説明

円錐形すべり部を有する電極を有する放電ランプ

放電ランプのランプ管(3)は、2つの電極(40)を含み、各電極の一部は、ランプ管(3)の端部に配置されたプラグ(23)内に延びる。電極(40)は基部(41)を含み、電極(40)は基部によって封止(23)に固定される。さらに、電極(40)は、円錐形の外面(44)を有する中間部(43)を含む。プラグ(23)の内面(51)は、電極(40)の中間部(43)の外面(44)上に密接に適合する。電極(40)が温度上昇の故に膨張する場合、電極(40)の円錐形の外面(44)は、プラグ(23)の内面(51)に対して滑り、応力蓄積が回避される。このようにして、プラグ(23)の破壊が回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン化充填物が存在する放電空間を取り囲む管壁を有する封止されたランプ管を含み、ランプ管は、2つの拡張プラグと、2つの電極とを有し、各電極の一方はそれぞれのプラグの開口内に延び、各電極の他方は放電空間内に延びる放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
放電ランプの周知の例は、所謂高圧ガス放電ランプであり、それは例えば車両ヘッドランプとして適用される。放電空間の充填物をイオン化する目的のために、既知の放電ランプは、2つの円筒形電極を含み、各電極はランプ管のプラグ内に埋め込まれる。各電極の一方はそれぞれのプラグ内に延出し、他方は放電空間内に延出する。プラグ内に延出する電極の部分の端部は、モリブデン箔に接続され、モリブデン箔は、電流を電極に供給するために、外部電流導体に接続される。環境の如何に拘わらず、イオン化充填物が放電空間内に維持されることが重要である。従って、プラグを貫通して延びる電極の部分は、プラグによって密接に取り囲まれる。
【0003】
放電ランプの動作中、電極、及び、電極が部分的に延出するプラグの双方の温度が上昇する。その結果、電極及びプラグの双方の材料は膨張する。放電ランプにおいて、電極及びプラグは異なる材料から製造され、電極の材料の膨張係数は、プラグの材料の膨張係数と異なる。電極はプラグによって密接に取り囲まれているので、膨張係数の不適合は、プラグの破壊及び放電ランプの欠陥を引き起こし得る。
【0004】
最新技術によれば、電極及び周囲プラグの材料の熱膨張係数の不適合の結果としてのプラグの破壊を回避するために、様々な解決策が提案された。既知の解決策の1つが、米国公報第2002/0031975号に開示されている。この解決策によれば、電極が膨張して自由にプラグ内部と接触するのを可能にするために、電極とプラグとの間に小さな間隙が形成される。
【0005】
しかしながら、既知の解決策はプラグの破壊の問題を解決するものの、以下に説明されるような他の問題を導入する。放電空間の充填物は、間隙に自由に流入及び流出し得るので、放電ランプの予期し得ない動作を引き起こす。例えば、電極の温度が放電ランプの動作周期の開始に著しく上昇するとき、間隙は閉塞され、充填物は急激に放電空間に向かって移動され、充填物が間隙を離れて放電空間に進入する場所の辺りで、充填物を飛び散らせる。また、間隙が電極とプラグとの間で解放され、放電空間に起源する充填物で充填されると、放電空間内の充填物の量は減少する。放電空間内で優勢な条件に影響を及ぼすことによって、電極とプラグとの間に間隙を形成する解決法のこれらの作用は、放電ランプの機能を達成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放電ランプの動作に影響を与える不利な副作用を有さない、電極及び周囲プラグの材料の熱膨張係数の不適合の結果としてのプラグの破壊の問題に対する解決策を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は冒頭段落に述べられた放電ランプによって達成され、イオン化充填物が存在する放電空間を取り囲む管壁を有し、且つ、2つの拡張プラグを有する封止されたランプ管と、2つの電極とを含み、各電極の一方は、それぞれのプラグの開口内に延び、各電極の他方は、放電空間内に延び、各電極は、円錐形外面を有するすべり部を含み、開口の内面は、電極のすべり部の円錐形外面上に密接に適合し、開口の内面と電極のすべり部の円錐形外面との間のすべりが許容される。
