説明

再生可能エネルギー発電機の設置構造および防球ネットフェンス並びに再生可能エネルギー発電機設置用の架台部材

【課題】学校のグラウンド等における支柱に、風力発電機等の再生可能エネルギー発電機を容易且つ迅速に安定した状態で、しかも、効率よく設置する。
【解決手段】防球ネットフェンスは、支柱2の上部2aが下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、この上部2aにテーパー形状の筒状部32を有する架台部材3を嵌合させる。架台部材3には、発電機が設置されるとともに、緊張ワイヤ6により、前記架台部材3を前記支柱2にテーパー嵌合する下方に付勢する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、学校のグランド等に立設された防球ネットフェンスのコンクリート支柱に、風力発電機等の再生可能エネルギー発電機を設置するのに最適な再生可能エネルギー発電機の設置構造および防球ネットフェンス並びに再生可能エネルギー発電機設置用の架台部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、再生可能エネルギー発電機としての小型風力発電機(以下、風力発電機という。)は、複数の翼部を有するブレード部と、このブレード部のローターに連結された発電機部とが、支柱(タワー)で支持されてなるのが一般的である。すなわち、かかる風力発電機は、強い風力を受けると、そのブレード部が回転する。このブレード部の回転により、ローターを介して発電機部を駆動させて発電するものである。
【0003】
したがって、風力発電機により常に一定の電力を安定して生じさせるためには、ブレード部に常時強い風力を集中して受けることが条件となる。この条件を満たすためには、風力発電機が丘陵地や建物などの高所に設置されていることが望ましいとされている。特に丘陵地や建物などの高所では、より速い風力を集中して、しかも安定した状態で受けることが可能だからである。
【0004】
前記風力発電機を、学校のグラウンド等に設置された防球ネットフェンスにおけるコンクリート支柱上部の高位置に設置するようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。すなわち、コンクリート支柱の上部に、円筒状の架台部材を上方から嵌合する。そして、この架台部材の上面に風力発電機を設置する。また、架台部材とコンクリート支柱とのガタつきを防止するために、架台部材の内周面と、コンクリート支柱の外周面との間に、セメント材を充填し硬化させていた。
【0005】
このように、コンクリート材を架台部材とコンクリート支柱との間に充填し、硬化させることにより、架台部材とコンクリート支柱とを一体化させ、架台部材とコンクリート支柱との連設状態の安定化を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−163675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載の風力発電機の設置構造は、コンクリート材により、架台部材がコンクリート支柱に一体化した状態で連設されていることから、風力発電機に強い風力を受けても、風力発電機がガタついたりするの防止することは可能である。しかしながら、経年変化により、充填されたコンクリート材が、劣化したり、風力発電機が受ける風力により磨耗したりする場合がある。かかる場合には、架台部材のガタつきが発生することとなり、これにより、風力発電機のガタつきを招来するおそれがあった。
【0008】
また、架台部材とコンクリート支柱との間にコンクリート材を充填した後に、このコンクリート材が硬化するまでに数日間の期間を要するため、風力発電機をコンクリート支柱に設置する施工期間が、長期化する傾向にあった。
【0009】
また、新たに防球ネットフェンスを設置する際に、風力発電機も同時に設置する場合もある。かかる場合、コンクリート材を充填して風力発電機を架台部材に設置する作業は、熟練を要するため、風力発電機を架台部材に設置する施工業者と、コンクリート支柱を立設してネットをコンクリート支柱に張設する施工業者とが異なっているのが現状である。このように、それぞれの作業を異なる施工業者が行なう場合、防球ネットフェンスを設置する施工効率が悪く、その設置コストが高くなる問題があった。
【0010】
本発明は、学校のグラウンド等における支柱に、風力発電機等の再生可能エネルギー発電機を容易且つ迅速に安定した状態で、しかも、効率よく設置することができることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の再生可能エネルギー発電機の設置構造は、地面に立設された支柱と、該支柱に連結される緊張ワイヤと、前記支柱の上端部に取付けられ、且つ発電機が上面に設置される架台部材とを備え、前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、前記架台部材は、下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、前記架台部材の筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が前記支柱と離間する位置に設けられた固定部側に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記架台部材を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成である。
