説明

写真プリント装置

【課題】感光材料を副走査方向に搬送しながら主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して走査露光部に送り込む感材供給機構と、マガジンから引き出された感光材料を画像サイズに切断するカッタと、走査露光部とカッタとの間に感光材料によるループを形成するループ形成部とを備え、ループ形成部は、カッタとループとの間に配置された送り込みローラ対を有する写真プリント装置において、ループが消滅する辺りのタイミングで画像部位に生じるバンディング状の欠点を抑制する。
【解決手段】送り込みローラ対43によって一旦下流側に送り出された感光材料Pの後端が、送り込みローラ対43のニップ位置に近接することを規制する近接規制手段43A,43Bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む感材供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部は、前記カッタと前記ループとの間に配置された送り込みローラ対を有する写真プリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の写真プリント装置としては、本発明に関連する先行技術文献情報として下記に示す特許文献1がある。すなわち、このような写真プリント装置において感光材料Pを正しく直角に切断するには少なくとも感光材料の局部を一時的に停止させて実施する必要がある。しかも、従来技術による写真プリント装置の構成例を示す図13(a)から理解されるように、画像サイズに対応した感光材料Pの適正長さが、カッタ42から走査露光部Gの露光ポイントEPまでの長さLを越える場合には、走査露光部Gでの露光実施中にカッタ42による切断を行う必要があるので、感光材料Pがカッタ42から走査露光部Gまで直線状に延ばされた状態で切断したのでは、この切断時の停止動作が走査露光部Gで形成される画像にバンディングと呼ばれる筋状の欠点を生じさせる虞がある。しかし、この特許文献1に記された写真プリント装置では、同じく図13(a)に示すように、カッタとループとの間に配置された送り込みローラ対で余分な長さの感光材料Pを下流側に送り込むことで、走査露光部Gとカッタ42との間に感光材料Pを弛ませたループを形成できるので、カッタ42付近での停止動作が画像に影響を及ぼし難くなっている。さらに、この特許文献1に記された写真プリント装置では、ループ形成時に感光材料Pを感光面側か基材面側かのいずれかの決まった側に弛ませるための手段として、ループ形成部に感光材料Pを少なくともその感光面と基材面の一方側から支持案内するガイド部材48を設けてあるので、感光材料Pが装置内の部品などと不用意に接触して損傷を受ける虞が抑制されている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−103806号公報(段落番号0042、0049、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記された写真プリント装置では、ループ形成部を設けてあるにも拘らず、送り込みローラ対によって、ループを形成し、さらに、適正長さを送り込んだ時点で感光材料をカッタで切断し、その間に走査露光部Gで露光を進行させ、最終的にループが消滅する辺りのタイミングで画像部位にバンディング状の欠点が生じるという現象が見られることがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上に例示した従来技術による写真プリント装置の持つ前述した欠点に鑑み、切断の動作中に発生するバンディング状の欠点のみならず、ループが消滅する辺りのタイミングで画像部位に生じるバンディング状の欠点をも抑制可能な写真プリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む感材供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部は、前記カッタと前記ループとの間に配置された送り込みローラ対を有する写真プリント装置であって、
前記送り込みローラ対によって一旦下流側に送り出された感光材料の後端が、前記送り込みローラ対のニップ位置に近接することを規制する近接規制手段が設けられている点にある。
【0007】