【0008】
本発明によれば、放電ランプの電極は、円錐形外面を有するすべり部を含む。それぞれのプラグの開口の内面は、電極のすべり部の円錐形外面上に密接に適合し、換言すれば、開口の内面と電極のすべり部の円錐形外面との間に遊びは存在しない。依然として、表面間のすべりが許容されるよう、換言すれば、開口の内面と電極のすべり部の円錐形外面との間に結合が存在しないよう、開口の内面は電極のすべり部の円錐形外面上に適合する。
【0009】
プラグの開口は、プラグ内のキャビティであり得るが、プラグ内の貫通孔でもあり得る。
【0010】
電極のすべり部が円錐形外面を有するという記述は、すべり部の外径が、すべり部の他の側面の外径よりも大きいこと、及び、一方の側面から他方の側面に進行するときに、外径が漸進的に減少することを示唆している。本発明の範囲内において、最小の外径はゼロに等しい必要はない、換言すれば、電極のすべり部が完全な円錐形に成形される必要はない。その代わりに、電極のすべり部は切頭円錐形として成形されてもよい。
【0011】
プラグは電極上に密接に適合するのに対し、プラグと電極のすべり部との間のすべりが許容される。放電ランプのこの設計の有利な結果は、電極及びプラグが製造される材料の熱膨張係数の不適合の結果としてのプラグの破壊の危険性がないと共に、電極上へのプラグの緊密な適合が、プラグ及び電極の温度が上昇下降する場合にも常に維持されることである。例えば、温度が上昇する状況では、電極は膨張し、電極の軸長及び直径の双方が増大する。電極のすべり部は円錐形であり、且つ、プラグとすべり部の円錐形外面との間に結合が存在しないという事実の故に、電極の膨張は、電極のすべり部をプラグに対して滑らせる。このようにして、円筒形電極と周囲プラグとの間にすべりが起こらない従来的な状況に比べ、応力はプラグの破壊の危険性がない程度にまで大幅に削減される。さらに、プラグと電極との間の接触は維持され、放電空間の充填物の漏出が回避される。
【0012】
本発明を図面を参照してさらに詳細に説明する。図面において、類似部材は同一の参照符号によって指し示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
最新技術に従った放電ランプ1が図1に示されると共に、従来的な放電ランプ1の管状の光透過性ランプ管2が図2により詳細に示されている。
【0014】
放電ランプ1のランプ管2は、外被11の内部に配置されている。外被11は、バルブのような形状であり、且つ、ランプステム13を支持するランプベース12に接続されている。放電管2は、2つの接続導体14によってランプステム13に接続されている。接続導体14は、ランプステム13と、ランプ管2から突出する外部電流導体21との間に延在している。放電ランプ1の動作中、ランプ管2は、接続導体14によって電流供給され、接続導体はランプベース12上のそれぞれの接点(図示せず)に接続されている。
【0015】
最新技術によれば、ランプ管2を放電ランプの内部に固定し得る様々な方法がある。例えば、他の従来的な放電ランプ(図示せず)、特に、プロジェクタで用いられる放電ランプにおいて、ランプ管の一端はセメントによって放電ランプの反射器に接続されている。
【0016】
ランプ管2は、管壁22と、ランプ管2の両端に配置される2つの拡張プラグ23とを含む。管壁22及びプラグ23は、石英ガラスのような非導体材料から製造される。ランプ管2の内部空間24は、例えば、水銀、1つ又はそれ以上のハロゲン化金属と、アルゴンのような希ガスとを含むイオン化充填材で充填されている。放電ランプ1の動作中に、ランプ管2の内部空間24内の充填材の放電プロセスが生じ、内部空間24は一般的に放電空間24と呼ばれる。
【0017】
2つの外部電流導体21の一方はランプ管2から突出するのに対し、他方はそれぞれのプラグ23内に埋め込まれ、プラグ23の内部に配置されたモリブデン箔25に接続されている。ランプ管2内には、2つの対向する円筒形電極30が配置され、各電極30の一方は放電空間24内に延び、電極30の他方はそれぞれのプラグ23内に延びている。プラグ23内部に位置する端部で、電極30はモリブデン箔25に接続されている。モリブデン箔25の重要な機能は、プラグ23を介して、外部電流導体21と電極30との間に電流を伝導することである。モリブデン箔25の他の重要な機能は、ランプ管2をガス密に封止することである。一方で、外部電流導体21とモリブデン箔25との間の接続、及び、他方で、電極30とモリブデン箔25との間の接続は、例えば、溶接によって構築される。
