説明

内視鏡

【課題】操作部と挿入部との相対的な回転位置に応じて、回転位置を力感的に把握することを提供する。
【解決手段】内視鏡は、挿入部12と操作部16とを具備し、挿入部12は、挿入部12の基端部に設けられ、挿入部側外装19を備える挿入部側接続部と、挿入部12の先端部に設けられ挿入部側外装19に対して湾曲作動される湾曲部14とを有し、操作部16は、湾曲部14を湾曲作動させるための湾曲操作部材21と、操作部16に対して挿入部12が挿入部12の長手軸を中心として回動可能となるように挿入部側接続部に接続されている操作部側接続部であって、湾曲操作部材21に対して所定の位置関係をなす操作部側外装を備える操作部側接続部とを有し、挿入部側外装19と操作部側外装とによって形成され、操作部16に対する挿入部12の回動位置を示すことにより湾曲操作部材21に対する湾曲部14の湾曲方向を認識可能とする指標手段をさらに具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部に対して挿入部が回転操作可能な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡では、体腔内に挿入される細長い挿入部の基端部に、操作者に保持、操作される操作部が配設されている。特許文献1には、操作部に対して挿入部が回転操作可能な内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−305413号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1実施態様では、内視鏡は、体内に挿入される挿入部と、操作者に保持操作される操作部と、を具備し、前記挿入部は、前記挿入部の基端部に設けられている挿入部側接続部であって、挿入部側外装を備える、挿入部側接続部と、前記挿入部の先端部に設けられ前記挿入部側外装に対して所定の湾曲方向に湾曲作動される湾曲部と、を有し、前記操作部は、前記湾曲部を前記湾曲方向に湾曲作動させるための湾曲操作部材と、前記操作部に対して前記挿入部が前記挿入部の長手軸を中心として回動可能となるように前記挿入部側接続部に接続されている操作部側接続部であって、前記湾曲操作部材に対して所定の位置関係をなす操作部側外装を備える、操作部側接続部と、を有し、前記挿入部側外装と前記操作部側外装とによって形成され、前記操作部に対する前記挿入部の回動位置を示すことにより前記湾曲操作部材に対する前記湾曲部の前記湾曲方向を認識可能とする指標手段をさらに具備する、ことを特徴とする。
【0005】
本発明の第2実施態様では、内視鏡は、前記指標手段は、前記挿入部側外装に形成されている挿入部側凸部と、前記操作部側外装に形成されている操作部側凸部と、を有する、ことを特徴とする。
【0006】
本発明の第3実施態様では、内視鏡は、前記挿入部側凸部と前記操作部側凸部とは、前記操作部に対して前記挿入部が所定の基準回動位置にある場合に、互いに整列されて、前記湾曲部の前記湾曲方向に一致する所定の突出方向に突出する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第4実施態様では、内視鏡は、前記挿入部側凸部は、前記挿入部側凸部の頂部に形成されている挿入部側凹部を有し、前記操作部側凸部は、前記操作部側凸部の頂部に形成されている操作部側凹部を有し、前記挿入部側凹部と前記操作部側凹部とは、前記操作部に対して前記挿入部が前記基準回動位置にある場合に、互いに整列される、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡を示す斜視図。
【図2A】本発明の第1実施形態の内視鏡の接続部を示す縦断面図。
【図2B】本発明の第1実施形態の内視鏡の接続部を図2AのIIB−IIB線に沿って切断して示す横断面図。
【図2C】本発明の第1実施形態の内視鏡の接続部を図2AのIIC−IIC線に沿って切断して示す横断面図。
【図2D】本発明の第1実施形態の内視鏡の接続部を図2AのIID−IID線に沿って切断して示す横断面図。
【図2E】本発明の第1実施形態の内視鏡の接続部を図2AのIIE−IIE線に沿って切断して示す横断面図。
【図3】本発明の第2実施形態の内視鏡の接続部を示す横断面図。
【図4】本発明の第2実施形態の変形例の内視鏡の接続部を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態を図面を参照して説明する。