すなわち、出願人は、一般にマガジンMから引き出された感光材料Pは、感光面側と基材面側との間の特性の相違や長期間にわたってロール状に蓄積されている際に形成される巻き癖などに基づいてカールする傾向があることのみでなく、図12と13(b)に想像図を示すように、切断完了後に走査露光部Gでの露光の進行に伴ってループ形成部に位置するループが次第に小さくなり、ループが消滅して感光材料Pが略直線状になる瞬間に感光材料Pの後端が感光材料Pの復元力(カール癖とは逆向きのループ形状から略直線状に戻る際の復元力を指す)によって僅かながら勢い良く上流側に移動し、この時に感光材料Pの後端が、送り込みローラ対の間に挟まるように挙動するのではないかと推測した。
【0008】
そこで、感光材料Pの後端のこのような挙動を阻止する手段として、上記の請求項1に記された近接規制手段を設ければ、上述したようなバンディング状の欠点が解消されるという知見を得た。すなわち、一旦下流側に送り出された感光材料の後端が、たとえループが消滅する際の感光材料Pの復元力によって勢い良く上流側に移動しても、送り込みローラ対のニップ位置に近接することは近接規制手段によって物理的に規制されるために、送り込みローラ対の間に挟まる現象が生じ得ず、送り込みローラ対から抜け出る際のショックも発生せず、バンディング状の欠点が解消されたものと考えられるのである。
【0009】
本発明の他の特徴構成は、前記近接規制手段は、ローラ対を構成する2つのローラの間に形成される接線が感光材料の搬送面と交差するように傾斜配置された前記送り込みローラ対からなる点にある。
本構成によれば、ループが消滅する際に勢い良く上流側に移動する感光材料の後端は、仮にその部位がカール癖を有さない場合でも、この後端部位はローラ対を構成する2つのローラのニップから上下のいずれかに変位した位置に向かって突き当たるので、送り込みローラ対の間に挟まる現象が生じ難い。
【0010】
本発明の他の特徴構成は、前記送り込みローラ対は、前記送り込みローラ対によって下流側に送り出されたカール癖を持った感光材料の後端部位が形成する部分円筒形状を前記接線が貫通する方向に傾斜配置されている点にある。
本構成によれば、特に、ループが消滅する際に勢い良く上流側に移動する感光材料の後端の部位がカール癖を有する場合、この後端部位はローラ対を構成する2つのローラのニップから上下のいずれかに十分に変位した位置に向かって突き当たるので、送り込みローラ対の間に挟まる現象をより確実に抑制できる。
【0011】
本発明の他の特徴構成は、前記近接規制手段は、前記送り込みローラ対によって下流側に送り出されたカール癖を持った感光材料の後端部位が形成する部分円筒形状の凸部と対向するように前記送り込みローラ対の下流側に配置された補助ガイド部材からなる点にある。
本構成によれば、特に、ループが消滅する際に勢い良く上流側に移動する感光材料の後端の部位がカール癖を有する場合、この後端部位は補助ガイド部材によって、ローラ対を構成する2つのローラのニップから上下のいずれかに十分に変位した位置に偏向されるので、送り込みローラ対の間に挟まる現象を抑制できる。また、近接規制手段をこのような補助ガイド部材で構成すれば、送り込みローラ対を搬送面に対して傾斜させる必要がないので、傾斜した送り込みローラ対によって感光材料の先端がガイド板に押し付けられる傾向が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明による最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1及び図2に示す写真プリント装置は、暗箱構造の筐体10を有し、この筐体10の内部には、印画紙P(感光材料の一例)に露光を行う露光処理部Exと、露光済みの印画紙Pの現像処理を行う現像処理部Deと、この現像処理部Deからの印画紙Pを乾燥する乾燥処理部Drとを備え、この乾燥処理部Drで乾燥された印画紙Pを筐体10の端部の排出部11から排出し、搬送ベルト12で受け止めて水平方向に搬送し、複数のトレイ13Aの何れかにオーダ単位で回収可能なソータ13を備えている。露光処理部Exと現像処理部Deとの間には、露光処理部Exから送り出された印画紙Pを反転することで表裏を入れ換えた状態で現像処理部Deに手渡す縦搬送部CVが設けられている。また、筐体10の外部には、オペレータが画像データの取得と、プリント処理に必要な操作とを行う操作端末として機能するオペレート部Aが設置されている。
【0013】
(オペレート部A)
オペレート部Aには、操作テーブル20に設置された汎用コンピュータで成る画像処理装置21と、画像処理装置21の上面に設置されたディスプレイ22と、現像処理後の写真フィルムFのコマ画像から画像データを取得するフィルムスキャナ23と、2つのキーボード24と1つのマウス25とを備えている。画像処理装置21の前面にはコンパクトフラッシュ(登録商標)等各種の半導体型の記憶媒体(図示せず)、あるいは、CD−ROM、DVD、MO等の磁気式や光学式の記憶媒体(図示せず)等から画像データを取得する複数のメディアドライブ26を備えている。
