーブルによってCCD9bと接続されている。すなわち、撮像駆動部10によって出力された撮像駆動信号に基づくタイミングでCCD9bは光電変換を行い、CCD9bによって光電変換された画像信号は画像信号処理手段11に出力される。画像信号処理手段11は、システム制御部13と通信を行い、システム制御部13がリモコン5からの入力(Zoom信号、Freeze信号、コントラスト補正設定、ガンマ補正設定、Brightness設定等)を受け取り、それぞれに対応した信号を画像信号処理手段11に入力し、画像信号処理手段11はこの入力信号に基づいて各処理を行う。また、画像信号処理手段11は、入力された画像信号の処理を行い映像信号として本体部3に内蔵された映像記録部14に記録し、映像記録部14は、システム制御部13に入力されるリモコン5からの入力信号に基づいて、映像データを表示部4に表示させ、また、記録媒体6に記録させる。
【0050】
また、照明駆動部12は、同様にケーブルによってLED7と接続されている。すなわち、リモコン5のスイッチの入力などに基づいてシステム制御部13は、照明駆動部12に照明点灯信号を入力する。照明駆動部12は、入力された照明点灯信号に基づいてLED7に照明駆動信号を出力し、これによりLED7の点灯、消灯が制御される。
【0051】
ここで、撮像駆動部10とCCD9bとの間には、撮像駆動部10からCCD9bへの電気エネルギーを制限する撮像駆動バリア手段15が介挿されている。また、画像信号処理手段11とCCD9bとの間には、画像信号処理手段11からCCD9bへの電気エネルギーを制限する撮像出力バリア手段16が介挿されている。さらに、照明駆動部12とLED7との間には、照明駆動部12からLED7への電気エネルギーを制限する照明駆動バリア手段17が介挿されている。撮像駆動バリア手段15、撮像出力バリア手段16、及び、照明駆動バリア手段17は、本質安全防爆の安全基準条件を満たすエネルギー制限回路であり、本体部3に内蔵されている。すなわち、撮像駆動バリア手段15、撮像出力バリア手段16、及び、照明駆動バリア手段17よって、これらよりも先端側に位置する挿入部2を防爆機器とし、非防爆機器側の本体部3内で故障などが発生して過大なエネルギーが発生してしまったとしても、防爆機器である挿入部2側には、上記エネルギー制限回路によって制限される所定のエネルギーしか印加されないようになっている。以下に、撮像出力バリア手段16について、その詳細を説明する。
【0052】
図2は、内視鏡装置1において撮像出力バリア手段16の詳細を表わすブロック図を示している。図2に示すように、撮像出力バリア手段16は、CCD9bから出力される画像信号を画像信号処理手段11に伝送する信号ライン20a、20bの間、及び、画像信号処理手段11から出力される電力をCCD9b側に供給する電源ライン21a、21bの間で画像信号処理手段11からCCD9bへの電気エネルギーを制限する撮像出力バリア部22と、CCD9bから出力された画像信号を増幅させるプリアンプ23と、プリアンプ23で増幅された画像信号を分配して撮像出力バリア部22の各回路に入力する画像信号分配回路24とを有する。
【0053】
撮像出力バリア部22は、信号ライン20a、20bの間に介挿されて電気エネルギーを制限する信号入力側バリア回路として、第一のバリア回路25と第二のバリア回路26とを有するとともに、電源ライン21a、21bの間に介挿されて電気エネルギーを制限する電力供給側バリア回路27とを有する。すなわち、画像信号処理手段11から出力される電力は、電力供給側バリア回路27によってエネルギー制限された形でCCD9b側に出力されて、プリアンプ23及び画像信号分配回路24に供給される。また、CCD9bから出力される画像信号は、信号ライン20aを介してプリアンプ23に入力され、増幅される。ここで、プリアンプ23は、信号ライン20aによって挿入部2内で長距離伝送して減衰する分とともに、その後に入力される第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26によって増減する分を考慮して画像信号を増幅させるように設定されている。そして、プリアンプ23によって増幅された画像信号は、画像信号分配回路24によって分配されて撮像出力バリア部22の第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26に入力される。ここで、画像信号分配回路24は、後述するように第一のバリア回路25と第二のバリア回路26とのそれぞれにとって最適な信号形態で入力する回路構成となっている。
【0054】
第一のバリア回路25は、電気エネルギーを制限するとともに、入力される画像信号の内、高周波成分に対して低周波成分を低減衰量で透過させる回路構成となっていて、高周波成分が除去された信号として出力される。また、第二のバリア回路26は、電気エネルギーを制限するとともに、入力される画像信号の内、低周波成分に対して、第一のバリア回路25で除去される高周波成分を低減衰量で透過させる回路構成となっていて、低周波成分が除去された信号として出力される。第一のバリア回路25と第二のバリア回路26とは、画像信号処理手段11側で接続されていて、これにより第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26からそれぞれ出力される画像信号は合成されて画像信号処理手段11に入力される。
