説明

再生装置、再生方法、配信装置、配信システム、再生プログラムおよび記録媒体

【課題】同期再生すべきコンテンツ群から構成される番組を逸早く再生可能な再生装置を実現する。
【解決手段】
再生装置100はコンテンツ群をN台の配信装置から取得するストリーミング制御部110とコンテンツ群を再生する再生部120とを備える。再生部120は、伝送遅延履歴テーブル155を参照することで各配信装置について該配信装置からの伝送時に発生した伝送遅延を読み取るとともに伝送遅延に応じた長さの期間を導出し、各期間のうちの最長の期間各コンテンツをバッファリングしてから上記コンテンツ群の再生を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配信データを構成するコンテンツ群を複数の伝送経路を通じて取得する再生装置および再生方法に関する。また、本発明は、配信データの少なくとも一部を配信する配信装置に関する。さらに、本発明は、上記再生装置を含む配信システム、コンピュータをそのような再生装置として機能させる再生プログラムおよびそのような再生プログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画や音声は放送網のみを通じて配信されていたが、ブロードバンドインターネット接続の普及により今日ではこれらがインターネットを通じて配信されるようになっている。
【0003】
また、最近では、テレビ番組が、地上デジタルIP再送信によりNGN(Next Generation Network)を通じて配信されるようになっている。
【0004】
配信装置が動画を配信してから再生装置が動画を再生するまでには伝送網での伝送遅延に応じたタイムラグが生じる。図15は、各網での伝送遅延の分布を表したグラフである。図15からわかるように伝送時に想定される伝送遅延の量は各網で異なる。すなわち、動画をどの網から受信するかによって、生じるタイムラグの大きさは通常異なることになる。
【0005】
したがって、同期再生されるべき複数の映像が異なる伝送経路を通じて配信される場合(例えば、2元中継番組を構成する一方の映像がある伝送経路を通じて配信され、他方の映像が別の伝送経路を通じて配信される場合)には、再生装置は、複数の映像を同期した状態で再生できるように各映像をバッファリングした上で再生する必要がある。
【0006】
非特許文献1は、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)の技術仕様が記載されているRFC文書である。RTSPをサポートしている受信装置は、非特許文献1に記載されているGET_PARAMETERメソッドを用いてジッタ値をサーバから取得することにより、ジッタ値に応じてバッファリング時間を決定することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.Schulzrinne、A.Rao、R.Lanphier、“Real Time Streaming Protocol(RTSP)”、[online]、1998年4月、[2011年7月20日検索]、インターネット<http://www.ietf.org/rfc/rfc2326.txt>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、同期再生されるべき複数の映像が異なる伝送経路を通じて配信される場合において、複数の映像を同期した状態で再生するための最適なバッファリング時間を即座に決定することは容易ではない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、番組(一般的には、配信データ)を構成する同期再生されるべきコンテンツ群を複数の伝送経路を通じて取得する場合において、番組の再生を逸早く開始することが可能な再生装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る再生装置は、上記課題を解決するために、複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する取得手段と、上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって、記憶媒体に配信装置毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照手段と、上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該配信装置に関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出手段と、上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中の構成用データを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生手段と、上記導出手段が導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間を上記所定の期間として設定する設定手段と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、本発明に係る再生装置は、再生手段が、最大遅延時間に応じた長さの時間だけ構成用データ群(例えば、コンテンツ群またはコンポーネント群)をバッファリングしてから番組の再生を開始するので、各構成用データ群を同期のとれた状態で再生でき、尚且つ、バッファリング時間はほぼ必要最低限の短さとなっている。また、再生手段は、再生装置の記憶媒体に履歴として記録されている伝送遅延を参照してバッファリング時間を決定するので、従来に比べて逸早くバッファリング時間を決定することができる。
【0012】
したがって、複数の伝送経路を通じて番組を構成するコンテンツ群が配信される配信システムにおいて、再生装置は、番組をコンテンツ間の同期が取れた状態で逸早く再生することができる。
【0013】
本発明に係る再生方法は、上記課題を解決するために、複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する、取得工程と、上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって、記憶媒体に配信装置毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照工程と、上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該配信装置に関する履歴として記録され、上記参照工程にて参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出工程と、上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中のコンテンツを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生工程と、上記導出工程にて導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間に応じた長さの期間を上記所定の期間として設定する設定工程と、を含んでいることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、本発明に係る再生方法は、本発明に係る再生装置と同様の作用効果を奏する。
【0015】
本発明に係る再生装置は、上記配信データの構成要素となり得る構成用データを上記構成用データ群の一部として上記取得手段に取得させるか否かを選択する選択手段をさらに備え、
上記選択手段は、当該構成用データを配信する配信装置について履歴として記憶されている上記遅延時間が所定の許容時間を越えない場合に当該構成用データを上記取得手段に取得させる、ことが望ましい。
【0016】
上記の構成によれば、上記再生装置は、所定の許容時間内に再生可能な構成用データだけを各配信装置から取得して再生する。したがって、上記再生データは、再生が所定の許容時間以上遅れることが許されない配信データを所定の許容時間内に再生することができる。
【0017】
なお、上記再生装置は、上記配信データを記録媒体に記録する記録手段をさらに備え、上記設定手段は、上記所定の許容時間を設定するように構成されており、上記設定手段は、上記記録手段が上記配信データを上記記録媒体に記録する場合には、上記記録媒体に記録しない場合に比べて上記所定の許容時間を長く設定する、ことが望ましい。
【0018】
また、本発明に係る再生装置は、上記選択手段が、上記配信データを構成すべき再生が必須の構成用データについては、上記所定の許容時間に関わらず、上記取得手段に当該構成用データを取得させることを選択する、ことが望ましい。
