説明

冷凍冷蔵装置

【課題】商品載置棚に載置した商品を所望の温度状態に良好に保持することができる冷凍冷蔵装置を提供すること。
【解決手段】前面に開口が形成されたプレハブ倉庫の収納陳列域4に上下方向に沿って複数段設けられ、それぞれ前端部が商品搬出口42aを形成し、かつそれぞれ後端部が収納陳列域4の後方域の収容搬送域6に連通する商品搬入口42bを形成する態様で収納対象となる商品を載置する複数の商品載置棚42を備え、商品載置棚42に載置された商品を冷凍若しくは冷蔵状態で保持するようにした冷凍冷蔵倉庫2において、常態においては商品搬入口42bを閉塞して商品搬出口42a側から流入する空気が商品搬入口42bを通過することを規制する一方、収容搬送域6から商品搬入口42bに商品が搬入される場合には、商品に押圧されて自身が変形し、商品の通過を許容する規制手段を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍冷蔵装置に関し、より詳細には、例えば物流センターや配送センター等に構築される冷凍冷蔵ピッキングシステムに適用される冷凍冷蔵倉庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば物流センターや配送センター等に構築されるピッキングシステムは、冷凍冷蔵倉庫と、冷凍冷蔵倉庫から取り出された商品を搬送する搬送装置とを備えている。冷凍冷蔵倉庫の庫内には、冷凍冷蔵倉庫の前面開口を臨むように複数の棚装置が配置されるとともに、庫内を保冷するための冷却装置が備えてある。
【0003】
棚装置は、複数段の傾斜棚で構成されている。傾斜棚は、それぞれ前端部が前面開口に連通する商品搬出口を形成し、かつそれぞれ後端部が商品を搬入するための商品搬入口を形成している。また、棚装置の作業スペース側先端部には、配送対象となる商品の保管位置ランプ等により示すとともにピッキング数を示す表示器が配設してある。
【0004】
そして、冷凍冷蔵倉庫の前面開口を構成する壁の内側に冷気エアカーテンを生成する第1送風装置を備えるとともに、該壁の外側に外気エアカーテンを生成する第2送風装置を備えている。第1送風装置及び第2送風装置は、床面に向けて略垂直方向に沿って冷気又は外気を吹き出すものであり、冷凍冷蔵倉庫の床面には、第1送風装置に対応する吸気装置が設置されている。また、前面下側開口には、吸気装置の高さよりも高い位置まで下部断熱壁が立設してある。
【0005】
第1送風装置及び第2送風装置の吹出口近傍には、整流部材として断熱パネルが設けられている。断熱パネルは、側断面視略台形状で、下側に向かって漸次細くなるように庫内側が傾斜面となっている。また、棚装置の作業スペース側上部先端から第1送風装置までの間の隙間には区画板が設けられている。
【0006】
このように構成された冷凍冷蔵倉庫の内部においては、複数の冷却装置により吹き出された冷気が冷凍冷蔵倉庫内を冷却するとともに、区画板により規制されて第1送風装置に送出される。第1送風装置は、庫内の冷気を下方に向けて吹き出し、冷凍冷蔵倉庫内の床に設置された吸気装置で吸い込むことにより、冷凍冷蔵倉庫の前面開口に冷気エアカーテンが形成され、吸気装置を経て庫内に吹き出されることにより、冷凍冷蔵倉庫内が摂氏−10℃等の所定温度に保冷される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−90619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上述したような特許文献1に提案されている冷凍冷蔵倉庫(冷凍冷蔵装置)においては、棚装置のそれぞれの傾斜棚により形成される商品搬入口及び商品搬出口が開放された状態であるために、吹出口より下方に向けて吹き出された冷気等が商品搬出口から進入し、商品搬入口を通じて棚装置の後方域に送出してしまういわゆるショートサーキットと称される現象が生じてしまうことがあった。このようなショートサーキットが生じてしまうと、棚装置を構成する上段側の傾斜棚への冷気の流量が増加して下段側の傾斜棚への冷気の流量が減少してしまうために商品の冷却ムラが生ずる虞れがある。