【0055】
ここで、図3(a)は、第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26をそれぞれ透過する画像信号について、周波数と減衰量との関係を示している。また、図3(b)は、第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26から出力された信号を合成した画像信号について、周波数と減衰量との関係を示している。図3(a)に示すように、第一のバリア回路25から出力される画像信号S1は、低周波数領域ではほとんど減衰されていない一方、高周波領域となるに従って減衰量が大きくなっており、回路構成によって決定される所定の周波数からは極端に減衰量が大きくなる。また、第二のバリア回路26から出力される画像信号S2は、低周波数領域ではそのほとんどが減衰されてしまう一方、回路構成によって決定される所定の周波数からは極端に減衰量が小さくなっており、高周波数領域ではほとんど減衰されていない。そして、図3(b)に示すように、両者を合成することで、全体として、入力された画像信号と略等しい画像信号S3として出力することができる。ここで、合成されて出力される画像信号S3は、周波数に対して若干増減した波形となる。そして、この増減分を完全に均一化することは困難であるため、増幅成分と減衰成分との比率が略一致する平均値S4を撮像出力バリア部22の増減分と考えて、上記のようにプリアンプ23で考慮して画像信号を増幅させる。
【0056】
以上のようにして、CCD9bと画像信号処理手段11との間において、信号入力側バリア回路である第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26によって、信号ライン20a、20bのエネルギー制限を行うとともに、電源供給側バリア回路27によって電源ライン21a、21bのエネルギー制限を行い、撮像出力バリア部22よりもCCD9b側、すなわち挿入部2側を防爆機器とすることができる。なお、挿入部2側を防爆機器とするには、さらに挿入部2側に内蔵される回路について所定の距離だけ沿面・空間距離を保つ必要がある。
【0057】
次に、上記構成を実現するための回路の詳細について図4に基づいて説明する。図4に示すように、プリアンプ23は、抵抗23a、23b、23c、23d、23eと、トランジスタ23fとによって形成されるベース接地アンプである。すなわち、プリアンプ23に入力された画像信号は、抵抗23a、23dによって決定される増幅率分だけ増幅された形で画像信号分配回路24に入力されることとなり、抵抗23a、23dの抵抗値は信号ライン20aの減衰分並びに第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26の増減分によって決定される。ここで、プリアンプ23のベース接地アンプの動作に関して具体的に説明する。抵抗23d、23eによってトランジスタ23fのベース電位が決定され、トランジスタ23fのベース・エミッタ間電圧分の電位差をベース電位に対して有してトランジスタ23fのエミッタ電位が決定される。このエミッタ電位と抵抗23cの抵抗値によってトランジスタ23fのコレクタ電流が決定し、このコレクタ電流により、当該ベース接地アンプの周波数特性が決定する。なお、CCD9bから出力される画像信号は、非常に高周波であるため、十分に周波数特性を考慮する必要がある。
【0058】
また、画像信号分配回路24は、プリアンプ23から入力される画像信号について、撮像出力バリア部22の内、第二のバリア回路26に、抵抗などを通さずに直接入力させる一方、分岐させて抵抗24a、24b、及び、トランジスタ24cによって形成されるエミッタフォロア回路を通して第一のバリア回路25に入力させる。ここで、下記に示すように第一のバリア回路25は、第二のバリア回路26に比べてインピーダンスが低い。このため、エミッタフォロア回路を通してインピーダンスを変換して負荷の低減を図っている。
【0059】
撮像出力バリア部22において、第一のバリア回路25は、信号ライン20a、20bに介挿された抵抗25aと、信号ライン20a、20bと接地点との間に設けられたツェナーダイオード25b、25c、25dと、信号ライン20a、20bに介挿されたヒューズ25eとで形成されている。ここで、ツェナーダイオード25b、25c、25dには、容量成分があるため、抵抗25aとともにローパスフィルタを形成することとなる。このため、上記のように高周波成分が減衰し、低周波成分のみが低減衰量で通過することとなる。ここで、第一のバリア回路25は、本質安全防爆のia機器に必要なエネルギー制限回路となっている。まず、ヒューズ25eとツェナーダイオード25b、25c、25dとの組み合わせで防爆機器側(CCD9b側)に与える電圧を制限している。ヒューズ25eはツェナーダイオード25b、25c、25dの定格電力を保証するために必要である。これに加えて、抵抗25aにて防爆機器側(CCD9b側)に流れ込む電流を制限している。このように、電圧及び電流をそれぞれ制限することにより防爆機器側(CCD9b側)に印加されるエネルギーを制限することを可能としている。また、ツェナーダイオードは、上記のように三つ設けられていて、二つが破損しても防爆構造を保証することができる構成となっていて、すなわちia機器に対応している。