【0018】
放電ランプ1の動作中、電流は電極30に供給され、その結果、放電空間24内の充填物は放電プロセスに晒される。図1に示されるような水平位置を有する放電ランプ1の場合には、斜線帯によって図1及び2中に描写されるような放電アーク31が得られる。放電プロセス中、光及び熱が発生する。発生する熱の一部は、電極30、管壁22、及び、プラグ23によって放散され、放電ランプ1のこれらの構成部材の温度が上昇する。その結果、放電ランプ1のこれらの構成部材の材料は膨張し、様々な材料は異なる程度に膨張し、それはプラグ23の破壊を引き起こし得る。この関係では、放電ランプ1の動作周期の開始時の急増段階が最も重大であるが、プラグ23の破壊は動作周期中にも起こり得る。
【0019】
本発明によれば、電極30及びプラグ23の材料の熱膨張係数の不適合に起因するプラグ23の破壊が回避されるよう、ランプ管の設計が従来のランプ管2と異なる放電ランプ1が設けられている。以下において、図3乃至10を参照して、本発明の2つの好適実施態様に従った放電ランプのランプ管を議論する。
【0020】
図3には、本発明の第一好適実施態様に従った放電ランプのランプ管3の管壁22の小さな部分と、1つのプラグ23の一部と、プラグ23の内部に配置されたモリブデン箔25の一部と、放電空間24の一部と、1つの電極40とが示されている。図3に示されるような管壁22の一部と、プラグ23の一部と、プラグ23内部に配置されたモリブデン箔25の一部と、放電空間24の一部とは図4にも示されているのに対し、電極40は図5にも示されている。
【0021】
電極40は重厚であり、タングステンのような適切な伝導性材料から製造されるのに対し、プラグ23は、石英ガラスのような非伝導性材料から製造される。電極40の一部はプラグ23内に埋め込まれ、プラグは電極40を収容するためのキャビティ50を備えている。
【0022】
一端に、電極40は、プラグ23の内部に位置し、且つ、円筒形の形状を有する基部41を含む。他端に、電極40は、放電空間24の内部に位置し、且つ、同様に円筒形の形状を有する頂部42を含む。さらに、電極40は、基部41と頂部42との間に延在する中間部43を含む。中間部43は円錐形状を有し、頂部42から基部41に進む方向にテーパを有している。
【0023】
キャビティ50の内面51が電極40の外面44に密接に適合するよう、プラグ23内のキャビティ50の形状は電極40の形状に順応されている。この結果、キャビティ50は、電極40の円錐形の中間部43を収容するための円錐形区域52と、電極40の円筒形の基部41を収容するための円筒形区域53とを含む。
【0024】
本発明の重要な特徴によれば、電極40の基部41のみが、例えば、キャビティ50の内面51への結合、モリブデン箔25への接続又は機械的固定によって、プラグ23に固定されており、接続は溶接によって実現され得る。電極40の中間部43に結合は存在せず、よって、この中間部43とプラグ23内のキャビティ50の内面51との間にすべりが許容され、よって、中間部はすべり部を形成する。
【0025】
図6には、本発明の第二好適実施態様に従った放電ランプのランプ管4の管壁22の小さな部分と、1つのプラグ23の一部と、放電空間24の一部と、1つの電極60とが示されている。図6に示されているような管壁22の一部と、プラグ23の一部と、放電空間24の一部とは図7にも示されているのに対し、電極60は図8にも示されている。
【0026】
電極60は重厚であり、適切な導体材料から製造されるのに対し、プラグ23は非導体セラミック材料から製造される。電極60はプラグ23を貫通して延び、プラグ23は電極60を収容するための貫通孔70を備えているのに対し、電極60はプラグ23の両端でプラグ23から突出している。
【0027】