【0014】
(縦搬送部CV)
図2に示すように、縦搬送部CVは、露光処理部Exで露光された印画紙Pを圧着型のローラ対15で受け取り、圧着型のローラ対の姿勢の変換によって表裏を入れ換え、ガイドレール16に沿って上方に搬送し、現像処理部Deに送り出す作動を行う。
【0015】
(現像処理部De・乾燥処理部Dr)
現像処理部Deは、発色現像槽と漂白定着槽と安定槽とで成る複数の処理槽を樹脂によって一体形成した現像処理槽30を備え、露光処理部Exから供給された印画紙Pを夫々の現像処理槽に搬送するように複数の圧着型の複数のローラ対を有した搬送機構31を備えている。また、乾燥処理部Drは、現像処理部Deから送り出された印画紙Pを搬送する複数の圧着ローラ対32と、この圧着ローラ対32で搬送される印画紙Pに対して加熱された乾燥空気を供給するブロワ33とを備えている。
【0016】
(露光処理部Ex)
露光処理部Exは、ロール状に巻き取られた印画紙Pを収容した印画紙マガジンMから印画紙Pを引き出して、水平方向に送り出す圧着型の供給搬送ローラ41と、供給搬送ローラ41から印画紙Pを受け取り、印画紙Pの先端付近を挟持したまま水平に移動する挟持搬送手段としてのチャッカーCと、チャッカーCの水平方向への移動によって、印画紙Pを受け取って露光操作を行う露光ユニットG(走査露光部の一例)とを備えている。供給搬送ローラ41とチャッカーCとの間には、供給搬送ローラ41から供給された印画紙PをチャッカーCに向けて送り込む排出ローラ対43(送り込みローラ対の一例)、及び、印画紙Pを露光ユニットGにて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッターユニット42が設けられている。
【0017】
露光ユニットGでは、露光搬送機構Gcによって印画紙Pを水平方向(副走査方向)に搬送しながら、露光ヘッドGhによって主走査方向に沿ったライン露光を行うように構成されている。
図3、図4及び図6に示すように、この露光処理部Exにおいて供給搬送ローラ41から露光ユニットGに印画紙を搬送する部位には、枠状のフレーム35を配置しており、供給搬送ローラ41、カッターユニット42、チャッカーCの作動系等は、このフレーム35に支持されている。この露光処理部Exには、この露光処理部Exでの印画紙Pの搬送、及び、露光ユニットGによる露光を制御するためにマイクロプロセッサーを有した露光制御手段としての制御ユニット36を備えている(図2を参照)。
【0018】
印画紙マガジンMは、ケース5の内部にロール状の印画紙Pを支持する巻芯6を備えると共に、印画紙Pに搬送力を作用させる圧着型のフィードローラ対7を備えている。図面には示していないが、ケース5の内部には巻芯6とフィードローラ対7とを連動して駆動回転するように複数のギヤを有した伝動系を備えており、印画紙マガジンMの外部にはフィードローラ対7の駆動軸に動力を伝えて印画紙Pの送り出しと、巻き戻しとを行うマガジンモータ8を備えている(図5を参照)。
【0019】
図3に示すように、供給搬送ローラ41には、互いに離間配置された一対の従動ローラ41Aが付勢手段によって圧着されており、供給搬送モータM41で駆動される。カッターユニット42は固定刃42Aと可動刃42Bとで構成され、可動刃42BはカッターモータM42で駆動される。排出ローラ対43は、排出モータM43によって駆動される下方の駆動ローラ43Aと、バネなどの付勢手段によって駆動ローラ43Aの外周面に押し付けられた従動ローラ43Bとからなる。
【0020】
図3、図4、図6及び図7に示すように、排出ローラ対43の付近には、供給搬送ローラ41から送り出される印画紙Pを排出ローラ対43に案内し、排出ローラ対43から送り出される印画紙Pを、後述する最も排出ローラ対43に近接した待機位置Q1にあるチャッカーCに案内する左右一対の上ガイドプレート45と下ガイドプレート46とが備えられている。これらの上ガイドプレート45と下ガイドプレート46とは、処理可能な最も幅広の印画紙Pを越える幅を備えており、印画紙Pの厚さより幾分広い距離を隔てた位置関係で配置されることで、排出ローラ対43から送り出された印画紙PをチャッカーCに向けて案内する。
【0021】