【0010】
図1乃至図2Eは、本発明の第1実施形態を示す。
【0011】
図1を参照し、内視鏡は、体腔内に挿入される細長い挿入部12を有する。挿入部12では、先端硬性部13、二方向に湾曲作動される湾曲部14、長尺で可撓性の可撓管部15が先端側から順に配設されている。挿入部12の基端部は、操作者に保持、操作される操作部16に接続されている。なお、挿入部12の基端部には、操作部16に対する挿入部12の屈曲を防止するためのオレドメ部17が外装されている。挿入部12及び操作部16の中心軸は略共軸で内視鏡の中心軸をなしており、挿入部12の基端部は、操作部16に対して、上記中心軸を中心として回転可能である。挿入部12と操作部16との接続部18には、円環状の回転つまみ19が上記中心軸を中心として回転可能に配設されている。回転つまみ19を回転操作することにより、操作部16に対して挿入部12を回転させることが可能である。操作部16には、内視鏡の軸方向に回動可能に湾曲レバー21が配設されている。湾曲レバー21を二方向に回動操作することにより、湾曲部14を二方向に湾曲作動可能である。
【0012】
ここで、操作部16に対する挿入部12の回転の基準位置となるニュートラル位置を説明する。即ち、操作部16に対して湾曲レバー21が配設されている側を正面側、逆側を背面側とする。そして、内視鏡が直線状をなしている状態で、内視鏡の先端側から基端側への湾曲レバー21の回動により、湾曲部14が湾曲レバー21の回動方向に平行に背面側から正面側へと湾曲される場合に、操作部16に対して挿入部12がニュートラル位置にあるとする。
【0013】
図2A乃至図2Eを参照して、接続部18の構成を詳細に説明する。
【0014】
図2A乃至図2Cを参照して、操作部16に対する挿入部12の回転を可能とする回転機構について説明する。
【0015】
操作部本体の先端部には、円筒状の操作部口金22が軸方向に突設されている。操作部口金22の中間部には円筒状の操作部ハウジング23が外挿され、操作部固定ピン24によって固定されている。操作部口金22と操作部ハウジング23とによって、操作部口金部が形成されている。ここで、操作部固定ピン24の末端部は、操作部口金22の内面から突出し、挿入部口金28の軸方向ストッパーとして機能する。操作部ハウジング23では、先端側の外径よりも基端側の外径が大きくなっている。操作部ハウジング23の基端側には、円環状のカバー25が外嵌され、固定されている。カバー25において、上述した背面側に、径方向に突出しているカバー凸部26が形成されている。カバー凸部26の頂部には、挿入部12のニュートラル位置を示すための凹状のカバー指標27が形成されている。
【0016】
他方、挿入部12の可撓管の基端部には、円筒状の挿入部口金28が軸方向に突設されている。挿入部口金28の基端部は、操作部口金22の先端部に、上記中心軸を中心として回転可能に挿通されている。挿入部口金28には挿入部ハウジング29が外装されている。挿入部口金28と挿入部ハウジング29とにより、挿入部口金部が形成されている。ここで、挿入部口金28の中間部に、挿入部ハウジング29の先端部が外挿され、挿入部固定ピン30により強固に固定されている。挿入部ハウジング29の内径は、先端部よりも中間部で、中間部よりも基端部で大きくなっている。挿入部ハウジング29の先端部と中間部との間の段差面と、操作部口金22の先端面との間に、挿入部口金28と共軸に、環状の弾性部材31、スペーサ32、樹脂製の第1のワッシャ33aが先端側から順に介設されている。一方、挿入部口金28の基端の外周面及び操作部口金22の先端の内周面には全周にわたって突出部が延設されており、両突出部の間に、挿入部口金28及び操作部口金22と共軸に、環状の樹脂製の第2のワッシャ33bが介設されている。そして、挿入部口金28の先端部の外周面には、雄ねじが形成され、対応する雌ねじが内周面に形成されている固定リング34が軸方向に移動可能に螺着されている。固定リング34は基端側へと締め込まれており、挿入部ハウジング29と挿入部口金28の基端部とにより操作部口金22の先端部が挟み込まれるように保持されている。挿入部ハウジング29と操作部口金22との間の弾性部材31は圧縮されており、操作部16に対して挿入部12が繰り返し回転されて回転接触面において磨耗が生じた場合であっても、弾性部材31の復帰作用により、一定の保持力が維持される。