また、冷凍冷蔵倉庫の前面開口に所望の冷気エアカーテンを形成することができず、外気遮断性能が著しく損なわれる結果、棚装置への外気の進入を許容し、商品の冷却不良を生ずる虞れがあった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品載置棚に載置した商品を所望の温度状態に良好に保持することができる冷凍冷蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る冷凍冷蔵装置は、前面に開口が形成された筐体である装置本体と、前記装置本体の内部において前記開口を臨む収納陳列域に上下方向に沿って複数段設けられ、それぞれ前端部が前記開口に連通する商品搬出口を形成し、かつそれぞれ後端部が前記収納陳列域の後方域の収容搬送域に連通する商品搬入口を形成する態様で収納対象となる商品を載置する複数の商品載置棚と、前記装置本体の前記収納陳列域の前方域における前記開口近傍の上部に配設された吹出口から下方に向けて空気を吹き出し、前記開口近傍の下部に配設された吸込口を通じて前記吹出口から吹き出された空気を吸い込み、かつ該吸込口から吸い込んだ空気を前記収納陳列域の下方域、前記収容搬送域及び前記収納陳列域の上方域を順次通過させて前記吹出口に送出することによって空気を循環させる空気循環手段と、前記空気循環手段により循環させる空気を所望の温度に調整する温度調整手段とを備え、前記商品載置棚に載置された商品、並びに前記収容搬送域に収容された商品を冷凍若しくは冷蔵状態で保持するようにした冷凍冷蔵装置において、常態においては前記商品搬入口を閉塞して前記商品搬出口側から流入する空気が前記商品搬入口を通過することを規制する一方、前記収容搬送域から前記商品搬入口に商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する規制手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項2に係る冷凍冷蔵装置は、上述した請求項1において、前記規制手段は、前記商品搬入口に進退移動可能となる態様で前記商品載置棚を支持する一対の側板間に揺動可能に配設され、常態においては付勢手段に付勢されて前記商品搬入口に進出移動して起立姿勢となる一方、前記商品搬入口に搬入された商品に押圧された場合には前記付勢手段による付勢力に抗して商品搬入口から退避移動して倒置姿勢となり該商品の通過を許容する風防部材と、前記商品搬入口の上部を構成する部材に基端部が取り付けられ、先端部が起立姿勢にある前記風防部材に当接可能なカーテン部材とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項3に係る冷凍冷蔵装置は、上述した請求項2において、前記カーテン部材は、上下方向に沿って延在するスリットが形成されてすだれ状をなすことを特徴とする。また、前記カーテン部材は、フレキシブルな材質で構成されていることが好ましい。これにより、商品の有無や大きさに応じて形状を可変することができ、商品搬入口、あるいは商品搬出口から冷気がショートサーキットしてしまうことを防止することができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に係る冷凍冷蔵装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、常態においては、前記商品載置棚の上方域を前後に区画して前記商品搬出口側から流入する空気が通過することを規制する一方、前記収容搬送域から前記商品搬入口に商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する他のカーテン部材を備えたことを特徴とする。また、前記他のカーテン部材は、透明な材質で構成されていることが好ましい。これにより、商品載置棚の上方域を前後に区画した場合でも、他のカーテン部材よりも奥側に位置する商品を目視で確認することができる。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る冷凍冷蔵装置は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、常態においては、前記装置本体の前面開口を閉塞して外気が該前面開口を通過することを規制する一方、前記商品搬出口から商品が搬出される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する他のカーテン部材を備えたことを特徴とする。このように他のカーテン部材で装置本体の前面開口を閉塞することにより、空気循環手段がなくても、冷凍冷蔵装置の冷却が可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、規制手段が、常態においては商品搬入口を閉塞して商品搬出口側から流入する空気が商品搬入口を通過することを規制する一方、収容搬送域から商品搬入口に商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容するので、吹出口から吹き出された空気(冷気)が商品搬出口から進入して商品搬入口を通過するいわゆるショートサーキットという現象が生ずる虞れがなく、これにより上段側の商品載置棚への冷気の流量が増加して下段側の商品載置棚への冷気の流量が減少してしまうことによる商品の冷却ムラが生ずることを抑制することができ、また冷凍冷蔵装置の前面開口に所望の冷気エアカーテンを形成することができ、外気の進入を規制して商品の冷却不良が生ずることを抑制することができる。従って、商品載置棚に載置した商品を所望の温度状態に良好に保持することができるという効果を奏する。
