説明

円形材料供給装置

【課題】 バー材等の円形材料を1本ずつ供給することができ、円形材料の直径が変わっても段取り換えをする必要がない円形材料供給装置を提供する。
【解決手段】 傾斜平面10a上に複数の円形材料Bが並べて載置される材料棚10と、傾斜平面10aの上位側端の下方に設けられた円形材料供給先部材11と、傾斜平面10a上に並ぶ複数の円形材料Bを、傾斜平面10aの下位側から上位側に向けて送る送り手段12とを有する。傾斜平面10aにおける上位側端から円形材料Bの直径Dよりも短い距離Lにある検知位置Pに、送り手段12による送り方向の先頭の円形材料Bが位置することを、検知手段13で検知する。検知手段13が円形材料Bを検知してから、検知位置Pから傾斜平面10aの上位側端までの距離以上で、かつ円形材料Bの直径D以下の距離Lだけ円形材料Bを送るように、送り手段12を送り作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、丸棒材等の円形材料を1本ずつ供給する円形材料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種製品の円形部品を製造するに場合に、丸棒材やパイプ等のバー材を所定の長さのワークに切断し、このワークを旋盤等により加工することが行われている。このような円形部品の製造設備には、バー材切断用カッタにバー材を1本ずつ供給するためのバー材供給装置が設けられている(例えば特許文献1)。従来のバー材供給装置は、傾斜した材料棚の上にバー材が軸心を平行に揃えて載置されており、材料棚の低位側端からバー材を転がり落として供給する構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭57−202653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のバー材供給装置は、材料棚の低位側端に、材料棚からのバー材の転がり落ちを防止し、必要に応じて材料棚からバー材を1本ずつ取り出すストッパが設けられている。このストッパは、例えば、バー材の軸心と平行な中心軸回りに回転する爪を有し、通常時は前記爪によりバー材が落下しないように受け止め、その状態から爪を1回転させると、その間に材料棚の低位側先端に位置する1本のバー材だけが材料棚から転がり落ちるというものである。この構成のバー材供給装置の場合、材料棚からバー材が転がり落ちるのに要する時間はバー材の直径によって異なるため、扱うバー材の直径が変わると、それに応じてストッパの爪も取り換えなければならない。この段取り換えの間、製造設備の運転を停止しなければならず、運転時間ロスが問題となっていた。
【0005】
この発明の目的は、バー材等の円形材料を1本ずつ供給することができ、円形材料の直径が変わっても段取り換えをする必要がない円形材料供給装置を提供することである。
この発明の他の目的は、簡素な構成の円形材料供給装置とすることである。
この発明のさらに他の目的は、安価に製作できる円形材料供給装置とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の円形材料供給装置は、水平に対して傾斜する傾斜平面上に複数の円形材料が並べて載置される材料棚と、前記材料棚の傾斜平面の上位側端の下方に設けられた円形材料供給先部材と、前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料を、傾斜平面の下位側から上位側に向けて送る送り手段と、前記傾斜平面における上位側端から円形材料の直径よりも短い距離にある検知位置に、前記送り手段による送り方向の先頭の円形材料が位置することを検知する検知手段と、前記検知手段が円形材料を検知してから、前記検知位置から前記傾斜平面の上位側端までの距離以上で、かつ円形材料の直径以下の距離だけ円形材料を送るように前記送り手段を送り作動させる制御手段とを有する。
【0007】
この構成の円形材料供給装置によると、材料棚の傾斜平面上に複数の円形材料が並べて載置される。送り手段により、材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料を、傾斜平面の下位側から上位側に向けて送る。送り方向先頭の円形材料が検知位置に位置することを検知手段が検知すると、その時点から、検知位置から前記傾斜平面の上位側端までの距離以上で、かつ円形材料の直径以下の距離だけ円形材料を送る。それにより、送り方向先頭の円形材料が材料棚の上位側端から落下し、円形材料供給先部材に供給される。上記送り手段の動作は、制御手段により制御される。