【0017】
挿入部ハウジング29の基端側の外周面には、上述した回転つまみ19が外嵌され、接着固定されている。回転つまみ19には、径方向に突出しているつまみ凸部35が形成されている。つまみ凸部35の頂部には、凹溝状のつまみ指標36が軸方向に延設されている。周方向に対して、上述したカバー凸部26のカバー指標27につまみ指標36が整列されている場合に、操作部16に対して挿入部12がニュートラル位置にあることになる。なお、カバー凸部26とつまみ凸部35とは、軸方向にみて、類似するが多少異なる大きさ、形状に形成されている。
【0018】
挿入部ハウジング29の先端部には、オレドメ部17の基端部が外挿され、オレドメ部固定ピン37により固定されている。このため、オレドメ部17は、挿入部12と一体的に回転可能である。
【0019】
図2A及び図2Dを参照して、操作部16に対する挿入部12の回転を規制する回転規制機構について説明する。
【0020】
操作部口金22の先端部の外周面と、挿入部ハウジング29の中間部の内周面との間に、環状の回動スペース38が形成されている。挿入部ハウジング29の内周面から、規制ピン39が回動スペース38へと径方向内向きに突設されている。規制ピン39は、回転つまみ19への回転操作による挿入部ハウジング29の回転により、回動スペース38に沿って回動される。一方、操作部ハウジング23の先端面から、延出部41が回動スペース38へと軸方向先端側向きに延出されている。規制ピン39が延出部41に当接することで、挿入部ハウジング29の回転が規制され、挿入部12の回転が規制される。
【0021】
ここで、回転規制機構は、ニュートラル位置に対して、両回転方向について対称な形態を有する。即ち、規制ピン39は、上記中心軸と規制ピン39の中心軸とを含む基準面に対して対称な形態を有する。ここで、挿入部12がニュートラル位置にある場合の当該基準面の位置を基準面のニュートラル位置と称する。延出部41は、ニュートラル位置にある基準面に対して対称な形態を有する。
【0022】
図2A及び図2Eを参照して、操作部16に対する挿入部12の回転位置に応じて、挿入部12の回転に要する回転力量を変化させる力量変化機構について説明する。
【0023】
操作部ハウジング23の先端側の外周面と、挿入部ハウジング29の基端部の内周面との間に、環状の収容スペース42が形成されている。
【0024】
収容スペース42において、挿入部ハウジング29の内周面によって、当接面43が形成されている。軸方向に直交する横断面では、当接面43は楕円形状をなしている。即ち、当接面43は、最大内径をなす第1の径部としての最大内径部44と、最小内径をなす第2の径部としての最小内径部45と、を有する。
【0025】
操作部ハウジング23に、当接組体としての板ばね46が配設されている。即ち、長板状の板ばね46では、中央部から両側へと弾性部としてのアーム部47が湾曲して延びており、アーム部47の延出端部には、湾曲方向に対して逆向きに凸のへ字状をなす当接部としてのばね凸部48が形成されている。そして、操作部ハウジング23の外周面には、板ばね46の幅よりも僅かに大きな幅を有し、周方向に延びている位置決め溝が形成されている。板ばね46の中央部は、板ばね46が周方向に対して傾いて配置されないように、板ばね46位置決め溝に収容、位置決めされた状態で、ばね固定ピン49により操作部ハウジング23の外周面に固定されている。板ばね46のアーム部47は周方向に沿って径方向外向きに広がるように延びており、アーム部47によりばね凸部48が当接面43へと付勢されている。
【0026】
板ばね46のばね凸部48は、挿入部12の回転による挿入部ハウジング29の回転により、当接面43に当接されつつ摺動可能である。ばね凸部48は、挿入部12がニュートラル位置にある場合には、当接面43の最大内径部44に配置される。ばね凸部48が最大内径部44に配置されている場合には、アーム部47は自然状態となり、ばね凸部48は当接面43に当接されない。
【0027】
ここで、力量変化機構は、ニュートラル位置に対して、両回転方向について対称な形態を有する。即ち、板ばね46は、上記中心軸と板ばね46の中央とを含む基準面に対して対称な形態を有する。ここで、挿入部12がニュートラル位置にある場合の当該基準面の位置を基準面のニュートラル位置と称する。ニュートラル位置にある基準面には、当接面43の楕円形状の短軸が含まれ、当接面43は、ニュートラル位置にある基準面に対して対称な形態を有する。
