説明

再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材およびその製造方法

【課題】本発明は再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、再生ゴムを軟化剤、粘着付与剤、充填剤、SBS樹脂、PVA減圧粘着剤などに添加後に、機械式の強制ミキサーによって粘着力に優れた物質にし、次いで、アスファルトシート、HDPEシート、不織布、発泡ポリエチレンなどに使用用途に応じて塗布して防水シートにするための再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材およびその製造方法に関する。
【解決手段】本発明は、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)と、6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)と、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)と、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)と、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂と、を機械式に強制的にミックスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、再生ゴムを軟化剤、粘着付与剤、充填剤、SBS樹脂、PVA減圧粘着剤などに添加後に、機械式の強制ミキサーによって粘着力に優れた物質にし、次いで、アスファルトシート、HDPEシート、不織布、発泡ポリエチレンなどに使用用途に応じて塗布して防水シートにするための再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来の再生ゴムを活用する方法としては、廃タイヤ、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、手術用手袋、コンドーム類、風船類、各種のウェザーストリップなどに用いられたゴムを寄せ集めて加工して物理的若しくは化学的に処理して分離し、ゴム以外の布地、鉄類などの異物を除去した後、加圧釜に入れて処理する方法、酸処理後に可塑化されたゴムをミルする方法、ゴムを凍結後に粉砕などして細かく粉砕されたゴム粒子またはゴム塊をバインダーと混合してマット、ブロックなどを製造して床材施工する方法と、熱分解法を用いてゴムに含まれているオイルおよびカーボンなどを分解して捕集した後に使用する方法などが挙げられるが、これらの方法は、1次加工による消極的なアプローチに留まっている。
【0003】
一方、例えば、下記の特許文献1は、第1の防水層と第2の防水層はもちろん、第2の防水層と固定層とが完全に一体型となっている防水層を形成するが、粘着シートの粘着物質がコンクリート下地面に全面接着方式によって貼り付けられてコンクリート下地面の挙動に応じて防水層が順応することにより浮き上がり現象が予防され、配管、コンクリート下地面の状態および材質によらずに貼り付け易く、且つ、プラスチックおよび鉄製配管の周りの防水処理も施し易くて安定した防水層を形成する粘着シートを用いた複合防水工法が開示されている。
【0004】
また、例えば、下記の特許文献2は、防水シートであって、合成ゴムを8〜23重量%、粘着付与剤を4〜20重量%、軟化および可塑剤を10〜24重量%、充填剤を30〜70重量%、補強剤を3〜18重量%含んでなり、強力な接着力を有し、被着面の狭い隙間にも浸透して完璧な防水性能を発揮する防水シートが開示されている。
【0005】
さらに、例えば、下記の特許文献3は、水溶性物質であるポリビニルアルコールを主成分とし、超高速水溶性物質をさらに混合して用いるが、前記超高速水溶性物質としては、砂糖、塩化ナトリウムなどのイオン性物質、クエン酸、可燃ソーダ、塩化カルシウム、界面活性剤およびアクリルアミドなどの水溶性物質から選ばれた1種または2種以上が混合されて、防水シートの役割を果たすことを開示している。
【0006】
この理由から、上述したような、単に防水性能のみを有する防水材よりも、ゴム的な弾性および表面の粘着性を長期に亘って維持することのできる再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】大韓民国登録特許第0628035号公報
【特許文献2】大韓民国登録特許第0628035号公報
【特許文献3】大韓民国登録特許第0834877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ゴム的な弾性および表面の粘着性を長期に亘って維持しつつも、コンクリート構造物において温度変化(熱膨張)による挙動および構造物の沈下などが発生した場合でも防水層の水密性によって安定した防水性能を確保することができ、しかも、防水層の耐久性を増大させるために材料表面の粘着性を高めつつも、高温安定性(流下性)および耐熱性を確保して構造物の安定性(耐久性)を確保することのできる、再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)と、6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)と、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)と、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)と、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂とを機械的に強制的にミックスして得られる再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材を提供する。
【0010】
ここで、本発明に係る前記粘着付与剤は、既に軟化済みのPVA系の材料と、高軟化点の石油樹脂と、ポリブテンとを3:1:6または4:1:5の割合にて配合する。
【0011】
また、本発明は、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)をミキサーに投入するステップと、6〜15%重量部の軟化剤(ヒマシ油、アロマ油)をミキサーに投入するステップと、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)をミキサーに投入するステップと、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)をミキサーに投入するステップと、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂をミキサーに投入するステップと、前記材料を機械式に強制的にミックスするステップと、を含むことを特徴とする再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゴム的な弾性および表面の粘着性を長期に亘って維持することができる。また、本発明によれば、コンクリート構造物の熱膨張の動きおよび構造物の沈下など構造物の挙動が発生しても、防水層の水密性によって安定した防水性能を確保することができる。さらに、本発明によれば、粘着性を長期に亘って確保するために表面粘着性を高め、しかも、耐熱性および高温安定性(流下性)を確保して長期に亘って防水層の粘着安定性と構造物の耐久性を同時に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材の製造方法を概略的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材は、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)と、6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)と、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)と、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)と、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂とを機械式に強制的にミックスして得られる。