【0008】
直径が異なる複数種の円形材料が材料棚の傾斜平面上に並んでいる場合は、検知手段が送り方向先端の円形材料を検知してから円形材料を送る距離を、最小直径の円形材料の直径以下とする。このように設定することにより、どの直径の円形材料についても確実に材料棚から円形材料供給先部材に供給することができ、かつ直径の小さい円形材料を2本以上まとめて供給してしまうことが防がれる。よって、円形材料の直径によって段取り換えをする必要がなく、運転時間ロスを減少させることができる。
【0009】
この発明において、前記送り手段は、前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料のうち最下位の円形材料を押して、各円形材料を転がしながら送るものであって良い。
この構成であれば、材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料のうち最下位の円形材料を押す1つの駆動源だけを設けるだけでよいので、簡素な構成とすることができる。
【0010】
この発明において、前記円形材料は、前記送り手段による送り方向と直交する方向に長いバー材であっても良い。その場合、前記検知手段を、バー材である円形材料の重量を検出することで、円形材料が前記検知位置に位置することを検知する重量センサとすることができる。上記重量センサは、重量が作用したことを検出できるものであればよく、圧力センサも含むものとする。また、重量を量的に測定するものではなく、重量の大きさに応じてオン・オフ出力するものであってもよい。
円形材料がバー材であっても、送り手段により良好に送ることができる。円形材料がバー材である場合、軸心方向に長い分だけ重量が重く、重量センサによる検知が容易である。重量センサは比較的安価であるので、円形材料供給装置全体のコストダウンが可能になる。また、円形材料は円周方向の1点で傾斜平面と接するため、この接触点に円形材料の全重量が作用する。そのため、検知位置に円形材料に位置することを重量センサで簡単に検出できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の円形材料供給装置は、水平に対して傾斜する傾斜平面上に複数の円形材料が並べて載置される材料棚と、前記材料棚の傾斜平面の上位側端の下方に設けられた円形材料供給先部材と、前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料を、傾斜平面の下位側から上位側に向けて送る送り手段と、前記傾斜平面における上位側端から円形材料の直径よりも短い距離にある検知位置に、前記送り手段による送り方向の先頭の円形材料が位置することを検知する検知手段と、前記検知手段が円形材料を検知してから、前記検知位置から前記傾斜平面の上位側端までの距離以上で、かつ円形材料の直径以下の距離だけ円形材料を送るように前記送り手段を送り作動させる制御手段とを有するため、バー材等の円形材料を1本ずつ供給することができ、円形材料の直径が変わっても段取り換えをする必要がない。
【0012】
前記送り手段は、前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料のうち最下位の円形材料を押して、各円形材料を転がしながら送るものである場合は、簡素な構成の円形材料供給装置とすることができる。
【0013】
前記円形材料は、前記送り手段による送り方向と直交する方向に長いバー材であり、前記検知手段は、バー材である円形材料の重量を検出することで、円形材料が前記検知位置に位置することを検知する重量センサである場合は、円形材料供給装置を安価に製作できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態にかかる円形材料供給装置を備えた円形部品製造設備の平面図である。
【図2】(A)は同円形部品製造設備の円形材料供給装置およびバー材切断装置の一部の側面図、(B),(C)はそれぞれ異なる状態を示す部分図である。
【図3】同円形部品製造設備の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】同円形材料供給装置の動作説明図である。
【図5】同バー材切断装置のカッタの側面図である。
【図6】同円形部品製造設備のローダおよび工作機械の斜視図である。
【図7】同ローダの側面図である。