【0028】
なお、板ばね46を曲げ加工してばね凸部48を形成する際には、ばね凸部48の頂部において、板ばね46の幅方向の両端部に、ばね凸部48の突出方向に突出する角状突起が形成される場合がある。回転つまみ19を回転操作する際に、角状突起が当接面43で摺動されると、ざらざらした感覚が生じてしまう。このようなざら感を防止するために、挿入部ハウジング29側には、角状突起を逃がす逃がし形状が形成されている。本実施形態では、先端側の角状突起を逃がすための逃がし溝が当接面43に形成されており、基端側の角状突起を逃がすために、当接面43をなす挿入部ハウジング29の基端は基端側の角状形状よりも先端側に配置されている。
【0029】
次に、本実施形態の内視鏡における操作部16に対する挿入部12の回転操作について説明する。
【0030】
回転つまみ19をニュートラル位置から回転操作すると、操作部16に対して挿入部12がニュートラル位置から回転される。回転規制機構において、挿入部ハウジング29の規制ピン39が操作部ハウジング23の延出部41に当接されることにより、挿入部12の回転が規制される。これが、挿入部12の最大回転位置である。
【0031】
操作部16に対して挿入部12がニュートラル位置にある場合には、カバー25のカバー指標27に回転つまみ19のつまみ指標36が整列されており、力量変化機構においては、板ばね46のばね凸部48は、当接面43の最大内径部44に配置され、当接面43に当接されていない。
【0032】
回転つまみ19をニュートラル位置から離れる方向に回転操作する場合には、ばね凸部48が、当接面43に当接されつつ最小内径部45に向かって摺動されて、径方向内向きに変位される。この結果、板ばね46のアーム部47の径方向内向きへの湾曲変形量が増大され、板ばね46からばね凸部48に付与される付勢力が増大され、ばね凸部48と当接面43との間の当接力が増大されて、摩擦力が増大される。即ち、挿入部12の回転に要する力量が増大される。一方、回転つまみ19をニュートラル位置に接近する方向に回転操作する場合には、ばね凸部48が径方向外向きに変位され、上述した湾曲変形量、付勢力、当接力、摩擦力が減少されて、挿入部12の回転に要する力量が減少される。このように、挿入部12の回転位置がニュートラル位置から離れるのに応じて、回転に要する力量が増大することに基づき、回転に要する力量から、ニュートラル位置に対する回転位置を力感的に把握する。
【0033】
なお、ニュートラル位置に対して、一方の回転方向側の回転位置と、当該回転位置と対称な他方の回転方向側の回転位置とでは、挿入部12の回転に要する力量が互いに等しくなる。即ち、回転つまみ19をニュートラル位置に対して一方の回転方向側で回転操作する場合と、他方の回転方向側で回転操作する場合とで、力量の変化が互いに同一となり、力感的な把握に混乱をきたすことがない。
【0034】
続いて、本実施形態の内視鏡における接続部18の組立方法について説明する。
【0035】
挿入部ハウジング29を、先端側から、挿入部口金28、操作部口金22、操作部ハウジング23へと順次外装していく。この際、操作部ハウジング23の板ばね46は外側に突出しているが、ばね凸部48は最大内径部44に配置されている場合には当接面43に当接されないようになっているため、周方向に対してばね凸部48が最大内径部44に整列されるように、操作部ハウジング23に対して挿入部ハウジング29を周方向に位置決めしつつ軸方向に移動させていくことで、板ばね46を押圧して内向きに変形させることなく、操作部ハウジング23に挿入部ハウジング29を外装することが可能である。そして、挿入部ハウジング29の先端部を挿入部口金28に外挿する。
【0036】
この際、カバー凸部26のカバー指標27とつまみ凸部35のつまみ指標36とが整列するようにする。なお、カバー凸部26とつまみ凸部35との大きさ、形状は互いに多少異なっているため、加工上又は組立上の誤差により、カバー凸部26とつまみ凸部35とが周方向や軸方向に若干ずれて配置されるようなことになっても、違和感を生じることが少ない。
【0037】
従って、本実施形態の内視鏡は次の効果を奏する。
【0038】