【0060】
また、第二のバリア回路26は、コンデンサ26a、26b、26cで形成されている。ここで、コンデンサは容量に応じて通過する周波数成分が異なり、容量で決まる所定の周波数以下の成分が通過せず、すなわちハイパスフィルターを形成することとなる。
このため、上記のように低周波成分が減衰し、高周波成分のみが低減衰量で通過することとなる。ここで、ここで、第二のバリア回路26は、本質安全防爆のia機器に必要なエネルギー制限回路となっている。すなわち、上記のように三つ設けられていて、二つが破損しても防爆構造を保証することができる構成となっていて、ia機器に対応している。なお、上記回路をエネルギー制限回路として有効とするためには、コンデンサ26a、26b、26cが通常の故障で考えられる電圧に対し十分にマージンを確保した耐圧が必要となる。
【0061】
ここで、第一のバリア回路25の出力と、第二のバリア回路26の出力とは、図3(b)の例に示すように、合成して平均化する必要があるため、互いに減衰される周波数領域を補完し合えるように、第一のバリア回路25のツェナーダイオード及び第二のバリア回路26のコンデンサのそれぞれの容量成分が決定される。そして、第一のバリア回路25及び第二のバリア回路26から出力された信号は合成されて、トランジスタ22aに入力される。トランジスタ22a及び抵抗22bではエミッタフォロア回路を形成し、低インピーダンスで画像信号処理手段11に入力されることとなる。
【0062】
画像信号処理手段11から供給される電力は、撮像出力バリア部22においてトランジスタ22aの電源としてコレクタに接続されるとともに、電源ライン21aを介して電力供給バリア回路27に接続され、電源ライン21bを介して画像信号分配回路24及びプリアンプ23の電源として接続されている。電力供給側バリア回路27は、電源ライン21a、21bに介挿されたヒューズ27aと、電源ライン21a、21bと接地点との間に接続されたツェナーダイオード27b、27c、27dと、電源ライン21a、21bに介挿された抵抗27eとで形成されている。ここで、電力供給側バリア回路27は、本質安全防爆のia機器に必要なエネルギー制限回路となっている。まず、ヒューズ27aとツェナーダイオード27b、27c、27dとの組み合わせで防爆機器側(CCD9b側)に与える電圧を制限している。ヒューズ27aは、ツェナーダイオード27b、27c、27dの定格電力を保証するために必要である。これに加えて、抵抗27eにて防爆機器側(CCD9b側)に流れ込む電流を制限している。このように、電圧と電流をそれぞれ制限することにより防爆機器側(CCD9b側)に印加されるエネルギーを制限することを可能としていて、エネルギー制限された上で画像信号分配回路24及びプリアンプ23に出力されて各電源として使用されている。また、ツェナーダイオードは、上記のように三つ設けられていて、二つが破損しても防爆構造を保証することができる構成となっていて、すなわちia機器に対応している。
【0063】
以上のように、本実施形態の内視鏡装置1では、撮像手段9と、撮像手段9からの画像信号を処理する画像信号処理手段11との間に、撮像出力バリア部22が設けられていることで、撮像手段9の出力ラインを防爆構造とし、特に、上記のような回路とすることでia機器対応として、本質安全防爆の安全基準条件を満たすことができる。そして、撮像出力バリア部22が、第一のバリア回路25と第二のバリア回路26とによって効果的に電気エネルギーを制限しつつ、一方のバリア回路で減衰した画像信号の周波数領域を他方のバリア回路を透過する画像信号によって補完することができる。このため、撮像手段9として広範な周波数特性を有するCCD9bを選択しても、その周波数特性に係らず、全体として信号品質を確保することができる。また、本実施形態の内視鏡装置1では、プリアンプ23によって画像信号を増幅していることで、上記のように信号ライン21aを伝送することで減衰する画像信号の出力を増大させることができ、信号品質をより好適なものとすることができる。なお、本実施形態では、プリアンプ23は、撮像出力バリア部22よりも撮像手段9側に設けられるものとしたが、これに限るものでは無く、画像信号処理手段11側に設けるものとしても良い。しかしながら、プリアンプ23を撮像手段9側に設けることで、低インピーダンスで負荷の重たい第一のバリア回路25に、増幅した画像信号を入力することができ、画像信号の劣化を防ぎ、信号品質をより好適なものとすることができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
