説明

写真処理装置

【課題】 3個又はそれ以上の所定数のマガジンが写真処理装置にセット可能な場合に、各マガジンの印画紙の品質低下を可及的に防止する。
【解決手段】 各マガジン11,12,13に収納される印画紙の残量情報を記憶する残量情報記憶部821と、残量比較部817と、各マガジンが装置にセットされた時点を特定する時間情報記憶部822と、時間情報記憶部822の時間情報から現在までの経過時間を算出する経過時間算出部816と、各経過時間の長短を比較する経過時間比較部818と、残量比較部817の判断結果に基づき、各印画紙の残量が異なるときは印画紙が最少のマガジンを選択し、各印画紙の残量が同一であるときは、経過時間比較部818の判断結果を用いて、経過時間が最長のマガジンを選択するマガジン選択部819とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印画紙が収容された複数の印画紙収納部から印画紙を搬出し、この印画紙上に写真画像を露光する写真処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印画紙が収納可能な2つのマガジンを備え、同種の印画紙が収納されている場合に、印画紙の残量が少ないマガジン又は印画紙の残量が同じであるときに、予め優先的な使用が決められたマガジンから、印画紙を繰り出して、所定寸法にカットした後、このカットされた印画紙片を搬送してプリント処理を行う写真処理装置が知られている。この場合、優先的な使用が決められたマガジンの印画紙が使い切られ、印画紙が補充されると、再度同じマガジンの印画紙が使用されることになり兼ねない。これが繰り返されると、他方のマガジンに収納された印画紙はいつまでも使用されず、経時変化によって品質が劣化するという問題点があった。
【0003】
また、マガジン内の印画紙の残量が所定量以下又は0になると、自動的に別のマガジンから印画紙を搬送してプリント処理を行う写真処理装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。この場合、2つのマガジンの印画紙を交互に使用することができ、印画紙の品質劣化を防止することができる。
【特許文献1】特開2001−166392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、最近では、デジタルプリントの普及に伴い、3つのマガジンを備えた写真処理装置も知られている。マガジンの個数が増える程、各マガジンに収納された印画紙の使用期限の管理を正確に行うことが必要となり、マガジンを交互に使用するだけでは、印画紙の品質劣化を確実に防止することができない。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであって、3個又はそれ以上の所定数の印画紙収容部がセット可能な場合に、各印画紙収容部の印画紙の品質低下を可及的に防止し、有効かつ、効率の良い印画紙の利用を実現し得る写真処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る写真処理装置は、印画紙が収容された複数の印画紙収容部が装置本体に装脱可能にされ、選択された印画紙搬送部から個別に印画紙を搬出し、この印画紙上に写真画像を露光する写真処理装置であって、印画紙の残量を前記印画紙収容部毎に検出する残量検出手段と、前記残量検出手段によって検出された各印画紙の残量を相互に比較する残量比較手段と、前記印画紙収容部が装置にそれぞれセットされた時点を特定する時間情報を取得する取得手段と、前記取得手段で取得されたそれぞれの時間情報から経過時間の長短を比較する経過時間比較手段と、前記残量比較手段の判断結果に基づき、各印画紙の残量が異なるときは印画紙の残量が最少の印画紙収容部を選択し、各印画紙の残量が同一であるときは、前記経過時間比較手段の判断結果を用いて、経過時間が最長の印画紙収容部を選択する選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、残量検出手段によって印画紙の残量が印画紙収容部毎に検出され、各印画紙の残量が残量比較手段によって相互に比較される。また、経過時間比較手段によって取得手段で取得されたそれぞれの時間情報から、経過時間の長短が比較される。そして、選択手段によって、残量比較手段の判断結果に基づき、印画紙の各残量が異なるときは印画紙の残量が最少の印画紙収容部が選択され、一方、各印画紙の残量が同一であるときは、経過時間比較手段の判断結果を用いて、経過時間が最長の印画紙収容部が選択される。従って、1つの印画紙収容部の使用が終わると他の印画紙収容部の中から経過期間が最長の印画紙収容部が優先的に使用されることとなり、各印画紙収容部の印画紙の品質低下が可及的に防止されることとなる。なお、印画紙の残量が異なるときは、経過時間比較手段の動作を省くようにしてもよい。
