説明

再生骨材及びその製造方法

【課題】性能の異なる複数の戻りコン(呼び強度の異なる複数の戻りコン)から高品質の再生骨材を製造する方法及び再生骨材を提供する。
【解決手段】本発明は、性能の異なる複数の戻りコン(呼び強度の異なる複数の戻りコン)を混練し、該混練物に所望の時期に所望の強度が発現するように凝結遅延剤を添加して一度硬化させ、該硬化物を磨砕又は粗砕後磨砕し、骨材表面に付着したモルタル分を除去することによって再生骨材を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、何等かの理由により、現場で全く使用されずにアジテータ車ごと戻ってきた生コンクリートは戻りコンと呼ばれ、一部は使用されたが、一部未使用のままアジテータ車と共に戻ってきた生コンクリートは残コンと呼ばれている。
本願発明で用いる「戻りコン」とは、上述の戻りコンと残コン、及び生コンプラントやコンクリート二次製品工場等で発生した余剰分の生コンを含むものとする。
【0002】
本発明は、戻りコンを有効に活用した再生骨材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
残コン・戻りコンの発生率は、生コンの出荷量の約1.6%(平成17年度)であり、この発生率は最近10年程度の間ではあまり変化していない。
尚、建設会社と生コン事業所のほとんどは残コン・戻りコンの発生を認識している。
この発生の主な理由は、工事で生コンの不足が生じた場合のリスク(追加発注による時間ロス、人件費増、工程上の不具合)を避けること等のため、購入側が余裕を見て発注しているためである。
しかしながら、残コン・戻りコンの発生量について把握しているのは、建設会社の17%、生コン事業所の66%である。
そして、残コン・戻りコンの発生抑制に積極的な取組みを行っているのは建設会社の26%であり、今後の取組みを予定しているのは8%、今後の取り組みの必要性を感じているのは51%であり、全体の85%は残コン・戻りコンの発生抑制の必要性を認識しているものである。
残コン・戻りコンの処理方法としては、建設会社の84%がプラントへ返却しており、生コン事業所では産業廃棄物として処理しているのが55%、まだ固まっていないコンクリートの状態から骨材回収しているのが35%、硬化後に適切な大きさに粉砕・粒度調整して再生路盤材として利用しているのが31%等となっている。(平成18年9月1日国交省発表より)
【0004】
このように大半の建設会社が残コン・戻りコンの発生抑制の必要性を認識しているが、現状としては残コン・戻りコンが生コン事業所へ戻され、大半が産業廃棄物として処理されている。
しかしながら、産業廃棄物処理業者に処分を依頼するため、その費用負担を生コン事業者が負うことになり、また資源の有効活用の観点からも廃棄は好ましくない。
しかも、建設会社や生コン事業所の大部分が残コン・戻りコンの発生抑制や有効活用を望んでいる。
【0005】
ところで、残コン・戻りコンの再利用方法としては、スラッジ水と骨材を分離し、スラッジ水を翌日以降の生コン原料として再利用する技術が開示されている(特許文献1)。
しかしながら、この技術ではスラッジ水と骨材を分離する高価な設備が必要であり、水や排水処理等にも多額の費用を要するものである。更に、翌日の生コンに該スラッジ水を添加するため、翌日の生コンの配合が複雑・煩雑になる等の問題がある。
【0006】
一方、残コン・戻りコンからの骨材の回収方法としては、生コン中のセメントの硬化を阻止するも当該セメントの凝固を許容する薬剤を投入することによって、凝固するも硬化は阻止されたコンクリートを非加圧破砕手段によって破砕して、骨材と他の部材に分離する技術が開示されている(特許文献2)。
しかしながら、該技術は、微細な外力(例えば人間の指先)で容易に崩れる「凝固」状態のコンクリートであるため、型枠等なしでは移動が容易でなく、ハンドリング上問題があり、また除去したモルタル分がその後再固結してしまうという問題がある。
【0007】