図5に示すように、本実施形態の内視鏡装置30において、CCD9bと画像信号処理手段11との間で電気エネルギーを制限する撮像出力バリア部31は、信号ライン20a、20bに介挿されて電気エネルギーを制限する信号入力側バリア回路として、第一のバリア回路32と第二のバリア回路33とを有するとともに、電源ライン21a、21bに介挿されて電気エネルギーを制限する電力供給側バリア回路34とを有する。
【0066】
第一のバリア回路32は、抵抗32aと、ツェナーダイオード32b、32cと、ヒューズ32dとで形成されている。そして、抵抗32aと、ツェナーダイオード32b、32cとによってローパスフィルタを形成している。また、ヒューズ32dとツェナーダイオード32b、32cとによって防爆機器側(CCD9b側)の電圧を制限し、また、抵抗32aによって電流を制限し、これにより防爆機器側(CCD9b)側に印加されるエネルギーを制限している。また、ツェナーダイオードは、上記のように二つ設けられていて、一つが破損しても防爆構造を保証することができる構成となっていて、すなわちib機器に対応している。
【0067】
また、第二のバリア回路33は、コンデンサ33a、33bで形成されていて、ハイパスフィルターを形成するとともに、防爆機器側(CCD9b)側に印加されるエネルギーを制限している。また、コンデンサは、上記のように二つ設けられていて、一つが破損しても防爆構造を保証することができる構成となっていて、すなわちib機器に対応している。
【0068】
また、電力供給側バリア回路34は、ヒューズ34aと、ツェナーダイオード34b、34cと、抵抗34d、34e、34f、34gと、FET(Field Effect Transistor)34h、34i、34j、34kとで形成されている。ここで、電力供給側バリア回路34は、本質安全防爆のib機器に必要なエネルギー制限回路となっている。まず、ヒューズ34aとツェナーダイオード34b、34cとの組み合わせで防爆機器側(CCD9b側)に与える電圧を制限している。ヒューズ34aは、ツェナーダイオード34b、34cの定格電力を保証するために必要である。これに加えて、抵抗34d、34e、34f、34gと、FET34h、34i、34j、34kとによって形成される電流制限回路によって防爆機器側(CCD9b側)流れ込む電流を制限している。以下に、この電流制限回路の動作の詳細について説明する。
【0069】
すなわち、抵抗34dに流れ込む電流が増加すると、FET34iのゲート・ソース間電圧が上昇して所定のvthを超えると、FET34iがONとなる。FET34iがONした直後、FET34hのゲート・ソース間電圧が低下して所定のvthを下回ることとなり、FET34hがOFFとなる。さらに、FET34hがOFFした直後、抵抗34dに流れる電流が減少する。これにより、FET34iのゲート・ソース間電圧が低下してFET34iがOFFとなる。以上の現象を繰り返すことで、最終的には、(FET34iのvth)/(抵抗34dの抵抗値)で決定される電流値で電流が制限されることとなる。なお、抵抗34f、34gと、FET34j、34kとで形成される電流制限回路も同様の動作をして電流が制限されることとなる。以上のように、電圧と電流をそれぞれ制限することにより防爆機器側に印加されるエネルギーを制限している。そして、本実施形態の電力供給側バリア回路では、FETを利用して電流を制限していることによって、電流遮断特性が急峻となって良好な特性を得ることができる。
【0070】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態を示したものである。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、本実施形態の内視鏡装置40において、CCD9bと画像信号処理手段11との間で電気エネルギーを制限する撮像出力バリア部41は、信号入力側バリア回路として、第一のバリア回路32と第二のバリア回路33とを有するとともに、電源ライン21a、21bの間に介挿されて電気エネルギーを制限する電力供給側バリア回路42とを有する。
【0072】
電力供給側バリア回路42は、ヒューズ42aと、ツェナーダイオード42b、42cと、抵抗42d、42e、42f、42gと、トランジスタ42h、42i、42j、42kとで形成されている。ここで、電力供給側バリア回路42は、本質安全防爆のib機器に必要なエネルギー制限回路となっている。まず、ヒューズ42aとツェナーダイオード42b、42cとの組み合わせで防爆機器側(CCD9b側)に与える電圧を制限している。ヒューズ42aは、ツェナーダイオード42b、42cの定格電力を保証するために必要である。これに加えて、抵抗42d、42e、42f、42gと、トランジスタ42h、42i、42j、42kとによって形成される電流制限回路によって防爆機器側(CCD9b側)流れ込む電流を制限している。以下に、この電流制限回路の動作の詳細について説明する。
