説明

冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物

【課題】HFC−134aよりも地球温暖化係数の低い冷媒を含み、且つ、冷凍機油の熱・化学的安定性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の冷凍機用作動流体組成物は、芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物と、テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒とを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオゾン層破壊の問題から、従来冷凍空調機器の冷媒として使用されてきたCFC(クロロフルオロカーボン)及びHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)が規制の対象となり、これらに代わってHFC(ハイドロフルオロカーボン)が冷媒として使用されている。
【0003】
HFC冷媒用の冷凍機油としては、HFC冷媒と相溶するものとしてポリアルキレングリコール(特許文献1を参照)、エステル(特許文献2を参照)、炭酸エステル(特許文献3を参照)、ポリビニルエーテル(特許文献4を参照)等、HFC冷媒と相溶しないものとしてアルキルベンゼン、(特許文献5,6を参照)等がある。特に、カーエアコン等の分野では、HFC−134aと上記の含酸素油との組み合わせによる実用化がなされている。
【特許文献1】特開平02−242888号公報
【特許文献2】特開平03−200895号公報
【特許文献3】特開平03−217495号公報
【特許文献4】特開平06−128578号公報
【特許文献5】特開平08−027478号公報
【特許文献6】特開平08−027479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、オゾン層破壊の問題に加えて地球温暖化の問題が深刻化してきており、さらに地球温暖化係数の低い冷媒が求められるようになってきている。HFC−134aはオゾン破壊係数(ODP:Ozone−Depleting Potential)は0であるものの、地球温暖化係数(GWP : Global. Warming Potential)が1,300と高い。
【0005】
そこで、HFC−134aの代替冷媒の検討が進められているが、上述したCFC及びHCFCからHFCへの冷媒代替化の例をみても分かるように、冷媒ごとに最適な冷凍機油を選定することは必ずしも容易ではない。
【0006】
冷媒代替化に伴う冷凍機油の開発を困難としている要因の一つとして、冷凍機油には潤滑油としての基本性能に加えて冷媒相溶性が求められることが挙げられる。
【0007】
つまり、冷凍空調機器の冷媒循環システムにおいては、その機構上、冷媒圧縮機内の冷凍機油の一部が冷媒と共に循環流路に吐出されるため、冷媒圧縮機内の冷凍機油の量が不足することによる潤滑不良等を防ぐためには、吐出された冷凍機油が循環流路を通って冷媒圧縮機に戻ること(オイル戻り性)が重要である。
【0008】
そのため、HFC−134a用冷凍機油としてはポリアルキレングリコール、エステル、炭酸エステル、ポリビニルエーテル等が用いられているが、これらの含酸素油の熱・化学的安定性は必ずしも十分とはいえない。
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、HFC−134aよりも地球温暖化係数の低い冷媒を含み、且つ、冷凍機油の熱・化学的安定性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物と、テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒とを含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物を提供する。
【0011】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるテトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒は、HFC−134aに比べて地球温暖化係数が低いものである。そして、かかる冷媒と芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物とを組み合わせることにより、冷凍機油の熱・化学的安定性と冷媒相溶性とを両立することができるようになる。
【0012】
なお、本発明にかかる「芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物」にはアルキルベンゼンが包含されるが、本発明の冷凍機用作動流体組成物は上述の通り相溶系の流体組成物であり、HFC−134aとアルキルベンゼンとの組み合わせのような非相溶系の流体組成物とは根本的に異なるものである。
【0013】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、テトラフルオロプロペン冷媒として、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)及び1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1225ye)から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、HFC−134aよりも地球温暖化係数の低い冷媒を含み、且つ、冷凍機油の熱・化学的安定性と冷媒相溶性とを両立することが可能な冷凍機用作動流体組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物(以下、「本発明にかかる芳香族化合物」という。)と、テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒とを含有する。
【0017】
本発明にかかる芳香族化合物が有する芳香族環は1環でも多環でもよく、また環が縮合していてもよい。芳香族環の数は任意であるが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1又は2である。また、芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基の数は1でも2以上でもよいが、好ましくは1〜4である。アルキル基及びアルキレン基は直鎖でも分岐でもよいが、冷媒相溶性及び安定性の面から、アルキル基は分岐であることが好ましい。
【0018】
本発明にかかる芳香族化合物の好ましい例としては、具体的には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルビフェニル、ジフェニルアルカンなどがあげられる。
【0019】
アルキルベンゼンとしては、冷凍システムの長期信頼性の面から、下記のアルキルベンゼン(A)及び/又はアルキルベンゼン(B)であることが好ましい。
アルキルベンゼン(A):炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が9〜19であるアルキルベンゼン(より好ましくは、炭素数1〜15のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜15であるアルキルベンゼン)
アルキルベンゼン(B):炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつそのアルキル基の合計炭素数が20〜40であるアルキルベンゼン(より好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜30であるアルキルベンゼン)。
【0020】
アルキルベンゼン(A)が有する炭素数1〜19のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含む)、エイコシル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。このアルキル基としては直鎖状であっても、分枝状であっても良いが、安定性、粘度特性等の点から分枝状アルキル基が好ましく、特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
【0021】
また、アルキルベンゼン(A)中のアルキル基の個数は1〜4個であるが、安定性、入手可能性の点から1個又は2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物が最も好ましく用いられる。
【0022】
また、アルキルベンゼン(A)としては、単一の構造のアルキルベンゼンだけでなく、炭素数1〜19のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が9〜19であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であっても良い。
【0023】
また、アルキルベンゼン(B)が有する炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含む)、イコシル基(すべての異性体を含む)、ヘンイコシル基(すべての異性体を含む)、ドコシル基(すべての異性体を含む)、トリコシル基(すべての異性体を含む)、テトラコシル基(すべての異性体を含む)、ペンタコシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサコシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタコシル基(すべての異性体を含む)、オクタコシル基(すべての異性体を含む)、ノナコシル基(すべての異性体を含む)、トリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘントリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ドトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、トリトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、テトラトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ペンタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキサトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘプタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、オクタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ノナトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、テトラコンチル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。このアルキル基としては直鎖状であっても、分枝状であっても良いが、安定性、粘度特性等の点から分枝状アルキル基が好ましく、特に入手可能性の点から、プロピレン、ブテン、イソブチレン等のオレフィンのオリゴマーから誘導される分枝状アルキル基がより好ましい。
【0024】
また、アルキルベンゼン(B)中のアルキル基の個数は1〜4個であるが、安定性、入手可能性の点から1個又は2個のアルキル基を有するアルキルベンゼン、すなわちモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、又はこれらの混合物が最も好ましく用いられる。
【0025】
また、アルキルベンゼン(B)としては、単一の構造のアルキルベンゼンだけでなく、炭素数1〜40のアルキル基を1〜4個有し、かつアルキル基の合計炭素数が20〜40であるという条件を満たすアルキルベンゼンであれば、異なる構造を有するアルキルベンゼンの混合物であっても良い。