【0016】
また、他のカーテン部材で装置本体の前面開口を閉塞することにより、冷気エアカーテンがなくても商品を冷却することが可能になり、外気の進入を規制して商品の冷却不良が生ずることを抑制することができる。従って、商品載置棚に載置した商品を所望の温度状態に良好に保持することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である冷凍冷蔵装置が冷凍冷蔵倉庫として適用された冷凍冷蔵ピッキングシステムを模式的に示すものであり、一部を断面で示した模式図である。
【図2】図2は、図1に示した冷凍冷蔵倉庫を示す断面側面図である。
【図3】図3は、図2に示した冷凍冷蔵倉庫の内部構造の要部を示す断面側面図である。
【図4】図4は、図2及び図3に示した陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【図5】図5は、図2及び図3に示した陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態である冷凍冷蔵倉庫の変形例における陳列・ピッキング部の構成を示す断面側面図である。
【図7】図7は、図6に示した陳列・ピッキング部の要部を示す断面側面図である。
【図8】図8は、図4及び図6に示した風防部材の変形例を示すものであり、陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【図9】図9は、図4及び図6に示した風防部材の変形例を示すものであり、陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【図10】図10は、図4及び図6に示した風防部材の他の変形例を示すものであり、陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【図11】図11は、図4及び図6に示した風防部材の他の変形例を示すものであり、陳列・ピッキング部における商品搬入口近傍の構成を拡大して示す拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷凍冷蔵装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である冷凍冷蔵装置が冷凍冷蔵倉庫として適用された冷凍冷蔵ピッキングシステムを模式的に示すものであり、一部を断面で示した模式図である。ここで例示する冷凍冷蔵ピッキングシステムは、配送センターの建屋1の内部に構築されており、商品が陳列された冷凍冷蔵倉庫(冷凍冷蔵装置)2と、積載された商品を搬送するセンターコンベア3とにより構成してあり、冷凍冷蔵倉庫2に陳列された商品は、オペレータによって取り出され、センターコンベア3に積載される。
【0020】
図1中の冷凍冷蔵ピッキングシステムは、センターコンベア3を中央に配置し、その両側に冷凍冷蔵倉庫2を配置することにより、一のセンターコンベア3を効率的に運用できるようになっている。
【0021】
図2は、図1に示した冷凍冷蔵倉庫を示す断面側面図であり、図3は、図2に示した冷凍冷蔵倉庫の内部構造の要部を示す断面側面図である。
【0022】
冷凍冷蔵倉庫2は、配送センターの建屋1の内部に構築されたプレハブ倉庫(装置本体)であって、プレハブ断熱材で構成してある。この冷凍冷蔵倉庫2は、前方領域を収納陳列域4とし、後方領域を収容搬送域6としている。収納陳列域4は、床から天井までの高さが例えば2メートル50センチメートル程度であり、前面が開口し、商品を陳列する陳列・ピッキング部41の設置を可能にしている。
【0023】
収容搬送域6は、床から天井までの高さが例えば3メートル50センチメートル程度であり、大型の設備機械(例えば、後述する商品投入搬送装置)の設置を可能にしている。
【0024】
そして、収納陳列域4の天井と収容搬送域6の天井との間に生じる隙間は、垂直な壁体21で塞がれ、該壁体21は、収納陳列域4と収容搬送域6との間の段差を形成している。
【0025】