【図8】バー材切断時におけるバー材切断装置およびローダの動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1は、この発明にかかる円形材料供給装置を備えた円形部品製造設備の平面図である。この円形部品製造設備は、円形材料である長尺なバー材Bを所定の長さのワークWに切断し、そのワークWを加工して円形部品にする設備である。円形部品製造設備は、円形材料であるバー材Bを1本ずつ供給する円形材料供給装置1と、バー材Bを先端側から所定の長さに切断するバー材切断装置2と、切断により得られたワークWを次工程に搬送するローダ3と、次工程に設置されてワークWを加工する工作機械4とを備える。工作機械4は、例えば旋盤であり、ワークWに対し切削加工を施す。
【0016】
図1および図2に示すように、円形材料供給装置1は、上面が水平に対して傾斜する傾斜平面10aとされた材料棚10と、この材料棚10の近傍で傾斜平面10aの上位側端の下方に設けられた円形材料供給先部材11と、材料棚10の傾斜平面10a上に並ぶバー材Bを傾斜平面10aの下位側から上位側に向けて送る供給用送り手段12とでなる。なお、円形材料供給先部材11は、バー材切断装置2の一構成要素でもある。
【0017】
円形材料供給先部材11は、上面にV状の溝11aが形成された前後方向(Z軸方向)に長い部材である。材料棚10の上面のうち傾斜平面10aの上位側端を越えた反対側部分は、傾斜平面10aと逆向きに傾斜する案内斜面10bになっている。この案内斜面10bは、円形材料供給先部材11の溝11aを構成する材料棚10側の斜面11aaとほぼ同じ傾斜である。
【0018】
供給用送り手段12は、傾斜平面10aの等高線方向である前後方向(Z軸方向)に長い板状のプッシャ12aと、このプッシャ12aを傾斜平面10aの傾斜方向である左右方向(X軸方向)に沿って進退させる供給用送り駆動源12bとでなる。供給用送り駆動源12bは、例えば直線作動する電動シリンダ等の電動アクチュエータである。供給用送り駆動源12bによりプッシャ12aを進退させることで、傾斜平面10a上の複数のバー材Bのうち最下位のバー材Bをプッシャ12aが押して、各バー材Bを転がしながら上位側へ送る。
【0019】
材料棚10の傾斜平面10aにおける上位側端からバー材Bの直径Dよりも短い距離Lの位置に検知位置Pが設定され、この検知位置Pに、バー材Bが位置することを検知する検知手段13が設けられている。正確には、検知手段13は、検知位置Pを通る傾斜平面10aの垂線上にバー材Bの中心Oが位置することを検知する。傾斜平面10aの上位側端から検知位置Pまでの距離Lは、図2(B)のように直径が小さいバー材Bを扱う場合も、直径D以下とする。図2(C)のように直径D1〜D3が異なる複数種のバー材Bを扱う場合は、距離Lを最小直径のバー材Bの直径D1より短くする。
【0020】
上記検知手段13は、例えば検知位置Pに作用する重量を検出する重量センサとすることができる。バー材Bは円周方向の1点で傾斜平面10aと接するため、傾斜平面10aに対するバー材Bの接点が検知位置Pに位置したときに、重量センサがバー材Bを検出する。検知位置Pの位置を前記設定としたことにより、検知位置Pで検知されるバー材Bは送り方向先頭のものに限定される。重量センサは、重量を量的に測定するものではなく、重量の大きさに応じてオン・オフ出力するものであってもよい。重量センサには、圧力センサも含まれる。検知手段13としては、重量センサ以外に、レーザ変位計も用いることができる。
【0021】
前記供給用送り手段12の供給用送り駆動源12bは、円形部品製造設備制御装置60(図3)の一部である供給制御手段15により制御される。図3に示すように、供給制御手段15は、前記検知手段13からの出力信号に応じて供給用送り駆動源12bに出力する供給コントローラ16と、送り量記憶手段17とを備える。送り量記憶手段17は、検知手段13がバー材Bを検知した時点からの、供給用送り手段12によりバー材Bを送る送り量を記憶する。その送り量は、検知位置Pから傾斜平面10aの上位側端までの距離L以上で、かつバー材Bの直径D以下の距離とされる。送り量記憶手段17に記憶される送り量は、扱うバー材Bの直径等に合わせて書き換え可能である。
【0022】
供給コントローラ16は、外部からの送り命令信号により、供給用送り駆動源12bに出力して傾斜平面10a上の各バー材Bを上位側に向けて送り、検知手段13がバー材Bを検知すると、その時点から送り量記憶手段17に記憶された送り量だけ各バー材Bを送るように供給用送り駆動源12bを制御する。前記送り命令信号は、人為操作による信号であってもよく、あるいは後述する送り・切断制御手段17からの信号であってもよい。