一端に、電極60は、プラグ23の内部に部分的に位置し且つ円筒形の形状を有する基部61含む。他端に、電極60は、放電空間24の内部に位置し且つ同様に円筒形の形状を有する頂部62を含む。さらに、電極60は、基部61と頂部62との間に延在する中間部63を含む。中間部63は円錐形状を有し、且つ、頂部62から基部61に進行する方向にテーパを有している。
【0028】
貫通孔70の内面71が電極60の外面64上に密接に適合するよう、プラグ23内の貫通孔70の形状は電極60の形状に順応されている。この結果、貫通孔70は、電極60の円錐形の中間部63を収容するための円錐形区域72と、電極60の円筒形の基部61を収容するための円筒形区域73とを含む。
【0029】
本発明の重要な特徴によれば、電極60の外面64とプラグ23内の貫通孔70の内面71との間の結合は、電極60の基部61に存在するだけである。図示の実施例において、結合はガラススリーブ80によって実現され、その内面81は、電極60の基部61の外面64上に密接に適合し、その外面82は、貫通孔70の円筒形区域73の内面71上に密接に適合している。電極60の中間部63に結合は存在せず、よって、すべり部を形成する中間部63とプラグ23内の貫通孔70の内面71との間で、すべりが許容されている。
【0030】
図9及び10には、電極60と、周囲プラグ23の一部とが示されている。ガラススリーブ80はこれらの図面中に示されていない。その代わり、電極60の基部61での電極60とプラグ23との間の結合は概略的に描写され、参照番号35によって指し示されている。
【0031】
図9は、比較的低温での、電極60と、周囲プラグ23の一部とを示している。放電ランプのスイッチが入れられると、放電空間24内に光と熱とが発生する。熱の影響下で、電極60及びプラグ23の双方の温度が上昇する。その結果として、電極60及びプラグ23の材料が膨張する。プロセス中に、それぞれの材料の熱膨張係数が極めて重要な役割を演じる。
【0032】
膨張プロセス中、電極60の軸長及び直径の双方が増大する。電極60の温度がその全ての部分61,62,63に関して同一であり、且つ、中間部63が完全な円錐形として成形され、その先端のみがプラグ23に固定されている理想的な状況では、電極60の軸長及び直径の増大は、如何なる応力蓄積をも引き起こさない。何故ならば、電極60の中間部63とプラグ23との間に結合がないからであり、電極60の頂部62を放電空間24の内部に簡単に移動し得るからである。その上、電極60の中間部63の直径は、基部61から頂部62へ進行する方向に増大する。その結果、貫通孔70の円錐形区域72の直径は、貫通孔70の円筒形区域73と通じる一端から放電空間24と通じる他端へ進行する方向に増大する。本発明のこれらの重要な要因の故に、電極60の膨張材料は、放電空間24と通じる端部で、言わば、貫通孔70から絞り出される。プロセス中、電極60の中間部63で、電極60の外面64及び貫通孔70の内面71は互いに滑り、よって、応力蓄積が回避される。さらに、電極60の中間部63の外面64と貫通孔70の内面71との間の接触が維持され、よって、放電空間24の充填物が貫通孔70に進入することは可能ではない。
【0033】
図10は、比較的高温での、電極60と、周囲プラグ23の一部とを概略的に示している。図10を図9と比較すると、電極60の材料の膨張が、プラグ23の外側にある電極60の一部の寸法拡大を引き起こしていることが明らかに分かる。電極が冷却されるとき、及び、電極60の材料が収縮するとき、上述の手順及び作用が逆転して生じ、電極60の中間部63の外面64と貫通孔70の内面71との間の接触を維持しながら、言わば、電極60は引っ込められる。
【0034】
実際的な状況において、電極60の頂部62の温度は、電極60の基部61の温度よりも高い。何故ならば、頂部62は、ランプ管4の動作中に熱が発生する場所、即ち、放電アークが得られる場所に最も近接して位置するからである。例えば、頂部62の自由端の温度は1700℃であるのに対し、基部の自由端の温度は900℃である。さらに、実際には、適切な結合を実現するために、点ではなく領域が必要なので、電極60の中間部63は、先端のみがプラグ23に固定される完全な円錐形として成形されていない。その代わりに、中間部63は切頭円錐形として成形され、直径が最小である側面は、貫通孔70の内面71に固定された基部61に接続されている。従って、実際には、電極60の外面64と円錐形区域72の内面71との間にすべりが許容されているにも拘わらず、電極60の膨張中に応力が蓄積される。しかしながら、これらの応力は、それらがプラグ23の破壊を引き起こし得るレベルよりもずっと下に留まる。