図2に示すように、収納陳列域4には、複数台(本実施の形態においては8台)の陳列・ピッキング部41が横並びとなる態様で設置してある。陳列・ピッキング部41は、商品を保管するピッキング用棚装置であって、前面及び後面が開口している。
【0026】
図3に示すように、陳列・ピッキング部41には、上下方向に沿って複数段(本実施の形態においては4段)の商品載置棚42が架設してある。商品載置棚42は、後方から前方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して架設してあり、それぞれ前端部が冷凍冷蔵倉庫2の前面開口に連通する商品搬出口42aを形成し、かつそれぞれ後端部が収容搬送域6に連通する商品搬入口42bを形成している。このような商品載置棚42には、ローラ部材421(図4参照)が回転可能に設けられており、商品搬入口42bを通じて投入された商品を転動又は滑走させて前方に搬送させ、前方から後方に向けて投入された商品を順次収納するものである。また、商品載置棚42は、複数種類の商品の収納が可能であって、その前端部には、商品種類に対応してLED表示パネル43が立設してある。
【0027】
また、図3に示すように、最上段となる商品載置棚42の上方となる収納陳列域4の天井には、後方から前方に延在するダクト45が配設してある。ダクト45は、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口に低温のエアカーテンを生成するためのものであり、後端が開口している。この後端開口の近傍には送風ファン46が配設してある。送風ファン46は、陳列・ピッキング部41の奥方、すなわち冷凍冷蔵倉庫2の収容搬送域6から空気を導入するものである。
【0028】
ダクト45の内部は、上下に仕切られ、下側がインナーダクト47を構成し、上側がミドルダクト48を構成するようになっている。そして、ダクト45に導入された空気は、インナーダクト47とミドルダクト48に分配される。
【0029】
インナーダクト47は、分配された空気を冷却し、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口内側に低温(例えば摂氏−30℃)のエアカーテンを生成するためのもので、インナーダクト47の内部には、蒸発器471が設置してあり、ダクト45の後端開口から導入され、分配された空気は、蒸発器471の周囲を通過する際に摂氏−30℃程度まで冷却されることになる。
【0030】
インナーダクト47は、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口内側において前端が下方に向かって開口している。この前端開口(吹出口)には、冷気吐出口を構成するハニカム472が取り付けてあり、ハニカム472を通過した空気は整流され、下方に向かって流れることになる。
【0031】
ミドルダクト48は、分配された空気を冷凍冷蔵倉庫2の前面開口内側であって、インナーダクト47が生成するエアカーテンよりも外側に低温(例えば摂氏−25℃)のエアカーテンを生成するためのものであり、インナーダクト47の外側であって、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口内側において前端が下方に向かって開口している。この前端開口(吹出口)には、冷気吐出口を構成するハニカム481が取り付けてあり、ハニカム481を通過した空気は整流され、下方に向かって流れることになる。
【0032】
また、収納陳列域4の天井前縁には、下方に延在するアウターダクト49が配設してある。アウターダクト49は、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口外側に室温のエアカーテンを生成するものであり、上方端と下方端とが開口している。この上方端開口の近傍には、アウターファン491が配設してある。このアウターファン491は、稼働させると配送センターの建屋1から空気を導入するものである。また、下方端開口(吹出口)には、空気吐出口を構成するハニカム492が取り付けてあり、ハニカム492を通過した空気は整流され、下方に向かって流れることになる。
【0033】
最下段となる商品載置棚42の前方にリターングリル(吸込口)50が形成される態様で、フロントパネル51が床に立設してある。リターングリル50は、インナーダクト47の前端開口及びミドルダクト48の前端開口と対向するように形成され、インナーダクト47の前端開口及びミドルダクト48の前端開口から供給され、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口にエアカーテンを生成した空気を回収するものである。