本実施形態の内視鏡では、操作部16に対する挿入部12の回転位置に応じて、板ばね46のばね凸部48が最大内径部44と最小内径部45との間で当接面43に当接されつつ摺動されて径方向に変位され、板ばね46のアーム部47の湾曲変形量が増減されて、ばね凸部48と当接面43との間の当接力、摩擦力が増減され、挿入部12の回転に要する力量が増減されるようになっている。このため、挿入部12の回転位置を力感的に把握することが可能となっている。特に、挿入部12の回転位置がニュートラル位置から離れるのに応じて、挿入部12の回転に要する力量が増大されるようになっているため、ニュートラル位置に対する回転位置を的確に把握することが可能となっている。また、挿入部12の回転に要する力量の変化がニュートラル位置に対して両回転方向側で互いに同一となっているため、回転位置の把握に混乱をきたすようなことがなく、回転操作の操作性が向上されている。
【0039】
さらに、ばね凸部48は最大内径部44に配置されている場合には当接面43に当接されないようになっているため、接続部18の組立において、周方向に対してばね凸部48を最大内径部44に整列することで、板ばね46を径方向内向きに変形することなく、挿入部ハウジング29を操作部ハウジング23に外装するこができる。このため、接続部18の組立を容易に行うことが可能となっている。
【0040】
なお、回転規制機構では、挿入部口金28に外挿固定されている挿入部ハウジング29に規制ピン39が配設されており、挿入部ハウジング29と操作部口金22との間に規制ピン39が回動される回動スペース38が形成されており、操作部口金22に外挿固定されている操作部ハウジング23から規制ピン39の回動を規制するための延出部41が延出されている。ここで、挿入部口金と操作部口金とに、直接、規制ピンと、回動スペースをなし両端部において規制ピンの回動を規制する貫通溝と、を形成する場合には、挿入部口金と操作部口金との相対的な回転範囲を大きく設定すると、貫通溝が長くなり、特に煽りに対する口金の強度が減少してしまう。これに対して、本実施形態では、口金の強度を減少することなく、挿入部口金28と操作部口金22との相対的な回転範囲を大きく設定することが可能となっている。このように回転範囲を大きく設定した場合には、特に挿入部12の回転位置が把握しにくくなるが、本実施形態では、力量変化機構を用いて、挿入部12の回転位置を力感的に把握することで、回転位置の的確な把握が可能となっている。
【0041】
図3は、本発明の第2実施形態を示す。
【0042】
本実施形態の内視鏡は、力量変化機構の構成のみが第1実施形態の内視鏡と異なっている。
【0043】
即ち、操作部ハウジング23の外周部には、一対の当接組体としてのばね組体50が上記中心軸を含む基準面に対して対称に配設されている。ばね組体50は、弾性部としてのコイルばね51と、当接部としての金属製の当接部材52と、によって形成されている。即ち、操作部ハウジング23の外周部には、基準面に直交する方向に、収容孔53が穿設されている。収容孔53にはコイルばね51が収容されており、収容孔53の底壁にコイルばね51の一端部が固定されている。コイルばね51の他端部には当接部材52が固定されている。コイルばね51は圧縮されており、コイルばね51によって当接部材52が当接面43へと付勢されている。第1実施形態と同様に、当接面43は、中心軸に直交する横断面において楕円形状をなし、最大内径部44及び最小内径部45を有する。但し、挿入部12がニュートラル位置にある場合には、ばね組体50側の基準面は当接面43の楕円形状の長軸を含んで配置され、ばね組体50の当接部材52は当接面43の最小内径部45の近傍に配置される。この当接部材52が配置される位置には、当接部材52が係合可能な係合受部としての係合溝54が形成されている。
【0044】
次に、本実施形態の内視鏡における操作部16に対する挿入部12の回転操作について説明する。
【0045】
回転つまみ19をニュートラル位置から回転操作すると、当接部材52と係合溝54との係合が解除され、クリック感が生じる。また、回転つまみ19をニュートラル位置へと回転操作すると、当接部材52が係合溝54に係合され、クリック感が生じる。クリック感に基づいて、挿入部12の回転位置がニュートラ位置から離れたか、ニュートラル位置に一致したかを把握する。
【0046】