【0019】
本発明に係る再生装置は、上記配信データが階層データを所定の階層数だけ含むスケーラブルデータであり、上記選択手段は、上記再生手段が上記配信データの再生を開始した時点から所定の期間を経過した後には、さらに上記遅延時間が所定の許容時間を越えている配信装置から伝送される階層データを選択するように構成されており、上記再生手段は、上記所定の期間が経過するまでは、標準再生速度よりも低速で上記配信データを再生する、ことが望ましい。
【0020】
上記の構成によれば、上記所定の期間を、上記所定の期間が経過する時点ですべての階層データを同期が取れた状態で再生可能となるような期間に設定することにより、上記再生装置は、上記所定の許容時間に関わらず、上記所定の期間の経過後にすべての階層データを再生することができるというさらなる効果を奏する。
【0021】
本発明に係る再生装置は、上記参照手段が、各グループに上記複数の配信装置の少なくともいずれかが属し各配信装置がいずれかのグループに属するような複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって上記記憶媒体にグループ毎の履歴として記録されている遅延時間を参照するように構成されており、上記導出手段が、上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出するように構成されている、ことが望ましい。
【0022】
上記の構成によれば、上記再生装置は、1台以上の配信装置が属するグループ毎に記録されている伝送遅延を参照することで、再生を開始するまでのバッファリング期間である上記所定の期間を決定する。したがって、上記再生装置は、あるグループに属する配信装置から構成用データを取得したことがあれば、初めて構成用データを取得する配信装置であって当該グループに属する配信装置から構成用データを取得するときにも、適切なバッファリング期間を決定することができる。
【0023】
また、上記効果を奏する再生装置として、本発明に係る再生装置を、複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する取得手段と、各グループに上記複数の配信装置の少なくともいずれかが属し各配信装置がいずれかのグループに属するような複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって記憶媒体にグループ毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照手段と、上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出手段と、上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中の構成用データを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生手段と、上記導出手段が導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間を上記所定の期間として設定する設定手段と、を備えていることを特徴とする再生装置とすることもできる。
【0024】
なお、上記再生装置は、さらに、上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から構成用データを取得した時に発生した遅延時間を当該グループの履歴として上記記憶媒体に記憶する履歴記憶手段を備えている、ことが望ましい。
【0025】
本発明に係る再生装置は、構成用データを再生する上で許容される他の構成用データとの許容同期誤差および許容誤り率のうちの少なくともいずれかを示すメタ情報を上記再生装置の外部から受信する受信手段をさらに備え、上記複数のグループの各々について上記導出手段が導出するバッファリング期間は、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された最大の遅延時間を、上記メタ情報により示された、当該グループに属する配信装置から受信する構成用データに関する上記許容同期誤差および上記許容誤り率のうちの少なくともいずれかの大きさに応じた分だけ短くした期間である、ことが望ましい。
【0026】
上記構成用データに加えて、当該構成用データに関する許容同期誤差および許容誤り率のうちの少なくともいずれかを示すメタ情報を上記再生装置に送信することを特徴とする配信装置も本発明の範疇に含まれる。
【0027】
本発明に係る再生装置と複数の上記配信装置とを含む配信システムも本発明の範疇に含まれる。上記配信システムは、上記複数の配信装置が放送事業者によって管理されており、さらに、上記放送事業者が管理している通知装置であって、上記複数の配信装置の各々について当該配信装置のURLと当該配信装置が属するグループとを示すメタ情報を上記再生装置に通知する通知装置を含んでいてもよい。
【0028】
また、本発明に係る再生装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、コンピュータを上記再生装置の各手段として機能させることを特徴とするプログラム、および、そのようなプログラムを記録した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明に係る再生装置は、番組(一般的には、配信データ)を構成する同期して再生されるべきコンテンツ群を複数の伝送経路を通じて取得する場合において、番組の再生を逸早く開始することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る配信システムおよび配信システムに含まれる再生装置の構成を示した図である。
【図2】表示装置のスクリーンにおける各コンテンツの表示位置を模式的に例示した図である。
【図3】図1の再生装置が番組の再生を開始するまでの動作の一動作例を示すフローチャートである。
【図4】伝送遅延に関する分布曲線のグラフ上に、図1の再生装置が図3のフローチャートで示される動作を行う場合に設定するバッファリング許容時間を例示した図である。
【図5】伝送遅延に関する分布曲線のグラフ上に、図1の再生装置が図3、図6および図8のフローチャートで示される動作を行う場合に算出するバッファリング必要時間を例示した図である。
【図6】図1の再生装置が番組の再生を開始するまでの動作の一動作例を示すフローチャートである。
【図7】伝送遅延に関する分布曲線のグラフ上に、図1の再生装置が図6のフローチャートで示される動作を行う場合に設定するバッファリング許容時間を例示した図である。
【図8】図1の再生装置がマルチアングル再生可能な映像コンテンツを再生する動作の一動作例を示すフローチャートである。
【図9】図1の再生装置が図8のフローチャートで示される動作を行う場合における、後述する各パッケージの再生開始タイミングおよび再生速度を模式的に示した図である。
【図10】本発明の別の一実施形態に係る配信システムおよび配信システムに含まれる再生装置の構成を示した図である。
【図11】図10の再生装置が参照する各記述子の対応関係を模式的に例示した図である。
【図12】コンポーネント記述子の内容およびコンテンツ記述子の内容をその一部を省略する形で例示した図である。(a)は、コンポーネント記述子の内容を例示しており、(b)はコンテンツ記述子の内容を例示している。
【図13】パッケージ記述子の内容について、その一部を省略する形で(a)(b)の2例を示した図である。
【図14】パッケージ記述子の内容の一部に含まれるNW識別子がとり得る値の範囲を(a)に示し、NW識別子(または放送局とNW識別子との組み合わせ)毎に生成される伝送遅延の履歴情報を(b)に模式的に例示した図である。
【図15】伝送網の種別毎に、伝送遅延に関する分布曲線のグラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔実施形態1〕
本実施形態に係る配信システムについて図1〜図9を参照しながら説明する。
【0032】
本発明の一実施形態に係る配信システムは、3台の配信装置を利用して複数のコンテンツ〔構成用データ〕から構成される番組を再生装置に配信する配信システムである。3台の配信装置は放送網を介してコンテンツを配信する配信装置と、インターネット網を介してコンテンツを配信する配信装置と、NGN網を介してコンテンツを配信する配信装置と、から構成される。
【0033】
番組は、再生必須のコンテンツと、再生が任意であるコンテンツによって構成され、少なくとも再生必須のコンテンツが1つ含まれる。
【0034】
「複数のコンテンツから構成される番組」の一例としては、再生必須のメインの映像コンテンツと、再生が任意であるサブの映像コンテンツおよびBMLコンテンツと、から構成される2元中継番組が挙げられる。図2は、表示装置のスクリーンに表示される、2元中継番組の画面構成を示している。図2において、「コンテンツ1」はメインの映像コンテンツを示しており、「コンテンツ2」はサブの映像コンテンツを示しており、「コンテンツ3」はBMLコンテンツを示している。