カッターユニット42と露光ユニットGとに挟まれる領域には、チャッカーCを水平方向に案内する一本のガイドロッド47が延びている。また、このガイドロッド47の下方には、ガイドロッド47と平行で水平となる姿勢で配置され、上方に開いたコの字状の断面を備えた上部ガイドフレーム48と、この上部ガイドフレーム48の下方に配置され、水平に延びた板状の断面を備えた下部ガイドフレーム49とを備えている。上部ガイドフレーム48と下部ガイドフレーム49とは、通常に処理される最も幅狭の印画紙Pを下回る幅を備えているので、特に幅広の印画紙Pを処理する際にはその中央部付近の限られた箇所のみを案内するが、印画紙Pの厚さより幾分広い距離を隔てた位置関係で配置されることで、両ガイドプレート48,49の間に、排出ローラ対43から送り出された印画紙Pを露光ユニットGに向けて送り出す真直ぐな搬送面TFを形成している。
【0022】
尚、下部ガイドフレーム49の上流側端部付近には、排出ローラ対43から送り出される印画紙Pの裏面側に補正データなどのコレクションバリューをプリントするためのバックプリントヘッド44が設けられている。
チャッカーCで印画紙Pを搬送する搬送経路の下側で、カッターユニット42と露光ユニットGとの中間の位置には、該印画紙Pを下方に弛ませた状態で収容するループ形成空間S(ループ形成部の一例)が配置されている。このループ形成空間Sは、フレーム35の底壁35Aを深くし、下部ガイドフレーム49の中央位置49Sをループ形成空間Sの底部に沿う側面視で逆台形を呈する形状に屈曲して形成したものであり、印画紙Pの搬送方向で、このループ形成空間Sの中央部位の底壁35Aが最も低レベルとなり、カッターユニット42の側と露光ユニットの側とに近接する位置の底壁35Aは、後述する露光ユニットGの露光ポイントEPにおける印画紙Pの搬送経路の高さレベルと等しいレベルとなる形状に設定されている。
【0023】
下部ガイドフレーム49のうち、カッターユニット42に近接する部位を挟む領域の両側部には幅の広い補助ガイドプレート51が配置されている。この補助ガイドプレート51は、ステンレス鋼板や樹脂板等、弾性変形自在な板材の一方の端部(印画紙Pの搬送方向で上流側の端部)をカッターユニット42の方向に向かわせることで、印画紙Pの搬送方向での上流側の端部を下ガイドプレート46の底面に対して弾性付勢力によって接触させ、他方の端部をフレーム35の底壁35Aに固定した片持ち状の構造を有している。
【0024】
補助ガイドプレート51は、上部ガイドフレーム48及び下部ガイドフレーム49と異なり、処理可能な最も幅広の印画紙Pを越える幅を備え、下ガイドプレート46からループ形成空間Sの底部に対して円滑に幅広の印画紙Pの後端の左右両端を案内する傾斜姿勢の案内面を形成している。チャッカーCがカッターユニット42の側(後述する待機位置Q1)に移動した場合には、このチャッカーCの底面が補助ガイドプレート51に接触して、この補助ガイドプレート51の上流側端部付近を押し下げて弾性変形させることで、チャッカーCが後述する待機位置Q1へ移動することを許している。
【0025】
(チャッカー)
図6に示すように、チャッカーCは、ガイドロッド47の長手方向にスライド移動自在に支持されたスライダ54と、このスライダ54に対して縦向き姿勢の揺動軸55周りで揺動自在に支持された支持アーム56とを有する。また、この支持アーム56の下部に連結し、印画紙Pの上面(感光面)に位置する左右一対の上部アーム57と、支持アーム56の両端部に連結し、印画紙Pの下面に位置する左右一対の下部アーム58とを設け、これらの上部アーム57と下部アーム58との間に印画紙Pを導入するスリット状の印画紙導入空間Tを形成している。上部アーム57と下部アーム58とのうち、印画紙Pの搬送方向で上流側には、印画紙導入空間Tに印画紙Pを案内する傾斜姿勢のガイド面57A、58Aを備えている(図8を参照)。
【0026】
上部アーム57はバネ59で下方に突出付勢された一対のチャックピン60を備えており、下部アーム58には、チャックピン60と対向する位置に接当ピン61を備えている。また、チャックピン60の上端に形成した操作ピン60Aに対して挟持解除方向に操作力を伝える挟持解除モータ62を支持アーム56の上面に備えている。このチャックピン60をバネ59の付勢力によって接当ピン61側に押し付けることによって、印画紙Pを挟み込む挟持機構が機能する。
【0027】
図4と図6に示すように、フレーム35の両側壁の部位には、印画紙Pの搬送方向に沿う姿勢となるガイドレール65を形成しており、夫々のガイドレール65の上面に接触するガイドローラ63を支持アーム56の両端に備えている。フレーム35の両側部の内面側には、ステッピングモータ型の駆動モータM66で駆動される駆動プーリ66と、遊転プーリ67とに亘って巻回した駆動ベルト68を配置しており、この左右の駆動ベルト68の一部には支持アーム56の両端が固定されている(図5を参照)。