【0034】
また、最下段となる商品載置棚42の下方には、吸気ファン52が傾斜する態様で取り付けてあり、リターングリル50から回収された空気を収納陳列域4から収容搬送域6に送出する構成を採用している。
【0035】
図2に示すように、収容搬送域6の床には、前方から後方に延在するダクト61が配設してある。ダクト61は、リターングリル50から回収された空気を収容搬送域6に循環させるためのものであり、前端が最下段となる商品載置棚42と収納陳列域4の床との間に形成された開口に対向し、開口している。また、後端は冷凍冷蔵倉庫2の奥壁近傍まで延在して開口している。また、ダクト61の出口近傍となる内部には、循環ファン62が配設してある。循環ファン62は、最下段となる商品載置棚42と収納陳列域4との間から送出された空気を吸い込み、奥壁に沿って循環させるようになっている。尚、本発明の実施の形態における冷凍冷蔵倉庫2では循環ファン62が配設してあったが、本発明においては、かかる循環ファン62は必須の構成要素ではなく、必ずしも配設する必要はない。
【0036】
図2に示すように、収容搬送域6の天井には、複数台(本実施の形態では3台)のクーリングコイル63が据え付けてある。クーリングコイル63は、供給された空気を冷却して送出するものであり、上述した商品載置棚42に均等に冷却した空気を送出するように、均等に配設してある。クーリングコイル63は、空気が通過する際に摂氏−25℃程度まで冷却するものである。またクーリングコイル63の空気送出能力は、ダクト45に配設した送風ファン46の数倍の能力を有している。
【0037】
図3に示すように、アウターダクト49の下方端外側には、ナイトカバー71と照明装置72とが並設してある。ナイトカバー71は、ロールスクリーンのように、巻き上げることにより収納可能なカバーであって、冷凍冷蔵ピッキングシステム稼働中に収納し、稼働を停止した場合に降ろすことにより、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口を塞ぐことができるように構成してある。照明装置72は、例えば蛍光灯であって、冷凍冷蔵ピッキングシステム稼働中は点灯し、稼働を停止した場合に消灯するものである。
【0038】
これらナイトカバー71と照明装置72とは、傘体73によって覆われている。傘体73の前面には、照明装置72を点灯あるいは消灯させるスイッチ(図示せず)が設けてある。このスイッチは、アウターファン491と連動しており、照明装置72を点灯させた場合にアウターファン491が駆動され、照明装置72を消灯させた場合にアウターファン491を停止させるようになっている。
【0039】
収容搬送域6には、図2に示すように、冷凍冷蔵倉庫2に商品を搬入するための商品搬入コンベア64、搬入した商品を一時保管する商品一時保管棚、商品一時保管棚から上述した陳列・ピッキング部41に商品を投入する商品投入搬送装置66が設置してある。
【0040】
上述した構成を有する冷凍冷蔵倉庫2においては、上記構成の他に、図4及び図5に示すように、風防部材81及び第1カーテン部材82が配設してある。
【0041】
風防部材81は、例えば鋼板等からなる板状体であり、各商品載置棚42の後方側に揺動可能となる態様で冷凍冷蔵倉庫2を形成する一対の側板12間に架設してある。この風防部材81は、左右に突出する軸部811が上記側板12の係合孔(図示せず)に挿通することにより、該軸部811の軸心回りに(図4中の矢印方向に沿って)揺動可能、すなわち商品搬入口42bに進退移動可能となるものである。このような風防部材81は、図示しないバネ等の付勢手段により付勢されて、図4に示すように商品搬入口42bに進出移動して起立姿勢に保持されている。
【0042】
第1カーテン部材82は、例えばビニールやポリエステルフィルム等のような柔軟な素材で製作されており、商品搬入口42bの上部を構成する部材、すなわち商品載置棚42やダクト45に先端部821が自由端となる態様で基端部822が取り付けてある。この第1カーテン部材82は、風防部材81が起立姿勢にある場合に、先端部821が該風防部材81に当接するのに十分な長さを有している。より詳細には、第1カーテン部材82の長さ、すなわち基端部822から先端部821への長さは、商品搬入口42bの上下方向の長さよりは短く、かつ起立姿勢にある風防部材81とともに商品搬入口42bを閉塞するのに十分な大きさを有している。第1カーテン部材82の長さを商品搬入口42bの上下方向の長さよりも短くしたことにより、第1カーテン部材82の先端部がローラ部材421に巻き込まれる虞れがない。