【0012】
前記再生可能エネルギー発電機の設置構造は、緊張ワイヤの一方の上端部は、ワイヤ連結手段に連結されているため、ワイヤ連結手段が架台部材を下方に引っ張ることとなる。そのため、架台部材は下方に付勢された状態が維持される。この結果、架台部材は支柱に嵌合する方向(下方)に付勢されることとなる。緊張ワイヤの張力により、架台部材は下方に付勢されているため、ガタつくことはなく、長期にわたって風力発電機を安定して設置することができる。
【0013】
本発明の防球ネットフェンスは、地面に間隔を有して立設された複数本の支柱と、該支柱を補強するために互い隣り合う支柱間に張設される緊張ワイヤと、前記支柱の上端部に取付けられ、且つ発電機が上面に設置される架台部材と、該架台部材に支持されるネットとを備え、前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、前記架台部材は、下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、前記架台部材の筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が前記支柱と隣り合う支柱に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記架台部材を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成である。
【0014】
前記防球ネットフェンスは、既存の防球ネットフェンスまたは、新たに設置する防球ネットフェンスの何れであっても、発電機を容易且つ迅速に設置することが可能となる。また、緊張ワイヤは、支柱の補強機能と架台部材の固定機能との両方の機能を備えている。
【0015】
本発明の再生可能エネルギー発電機設置用の架台部材は、地面に立設され且つ緊張ワイヤが連結される支柱の上端部に取付けられ、前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、前記筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が固定部側に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記筒状部を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、学校のグラウンド等における支柱に、風力発電機等の再生可能エネルギー発電機を容易且つ迅速に安定した状態で、しかも、効率よく設置することができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る防球ネットフェンスの要部を示す一部断面正面図である。
【図2】同防球ネットフェンスのコンクリート支柱に風力発電機を配設した状態を示す一部断面正面図である。
【図3】図2のA−A線矢視断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る防球ネットフェンスの概略を示す正面図である。
【図5】同防球ネットフェンスの側面図である。
【図6】本発明の他実施形態に係る防球ネットフェンスのコンクリート支柱の上部および架台部材を示す正面図である。
【図7】同防球ネットフェンスのコンクリート支柱の上部および架台部材を示す側面図である。
【図8】(a)は同防球ネットフェンスの架台部材の平面図、(b)は図6のB−B線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5に本発明を防球ネットフェンス1に採用した一実施形態を示す。
【0019】
図4および図5に示すように、防球ネットフェンス1は、地面9に直立状態で設置されている支柱としてのコンクリート支柱2と、このコンクリート支柱2の上部に設けられた風力発電機設置用の架台部材3と、この架台部材3に取付けられた再生可能エネルギー発電機としての風力発電機5と、互いに隣接するコンクリート支柱2間に張設された緊張ワイヤ6と、コンクリート支柱2に張設されたネット8とを備えている。
【0020】
各コンクリート支柱2の下部2bが地面9中に埋設されることによって、コンクリート支柱2は、所定の間隔を有して地面9での直立状態が確保されている。コンクリート支柱2は、断面円筒状を呈し、その全体強度を高めるために、頂部から下方に向けて外径が次第に大きくなる形態のテーパー形状に形成されている。また、コンクリート支柱2には、図示省略の鉄筋が埋入されている。なお、コンクリート支柱2の設置地面9が、学校のグラウンド等である場合には、既設のコンクリート支柱2をそのまま使用することが可能である。
【0021】
架台部材3は、図1〜図3に示すように、筒状の架台本体30と、この架台本体30の上面に固定されたフランジ板40とにより構成されている。
【0022】
架台本体30は、金属製の筒部材(例えば、鋼管)からなり、その下端が開放形態となっている。この開放形態の下端開口から架台本体30をコンクリート支柱2の上部2aに上方から外嵌できるようになっている。
【0023】