さらに別の技術として、残コン・戻りコンからの骨材の回収方法としては、硬化させた戻り生コンを解砕して骨材及びモルタルに分離する技術が開示されている(特許文献3)。
この技術は、戻り生コンを硬化させるために戻り生コンを個別に1日〜7日の養生により硬化させるものであり、複数の異なる性能の生コンを一括処理することができないという問題点があり、また、個別に最大7日迄管理するとなると複数の異なる性能の生コンがある時は管理が極めて煩雑になるという問題点がある。
【特許文献1】特開平9−123156号公報
【特許文献2】特開2004−276575号公報
【特許文献3】特開2005−342558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数の異なる性能の戻りコン(呼び強度の異なる複数の戻りコン)が存在する場合であっても、一度に一括処理して、該戻りコンから骨材を分離して高品質の再生骨材を得る再生骨材の製造方法及び再生骨材を提供するものである。
【0009】
本発明で提供する再生骨材は、JIS A 5021の品質基準に定める絶乾密度2.5以上、吸水率3.0%以下を満足するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記問題点を改善すべく、鋭意研究の結果、複数の異なる性能の戻りコン(呼び強度の異なる複数の戻りコン)を混練し、該混練物に所定の時期に所定の強度が発現するように凝結遅延剤を添加し硬化させ、該硬化物を磨砕又は粗砕後磨砕することによって、本発明を完成させたものである。
【0011】
即ち、本発明は、戻りコンを一度硬化させた後、該硬化物を磨砕又は粗砕後磨砕して製造することを特徴とする再生骨材の製造方法である(請求項1)。
次に、戻りコンに凝結遅延剤を添加し、所定の強度以下に一度硬化させることを特徴とする請求項1記載の再生骨材の製造方法である(請求項2)。
更に、戻りコンに適正な量の水を後添加し、異なる配合の戻りコンの水セメント比を一定にさせることで、所定の強度以下かつ同一強度に硬化させることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の再生骨材の製造方法である(請求項3)。
そして、被磨砕物がスクリュー磨砕式処理装置によって、被磨砕物表面に付着したモルタル分を磨砕により除去することを特徴とする請求項1、請求項2、及び請求項3記載の再生骨材の製造方法である(請求項4)。
次に、複数の生コン事業者から出荷された戻りコンを特定の産業産廃処理業者の下に集めて、該産業産廃処理業者の施設内で戻りコンの硬化、及び磨砕又は粗砕後磨砕することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、及び請求項4記載の再生骨材の製造方法である(請求項5)。
そして、請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって製造された再生骨材であって、絶乾密度が2.5g/cm3以上で、24時間吸水率が3.0質量%以下で、実積率が55%以上であることを特徴とする再生骨材である(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
本発明の再生骨材の製造方法は、性能の異なる(呼び強度の異なる)複数の戻りコンを、一度に一括処理して高品質の再生骨材を製造することができ、極めて効率的・経済的である。
更に、従来産業廃棄物として処理していた戻りコンを再生骨材としてコンクリート等に使用できるので、生コン事業者の費用負担が軽減できると共に、資源の有効活用になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について説明する。
本発明は、先ずアジテータ車等によって持ち帰られた戻りコンを、性能の異なる(呼び強度の異なる)戻りコンを区別することなく一緒に混練することを特徴とするものである。
次に、所望の時期に所望の強度が発現するように、該混練物に凝結遅延剤を添加して硬化させて硬化物を得る。この際に、所定の大きさになるように小分けして硬化させて、小硬化物を得ても良い。