【0028】
チャッカーCは、図3及び図8に示すように、駆動プーリ66の回転駆動に基づいて、排出ローラ対43から印画紙Pを受け取るための待機位置Q1と、露光搬送機構Gcに印画紙Pを受け渡すための排出位置Q2との間で往復移動自在に構成されている。待機位置Q1では上ガイドプレート45の端縁の一部と、下ガイドプレート46の端縁の一部とが、ガイド面57A、58Aに入り込み、また、排出位置Q2では図8に示す如く、チャッカーCの印画紙Pの搬送方向に関する下流側が露光ユニットGに隣接する。図4に示すように、フレーム35には、このチャッカーCを排出位置Q2に設定した際において、支持アーム56の両端位置を独立して検出する位置検出センサ69を設けてある。
【0029】
尚、チャッカーCの支持アーム56、上部アーム57、下部アーム58は、ガイドロッド47の長手方向に沿ってスライド移動自在であると同時に、揺動軸55の軸芯周りで一体的に揺動可能に構成されている。すなわち、露光処理部Exを構成する各ユニットどうしの組付け精度の問題から、排出ローラ対43からチャッカーCに印画紙Pを受け渡す際に印画紙Pの平面視における姿勢が不適正となる傾向、或いは、チャッカーCから露光ユニットGに対して受け渡す印画紙Pの平面視における姿勢が不適正となることがある。このような場合には、左右の駆動ベルト68の駆動量に僅かな差を作り出し、チャッカーCを揺動軸55周りで揺動させることにより、前述した不適正な姿勢を矯正する方向に印画紙Pの姿勢を変更して露光ユニットGに受け渡す処理を実現している。
【0030】
(露光ユニット)
図3に示すように、露光ユニットGは、印画紙Pの主走査方向に沿うライン露光を行う露光ヘッドGhと、この露光ヘッドGhの下方の露光位置において印画紙Pを搬送する露光搬送機構Gcとで構成されている。
露光ヘッドGhは、ここでは、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応した3種のレーザビームを、音響光学式の変調器から回転作動を行うポリゴンミラーに導き、このポリゴンミラーで反射させたレーザビームを更に、ミラー等の光学系を介して印画紙の感光面に導くことでライン露光を行うレーザ露光エンジンによって構成されている。
【0031】
露光搬送機構Gcは、第1駆動ローラ71と、第2駆動ローラ72と、第3駆動ローラ73とを印画紙Pの搬送方向に沿って、この順序で配置している。第1駆動ローラ71はチャッカーCからの印画紙Pが受け渡される位置に配置され、第2駆動ローラ72は、印画紙Pの搬送方向で露光位置より上流位置に配置され、第3駆動ローラ73は、印画紙Pの搬送方向で露光位置より下流位置に配置されている。
第1駆動ローラ71は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ71Aを備え、この第1駆動ローラ71の端部のプーリに巻回する無端ベルトV1を介して該第1駆動ローラ71を駆動する第1モータM1を備えている。
【0032】
従動ローラ71Aは揺動自在な支持体71Bに両端が支承されることで圧着状態と圧着解除状態とに切換え自在となっており、圧着方向に向けてバネ(図示せず)で付勢されている。また、図4に示すように、この従動ローラ71Aの一方の端部にはカムフォロア71Cを備えており、この従動ローラ71Aの近傍位置にはカムフォロア71Cに接当することで従動ローラ71Aを圧着状態と圧着解除状態とに切り換える回転カム74と、この回転カム74を駆動するカムモータM74とを備えている。
【0033】
第2駆動ローラ72は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ72Aを備え、第3駆動ローラ73は、圧着状態と圧着解除状態とに切り換え自在な従動ローラ73Aを備えている。第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73との端部に備えたプーリと中間プーリ75に亘って無端ベルトV2を巻回し、更に、この中間プーリの大径部に巻回する無端ベルトV3を駆動することにより、第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とを駆動する第2モータM2を備えている。
【0034】