【0043】
このような第1カーテン部材82には、例えば100mm〜200mm程度の幅毎に上下方向に延在するスリット(図示せず)を形成してあり、すだれ状の形態をなしている。
【0044】
以上のような構成を有する冷凍冷蔵倉庫2において、クーリングコイル63、送風ファン46、吸気ファン52、循環ファン62、アウターファン491を稼働すると、クーリングコイル63の周囲を通過した空気は、摂氏−25℃程度まで冷却され、送風ファン46に空気が均等に供給される。
【0045】
送風ファン46に供給された空気は、インナーダクト47とミドルダクト48とに分配される。インナーダクト47に分配された空気は、蒸発器471の周囲を通過する際に摂氏−30℃程度まで冷却され、前端開口からリターングリル50に向けて流れることにより、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口内側に摂氏−30℃程度のエアカーテンを生成する。一方、ミドルダクト48に分配された空気は、前端開口からリターングリル50に向けて流れることにより、インナーダクト47が生成するエアカーテンよりも外側に摂氏−25℃程度のエアカーテンを生成する。
【0046】
一方、アウターファン491を稼働することにより、配送センターの建屋1から導入された空気は、上述したエアカーテンに沿って流れ、エアカーテンを生成する空気の乱れを抑制する。
【0047】
他方、リターングリル50から回収された空気は、吸気ファン52及び循環ファン62によって、奥方に送出され、奥壁に沿って循環する。そして、奥壁に沿って循環した空気は、再び、クーリングコイル63に供給される。このように循環され、クーリングコイル63、蒸発器471によって冷却された空気は、冷凍冷蔵倉庫2の内部を冷却する。これにより、送風ファン46、吸気ファン52及び循環ファン62は、吹出口から下方に向けて空気を吹き出し、吸込口を通じて吹出口から吹き出された空気を吸い込み、かつ該吸込口から吸い込んだ空気を収納陳列域4の下方域、収容搬送域6及び収納陳列域4の上方域を順次通過させて吹出口に送出することによって空気を循環させる空気循環手段を構成している。また、クーリングコイル63や蒸発器471は、空気循環手段により循環させる空気を所望の温度に調整する温度調整手段を構成している。
【0048】
そして、このような冷凍冷蔵倉庫2においては、商品搬入口42bのそれぞれを風防部材81及び第1カーテン部材82が閉塞していることにより、商品搬出口42a側から流入した空気が商品搬入口42bを通過することを規制することができる。これによりショートサーキットが生ずることを抑制することが可能になる。
【0049】
ところで、図5に示すように収容搬送域6から商品搬入口42bに商品Wが搬入される場合には、該商品Wに押圧されて、風防部材81が付勢手段の付勢力に抗して該商品搬入口42bから退避移動して倒置姿勢となり、かつ第1カーテン部材82が変形することにより、該商品Wの通過を許容する。これにより、風防部材81及び第1カーテン部材82は、常態においては商品搬入口42bを閉塞して商品搬出口42a側から流入する空気が商品搬入口42bを通過することを規制する一方、収容搬送域6から商品搬入口42bに商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する規制手段を構成している。
【0050】
以上のような構成を有する冷凍冷蔵倉庫2によれば、風防部材81及び第1カーテン部材82が、常態においては商品搬入口42bを閉塞して商品搬出口42a側から流入する空気が前記商品搬入口42bを通過することを規制する一方、収容搬送域6から商品搬入口42bに商品Wが搬入される場合には、該商品Wに押圧されて自身が変形し、該商品Wの通過を許容するので、吹出口から吹き出された空気(冷気)が商品搬出口42aから進入して商品搬入口42bを通過するいわゆるショートサーキットという現象が生ずる虞れがなく、これにより陳列・ピッキング部41を構成する上段側の商品載置棚42への冷気の流量が増加して下段側の商品載置棚42への冷気の流量が減少してしまうことによる商品の冷却ムラが生ずることを抑制することができ、また、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口に所望の冷気エアカーテンを形成することができ、外気の進入を規制して商品の冷却不良が生ずることを抑制することができる。従って、商品載置棚42に載置した商品を所望の温度状態に良好に保持することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0052】