更に、該硬化物を破砕機により粗砕し、引き続いて該粗砕物を磨砕して、該粗砕物表面に付着したモルタル層を分離除去して、再生骨材を製造する。
尚、小硬化物の場合は、粗砕を省略しても構わない。
このようにして製造した再生骨材をコンクリート用骨材等に使用する。この場合のコンクリートの配合及び養生条件は、通常のコンクリートを製造する場合と同じ配合及び養生条件を適用することができる。
また、分離除去したモルタル分は、粉砕等しなくてもコンクリート用混和材としてそのまま使用できる。
【0014】
更に詳しく本発明について説明する。
本発明では、一緒に混練する戻りコンの種類は特に限定されない。即ち、種々の呼び強度の生コンや高性能(高流動)コンクリートや特殊コンクリートを任意の種類同士、任意の割合で混練することができる。
当然ながら、性能の同じ(呼び強度の同じ)戻りコンをのみを一緒に混練しても良く、また、戻りコンを持ち帰ったアジテータ車毎に個別に処理しても良く、これらの場合は、硬化管理がより容易となる。
【0015】
本発明に使用される戻りコンは、出荷元の生コン事業所に集めて再生骨材化の処理をすることができる。
より好ましくは、特定の又は任意の複数の生コン事業者から出荷された戻りコンを特定の産業廃棄物処理業者の下に集めて、該産業廃棄物処理業者の施設内で戻りコンの硬化、及び粗砕・磨砕して再骨材化の一括処理することが、効率的であり経済的にも好ましい。
この方法によって製造すれば、戻りコンの養生場所の確保、養生管理、粗砕・磨砕設備の設置及び設置場所の確保等の負担を零細な生コン事業者が個々に負担する必要がなく極めて経済的メリットが大きい。
【0016】
本発明の戻りコンを硬化させた硬化物の所望の時期に於ける圧縮強度は、5N/mm以上40N/mm以下が好ましい。
40N/mm以上だと、粗砕や磨砕において粗砕物中や磨砕物中の原骨材にクラックが生じ、再生骨材の強度低下や吸水率の増大を招き好ましくない。また、粗砕機や磨砕機への負荷も大きくなり、機器の損失上も好ましくない。
一方、該圧縮強度が5N/mm以下だと、粗砕や磨砕の効率が低下したり、除去したモルタル分が再固結したりして好ましくない。
【0017】
本発明で用いる凝結遅延剤は、特に限定されるものではなく、所望の時期に所望の強度が発現できるように凝結遅延剤の種類と添加量を選択すれば良い。
例えば、無機系では、けいふっ化物、ほう酸類、りん酸塩、亜鉛、鉛、銅酸化物等が、有機系では、カルボン酸(塩)、ケト酸(塩)、糖類、糖アルコール類、高分子有機酸塩(リグニンスルホン酸塩など)等が例示され、「デンカライフセッター」(電気化学工業(株)製)、「ポゾリスNo.8」((株)エヌエムビー製)、「レオビルドSP8RE」((株)エヌエムビー製)、スーパー1000N(グレースケミカルズ(株)製)、「プラストクリートR」(日本シーカ(株)製)、「コンプラストRP264」(フォスロックジャパン(株)製)等が市販されている。
【0018】
本発明で用いる凝結遅延剤の添加量は、処理する戻りコンの種類、量を考慮して、粗砕や磨砕時に於ける硬化物の圧縮強度が配合強度の60〜90%になるように決めれば良い。
例えば、戻りコン1m3当たり1.0〜6.0kg、好ましくは1.5〜3.0kg程度である。
【0019】
また、必要に応じて流動化剤を添加しても良い。
例えば、β−ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド高縮合物又はその塩、メラミンスルホン酸塩ホルムアルデヒド高縮合物又はその塩、ポリカルボン酸又はその塩等が例示される。
添加量は、混練する戻りコンの条件によっても異なるが、戻りコン1m3当たり0.5〜9.0kg、好ましくは2.0〜4.5kgである。
【0020】
また、戻りコンの条件に応じて適正な量の水を添加するのも良い。
添加量は、混練する戻りコンの条件によっても異なるが、戻りコン1m3当たり5〜30kgを加え、異なる戻りコンの水セメントを一定にすることで硬化後の戻りコンの強度を一定にし、再生骨材製造装置への負担を軽減するとともに、再生骨材の品質安定にも貢献できる。
