説明

再生装置

【課題】複数の再生装置のそれぞれが非同期でコンテンツデータを再生している場合に、同一内容のコンテンツデータがずれたタイミングで再生される可能性を低減する。
【解決手段】記憶部30は、複数のコンテンツデータと、複数のコンテンツデータを再生すべき順序が示されたプレイリストとを記憶する。通信部22は、複数のコンテンツデータのうちの少なくともひとつを再生可能な別の再生装置から、当該別の再生装置において再生されるコンテンツデータに関する情報を受けつける。制御部24は、受けつけた情報と、プレイリストとをもとに、複数のコンテンツデータの再生タイミングを制御する。再生部26は、制御部24における制御にしたがって、複数のコンテンツデータを再生する。通信部22は、再生部26において再生されるコンテンツデータに関する情報を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生技術に関し、特に複数のコンテンツデータを再生する再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリーミングとは、インターネット上に配信された音楽や映像等のコンテンツデータを受信し、コンテンツデータをリアルタイムに再生する技術である。このようなストリーミングでは、コンテンツデータを受信しながらリアルタイムに再生するので、ダウンロードの待ち時間が低減されるとともに、ハードディスクの空き容量にも制約されない。一方、ストリーミング再生を高品質に実行するためには、コンテンツデータのデータレートよりも、回線速度が十分に高速であることが必要になる。回線速度が十分に高速でない場合であっても、ストリーミングの再生品質の悪化を抑制するために、サーバは、配信されるコンテンツデータを蓄積する。また、サーバは、当該コンテンツデータの蓄積が十分でない時点において、ユーザ端末が予め記憶した広告のコンテンツデータ(以下、「広告データ」という)をユーザ端末に再生させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−6085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術によれば、ストリーミングにおいて、コンテンツデータの再生品質の悪化を防ぐだけでなく、広告データも再生できる。デジタル技術を利用した広告媒体のひとつが、デジタルサイネージ(Digital Signage)である。デジタルサイネージは、表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイなどによって映像や情報を表示する。また、デジタルサイネージでは、デジタル通信によって受信した多数の表示情報を内蔵記憶装置に記憶するので、柔軟な表示内容の切替が可能になり、多様な映像広告が展開される。広告データによる広告効果を向上させるために、店舗等に複数の再生装置を配置し、複数の再生装置のそれぞれにさまざまな広告データを表示させることが有効である。複数の再生装置が同一内容の広告データを非同期で再生している場合、利用者にとって音声が聞きづらくなり、広告効果が低減してしまうおそれがある。そのためには、複数の再生装置間におけるタイミング同期の確立が望まれる。しかしながら、一般的に、複数の再生装置間におけるタイミング同期を確立するためには、複雑な処理がともなう。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の再生装置のそれぞれが非同期でコンテンツデータを再生している場合に、同一内容のコンテンツデータがずれたタイミングで再生される可能性を低減する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の再生装置は、コンテンツデータを再生する再生装置であって、複数のコンテンツデータと、複数のコンテンツデータを再生すべき順序が示されたプレイリストとを記憶する記憶部と、記憶部において記憶した複数のコンテンツデータのうちの少なくともひとつを再生可能な別の再生装置から、当該別の再生装置において再生されるコンテンツデータに関する情報を受けつける受信部と、受信部において受けつけた情報と、記憶部において記憶したプレイリストとをもとに、複数のコンテンツデータの再生タイミングを制御する制御部と、制御部における制御にしたがって、記憶部に記憶した複数のコンテンツデータを再生する再生部と、再生部において再生されるコンテンツデータに関する情報を通知する送信部とを備える。制御部は、受信部において受けつけた情報に示されたコンテンツデータと、プレイリストにおいてこれから再生すべきコンテンツデータとが重複する場合に、受信部において受信した情報に示されたコンテンツデータと異なるように、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序を入れ替える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の再生装置のそれぞれが非同期でコンテンツデータを再生している場合に、同一内容のコンテンツデータがずれたタイミングで再生される可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例に係る再生システムの構成を示す図である。