【0073】
すなわち、抵抗42dに流れ込む電流が増加すると、トランジスタ42hのベース・エミッタ間電圧が上昇して所定のvbeを超えると、トランジスタ42hがONとなる。トランジスタ42hがONした時のベース・エミッタ間の電圧は、所定のvbeで固定されているため、トランジスタ42iに流れる電流は、(トランジスタ42hのvbe)/(抵抗42dの抵抗値)で求まる電流値で一定となる。一方、トランジスタ42hがONとなると、抵抗42eで制限される電流が流れることとなる。抵抗42eの抵抗値がツェナーダイオード42b、42cで制限される電圧に対して十分大きい抵抗値である場合には、殆ど無視することができて、結局のところ、(トランジスタ42hのvbe)/(抵抗42dの抵抗値)で求まる電流値で制限されることとなる。なお、抵抗42f、42gと、トランジスタ42j、42kとで形成される電流制限回路も同様の動作をして電流が制限されることとなる。以上のように、電圧と電流をそれぞれ制限することにより防爆機器側に印加されるエネルギーを制限している。そして、本実施形態の電力供給側バリア回路では、トランジスタを利用して電流を制限していることによって、電流遮断特性が急峻となって良好な特性を得ることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0075】
なお、上記各実施形態では、信号入力側バリア回路として、第一のバリア回路25と、第二のバリア回路26と二つのバリア回路を設けるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、画像信号の内、低域周波数を透過させるバリア回路と、中域周波数を透過させるバリア回路と、高域周波数を透過させるバリア回路と、三つのバリア回路を設けるものとしても良い。すなわち、複数の信号入力バリア回路が設けられていて、各信号入力バリア回路が、他の信号入力側バリア回路と異なる周波数領域を透過周波数成分として低減衰量で画像信号を透過させることで、各信号入力バリア回路によって電気エネルギーを制限しつつ、画像信号の信号品質を確保することができる。また、上記各実施形態では、電気エネルギーを制限するバリア手段である撮像駆動バリア手段15、撮像出力バリア手段16、及び、照明駆動バリア手段17は、本体部3に設けるものとしたが、これに限るものでは無い。例えば、挿入部2の基端に操作部を有して本体部3に対して着脱可能としたスコープユニットを備えた内視鏡装置の場合、挿入部2に設けられた操作部内に各バリア手段を内蔵するものとしても良い。この場合、電気エネルギーを効果的に制限しつつ、スコープユニットが着脱される本体部としては汎用品を選択することができるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、撮像出力バリア手段の詳細を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、(a)第一のバリア回路及び第二のバリア回路について、入力される画像信号の周波数と出力される画像信号の減衰量との関係の一例を示すグラフ、(b)第一のバリア回路及び第二のバリア回路から出力されて合成された画像信号について、周波数と減衰量との関係の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、撮像出力バリア手段の詳細を示す回路図である。
【図5】本発明の第2の実施形態の内視鏡装置において、撮像出力バリア手段の詳細を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、撮像出力バリア手段の詳細を示す回路図である。
【符号の説明】
【0077】
1、30、40 内視鏡装置
2 挿入部
9 撮像手段
11 画像信号処理手段
20a、20b 信号ライン
21a、21b 電源ライン
22、31、41 撮像出力バリア部
23 プリアンプ
24 画像信号分配回路
25、32 第一のバリア回路(信号入力側バリア回路)
25a 抵抗
25b、25c、25d、32b、32c ツェナーダイオード
26、33 第二のバリア回路(信号入力側バリア回路)
26a 、26b、26c、33a、33b コンデンサ
27、34、42 電力供給側バリア回路
27b、27c、27d、34b、34c、42b、42c ツェナーダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される挿入部と、
該挿入部の先端側に設けられて前記被検体を撮像して画像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段よりも基端側に設けられて信号ラインを介して入力された前記画像信号を信号処理する画像信号処理手段と、
前記撮像手段と前記画像信号処理手段との間に設けられ、電気エネルギーを制限して前記撮像手段側を防爆構造とする撮像出力バリア部とを備え、