【0008】
本発明の請求項2に係る写真処理装置は、請求項1記載の写真処理装置において、前記複数の印画紙収容部は、少なくとも3個又はそれ以上であることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、複数の印画紙収容部が、少なくとも3個又はそれ以上の場合でも、1つの印画紙収容部の使用が終わると他の印画紙収容部の中から経過時間の最長の印画紙収容部が優先的に使用されることとなり、各印画紙収容部の印画紙の品質低下が可及的に防止されることとなる。特に設置可能な印画紙収容部の個数が多い装置については、各印画紙収容部がいわゆるサイクリック的な順で選択されることとなるので、この効果がより一層効果的となる。
【0010】
本発明の請求項3に係る写真処理装置は、請求項2記載の写真処理装置において、前記経過時間比較手段は、写真処理中に前記選択手段によって選択された印画紙収容部の印画紙の残量が無くなった場合、他の印画紙収容部に収容された印画紙の時間情報を比較することを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、選択手段によって選択された印画紙収容部の印画紙の残量が写真処理によって無くなった場合、経過時間比較手段によって、他の印画紙収容部に収容された印画紙の時間情報が比較され、このため選択手段によって他の(残りの)印画紙収容部のうちから経過時間が最長の印画紙収容部が選択される。これにより、写真処理中に1つの印画紙収容部の使用が終わると次に経過時間の長い印画紙収容部が選択され使用されることとなり、各印画紙収容部の印画紙の品質低下が可及的に防止されることとなる。また、印画紙収容部の補充や他の印画紙収容部から印画紙を供給するための切替操作を行わずに自動的に次に使用する印画紙収容部が選択されるので、作業の効率化が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に係る写真処理装置によれば、1つの印画紙収容部の使用が終わると他の印画紙収容部の中から経過時間が最長の印画紙収容部を選択し使用するので、各印画紙収容部の印画紙の品質低下を可及的に防止することができる。
【0013】
本発明の請求項2に係る写真処理装置によれば、少なくとも3個又はそれ以上の場合でも、1つの印画紙収容部の使用が終わると他の印画紙収容部の中から経過時間が最長の印画紙収容部を選択し使用するので、各印画紙収容部の印画紙の品質低下を可及的に防止することができる。特に設置可能な印画紙収容部の個数が多い装置については、各印画紙収容部がいわゆるサイクリック的な順で選択されることとなるので、この効果がより一層効果的となる。
【0014】
本発明の請求項3に係る写真処理装置によれば、写真処理中に1つの印画紙収容部の使用が終わると次に経過時間の長い印画紙収容部を選択するので、各印画紙収容部の印画紙の品質低下を可及的に防止することができる。また、印画紙収容部の補充や他の印画紙収容部から印画紙を供給するための切替操作を行わずに自動的に次に使用する印画紙収容部を選択するので、作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明に係る写真処理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】
写真処理装置は、撮影画像データや、画像のプリントサイズ、枚数等のプリント条件を入力するための入力画面などを表示するための表示部1と、所定の画像処理やプリント処理の指示を入力するためのキーボード、マウス等の入力部2と、印画紙の搬送路L上に設けられた楔形状の上切断刃302、下切断刃303からなるカッタ301を備え、マガジン11,12,13から送り出された印画紙を所定寸法にカットするカット部30と、印画紙の搬送路L上に設けられ、画像データを光信号に変換して、搬送中の印画紙片に露光する露光ヘッドを含む露光部40と、現像液の充填された液槽501を備え、露光部40で露光された印画紙片を液槽501内の現像液に浸漬させることにより、印画紙片上の画像を現像する現像処理部50と、装置本体に着脱可能に装着されるマガジン11,12,13のうち選択されたマガジンから印画紙を引き出し、搬送路Lに送り出す搬送ローラ対601、603,605及び搬送モータ602,604,606を備えた搬出部60と、各搬送モータ602,604,606を駆動するモータ駆動部70と、装置全体の動作を制御する制御部80とを備える。