【図2】図1の再生装置の構成を示す図である。
【図3】図2の記憶部に記憶したコンテンツデータの一覧を示すデータ構造を示す図である。
【図4】図2の通信部において通信されるパケット信号のデータ構造を示す図である。
【図5】図5(a)−(c)は、図2の再生装置における再生手順の概略を示す図である。
【図6】図2の制御部において記憶された再生装置の識別番号を示す図である。
【図7】図2の再生装置における再生手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例は、店舗等に設置された複数の再生装置によって形成される再生システムに関する。各再生装置は、複数のコンテンツデータを記憶するとともに、複数のコンテンツデータを再生すべき順序が示されたプレイリストも記憶する。再生装置は、プレイリストにしたがってコンテンツデータを再生することによって、コンテンツデータの画像を表示するとともに、コンテンツデータの音声を出力する。複数の再生装置が、ずれたタイミングで同一のコンテンツデータを再生した場合、利用者にとって音声が聞きづらくなる。これに対応し、かつ簡易な処理を実現するために、本実施例に係る再生装置は、次の処理を実行する。
【0011】
各再生装置は、無線通信機能を備え、互いに通信可能である。所定の再生装置は、プレイリストにしたがってコンテンツデータを再生する際に、当該コンテンツデータに関する情報が含まれたパケット信号を送信する。他の再生装置は、当該パケット信号を受信し、コンテンツデータに関する情報を取得する。他の再生装置は、プレイリストにしたがって新たなコンテンツデータを再生する際に、コンテンツデータに関する情報を確認する。コンテンツデータが重複している場合、他の再生装置は、プレイリストにおける複数のコンテンツデータの順番を入れ替えることによって、コンテンツデータに関する情報でのコンテンツデータとは別のコンテンツデータを再生する。このような処理によって、複数の再生装置は、所定のタイミングにおいて、互いに異なったコンテンツデータを再生する。
【0012】
図1は、本発明の実施例に係る再生システム100の構成を示す。再生システム100は、再生装置10と総称される第1再生装置10a、第2再生装置10b、第3再生装置10c、第4再生装置10d、第5再生装置10e、サーバ14を含む。また、再生システム100は、店舗18に備えられ、店舗18には、棚16と総称される第1棚16a、第2棚16b、第3棚16c、第4棚16d、第5棚16e、第6棚16fを含む。
【0013】
店舗18は、例えば、スーパーマーケットである。サーバ14は、複数のコンテンツデータを記憶する。また、サーバ14は、無線通信機能を有し、記憶した複数のコンテンツデータを複数の再生装置10へ配信する。なお、サーバ14は、再生装置10へコンテンツデータをストリーミング配信しているのではなく、複数のコンテンツデータを再生装置10にダウンロードさせる。なお、コンテンツデータを更新した場合、サーバ14は、コンテンツデータを再生装置10に再ダウンロードさせる。
【0014】
各棚16には、総菜、精肉、鮮魚、野菜等が配置されている。また、各棚16は、複数の段数にて構成されている。棚16には、再生装置10が設置されている。再生装置10は、無線通信機能を有するとともに、複数のコンテンツデータを記憶する。ここで、記憶したコンテンツデータは、前述のごとく、サーバ14からダウンロードされている。再生装置10は、プレイリストにしたがってコンテンツデータを順番に再生し、再生したコンテンツデータの画像を表示するとともに、再生したコンテンツデータの音声を出力する。各再生装置10は、無線通信機能によって互いに通信可能であり、さらにサーバ14とも通信可能である。
【0015】