【0021】
該硬化物の養生条件は特に制限されるものではなく、粗砕や磨砕迄の期間や凝結遅延剤の添加量を考慮して、蒸気養生、屋外養生等任意の方法を選択すれば良い。
【0022】
本発明に於ける被磨砕物の粒径は、40mm以下が好ましく、戻りコンの硬化物が40mm以上の場合は、粗砕して40mm以下にする必要がある。
粗砕の方法としては、特に限定されるものではなく、既存の技術や機器を使用できる。
例えば、ジョークラッシャーやインパクトクラッシャ、ロッドミル等が例示される。
【0023】
本発明に於ける戻りコン硬化物の磨砕方法は、該戻りコン硬化物中の原骨材が破損しない程度の圧密・磨砕作用により、原骨材の周辺に付着した強度的に弱いモルタルを除去する方法が好ましい。即ち、被磨砕物には衝突力や打撃力が極力加わらないように、或いは被磨砕物同士の過度の噛み合わせによる骨材破壊が起こらない様に、いわゆる“擦り揉み”状態によって骨材表面の付着モルタル分を除去することが好ましい。
【0024】
この“擦り揉み”状態によって骨材表面の付着モルタル分を除去する方法は、強度的に弱いモルタル分を骨材表面から効率的に分離することができると共に、骨材自体が破壊されることが少なく、骨材回収率が高くなる。
また、この“擦り揉み”状態によって骨材表面の付着モルタル分を除去する方法は、骨材の角取りもなされ、粒径判定実積率の高い高品質の再生骨材を製造することができる。
【0025】
上述の“擦り揉み”状態によって骨材表面の付着モルタル分を除去することができる機器としては、例えば、スクリュー磨砕式処理装置(商品名:太平洋ツインコーン、太平洋エンジニアリング(株)製)が例示される。
【0026】
スクリュー磨砕式処理装置の概要について説明する。
該装置は、円筒型ケーシング軸に付設しているフライト部及び排出コーン部から構成された横型一軸の機構となっていて、被磨砕物同士の過度の噛み合わせによる骨材破壊を抑制するため軸受部を投入口側の一軸とし、負荷動力の低減を図っているものである。
該装置の投入口から中央コーン迄の間は、被磨砕物は50%程度の充填率で移動し、円筒型ケーシング内部のクリアランス通過と被磨砕物相互の接触により、モルタル分が粗取りされるものである。
次に、中央コーンから排出口迄の間では、中間コーンを通過した被磨砕物は排出コーンの加圧により充填率がほぼ100%となり、被磨砕物相互の頻繁な擦り揉み作用によって更にモルタル除去が行われるものである。
【0027】
尚、一緒に混練する戻りコン中の原骨材の種類(粒径)が異なる場合は、戻りコン硬化物粗砕後に、任意の方法で分別しておけば、その後の磨砕の効率や、製造した再生骨材の在庫管理等が容易となり好ましい。
上記任意の分別方法としては、例えば篩い等による方法があげられる。
【0028】
本発明で得られる再生骨材は、絶乾密度が2.5g/cm3以上で、24時間吸水率が3.0質量%以下で、実積率が55%以上であることが好ましい。
この各規定値は、JIS A 5021 「コンクリート用再生骨材H」の規格値である。
尚、本発明によるスクリュー磨砕式処理装置による1回の磨砕処理で該各規定値を満足しない場合は、該装置で複数回処理することが好ましい、
【実施例】
【0029】
次のようにして、戻りコンから再生骨材を製造した。
[実施例1]
1.使用材料及び配合
(1)戻りコンA;呼び強度24、スランプ8cm、骨材20mm、1.0m3
(2)戻りコンB;呼び強度36、スランプ18cm、骨材20mm、1.5m3
(3)凝結遅延剤;リグニンスルホン酸系AE減水剤、8kg
2.養生
上記配合の戻りコンをアジテータ車で混練し、該練物をストックヤードに7日間放置して硬化させ、硬化物を得た。
3.粗砕・磨砕
上記硬化物を、ジョークラッシャーで粗砕し、40mm以下の粗砕物を得、次いで該粗砕物をスクリュー磨砕式処理装置で2回処理して、再生骨材を得た。
【0030】
[実施例2]
1.使用材料及び配合
(1)戻りコンA;呼び強度24、スランプ8cm、骨材20mm、1m3
(2)戻りコンB;呼び強度36、スランプ18cm、骨材20mm、1.5m3