【0026】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるアルキルベンゼンの粘度は特に限定されないが、その40℃における動粘度は、好ましくは3〜100mm/s、より好ましくは4〜80mm/s、さらに好ましくは5〜70mm/sである。
【0027】
本発明で用いられるアルキルベンゼンの製造方法は任意であり、何ら限定されるものでないが、一般に以下に示す合成法によって製造できる。
【0028】
原料となる芳香族化合物としては、具体的には例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ジエチルベンゼン、及びこれらの混合物等が用いられる。またアルキル化剤としては、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン等の低級モノオレフィン、好ましくはプロピレンの重合によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;ワックス、重質油、石油留分、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱分解によって得られる炭素数6〜40の直鎖状又は分枝状のオレフィン;灯油、軽油等の石油留分からn−パラフィンを分離し、これを触媒によりオレフィン化することによって得られる炭素数6〜40の直鎖状オレフィン;及びこれらの混合物等が使用できる。
【0029】
またアルキル化の際のアルキル化触媒としては、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のフリーデルクラフツ型触媒;硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸、活性白土等の酸性触媒;等の公知の触媒が用いられる。
【0030】
また、アルキルナフタレンとしては、一般式(1)で表される化合物が好ましく用いられる。
【化1】


[上記一般式(1)中、R、R、R及びRは同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40の炭化水素基を示し、かつR、R、R及びRの合計炭素数が1〜40である。]
【0031】
一般式(1)中のR、R、R及びRは、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40、好ましくは1〜30の炭化水素基を示している。ここでいう炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)中のR、R、R及びRが示す炭化水素基として好ましいものとしては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基、直鎖状又は分岐状のペンチル基、直鎖状又は分岐状のヘキシル基、直鎖状又は分岐状のヘプチル基、直鎖状又は分岐状のオクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基;エテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−メチルエテニル基(イソプロペニル基)、直鎖状又は分岐状のブテニル基、直鎖状又は分岐状のペンテニル基、直鎖状又は分岐状のヘキセニル基、直鎖状又は分岐状のヘプテニル基、直鎖状又は分岐状のオクテニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ビニルフェニル基等の炭素数6〜8のアリール基又はアルカリール基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)等の炭素数7〜8のアラルキル基;などが挙げられる。さらにこの中でも、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数2〜8のアルケニル基が特に好ましく、最も好ましくは、これらのうち分岐状のものである。
【0033】
一般式(1)のR、R、R及びRの合計炭素数は1〜40であり、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8である。この範囲内であれば、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。すなわち、式(1)のアルキルナフタレンとしては、R、R、R及びRがすべて炭化水素基であるものでもよく、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つが炭化水素基であり他は水素原子であってもよい。この中でも、冷媒との相溶性の点から、R、R、R及びRのうち1〜3個が炭化水素基で他は水素原子であり、かつその合計炭素数が3〜8のものが好ましい。
【0034】
、R、R及びRのうち2つが炭化水素基である場合、その組み合わせは任意であり、RとRが炭化水素基であるような、同じ縮合環(ベンゼン環)に2つの炭化水素基が結合しているものでもよく、また、RとRが炭化水素基であるような、異なる縮合環(ベンゼン環)にそれぞれ1つずつの炭化水素基が結合しているものでもよい。
【0035】
一般式(1)で表されるアルキルナフタレンとして好ましいものとしては、具体的には例えば、(n−プロピル)ナフタレン、イソプロピルナフタレン、(n−ブチル)ナフタレン、イソブチルナフタレン、(sec−ブチル)ナフタレン、(tert−ブチル)ナフタレン、(sec−ペンチル)ナフタレン、(1−エチルプロピル)ナフタレン、(tert−ペンチル)ナフタレン、(1−メチルペンチル)ナフタレン、(1−エチルブチル)ナフタレン、(1,1−ジメチルブチル)ナフタレン、(1−エチル−1−メチルプロピル)ナフタレン、(1−メチルヘキシル)ナフタレン、(1−エチルペンチル)ナフタレン、(1−プロピルブチル)ナフタレン、(1,1−ジメチルペンチル)ナフタレン、(1−エチル−1−メチルブチル)ナフタレン、(1,1−ジエチルプロピル)ナフタレン、(1−メチルヘプチル)ナフタレン、(1−エチルヘキシル)ナフタレン、(1−プロピルペンチル)ナフタレン、(1,1−ジメチルヘキシル)ナフタレン、(1−エチル−1−メチルペンチル)ナフタレン、(1−メチル−1−プロピルブチル)ナフタレン、(1,1−ジエチルブチル)ナフタレン、エチルメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、メチル(n−プロピル)ナフタレン、メチルイソプロピルナフタレン、ジ(n−プロピル)ナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、(n−ブチル)メチルナフタレン、イソブチルメチルナフタレン、(sec−ブチル)メチルナフタレン、(tert−ブチル)メチルナフタレン、ジ(n−ブチル)ナフタレン、ジイソブチルナフタレン、ジ(sec−ブチル)ナフタレン、ジ(tert−ブチル)ナフタレン、トリメチルナフタレン、トリエチルナフタレン、エチルジメチルナフタレン、ジエチルメチルナフタレン、ジメチル(n−プロピル)ナフタレン、ジメチルイソプロピルナフタレン、メチルジ(n−プロピル)ナフタレン、メチルジイソプロピルナフタレン、(n−ブチル)ジメチルナフタレン、イソブチルジメチルナフタレン、(sec−ブチル)ジメチルナフタレン、(tert−ブチル)ジメチルナフタレン、フェニルナフタレン、トリルナフタレン、キシリルナフタレン、(エチルフェニル)ナフタレン、(ビニルフェニル)ナフタレン、ベンジルナフタレン、フェネチルナフタレン、(1−フェニルエチル)ナフタレン等が挙げられる。
【0036】
なお、アルキルナフタレンとしては、単一の構造の化合物だけでなく、一般式(1)を満たすものであれば、異なる構造を有する化合物の混合物であっても良い。
【0037】
本発明で用いられるアルキルナフタレンの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できる。この例としては例えば、炭素数1〜10の炭化水素のハロゲン化物や、炭素数2〜10のオレフィン類又は炭素数8〜10のスチレン類を硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質及び塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ナフタレンへ付加する方法等が挙げられる。
【0038】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるアルキルナフタレンの粘度は特に限定されないが、その40℃における動粘度は、好ましくは2〜500mm/s、より好ましくは2.3〜300mm/s、さらに好ましくは3〜200mm/sである。
【0039】
また、アルキルビフェニルとしては、一般式(2)で表される化合物が好ましく用いられる。
【化2】


[上記一般式(2)中、R、R、R及びRは同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40の炭化水素基を示し、かつR、R、R及びRの合計炭素数が1〜40である。]
【0040】
一般式(2)中のR、R、R及びRは、同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40、好ましくは1〜30の炭化水素基を示している。ここでいう炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基等が挙げられる。
【0041】
一般式(2)中のR、R、R及びRが示す炭化水素基として好ましいものとしては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基、直鎖状又は分岐状のペンチル基、直鎖状又は分岐状のヘキシル基、直鎖状又は分岐状のヘプチル基、直鎖状又は分岐状のオクチル基等の炭素数1〜8のアルキル基;エテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−メチルエテニル基(イソプロペニル基)、直鎖状又は分岐状のブテニル基、直鎖状又は分岐状のペンテニル基、直鎖状又は分岐状のヘキセニル基、直鎖状又は分岐状のヘプテニル基、直鎖状又は分岐状のオクテニル基等の炭素数2〜8のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、ビニルフェニル基等の炭素数6〜8のアリール基又はアルカリール基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)等の炭素数7〜8のアラルキル基;などが挙げられる。さらにこの中でも、炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数2〜8のアルケニル基が特に好ましく、最も好ましくは、これらのうち分岐状のものである。
【0042】
一般式(2)中のR、R、R及びRの合計炭素数は1〜10であるが、好ましくは1〜8である。この範囲内であれば、R、R、R及びRは同一でも異なっていてもよい。すなわち、式(2)のアルキルビフェニルとしては、R、R、R及びRがすべて炭化水素基であるものでもよく、又はR、R、R及びRのうち少なくとも1つが炭化水素基であり他は水素原子であるものでもよい。この中でも、冷媒との相溶性の点から、R、R、R及びRのうち1〜3個が炭化水素基で他は水素原子であり、かつその合計炭素数が3〜8のものが好ましい。
【0043】
、R、R及びRのうち2つが炭化水素基である場合、その組み合わせは任意であり、RとRが炭化水素基であるような、同一のベンゼン環に2つの炭化水素基が結合しているものでもよく、また、RとRが炭化水素基であるような、異なるベンゼン環にそれぞれ1つずつの炭化水素基が結合しているものでもよい。
【0044】