従動ローラ72A、73Aは揺動自在な支持体72B、73Bに夫々の両端が支承されることで圧着状態と圧着解除状態とに切換え自在となり、圧着方向に向けてバネ(図示せず)で付勢されている。また、夫々の従動ローラ72A、73Aの一方の端部にはカムフォロア72C、73Cを備えており、夫々の従動ローラ72A、73Aの近傍位置にはカムフォロア72C、73Cに接当することで従動ローラ72A、73Aを圧着状態と圧着解除状態とに切り換える回転カム75、76と、夫々の回転カム75、76を駆動するカムモータM75、M76を備えている。
【0035】
制御ユニット36は、オペレート部Aで取得した画像データから露光ユニットGに供給すべき印画紙Pの搬送方向での長さ寸法を取得し、この長さ寸法が予め設定された値、すなわちカッターユニット42の刃先から露光ポイントEPまでの基準距離=L未満である場合には、ループ形成空間Sにて印画紙Pのループを形成することなく露光ユニットGで露光操作を行うループレスモードを選択し、印画紙Pの長さ寸法がL以上である場合には、ループ形成空間Sにて印画紙Pのループを形成させながら露光ユニットGで露光操作を行うループモードを選択するように処理形態が設定されている。以下では後者のループモードを中心に処理工程を説明する。
【0036】
(ループモード)
ループモードでは、先ず、挟持解除モータ62の駆動によってチャックピン60を解除状態に設定し、左右の駆動モータM66を同期駆動することで、チャッカーCを待機位置Q1にセットする。この状態においてマガジンモータ8の駆動によって印画紙マガジンMから印画紙Pを送り出し、この送り出しと連係して供給搬送モータM41を駆動することにより、印画紙マガジンMから送り出された印画紙Pを供給搬送ローラ41で水平方向に送り出し、カッターユニット42の部位を通過させる。
このように印画紙Pを水平方向に搬送することにより、図9(a)に示すように、カッターユニット42の部位を通過した印画紙Pの先端は、更に排出モータM43によって駆動される排出ローラ対43によって、上ガイドプレート45及び下ガイドプレート46の間を通過し、待機位置Q1に設定されているチャッカーCのチャックピン60と接当ピン61との間に進入させる。
【0037】
次に、図9(b)に示すように、制御ユニット36は、挟持解除モータ62の制御によってチャックピン60と、接当ピン61との間に印画紙Pの先端を挟持し、これに続いて、供給搬送モータM41と、排出モータM43と、左右の駆動モータM66を同期駆動することにより、印画紙Pを送り出すと同時にチャッカーCによって印画紙Pを水平方向に搬送する。尚、この水平搬送の途中の所定のタイミングで印画紙Pの基材面側にバックプリントヘッド44による画像関連情報バックプリントが行われる。
【0038】
尚、このように排出ローラ対43とチャッカーCとで印画紙Pを水平方向に搬送する際には、排出ローラ対43とチャッカーCとの間の印画紙Pに張力が作用しないように、排出ローラ対43による印画紙Pの排出速度を、チャッカーCによる印画紙Pの搬送速度より少し高速に設定している。
この搬送時には、図9(c)に示すように、制御ユニット36は、第1モータM1を駆動して回転カム74の姿勢を制御することにより、第1駆動ローラ71の従動ローラ71Aを予め圧着解除状態に設定しておき、印画紙Pの先端が第1駆動ローラ71と従動ローラ71Aとの間に進入した排出位置Q2でチャッカーCの移動を停止する。
【0039】
次に、印画紙Pの先端を第1駆動ローラ71と従動ローラ71Aとの間で圧着後、チャッカーCのチャックピン60を挟持状態から解除し、排出ローラ対43から印画紙Pの排出が継続的に行われると、上方向きの湾曲は上部ガイドフレーム48の回転ガイド部材80によって規制されているので、図8(a)及び図9(d)に示すように、印画紙Pの中央部が下方に垂れ下がったループがループ形成空間Sに形成される。
更に、第1モータM1で駆動される第1駆動ローラ71によって印画紙Pの搬送を開始する。第1駆動ローラ71での搬送を開始した直後には、カムモータM75を駆動して回転カム75の姿勢を制御することにより、第2駆動ローラ72の従動ローラ72Aを圧着解除状態に設定して印画紙Pの先端を受け入れる。
【0040】
ここで、図9(e)に示すように、この印画紙Pの先端を受け入れた直後に従動ローラ72Aを圧着状態に切り換え、この第1駆動ローラ71と第2駆動ローラ72の圧着力で印画紙Pの搬送を継続する。制御ユニット36は、搬送経路上に存在する印画紙Pの先端位置と後端位置とを把握しており、この搬送によって印画紙Pの先端位置が露光ポイントEPに進入する直前から露光ヘッドGhによるライン露光が開始される。また、走査露光開始後には、カムモータM76を駆動して回転カム76の姿勢を制御することにより、第3駆動ローラ73の従動ローラ73Aを予め解除状態に設定して印画紙Pの先端を受け入れる。