第1再生装置10aと第2再生装置10bとは、向かい合って設置されている。そのため、第1再生装置10aがコンテンツデータを再生すると、コンテンツデータの音声は、第2再生装置10bの付近の利用者にも聞こえる。また、第2再生装置10bにおいて再生されたコンテンツデータの音声は、第1再生装置10aの付近の利用者にも聞こえる。第1再生装置10aと第2再生装置10bとが同一のコンテンツデータを同時に再生しており、かつ再生タイミングがずれていると、第1再生装置10aと第2再生装置10bとから音声がずれて出力される。その結果、利用者にとって、音声が聞きづらくなる。これに対応するために、再生装置10は、下記の処理を実行する。
【0016】
図2は、再生装置10の構成を示す。再生装置10は、アンテナ20、通信部22、制御部24、再生部26、出力部28、記憶部30を含む。
【0017】
記憶部30は、複数のコンテンツデータを記憶する。記憶部30は、ハードディスク等の記憶媒体である。記憶部30に記憶された各コンテンツデータは、棚16に配置された品物を広告するための動画像であるとする。また、コンテンツデータは、MPEG(Moving Picture Experts Group 等によって圧縮されている。ここでは、動画像そのもの、動画像のデジタルデータを区別せずに、コンテンツデータと呼ぶ。
【0018】
図3は、記憶部30に記憶したコンテンツデータの一覧を示すデータ構造を示す。図示のごとく、番号欄200、コンテンツデータ欄202、再生時間欄204が含まれる。番号欄200には、各コンテンツデータを識別するための識別番号が示される。ここでは、1からNまでと示される。コンテンツデータ欄202には、コンテンツデータが配置される。コンテンツデータは、番号欄200に対応付けられて、「A1」から「AN」と示される。再生時間欄204は、コンテンツデータ欄202に配置されたコンテンツデータに対する再生時間が示される。図2に戻る。
【0019】
さらに、記憶部30は、複数のコンテンツデータのすべて、あるいは一部を再生すべき順序が示されたプレイリストも記憶する。コンテンツデータ「A1」から「A4」を順番に再生すべき場合、プレイリストは、「A1」、「A2」、「A3」、「A4」のように示される。プレイリストは、デジタルデータとして構成されており、店舗18の店員等によって予め生成されている。
【0020】
通信部22は、アンテナ20を介して、図示しない他の再生装置10やサーバ14との間で無線通信を実行する。通信部22は、例えば、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)にしたがって、無線通信を実行する。通信部22は、送信処理として、制御部24からのデータを受けつけ、データを格納するようにパケット信号を生成する。また、パケット信号には、本再生装置10を識別するための情報も含まれる。通信部22は、生成したパケット信号を変調する。変調方式として、BPSK、QPSK、16QAM、64QAM等が規定される。ここで、変調した結果は、周波数領域のOFDM信号に相当する。
【0021】
通信部22は、変調した結果に対して、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を実行することによって、周波数領域のOFDM信号を時間領域のOFDM信号へ変換する。通信部22は、時間領域のOFDM信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、通信部22は、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。送信として、例えば、ブロードキャストが使用される。なお、通信部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。パケット信号の送信は、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LANと同様に、CSMA/CAと呼ばれるアクセス制御機能にしたがってなされる。
【0022】
通信部22は、受信処理として、図示しない他の再生装置10やサーバ14からブロードキャスト送信されたパケット信号をアンテナ20にて受信する。通信部22は、アンテナ20を介して受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、時間領域のOFDM信号を生成する。通信部22は、時間領域のOFDM信号に対してFFTを実行することによって、時間領域のOFDM信号を周波数領域のOFDM信号へ変換する。周波数領域のOFDM信号は、複数のサブキャリア信号にて形成される。通信部22は、周波数領域のOFDM信号を復調する。通信部22は、復調した結果を制御部24へ出力する。また、通信部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