架台本体30は、上方の円形筒状部31と、この円形筒状部31よりも下方のテーパー形状を有する筒状部(テーパー筒状部)32とが連続して一体的に形成されたものである。すなわち、円形筒状部31は、内径が一定であるストレート部分から構成されているが、テーパー筒状部32は、内径(内周径)が下方に向けて次第に大径となるテーパー状に形成されている。このテーパー筒状部32のテーパー角度は、コンクリート支柱2のテーパー角度と同等に設定されている。
【0024】
テーパー筒状部32が、コンクリート支柱2の上部2aに嵌合された際に、上部2aの外周面が、テーパー筒状部32の内周面に密着する。この結果、架台部材3がコンクリート支柱2に対して下方に移動するのが規制され、架台部材3の位置決めがなされる。この状態において、テーパー筒状部32の上部32aは、上部2aの上端(テーパー筒状部32と実質的に接触する部分の上端)よりも上方に突出するようになっている。
【0025】
テーパー筒状部32の外周面には、直径方向に係合凸部35が、それぞれ溶接等により突設されている。この係合凸部35には、めねじ部35aがそれぞれ形成されており、このめねじ部35aにボルト37を着脱自在に螺合できるようになっている。このように、ボルト37を係合凸部35に水平に固定することにより、風力発電機5のメンテナンスを行なう際等の作業者の足場とすることが可能となる。
【0026】
なお、本実施の形態では、テーパー筒状部32の周方向に、4個の係合凸部35を設けた場合を例示するが、かかる個数に限定されるものではない。また、係合凸部35は環状のものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0027】
フランジ板40は、風力発電機5を支持するための円形状平面の鋼板材である。フランジ板40として鋼板材が使用されているのは、フランジ板40と架台本体30とを溶接することにより相互に強固に固定するためである。
【0028】
係合凸部35の上部には、ワイヤ連結手段45が配置されている。このワイヤ連結手段45は、二つ割りされた一対の挟持部材46,46と、各挟持部材46,46の両端部46a,46a同士をボルト47とナット48により締結固定されている。
【0029】
互いに所定間隔を有して隣り合うコンクリート支柱2間の対角には、緊張ワイヤ6が張設されている。この緊張ワイヤ6は、コンクリート支柱2の立設状態の安定化を図ることができる。具体的には、張設ワイヤ6の一端部6aが、一対の挟持部材46,46を締結するボルト47に連結されている。また、張設ワイヤ6の他端部6bは、隣接するコンクリート支柱2の基部に連結部材7を介して連結されている。そして、緊張ワイヤ6は、図示省略のターンバックルにより緊張状態に張設されている。連結部材7は、従来周知のものが採用でき、例えば、挟持部材やコンクリート支柱2に固定されたボルト等であってもよい。
【0030】
このように、緊張ワイヤ6の一方の上端部は、ワイヤ連結手段45に連結されているため、ワイヤ連結手段45がこの係合凸部35を下方に引っ張ることとなる。そのため、架台部材1は下方に付勢された状態が維持される。この結果、架台部材1はコンクリート支柱2に嵌合する方向(下方)に付勢されることとなる。緊張ワイヤ6の張力により、架台部材1は下方に付勢されているため、ガタつくことはない。このため、架台部材1におけるフランジ板40面は、ほぼ水平な状態に安定した状態に保持されている。
【0031】
ここで、図1に示すように、円形筒状部31の寸法L1は200mm、テーパー筒状部32の寸法L2は600mm、コンクリート支柱2の肩部2eからボルト47までの寸法L3は、250mmよりも大きく設定されている。このように、寸法L3を設置したのは、コンクリート支柱2の肩部2eから250mmより上の位置で荷重を受けないように、JIS規格で規定されているからである。
【0032】
風力発電機5は、図2に示すように、翼部50aを有するブレード50と、ブレード50のローター51と、ローター51の端部に連結された発電機部52とからなり、これらの機能部53が支柱部54により支持されている。支柱部54の下部には支持フランジ55が設けられており、この支持フランジ55を固定ボルト56で固定することにより、風力発電機5をフランジ板40上面に設置することができる。
【0033】
本実施形態の防球ネットフェンス1は以上の構成からなり、次に、風力発電機5をコンクリート支柱2に設置する場合について説明する。なお、支柱は、予め学校のグラウンド等の地面に直立状態で設置されている防球ネットフェンスに使用されるコンクリート支柱2である。
【0034】
先ず、架台部材3の架台本体30を、コンクリート支柱2の上部2a側から外嵌する。さらに、ワイヤ連結手段45を架台本体30に取付ける。なお、緊張ワイヤ6は、二つ折りされた部分6cが螺旋状に湾曲されており、その湾曲部分を互いに螺旋状に嵌合させることにより、一体化することができる周知のものが採用される。緊張ワイヤ6の環状となった上端部(一端部)6aに、カラー49が外嵌されたボルト47を挿通し、このボルト47をワイヤ連結手段45の挟持部材46,46に挿通して、ナット48に螺合して締結する。これにより、ワイヤ連結手段45を介して、緊張ワイヤ6の環状となった上端部を、コンクリート支柱2の上部に連結することができる。
【0035】