【0035】
コンテンツは、映像、音声、字幕、ソフトウェア、広告等の1つ以上のコンポーネント〔構成用データ〕によって構成される。また、映像をスケーラブル符号化することで、各レイヤ(基本レイヤ、拡張レイヤ1、拡張レイヤ2、・・)を個別のコンポーネントとすることも可能である。音声についても、主音声および副音声を個別のコンポーネントとすることが可能である。なお、再生必須のコンテンツは、再生必須コンポーネントを少なくとも1つ含み、再生が任意であるコンテンツには再生必須のコンポーネントは含まれないものとする。また、再生が任意のコンポーネントは、再生必須のコンテンツ及び再生が任意のコンテンツのいずれに含まれていても構わない。図2の例では、コンテンツ1が主音声a11(再生任意)、副音声a12(再生任意)、映像v1(再生必須)の各コンポーネントを含んでおり、コンテンツ2が主音声a21(再生任意)、副音声a22(再生任意)、映像(再生任意)の各コンポーネントを含んでいる。また、図2の例では、BMLコンテンツ(コンテンツ3)は、ただ1つのコンポーネントであるBMLデータd1(再生任意)から構成されている。
【0036】
本実施形態に係る配信システムにおいて、再生装置は、番組の再生指示を受け付けると、番組を構成する再生必須なコンテンツの再生を開始するようになっている。
【0037】
また、再生装置は、番組を構成する再生が任意なコンテンツについても、当該コンテンツを再生すべき旨の設定がなされていれば、当該コンテンツの再生を開始する。
【0038】
さらに、再生装置は、再生すべきコンテンツを構成する全コンポーネントを再生するようにも、ユーザが選択した一部のコンポーネントだけを再生するようにも設定可能になっている。また、再生が必須なコンテンツについては、コンテンツを構成する全コンポーネントのうち少なくとも一部のコンポーネントが、再生が必須なコンポーネントとして定められており、再生装置は、ユーザによる選択の有無に関わらず、当該コンポーネントを再生するようになっている。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態に係る配信システムの構成および配信システムに含まれる再生装置の構成を示した図である。
【0040】
図1に示すように、本実施形態に係る配信システムは、再生装置100、表示装置200、3台の配信装置300a〜300cを含んでいる。
【0041】
また、図1に示すように、本実施形態に係る配信システムでは、再生装置100が、再生対象の番組を構成するコンテンツ群の中から、再生対象のコンポーネント群を決定し、当該コンポーネント群の各コンポーネントを配信する配信装置300a〜300cから取得することにより、再生対象を得るようになっている。なお、各配信装置300a〜300cは、各コンポーネントを個別に配信するのではなく、複数のコンポーネントを多重化したパッケージと呼ばれる単位で配信する。したがって、再生装置100は、パッケージ毎に、当該パッケージに対応する配信装置から、上記コンポーネント群のうち再生対象コンポーネントの含まれるパッケージを取得することで再生を行う。なお、各パッケージに関する情報(例えば、パッケージに含まれる各コンポーネントの構成、配信装置にアクセスするためのアクセス先情報)は、例えば、番組の再生指示を受け付けた時にアクセス先情報が既知である特定の配信装置から受信するようになっていてもよい。
【0042】
以下、再生装置100、表示装置200、配信装置300a〜300cについて説明する。
(配信装置300a)
配信装置300aは、再生装置100が再生対象コンポーネントを受信できるように、放送網を介して、パッケージ化されたコンポーネントを配信する配信装置である。
(配信装置300b)
配信装置300bは、再生装置100が再生対象コンポーネントを受信できるように、インターネット網を介してパッケージ化されたコンポーネントを配信する配信装置である。
(配信装置300c)
配信装置300cは、再生装置100が再生対象コンポーネントを受信できるように、NGN網を介してパッケージ化されたコンポーネントを配信する配信装置である。
(再生装置100)
図1に示すように、再生装置100は、ストリーミング制御部110、再生部120、受信バッファ130、HDD(ハードディスクドライブ)140、不揮発性メモリ150、ネットワークI/F160、およびチューナ部170を備えている。
(ストリーミング制御部110)
ストリーミング制御部110は、パッケージに関する情報に基づいて、再生対象コンポーネントを含むパッケージを配信装置300a〜300cのいずれかの配信装置から取得するよう、ネットワークI/F160およびチューナ部170を制御し、受信した各パッケージに含まれるコンポーネントを受信バッファ130にバッファリングする。
【0043】
また、ストリーミング制御部110は、再生対象番組の再生が開始されると、配信装置300a〜300cの各配信装置について当該配信装置からパッケージを受信した受信時刻とパッケージに付与されたタイムスタンプ(配信時刻)との差である伝送遅延(以下、「伝送遅延」をこの意味で用いる。)を、不揮発性メモリ150内の伝送遅延履歴テーブル155に記録する。なお、再生装置100と配信装置(配信装置300a〜300cの各配信装置)との間のネットワークにおけるパッケージの伝送単位(例えばIPパケット或いはTSパケット)毎に全てのパケットについて伝送遅延を記録しても良いし、全てのパケットのうち一定期間毎にその時点で受信したパケットについてのみ、伝送遅延を記録する構成であっても構わない。
(再生部120)
再生部120は、伝送遅延履歴テーブル155を参照して、各コンポーネントを再生するまでのバッファリング期間を求める。再生部120は、バッファリングが開始されてから上記期間が経過した後、受信バッファ130にバッファリングされている各コンポーネントのデータを順次再生する。再生により生成される映像信号および音声信号は、図示しないHDMIケーブル等を介して表示装置200に供給される。
(受信バッファ130)
受信バッファ130は、配信装置から受信した各コンポーネントのデータがバッファリングされるバッファである。
(HDD140)
HDD140は、録画を行う場合に、各コンポーネントの記録先となる記録媒体である。
(不揮発性メモリ150)
不揮発性メモリ150は、伝送遅延履歴テーブル155を保持するフラッシュメモリである。
(ネットワークI/F160)
ネットワークI/F160は、配信装置300b、300cからパッケージを受信するためのネットワークI/Fである。
(チューナ部170)
チューナ部170は、配信装置300aが配信したパッケージが搬送される放送波を受信するためのチューナである。
(表示装置200)
表示装置200は、再生装置100から供給された映像信号が表す映像をスクリーンに表示し、再生装置100から供給された音声信号が表す音声をスピーカから出力する。
(再生装置100の動作例1)
次に、本実施形態に係る再生装置の1動作例について図3〜図5を参照しながら以下に説明する。図3は、再生対象番組の再生を開始するまでの再生装置100の動作を示すフローチャートである。図4は、配信装置からパッケージを取得する際に発生した伝送遅延に関する分布曲線のグラフを配信装置ごとに示した座標平面上に、再生装置100が上記動作を行う場合に設定するバッファリング許容時間を例示した図である。また、図5は、配信装置からパッケージを取得する際に発生した伝送遅延に関する分布曲線のグラフを示した座標平面上に、再生装置100が対応するパッケージについて設定するバッファリング必要時間を例示した図である。
【0044】
なお、本実施形態では、再生必須のコンポーネントを含むパッケージは、一般に最も伝送遅延の小さい放送網を介して配信装置300aから配信されるものとする。例えば、再生対象番組が、1つの再生必須映像コンテンツによって構成され、当該映像コンテンツは、スケーラブル符号化にて、HD映像である基本レイヤ映像コンポーネント(再生必須)と4K映像である拡張レイヤ映像コンポーネント(再生任意)によって構成され、基本レイヤ映像コンポーネント単体でパッケージ1、拡張レイヤ映像コンポーネント単体でパッケージ2をそれぞれ構成する場合、パッケージ1は配信装置300aから、パッケージ2は配信装置300b、300cのいずれかから配信されるものとする。
【0045】
図3に示すように、再生装置100は、再生条件(ライブ再生であるか録画再生であるか)に応じて予め定められているバッファリング許容時間T(所定の許容時間)を設定する(S1)。例えば、図4に示すように、再生部120は、ライブ再生の場合にTの値としてT11を設定し、録画再生の場合にTの値としてT12を設定する。