【0035】
理想的には、電極40,60の中間部43,63は完全な円錐形として成形され、プラグ23内のキャビティ50又は貫通孔70の円錐形区域52,72の内面51,71も完全な円錐形として成形されるのに対し、電極40,60の中間部43,63の先端のみが、プラグ23内のキャビティ50又は貫通孔70の円錐形区域52,72の先端に固定される。温度勾配が存在しないと推定するならば、電極40,60及びプラグ23のそのような構造では、電極40,60及びプラグ23の材料の膨張中に応力蓄積は起こらない。しかしながら、実際には、電極40,60の点をプラグ23の点に取り付けることのみによって電極40,60をプラグ23内に正しく固定するのは可能ではない。一方でプラグ23内の電極40,60の確実な固定を得るために、且つ、電極40,60及びプラグ23の材料の膨張中の応力蓄積を可能な限り回避するために、電極40,60の中間部43,63は切頭円錐形として成形され、直径が最小である側面は基部41,61に接続され、基部41,61の全体又は基部41,61の一部が、プラグ23内のキャビティ50又は貫通孔70の内面51,71に固定される。
【0036】
図示の実施例において、電極40,60の基部41,61のみがプラグ23に固定されている。しかしながら、電極40,60の円錐形の中間部43,63の隣接部がプラグ23に固定されることも可能である。その場合には、キャビティ50又は貫通孔70の内面51,71と電極40,60の外面44,64との間のすべりは、中間部43,63の自由部、即ち、プラグ23に固定されていない部分で起こるだけである。その結果、中間部43,63のこの部分のみを電極40,60のすべり部と見做し得る。電極の基部41,61及び電極40,60の円錐形の中間部43,63の隣接部の双方がプラグ23に固定される状況では、プラグ23の破壊の危険性は、電極40,60の基部41,61のみがプラグ23に固定されている状況と比較して増大されるが、この危険性は、電極全体が円筒形である従来的な状況と比較して依然として低減される。
【0037】
本発明は、電極40,60の材料の熱膨張係数が、プラグ23の材料の熱膨張係数よりも大きい状況、並びに、電極40,60の材料の熱膨張係数が、プラグ23の材料の熱膨張係数よりも小さい状況に適用可能である。図3乃至5に示されるような実施例の場合のように、例えば、電極40,60がタングステンから製造され、且つ、プラグ23が石英ガラスから製造される場合、電極40,60の材料の熱膨張係数は、プラグ23の材料の熱膨張係数よりも大きい。しかしながら、図6乃至10に示されるような実施例の場合のように、プラグ23がセラミック材料から製造される場合、電極40,60の材料の熱膨張係数は、プラグ23の材料の熱膨張係数よりも小さい。
【0038】
本発明の範囲内において、電極40,60の基部41,61の外面44,64の形状は必ずしも円筒形である必要はない。電極40,60の頂部42,62の外面44,64の形状に関しても同一のことが当て嵌まる。
【0039】
本発明の範囲が上記に議論された実施例に限定されず、添付の請求項に定められるような本発明の範囲から逸脱することなく、その幾つかの修正又は変更が可能であることが、当業者に明らかであろう。
【0040】
上述においては、放電ランプ1のランプ管3,4が開示されている。ランプ管3,4は、管壁22と、ランプ管3,4の両端に配置された2つのプラグ23とを含み、ランプ管はイオン化充填物で充填された放電空間24を取り囲んでいる。さらに、ランプ管3,4は、2つの電極40,60を含み、各電極40,60の一方は、放電空間内に延び、各電極40,60の他方は、プラグ23内に延びている。
【0041】
電極40,60の基部41,61及び頂部42,62の双方は、円筒形の外面44,64を有するのに対し、中間部43,63は、円錐形の外面44,64を有している。プラグ23の内面51,71の一部は、電極40,60の円錐形の外面44,64の一部上に密接に適合している。電極40,60とプラグ23との間の結合は、電極40,60の基部41,61に存在するだけである。