また、緊張ワイヤ6の下端部(端部)6bを隣り合うコンクリート支柱2の基部に連結する。そして、緊張ワイヤ6を緊張させる。このとき、ワイヤ連結手段45は、係合凸部35の上部に位置するため、緊張ワイヤ6がワイヤ連結手段45を下方に引っ張っても、係合凸部35がストッパの機能を有する。その結果、ワイヤ連結手段45が架台部材3に対して下方にずれてしまうことはない。
【0036】
このように、コンクリート支柱2への架台部材3の取付け作業は、従来と異なりコンクリート支柱2と架台部材3との間にコンクリートを充填する必要がなく、ターンバックルを操作して緊張ワイヤ6を緊張させることにより、コンクリート支柱2の補強と架台部材3の設置とを同時に行なうことができる。なお、緊張ワイヤ6は、予めコンクリート支柱2を支持していたものを使用してもよく、汎用性のある従来のものを新たに使用することも可能である。
【0037】
次に、風力発電機5を架台部材3に設置する。すなわち、支持フランジ55を固定ボルト56でフランジ板40上に固定することにより、風力発電機5を架台部材3に固定することができる。前記のようにコンクリート支柱2への架台部材3の設置に際しては、コンクリート材を充填する必要がないため、コンクリート材が硬化する期間を待つことなく、風力発電機5の設置作業を容易且つ迅速に行なえる。
【0038】
また、既存の防球ネットフェンス1を利用する以外に、防球ネットフェンス1を新たに設置する場合もある。かかる場合は、コンクリート支柱2を地面9に直立状態で設置する作業、コンクリート支柱2にネット8を張設する作業、緊張ワイヤ6をコンクリート支柱2間に張設する作業および風力発電機5の設置作業等の一連の作業を行なうこととなる。
【0039】
風力発電機5の設置作業に伴う架台部材3のコンクリート支柱2への設置作業は、従来と異なりコンクリート材の充填作業が省かれているため、熟練が不要となる。このため、風力発電機5を備えた防球ネットフェンス1を新たに施工する際に、単独の施行業者が、緊張ワイヤ6をコンクリート支柱2間に張設する作業と同時に(一連の作業を連続して)行うことができる。この結果、防球ネットフェンス1の施工時間の短縮と、コストの削減を図ることが可能となる。
【0040】
以上のように、例えば、小学校から高等学校のグラウンドの地面に直立状態で設置されているコンクリート支柱高さに対応した高所に、風力発電機5を容易且つ迅速に、しかも安価に設置することができる。従って、各学校において、再生可能エネルギー発電機による発電に関する授業やクラブ活動等の教材として最適である。
【0041】
かかる風力発電機5は、コンクリート支柱2の周囲から受ける風力に基づいてブレード50が回転する。この回転力がローター51を介して発電機部52に加わり、発電機部52を駆動して発電がなされる。
【0042】
したがって、コンクリート支柱2が設けられている地面が、学校のグラウンド等であると、周囲に障害となるような建物が少ないことから、コンクリート支柱2には強い風力を集中して受けることができる。またコンクリート支柱2として、防球ネットに使用されているような既存のものをそのまま利用することができる。この場合、コンクリート支柱2の建柱費等を必要としないから、工事費用の低減を図ることができる。
【0043】
しかも、架台部材3は、緊張ワイヤ6の張力により、コンクリート支柱2に嵌合した状態で下方に付勢されているので、コンクリート支柱上への架台部材の連設状態は、安定したものとなる。これにより、この架台部材3に設置された風力発電機に強い風力を受けても、架台部材3がコンクリート支柱2上部で風力発電機の振動等によりガタつくのを防止できる。
【0044】
また、経年変化により、コンクリート支柱2における架台部材3との嵌合部分の表面が磨耗する場合であっても、テーパー筒状部32を緊張ワイヤ6により下方に付勢しているため、コンクリート支柱2の表面に接触させることができ、架台部材3のガタつきを防止できる。この結果、架台部材3をコンクリート支柱2に確実に嵌合させることができ、風力発電機を長期にわたって安定して設置することができる。
【0045】
なお、コンクリート支柱2の表面の磨耗が大きい場合、架台部材3が若干下降して、コンクリート支柱2と架台部材3との嵌合部分の重なり寸法が大きくなり、架台部材3が下降した分だけ緊張ワイヤ6の張力が小さくなるが、緊張ワイヤ6の張力は、ターンバックルを操作して容易に調整することが可能である。
【0046】
図6〜図8に本発明の他実施形態を示す。なお、同図において、前記実施形態と同一部材は同一符号を付して、それぞれの説明は省略する。
【0047】
本実施形態の架台部材3には、スリット(切り込み)38が設けられている。この切り込み38は、架台本体30の下縁に開口するとともに、架台本体30(テーパー筒状部32)の中途部まで上下に形成されている。また、切り込み38の下部両側には、突起部39がそれぞれ間隔を有して突設され、両方の突起部39、39は、ボルト34aとナット34bとからなる締結部材により、テーパー筒状部32が縮径するように、締結固定されている。
【0048】
コンクリート支柱2の断面形状の真円度が良好でなかったり、断面形状が非円形であったりする場合がある。かかるコンクリート支柱2であっても、架台本体30に切り込み38を形成することにより、架台部材3をコンクリート支柱2に確実に密着して固定させることが可能となる。
【0049】
また、円形筒状部31とテーパー筒状部32との境界部には、環状の段差部(肩部)36が形成されている。そして、かかる段差部36がコンクリート支柱2の肩部2eに上方から係止されている。この結果、架台部材3の下方への位置決めがなされている。