該撮像出力バリア部は、前記画像信号の内、所定の周波数領域を透過周波数成分として、他の周波数領域と比較して低減衰量で透過させる信号入力側バリア回路を、互いに前記透過周波数成分を異なるものとして複数有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡装置において、
前記撮像出力バリア部は前記信号入力側バリア回路として、前記透過周波数成分として低周波成分を透過させる第一のバリア回路と、
前記透過周波数成分として高周波成分を透過させる第二のバリア回路とを有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内視鏡装置において、
複数の前記信号入力側バリア回路は、前記画像信号処理手段側で互いに接続されて、出力を合成して該画像信号処理手段に前記画像信号を入力することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記撮像手段と前記撮像出力バリア部との間に設けられ、前記画像信号を、前記撮像出力バリア部の複数の前記信号入力側バリア回路に分配して入力する画像信号分配回路を備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記撮像出力バリア部は、前記画像信号処理手段側から前記撮像手段側へ電力を供給する電源ラインに設けられて、電気エネルギーを制限する電力供給側バリア回路を有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項6】
請求項2に記載の内視鏡装置において、
前記第一のバリア回路は、前記信号ラインに介挿された抵抗と、
前記信号ラインと接地点との間に接続された少なくとも一つのツェナーダイオードとを有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
前記第一のバリア回路は、前記ツェナーダイオードを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項8】
請求項6に記載の内視鏡装置において、
前記第一のバリア回路は、前記ツェナーダイオードを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項9】
請求項2に記載の内視鏡装置において、
前記第二のバリア回路は、前記信号ラインに介挿された少なくとも一つのコンデンサを有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡装置において、
前記第二のバリア回路は、前記コンデンサを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項11】
請求項9に記載の内視鏡装置において、
前記第二のバリア回路は、前記コンデンサを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項12】
請求項5に記載の内視鏡装置において、
前記電力供給側バリア回路は、前記電源ラインと接地点との間に接続された少なくとも一つのツェナーダイオードを有することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項13】
請求項12に記載の内視鏡装置において、
前記電力供給側バリア回路は、前記ツェナーダイオードを二つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくib機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項14】
請求項12に記載の内視鏡装置において、
前記電力供給側バリア回路は、前記ツェナーダイオードを三つ以上有していて、前記撮像手段側を防爆規定に基づくia機器としていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の内視鏡装置において、
前記信号ラインによって前記撮像手段と前記画像信号処理手段との間で前記画像信号を伝送することによる該画像信号の減衰分を増幅させるプリアンプを備えることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項16】
請求項15に記載の内視鏡装置において、
前記プリアンプは、前記撮像出力バリア部よりも前記撮像手段側に設けられていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載の内視鏡装置において、
前記プリアンプは、前記信号ラインによる減衰分に、前記撮像出力バリア部による増減分を含めて前記画像信号を増幅させることを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−292730(P2008−292730A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137678(P2007−137678)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】