【0046】
ステップS1の後、再生部120は、再生対象コンポーネント群の少なくとも一部を含む各パッケージのバッファリング必要時間Dについて、D<Tを満たすか否かを判定する(S2)。具体的には、再生部120は、各パッケージのバッファリング必要時間Dを、当該パッケージに対応する配信装置からパッケージを過去に取得する際に発生した遅延時間に基づいて決定する。バッファリング必要時間Dは、伝送遅延履歴テーブル155の対応レコードに記録されている最大遅延時間を用いてもよいが、インターネットのように伝送遅延の揺らぎが大きいネットワークの場合は、バッファリング必要時間が大きくなる問題がある。一般に映像コンテンツの場合、伝送エラー等の要因で一部データロスが生じても再生に対する影響は極僅かである。例えば、当該コンテンツの許容誤り率が5%の場合、所定の期間に5%未満のデータロスが発生しても、当該コンテンツの再生品質を所定の再生品質以上に維持できる。この場合、例えば、図5に示す通り、伝送遅延履歴テーブル155の対応レコード記録されている遅延時間の中から大きいほうから5%のエントリに相当する遅延時間をバッファリング必要時間Dとして設定すればよい。このように設定すれば、再生装置100は、当該パッケージを再生する際、バッファリング必要時間Dを基に設定されたバッファリング期間にて95%のデータを再生開始前までに受信完了でき、未受信の残り5%の受信完了を待たず破棄して再生を行っても所定の再生品質での再生が維持されることが期待できる。あるいは、再生部120は、伝送遅延履歴テーブル155の対応レコードに十分な個数記録されている遅延時間の中から無作為に100個の遅延時間を選択し、大きいほうから5番目の遅延時間をDとして設定しても同様の効果が期待できる。そして、再生部120は、このようにして設定した各Dについて、D<Tを満たすか判定する。
【0047】
ステップS2の後、再生部120は、再生条件がライブ再生でない場合(S3においてNO)、各コンテンツの録画処理を開始し、録画の完了後に再生を開始して処理を終了する。一方、再生条件がライブ再生である場合(S3においてYES)、S4の処理に進む。
【0048】
ステップS4において、再生部120は、各パッケージのバッファリング必要時間Dのうち、D<Tを満たす最大のDをバッファリング時間Tb(所定の期間)の値として設定する。再生モードがライブ再生である場合には、D<T(=T11)を満たすパッケージは配信装置300aに対応するパッケージ1のみであるので、再生部120は、パッケージ1のDをバッファリング時間Tbとして設定する。
【0049】
ステップS4の後、ストリーミング制御部110は、各配信装置から再生すべきコンポーネントを含むパッケージを取得して順次受信バッファ130にバッファリングし、バッファリングの開始からTbだけ経過した後、バッファリングされている各コンポーネントの再生を開始し(S5)、処理を終了する。
【0050】
以上、再生装置100の動作例1について説明したが、ステップS2において設定する各パッケージのバッファリング必要時間Dは、再生装置100が当該パッケージに含まれるコンポーネントを再生する場合に当該パッケージのバッファリング必要時間Dだけバッファリングすれば再生を開始できるような値である。
【0051】
再生装置100が再生を開始する前のバッファリング時間TbはD<Tを満たす最大のDと等しい値であるので、再生すべきコンポーネント群(コンテンツ群)を同期が取れた状態で再生するために必要な最小値に略近いと言える。また、再生装置100は、伝送遅延履歴テーブル155を参照することでバッファリング時間Tbを決定するので、逸早くバッファリング時間Tbを決定できる。
【0052】
したがって、再生装置100は、各コンポーネント(コンテンツ)間で同期のとれた再生を最小限のバッファリング時間で逸早く開始することができる。
(再生装置100の動作例2)
なお、番組の構成によっては、複数のコンテンツ或いはコンポーネントがユーザ操作により、排他的に再生される場合がある。例えば、複数の映像コンテンツによってマルチアングルを切り替えて再生可能な番組構成や、複数の言語に対応した複数の音声コンポーネントあるいは字幕コンポーネントを切り替えて再生可能な番組構成がこれにあたる。
【0053】
このような場合の動作例について図6、図7を参照しながら以下に説明する。図6は、番組の再生を開始するまでの再生装置100の動作を示すフローチャートである。図7は、配信装置からパッケージを取得する際に発生した伝送遅延に関する分布曲線のグラフを配信装置ごとに示した座標平面上に、再生装置100が上記動作を行う場合に設定するバッファリング許容時間を例示した図である。
【0054】
なお、本動作例では、配信時点で、番組を構成するコンテンツあるいはコンポーネントに明確な再生必須、再生任意の区別がなく、再生時のユーザ選択によって各コンテンツあるいはコンポーネントの再生必須、再生任意の種別が決定される。以下の説明では、視点1〜3の3種類の映像コンテンツからなるマルチアングル構成の番組が、コンテンツ毎にパッケージ1〜3で構成され、それぞれ配信装置300a〜300cによって配信される場合を例に上げて説明する。
【0055】
図6に示すように、再生部120は、動作例1のS1と同様に、再生条件(ライブ再生であるか録画再生であるか)に応じて予め定められているバッファリング許容時間T(所定の許容時間)を設定する(S21)。再生部120は、例えば、バッファリング許容時間Tの値として図7に示されているT21を設定する。
【0056】
ステップS21の後、再生部120は、再生必須となったコンポーネント群の少なくとも一部を含む各パッケージのバッファリング必要時間Dのうち、最大のDをDmaxの値として設定する(S22)。なお、図7の例では、配信サーバ300cから配信されるパッケージ2(視点2の映像コンテンツ)をユーザが選択した場合のDmaxを示している。
【0057】
ステップS22の後、再生部120は、Dmax>Tを満たすか否かを判定する(S23)。Dmax>Tを満たすと判定した場合(S23でYES)、Tの値としてDmaxを設定し(S24)、S25に進む。上記の例の場合、バッファリング許容時間T21<Dmaxであるので、Tの値としてT22(=Dmax)を設定する。一方、Dmax>Tを満たさないと判定した場合(S23でYES)、S25に進む。
【0058】
なお、S25〜S28の処理は、S2〜S5の処理と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
以上のように、動作例2では、再生装置100は、予め定められているバッファリング許容時間Tが小さい場合であっても、バッファリング許容時間Tを大きい値に更新することで、再生必須な各コンポーネントの再生を開始できる。すなわち、再生装置100は、バッファリング許容時間Tの大きさに関わらず、必ず、ユーザが選択した視点2の映像コンテンツを最小限のバッファリング遅延で再生することが可能である。
(再生装置100の動作例3)
さらに、本実施形態に係る再生装置の別の動作例について図4、図8、図9を参照しながら以下に説明する。図8は、映像コンテンツを再生する再生装置100の動作を示すフローチャートである。図9は、配信装置が、D<Tを満たすパッケージおよびD<Tを満たさないパッケージについて、各パッケージに含まれるコンポーネントのバッファリングを開始してからの再生装置100の再生態様を模式的に示した図である。
【0060】
本動作例は、バッファリング許容時間Tの大きさに関わらず、番組を構成する全パッケージ(すなわち、全コンテンツ、全コンポーネント)を配信装置から取得して再生する動作例である。このような動作が行われるのは、例えば、対象番組が、スケーラブル符号化された映像コンテンツで構成され、基本レイヤのHD映像コンポーネントを含むパッケージ1を配信装置300aから放送網を介して取得し、拡張レイヤの4K映像コンポーネントを含むパッケージ2を配信装置300bからNGN網を介して取得する場合が挙げられる。
【0061】
図8に示すように、再生部120は、動作例1のS1と同様に、再生条件(ライブ再生であるか録画再生であるか)に応じて予め定められているバッファリング許容時間T(所定の許容時間)を設定する(S41)。再生部120は、例えば、バッファリング許容時間Tの値として図4に示されているT11を設定する。
【0062】
ステップS41の後、再生部120は、再生すべき各パッケージについて当該パッケージのバッファリング必要時間DがD<Tを満たすか否かを判定する(S42)。上記の例では、再生部120は、パッケージ1のDについてはD<T(=T11)を満たすと判定し、パッケージ2のDについてはD<Tを満たさないと判定する。
【0063】
ステップS42の後、再生部120は、再生条件がライブ再生でない場合(S42においてNO)、各コンテンツの録画処理を開始し、録画の完了後に再生を開始して処理を終了する。一方、再生条件がライブ再生である場合(S42においてYES)、S44の処理に進む。
