説明

再生生コンクリート及びその製造方法

【課題】残存生コンクリートの活用を促進させ、産業廃棄物を抑制し得る再生生コンクリート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】再生生コンクリートは、セメント、細骨材、粗骨材及び水が練混されてなる生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木建築現場等から生コンクリート工場に戻ってくる残存生コンクリート(戻りコンクリート)を用いてなる再生生コンクリート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生コンクリート(レディーミクストコンクリート)は、例えば生コンクリート工場で製造され、トラックアジテータで土木建築現場等に搬送されて所定時間内に打設等され、残存した残存生コンクリートは産業廃棄物として処理される。残存生コンクリートの処理に関し、例えば特許文献1においては、残存生コンクリートを分離装置に直接供給し、セメント凝結遅延剤の水溶液を噴射しながら、セメントと水を主成分とするスラッジ水と骨材とに分離し、該セメントと水を主成分とするスラッジ水を、翌日以降の生コンクリート原料として再利用する生コンクリートの再利用方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−123156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば特許文献1に記載されているように、残存生コンクリートを分離装置によって分離することには工数が必要となって、スラッジ水部分の100%の再利用は不可能であり、相応の費用も発生するために、残存生コンクリートを原料として製造した生コンクリートの低廉化が困難であり、残存生コンクリートの活用促進及び産業廃棄物の抑制を図り難い。
【0005】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、残存生コンクリートの活用を促進させ、産業廃棄物を抑制し得る再生生コンクリート及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の再生生コンクリートは、セメント、細骨材、粗骨材及び水が練混されてなる生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入してなる。
【0007】
本発明の再生生コンクリートによれば、硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入してなるために、例えば残存生コンクリートを再利用するための工数を減らすことができ、而して、残存生コンクリートを原料として製造した再生生コンクリートを低廉にし得て、残存生コンクリートの100%の活用促進及び産業廃棄物の抑制を図り得る。
【0008】
本発明の再生生コンクリートでは、セメントに対する凝結遅延剤の配合量が0.2〜2.5重量%であってもよい。
【0009】
本発明の再生生コンクリートの製造方法は、セメント、細骨材、粗骨材及び水を練混して生コンクリートを形成し、形成した生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入する。
【0010】
本発明の再生生コンクリートの製造方法によれば、硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入するために、例えば残存生コンクリートを再利用するための工数を減らすことができ、而して、残存生コンクリートを原料として製造した生コンクリートを低廉にし得て、残存生コンクリートの100%の活用促進及び産業廃棄物の抑制を図り得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、残存生コンクリートの活用を促進させ、産業廃棄物を抑制し得る再生生コンクリート及びその製造方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例におけるスランプ試験に関する説明図である。
【図2】本発明の実施例における硬化開始時間試験に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を、好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0014】
本例の再生生コンクリートは、セメント、細骨材、粗骨材及び水(清水)が練混されてなる生コンクリートのうちの硬化前の残存生コンクリートに凝結遅延剤を混入してなる。
【0015】
セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、中庸捏ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、エコセメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の水硬性物質が挙げられる。
【0016】
細骨材及び粗骨材としては、天然骨材、破砕骨材(砕石、砕砂)、コンクリート用スラグ骨材、軽量骨材等の骨材が挙げられ、例えば、細骨材に砂、粗骨材に砂利が用いられる。
【0017】
残存生コンクリートは、上述のセメント、細骨材、粗骨材及び水が例えば5℃〜35℃下において0.5〜1.0分間練り混ぜられてなる。残存生コンクリートには、例えば後述の実施例にも示すように、混和剤が混入されていてもよい。
【0018】
一次的な生コンクリートは、生コンクリート工場でセメント、細骨材、粗骨材及び水(清水)が練混されて製造され、トラックアジテータで土木建築現場等に搬送されて打設される。打設された一次的な生コンクリートは、その硬化時間が短いために比較的早期に硬化し始める。一次的な生コンクリートのうち打設されずにトラックアジテータに残存した残存生コンクリートは、生コンクリート工場で製造されてから、例えば1.5時間以上、2時間以上経過している場合が多く、そのままの状態では硬化前であっても産業廃棄物等として処理されるものであるが、本例においては斯かる残存生コンクリートに上述及び後述のように凝結遅延剤を混入して再生生コンクリートを製造している。
【0019】
凝結遅延剤は、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を主成分として含んでなる。
【0020】
凝結遅延剤の配合量はセメント100重量%に対して0.2〜2.5重量%である。
【0021】
本例の再生生コンクリートは、上述のように、セメント、細骨材、粗骨材及び水を練混して生コンクリートを形成し、形成した生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートであって土木建築現場等から生コンクリート工場に戻ってくるものに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入して製造される。
【実施例】
【0022】
表1の配合表通りに使用材料を配合し、20℃下で0.5分間練混して、本試験におけるベース配合としての生コンクリート1(表2から表4において「生コン1」と表する)を得た。
【0023】
【表1】