【0017】
モータ駆動部70は、制御部80によってマガジン11からの印画紙の供給が指示された場合は、モータ602を駆動し、制御部80によってマガジン12からの印画紙の供給が指示された場合は、モータ604を駆動し、制御部80によってマガジン13からの印画紙の供給が指示された場合は、モータ606を駆動する。
【0018】
マガジンセンサ21、22,23は、それぞれマガジン11、12,13の装填位置に近接して設けられており、マガジン11、12、13から印画紙の種類等を特定する識別情報を読み取り、読み取った識別情報を制御部80に送信する。ここで、識別情報には、印画紙の種類を特定する情報、即ち、印画紙の幅寸法を特定するサイズ情報、印画紙の全長を特定する長さ情報、面質を特定するための品質情報等が含まれている。
【0019】
図2はマガジンの種類すなわち印画紙の種類を認識するための構造の一例を示す説明図である。マガジンカバー110の下面側(図では右側)の適所には遮光部材111が立設され、この遮光部材111に所定個数の本実施形態では5つの遮光体112、113…116が所定間隔で一列に配設されている。遮光体112、113…116は、それぞ長孔の略半分のサイズを有し、長孔に装着された状態で前後に(図では左右)にスライド可能にされている。マガジンセンサ21は、それぞれ発光素子と受光素子とが所定箇所において対向する所定数のフォトインタラプタ211、212、…、215がマガジン台210の上面側(図では左側)に遮光体112、113…116と同一の間隔で配列されており、マガジン11がマガジン台210に装着された状態で、上記フォトインタラプタ211、212、…、215の発光素子と受光素子との間に遮光体112、113…116がそれぞれ位置するようにされている。
【0020】
そして、遮光部材111の各遮光体112、113…116でそれぞれ遮光/透光のいずれであるかをセットでき、このセットにより印画紙をコード化して情報となすようにしている。図の例においては、例えば透光を「1」、遮光を「0」とすれば、「10010」という5桁のコード情報が得られる。この場合、例えば最初の2桁で印画紙の幅寸法(サイズ)を表し、次の2桁で印画紙の全長を表し、最後の1桁で面質を表すようにしてもよく、この関係は印画紙毎にコード情報と対応して予め制御部80の記憶部(例えばROM83)に登録されている。
【0021】
各フォトインタラプタ211、212、…、215には、図略の信号出力ラインがそれぞれ結線されており、制御部80はこれらの信号出力ラインを介して読み取られた識別情報を取り込むようになっている。マガジンセンサ22,23は、マガジンセンサ21と同一構造を有している。
【0022】
図3は、図1に示す写真処理装置のブロック構成図である。
【0023】
制御部80は、CPU81(Central Processing Unit)、CPU81の作業領域であるRAM82(Random Access Memory)、及び装置各部の動作を制御する処理プログラム、表示部1に表示される案内画面の画像データ等を記憶するROM83(Read Only Memory)を備える。
【0024】
RAM82は、残量情報記憶部821及び時間情報記憶部822を備える。残量情報記憶部821は、各マガジン11,12,13に収納される印画紙の残量情報を記憶するものである。時間情報記憶部822は、各マガジン11,12,13がそれぞれ装置にセットされた時点を特定する時間情報を記憶するものである。
【0025】
CPU81は、プリント条件受付部810、サイズ判定部811、残量設定部812、時間設定部813、時計814、残量算出部815、経過時間算出部816、残量比較部817、経過時間比較部818、マガジン選択部819及び印画紙検知部820を備える。プリント条件受付部810は、入力部2から入力される画像データのプリント枚数、プリントサイズ等のプリント条件データを受け付ける。サイズ判定部811は、入力部2から入力されたプリントサイズ情報と、マガジンセンサ21,22,23から受信した識別情報に含まれるサイズ情報とを比較し、プリントサイズに適合する、即ちプリントサイズの縦寸法と同一又は少なくとも大きい幅寸法を有する印画紙を収納するマガジンが装着されているか否かを判断するものである。