ライン露光が開始されても排出ローラ対43による印画紙Pの送り込みは継続され、供給搬送ローラ41が送り出した印画紙Pの長さが露光中の画像サイズに対応する長さに達すると、制御ユニット36は、ライン露光を継続したまま、供給搬送ローラ41と排出ローラ対43とによる印画紙Pの送り出しを一時停止し、カッターモータM42からの駆動力でカッターユニット42が印画紙Pを切断する。
【0041】
印画紙Pの先端が第3駆動ローラ73の圧着位置に達すると、この従動ローラ73Aを圧着状態に切り換え、この圧着と連係して第1駆動ローラ71の従動ローラ71Aを解除状態に切り換える。
尚、前述したカッターユニット42による印画紙Pの切断の直後には、排出モータM43を切断前の排出速度より高速で駆動させることで、図9(e)に示すように、ループ形成空間Sに印画紙Pのループが保持されたまま、印画紙Pの後端を排出ローラ対43から抜け出させる。切断された印画紙Pの後端は上ガイドプレート45と下ガイドプレート46との間に放置される。
【0042】
引き続き、第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とによるライン露光が進むのに従って、ループ形成空間Sにある印画紙Pのループは次第に小さくなり、最終的にループが完全に消滅する直前には、図9(f)に示すように、印画紙Pの後端が上流側に向かって勢い良く延びる現象が見られる。その後、図9(g)に示すように、切断された印画紙Pの後端が第2駆動ローラ72と第3駆動ローラ73とによって下流側に移動開始する。
尚、印画紙Pの後端がチャッカーCを抜け出ると、チャッカーCは次の画像処理のために待機位置Q1に戻される。
【0043】
(近接規制手段)
本発明の最大の特徴は、排出ローラ対43を構成する上方の従動ローラ43Bの軸芯が下方の駆動ローラ43Aの軸芯に対して下流側に変位配置されていることである(図10を参照)。言い換えれば、排出ローラ対43を構成する2つのローラ43A,43B(近接規制手段の一例)の間に形成される接線が、印画紙の搬送方向に関して排出ローラ対43よりも下流側で印画紙Pの搬送面TFと交差するように傾斜配置されている。
【0044】
すなわち、従来技術による写真プリント装置では、上述した、ライン露光の進行に伴って、最終的にループ形成空間Sにある印画紙Pのループが完全に消滅する直前に印画紙Pの後端が上流側に向かって勢い良く延びる時、図12及び図13(b)に例示するように、印画紙Pの後端が排出ローラ対43のニップ位置付近に進入して、排出ローラ対43によって僅かに把持され、印画紙Pの後端がこの把持状態から抜け出る際の摩擦抵抗がライン露光によって形成される画像にバンディングと呼ばれる欠点を生じさせる虞があった。
【0045】
しかし、本発明による写真プリント装置では、近接規制手段として、排出ローラ対43を構成する2つのローラ43A,43Bの共通接線が印画紙Pの搬送面TFと交差するように傾斜配置されているので、ループ形成空間Sでループが完全に消滅する直前に印画紙Pの後端が上流側に向かって勢い良く延びても、図9(f)及び図10に示すように、印画紙Pの後端は排出ローラ対43の下方のローラ43Aの斜め上方を向いた外周部位に押し当てられるので、排出ローラ対43のニップ位置付近に近接、進入する虞がない。
【0046】
すなわち、この実施形態では、マガジンMに収納されているロール状の印画紙Pは乳剤面を径方向外向きに巻かれているため、マガジンMから引き出された印画紙Pは、乳剤面を外側に持つ円筒状となるようなカール癖を持っている。そして、露光ユニットGは、上方に配置された露光ヘッドGhから下向きに出射される光ビームによって印画紙Pを露光処理するので、印画紙Pは乳剤面を上方に向けた状態で搬送される。したがって、図8(b)に示すように、カッタによって切断され、排出モータM43から抜け出た印画紙Pの後端部が示すカール癖は、搬送面TFよりも下方に位置する円筒の上方部分を形成するカール癖となる。そこで、ループ形成空間Sでループが完全に消滅する直前に印画紙Pの後端が上流側に向かって勢い良く延びる時、印画紙Pの後端は必然的に排出ローラ対43の下方のローラ43Aの斜め上方を向いた外周部位に押し当てられ、排出ローラ対43のニップ位置付近に進入する虞がないのである。
【0047】
排出ローラ対43の傾斜配置の方向については、排出ローラ対43から下流側に送り出されたカール癖を持った印画紙Pの後端部位が形成する部分円筒形状を、排出ローラ対43の共通接線が貫通する方向に傾斜配置されている。
尚、前記近接規制手段を、排出ローラ対43によって一旦下流側に送り出された印画紙Pの後端の端面を、排出ローラ対43のニップ位置よりも下流側に位置する周面と対向させる手段と定義することも可能である。