【0064】
ステップS44において、再生部120は、ステップS4と同様に、各パッケージのバッファリング必要時間Dのうち、D<Tを満たす最大のDをバッファリング時間Tbの値として設定する。上記の例では、バッファリング時間Tbの値としてパッケージ1のDが設定される。
【0065】
ステップS44の後、再生部120は、D<Tを満たすパッケージの初期再生速度Sを算出する(S45)。具体的には、再生部120は、初期再生速度S=1−(Dmax−Tb)÷Dcの演算を行って、Sを算出する。なお、この式において、DcはD<Tを満たすパッケージに含まれる各コンポーネントをS(<1)倍速で再生する期間であり、再生装置100において予め設定されている。また、Dmaxは、再生すべき各パッケージのバッファリング必要時間Dのうち最も大きいDと等しい値である。
【0066】
ステップS45の後、ストリーミング制御部110は、配信装置300a、300bから再生すべき各コンポーネントを取得して順次受信バッファ130にバッファリングする。そして、再生部120は、バッファリングの開始からTbだけ経過した後、バッファリングしている各コンポーネントのうちのD<Tを満たすパッケージに含まれる各コンポーネントについて、S倍速での再生を開始する(S46)。上記の例では、再生部120は、バッファリングの開始からTbだけ経過した後、パッケージ1に含まれるHD映像のS倍速での再生を開始する。
【0067】
再生部120は、ステップS46のS倍速での再生が開始した時点からDcだけ経過した時点でその他のコンポーネント(D<Tを満たさないパッケージに含まれる各コンポーネント)の通常再生を開始する。また、再生部120は、この時点で、S倍速で再生していた各コンポーネントについても通常再生に切り替える(S47)。上記の例では、再生部120は、バッファリングの開始からTb+Dcだけ経過した後、パッケージ1に含まれるHD映像およびパッケージ2に含まれる4K映像の1倍速での再生を開始する。
【0068】
以上、再生装置100の動作例3について説明したが、動作例3に従って再生装置100が番組を再生する場合における、再生装置の再生態様を示した図が図9である。
【0069】
図9に示したように、再生装置100は、バッファリングを開始してからDmaxが経過した時点で、D<Tを満たさないパッケージの各コンポーネントの先頭部分を再生可能な状態になっている。ただし、再生装置100は、この時点で、D<Tを満たすパッケージについては各コンポーネントの先頭からS×(Dmax―Tb)の部分を再生しているため、D<Tを満たさないパッケージの再生をこの時点で開始する場合、D<Tを満たすパッケージと同期が取れていない状態で再生してしまうことになる。
【0070】
そこで、動作例3では、再生装置100は、バッファリングを開始してから(Tb+Dc)が経過した時点で全パッケージの再生を開始するようになっている。図9に示したように、再生装置100は、当該時点で、D<Tを満たすパッケージについて各コンポーネントの先頭からS×Dc=Tb+Dc−Dmaxの部分を再生しているが、D<Tを満たさないパッケージについても各コンポーネントの先頭からTb+Dc−Dmaxの部分を再生可能になっている。したがって、バッファリングを開始してから(Tb+Dc)が経過した時点で、D<Tを満たさないパッケージについては各コンポーネントの先頭からTb+Dc−Dmaxの部分から再生を開始し、D<Tを満たすパッケージについてはS倍速再生から通常再生(1倍速再生)に再生速度を変更することにより、その後、同期が取れた状態で全パッケージを再生することができる。
【0071】
以上のように、本動作例では、再生装置100は、バッファリング許容時間T内のバッファリングで再生可能な各コンポーネント(コンテンツ)については優先的に同期のとれた状態で再生を開始し、その後、番組を構成する全コンポーネント(コンテンツ)を同期のとれた状態で再生することができる。
【0072】
(再生装置100の利点)
以上のように、再生装置100のストリーミング制御部110は、番組を構成する同期して再生すべきコンポーネント群を、その取得先となる各配信装置から一部のコンポーネントを取得することによって、取得している。
【0073】
また、再生装置100の再生部120は、各配信装置について、再生装置100に装着されたメモリ150の伝送遅延履歴テーブル155に記録されている、配信装置からコンポーネントを取得する際に発生した伝送遅延を参照する。
【0074】
再生部120は、過去に各配信装置から配信されたパッケージの伝送遅延の実績値からストリーミング再生に最低限必要な最小バッファリング時間を導出する。
【0075】
そして、再生部120は、バッファリング時間だけコンポーネント群をバッファリングしてから、番組の再生を開始する。
【0076】
再生部120は、ストリーミング再生に必要最低限な長さの時間だけコンポーネント群をバッファリングしてから番組の再生を開始するので、各コンポーネントを同期のとれた状態で再生できる。また、再生部120は、再生装置100に装着されたメモリ150の伝送遅延履歴テーブル155を参照してバッファリング時間を決定するので、従来に比べて逸早くバッファリング時間を決定することができる。
【0077】
したがって、本実施形態のような複数の伝送経路を通じて番組を構成するコンテンツ群が配信される配信システムにおいて、再生装置100は、番組をコンテンツ間の同期が取れた状態で逸早く再生することができる。
【0078】
〔実施形態2〕
本発明の別の一実施形態に係る配信システムについて図10〜図14を参照しながら以下に説明する。図10は、本実施形態に係る配信システムの構成および配信システムに含まれる再生装置の構成を示した図である。
【0079】
実施形態1の配信システムとは異なり、本実施形態に係る配信システムには、配信装置が3台ではなく多数が含まれている。本実施形態に係る配信システムは、具体的には、図10に示すように、放送網を介してパッケージを配信する配信装置300a’と、インターネット網を介してパッケージを配信する複数の配信装置300bと、NGN網を介してパッケージを配信する複数の配信装置300cとを含んでいるコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)配信システムである。
【0080】
また、実施形態1の配信システムとは異なり、本実施形態に係る配信システムでは、再生装置100が、配信装置からパッケージを取得する際に発生した伝送遅延を配信装置ごとではなくグループ毎に記録する。本実施形態では、各配信装置は、1台の配信装置300a’のグループ、複数の配信装置300bからなるグループ、および複数の配信装置300cからなるグループのうちのいずれかのグループに属している。なお、本実施形態では、上記グループを識別する識別子として後に図14を参照して説明するネットワーク識別子(NW識別子)を用いている。
【0081】
本実施形態に係る再生装置100’の構成および配信装置300a’について図10を参照して説明する。なお、配信装置300b、配信装置300c、表示装置200については実施形態1ですでに説明したので、ここでは説明を省略する。
【0082】
図10に示すように、再生装置100’は、ストリーミング制御部110’、再生部120’、受信バッファ130、HDD(ハードディスクドライブ)140、不揮発性メモリ150、ネットワークI/F160、およびチューナ部170を備えている。
【0083】
以下では、ストリーミング制御部110’、再生部120’、不揮発性メモリ150’について説明する。なお、受信バッファ130、HDD(ハードディスクドライブ)140、ネットワークI/F160、およびチューナ部170については実施形態1と同じ構成であるのでその説明を省略する。
(ストリーミング制御部110’)
ストリーミング制御部110’は、番組の再生指示を受け付けると、メモリ150’にアクセスして、当該番組を再生するために必要なメタ情報(プログラム記述子、コンテンツ記述子、コンポーネント記述子およびパッケージ記述子)を参照する。なお、再生装置100’は、チューナ部170が放送波を受信している間、様々な番組に関する上記メタ情報を取得し、メモリ150’に格納しておくものとする。
【0084】
そして、ストリーミング制御部110’は、参照したメタ情報に基づいて、再生すべきコンテンツ群を構成する各コンポーネントを含むパッケージについて、当該コンポーネントを多数の配信装置のうちのいずれかの配信装置から取得するよう、ネットワークI/F160およびチューナ部170を制御し、受信した各パッケージに含まれる再生対象コンポーネントのデータを受信バッファ130にバッファリングする。
【0085】