【0023】
このような通信部22の構成において、通信部22が受信するパケット信号には、主として2種類存在する。ひとつは、図示しないサーバ14からのコンテンツデータが格納されたパケット信号である。ここで、コンテンツデータのデータ容量は、一般的にパケット信号に格納可能なデータ容量よりも大きいので、コンテンツデータは、複数のパケット信号に格納される。後段の制御部24は、複数のパケット信号に格納されたコンテンツデータを結合し、結合したコンテンツデータを記憶部30に記憶する。なお、コンテンツデータと同様に、通信部22は、プレイリストが格納されたパケット信号をサーバ14から受信してもよい。プレイリストも、コンテンツデータと同様に、記憶部30に格納される。
【0024】
別のパケット信号は、記憶部30において記憶した複数のコンテンツデータのうちの少なくともひとつを再生可能な別の再生装置10からのパケット信号である。このパケット信号には、当該別の再生装置10において再生されるコンテンツデータに関する情報(以下、「再生コンテンツ情報」という)が含まれている。別の再生装置10は、再生コンテンツ情報に示されたコンテンツデータを再生しているか、これから再生する。また、再生コンテンツ情報には、他の再生装置10を識別するための識別情報も含まれている。
【0025】
図4は、通信部22において通信されるパケット信号のデータ構造を示す。図示のごとく、再生装置ID、再生コンテンツ情報が含まれている。ここで、再生情報IDは、再生装置10を識別するための識別情報であり、前述のごとく、再生コンテンツ情報に含まれているが、ここでは、パケット信号の構成を明確にするために、再生コンテンツ情報とは別に示した。再生コンテンツ情報には、コンテンツデータ名が含まれている。また、再生コンテンツ情報には、コンテンツデータの再生開始時刻に関する情報が含まれていてもよい。図3に戻る。通信部22は、再生コンテンツ情報を制御部24へ出力する。
【0026】
制御部24は、記憶部30に記憶された複数のコンテンツデータのうち、再生すべきコンテンツデータを抽出して、再生部26へ出力する。ここで、制御部24は、記憶部30に記憶したプレイリストにしたがって、コンテンツデータを抽出する。つまり、再生部26は、プレイリストをもとに、複数のコンテンツデータの再生タイミングを制御する。例えば、コンテンツデータ「A1」が現在再生されており、「A1」の再生が終了する際に、制御部24は、プレイリストにしたがって、コンテンツデータ「A2」を選択する。制御部24が、通信部22から再生コンテンツ情報を受けつければ、制御部24は、再生コンテンツ情報に含まれたコンテンツデータ名を確認する。
【0027】
確認したコンテンツデータ名と、プレイリストにおいてこれから再生すべきコンテンツデータ名とが重複する場合に、制御部24は、確認したコンテンツデータ名のコンテンツデータと異なるように、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序を入れ替える。例えば、制御部24は、これから再生すべきコンテンツデータの次のコンテンツデータを前に移動させることによって、次のコンテンツデータを再生の対象にするとともに、これから再生すべきコンテンツデータをプレイリストの最後に移動させる。具体的に説明すると、プレイリストが「A1」、「A2」、「A3」、「A4」の順番であり、再生部26がコンテンツデータ「A1」を現在再生しているとする。
【0028】
制御部24は、これから再生すべきコンテンツデータとして、プレイリストにしたがって「A2」を選択する。しかしながら、再生コンテンツ情報に「A2」が含まれている場合、制御部24は、次のコンテンツデータ「A3」を再生の対象に変更する。また、制御部24は、プレイリストにおいて、「A4」の後段へ「A2」を移動させる。その結果、制御部24は、プレイリストに加えて、再生コンテンツ情報も考慮することによって、複数のコンテンツデータの再生タイミングを制御する。
【0029】
図5(a)−(c)は、再生装置10における再生手順の概略を示す。図5(a)は、プレイリストに示されたコンテンツデータの再生順序を示す。図示のごとく、プレイリストには、コンテンツデータ「A1」、「A2」、「A3」、「A4」の再生順序が示されている。図5(b)は、別の再生装置10において再生される複数のコンテンツデータの順番を示す。図示のごとく、別の再生装置10では、複数のコンテンツデータが「A4」、「A2」、「A1」、「A3」の順序で再生される。別の再生装置10は、各コンテンツデータを再生する前に、再生コンテンツ情報が含まれたパケット信号を送信しており、本再生装置10の制御部24は、再生コンテンツ情報を取得している。