【0015】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施のための詳細を説明する。本発明に係る再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材は、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)と、6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)と、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)と、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)と、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂とを、図1に示すように、ミックス装置を用いて機械式に強制的にミックスして得られる。
【0016】
より具体的に、100重量部に対して再生ゴム(EPDM系、NR系など)は18〜28%重量部を有し、軟化剤としてはパラフィン油やアロマ油を用い、重量部にて6〜15%が含まれ、粘着付与剤であるポリブテンとPVA系粘着付与剤を14〜24%重量部有し、充填剤としてはタルク、重炭酸カルシウムまたはセメントを40〜60%を配合して、ゴム的な伸び率を確保するためにSBS系の熱可塑性樹脂を2〜6%配合することにより、ゴム的な弾性および表面の粘着性を長期に亘って維持するように造成する。
【0017】
また、前記粘着付与剤は、特有の表面粘着性質を有し、コンクリートの表面に付着すれば、コンクリート構造物において温度変化(熱膨張)による挙動および構造物の沈下などが発生しても、常時コンクリートの下地に水密性をもって柔軟に対応することにより、安定した防水性能を確保することができる。
【0018】
さらに、粘着性を長期に亘って確保するために用いる粘着付与剤は、既に軟化済みのPVA系の材料と、高軟化点の石油樹脂と、ポリブテンとをそれぞれ3:1:6または4:1:5の割合にて配合して得られるものであり、これは、表面粘着性を高め、高温安定性(流下性)および耐熱性を確保して構造物の安定性を向上させることができる。
【0019】
以下、本発明に係る粘着防水材の製造方法を詳述する。本発明に係る再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材の製造方法は、まず、18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)をミキサーに投入し、6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)をミキサーに投入した後、14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)をミキサーに投入し、40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)をミキサーに投入した後、2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂をミキサーに投入し、最終的にこれらの材料を機械式に強制的にミックスする。
【0020】
一方、本発明は、前記軟化剤およびSBS系の熱可塑性樹脂の添加量によってゴム的な弾性および伸び率が左右され、前記粘着付与剤と再生ゴム、充填剤の添加量によって材料の粘着性質および耐熱性が決まる。
【0021】
以上、本発明の好適な実施形態について図示し、いくつに限定して説明したが、本発明はこれによって限定されるものではなく、上述の本発明が有する多くの機能の組み合わせおよび選択的な付加などの変更はもとより、後述する本発明の特許請求の範囲によって開示される技術思想およびそれと均等な範囲において種々に変更して実施することができるということが、本発明が属する技術分野において通常の知識を持った者であれば理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、ゴム的な弾性および表面の粘着性を長期に亘って維持することができ、コンクリート構造物の熱膨張の動きおよび構造物の沈下など構造物の挙動が発生しても、防水層の水密性によって安定した防水性能を確保することができ、さらに、粘着性を長期に亘って確保するために表面粘着性を高め、しかも、耐熱性および高温安定性(流下性)を確保して長期に亘って防水層の粘着安定性と構造物の耐久性を同時に向上させることができる、産業上の利用可能性が極めて高い有用な発明である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)と、
6〜15%重量部の軟化剤(パラフィン油、アロマ油)と、
14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)と、
40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)と、
2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂と、
を機械式に強制的にミックスして得られることを特徴とする再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材。
【請求項2】
前記粘着付与剤は、既に軟化済みのPVA系の材料と、高軟化点の石油樹脂と、ポリブテンとを3:1:6または4:1:5の割合にて配合することを特徴とする請求項1に記載の再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材。
【請求項3】
粘着防水材の製造方法において、
18〜28%重量部の再生ゴム(EPDM系、NR系)をミキサーに投入するステップと、
6〜15%重量部の軟化剤(ヒマシ油、アロマ油)をミキサーに投入するステップと、
14〜24%重量部の粘着付与剤(ポリブテン、PVA系粘着付与剤)をミキサーに投入するステップと、
40〜60%重量部の充填剤(タルク、重炭酸カルシウム、セメント)をミキサーに投入するステップと、
2〜6%重量部のSBS系の熱可塑性樹脂をミキサーに投入するステップと、
前記材料を機械式に強制的にミックスするステップと、
を含むことを特徴とする再生ゴムを用いた非加硫系の粘着防水材の製造方法。


【図1】
image rotate


【公表番号】特表2013−503961(P2013−503961A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528727(P2012−528727)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006899
【国際公開番号】WO2011/046256
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512050520)リニューシステム カンパニーリミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】RENEW SYSTEM CO.,LTD.
【Fターム(参考)】