【0024】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が0.2重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート2(表2から表4において「再生生コン2」と表する)を得た。
【0025】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が0.4重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート3(表2から表4において「再生生コン3」と表する)を得た。
【0026】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が0.8重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート4(表2から表4において「再生生コン4」と表する)を得た。
【0027】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が1.0重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート5(表2から表4において「再生生コン5」と表する)を得た。
【0028】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が1.2重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート6(表2から表4において「再生生コン6」と表する)を得た。
【0029】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が1.5重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート7(表2から表4において「再生生コン7」と表する)を得た。
【0030】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が2.0重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート8(表2から表4において「再生生コン8」と表する)を得た。
【0031】
生コンクリート1と同様に形成した残存生コンクリートに、普通ポルトランドセメント100重量%に対する配合量が2.5重量%となるようにオキシカルボン酸を含む凝結遅延剤(商品名 ソフトコートT−1、グレースケミカルズ株式会社製)を混入して、再生生コンクリート9(表2から表4において「再生生コン9」と表する)を得た。
【0032】
生コンクリート1及び再生生コンクリート2から9の夫々に対してJIS A1101に基づくスランプ試験を行った。スランプ試験に用いたスランプコーンの寸法は、上端内径100mm、下端内径200mm、高さ300mmである。斯かるスランプ試験の結果は、表2及び図1に示す通りであった。表2では、スランプ試験で得られたスランプ値を示しており、図1では、スランプ値と経過時間との関係をグラフにしたものを示している。
【0033】
【表2】

【0034】
生コンクリート1のスランプ値は、試験開始時で18.0cm、試験開始から2時間後で15.5cm、試験開始から4時間後で10.0cmであり、試験開始から6時間後には測定不能であった。図1における符号11は、生コンクリート1の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0035】
再生生コンクリート2のスランプ値は、試験開始時で19.0cm、試験開始から2時間後で17.0cm、試験開始から4時間後で14.0cm、試験開始から6時間後で10.0cmであり、試験開始から8時間後には測定不能であった。図1における符号12は、再生生コンクリート2の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0036】
再生生コンクリート3のスランプ値は、試験開始時で20.0cm、試験開始から2時間後で18.0cm、試験開始から4時間後で16.0cm、試験開始から6時間後で13.0cm、試験開始から8時間後で7.0cmであり、試験開始から16時間後には測定不能であった。図1における符号13は、再生生コンクリート3の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0037】
再生生コンクリート4のスランプ値は、試験開始時で21.0cm、試験開始から2時間後で20.0cm、試験開始から4時間後で19.0cm、試験開始から6時間後で17.0cm、試験開始から8時間後で15.0cmであり、試験開始から16時間後で4.0cmであり、試験開始から24時間後には測定不能であった。図1における符号14は、再生生コンクリート4の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0038】
再生生コンクリート5のスランプ値は、試験開始時で21.5cm、試験開始から2時間後で21.0cm、試験開始から4時間後で20.5cm、試験開始から6時間後で19.5cm、試験開始から8時間後で18.0cm、試験開始から16時間後で11cmであり、試験開始から24時間後には測定不能であった。図1における符号15は、再生生コンクリート5の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0039】
再生生コンクリート6のスランプ値は、試験開始時で22.5cm、試験開始から2時間後で22.5cm、試験開始から4時間後で22.0cm、試験開始から6時間後で21.0cm、試験開始から8時間後で20.0cm、試験開始から16時間後で15.5cmであり、試験開始から24時間後で6.0cmであり、試験開始から28時間後には測定不能であった。図1における符号16は、再生生コンクリート6の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0040】
再生生コンクリート7のスランプ値は、試験開始時で23.0cm、試験開始から2時間後で23.0cm、試験開始から4時間後で22.5cm、試験開始から6時間後で21.5cm、試験開始から8時間後で20.5cm、試験開始から16時間後で16.5cm、試験開始から24時間後で13.0cm、試験開始から28時間後に10.0cmであり、試験開始から32時間後には測定不能であった。図1における符号17は、再生生コンクリート7の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0041】
再生生コンクリート8のスランプ値は、試験開始時で23.5cm、試験開始から2時間後で23.5cm、試験開始から4時間後で23.5cm、試験開始から6時間後で23.0cm、試験開始から8時間後で22.0cm、試験開始から16時間後で20.0cm、試験開始から24時間後で17.0cm、試験開始から28時間後に14.0cmであり、試験開始から32時間後に10.5cmであり、試験開始から40時間後には測定不能であった。図1における符号18は、再生生コンクリート8の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0042】
再生生コンクリート9のスランプ値は、試験開始時で24.0cm、試験開始から2時間後で24.0cm、試験開始から4時間後で24.0cm、試験開始から6時間後で24.0cm、試験開始から8時間後で23.0cm、試験開始から16時間後で21.0cm、試験開始から24時間後で18.0cm、試験開始から28時間後に16.0cmであり、試験開始から32時間後に13.0cmであり、試験開始から40時間後に8.0cmであり、試験開始から48時間後には測定不能であった。図1における符号19は、再生生コンクリート9の上記各スランプ値に基づく線を示している。
【0043】
図1の線12から19に示されるように、再生生コン2から9の流動性はセメントに対する凝結遅延剤の配合量に依存しており、斯かる凝結遅延剤のセメントに対する配合量を増していけば、流動性はより長く保たれるといえる。
【0044】
スランプ値が著しく低下した時点を硬化開始時間とする試験を行った。斯かる硬化開始時間の試験は上述のスランプ試験と伴わせて行われ、その結果もスランプ試験の結果と共に得られる。
【0045】
斯かる硬化開始時間試験の結果は、表3及び図2に示す通りであった。表3では、硬化開始時間試験で得られた生コンクリート1及び再生生コンクリート2から9の夫々の硬化開始時間を示しており、図2では、普通ポルトランドセメントに対する凝結遅延剤の配合量と硬化開始時間との関係をグラフにしたものを示している。尚、図2中「C」はセメントを意味する。
【0046】
【表3】