【0048】
尚、露光ユニットGに供給すべき印画紙Pの搬送方向での長さ寸法が、前述した基準距離=L未満である場合に実施されるループレスモードでは、印画紙Pを適正サイズに切断した後で露光ユニットGでの露光を開始することができるので、基本的に、切断のために行われる搬送の一時停止操作が形成される画像に影響を及ぼすことはない。
【0049】
〔別実施形態〕
近接規制手段として、送り込みローラ対43を傾斜させるのではなく、図11に例示するように、送り込みローラ対43によって下流側に送り出されたカール癖を持った印画紙Pの後端部位が形成する部分円筒形状の凸部と対向するように、送り込みローラ対の下流側に配置された補助ガイドローラ150(補助ガイド部材の一例)を設けても良い。補助ガイドローラ150は水平な軸芯回りで遊転自在に支持された軽量のローラである。或いは、補助ガイド部材は滑らかな凸状ガイド面を備えた回転不能なガイド部材であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】写真プリント装置の斜視図
【図2】写真プリント装置の縦断正面図
【図3】露光処理部の縦断正面図
【図4】露光処理部の印画紙搬送系を示す平面図
【図5】露光処理部の印画紙搬送系を示す斜視図
【図6】チャッカーの一部を切り欠いた側面図
【図7】印画紙搬送系に設けられたガイド部材の斜視図
【図8】印画紙搬送系の縦断正面図
【図9】ループモードでの搬送ルーチンのフローチャート
【図10】近接規制手段の作用を示す略図
【図11】別実施形態による近接規制手段の作用を示す略図
【図12】従来技術による送り込みローラ対を示す略図
【図13】従来技術による印画紙搬送系の縦断正面図
【符号の説明】
【0051】
P 印画紙(感光材料)
M 印画紙マガジン
Ex 露光処理部
De 現像処理部
Dr 乾燥処理部
A オペレート部
G 露光ユニット(走査露光部)
Gh 露光ヘッド
C チャッカー
EP 露光ポイント
S ループ形成空間(ループ形成部)
36 制御ユニット
41供給搬送ローラ
42 カッターユニット
43 排出ローラ対(近接規制手段)
44 バックプリントヘッド
45 上ガイドプレート
46 下ガイドプレート
47 ガイドロッド
48 上部ガイドフレーム
49 下部ガイドフレーム
57 上部アーム
58 下部アーム
60 チャックピン
68 駆動ベルト
150 補助ガイドローラ(補助ガイド部材、近接規制手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料を副走査方向に搬送しながら前記副走査方向と交差する主走査方向にライン状に露光を行う走査露光部と、長尺の感光材料を蓄積したマガジンから感光材料を引き出して前記走査露光部に送り込む感材供給機構と、前記マガジンから引き出された感光材料を前記走査露光部にて形成する画像サイズに対応した長さに切断するカッタと、前記走査露光部と前記カッタとの間に弛まされた感光材料によるループを形成可能なループ形成部とを備え、前記ループ形成部は、前記カッタと前記ループとの間に配置された送り込みローラ対を有する写真プリント装置であって、
前記送り込みローラ対によって一旦下流側に送り出された感光材料の後端が、前記送り込みローラ対のニップ位置に近接することを規制する近接規制手段が設けられている写真プリント装置。
【請求項2】
前記近接規制手段は、ローラ対を構成する2つのローラの間に形成される接線が感光材料の搬送面と交差するように傾斜配置された前記送り込みローラ対からなる請求項1に記載の写真プリント装置。
【請求項3】
前記送り込みローラ対は、前記送り込みローラ対によって下流側に送り出されたカール癖を持った感光材料の後端部位が形成する部分円筒形状を前記接線が貫通する方向に傾斜配置されている請求項2に記載の写真プリント装置。
【請求項4】
前記近接規制手段は、前記送り込みローラ対によって下流側に送り出されたカール癖を持った感光材料の後端部位が形成する部分円筒形状の凸部と対向するように前記送り込みローラ対の下流側に配置された補助ガイド部材からなる請求項1に記載の写真プリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−256767(P2007−256767A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82775(P2006−82775)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】