説明

円盤型飛行体の水平姿勢安定化装置

【課題】円盤型飛行体の重心を通る水平面上で、その重心を通る実在はしない垂直軸を中心として、回っているコマ同様に遠心力を発生させることにより機体を水平安定させる。
【解決手段】円盤型飛行体の中心である重心点を通る水平面上で、その重心から等距離・等間隔に同じ大きさでかつ同じ重さのはずみ車を3基タンデム設置して、そのはずみ車をモーターやエンジンといった動力で同方向かつ同じスピードで高速回転させることにより3基のはずみ車が飛行体の重心を通る実在はしない垂直軸を中心とした合成遠心力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は円盤型の低空飛行用小型ホバリング機といった垂直離着陸飛行体を制御して容易に水平姿勢を安定化させることのできる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直離着陸機の多くはその機体に浮上用のジェットエンジン又はファンを複数備えて傾きをジャイロセンサーで検知し、個々のジェットエンジン又はファンの推力を制御または傾斜させて水平を保つ方法か、人による操縦で個々の推力や傾きを調整して水平を保つ方法であった。
【特許文献1】特開2009−83798
【特許文献2】特開2005−206015
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法には次のような欠点があった。
(イ) 機体の傾きをセンサーで検知してから制御するまでにタイムラグが発生するので安定的に機体を水平に保つことが難しい。
(ロ) 人による操縦で水平安定を保つためには熟練した操縦者が操作する必要があり、一般的でない。
本発明はこれらの欠点を除くためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は円盤型飛行体の中心である重心点を通る水平面上で、その重心から等距離・等間隔に同じ大きさでかつ同じ重さのはずみ車を3基タンデム設置して、そのはずみ車をモーターやエンジンといった動力で同方向かつ同じスピードで高速回転させることにより3基のはずみ車が飛行体の重心を通る実在はしない垂直軸を中心とした合成遠心力を発生させ、その結果、回っているコマが倒れないことと同じ原理で円盤型飛行体本体の姿勢が常に水平に保たれる仕組みとなっている。この3基のはずみ車のそれぞれの軸は円盤型飛行体の重心を通る実在はしない垂直軸から等距離に離れているので動力で回転し続けることができ、従って永久ゴマと同様の働きをするので、普通のコマの様に自然に回転力が落ちて倒れてしまうということが無い。
【発明の効果】
【0005】
本発明には次のような効果がある。
(イ) 動力で回っている3基のはずみ車が発生させる合成遠心力によって機体が常に水平に保たれるので、浮上用兼水平安定用の複数のジェットエンジン又はファンの推力を制御・操作して水平を保つ必要がない。
(ロ) 3基のはずみ車が回転することで機体を常に水平に保っているので、浮上用兼推進用のジェットエンジン又はファンは機体の中心位置に1基配置するだけでよい。従って浮上用ジェットエンジン又はファンと、はずみ車の回転に同期して機体が回転することを防ぐためのテールローターの2基で飛行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
円盤型飛行体の中心である重心点を通る水平面上で、その重心から等距離・等間隔に同じ大きさでかつ同じ重さのはずみ車を3基タンデム設置して、そのはずみ車をモーターやエンジンといった動力で同方向かつ同じスピードで高速回転させる。またそのはずみ車を回転させる動力も重心から等間隔に配置して円盤型飛行体の重心がその円盤の中心と概ね重なるように重量配分する。また、はずみ車の回転に同期して機体が回転することを防ぐためにテールローターを機体後部に設置する。そして、機体の中心を通る実在はしない垂直軸上の、なるべく重心点に近い下側の場所に浮上用兼推進用ファンを配置する。そして、浮上用兼推進用ファンは操縦桿を倒した方向にファンが傾く構造にして、その操縦桿を操り飛行する。
【実施例】
【0007】
円盤型の低空飛行用小型ホバリング機に本水平姿勢安定化装置を取り付けることで機体が常に水平安定しているので飛行経験の熟練者でなくとも容易に乗りこなすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
低空飛行用小型レジャーホバリング機への利用もさることながら、将来的には宇宙に人及び物資を運ぶための手段として本水平姿勢安定化装置を取り付けた円盤型飛行体を開発する上で役に立つ技術であり、現在開発段階である宇宙エレベーター構想という壮大な技術に取って代わることができる手段として期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の水平安定化装置を搭載した円盤型の低空飛行用小型ホバリング機の斜視図である。
【図2】本発明の水平安定化装置を搭載した円盤型の低空飛行用小型ホバリング機の横断面図である。
【図3】本発明の円盤型低空飛行用小型ホバリング機の胴体上部ボディーを取り払った時の俯瞰図である。
【符号の説明】
【0010】
1 円盤型飛行体の胴体
2 操縦室
3 操縦者
4 テールローター
5 操縦桿
6 第一はずみ車
7 第二はずみ車
8 第三はずみ車
9 はずみ車用動力
10 浮上兼推進用動力
11 浮上兼推進用ファン
12 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤型飛行体の中心である重心点を通る水平面上で、その重心から等距離・等間隔に同じ大きさでかつ同じ重さのはずみ車を3基タンデム設置して、そのはずみ車をモーターやエンジンといった動力で同方向かつ同じスピードで高速回転させることにより3基のはずみ車が飛行体の重心を通る実在はしない垂直軸を中心とした合成遠心力を発生し、その結果、機体の水平姿勢を安定させる装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−86822(P2012−86822A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247882(P2010−247882)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【特許番号】特許第4803509号(P4803509)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(591206290)