【0030】
制御部24は、図5(a)に示されたプレイリストにしたがって、コンテンツデータ「A1」の次に、「A2」を選択しようとする。しかしながら、「A2」の再生開始のタイミングにおいて、図5(b)のごとく、他の再生装置10が「A2」を再生しており、制御部24も、それに対応した再生コンテンツ情報を取得している。その結果、制御部24は、図5(c)のごとく、コンテンツデータ「A2」を再生せずに、「A3」の再生を決定する。また、「A2」は、「A4」の後段に移動される。図3に戻る。
【0031】
ここで、再生装置10の配置によっては、他の再生装置10において再生されるコンテンツデータが、本再生装置10において再生されるコンテンツデータに影響を与えない場合がある。あるいは与える影響が小さい場合がある。例えば、図1において、第3再生装置10cと第5再生装置10eとは、十分に離れて設置されるので、互いに影響が及ぼされない。ここで、影響がないとは、一方の再生装置10において再生されたコンテンツデータの音声が、他方の再生装置10の付近にいる利用者にとって、気にならない程度に小さな音量になっている状態である。
【0032】
その場合、ふたつの再生装置10が、ずれたタイミングで同一のコンテンツデータを再生しても、利用者にとって音声が聞きづらくならない。このような状況を考慮すると、制御部24は、すべての他の再生装置10からの再生コンテンツ情報を考慮する必要がなく、本再生装置10の周囲に配置された他の再生装置10からの再生コンテンツ情報だけを考慮すればよい。例えば、図1の第1再生装置10aの制御部24は、第2再生装置10bと第4再生装置10dからの再生コンテンツ情報だけを考慮する。
【0033】
これを実現するために、制御部24は、コンテンツデータの順序の入替えを決定するために比較対象とすべき他の再生装置10の識別情報を予め記憶する。図6は、制御部24において記憶された再生装置10の識別番号を示す。ここで、制御部24は、図1の第1再生装置10aに含まれているとする。図示のごとく、隣接再生装置ID206には、比較対象として、第2再生装置10bのIDと第4再生装置10dのIDとが記憶されている。このようなデータは、ユーザによって予め生成されていればよい。図3に戻る。制御部24は、再生コンテンツ情報に含まれた再生装置IDが、記憶した識別情報と同一であれば、前述のごとく、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序の入替えを実行する。
【0034】
一方、制御部24は、再生コンテンツ情報に含まれた再生装置IDが、記憶した識別情報と異なっていれば、再生コンテンツ情報を無視する。以上の処理の結果、再生すべきコンテンツデータが決定したとき、制御部24は、再生すべきコンテンツデータに関する情報を含めるように再生コンテンツ情報を生成する。制御部24は、再生コンテンツ情報を通信部22へ出力、通信部22は、再生コンテンツ情報が格納されたパケット信号をアンテナ20からブロードキャスト送信する。
【0035】
再生部26は、制御部24における制御にしたがって、記憶部30に記憶した複数のコンテンツデータを順に再生する。具体的に説明すると、再生部26は、コンテンツデータに含まれた動画像と音声とをそれぞれ再生する。再生部26は、動画像と音声とを出力部28へ出力する。出力部28は、例えば、ディスプレイとスピーカによって構成される。出力部28は、再生部26において再生された動画像をディスプレイに表示し、再生部26において再生された音声をスピーカから出力する。
【0036】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0037】
以上の構成による再生装置10の動作を説明する。図7は、再生装置10における再生手順を示すフローチャートである。制御部24は、新たなコンテンツデータの再生タイミングでなければ(S10のN)、待機する。一方、新たなコンテンツデータの再生タイミングであり(S10のY)、他の再生装置10で同一のコンテンツデータが再生されていなければ(S12のN)、制御部24は、新たなコンテンツデータを再生部26に再生させる(S16)。他の再生装置10で同一のコンテンツデータが再生されていれば(S12のY)、制御部24は、再生の順番を入れ替える(S14)。制御部24は、入れ替えた新たなコンテンツデータを再生部26に再生させる(S16)。
【0038】