【0023】
円形材料供給装置1の動作を説明する。供給コントローラ16が送り命令信号を受けると、供給用送り駆動源12bに出力して傾斜平面10a上の各バー材Bを上位側に向けて送る(図4(A))。それにより、送り方向先頭のバー材Bが検知位置Pに到達し、検知手段13がその送り方向先頭のバー材Bを検知する(図4(B))。この検知手段13がバー材Bを検知した時点から、前記送り量記憶手段17に記憶された送り量だけバー材Bを送る。その送り量は、傾斜平面10aの上位側端までの距離L以上で、かつバー材Bの直径D以下の距離である。それにより、送り方向先頭のバー材Bが傾斜平面10aの上位側端を乗り越えて、案内斜面10bを転がり落ちる(図4(C))。転がり落ちたバー材Bは、円形材料供給先部材11に受けられ、V状の溝11aに嵌り込んだ状態に保持される。
【0024】
検知手段13が送り方向先端のバー材Bを検知してからバー材Bを送る距離を、扱う複数種のバー材Bのうち最小直径のバー材Bの直径以下に設定しているため、図2(A)のように直径の大きいバー材Bを供給するときも、図2(B)のように直径の小さいバー材Bを供給するときも、確実に材料棚10から円形材料供給先部材11に供給することができる。また、直径の小さいバー材Bを2本以上まとめて供給してしまうこともない。さらに、図2(C)のように、直径が異なる複数種のバー材Bを混在させて供給することもできる。このため、バー材Bの直径によって段取り換えをする必要がなく、運転時間ロスを減少させることができる。
【0025】
供給用送り手段12は、材料棚10の傾斜平面10a上に並ぶ複数のバー材Bのうち最下位のバー材Bを押して、各バー材Bを転がしながら送る構成とした。そのため、傾斜平面10a上の最下位のバー材Bを押す1つの駆動源だけを設けるだけでよく、簡素な構成とすることができる。また、検知手段13を重量センサとすれば、バー材Bの検知が良好に行われると共に、コストダウンが可能である。
【0026】
図1および図2において、バー材切断装置2は、前記円形材料供給先部材11と、この円形材料供給先部材11上のバー材Bを軸心方向に送る切断用送り手段21と、バー材Bの先端付近を固定するクランプ手段22と、このクランプ手段22による固定位置よりも先端側でバー材Bを切断するカッタ23とを備える。
【0027】
切断用送り手段21は、円形材料供給先部材11の溝11a内に配置されたプッシャ21aと、このプッシャ21aを円形材料供給先部材11上のバー材Bの軸心方向である前後方向(Z軸方向)に沿って進退させる切断用送り駆動源21bとでなる。切断用送り駆動源21bは、例えば直線作動する電動シリンダ等の電動アクチュエータである。切断用送り駆動源21bによりプッシャ21aを進退させることで、円形材料供給先部材11上のバー材Bの後端をプッシャ21aが押して、バー材Bを溝11aに沿って滑らせながら送る。プッシャ21aは上下に長く形成してあるため、直径の大小にかかわらずバー材Bも確実に送ることができる。
【0028】
クランプ手段22は、円形材料供給先部材11の上方に配置され下面が逆V状の押え具22aと、この押え具22aを昇降させるクランプ駆動源22bとを備える。クランプ駆動源22bは、例えば直線作動する電動シリンダ等の電動アクチュエータである。クランプ駆動源22bにより押え具22aを下降させて円形材料供給先部材11上のバー材Bに対し押し当てることで、円形材料供給先部材11と押え具22aとでバー材Bを挟み込んで固定する。
【0029】
図1および図5に示すように、カッタ23は、回転軸23aに取付けられた回転刃23bと、この回転刃23bを回転駆動する電動モータからなるカッタ回転駆動源23cと、これら回転刃23bおよびカッタ回転駆動源23cを載せたカッタ台23dと、このカッタ台23dを円形材料供給先部材11上のバー材Bの軸心と直交する方向である左右方向(X軸方向)に進退させるカッタ進退駆動源23eとを備える。
【0030】
上記バー材切断装置2の各駆動源21b,22b,23c,23eは、円形部品製造設備制御装置60(図3)の一部である送り・切断制御手段25により制御される。図3に示すように、送り・切断制御手段25は、コンピュータによる数値制御式のものであり、切断プログラム26をCPUやメモリ等からなる演算制御部27で実行してバー材切断装置2の動作を制御する。切断プログラム26には、切断用送り駆動源21bを駆動してバー材Bを前後方向(Z軸方向)に送る切断送り命令と、クランク駆動源22bを駆動してバー材Bの固定および解除を行うクランプ命令と、カッタ回転駆動源23cおよびカッタ進退駆動源23eを駆動して回転刃23bによりバー材Bを切断する切断命令等の命令群が記述されている。演算制御部27は、切断プログラム26を解読し、上記命令に対応して各駆動源21b,22b,23c,23eに出力する。