また、ストリーミング制御部110’は、再生対象番組の受信中、各配信装置について当該配信装置からパッケージを取得する際に発生した伝送遅延を不揮発性メモリ150’内の伝送遅延履歴テーブル155’に記録する。具体的には、ストリーミング制御部110’は、配信装置が属するグループごとに伝送遅延履歴テーブル155’内の異なるレコードに伝送遅延を記録する。なお、再生装置100’と配信装置(配信装置300a〜300cの各配信装置)との間のネットワークにおけるパッケージの伝送単位(例えばIPパケット或いはTSパケット)毎に全てのパケットについて伝送遅延を記録しても良いし、全てのパケットのうち一定期間毎にその時点で受信したパケットについてのみ、伝送遅延を記録する構成であっても構わない。
(再生部120’)
再生部120’は、伝送遅延履歴テーブル155’を参照して、再生対象番組を再生する前のバッファリング期間を求める。再生部120’は、バッファリングが開始されてから上記期間が経過した後、受信バッファ130にバッファリングされている各コンポーネントのデータを順次再生する。再生により生成される映像信号および音声信号は、図示しないHDMIケーブル等を介して表示装置200に供給される。
(不揮発性メモリ150’)
不揮発性メモリ150’は、伝送遅延履歴テーブル155’を保持するフラッシュメモリである。
(配信装置300a’)
配信装置300a’は、再生装置100が再生対象コンポーネントを受信できるように、放送網を介してパッケージ化されたコンポーネントを放送波に載せて配信する配信装置である。また、配信装置300a’は、前述した各番組のメタ情報を放送波に載せて配信している。
【0086】
(メタ情報について)
再生装置100’が番組を再生するために参照するメタ情報の詳細について、図11〜図14を参照しながら以下に説明する。
【0087】
図11は、メタ情報を構成する各種パッケージ群の一具体例を示した図である。
【0088】
図11に示すように、メタ情報は、1つのプログラム記述子と、1つ以上のコンテンツ記述子と、1つ以上のコンポーネント記述子と、1つ以上のパッケージ記述子とから構成される。
【0089】
プログラム記述子は、番組がどのようなコンテンツから構成されているかを示す記述子である。図11の例では、プログラム記述子が、コンテンツ1〜コンテンツ3の3つのコンテンツから構成されていることを示している。また、プログラム記述子には、各コンテンツについて再生が必須なコンテンツであるか再生が任意のコンテンツであるかを示す情報を含めることもできる。
【0090】
コンテンツ記述子は、コンテンツがどのようなコンポーネントから構成されているかを示す記述子である。また、コンテンツ記述子には、各コンポーネントについて再生が必須なコンポーネントであるか再生が任意のコンポーネントであるかを示す情報を含めることもできる。図11の例では、コンテンツ2のコンテンツ記述子は、コンポーネント2およびコンポーネント3の2つのコンポーネントから構成されていることを示している。コンテンツ記述子の具体例を図12(b)に示している。
【0091】
図12(b)に示すように、コンテンツ記述子は、許容同期誤差、許容誤り率、コンテンツに含まれるコンポーネントの個数、コンテンツに含まれるコンポーネントの識別子を含んでいる。「許容誤り率e」はコンテンツ毎に放送事業者が設定した対象コンテンツの許容誤り率である。なお、実施形態1の配信システムにおいては、コンテンツの種類に区別なく、再生装置が定めた許容誤り率に基づき、バッファリング必要時間Dを決定したが、本実施形態の配信システムでは、放送事業者が設定したコンテンツ毎の許容誤り率に基づきバッファリング必要時間Dを決定する。従って、放送事業者側で、BMLコンテンツのようにデータロスが致命的な再生品質の低下を生じさせるコンテンツに対しては許容誤り率eを小さくし、映像コンテンツのように比較的多くのデータロスが生じても一定の再生品質を維持することが容易なコンテンツに対しては許容誤り率eを大きく設定することで、再生装置は、より適切なバッファリング必要時間Dを導出することが可能である。
【0092】
また、「許容同期誤差」は、再生対象の番組を構成する他のコンテンツと同時に対象コンテンツを再生する際に許容される最大の同期誤差(基準時刻に対する対象コンテンツの最大の再生遅延)を示している。例えば、図12(b)の例では、対象コンテンツを再生する際、基準時刻に対する対象コンテンツの再生遅延が100msecまで許容されることを示している。例えば、BMLコンテンツは映像コンテンツと完全に同期されている必要はないため、BMLコンテンツの許容同期誤差は比較的大きく設定することができる。
【0093】
コンポーネント記述子は、図12(a)に示すように、許容同期誤差、許容誤り率、コーデックを含んでいる。「許容誤り率e」は、対象コンポーネントの許容誤り率を示し、コンテンツを構成するコンポーネント毎に異なる許容誤り率を設定する場合に記述される。
また、「許容同期誤差」は、再生対象の番組を構成する他のコンテンツおよび他のコンポーネントと同時に対象コンポーネントを再生する際に許容される最大の同期誤差を示しており、コンテンツを構成するコンポーネント毎に異なる許容同期誤差を設定する場合に記述される。「コーデック」は、コンポーネントが映像または音声である場合における映像コーデックまたは音声コーデックを示している。
【0094】
パッケージ記述子は、パッケージがどのようなコンポーネントから構成されているかを示す記述子である。パッケージ記述子の具体例を図13(a)および図13(b)に示している。
【0095】
図13(a)および図13(b)に示すように、パッケージ記述子は、パッケージに含まれるコンポーネントの個数、パッケージに含まれるコンポーネントの識別子を含んでいる。また、パッケージ記述子は、各コンポーネントが配信される配信期間と当該配信期間における各コンポーネントを取得するためのアクセス先情報(URL)とNW識別子とが関連づけられた1群の情報を1群以上含んでいる。
【0096】
以下では、NW識別子について図14(a)および図14(b)を参照して説明する。
【0097】
図14(a)は、NW識別子がとり得る値を示している。図14(a)からわかるように、NW識別子は0〜7までの8つの値をとり得る。NW識別子は、複数の放送局(放送事業者)で共用される配信装置に対して付与するNW識別子と各放送局で個別に使用される配信装置に対して付与するNW識別子に分類され、以下、前者の識別子をGlobal Classの識別子と称し、後者の識別子をLocal Classの識別子と称する。本実施形態では0〜3までの4つの識別子をGlobal Classの識別子とし、4〜7までの4つの識別子をLocal Classの識別子としている。
【0098】
図14(b)は、ストリーミング制御部110’がパッケージを取得する際に更新し、再生部120’がバッファリング必要時間Dを決定するために参照する伝送遅延履歴テーブル155’の内容の一具体例を示している。
【0099】
図14(b)に示すように、伝送遅延履歴テーブル155’は、Global Classの識別子についてはNW識別子ごとに過去に発生した伝送遅延を保持し、Local Classの識別子についてはNW識別子と放送局との組み合わせごとに、過去に発生した伝送遅延を保持している。
【0100】
以上、再生装置100’が番組を再生するために参照するメタ情報の詳細について説明したが、番組の再生指示を受け付けてから再生装置100’が番組の再生を開始するまでの動作について以下に説明する。
【0101】
最初に、ストリーミング制御部110’は、プログラム記述子およびコンテンツ記述子に基づいて再生が必須なコンテンツおよびコンポーネントを選択する。加えて、ユーザによる再生指示の内容に基づいて、再生が任意なコンテンツおよびコンポーネントから、再生すべきコンポーネントを決定する。
【0102】
次に、ストリーミング制御部110’は、各パッケージ記述子を参照することにより、決定された各コンポーネントについて当該コンポーネントがどのパッケージに含まれているかを認識する。
【0103】
そして、ストリーミング制御部110’は、再生すべき1以上のコンポーネントの少なくともいずれかを含む各パッケージについて、当該パッケージに関するパッケージ記述子に記載されているURLを参照し、当該パッケージを取得する。例えば、ストリーミング制御部110’は、パッケージ記述子が図13(a)に示されるパッケージ記述子であり、且つ、現在時刻が配信期間1の期間内にある場合には、URLがrtsp://exampl1.com/program1/package1/で表される配信装置にアクセスすることでパッケージを取得する。
【0104】
ストリーミング制御部110’は、パッケージを受信した受信時刻とパッケージに付与されたタイムスタンプ(配信時刻)との差を伝送遅延として伝送遅延履歴テーブル155’に記録する。具体的には、ストリーミング制御部110’は、パッケージを取得するために参照したURLと関連づけられているNW識別子を参照し、伝送遅延履歴テーブル155’における参照したNW識別子に対応するレコードに伝送遅延として記録する。