【0050】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、コンクリート支柱2は、断面円形のものを例示したが、楕円形状や矩形状等の多角形状等の任意の形状であってもよく、このコンクリート支柱2の断面形状に対応して、架台部材3の内面形状も任意のものとすることが可能である。なお、架台部材3のテーパー筒状部32のテーパー形状とは、円形に限らず、任意の形状が可能であり、その開口が下方に向けて次第に大きくなることをいう。
【0051】
支柱の材質は、コンクリートに限定されるものではなく、鋼管等の金属製の支柱であってもよい。また、コンクリート支柱2の上部2aに、金属製のテーパー筒状体を嵌合固定してコンクリートよりも硬質の嵌合部を形成し、この嵌合部に架台部材3を外嵌することも可能である。
【0052】
緊張ワイヤ6の下部は、隣接するコンクリート支柱2の基部に連結する場合について例示したが、地面9等のコンクリート支柱2以外の固定部に連結するようにしてもよい。また、ネット8は必ずしも設けている必要はない。
【0053】
しかも、再生可能エネルギー発電機として、風力発電機5以外に太陽光発電を行なう太陽電池パネルであってもよい。また、図4および図5に示すように、コンクリート支柱2の上部に風力発電機5を設置するとともに、コンクリート支柱2の中途部に太陽電池パネル60を設置することも可能である。
【0054】
また、防球ネットフェンスとは、学校に限らず、ゴルフ場や公園等に設置されるものであってよい。
【符号の説明】
【0055】
1 防球ネットフェンス
2 コンクリート支柱(支柱、固定部)
3 架台部材
5 風力発電機(再生可能エネルギー発電機)
6 緊張ワイヤ
6a 上端部
6b 下端部
8 ネット
9 地面
30 架台本体
31 筒状部
32 筒状部(テーパー筒状部)
35 係合凸部
40 フランジ板
45 ワイヤ連結手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に立設された支柱と、該支柱に連結される緊張ワイヤと、前記支柱の上端部に取付けられ、且つ発電機が上面に設置される架台部材とを備える再生可能エネルギー発電機の設置構造であって、
前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、
前記架台部材は、下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、
前記架台部材の筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が前記支柱と離間する位置に設けられた固定部側に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記架台部材を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成であることを特徴とする再生可能エネルギー発電機設置構造。
【請求項2】
地面に間隔を有して立設された複数本の支柱と、該支柱を補強するために互い隣り合う支柱間に張設される緊張ワイヤと、前記支柱の上端部に取付けられ、且つ発電機が上面に設置される架台部材と、該架台部材に支持されるネットとを備える防球ネットフェンスであって、
前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、
前記架台部材は、下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、
前記架台部材の筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が前記支柱と隣り合う支柱に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記架台部材を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成であることを特徴とする防球ネットフェンス。
【請求項3】
地面に立設され且つ緊張ワイヤが連結される支柱の上端部に取付けられる再生可能エネルギー発電機設置用の架台部材であって、
前記支柱の上部は、下方に向けて外径が大きくなるテーパー形状を有し、
下面が開口するとともに下方に向けて内径が大きくなるテーパー形状の筒状部を有し、
前記筒状部は、その下端開口から前記支柱上端部に上方からテーパー嵌合され、前記緊張ワイヤは、緊張された状態となるように、上端部が前記架台部材に連結されるとともに、下端部が固定部側に連結され、前記緊張ワイヤにより、前記筒状部を前記支柱にテーパー嵌合する下方に付勢する構成であることを特徴とする再生可能エネルギー発電機設置用の架台部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113134(P2013−113134A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257661(P2011−257661)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(511117462)有限会社IPI (2)
【Fターム(参考)】