冷凍機
【課題】可変容量型コンプレッサの吐出量制御と電気式膨脹弁の弁開度制御とが互いに干渉し合うことなく、最適なCOPを達成することができる冷凍機を提供することにある。
【解決手段】冷凍機は、電気式膨脹弁16の弁開度を制御するコントローラ20を備え、コントローラ20は高圧側冷媒が超臨界状態にあるとき、ガスクーラ出口の高圧側冷媒の温度TGが最適なCOPを達成する目標温度TTGに一致すべく、膨脹弁16の弁開度を制御する。
【解決手段】冷凍機は、電気式膨脹弁16の弁開度を制御するコントローラ20を備え、コントローラ20は高圧側冷媒が超臨界状態にあるとき、ガスクーラ出口の高圧側冷媒の温度TGが最適なCOPを達成する目標温度TTGに一致すべく、膨脹弁16の弁開度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調システムに組み込まれる冷凍機に係わり、特に、冷媒に二酸化炭素を使用する冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
この主の車両用空調システムのための冷凍機は、冷媒循環経路中に介挿された可変容量型のコンプレッサ、ガスクーラ、電気式膨張弁及び蒸発器を備え、ガスクーラ出口での高圧側冷媒の圧力を臨界圧以上に維持した状態で運転される(特許文献1,2)。
具体的には、特許文献1,2の冷凍機にあっては、最適なCOP(成績係数)を達成するため、高圧側冷媒の圧力をその目標圧に維持すべく電気式膨張弁の弁開度が制御されている。
【特許文献1】特開平11-304268号公報
【特許文献2】特開2002-22288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献の冷凍機が最適なCOPを達成すべく運転されていたとしても、負荷変動により車室の温度がその設定温度を超えて上昇すれば、これに応じて、可変容量型のコンプレッサは冷凍能力を高めるべく、その吐出容量を調整する。このため、高圧側冷媒の圧力はその目標圧から外れ、これを補償すべく電気式膨張弁はその弁開度を調整し、コンプレッサの吸入側、つまり、低圧側冷媒の圧力を変化させてしまう。
【0004】
このようにコンプレッサは要求される冷凍能力、即ち、低圧側冷媒の圧力に応じて吐出量を可変し、これに対し、膨張弁は高圧側冷媒の圧力により弁開度を調整することから、高圧側及び低圧側の双方にて冷媒の圧力を変動させる。
上述の圧力変動を避けるため、特許文献1の冷凍機にあっては電気式膨張弁の弁開度制御とコンプレッサの容量制御と同時に実施しないようにしているものの、冷媒に対する制御の対象が何れも圧力であるため、高圧側冷媒及び低圧側冷媒の一方の圧力が制御されれば、その他方の側での圧力の変動を必然的に伴い、冷凍機の運転を不安定させる要因となる。
【0005】
また、車室内の設定温度がその目標値よりも低下するような状況を考えると、この場合、コンプレッサはその吐出量を減少させ、これは低圧側冷媒の圧力を上昇させる一方、高圧側冷媒の圧力を低下させる。このような高圧側冷媒の圧力低下は最適なCOPを達成する目標圧からの外れを意味することから、電気式膨張弁はその弁開度を小さくし、高圧側冷媒の圧力を目標圧まで上昇させる。これに伴い、低圧側冷媒の圧力が低下するので、蒸発器での冷媒の蒸発温度が低下し、そして、これを補償するため、コンプレッサがその吐出量を更に減少させることになり、上述の不所望な作動が繰り返される。従って、最終的に電気式膨張弁は全閉状態となり、コンプレッサがその最小吐出量で駆動されてしまう事態となる。
【0006】
このような事態に至ると、この後、車室内の温度が設定温度よりも大きく低下するので、コンプレッサはその吐出量を増加させようとし、上述の動作が逆向きに繰り返される。この結果、冷媒の圧力制御が収束せず、発散してしまい、冷媒の圧力を著しく変動させる。
更に、特許文献1,2の冷凍機にあっては何れも、高圧側冷媒の圧力が臨界圧以上にあるとき、最適なCOPを達成すべく電気式膨張弁の弁開度を制御しているが、冷凍機の実際の運転に際しては、高圧側冷媒の圧力が臨界圧よりも低くなることも考えられ、このような状況下での制御の確立が望まれている。