【0105】
一方、再生部120’は、取得すべき各パッケージについて、当該パッケージのパッケージ記述子に記載されているNW識別子を参照するとともに伝送遅延履歴テーブル155’における参照したNW識別子に対応するレコードの過去に記録された伝送遅延を参照し、各パッケージに含まれるコンポーネントのバッファリング必要時間Dを決定する。
【0106】
具体的には、再生部120’は、パッケージに含まれるコンポーネントのバッファリング必要時間を決定するために、当該パッケージに含まれる各コンポーネントのコンポーネント記述子に記載されている許容同期誤差および許容誤り率と、当該パッケージに含まれる少なくともいずれかのコンポーネントを含むような各コンテンツのコンテンツ記述子に記載されている許容同期誤差および許容誤り率と、を参照する。図11の例で言えば、再生部120’は、パッケージ4に含まれるコンポーネント4のバッファリング必要時間Dを決定する際に、コンポーネント4のコンポーネント記述子に許容誤り率および許容同期誤差の記述が存在すれば、その許容誤り率および許容同期誤差を、バッファリング必要時間Dを決定するために使用する値として選択する。一方、許容誤り率および許容同期誤差の記述がコンポーネント4のコンポーネント記述子に存在しない場合には、再生部120’は、コンテンツ3のコンテンツ記述子に記述された許容誤り率および許容同期誤差を、バッファリング必要時間Dを決定するために使用する値として選択する。
【0107】
さらに、再生部120’は、選択した許容誤り率eおよび許容同期誤差Tdに応じたバッファリング必要時間Dを決定する。
【0108】
例えば、再生部120’は、再生装置100の再生部120と同様、パッケージを再生する際、許容誤り率eを基に、伝送遅延履歴テーブル155’の対応レコードに記録されている遅延時間の中から、大きいほうからe%のエントリに相当する遅延時間をバッファリング必要時間Dとして設定すればよい。このようにすれば、再生装置100’は、バッファリング期間にて100-e%のデータを再生開始前までに受信完了でき、未受信の残りe%の受信完了を待たず破棄して再生を行っても所定の再生品質での再生を維持できることが期待できる。
【0109】
あるいは、再生部120’は、伝送遅延履歴テーブル155’の対応レコードに十分な個数記録されている遅延時間の中から無作為に100個の遅延時間を選択し、大きいほうからe番目の遅延時間をバッファリング必要時間Dとして設定しても同様の効果が期待できる。
【0110】
あるいは、上述の許容誤り率eを基に決定したバッファリング必要時間をD’とし、許容同期誤差Tdを用いて、対象コンポーネントのバッファリング必要時間D=D’−Tdとして、より短いバッファリング必要時間を用いてもよい。バッファリング必要時間DをD’−Tdとした場合、当該バッファリング期間で対象コンポーネントを所定の再生品質で再生するのに必要な100-e%のデータを受信することはできない。従ってこの場合は、対象コンポーネントの再生タイミングを基準時刻に対して最大Td遅延させて再生を行うことで、当該コンポーネントの再生に必要なバッファリング時間D’を確保して再生を行う。このような構成とすることで、再生対象の番組の再生開始遅延への、BMLコンテンツや字幕コンポーネント等、許容同期誤差の比較的大きなコンテンツあるいはコンポーネントのバッファリング必要時間の影響を抑えることが可能となる。
【0111】
あるいは、再生部120’は、対応レコードに記録されている最大の遅延時間に(100−e)÷100倍した値から許容同期誤差Tdを引いた値をDとして設定してもよい。
【0112】
なお、各パッケージのバッファリング必要時間Dを決定した後の再生装置100’の動作は、実施形態1の再生装置100と同様の動作であるので、説明を省略する。
(再生装置100’の利点)
以上、再生装置100’の動作について説明したが、図14(b)からわかるように、再生装置100’がバッファリング必要時間Dを決定するために参照する伝送遅延履歴テーブル155’のレコード数は、たかだか、4+4×放送局数である。本実施形態に係る配信システムのすべての配信装置は、いずれかのグループに含まれる(すなわち、いずれかのNW識別子が割り当てられる)ため、レコード数は配信システムを構成する配信装置の台数に関わりなく一定数である。
【0113】
したがって、再生装置100’は、伝送遅延履歴テーブル155内で配信装置ごとに異なるレコードに伝送遅延を記録する再生装置100に比べて、レコード数が一定であるため伝送遅延履歴テーブルの管理が容易である。
【0114】
また、CDN配信システムでは、配信サービスを利用するユーザの数の増大等に伴って、新規の配信装置が追加されていくのが一般的である。本実施形態に係る配信システムでは、配信システムに新しく追加される配信装置にはいずれかのNW識別子が割り当てられる。したがって、再生装置100’は、新しく追加された配信装置からパッケージを受信する場合であっても、過去の伝送遅延に応じた適切なバッファリング必要時間Dを決定できる。
【0115】
なお、本実施形態においては、番組が伝送される伝送網ごとに配信装置を異なるグループに割り当てたが、本発明はこれに限定されない。配信装置が設置される地域(国、地方等)ごとに配信装置を異なるグループに割り当ててもよい。
【0116】
また、各実施形態においては、再生装置がバッファリング必要時間Dを決定するために参照する伝送遅延の履歴を再生装置自身で記録するものとしたが、本発明はこれに限られない。例えば、再生装置と配信装置との間に再生装置とは別個の装置(例えば再生装置のプロキシサーバやルーター等)を設置し、当該別個の装置で伝送遅延の履歴を記録し、再生装置が当該別個の装置に記録されている伝送遅延を参照してバッファリング必要時間Dを決定してもよい。
【0117】
(プログラム、記憶媒体)
再生装置100の各ブロックは、集積回路(ICチップ)上に形成された論理回路によってハードウェア的に実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0118】
後者の場合、再生装置100は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである再生装置100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、再生装置100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0119】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ類、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク類、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード類、マスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ類、あるいはPLD(Programmable logic device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路類などを用いることができる。
【0120】
また、上記プログラムコードは、通信ネットワークを介して再生装置100に供給してもよい。この通信ネットワークは、プログラムコードを伝送可能であればよく、特に限定されない。例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11無線、HDR(High Data Rate)、NFC(Near Field Communication)、DLNA(Digital Living Network Alliance)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0121】
なお、ここで開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明だけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明に係る再生装置は、コンテンツ配信システムなどに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0123】
100、100’ 再生装置
110、110’ ストリーミング制御部〔取得手段、記録手段、
履歴記憶手段、再生手段〕
120、120’ 再生部〔参照手段、設定手段、再生手段、選択手段〕
130 受信バッファ
140 HDD(ハードディスクドライブ)〔記録媒体〕
150、150’ メモリ〔記憶媒体〕
155 伝送遅延履歴データベース