一般式(2)で表されるアルキルビフェニルとして好ましいものとしては、具体的には例えば、(n−プロピル)ビフェニル、イソプロピルビフェニル、(n−ブチル)ビフェニル、イソブチルビフェニル、(sec−ブチル)ビフェニル、(tert−ブチル)ビフェニル、(sec−ペンチル)ビフェニル、(1−エチルプロピル)ビフェニル、(tert−ペンチル)ビフェニル、(1−メチルペンチル)ビフェニル、(1−エチルブチル)ビフェニル、(1,1−ジメチルブチル)ビフェニル、(1−エチル−1−メチルプロピル)ビフェニル、(1−メチルヘキシル)ビフェニル、(1−エチルペンチル)ビフェニル、(1−プロピルブチル)ビフェニル、(1,1−ジメチルペンチル)ビフェニル、(1−エチル−1−メチルブチル)ビフェニル、(1,1−ジエチルプロピル)ビフェニル、(1−メチルヘプチル)ビフェニル、(1−エチルヘキシル)ビフェニル、(1−プロピルペンチル)ビフェニル、(1,1−ジメチルヘキシル)ビフェニル、(1−エチル−1−メチルペンチル)ビフェニル、(1−メチル−1−プロピルブチル)ビフェニル、(1,1−ジエチルブチル)ビフェニル、エチルメチルビフェニル、ジエチルビフェニル、メチル(n−プロピル)ビフェニル、メチルイソプロピルビフェニル、ジ(n−プロピル)ビフェニル、ジイソプロピルビフェニル、(n−ブチル)メチルビフェニル、イソブチルメチルビフェニル、(sec−ブチル)メチルビフェニル、(tert−ブチル)メチルビフェニル、ジ(n−ブチル)ビフェニル、ジイソブチルビフェニル、ジ(sec−ブチル)ビフェニル、ジ(tert−ブチル)ビフェニル、トリメチルビフェニル、トリエチルビフェニル、エチルジメチルビフェニル、ジエチルメチルビフェニル、ジメチル(n−プロピル)ビフェニル、ジメチルイソプロピルビフェニル、メチルジ(n−プロピル)ビフェニル、メチルジイソプロピルビフェニル、(n−ブチル)ジメチルビフェニル、イソブチルジメチルビフェニル、(sec−ブチル)ジメチルビフェニル、(tert−ブチル)ジメチルビフェニル、フェニルビフェニル、トリルビフェニル、キシリルビフェニル、(エチルフェニル)ビフェニル、(ビニルフェニル)ビフェニル、ベンジルビフェニル、フェネチルビフェニル、(1−フェニルエチル)ビフェニル等が挙げられる。
【0045】
なお、アルキルビフェニルとしては、単一の構造の化合物だけでなく、一般式(2)を満たすものであれば、異なる構造を有する化合物の混合物であっても良い。
【0046】
本発明で用いられるアルキルビフェニルの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できる。この例としては例えば、炭素数1〜10の炭化水素のハロゲン化物や、炭素数2〜10のオレフィン類又は炭素数8〜10のスチレン類を硫酸、リン酸、ケイタングステン酸、フッ化水素酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質及び塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒の存在下、ビフェニルへ付加する方法等が挙げられる。
【0047】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるアルキルビフェニルの粘度は特に限定されないが、その40℃における動粘度は、好ましくは2〜500mm/s、より好ましくは2.5〜300mm/s、さらに好ましくは3〜200mm/sである。
【0048】
また、ジフェニルアルカンとしては、下記一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
【化3】


[上記一般式(3)中、Rは炭素数1〜40のアルキレン基又はアルケニレン基を示し、R10、R11、R12及びR13は同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40のアルキル基を示す。]
【0049】
一般式(3)中のRは、炭素数1〜40のアルキレン基又はアルケニレン基を示す。
【0050】
このようなRとしては、具体的には例えば、メチレン基;メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基等の炭素数2のアルキレン基;エチルメチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基等の炭素数3のアルキレン基;n−プロピルメチレン基(ブチリデン基)、イソプロピルメチレン基(イソブチリデン基)、エチルメチルメチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基等の炭素数4のアルキレン基;n−ブチルメチレン基(ペンチリデン基)、sec−ブチルメチレン基、イソブチルメチレン基(イソペンチリデン基)、tert−ブチルメチレン基、n−プロピルメチルメチレン基、イソプロピルメチルメチレン基、ジエチルメチレン基、n−プロピルエチレン基、イソプロピルエチレン基、1−エチル−1−メチルエチレン基、1−エチル−2−メチルエチレン基、トリメチルエチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、ペンタメチレン基等の炭素数5のアルキレン基;n−ペンチルメチレン基(ヘキシリデン基)、(1−メチルブチル)メチレン基、イソペンチルメチレン基(イソペンチリデン基)、(1,2−ジメチルプロピル)メチレン基、n−ブチルメチルメチレン基、イソブチルメチルメチレン基、エチル−n−プロピルメチレン基、エチルイソプロピルメチレン基、ブチルエチレン基、イソブチルメチレン基、1−(n−プロピル)−1−メチルエチレン基、1−(n−プロピル)−2−メチルエチレン基、1−イソプロピル−1−メチルエチレン基、1−イソプロピル−2−メチルエチレン基、1,2−ジエチルエチレン基、1−エチル−2,2−ジメチルエチレン基、テトラメチルエチレン基、1−n−プロピルトリメチレン基、2−n−プロピルトリメチレン基、1−イソプロピルトリメチレン基、2−イソプロピルトリメチレン基、1−エチル−3−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、1,3−ジメチルテトラメチレン基、1,4−ジメチルテトラメチレン基、2,2−ジメチルテトラメチレン基,1−メチルペンタメチレン基、2−メチルペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素数6のアルキレン基(すべての炭素数6のアルキレン基の異性体を含む);n−ヘキシルメチレン基(ヘプチリデン基)、n−ペンチルエチレン基(ヘプチレン基)等の炭素数7のアルキレン基(すべての炭素数7のアルキレン基の異性体を含む);n−ヘプチルメチレン基(オクチリデン基)、n−ヘキシルエチレン基(オクチレン基)等の炭素数8のアルキレン基(すべての炭素数8のアルキレン基の異性体を含む);ビニリデン基、エテニレン基(ビニレン基)等の炭素数2のアルケニレン基;プロペニレン基、メチレンエチレン基、メチルエテニレン基、1−プロペニリデン基、2−プロペニリデン基等の炭素数3のアルケニレン基;3−メチルプロペニレン基等の炭素数4のアルケニレン基(すべての炭素数4のアルケニレン基の異性体を含む);1−メチル−3−メチレントリメチレン基、3−エチルプロペニレン基、1,3−ジメチルプロペニレン基、2,3−ジメチルプロペニレン基、3,3−ジメチルプロペニレン基等の炭素数5のアルケニレン基(すべての炭素数5のアルケニレン基の異性体を含む);1,1−ジメチル−3−メチレントリメチレン基、1−エチル−3−メチレントリメチレン基、3−エチル−1−メチルプロペニレン基、3−エチル−2−メチルプロペニレン基、1,3,3−トリメチルプロペニレン基、2,3,3−トリメチルプロペニレン基等の炭素数6のアルケニレン基(すべての炭素数6のアルケニレン基の異性体を含む);ヘプテニレン基等の炭素数7のアルケニレン基(すべての炭素数7のアルケニレン基の異性体を含む);オクテニレン基等の炭素数8のアルケニレン基(すべての炭素数8のアルケニレン基の異性体を含む);等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基及びアルケニレン基が好ましく、特に好ましいものとしては、メチレン基、メチルメチレン基(エチリデン基)、エチレン基、エチルメチレン基(プロピリデン基)、ジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)、メチルエチレン基(プロピレン基)、トリメチレン基等の炭素数1〜3のアルキレン基;ビニリデン基、エテニレン基(ビニレン基)、プロペニレン基、メチレンエチレン基、メチルエテニレン基、1−プロペニリデン基、2−プロペニリデン基等の炭素数2〜3のアルケニレン基;炭素数4〜6のアルキレン基のうち、1−メチルトリメチレン基、1−エチルトリメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、1−エチル−3−メチルトリメチレン基、1−エチル−2−メチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルトリメチレン基、1,1,3−トリメチルトリメチレン基;及び炭素数4〜6のアルケニレン基のうち、3−メチルプロペニレン基、1−メチル−3−メチレントリメチレン基、3−エチルプロペニレン基、1,3−ジメチルプロペニレン基、2,3−ジメチルプロペニレン基、3,3−ジメチルプロペニレン基、1,1−ジメチル−3−メチレントリメチレン基、1−エチル−3−メチレントリメチレン基、3−エチル−1−メチルプロペニレン基、3−エチル−2−メチルプロペニレン基、1,3,3−トリメチルプロペニレン基、2,3,3−トリメチルプロペニレン基;等が挙げられる。
【0052】
また、一般式(3)中のR10、R11、R12及びR13は同一でも異なっていても良く、それぞれ水素原子又は炭素数1〜40のアルキル基を示している。ここでいう炭素数1〜40のアルキル基としては、具体的には例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(すべての異性体を含む)、ブチル基(すべての異性体を含む)、ペンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキシル基(すべての異性体を含む)、ヘプチル基(すべての異性体を含む)、オクチル基(すべての異性体を含む)、ノニル基(すべての異性体を含む)、デシル基(すべての異性体を含む)、ウンデシル基(すべての異性体を含む)、ドデシル基(すべての異性体を含む)、トリデシル基(すべての異性体を含む)、テトラデシル基(すべての異性体を含む)、ペンタデシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサデシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタデシル基(すべての異性体を含む)、オクタデシル基(すべての異性体を含む)、ノナデシル基(すべての異性体を含む)、イコシル基(すべての異性体を含む)、ヘンイコシル基(すべての異性体を含む)、ドコシル基(すべての異性体を含む)、トリコシル基(すべての異性体を含む)、テトラコシル基(すべての異性体を含む)、ペンタコシル基(すべての異性体を含む)、ヘキサコシル基(すべての異性体を含む)、ヘプタコシル基(すべての異性体を含む)、オクタコシル基(すべての異性体を含む)、ノナコシル基(すべての異性体を含む)、トリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘントリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ドトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、トリトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、テトラトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ペンタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘキサトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ヘプタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、オクタトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、ノナトリアコンチル基(すべての異性体を含む)、テトラコンチル基(すべての異性体を含む)等が挙げられる。
【0053】
さらに、一般式(3)中のR10、R11、R12及びR13の合計炭素数は1〜40であり、好ましくは1〜6である。
【0054】