【0042】
電極40,60が温度上昇の結果として膨張する場合には、電極40,60の円錐形の外面44,64は、プラグ23の内面51,71に対して滑るのに対し、電極60とプラグ23との間の応力は、それがプラグ23の破壊を引き起こし得るレベルよりもずっと下に留まる。このプロセス中、プラグ23と電極40,60との間の接触は維持される。このようにして、放電空間24の充填物の漏出は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】先端技術に従った放電ランプを概略的に示す縦断面図である。
【図2】図1に示されるような放電ランプのランプ管を概略的に示す縦断面図である。
【図3】本発明の第一好適実施態様に従った放電ランプのランプ管の一部を概略的に示す縦断面図である。
【図4】図3に示されるようなランプ管の一部を概略的に示す縦断面図であり、電極は省略されている。
【図5】図3に示されるようなランプ間の一部である電極を示す側面図である。
【図6】本発明の第二好適実施態様に従った放電ランプのランプ間の一部を概略的に示す縦断面図である。
【図7】図6に示されるようなランプ管の一部を概略的に示す縦断面図である。
【図8】図6に示されるようなランプ管の一部である電極を示す側面図である。
【図9】比較的低温での図6に示されるようなランプ管の一部を概略的に示す斜視図であり、一部が切り取られている。
【図10】比較的高温での図6に示されるようなランプ管の一部を概略的に示す斜視図であり、一部が切り取られている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン化充填物が存在する放電空間を取り囲む管壁を有し、且つ、2つの拡張プラグを有する封止されたランプ管と、
2つの電極とを有し、
各電極の一方は、それぞれのプラグの開口内に延び、各電極の他方は、前記放電空間内に延び、各電極は、円錐形外面を有するすべり部を有し、
前記開口の内面は、前記電極の前記すべり部の前記円錐形外面上に密接に適合し、
前記開口の前記内面と前記電極の前記すべり部の前記円錐形外面との間のすべりが許容される、
放電ランプ。
【請求項2】
前記電極は、基部と、前記円錐形外面を有する中間部を形成する前記すべり部とを有し、前記基部は、前記中間部の直径が最小である側面で、中間部に接続され、前記基部のみが前記プラグに固定される、請求項1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記電極の前記基部は、円筒形の外面を有する、請求項2に記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記電極の前記外面と前記開口の前記内面との間の結合は、ガラススリーブによって実現され、該ガラススリーブの内面は、前記電極の前記基部の前記外面上に密接に適合し、前記ガラススリーブの外面は、前記開口の前記内面上に密接に適合する、請求項2又は3に記載の放電ランプ。
【請求項5】
前記プラグの前記開口は、前記電極の前記中間部を収容するための円錐形内面を有する円錐形区域と、前記電極の前記基部を収容するための円筒形内面を有する円筒形区域とを有する、請求項2又は3に記載の放電ランプ。
【請求項6】
前記電極は、頂部と、円錐形外面を有する中間部とを有し、前記頂部は、前記中間部の直径が最大である側面で、前記電極の前記中間部に接続されている、請求項1又は2に記載の放電ランプ。
【請求項7】
前記頂部は、円筒形外面を有する、請求項6に記載の放電ランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−511036(P2007−511036A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523092(P2006−523092)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051369
【国際公開番号】WO2005/017948
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】