図6及び図7は、それぞれ本発明の実施の形態である冷凍冷蔵倉庫の変形例を示すもので、図6は陳列・ピッキング部の構成を示す断面側面図であり、図7は、図6に示した陳列・ピッキング部の要部を示す断面側面図である。尚、上述した実施の形態である冷凍冷蔵倉庫と同一の構成を有するものには同一の符号を付してその説明を省略する。これら図6及び図7に示す冷凍冷蔵装置(冷凍冷蔵倉庫)では、上述した冷凍冷蔵倉庫2の構成要素の他に、第2カーテン部材(他のカーテン部材)83を備えている。
【0053】
第2カーテン部材83は、第1カーテン部材82と同様に、例えばビニールやポリエステルフィルム等のような柔軟な素材で製作されている。この第2カーテン部材83は、図6に示すように商品載置棚42の上方域を前後に区画する中間位置において、先端部831が自由端となる態様で基端部832が上方の商品載置棚42やダクト45に取り付けてある。この第2カーテン部材83の基端部832から先端部831への長さは、該商品載置棚42までの長さよりも僅かに短いもので、先端部831が該商品載置棚42に接しない程度に調整してある。このような第2カーテン部材83には、例えば100mm〜200mm程度の幅毎に上下方向に延在するスリット(図示せず)を形成してあり、すだれ状の形態をなしている。
【0054】
上記商品搬入口42bから搬入された商品Wは、商品載置棚42の上面を転動又は滑走する。そして、図7に示すように、該商品Wに押圧されて、第2カーテン部材83が変形することにより、該商品の通過を許容する。通過した商品Wは、前方から後方に向けて商品載置棚42の上面に順次収納される。その後、オペレータにより必要な商品Wが商品搬出口42aから搬出されることになる。
【0055】
このような構成によれば、第2カーテン部材83が、商品載置棚42の上方域を前後に区画する中間位置において、常態においては、商品搬出口42a側から流入する空気が通過することを規制する一方、収容搬送域6から商品搬入口42bに商品Wが搬入される場合には、該商品Wに押圧されて自身が変形し、該商品Wの通過を許容するので、前面開口から進入する外気により第2カーテン部材83よりも後方側に位置する商品が加熱されることを有効に防止することができ、これにより第2カーテン部材83よりも後方側にある商品が外気により冷却されることを良好に回避することが可能になる。しかも第2カーテン部材83よりも前方側にある商品をエアカーテンにより冷却すればよく、冷却促進が可能になるとともに、冷却能力を必要以上に大きくしないので、省エネルギー化を図ることができる。
【0056】
ここで例示した第2カーテン部材83は、商品載置棚42の上方域を前後に区画する中間位置に配設されるものであったが、本発明においては、第2カーテン部材(他のカーテン部材)は、常態においては、冷凍冷蔵倉庫2の前面開口を閉塞する一方、商品搬出口(42a)から商品を取り出す場合には、該商品、あるいは作業者の腕に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する態様で設けてあってもよい。これによれば、冷凍冷蔵倉庫2の収納陳列域4と収容搬送域6の双方の冷却をクーリングコイル63のみにより行うことが可能であり、冷気エアカーテンを形成する必要がないばかりか、この冷気エアカーテンに付随する冷却装置(蒸発器471等)を省略可能になり、省エネルギー化と低コスト化とを図ることができる。
【0057】
また、上述した実施の形態における風防部材81は、一の板状体により構成されるものであったが、図8に示すように、本発明の規制手段を構成する風防部材81′は、2つの板状体を軸部材812で連結してなる構成を有するものであってもよい。このような構成においては、一の板状体の左右に突設された軸部811が一対の側板12に形成された係合孔(図示せず)に挿通するとともに、軸部材812の両端が該側板12に形成された長孔(図示せず)に挿通することにより、該側板12間に架設されることになる。そして、このような風防部材81′は、図示せぬ付勢手段により付勢されて商品搬入口42bに進出移動して図示のような起立姿勢となる。その一方、商品搬入口42bに商品Wが搬入された場合には、図9に示すように商品搬入口42bから退避移動して倒置姿勢となり、該商品Wの通過を許容することになる。このような構成によっても上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。特にこのような構成によれば、風防部材81′に対して垂直方向の負荷が作用した場合にも良好に退避移動して倒置姿勢になることが可能である。
【0058】