一般式(3)で表されるジフェニルアルカンとしては、具体的には例えば、ジフェニルメタン、フェニルトリルメタン、フェニルキシリルメタン、ジトリルメタン、トリルキシリルメタン、ジキシリルメタン、(エチルフェニル)フェニルメタン、(エチルフェニル)トリルメタン、(エチルメチルフェニル)フェニルメタン、(エチルフェニル)キシリルメタン、(エチルメチルフェニル)トリルメタン、(エチルメチルフェニル)キシリルメタン、(ジエチルフェニル)フェニルメタン、ビス(エチルフェニル)メタン、(ジエチルフェニル)トリルメタン、(エチルメチルフェニル)(エチルフェニル)メタン、フェニル(n−プロピルフェニル)メタン、フェニル(イソプロピルフェニル)メタン、(n−プロピルフェニル)トリルメタン、(イソプロピルフェニル)トリルメタン、(メチル−n−プロピルフェニル)フェニルメタン、(メチルイソプロピルフェニル)フェニルメタン、(メチル−n−プロピルフェニル)トリルメタン、(メチルイソプロピルフェニル)トリルメタン、(n−プロピルフェニル)キシリルメタン、(イソプロピルフェニル)キシリルメタン、(エチル−n−プロピルフェニル)フェニルメタン、(エチルイソプロピルフェニル)フェニルメタン、(エチルフェニル)(n−プロピルフェニル)メタン、(エチルフェニル)(イソプロピルフェニル)メタン、(n−ブチルフェニル)フェニルメタン、(イソブチルフェニル)フェニルメタン、(sec−ブチルフェニル)フェニルメタン、(tert−ブチルフェニル)フェニルメタン、(n−ブチルメチルフェニル)フェニルメタン、(イソブチルメチルフェニル)フェニルメタン、(sec−ブチルメチルフェニル)フェニルメタン、(tert−ブチルメチルフェニル)フェニルメタン、(n−ブチルフェニル)トリルメタン、(イソブチルフェニル)トリルメタン、(sec−ブチルフェニル)トリルメタン、(tert−ブチルフェニル)トリルメタン等のメチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルエタン、1−フェニル−1−トリルエタン、1−フェニル−1−キシリルエタン、1,1−ジトリルエタン、1−トリル−1−キシリルエタン、1,1−ジキシリルエタン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−1−トリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−1−キシリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−1−トリルエタン、1−(ジエチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(エチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)エタン、1−(n−プロピルフェニル)−1−トリルエタン、1−(イソプロピルフェニル)−1−トリルエタン、1−(メチル−n−プロピルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(n−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(イソブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(sec−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン等のメチルメチレン基(エチリデン基)を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルエタン、1−フェニル−2−トリルエタン、1−フェニル−2−キシリルエタン、1,2−ジトリルエタン、1−トリル−2−キシリルエタン、1,2−ジキシリルエタン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−2−トリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−2−キシリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−2−トリルエタン、1−(ジエチルフェニル)−2−フェニルエタン、1,2−ビス(エチルフェニル)エタン、1−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)エタン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)エタン、1−(n−プロピルフェニル)−2−トリルエタン、1−(イソプロピルフェニル)−2−トリルエタン、1−(メチル−n−プロピルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(n−ブチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(イソブチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(sec−ブチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(tert−ブチルフェニル)−2−フェニルエタン等のエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルプロパン、1−フェニル−1−トリルプロパン、1−フェニル−1−キシリルプロパン、1,1−ジトリルプロパン、1−トリル−1−キシリルプロパン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルプロパン、1−(エチルフェニル)−1−トリルプロパン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロパン、1−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)プロパン,1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロパン等のエチルメチレン基(プロピリデン基)を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルプロパン、1−フェニル−2−トリルプロパン、1−フェニル−2−キシリルプロパン、1,2−ジトリルプロパン、1−トリル−2−キシリルプロパン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルプロパン、1−(エチルフェニル)−2−トリルプロパン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロパン、1−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)プロパン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロパン、2−フェニル−1−トリルプロパン、2−フェニル−1−キシリルプロパン、2−トリル−1−キシリルプロパン、2−(エチルフェニル)−1−フェニルプロパン、2−(エチルフェニル)−1−トリルプロパン、2−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロパン、2−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)プロパン、2−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロパン等のメチルエチレン基(プロピレン基)を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルプロパン、1−フェニル−3−トリルプロパン、1−フェニル−3−キシリルプロパン、1,3−ジトリルプロパン、1−トリル−3−キシリルプロパン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルプロパン、1−(エチルフェニル)−3−トリルプロパン、1−(エチルメチルフェニル)−3−フェニルプロパン、1−フェニル−3−(n−プロピルフェニル)プロパン、1−フェニル−3−(イソプロピルフェニル)プロパン等のトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2,2−ジフェニルプロパン、2−フェニル−2−トリルプロパン、2−フェニル−2−キシリルプロパン、2,2−ジトリルプロパン、2−トリル−2−キシリルプロパン、2−(エチルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(エチルフェニル)−2−トリルプロパン、2−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロパン等のジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルブタン、1−フェニル−3−トリルブタン、1−フェニル−3−キシリルブタン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルブタン、1,3−ジトリルブタン、3−フェニル−1−トリルブタン、3−フェニル−1−キシリルブタン、3−(エチルフェニル)−1−フェニルブタン等の1−メチルトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,4−ジフェニルブタン、1−フェニル−4−トリルブタン、1−フェニル−4−キシリルブタン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルブタン、1,4−ジトリルブタン等のテトラメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2,3−ジフェニルブタン、2−フェニル−3−トリルブタン、2−フェニル−3−キシリルブタン、2−(エチルフェニル)−3−フェニルブタン、2,3−ジトリルブタン等の1,2−ジメチルエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルペンタン、1−フェニル−3−トリルペンタン、3−フェニル−1−トリルペンタン等の1−エチルトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,4−ジフェニルペンタン、1−フェニル−4−トリルペンタン、4−フェニル−1−トリルペンタン等の1−メチルテトラメチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,5−ジフェニルペンタン、1−フェニル−5−トリルペンタン等のペンタメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2,3−ジフェニルペンタン、2−フェニル−3−トリルペンタン、3−フェニル−2−トリルペンタン等の1−エチル−2−メチルエチレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニルペンタン、2−フェニル−4−トリルペンタン等の1,3−ジメチルトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2−メチル−1,3−ジフェニルブタン、2−メチル−1−フェニル−3−トリルブタン、2−メチル−3−フェニル−1−トリルブタン等の1,2−ジメチルトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
3−メチル−1,3−ジフェニルブタン、3−メチル−1−フェニル−3−トリルブタン、3−メチル−3−フェニル−1−トリルブタン等の1,1−ジメチルトリメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2−メチル−1,4−ジフェニルブタン、2−メチル−1−フェニル−4−トリルブタン、2−メチル−4−フェニル−1−トリルブタン等の2−メチルテトラメチレン基を持つジフェニルアルカン;