(3)戻りコンC;呼び強度60、スランプフロー50cm、骨材20mm、1m3
(4)凝結遅延剤;変性リグニンスルホン酸系減水剤、6kg
2.養生
上記配合の戻りコンをアジテータ車で混練し、該練物をストックヤードに3日間放置して硬化させ、硬化物を得た。
3.粗砕・磨砕
上記硬化物を、ジョークラッシャーで粗砕し、40mm以下の粗砕物を得、次いで該粗砕物をスクリュー磨砕式処理装置で2回処理して、再生骨材を得た。
【0031】
[比較例1]
1.使用材料及び配合
(1)戻りコンA;呼び強度18、スランプ8cm、骨材20mm、1.0m3
(2)戻りコンB;呼び強度24、スランプ12cm、骨材20mm、1.5m3
2.養生
上記配合の戻りコンをアジテータ車で混練し、該練物をストックヤードに7日間放置して硬化させ、硬化物を得た。
3.粗砕・磨砕
上記硬化物を、ジョークラッシャーで粗砕し、40mm以下の粗砕物を得、次いで該粗砕物をスクリュー磨砕式処理装置で3回処理して、再生骨材を得た。
【0032】
[比較例2]
1.使用材料及び配合
(1)戻りコンA;呼び強度18、スランプ8cm、骨材20mm、1.0m3
(2)戻りコンB;呼び強度24、スランプ12cm、骨材20mm、0.5m3
(3)戻りコンC;呼び強度30、スランプ15cm、骨材20mm、1.0m3
2.養生
上記配合の戻りコンをアジテータ車で混練し、該練物をストックヤードに3日間放置して硬化させ、硬化物を得た。
3.粗砕・磨砕
上記硬化物を、ジョークラッシャーで粗砕し、40mm以下の粗砕物を得、次いで該粗砕物をスクリュー磨砕式処理装置で3回処理して、再生骨材を得た。
【0033】
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2で得た戻りコン硬化物の圧縮強度及び磨砕後の再生骨材の試験結果を表−1に示す。
なお、戻りコン硬化物の圧縮強度は複数箇所から採取したコア強度の値の幅を示している。
【0034】

【0035】
[実施例3]
上記実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2で製造した再生骨材、及び砕石を用いてコンクリートを製造し、そのコンクリートの性質を調べた。
再生骨材を用いた場合の配合は下記の通りである。
セメント 304 Kg/m(高炉セメントB種、太平洋セメント(株)製)
細骨材 746 Kg/m(静岡県小笠産陸砂)
再生骨材 1069 Kg/m(実施例1、2、比較例1、2参照)
水道水 152 Kg/m
AE減水剤 0.76 Kg/m(ポゾリスNo.70、エヌエムビー(株)製)
砕石を用いた場合の配合は下記の通りである。
セメント 300 Kg/m(高炉セメントB種、太平洋セメント(株)製)
細骨材 812 Kg/m(静岡県小笠産陸砂)
砕石 1043 Kg/m(茨城県岩瀬産砕石)
水道水 150 Kg/m
AE減水剤 0.75 Kg/m(ポゾリスNo.70、エヌエムビー(株)製)
【0036】
上記配合で、通常のコンクリートを製造する方法でコンクリートを製造し、スランプの経時変化、圧縮強度(材齢7日、28日)を測定した結果を表−2及び表−3に示す。
尚、試験方法は、下記に従った。
JIS A 1101 「コンクリートのスランプ試験方法」
JIS A 1108 「コンクリートの圧縮強度試験方法」
【0037】

【0038】

【0039】
上記試験結果に示した通り、本発明で提供する戻りコン硬化物から製造した再生骨材は、硬化物強度を所定の強度以下かつ同一になるよう凝結遅延剤等で調整している。そのため、比較例と比して硬化物強度は平均的に小さくなるとともに、その強度幅は小さくなる。(表1の結果「硬化物強度」から)
【0040】
再生骨材の原料となる硬化物の強度を所定以下かつ同一となるよう調整したため、実施例1および実施例2の再生骨材の製造は装置に負荷を与えず安定かつ効率よく“擦り揉み”効果が得られ、比較例と比してスクリュー磨砕式処理装置の処理回数が少ないにも係わらず、高品質な再生骨材を得ることができた(表−1の結果「絶乾密度」「吸水率」「実積率」から)。