【0026】
残量設定部812は、各マガジン11,12,13が装置本体に装着された時に、マガジンセンサ21,22,23から受信した識別情報に含まれる長さ情報を各マガジン11,12,13を特定する識別情報と共に残量情報記憶部821に記憶する。時間設定部813は、各マガジン11,12,13が装置本体に装着されて、マガジンセンサ21,22,23から識別情報が受信された時の時刻を時計814から取り込んで、各マガジン11,12,13を特定する識別情報と共に時間情報記憶部822に記憶する。
【0027】
残量算出部815は、プリント条件受付部810によって受け付けたプリント条件データに含まれるプリントサイズとプリント枚数から、プリント処理によって使用される印画紙の長さを算出し、この算出値を残量情報記憶部821に記憶されるマガジン選択部819によって選択されたマガジンの印画紙の残量から減算して、印画紙の残量を更新するものである。なお、残量算出部815は、これに限定されず、各マガジン11,12,13の印画紙の実際の搬送量を各搬送モータ602,604,606の回転量等を利用して算出する態様でもよい。
【0028】
経過時間算出部816は、時間情報記憶部822に記憶されている各マガジン11,12,13の時間情報と、時計814から得られる現在の時刻から、逆算して各マガジン11,12,13が装置にセットされた時点、またはその時点からの経過時間を求めるものである。なお、経過時間算出部816は、これに限定されずに、時間情報記憶部822に記憶される各マガジン11,12,13の時間情報を記憶時点から所定時間単位で、例えば1時間毎に1ずつカウントアップするカウンタを有し、このカウンタ値から経過時間を求めるようにしてもよい。
【0029】
残量比較部817は、残量情報記憶部821に記憶されている各マガジン11,12,13の印画紙の残量を相互に比較するものである。経過時間比較部816は、経過時間算出部816によって得られた各マガジン11,12,13の経過時間を比較するものである。
【0030】
マガジン選択部819は、残量比較部817での(比較)判断結果に基づき、各マガジン11,12,13内の印画紙の残量が異なるときは印画紙の残量が最少のマガジンを選択し、一方、各マガジン内11,12,13内の印画紙の残量が同一であるときは、経過時間比較部818の判断結果を用いて、経過時間が最長のマガジンを選択する指示を行うものである。マガジン選択部819は、各マガジン11,12,13内の印画紙の残量が同一であり、かつ、各経過時間が同一の場合は、所定の順序に従ってマガジンを選択する。ここでは、マガジン選択部819は、例えば、印画紙の搬送経路が直線であり、搬送途中で印画紙が詰りにくいマガジン12を最初に選択し、次にマガジン11、13の順番で選択する。
【0031】
印画紙検知部820は、各マガジン11,12,13の印画紙の搬出口近傍にそれぞれ設けられて、搬送途中の印画紙の有無を検出するためのセンサ(図示省略)から信号を受信し、その信号の状態によって、マガジン11,12,13に印画紙が残っているか否かの検知を行うものである。
【0032】
なお、サイズ判定部811は、プリントサイズに適合し得るサイズの印画紙を収納したマガジンを特定し、残量算出部815、経過時間算出部816、残量比較部817、経過時間比較部818、マガジン選択部819による各処理は、適合したマガジンが2つ以上の場合にそれらのマガジン間で行われるようにするものである。
【0033】
図4はプリント開始時にCPU81により行われるマガジンの選択処理を示すフローチャートである。本実施形態では、印画紙の幅寸法,全長等が同一種類の3機のマガジン11,12,13が装置本体に装着され、各マガジン11,12,13の印画紙のサイズが入力部2によって入力されるプリントサイズに適合するものとする。
【0034】
表示部1には、フィルム等の記録媒体から取り込まれた画像データ、プリント枚数、及びプリントサイズ等のプリント条件を設定するための設定画面が表示され、入力部2によってプリント条件の設定操作及びプリント開始指示の入力操作が行われると、プリント条件受付部810によって設定されたプリント条件及びプリント開始指示が受け付けられる(ステップS1)。
【0035】
次に、残量比較部817によって残量情報記憶部821に記憶されている各マガジン11,12,13の印画紙の残量が相互に比較され、(ステップS3)、各印画紙の残量が同一であるか否かが判断される(ステップS5)。その結果、各印画紙の残量が異なるときは(ステップS5でNo)、マガジン選択部819によって印画紙の残量が最少のマガジンが選択される(ステップS7)。