2−メチル−2,3−ジフェニルブタン、2−メチル−2−フェニル−3−トリルブタン、2−メチル−3−フェニル−2−トリルブタン等の1,1,2−トリメチルエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルヘキサン、1,2−ジフェニルヘキサン、1,3−ジフェニルヘキサン、1,4−ジフェニルヘキサン、1,5−ジフェニルヘキサン、1,6−ジフェニルヘキサン、2,2−ジフェニルヘキサン、2,3−ジフェニルヘキサン、2,4−ジフェニルヘキサン、2,5−ジフェニルヘキサン、3,3−ジフェニルヘキサン、3,4−ジフェニルヘキサン、2−メチル−1,1−ジフェニルペンタン、4−メチル−1,1−ジフェニルペンタン、2−メチル−1,2−ジフェニルペンタン、4−メチル−1,2−ジフェニルペンタン、2−メチル−1,3−ジフェニルペンタン、4−メチル−1,3−ジフェニルペンタン、2−メチル−1,4−ジフェニルペンタン、2−メチル−1,5−ジフェニルペンタン、4−メチル−2,2−ジフェニルペンタン、2−メチル−2,3−ジフェニルペンタン、2−メチル−2,4−ジフェニルペンタン、2−メチル−3,4−ジフェニルペンタン、2−メチル−2,5−ジフェニルペンタン、2−メチル−3,3−ジフェニルペンタン、2,3−ジメチル−1,1−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−1,2−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−1,3−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−1,4−ジフェニルブタン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2−ベンジル−1−フェニルペンタン、2−ベンジル−3−メチル−1−フェニルブタン等の炭素数6のアルキレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルエテン、1−フェニル−1−トリルエテン、1−フェニル−1−キシリルエテン、1,1−ジトリルエテン、1−トリル−1−キシリルエテン、1,1−ジキシリルエテン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−1−トリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−1−キシリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−1−トリルエテン、1−(ジエチルフェニル)−1−フェニルエテン、1,1−ビス(エチルフェニル)エテン、1−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)エテン、1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)エテン、1−(n−プロピルフェニル)−1−トリルエテン、1−(イソプロピルフェニル)−1−トリルエテン、1−(メチル−n−プロピルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(n−ブチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(イソブチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(sec−ブチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエテン等のビニリデン基を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルエテン、1−フェニル−2−トリルエテン、1−フェニル−2−キシリルエテン、1,2−ジトリルエテン、1−トリル−2−キシリルエテン、1,2−ジキシリルエテン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−2−トリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−2−キシリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−2−トリルエテン、1−(ジエチルフェニル)−2−フェニルエテン、1,2−ビス(エチルフェニル)エテン、1−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)エテン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)エテン、1−(n−プロピルフェニル)−2−トリルエテン、1−(イソプロピルフェニル)−2−トリルエテン、1−(メチル−n−プロピルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(n−ブチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(イソブチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(sec−ブチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(tert−ブチルフェニル)−2−フェニルエテン等のエテニレン基(ビニレン基)を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルプロペン、1−フェニル−2−トリルプロペン、1−フェニル−2−キシリルプロペン、1,2−ジトリルプロペン、1−トリル−2−キシリルプロペン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルプロペン、1−(エチルフェニル)−2−トリルプロペン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロペン、1−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)プロペン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロペン、2−フェニル−1−トリルプロペン、2−フェニル−1−キシリルプロペン、2−トリル−1−キシリルプロペン、2−(エチルフェニル)−1−フェニルプロペン、2−(エチルフェニル)−1−トリルプロペン、2−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロペン、2−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)プロペン、2−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロペン等のメチルエテニレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルプロペン、1−フェニル−3−トリルプロペン、1−フェニル−3−キシリルプロペン、1,3−ジトリルプロペン、1−トリル−3−キシリルプロペン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルプロペン、1−(エチルフェニル)−3−トリルプロペン、1−(エチルメチルフェニル)−3−フェニルプロペン、1−フェニル−3−(n−プロピルフェニル)プロペン、1−フェニル−3−(イソプロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−1−トリルプロペン、3−フェニル−1−キシリルプロペン、3−トリル−1−キシリルプロペン、3−(エチルフェニル)−1−フェニルプロペン、3−(エチルフェニル)−1−トリルプロペン、3−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロペン、3−フェニル−1−(n−プロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロペン等のプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,3−ジフェニルプロペン、2−フェニル−3−トリルプロペン、2−フェニル−3−キシリルプロペン、2,3−ジトリルプロペン、2−トリル−3−キシリルプロペン、2−(エチルフェニル)−3−フェニルプロペン、2−(エチルフェニル)−3−トリルプロペン、2−(エチルメチルフェニル)−3−フェニルプロペン、2−フェニル−3−(n−プロピルフェニル)プロペン、2−フェニル−3−(イソプロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−2−トリルプロペン、3−フェニル−2−キシリルプロペン、3−トリル−2−キシリルプロペン、3−(エチルフェニル)−2−フェニルプロペン、3−(エチルフェニル)−2−トリルプロペン、3−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロペン、3−フェニル−2−(n−プロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロペン等のメチレンエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルブテン、1−フェニル−3−トリルブテン、1−フェニル−3−キシリルブテン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルブテン、1,3−ジトリルブテン、3−フェニル−1−トリルブテン、3−フェニル−1−キシリルブテン、3−(エチルフェニル)−1−フェニルブテン等の3−メチルプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルペンテン、1−フェニル−3−トリルペンテン、3−フェニル−1−トリルペンテン等の3−エチルプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニルペンテン、2−フェニル−4−トリルペンテン、4−フェニル−2−トリルペンテン等の1−メチル−3−メチレンプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニル−2−ペンテン、2−フェニル−4−トリル−2−ペンテン、4−フェニル−2−トリル−2−ペンテン等の1,3−ジメチルプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2−メチル−1,3−ジフェニルブテン、2−メチル−1−フェニル−3−トリルブテン、2−メチル−3−フェニル−1−トリルブテン等の2,3−ジメチルプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
3−メチル−1,3−ジフェニルブテン、3−メチル−1−フェニル−3−トリルブテン、3−メチル−3−フェニル−1−トリルブテン等の3,3−ジメチルプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニルヘキセン、2,4−ジフェニル−2−ヘキセン、2−メチル−1,3−ジフェニルペンテン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン、4−メチル−2,4−ジフェニル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−1,3−ジフェニルブテン等の炭素数6のアルケニレン基を持つジフェニルアルカン;等が挙げられる。
【0055】
一般式(3)で表されるジフェニルアルカンの中でも、R、R10、R11、R12及びR13の合計炭素数が1〜6であり、R10、R11、R12及びR13が、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれた基であり、かつそのうち少なくとも2つ以上は水素原子となっているものが好ましい。最も好ましいものとしては、Rが炭素数1〜3のアルキレン基もしくはアルケニレン基であり、R、R10、R11、R12及びR13の合計炭素数が1〜6であり、R10、R11、R12及びR13が、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれた基であり、かつそのうち少なくとも2つ以上は水素原子となっているもの、又はRが炭素数4〜6のアルキレン基もしくはアルケニレン基であり、かつR10、R11、R12及びR13がすべて水素原子のものが挙げられる。