160 ネットワーク・I/F
170 チューナ部
200 表示装置
300a〜300c 配信装置
300a’ 配信装置(通知装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する取得手段と、
上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって、記憶媒体に配信装置毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照手段と、
上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該配信装置に関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出手段と、
上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中の構成用データを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生手段と、
上記導出手段が導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間を上記所定の期間として設定する設定手段と、を備えていることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記配信データの構成要素となり得る構成用データを上記構成用データ群の一部として上記取得手段に取得させるか否かを選択する選択手段をさらに備え、
上記選択手段は、当該構成用データを配信する配信装置について履歴として記憶されている上記遅延時間が所定の許容時間を越えない場合に当該構成用データを上記取得手段に取得させる、ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記配信データを記録媒体に記録する記録手段をさらに備え、
上記設定手段は、上記所定の許容時間を設定するように構成されており、
上記設定手段は、上記記録手段が上記配信データを上記記録媒体に記録する場合には、上記記録媒体に記録しない場合に比べて上記所定の許容時間を長く設定する、ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
上記選択手段は、上記配信データを構成すべき再生が必須の構成用データについては、上記所定の許容時間に関わらず、上記取得手段に当該構成用データを取得させることを選択する、ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項5】
上記配信データは階層データを所定の階層数だけ含むスケーラブルデータであり、
上記選択手段は、上記再生手段が上記配信データの再生を開始した時点から所定の再生期間を経過した後には、さらに上記遅延時間が所定の許容時間を越えている配信装置から伝送される階層データを選択するように構成されており、
上記再生手段は、上記所定の再生期間が経過するまでは、標準再生速度よりも低速で上記配信データを再生するように構成されており、
上記所定の再生期間は、全階層データを標準再生速度で同期再生可能になるまでの期間である、ことを特徴とする請求項2に記載の再生装置。
【請求項6】
上記参照手段は、各グループに上記複数の配信装置の少なくともいずれかが属し各配信装置がいずれかのグループに属するような複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって上記記憶媒体にグループ毎の履歴として記録されている遅延時間を参照するように構成されており、
上記導出手段は、上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項7】
複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する取得手段と、
各グループに上記複数の配信装置の少なくともいずれかが属し各配信装置がいずれかのグループに属するような複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって記憶媒体にグループ毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照手段と、
上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出手段と、
上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中の構成用データを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生手段と、
上記導出手段が導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間を上記所定の期間として設定する設定手段と、を備えていることを特徴とする再生装置。
【請求項8】
さらに、上記複数のグループの各々について、当該グループに属する配信装置から構成用データを取得した時に発生した遅延時間を当該グループの履歴として上記記憶媒体に記憶する履歴記憶手段を備えている、ことを特徴とする請求項6または7に記載の再生装置。
【請求項9】
構成用データを再生する上で許容される他の構成用データとの許容同期誤差および許容誤り率のうちの少なくともいずれかを示すメタ情報を上記再生装置の外部から受信する受信手段をさらに備え、
上記複数のグループの各々について上記導出手段が導出するバッファリング期間は、当該グループに関する履歴として記録され、上記参照手段により参照された最大の遅延時間を、上記メタ情報により示された、当該グループに属する配信装置から受信する構成用データに関する上記許容同期誤差および上記許容誤り率のうちの少なくともいずれかの大きさに応じた分だけ短くした期間である、ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の再生装置。
【請求項10】
上記構成用データに加えて、当該構成用データに関する許容同期誤差および許容誤り率のうちの少なくともいずれかを示すメタ情報を請求項9に記載の再生装置に送信することを特徴とする配信装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の再生装置と、複数の上記配信装置と、を含む配信システム。
【請求項12】
上記再生装置は請求項6から9のいずれか1項に記載の再生装置であり、
上記複数の配信装置は放送事業者によって管理されており、
さらに、上記放送事業者が管理している通知装置であって、上記複数の配信装置の各々について当該配信装置のURLと当該配信装置が属するグループとを示すメタ情報を上記再生装置に通知する通知装置を含んでいる、ことを特徴とする請求項11に記載の配信システム。
【請求項13】
複数の配信装置の各々から配信される構成用データからなる構成用データ群であって、配信データを構成する同期再生すべき構成用データ群を取得する取得工程と、
上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から過去に構成用データを取得した時に発生した遅延時間であって、記憶媒体に配信装置毎の履歴として記録されている遅延時間を参照する参照工程と、
上記複数の配信装置の各々について、当該配信装置から取得した構成用データを再生する上で必要なバッファリング期間として、当該配信装置に関する履歴として記録され、上記参照工程にて参照された遅延時間の大きさに応じた長さの期間を導出する導出工程と、
上記複数の配信装置の各々について当該配信装置から取得中のコンテンツを所定の期間バッファリングしてから、上記配信データを再生する再生工程と、
上記導出工程にて導出した各バッファリング期間のうちの最長のバッファリング期間を上記所定の期間として設定する設定工程と、を含んでいることを特徴とする再生方法。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか1項に記載の再生装置としてコンピュータを動作させる再生プログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるための再生プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の再生プログラムが記録されているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−62624(P2013−62624A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198856(P2011−198856)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】