【0036】
各印画紙の残量が同一であるときは(ステップS5でYes)、経過時間算出部816によって、各マガジン11,12,13の時間情報が時間情報記憶部822から読み出され、これらの時間情報及び時計814から得られた現在の時刻から各マガジン11,12,13が装置にセットされた時点から現在までの経過時間が求められる(ステップS9)。経過時間比較部818によって各マガジン11,12,13の経過時間が相互に比較され(ステップS11)、各経過時間が同一であるか否かが判断される(ステップS13)。各経過時間が異なるときは(ステップS13でNo)、マガジン選択部819によって、経過時間が最長のマガジンが選択され(ステップS15)、一方、各経過時間が同一のときは(ステップS13でYes)、マガジン選択部819によって、所定の順序に従ってマガジンが選択される(ステップS17)。
【0037】
続いて、残量算出部815によって、プリント条件受付部810によって受け付けたプリント条件データに含まれるプリントサイズとプリント枚数から印画紙の使用量が求められる(ステップS19)。さらに、残量算出部815によって、残量情報記憶部821に記憶されているマガジン選択部819により選択されたマガジンの印画紙の残量から印画紙の使用量が減算され、印画紙の残量の更新が行われる(ステップS21)。
【0038】
このように複数のマガジン11,12,13に収納される各印画紙の残量を比較し、各印画紙の残量が異なるときは印画紙が最少のマガジンを選択し、各印画紙の残量が同一であるときは、各マガジン11,12,13の経過時間を比較し、経過時間の長いマガジンを選択するので、1つのマガジンの使用が終了すると、残りのマガジンの中から経過時間が長いマガジンを優先的に使用することができ、各マガジン11,12,13の印画紙の品質低下を可及的に防止することができる。
【0039】
次に、写真処理中にマガジン選択部819によって選択されたマガジンの印画紙の残量が無くなった場合のCPU81の処理について説明する。経過時間算出部816は、マガジン選択部819によって選択されたマガジン、例えばマガジン11の印画紙の残量が写真処理中に無くなったことが印画紙検知部820によって検知された場合、他の2つのマガジン12,13の時間情報を時間情報記憶部822から読み出し、これらの時間情報及び時計814から得られた現在の時刻から各マガジン12,13が装置にセットされた時点から現在までの経過時間を求める。経過時間比較部818は、経過時間算出部816によって算出された2つのマガジン12,13の経過時間を相互に比較する。
【0040】
図4は、写真処理中にマガジン選択部819によって選択された例えばマガジン11の印画紙の残量が無くなった場合のCPU81の処理を示すフローチャートである。印画紙検知部820によってマガジン選択部819によって選択されたマガジン11の印画紙が無くなったか否かが判断され(ステップS51)、印画紙が無くなった時点(ステップS51でYes)でステップS53に進む。ステップS53において、経過時間算出部816によって、他の2つのマガジン12,13の時間情報が時間情報記憶部822から読み出され、これらの時間情報及び時計814から得られた現在の時刻から各マガジン12,13が装置にセットされた時点から現在までの経過時間が求められる。そして、経過時間比較部818によって、経過時間算出部816によって得られた2つのマガジン12,13の経過時間が相互に比較され(ステップS55)、2つのマガジン12,13の経過時間が同一であるか否かが判断される(ステップS57)。その結果、2つのマガジン12,13の経過時間が異なるときは(ステップS57でNo)、マガジン選択部819によって、経過時間が長いマガジンが選択され(ステップS61)、2つのマガジン12,13の経過時間が同一のときは(ステップS57でYes)、マガジン選択部819によって、所定の順序に従ってマガジンが選択される(ステップS59)。
【0041】
続いて、残量算出部815によって、プリント条件受付部810によって受け付けたプリント条件データに含まれるプリントサイズとプリント枚数から印画紙の使用量が求められる(ステップS63)。残量算出部815によって、残量情報記憶部821に記憶されているマガジン選択部819により選択されたマガジンの印画紙の残量から印画紙の使用量が減算され、印画紙の残量の更新が行われる(ステップS65)。