【0047】
生コンクリート1の硬化開始時間は試験開始から2時間後であり、再生生コンクリート2の硬化開始時間は試験開始から6時間後であり、再生生コンクリート3の硬化開始時間は試験開始から8時間後であり、再生生コンクリート4の硬化開始時間は試験開始から15時間後であり、再生生コンクリート5の硬化開始時間は試験開始から18時間後であり、再生生コンクリート6の硬化開始時間は試験開始から23時間後であり、再生生コンクリート7の硬化開始時間は試験開始から28時間後であり、再生生コンクリート8の硬化開始時間は試験開始から36時間後であり、再生生コンクリート9の硬化開始時間は試験開始から43時間後であった。図2において、符号21は生コンクリート1の硬化開始時間を示す点であり、符号22は再生生コンクリート2の硬化開始時間を示す点であり、符号23は再生生コンクリート3の硬化開始時間を示す点であり、符号24は再生生コンクリート4の硬化開始時間を示す点であり、符号25は再生生コンクリート5の硬化開始時間を示す点であり、符号26は再生生コンクリート6の硬化開始時間を示す点であり、符号27は再生生コンクリート7の硬化開始時間を示す点であり、符号28は再生生コンクリート8の硬化開始時間を示す点であり、符号29は再生生コンクリート9の硬化開始時間を示す点である。図2の点21から29に基づけば、セメントに対する凝結遅延剤の配合量と硬化開始時間とには図2中の線30に示されるように比例関係にあるといえる。
【0048】
生コンクリート1及び再生生コンクリート2から9の夫々に対して圧縮強度試験を行った。圧縮強度試験は、JIS A1108に基づいて行った。
【0049】
斯かる圧縮強度試験の結果は、表4に示す通りであった。表4には、圧縮強度試験で得られた生コンクリート1及び再生生コンクリート2から9の夫々の1週強度及び4週強度を示している。
【0050】
【表4】

【0051】
生コンクリート1は、1週強度24.6N/mm、4週強度33.8N/mmであり、生コンクリート2は、1週強度24.2N/mm、4週強度34.0N/mmであり、生コンクリート3は、1週強度23.7N/mm、4週強度33.8N/mmであり、生コンクリート4は、1週強度24.5N/mm、4週強度34.1N/mmであり、生コンクリート5は、1週強度25.1N/mm、4週強度34.2N/mmであり、生コンクリート6は、1週強度25.0N/mm、4週強度34.5N/mmであり、生コンクリート7は、1週強度24.8N/mm、4週強度34.6N/mmであり、生コンクリート8は、1週強度23.6N/mm、4週強度35.0N/mmであり、生コンクリート9は、1週強度22.7N/mm、4週強度35.1N/mmであった。斯かる圧縮強度試験の結果より、生コンクリート1及び再生生コンクリート2から9の夫々の圧縮強度は、セメントに対する凝結遅延剤の配合量には依存しないで保たれているといえる。
【0052】
本例の再生生コンクリートによれば、セメント、細骨材、粗骨材及び水が練混されてなる生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入してなるために、例えば残存生コンクリートを再利用するための工数を減らすことができ、かつ、100%の再利用をすることが可能となり、而して、残存生コンクリートを原料として製造した生コンクリートを低廉にし得て、残存生コンクリートの活用促進及び産業廃棄物の抑制を図り得る。
【符号の説明】
【0053】
1 生コンクリート
2、3、4、5、6、7、8、9 再生生コンクリート
11、12、13、14、15、16、17、18、19、30 線
21、22、23、24、25、26、27、28、29 点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、細骨材、粗骨材及び水が練混されてなる生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入してなる再生生コンクリート。
【請求項2】
セメントに対する凝結遅延剤の配合量が0.2〜2.5重量%である請求項1に記載の再生生コンクリート。
【請求項3】
セメント、細骨材、粗骨材及び水を練混して生コンクリートを形成し、形成した生コンクリートのうちの残存した硬化前の残存生コンクリートに、リグニンスルフォン酸塩、グルコン酸塩、しょ糖、ポリオール高分子複合体、ケイ沸化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸、ポリヒドロキシルカルボン酸及びアミノカルボン酸のうちの少なくとも1種を含む凝結遅延剤を混入する再生生コンクリートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−1409(P2012−1409A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139996(P2010−139996)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(510145004)株式会社成正 (1)
【Fターム(参考)】