本発明の実施例によれば、これから再生すべきコンテンツデータが他の再生装置で再生されるならば、プレイリストの順番を入れ替えるので、他の再生装置と同一のコンテンツデータを再生する状況の発生を低減できる。また、他の再生装置と同一のコンテンツデータを再生する状況の発生が低減されるので、複数の再生装置のそれぞれが非同期でコンテンツデータを再生している場合に、同一内容のコンテンツデータがずれたタイミングで再生される可能性を低減できる。
【0039】
また、同一内容のコンテンツデータがずれたタイミングで再生される可能性が低減されるので、利用者に対してコンテンツデータの内容を理解させやすくできる。また、利用者に対してコンテンツデータの内容を理解させやすくなるので、コンテンツデータが広告データである場合、広告の効果を増加できる。また、他の再生装置との間での同期処理が不要になるので、処理量を低減できる。また、コンテンツデータの順序の入替えを決定するために比較対象とすべき他の再生装置からの再生コンテンツ情報以外は無視するので、処理量を低減できる。
【0040】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0041】
本発明の実施例において、制御部24は、再生コンテンツ情報をもとに、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序を入れ替える。しかしながらこれに限らず例えば、制御部24は、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序の入替えが所定回数より多く発生した場合、コンテンツデータの順序の入替えを中止してもよい。その際、制御部24は、再生部26に対して、記憶部30に記憶したコンテンツデータ以外のデータを再生させる。コンテンツデータ以外のデータとは、例えば、サーバ14から再生装置10へ送信されたストリーミングデータである。制御部24は、再生部26に対して、ストリーミングデータを再生させる。本変形例によれば、何も再生されない状況の発生を低減できる。
【符号の説明】
【0042】
10 再生装置、 14 サーバ、 20 アンテナ、 22 通信部、 24 制御部、 26 再生部、 28 出力部、 30 記憶部、 100 再生システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータを再生する再生装置であって、
複数のコンテンツデータと、複数のコンテンツデータを再生すべき順序が示されたプレイリストとを記憶する記憶部と、
前記記憶部において記憶した複数のコンテンツデータのうちの少なくともひとつを再生可能な別の再生装置から、当該別の再生装置において再生されるコンテンツデータに関する情報を受けつける受信部と、
前記受信部において受けつけた情報と、前記記憶部において記憶したプレイリストとをもとに、複数のコンテンツデータの再生タイミングを制御する制御部と、
前記制御部における制御にしたがって、前記記憶部に記憶した複数のコンテンツデータを再生する再生部と、
前記再生部において再生されるコンテンツデータに関する情報を通知する送信部とを備え、
前記制御部は、前記受信部において受けつけた情報に示されたコンテンツデータと、プレイリストにおいてこれから再生すべきコンテンツデータとが重複する場合に、前記受信部において受信した情報に示されたコンテンツデータと異なるように、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序を入れ替えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
前記受信部において受けつけた情報には、他の再生装置を識別するための識別情報も含まれており、
前記制御部は、コンテンツデータの順序の入替えを決定するために比較対象とすべき他の再生装置を識別するための識別情報を予め記憶し、前記受信部において受けつけた識別情報が、記憶した識別情報と異なっていれば、前記受信部において受けつけた情報を無視することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、プレイリストにおけるコンテンツデータの順序の入替えが所定回数より多く発生した場合、前記再生部に対して、ストリーミングデータを再生させることを特徴とする請求項1または2に記載の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−77641(P2011−77641A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224512(P2009−224512)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】