【0042】
このように、写真処理中にマガジン選択部819によって選択されたマガジン11の印画紙の残量が無くなった場合は、他のマガジン12,13の経過時間を相互に比較し、経過時間の長いマガジンを選択するので、1つのマガジンの使用が終わると次に経過時間の長いマガジンを使用するという、いわゆるサイクリック的な使用が実現し得るので、各マガジン11,12,13の印画紙の品質低下を可及的に防止することができる。また、マガジンの補充や他のマガジンから印画紙を供給するための切替操作を行わずに自動的に次に使用するマガジンを選択するので、作業の効率化を図ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、プリントサイズに適合する幅寸法の印画紙を有する3個のマガジンが装置本体に装着されているが、例えば2つのマガジンのみがプリントサイズに適合する場合は、この2つのマガジンに対し本発明を適用することも可能である。
【0044】
また、本実施形態では、装置本体に3個のマガジンが装着可能であるが、装着可能なマガジンの個数はこれに限らず、4個以上でもよく、又は2個の場合でも本発明の適用は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る写真処理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】マガジンの種類すなわち印画紙の種類を認識するための構造を示す説明図である。
【図3】図1に示す写真処理装置のブロック構成図である。
【図4】プリント開始時にCPUにより行われるマガジンの選択処理を示すフローチャートである。
【図5】写真処理中にマガジン選択部によって選択されたマガジンの印画紙の残量が無くなった場合のCPUの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 表示部
2 入力部
11,12,13 マガジン
21,22,23 マガジンセンサ
30 カット部
40 露光部
50 現像処理部
60 搬出部
601,603,605 搬送ローラ対
602,604,606 搬送モータ
70 モータ駆動部
80 制御部
81 CPU
810 プリント条件受付部
811 サイズ判定部
812 残量設定部
813 時間設定部
814 時計
815 残量算出部
816 経過時間算出部
817 残量比較部
818 経過時間比較部
819 マガジン選択部
820 印画紙検知部
82 RAM
821 残量情報記憶部
822 時間情報記憶部
83 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印画紙が収容された複数の印画紙収容部が装置本体に装脱可能にされ、選択された印画紙搬送部から個別に印画紙を搬出し、この印画紙上に写真画像を露光する写真処理装置であって、
印画紙の残量を前記印画紙収容部毎に検出する残量検出手段と、
前記残量検出手段によって検出された各印画紙の残量を相互に比較する残量比較手段と、
前記印画紙収容部が装置にそれぞれセットされた時点を特定する時間情報を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得されたそれぞれの時間情報から経過時間の長短を比較する経過時間比較手段と、
前記残量比較手段の判断結果に基づき、各印画紙の残量が異なるときは印画紙の残量が最少の印画紙収容部を選択し、各印画紙の残量が同一であるときは、前記経過時間比較手段の判断結果を用いて、経過時間が最長の印画紙収容部を選択する選択手段とを備えたことを特徴とする写真処理装置。
【請求項2】
前記複数の印画紙収容部は、少なくとも3個又はそれ以上であることを特徴とする請求項1記載の写真処理装置。
【請求項3】
前記経過時間比較手段は、写真処理中に前記選択手段によって選択された印画紙収容部の印画紙の残量が無くなった場合、他の印画紙収容部に収容された印画紙の時間情報を比較することを特徴とする請求項2記載の写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−184771(P2006−184771A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−380628(P2004−380628)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】