【0056】
一般式(3)で表されるジフェニルアルカンとして最も好ましいものとしては、具体的には例えば、ジフェニルメタン、フェニルトリルメタン、フェニルキシリルメタン、ジトリルメタン、(エチルフェニル)フェニルメタン、(エチルフェニル)トリルメタン、(エチルメチルフェニル)フェニルメタン、(ジエチルフェニル)フェニルメタン、ビス(エチルフェニル)メタン、フェニル(イソプロピルフェニル)メタン、(イソプロピルフェニル)トリルメタン、(メチルイソプロピルフェニル)フェニルメタン、(エチルイソプロピルフェニル)フェニルメタン、(エチルフェニル)(イソプロピルフェニル)メタン、(sec−ブチルフェニル)フェニルメタン、(sec−ブチルメチルフェニル)フェニルメタン、(sec−ブチルフェニル)トリルメタン等のメチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルエタン、1−フェニル−1−トリルエタン、1−フェニル−1−キシリルエタン、1,1−ジトリルエタン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−1−トリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(ジエチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(エチルフェニル)エタン、1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)エタン、1−(イソプロピルフェニル)−1−トリルエタン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−1−フェニルエタン、1−(sec−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン等のメチルメチレン基(エチリデン基)を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルエタン、1−フェニル−2−トリルエタン、1−フェニル−2−キシリルエタン、1,2−ジトリルエタン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(エチルフェニル)−2−トリルエタン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(ジエチルフェニル)−2−フェニルエタン、1,2−ビス(エチルフェニル)エタン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)エタン、1−(イソプロピルフェニル)−2−トリルエタン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−2−フェニルエタン、1−(sec−ブチルフェニル)−2−フェニルエタン等のエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルプロパン、1−フェニル−1−トリルプロパン、1−フェニル−1−キシリルプロパン、1,1−ジトリルプロパン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルプロパン、1−(エチルフェニル)−1−トリルプロパン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロパン、1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロパン等のエチルメチレン基(プロピリデン基)を持つジフェニルアルカン;
2,2−ジフェニルプロパン、2−フェニル−2−トリルプロパン、2−フェニル−2−キシリルプロパン、2,2−ジトリルプロパン、2−(エチルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−(エチルフェニル)−2−トリルプロパン、2−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロパン、2−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロパン等のジメチルメチレン基(イソプロピリデン基)を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルブタン等の炭素数4のアルケニレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルペンタン、2,4−ジフェニルペンタン、2−メチル−1,3−ジフェニルブタン、3−メチル−1,3−ジフェニルブタン等の炭素数5のアルキレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニルヘキサン、2−メチル−1,3−ジフェニルペンタン、2−メチル−2,4−ジフェニルペンタン、2,3−ジメチル−1,3−ジフェニルブタン等の炭素数6のアルキレン基を持つジフェニルアルカン;
1,1−ジフェニルエテン、1−フェニル−1−トリルエテン、1−フェニル−1−キシリルエテン、1,1−ジトリルエテン、1−(エチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−1−トリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(ジエチルフェニル)−1−フェニルエテン、1,1−ビス(エチルフェニル)エテン、1−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)エテン、1−(イソプロピルフェニル)−1−トリルエテン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−1−フェニルエテン、1−(sec−ブチルフェニル)−1−フェニルエテン等のビニリデン基を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルエテン、1−フェニル−2−トリルエテン、1−フェニル−2−キシリルエテン、1,2−ジトリルエテン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(エチルフェニル)−2−トリルエテン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(ジエチルフェニル)−2−フェニルエテン、1,2−ビス(エチルフェニル)エテン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)エテン、1−(イソプロピルフェニル)−2−トリルエテン、1−(メチルイソプロピルフェニル)−2−フェニルエテン、1−(sec−ブチルフェニル)−2−フェニルエテン等のエテニレン基(ビニレン基)を持つジフェニルアルカン;
1,2−ジフェニルプロペン、1−フェニル−2−トリルプロペン、1−フェニル−2−キシリルプロペン、1,2−ジトリルプロペン、1−(エチルフェニル)−2−フェニルプロペン、1−(エチルフェニル)−2−トリルプロペン、1−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロペン、1−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロペン、2−フェニル−1−トリルプロペン、2−フェニル−1−キシリルプロペン、2−(エチルフェニル)−1−フェニルプロペン、2−(エチルフェニル)−1−トリルプロペン、2−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロペン、2−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロペン等のメチルエテニレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルプロペン、1−フェニル−3−トリルプロペン、1−フェニル−3−キシリルプロペン、1,3−ジトリルプロペン、1−(エチルフェニル)−3−フェニルプロペン、1−(エチルフェニル)−3−トリルプロペン、1−(エチルメチルフェニル)−3−フェニルプロペン、1−フェニル−3−(イソプロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−1−トリルプロペン、3−フェニル−1−キシリルプロペン、3−(エチルフェニル)−1−フェニルプロペン、3−(エチルフェニル)−1−トリルプロペン、3−(エチルメチルフェニル)−1−フェニルプロペン、3−フェニル−1−(イソプロピルフェニル)プロペン等のプロペニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,3−ジフェニルプロペン、2−フェニル−3−トリルプロペン、2−フェニル−3−キシリルプロペン、2,3−ジトリルプロペン、2−(エチルフェニル)−3−フェニルプロペン、2−(エチルフェニル)−3−トリルプロペン、2−(エチルメチルフェニル)−3−フェニルプロペン、2−フェニル−3−(イソプロピルフェニル)プロペン、3−フェニル−2−トリルプロペン、3−フェニル−2−キシリルプロペン、3−(エチルフェニル)−2−フェニルプロペン、3−(エチルフェニル)−2−トリルプロペン、3−(エチルメチルフェニル)−2−フェニルプロペン、3−フェニル−2−(イソプロピルフェニル)プロペン等のメチレンエチレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルブテン等の炭素数4のアルケニレン基を持つジフェニルアルカン;
1,3−ジフェニルペンテン、2,4−ジフェニルペンテン、2,4−ジフェニル−2−ペンテン、2−メチル−1,3−ジフェニルブテン、3−メチル−1,3−ジフェニルブテン等の炭素数5のアルケニレン基を持つジフェニルアルカン;
2,4−ジフェニルヘキセン、2,4−ジフェニル−2−ヘキセン、2−メチル−1,3−ジフェニルペンテン、4−メチル−2,4−ジフェニルペンテン、4−メチル−2,4−ジフェニル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−1,3−ジフェニルブテン等の炭素数6のアルケニレン基を持つジフェニルアルカン;等である。
【0057】
本発明で用いられるジフェニルアルカンの製造方法は任意であり、種々の公知の方法で製造できるが、そのいくつかの例を以下に示す。
【0058】
ジフェニルアルカンは、スチレン、α−,β−メチルスチレン、エチルスチレン等のスチレン類を、酸触媒の存在下でアルキルベンゼンへ付加することによって得られる。酸触媒としては、硫酸、リン酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質及びハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等が使用できる。
【0059】
また、ジフェニルアルカンは、適当な酸触媒の存在下、上記スチレン類の重合反応によっても製造される。この際、単一のスチレン化合物を用いてもよく、2種以上のスチレン化合物を用いて共重合させても良い。酸触媒としては、硫酸、リン酸等の鉱酸、酸性白土、活性白土等の固体酸性物質及びハロゲン化金属であるフリーデルクラフツ触媒等が使用できる。普通、この方法で得られるジフェニルアルカンは2個のベンゼン環がアルケニレン基によって結合された化合物であるが、本発明ではこのまま用いてもよく、また適当な触媒の存在下でアルケニレン基の水素化処理を行い、アルケニレン基をアルキレン基に変換させた化合物を用いても良い。
【0060】
また、芳香族化合物のアルキル化に関しては、塩化物のフリーデルクラフツ反応がよく知られているが、本発明に係るジフェニルアルカンはこの方法によっても製造される。例えば、側鎖アルキル基が塩素化されたアルキルベンゼンを、ハロゲン化金属などの適当なフリーデルクラフツ触媒の存在下で、ベンゼン又はアルキルベンゼンと反応させることによって本発明に係るジフェニルアルカンが得られる。また、ジハロゲン化アルカンとベンゼン又はアルキルベンゼンとを、ハロゲン化金属などの適当なフリーデルクラフツ触媒の存在下で、カップリングする方法も挙げられる。