回転つまみ19をニュートラル位置から離れる方向に回転操作する場合には、当接部材52は、当接面43に当接されつつ最大内径部44に向かって摺動されて、径方向外向きに変位され、コイルばね51の圧縮変形量、コイルばね51から当接部材52に付与される付勢力、当接部材52と当接面43との間の当接力、摩擦力が減少される。一方、回転つまみ19をニュートラル位置に接近する方向に回転操作する場合には、当接部材52が径方向内向きに変位され、上述した圧縮変形量、付勢力、当接力、摩擦力が増大される。挿入部12の回転位置がニュートラル位置から離れるのに応じて、回転に要する力量が減少することに基づき、回転に要する力量から回転位置を力感的に把握する。なお、第1実施形態と同様に、回転つまみ19をニュートラル位置に対して一方の回転方向側で回転操作する場合と、他方の回転方向側で回転操作する場合とで、力量の変化が互いに同一となる。
【0047】
従って、本実施形態の内視鏡は次の効果を奏する。
【0048】
本実施形態の内視鏡では、挿入部12の回転位置がニュートラル位置の近傍にある場合に、当接部材52が当接面43において最小内径部45の近傍に配置されて、回転に要する力量が大きくなる。このため、ニュートラル位置の近傍で微細な回転操作を行うことが可能となっている。
【0049】
また、挿入部12がニュートラル位置から回転された際に、当接部材52と係合溝54との係合が解除されてクリック感が生じ、また、挿入部12がニュートラル位置へと回転された際に、当接部材52が係合溝54に係合されてクリック感が生じるため、ニュートラル位置を容易かつ的確に把握することが可能となっている。
【0050】
図4は、本発明の第2実施形態の変形例を示す。
【0051】
本変形例の力量変化機構は、第2実施形態の力量変化機構において、図3に示されるコイルばね51と当接部材52とにより形成されているばね組体50に代えて、第1実施形態の力量変化機構と同様な、アーム部47とばね凸部48とから形成されている板ばね46を用いている。即ち、挿入部12の回転位置がニュートラル位置にある場合に、板ばね46のばね凸部48が当接面43において最小内径部45の近傍に配置されて、回転に要する力量が大きくなり、挿入部12の回転位置がニュートラル位置から離れるのに応じて、回転に要する力量が減少する。また、挿入部12がニュートラル位置から回転された際に、ばね凸部48と係合溝54との係合が解除されてクリック感が生じ、また、挿入部12がニュートラル位置へと回転された際に、ばね凸部48が係合溝54に係合されてクリック感が生じる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、一方の口金部の外周面に当接組体を配置し、他方の口金部の内周面によって当接面を形成しているが、一方の口金部の外周面によって当接面を形成し、他方の口金部の内周面に当接組体を配設するようにしてもよい。
【0053】
また、当接面は横断面において楕円形状となっているが、頂部が滑らかな三角形状等、少なくとも互いに径の異なる第1及び第2の径部を有する様々な形状を用いることが可能である。
【0054】
以下、本発明の参考発明の概要について付記する。
【0055】

[参考発明が解決しようとする課題]
特許文献1の内視鏡では、操作部に対する挿入部の回転位置にかかわらず、回転に要する力量が一定であるため、回転操作において、回転位置を力感的に把握することができない。
【0056】
本参考発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、挿入部と操作部との相対的な回転位置を力感的に把握することが可能な内視鏡を提供することである。
【0057】
[課題を解決するための手段]
本参考発明の第1実施態様では、内視鏡は、先端部及び基端部を有する挿入部と、前記挿入部の基端部に設けられている操作部と、前記挿入部と前記操作部とを相対的に回転可能に接続している接続部と、前記接続部に設けられ、前記挿入部と前記操作部との相対的な回転位置に応じて、前記挿入部と前記操作部との相対的な回転に要する力量を変化させる力量変化機構と、を具備することを特徴とする。
【0058】
本参考発明の第2実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記力量変化機構は、前記回転位置が前記基準位置から離れるのに応じて前記力量を増大させる、ことを特徴とする。
【0059】