【0031】
送り・切断制御手段25には、後記ローダ制御手段42からの信号を入力する入力部28が設けられ、この入力部28に入力される信号を用いて一連の制御を行う。ローダ制御手段42からの信号は、具体的には、Z軸負荷検出手段55からの信号であり、ローダヘッド35が受けるZ軸方向の負荷を示す信号である。送り・切断制御手段25による一連の制御は、ローダ制御手段42を連携して行われる。概略的には、ローダ制御手段42により、バー材送り手段21によって送られるバー材Bの軸心の延長線上の定められた位置に後記ローダヘッド35を停止させるようにローダ3を制御し、送り・切断制御手段25により、バー材送り手段21により送られるバー材Bの先端がローダヘッド35に当接した時に、バー材送り手段21の作動を停止させて、カッタ23によりバー材Bの先端部分を切断するように、バー材送り手段21およびカッタ23を制御するというものである。詳しい動作については、後で説明する。
【0032】
ローダ3はガントリ式のものであって、図1、図6、および図7に示すように、架設レール31に沿って走行する走行台32に、前後移動台33を介して昇降ロッド34を昇降可能に設け、昇降ロッド34の下端にローダヘッド35が設けてある。ローダヘッド35には、2個のローダチャック36が、工作機械4の主軸チャック70(図1、図6、図7)に対面する前向き姿勢と下向き姿勢とに設けられている。各ローダチャック36の位置は入れ替え可能である。走行台32の走行(X軸方向移動)、前後移動台33の前後移動(Z軸方向移動)、および昇降ロッド34の昇降(Y軸方向移動)は、それぞれ移動駆動源37,38,39の駆動で行われる。また、各ローダチャック36のチャック爪36aの開閉は、チャック開閉駆動源40(図3)の駆動で行われる。上記各駆動源37,38,39,40は、サーボモータである。
【0033】
この実施形態の場合、工作機械4は、タレット式の平行2軸型の旋盤であり、主軸チャック70およびタレット式の刃物台71を2組備え、かつワーク反転装置72を有している。ワーク反転装置72は、2個の反転装置チャック72a,72bを有している。
【0034】
ローダ3の各駆動源37,38,39,40は、円形部品製造設備制御装置60(図3)の一部であるローダ制御手段42により制御される。図3に示すように、ローダ制御手段42は、コンピュータによる数値制御式のものであり、ローダプログラム43をCPUやメモリ等からなる演算制御部44で実行してローダ3の動作を制御するものとしてある。ローダプログラム43は、ローダヘッド35を各位置に移動させる移動命令と、ローダヘッド35のローダチャック36を開閉させるチャック命令等の各種シーケンス制御命令等が記述されている。演算制御部44は、ローダプログラム43を解読し、各移動命令に対応する命令を各軸(X,Y,Z)のサーボコントローラ45,46,47に出力すると共に、ローダプログラム43におけるチャック命令をチャック開閉制御部48に出力する。チャック開閉制御部48は、ローダチャック36の開閉を制御する制御部である。
【0035】
各軸のサーボコントローラ45,46,47の制御により、上記各軸の移動駆動源37,38,39が駆動される。各移動駆動源37,38,39は、パルスコーダ等からなる位置検出器37a,38a,39aを有する。サーボコントローラ45,46,47は、位置検出器37a,38a,39aの検出値を用いて位置フィードバック制御を行う。各移動駆動源37,38,39の駆動系には、トルク検出手段50,51,52が設けられている。これらトルク検出手段50,51,52は、例えば各軸の移動駆動源37,38,39に供給する電流を検出する電流計等からなる。各トルク検出手段50,51,52の検出トルクは、後で説明する確認動作のための制御の他に、ローダ3の制御にも用いられる。例えば、ローダヘッド35が異物に衝突した場合に生じる過負荷を検知してローダ3を停止させる制御や、ローダヘッド35の停止位置の教示等に利用される。
【0036】
ローダ制御手段42は、上記ローダヘッド35を移動させる制御およびローダチャック36を開閉させる制御等からなる一般的なワーク搬入動作のための制御の他に、確認動作のための制御を行う。すなわち、ローダプログラム43は、搬入動作を命令する搬入動作のプログラム部分43Aと、確認動作を命令する確認動作のプログラム部分43Bとを含む。
【0037】