【0061】
また、ジフェニルアルカンは、一般式(3)中のR10〜R13で表されるアルキル基に相当するアルキル基を有するアルキルベンゼンを用いて上記の方法等で製造されてもよいし、上記の方法等で製造されたジフェニルアルカンに該アルキル基を種々の方法で付加させても製造される。
【0062】
なお、ジフェニルアルカンとしては、単一の構造の化合物だけでなく、一般式(3)を満たすものであれば、異なる構造を有する化合物の混合物であっても良い。
【0063】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれるジフェニルアルカンの粘度は特に限定されないが、その40℃における動粘度は、好ましくは2〜500mm/s、より好ましくは2.3〜300mm/s、さらに好ましくは3〜200mm/sである。
【0064】
本発明の冷凍機用作動流体組成物において、本発明にかかる芳香族化合物の含有量は特に制限されないが、潤滑性、冷媒相溶性、熱・化学的安定性、電気絶縁性等の各種性能により優れる点から、冷凍機油全量基準で、50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、80質量%以上含有することがさらにより好ましく、90質量%以上含有することが最も好ましい。なお、本発明でいう「冷凍機油」とは、冷凍機用作動流体組成物からテトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒及びその他の冷媒を除いた成分(例えば、本発明にかかる芳香族化合物、並びに必要に応じて含まれるその他の基油及び添加剤を含有する組成物)を意味する。また、「冷凍機油全量」とは、冷凍機用作動流体組成物からテトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒及びその他の冷媒を除いた成分の合計量を意味する(以下、同様である。)。
【0065】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、本発明にかかる芳香族化合物以外の基油及び各種添加剤をさらに含有してもよい。なお、以下の説明において、本発明にかかる芳香族化合物以外の基油及び添加剤の含有量については、上述した冷凍機油全量を基準として示す。
【0066】
本発明にかかる芳香族化合物以外の基油としては、鉱油、オレフィン重合体等の炭化水素系油、並びにエステル系基油(モノエステル、構成脂肪酸として直鎖脂肪酸及び/又は分岐脂肪酸を含むポリオールエステル等)、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、ケトン、ポリフェニルエーテル、シリコーン、ポリシロキサン、パーフルオロエーテルなどの酸素を含有する合成油を併用して用いても良い。酸素を含有する合成油としては、上記の中でもポリオールエステル、ポリグリコール、ポリビニルエーテルが好ましく用いられる。
【0067】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、本発明にかかる芳香族化合物を含有するため添加剤未添加の状態でも好適に用いることができるが、必要に応じて各種添加剤を配合した形で使用することもできる。
【0068】
本発明の冷凍機用作動流体組成物の耐摩耗性、耐荷重性をさらに改良するために、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、チオリン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル及び亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。これらのリン化合物は、リン酸又は亜リン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体である。
【0069】
具体的には例えば、リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
【0070】
酸性リン酸エステルとしては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、ジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
【0071】
チオリン酸エステルとしては、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネートなどが挙げられる。
【0072】
酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアミンとの塩が挙げられる。
【0073】
塩素化リン酸エステルとしては、トリス・ジクロロプロピルホスフェート、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・クロロフェニルホスフェート、ポリオキシアルキレン・ビス[ジ(クロロアルキル)]ホスフェートなどが挙げられる。亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイトなどが挙げられる。また、これらの混合物も使用できる。
【0074】
本発明の冷凍機用作動流体組成物が上記リン化合物を含有する場合、リン化合物の含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量基準(基油と全配合添加剤の合計量基準)で、0.01〜5.0質量%であることが好ましく、0.02〜3.0質量%であることがより好ましい。なお、上記リン化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、その熱・化学的安定性をさらに改良するために、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、アリルオキシラン化合物、アルキルオキシラン化合物、脂環式エポキシ化合物、エポキシ化脂肪酸モノエステル及びエポキシ化植物油から選ばれる少なくとも1種のエポキシ化合物を含有することができる。
【0076】
フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエーテル又はアルキルフェニルグリシジルエーテルが例示できる。ここでいうアルキルフェニルグリシジルエーテルとは、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものが挙げられ、中でも炭素数4〜10のアルキル基を1個有するもの、例えばn−ブチルフェニルグリシジルエーテル、i−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ペンチルフェニルグリシジルエーテル、ヘキシルフェニルグリシジルエーテル、ヘプチルフェニルグリシジルエーテル、オクチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、デシルフェニルグリシジルエーテルなどが好ましいものとして例示できる。
【0077】
アルキルグリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、具体的には、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルなどが例示できる。
【0078】
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、具体的には、フェニルグリシジルエステル、アルキルグリシジルエステル、アルケニルグリシジルエステルなどが挙げられ、好ましいものとしては、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが例示できる。
【0079】
アリルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシスチレン、アルキル−1,2−エポキシスチレンなどが例示できる。
【0080】
アルキルオキシラン化合物としては、具体的には、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1,2−エポキシオクタデカン、2−エポキシノナデカン、1,2−エポキシイコサンなどが例示できる。
【0081】
脂環式エポキシ化合物としては、具体的には、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エキソ−2,3−エポキシノルボルナン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、4−(1’−メチルエポキシエチル)−1,2−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン、4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンなどが例示できる。
【0082】
エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、具体的には、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコール又はフェノール、アルキルフェノールとのエステルなどが例示できる。特にエポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチル、フェニル及びブチルフェニルエステルが好ましく用いられる。
【0083】
エポキシ化植物油としては、具体的には、大豆油、アマニ油、綿実油等の植物油のエポキシ化合物などが例示できる。
【0084】
これらのエポキシ化合物の中でも好ましいものは、フェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物及びエポキシ化脂肪酸モノエステルである。中でもフェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物及びグリシジルエステル型エポキシ化合物がより好ましく、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエステルもしくはこれらの混合物が特に好ましい。
【0085】
本発明の冷凍機用作動流体組成物が上記エポキシ化合物を含有する場合、エポキシ化合物の含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量基準で、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.2〜2.0質量%であることがより好ましい。なお、上記エポキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0086】
また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、その性能をさらに高めるため、必要に応じて従来公知の冷凍機油用添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えばジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ビスフェノールA等のフェノール系の酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛などの摩耗防止剤、塩素化パラフィン、硫黄化合物等の極圧剤、脂肪酸等の油性剤、シリコーン系等の消泡剤、ベンゾトリアゾール等の金属不活性化剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、清浄分散剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの添加剤の含有量は特に制限されないが、冷凍機油全量基準で、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0087】