本参考発明の第3実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記力量変化機構は、前記回転位置が前記基準位置から離れるのに応じて前記力量を減少させる、ことを特徴とする。
【0060】
本参考発明の第4実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記力量変化機構は、前記基準位置に対して対称な回転位置において前記力量を互いに同一とする、ことを特徴とする。
【0061】
本参考発明の第5実施態様では、内視鏡は、前記接続部は、前記挿入部に設けられている筒状の挿入部口金部と、前記操作部に設けられている筒状の操作部口金部と、を有し、前記挿入部口金部と前記操作部口金部とは、互いに共軸に配置され、当該軸を中心として相対的に回転可能であり、前記力量変化機構は、前記挿入部口金部と前記操作部口金部との一方の口金部に設けられている当接組体と、他方の口金部に設けられている連続的な当接面と、を有し、前記当接組体は、前記当接面に当接される当接部と、前記当接部を前記当接面へと付勢している弾性部と、を有し、前記当接面は、第1の径部と、第2の径部と、を有し、前記第1の径部の内径は前記第2の径部の内径よりも大きく、あるいは、前記第1の径部の外径は前記第2の径部の外径よりも小さい、ことを特徴とする。
【0062】
本参考発明の第6実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記挿入部と前記操作部とが基準位置に配置されている場合に、前記当接部は前記第1の径部に配置される、ことを特徴とする。
【0063】
本参考発明の第7実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記挿入部と前記操作部とが基準位置に配置されている場合に、前記当接部は前記第2の径部に配置される、ことを特徴とする。
【0064】
本参考発明の第8実施態様では、内視鏡は、前記力量変化機構は、前記軸を含む面に対して互いに対称に配置されている一対の当接組体及び当接面を有する、ことを特徴とする。
【0065】
本参考発明の第9実施態様では、内視鏡は、前記挿入部と前記操作部とは、相対的な回転の基準となる基準位置を有し、前記当接面は、前記挿入部と前記操作部とが基準位置にある場合に前記当接部が係合される係合受部を有する、ことを特徴とする。
【0066】
本参考発明の第10実施態様では、内視鏡は、前記第1の径部の径は、前記当接部が前記第1の径部に配置されている場合に前記当接面に当接されないように、設定されている、ことを特徴とする。
【0067】
[参考発明の効果]
本参考発明の第1実施態様の内視鏡では、操作部と挿入部との相対的な回転位置に応じて、回転に要する力量が変化されるため、回転位置を力感的に把握することが可能となっている。
【0068】
本参考発明の第2実施態様の内視鏡では、操作部と挿入部との相対的な回転位置が基準位置から離れるにつれて、回転に要する力量が増大されていくため、基準位置に対して回転位置を的確に把握することが可能となっている。
【0069】
本参考発明の第3実施態様の内視鏡では、操作部と挿入部との相対的な回転位置が基準位置の近傍にある場合に、回転に要する力量が大きくなるため、基準位置の近傍で微細な回転操作を行うことが可能となっている。
【0070】
本参考発明の第4実施態様の内視鏡では、挿入部と操作部とを相対的に回転させる際に、回転に要する力量の変化が基準位置に対して両回転方向側で互いに同一となるため、回転位置の把握に混乱をきたすようなことがなく、回転操作の操作性が向上されている。
【0071】
本参考発明の第5実施態様の内視鏡では、当接面における当接部の配置に応じて、当接部が径方向に変位され、弾性部の変形量が増減され、当接面と当接部との間の当接力が増減され、当接面と当接部との間の摩擦力が増減されて、操作部と挿入部との相対的な回転に要する力量が増減されるようになっている。
【0072】
本参考発明の第6実施態様の内視鏡では、操作部と挿入部との相対的な回転位置が基準位置から離れるにつれて、当接部は第1の径部から第2の径部へと移動され、回転に要する力量が増大されていくため、基準位置に対して回転位置を的確に把握することが可能となっている。
【0073】
本参考発明の第7実施態様の内視鏡では、操作部と挿入部との相対的な回転位置が基準位置の近傍にある場合に、当接部が当接面において第2の径部の近傍に配置されて、回転に要する力量が大きくなるため、基準位置の近傍で微細な回転操作を行うことが可能となっている。