また、上述した実施の形態における風防部材81は、鋼板等から構成されるものであったが、図10に示すように例えばゴムや樹脂等からなる弾性体により形成される風防部材81”であってもよい。このような構成によれば、図11に示すように、商品搬入口42bに商品Wが搬入された場合に、自身の弾性力により商品搬入口42bから退避移動して該商品Wの通過を許容することができ、該商品Wの通過後には、自身の弾性力により復元して商品搬入口42bの閉塞に供することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
2 冷凍冷蔵倉庫
3 センターコンベア
4 収納陳列域
6 収容搬送域
41 陳列・ピッキング部
42 商品載置棚
42a 商品搬出口
42b 商品搬入口
45 ダクト
46 循環ファン
47 インナーダクト
471 蒸発器
48 ミドルダクト
49 アウターダクト
491 アウターファン
50 リターングリル
52 吸気ファン
63 クーリングコイル
81 風防部材
811 軸部
82 第1カーテン部材
821 先端部
822 基端部
83 第2カーテン部材
831 先端部
832 基端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成された筐体である装置本体と、
前記装置本体の内部において前記開口を臨む収納陳列域に上下方向に沿って複数段設けられ、それぞれ前端部が前記開口に連通する商品搬出口を形成し、かつそれぞれ後端部が前記収納陳列域の後方域の収容搬送域に連通する商品搬入口を形成する態様で収納対象となる商品を載置する複数の商品載置棚と、
前記装置本体の前記収納陳列域の前方域における前記開口近傍の上部に配設された吹出口から下方に向けて空気を吹き出し、前記開口近傍の下部に配設された吸込口を通じて前記吹出口から吹き出された空気を吸い込み、かつ該吸込口から吸い込んだ空気を前記収納陳列域の下方域、前記収容搬送域及び前記収納陳列域の上方域を順次通過させて前記吹出口に送出することによって空気を循環させる空気循環手段と、
前記空気循環手段により循環させる空気を所望の温度に調整する温度調整手段と
を備え、前記商品載置棚に載置された商品、並びに前記収容搬送域に収容された商品を冷凍若しくは冷蔵状態で保持するようにした冷凍冷蔵装置において、
常態においては前記商品搬入口を閉塞して前記商品搬出口側から流入する空気が前記商品搬入口を通過することを規制する一方、前記収容搬送域から前記商品搬入口に商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する規制手段を備えたことを特徴とする冷凍冷蔵装置。
【請求項2】
前記規制手段は、
前記商品搬入口に進退移動可能となる態様で前記商品載置棚を支持する一対の側板間に揺動可能に配設され、常態においては付勢手段に付勢されて前記商品搬入口に進出移動して起立姿勢となる一方、前記商品搬入口に搬入された商品に押圧された場合には前記付勢手段による付勢力に抗して商品搬入口から退避移動して倒置姿勢となり該商品の通過を許容する風防部材と、
前記商品搬入口の上部を構成する部材に基端部が取り付けられ、先端部が起立姿勢にある前記風防部材に当接可能なカーテン部材と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍冷蔵装置。
【請求項3】
前記カーテン部材は、上下方向に沿って延在するスリットが形成されてすだれ状をなすことを特徴とする請求項2に記載の冷凍冷蔵装置。
【請求項4】
常態においては、前記商品載置棚の上方域を前後に区画して前記商品搬出口側から流入する空気が通過することを規制する一方、前記収容搬送域から前記商品搬入口に商品が搬入される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する他のカーテン部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷凍冷蔵装置。
【請求項5】
常態においては、前記装置本体の前面開口を閉塞して外気が該前面開口を通過することを規制する一方、前記商品搬出口から商品が搬出される場合には、該商品に押圧されて自身が変形し、該商品の通過を許容する他のカーテン部材を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の冷凍冷蔵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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