本発明の冷凍機用作動流体組成物において、冷凍機油の動粘度は特に限定されないが、40℃における動粘度は、好ましくは2〜500mm/s、より好ましくは2.3〜300mm/s、最も好ましくは3〜200mm/sとすることができる。また、100℃における動粘度は好ましくは1〜100mm/s、より好ましくは2〜50mm/sとすることができる。
【0088】
また、冷凍機油の体積抵抗率は特に限定されないが、好ましくは1.0×1012Ω・cm以上、より好ましくは1.0×1013Ω・cm以上、最も好ましくは1.0×1014Ω・cm以上とすることができる。特に、密閉型の冷凍機用に用いる場合には高い電気絶縁性が必要となる傾向にある。なお、本発明において、体積抵抗率とは、JIS C 2101「電気絶縁油試験方法」に準拠して測定した25℃での値を意味する。
【0089】
また、冷凍機油の水分含有量は特に限定されないが、冷凍機油全量基準で好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、最も好ましくは30ppm以下とすることができる。特に密閉型の冷凍機用に用いる場合には、冷凍機油の熱・化学的安定性や電気絶縁性への影響の観点から、水分含有量が少ないことが求められる。
【0090】
また、冷凍機油の酸価は特に限定されないが、冷凍機又は配管に用いられている金属への腐食を防止するため、好ましくは0.1mgKOH/g以下、より好ましくは0.05mgKOH/g以下とすることができる。なお、本発明において、酸価とは、JISK 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に準拠して測定した酸価を意味する。
【0091】
また、冷凍機油の灰分は特に限定されないが、本発明のフルオロプロペン冷媒用冷凍機油の熱・化学的安定性を高めスラッジ等の発生を抑制するため、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下とすることができる。なお、本発明において、灰分とは、JISK 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」に準拠して測定した灰分の値を意味する。
【0092】
本発明の冷凍機用作動流体組成物はテトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒を含有するものであるが、本発明において使用される冷媒は、テトラフルオロプロペン冷媒又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒のいずれか一方のみであってもよく、テトラフルオロプロペン冷媒と3フッ化ヨウ化メタン冷媒との混合冷媒であってもよい。さらに、テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒と他の冷媒との混合冷媒であってもよい。テトラフルオロプロペン冷媒及び3フッ化ヨウ化メタン冷媒以外の冷媒としては、HFC冷媒、バーフルオロエーテル類等の含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル、アンモニア及び炭化水素等の自然系冷媒が挙げられる。
【0093】
HFC冷媒としては、炭素数1〜3、好ましくは1〜2のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。具体的には例えば、ジフルオロメタン(HFC−32)、トリフルオロメタン(HFC−23)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)などのHFC、又はこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。これらの冷媒は用途や要求性能に応じて適宜選択されるが、例えばHFC−32単独;HFC−23単独;HFC−134a単独;HFC−125単独;HFC−134a/HFC−32=60〜80質量%/40〜20質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/60〜30質量%の混合物;HFC−125/HFC−143a=40〜60質量%/60〜40質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=60質量%/30質量%/10質量%の混合物;HFC−134a/HFC−32/HFC−125=40〜70質量%/15〜35質量%/5〜40質量%の混合物;HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=35〜55質量%/1〜15質量%/40〜60質量%の混合物などが好ましい例として挙げられる。さらに具体的には、HFC−134a/HFC−32=70/30質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=60/40質量%の混合物;HFC−32/HFC−125=50/50質量%の混合物(R410A);HFC−32/HFC−125=45/55質量%の混合物(R410B);HFC−125/HFC−143a=50/50質量%の混合物(R507C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=30/10/60質量%の混合物;HFC−32/HFC−125/HFC−134a=23/25/52質量%の混合物(R407C);HFC−32/HFC−125/HFC−134a=25/15/60質量%の混合物(R407E);HFC−125/HFC−134a/HFC−143a=44/4/52質量%の混合物(R404A)などが挙げられる。
【0094】
含フッ素エーテル系冷媒としては、具体的には例えば、HFE−134p、HFE−245mc、HFE−236mf、HFE−236me、HFE−338mcf、HFE−365mc−f、HFE−245mf、HFE−347mmy、HFE−347mcc、HFE−125、HFE−143m、HFE−134m、HFE−227meなどが挙げられる。
【0095】
また、炭化水素冷媒としては、25℃、1気圧で気体のものが好ましく用いられる。具体的には炭素数1〜5、好ましくは1〜4のアルカン、シクロアルカン、アルケン又はこれらの混合物である。具体的には例えば、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、シクロブタン、メチルシクロプロパン又はこれらの2種以上の混合物などがあげられる。これらの中でも、プロパン、ブタン、イソブタン又はこれらの混合物が好ましい。
【0096】
テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒と含フッ素エーテル系冷媒、ジメチルエーテル、アンモニア、ハイドロフルオロカーボン及び/又は炭化水素との混合冷媒を用いる場合、その混合比は特に制限されないが、例えばフルオロプロペンとハイドロフルオロカーボン及び/又は炭化水素との混合冷媒の場合、フルオロプロペン100質量部に対して、ハイドロフルオロカーボンと炭化水素の合計量が1〜200質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることがより好ましい。
【0097】
本発明の冷凍機用作動流体組成物に含まれる冷凍機油は、通常、冷凍空調機器においては上述したようなテトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタンを含有する冷媒と混合された冷凍機用流体組成物の形で存在している。本発明の冷凍機用作動流体組成物における冷凍機油と冷媒との配合割合は特に制限されないが、冷媒100質量部に対して冷凍機油が好ましくは1〜500質量部、より好ましくは2〜400質量部である。
【0098】
本発明の冷凍機用作動流体組成物は、往復動式や回転式の密閉型圧縮機を有するエアコンや冷蔵庫、あるいはカーエアコンに好ましく用いられる。また、本発明の冷凍機用作動流体組成物は、除湿機、給湯器、冷凍庫、冷凍冷蔵倉庫、自動販売機、ショーケース、化学プラント等の冷却装置等に好ましく用いられる。さらに、本発明の冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物は、遠心式の圧縮機を有するものにも好ましく用いられる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0100】
[実施例1〜7、比較例1〜4]
実施例1〜7および比較例1〜4においては、それぞれ以下に示す基油1〜11を用いて冷凍機油を調製した。得られた冷凍機油の各種性状を表1〜3に示す。
(基油)
基油1:分岐型アルキルベンゼンA
基油2:分岐型アルキルベンゼンB
基油3:直鎖型アルキルベンゼン
基油4:2−(1,1’−ジメチルプロピル)−ナフタレン
基油5:アルキルナフタレン(ジノニルナフタレンを主成分とする混合物)
基油6:下記式で表される化合物
【化4】


基油7:下記式で表される化合物
【化5】


基油8:n−ヘプタン酸とペンタエリスリトールとのエステル
基油9:n−ペンタン酸、n−ヘプタン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸の混合脂肪酸(混合比(モル比):45/10/45)とペンタエリスリトールとのエステル
基油10:ナフテン系鉱油
基油11:ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル。
【0101】
次に、実施例1〜7および比較例1〜4の各冷凍機油について、以下に示す評価試験を実施した。
【0102】
(冷媒相溶性の評価)
JIS−K−2211「冷凍機油」の「冷媒との相溶性試験方法」に準拠して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと3フッ化ヨウ化メタンの混合冷媒(混合比(質量比):2,3,3,3−テトラフルオロプロペン/3フッ化ヨウ化メタン=70/30)18gに対して冷凍機油を2g配合し、冷媒と冷凍機油とが20℃において相互に溶解しているかを観察した。得られた結果を表1〜3に示す。表1〜3中、「相溶」は冷媒と冷凍機油とが相互に溶解したことを意味し、「分離」は冷媒と冷凍機油とが2層に分離したことを意味する。
【0103】
(熱・化学的安定性の評価)
JIS−K−2211に準拠し、水分を10ppm以下に調整した冷凍機油(初期色相L0.5)1gと、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと3フッ化ヨウ化メタンの混合冷媒(混合比(質量比):2,3,3,3−テトラフルオロプロペン/3フッ化ヨウ化メタン=70/30)1gと、触媒(鉄、銅、アルミの各線)とをガラス管に封入した後、150℃に加熱して1週間保持した。1週間経過後の冷凍機油の色相および触媒の色変化を評価した。色相は、ASTM D156に準拠して評価した。また、触媒の色変化は、外観を目視で観察し、変化なし、光沢なし、黒化のいずれに該当するかを評価した。得られた結果を表1〜表3に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
【表3】

【0107】
表1〜3に示した結果から明らかなように、実施例1〜7の冷凍機油は、テトラフルオロプロペン冷媒および/または3フッ化ヨウ化メタン冷媒と共に用いた場合に、冷媒相溶性および熱・化学的安定性に優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族環に結合したアルキル基又はアルキレン基を有する芳香族化合物と、
テトラフルオロプロペン冷媒及び/又は3フッ化ヨウ化メタン冷媒と
を含有することを特徴とする冷凍機用作動流体組成物。
【請求項2】
前記テトラフルオロプロペン冷媒として、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、及び2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用作動流体組成物。

【公開番号】特開2008−239814(P2008−239814A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82636(P2007−82636)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】