確認動作のプログラム部分43Bは、工作機械4の主軸チャック70に保持されたワークWの端面にローダヘッド35の一部を当て付ける搬入確認動作と、切断用送り手段21によって送られるバー材Bの軸心の延長線上の定められた位置にローダヘッド35を停止させる定寸確認動作とを行わせる。確認動作のプログラム部分43Bは、上記搬入確認動作および定寸確認動作を行わせる命令群の一部として、Z軸方向の軸移動命令を有している。この軸移動命令の移動先となるZ軸位置は、搬入確認動作についてはワークWの軸方向寸法に対応し、定寸確認動作についてはバー材Bの切断長さに対応する。
【0038】
ローダ制御手段42には、ローダヘッド35が受けるZ軸方向の負荷を検出するZ軸負荷検出手段55が設けられている。Z軸方向の負荷は、Z軸移動駆動源37の負荷トルクから求められる。Z軸負荷検出手段55は、検出負荷の変化より、搬入確認動作時においてワークWのZ方向位置を検出し、かつ定寸確認動作時においてバー材Bの先端位置を検出するものである。詳しくは、Z軸負荷検出手段55は、搬入確認動作時には、Z軸移動駆動源37に対するトルク検出手段52の検出値を監視し、設定トルクに達すると、ローダヘッド35がワーク端面に当たったと判定する。同様に、定寸確認動作時には、Z軸移動駆動源37に対するトルク検出手段52の検出値を監視し、設定トルクに達すると、ローダヘッド35にバー材Bの先端が当たったと判定する。上記各設定トルクは、予め試験運転等で得たデータによって、適切な値をオペレータが選択し、設定しておく。
【0039】
また、ローダ制御手段42には、ワークWが工作機械4の主軸チャック70に密着して保持されているか否かを判定するワーク着座判定手段56が設けられている。このワーク着座判定手段56は、ローダプログラム43における確認動作のプログラム部分43Bの命令により、ローダヘッド35が工作機械4の主軸チャック70に保持されているワークWに向かってZ軸方向移動しているときに、命令されたZ軸位置に達するまでにZ軸負荷検出手段55によりワークWに当たったと検出されると、着座不良と判定する。命令されたZ軸位置に達したか否かは、例えばZ軸サーボコントローラ47における位置偏差が零となったことで確認する。ワーク着座判定手段56は、着座不良と判定した場合に、アラーム信号等を出力する。
【0040】
送り・切断制御手段25およびローダ制御手段42によるバー材切断装置2およびローダ3の動作を説明する。
【0041】
ローダ制御手段42の制御により各軸の移動駆動源37,38,39に出力して、ローダ3のローダヘッド35を、バー材送り手段21によって送られるバー材Bの軸心の延長線上の定められた位置に停止させておく。その状態で、送り・切断制御手段25の制御により切断用送り駆動源21bに出力して、円形材料供給先部材11上のバー材BをZ軸方向の前方へ送る。すると、バー材Bの先端がローダヘッド35に当接する(図8(A))。この例では、ローダヘッド35に設けられたローダチャック36のチャック爪36aに当接する。バー材Bの先端がローダヘッド35に当接したことは、Z軸負荷検出手段55に検出される。これにより、カッタ刃23bのZ方向位置からバー材Bの先端までの距離Hが目標とするワークWの長さであることを確認する定寸確認動作が完了する。バー材Bの先端がローダヘッド35に当接したことがZ軸負荷検出手段55により検出されない場合は、定寸確認動作が未完了として、以下の動作を停止する。
【0042】
定寸確認動作が完了すると、送り・切断制御手段25の制御によりクランプ駆動源22bに出力して、クランプ手段22の押え具22aを下降させ、円形材料供給先部材11と押え具22aとでバー材Bを挟み込んで固定する。さらに、ローダ制御手段42の制御によりY軸移動駆動源38およびZ軸移動駆動源39に出力してローダヘッド35の位置を変えると共に、チャック開閉用駆動源40に出力して、ローダチャック36でバー材Bの先端を把持する(図8(B))。
【0043】
そして、送り・切断制御手段25の制御によりカッタ回転駆動源23cに出力して、回転刃23bを回転させると共に、カッタ進退駆動源23eに出力して、カッタ台23d(図4)をバー材B側に前進させて、バー材Bを切断する(図8(C))。なお、図8(A)〜(D)では、図を分かり易くするために、回転刃23bがバー材Bの上方に配置され上下に進退するように図示されているが、実際には、回転刃23bは紙面の手前側に配置され紙面と直交する方向に進退する。
【0044】