【0041】
上記試験結果に示した通り、本発明で提供する戻りコン硬化物から製造した再生骨材を用いると、比較例と比して再生骨材の実積率が大きく、また付着モルタルが小さいために同一スランプを得るための単位水量が小さくなるとともに、コンクリートのスランプロスを低減することができる(表−1及び表−2の結果から)。
【0042】
また、本発明で提供する戻りコン硬化物から製造した再生骨材は、比較例と比して加圧試験の欠陥部となり易い付着モルタルが少ないため、硬化後の強度発現も良好である(表−1及び表−3の結果から)。
【0043】
上述したように、本発明で提供される再生骨材は、戻りコンを単に硬化後粉砕した再生骨材と比して良質な再生骨材を装置に過度の負荷をかけることなく安定的に製造でき、また砕石と比しても同等程度のフレッシュ性状(スランプロス性状)及び圧縮強度が得られることができ、コンクリート用骨材として十分に使用できるだけでなく、JIS A 5021の品質基準を満足するものである。
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、性能の異なる複数の戻りコン(呼び強度の異なる複数の戻りコン)を、一度に一括処理して高品質の再生骨材を製造することができ、極めて効率的・経済的である。
しかも、本発明で提供する戻りコン硬化物から製造した再生骨材は、JIS A 5021の品質基準に定める絶乾密度2.5以上、吸水率3.0%以下を満足するものである。
【0045】
また、従来産業廃棄物として処理していた戻りコンを再生骨材としてコンクリート等に使用できるので、生コン事業者の費用負担が軽減できると共に、資源の有効活用になる。
更に、複数の生コン事業者から出荷された戻りコンを特定の産業廃棄物処理業者の下に集めて、該産業廃棄物処理業者の施設内で戻りコンから再生骨材を製造すれば、効率的・経済的であり、特に零細な生コン事業者にあっては戻りコンの養生場所の確保、養生管理、粗砕・磨砕設備の設置及び設置場所の確保等の負担を生コン事業者が個々に負担する必要がなく極めて経済的メリットが大きい。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
戻りコンを一度硬化させた後、該硬化物を磨砕又は粗砕後磨砕して製造することを特徴とする再生骨材の製造方法。
【請求項2】
戻りコンに凝結遅延剤を添加し、所定の強度以下に一度硬化させることを特徴とする請求項1記載の再生骨材の製造方法。
【請求項3】
戻りコンに適正な量の水を後添加し、異なる配合の戻りコンの水セメント比を一定にさせることで、所定の強度以下かつ同一強度に硬化させることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の再生骨材の製造方法。
【請求項4】
被磨砕物がスクリュー磨砕式処理装置によって、被磨砕物表面に付着したモルタル分を磨砕により除去することを特徴とする請求項1、請求項2、及び請求項3記載の再生骨材の製造方法。
【請求項5】
複数の生コン事業者から出荷された戻りコンを特定の産業産廃処理業者の下に集めて、該産業産廃処理業者の施設内で戻りコンの硬化、及び磨砕又は粗砕後磨砕することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、及び請求項4記載の再生骨材の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の方法によって製造された再生骨材であって、絶乾密度が2.5g/cm3以上で、24時間吸水率が3.0質量%以下で、実積率が55%以上であることを特徴とする再生骨材。






【公開番号】特開2008−247679(P2008−247679A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92117(P2007−92117)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】