【0074】
本参考発明の第8実施態様の内視鏡では、挿入部と操作部とを相対的に回転させる際に、回転に要する力量の変化が基準位置に対して両回転方向側で互いに同一となるため、回転位置の把握に混乱をきたすようなことがなく、回転操作の操作性が向上されている。
【0075】
本参考発明の第9実施態様の内視鏡では、挿入部と操作部との相対的な回転位置が基準位置から離れた際に、当接部と係合受部との係合が解除されてクリック感が生じ、また、挿入部と操作部との相対的な回転位置が基準位置に一致した際に、当接部が係合受部に係合してクリック感が生じるため、基準位置を容易かつ的確に把握することが可能となっている。
【0076】
本参考発明の第10実施態様の内視鏡では、当接部は第1の径部に配置されている場合には当接面に当接されないようになっているため、組立に際して、周方向に対して当接部を第1の径部に整列することで、当接組体の弾性部を径方向に変形することなく、一方の口金部に他方の口金部を挿入することができ、組立を容易に行うことが可能となっている。
【符号の説明】
【0077】
12…挿入部、16…操作部、18…接続部、22,23…操作部口金部(22…操作部口金、23…操作部ハウジング)、28,29…挿入部口金部(28…挿入部口金、29…挿入部ハウジング)、43,46;43,50…力量変化機構(43…当接面、46;50…当接組体(46…板ばね、50…ばね組体))、44…第1の径部(最大内径部)、45…第2の径部(最小内径部)、47,51…弾性部(47…アーム部、51…コイルばね)、48,52…当接部(48…ばね凸部、52…当接部材)、54…係合受部(係合溝)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入される挿入部と、操作者に保持操作される操作部と、を具備し、
前記挿入部は、前記挿入部の基端部に設けられている挿入部側接続部であって、挿入部側外装を備える、挿入部側接続部と、前記挿入部の先端部に設けられ前記挿入部側外装に対して所定の湾曲方向に湾曲作動される湾曲部と、を有し、
前記操作部は、前記湾曲部を前記湾曲方向に湾曲作動させるための湾曲操作部材と、前記操作部に対して前記挿入部が前記挿入部の長手軸を中心として回動可能となるように前記挿入部側接続部に接続されている操作部側接続部であって、前記湾曲操作部材に対して所定の位置関係をなす操作部側外装を備える、操作部側接続部と、を有し、
前記挿入部側外装と前記操作部側外装とによって形成され、前記操作部に対する前記挿入部の回動位置を示すことにより前記湾曲操作部材に対する前記湾曲部の前記湾曲方向を認識可能とする指標手段をさらに具備する、
ことを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記指標手段は、前記挿入部側外装に形成されている挿入部側凸部と、前記操作部側外装に形成されている操作部側凸部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記挿入部側凸部と前記操作部側凸部とは、前記操作部に対して前記挿入部が所定の基準回動位置にある場合に、互いに整列されて、前記湾曲部の前記湾曲方向に一致する所定の突出方向に突出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記挿入部側凸部は、前記挿入部側凸部の頂部に形成されている挿入部側凹部を有し、
前記操作部側凸部は、前記操作部側凸部の頂部に形成されている操作部側凹部を有し、
前記挿入部側凹部と前記操作部側凹部とは、前記操作部に対して前記挿入部が前記基準回動位置にある場合に、互いに整列される、
ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−234058(P2010−234058A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109501(P2010−109501)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【分割の表示】特願2007−221370(P2007−221370)の分割
【原出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】