カッタ23によるバー材切断動作が終了すると、ローダ制御手段42の制御によりZ軸移動駆動源39に出力して、ローダチャック35を前方へ移動させ、切断されたワークWをバー材Bから引き離す(図8(D))。このとき、Z軸負荷検出手段55によりZ方向の負荷が検出される場合は、切断が完全に行われていないものとして、引き離し動作を停止する。
【0045】
バー材BからワークWが引き離されると、ローダ制御手段42の制御により各軸の移動駆動源37,38,39に出力して、工作機械4の主軸チャック70とのワーク受渡し位置までローダヘッド35を移動させる。ワーク受渡し位置は、図7に鎖線で示されている。この後、主軸チャック70が閉じ、ワークWを保持する。ローダヘッド35をワーク受け渡し位置へ移動させるに際して、ローダチャック35を最終的にZ方向移動させるときに、前記ワーク着座判定手段56によりワークWが主軸チャック70に正しく着座したか否かが判定される。そして、正しく着座している場合は、工作機械4による加工を行い、正しく着座しない場合は、工作機械4による加工を停止する。
【0046】
上述したように、ローダ3のローダヘッド35を利用して、カッタ21によるバー材切断時のバー材Bの位置決めを行うため、別に定寸機構が不要である。また、切断されたワークWをバー材Bに位置決めに利用したローダヘッド35のローダチャック36が受け取り、そのまま次工程である工作機械4に搬送するため、カッタ23からワークWを取出す取出し装置も不要である。さらに、ローダ制御手段42のZ軸負荷検出手段55を利用してバー材Bの切断確認が行われるため、別に切断確認手段が不要である。これらのことから、コスト低減が図れる。ローダ制御手段42の制御により、バー材Bの切断長さに応じてローダヘッド35を動作させることができるため、バー材Bの直径や切断長さが変わっても、そのための段取り換えを特別にする必要がない。そのため、稼働率の向上を図ることができる
【0047】
円形部品製造設備制御装置60は、前記供給制御手段15、送り・切断制御手段25、およびローダ制御手段42の他に、工作機械4を制御する工作機械制御手段(図示せず)を含む。これらの制御手段が互いに連係して制御を行うことにより、円形材料供給装置1、バー材切断装置2、ローダ3、および工作機械4が一連の動作を行う。
【0048】
この実施形態では、円形材料が長尺なバー材Bである場合を示すが、この発明の円形材料供給装置は、円形材料が軸方向長さの短い円柱状の部材や球体である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1…円形材料供給装置
2…バー材切断装置
3…ローダ
4…工作機械
10…材料棚
10a…傾斜平面
11…円形材料供給先部材
12…供給用送り手段
13…検知手段
15…供給制御手段
P…検知位置
B…バー材(円形材料)
W…ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に対して傾斜する傾斜平面上に複数の円形材料が並べて載置される材料棚と、
前記材料棚の傾斜平面の上位側端の下方に設けられた円形材料供給先部材と、
前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料を、傾斜平面の下位側から上位側に向けて送る送り手段と、
前記傾斜平面における上位側端から円形材料の直径よりも短い距離にある検知位置に、前記送り手段による送り方向の先頭の円形材料が位置することを検知する検知手段と、
前記検知手段が円形材料を検知してから、前記検知位置から前記傾斜平面の上位側端までの距離以上で、かつ円形材料の直径以下の距離だけ円形材料を送るように前記送り手段を送り作動させる制御手段と、
を有する円形材料供給装置。
【請求項2】
前記送り手段は、前記材料棚の傾斜平面上に並ぶ複数の円形材料のうち最下位の円形材料を押して、各円形材料を転がしながら送るものである請求項1に記載の円形材料供給装置。
【請求項3】
前記円形材料は、前記送り手段による送り方向と直交する方向に長いバー材であり、前記検知手段は、バー材である円形材料の重量を検出することで、円形材料が前記検知位置に位置することを検知する重量センサである請求項1または請求項2に記載の円形材料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−189451(P2011−189451A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57101(P2010−57101)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】