【0007】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、冷媒の不所望な圧力変動を抑制し、超臨界及び亜臨界の状態にあっても最適なCOPを達成することができる冷凍機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の冷凍機は、高圧経路部分と低圧経路部分に分けられる冷媒の循環経路と、高圧経路部分に介挿され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型のコンプレッサと、高圧経路部分に前記コンプレッサの下流に位置して介挿され、コンプレッサから吐出された高圧側冷媒を冷却するガスクーラと、高圧経路部分の上流端と低圧経路部分の下流端との間に設けられた開口を有し、この開口の開度を調整可能とした膨張手段と、低圧経路部分に介挿され、膨張手段の開口から流出した低圧側冷媒を蒸発させ、調和空気を冷却する蒸発器と、この蒸発器から供給されるべき調和空気の設定温度を設定する調和温度設定手段と、調和空気の実温度を検出する空気温度検出手段と、高圧経路部分内の高圧側冷媒の実温度を検出する冷媒温度検出手段と、高圧経路部分内の高圧側冷媒の実圧力を検出する冷媒圧力検出手段と、膨張手段における開口の開度を制御する制御装置とを備え、この制御装置は、高圧側冷媒の実圧力に基づき、高圧側冷媒の目標温度を演算する目標温度演算手段と、高圧側冷媒の目標温度とその実温度との間の偏差に基づき、膨張手段における開口の目標開度を設定する開度設定手段と、目標開度に基づいて、膨張手段に開度信号を出力する開度信号出力手段とを含む(請求項1)。
【0009】
具体的には、制御装置は、調和空気の目標温度とその実温度との間の偏差に基づき、コンプレッサの目標吐出量を演算する吐出量演算手段と、この目標吐出量に基づき、コンプレッサに容量信号を出力する容量信号出力手段とを更に含むことができる(請求項2)。
上述の請求項1,2の冷凍機によれば、膨張手段における開口の開度が高圧側冷媒の圧力ではなく、高圧側冷媒の目標温度にその実温度を一致させるべく制御されるので、ここでの開度制御がコンプレッサの吐出量制御と干渉することはない。
【0010】
また、制御装置は、コンプレッサの吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されているとき、高圧側冷媒の目標圧を演算する目標圧演算手段と、この目標圧に基づいて、膨張手段に開度信号を出力する第2開度信号出力手段とを更に含むことができる(請求項3)。
更に、制御装置は、コンプレッサの吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されているとき、膨張手段に所定の開度信号を出力する第3開度信号出力手段を更に含むことができ(請求項4)、この場合、所定の開度信号は全開度信号であるのが望ましい(請求項5)。
【0011】
請求項3〜5の冷凍機によれば、膨張手段における開口の開度が高圧側冷媒の目標圧に基づく開度信号又は所定の開度信号により制御されても、このとき、コンプレッサの吐出量は実質的に可変されることがなく、開度制御がコンプレッサの吐出量制御と干渉することはない。
更に、開度設定手段は、高圧側冷媒の実圧力が臨界圧以上にあるときに膨張手段の目標開度を設定し、高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低いときには目標開度として所定の固定開度を設定する(請求項6)。
【0012】
高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低い場合、膨張手段の開口開度を変化させても、ガスクーラ及び蒸発器における能力の増減が互いに打ち消し合うことから、開口開度を冷凍機に固有の固定開度することで、実質的に最適なCOPが達成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜5の冷凍機は、膨張手段における開口の開度制御とコンプレッサの吐出量制御とを互いに干渉させないので、これら開度制御及び吐出量制御を実施するにあたり、制御の発散やハンチングを伴うことなく冷媒の圧力変動を効果的に抑制でき、最適なCOPの達成が可能となる。
請求項6の冷凍機は、高圧側冷媒の圧力が臨界圧よりも低い亜臨界状態にあっても、膨張手段の開口開度を固定開度にするだけで、最適なCOPが得られ、亜臨界状態での制御が頗る簡単なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、車両用空調システムに組み込まれる冷凍機を概略的に示し、この冷凍機は冷媒として、例えば二酸化炭素を使用する。この種の冷凍機の基本構成は公知であり、それ故、冷凍機の基本構成については以下に簡単に説明する。
冷凍機は冷媒の循環経路2を備え、この循環経路2は高圧経路部分2aと、低圧経路部分2bとに区分される。高圧経路部分2aには可変容量型のコンプレッサ4が介挿され、このコンプレッサ4は電磁クラッチ6を介してエンジン8に接続され、このエンジン8からの動力が電磁クラッチ6を経て伝達されることで駆動される。
【0015】
また、高圧経路部分2aにはガスクーラ10が介挿されており、このガスクーラ10は放熱器であって、コンプレッサ4にて圧縮され、そして、コンプレッサ4から吐出された高圧側冷媒を冷却する。
一方、低圧経路部分2bには冷媒の循環方向に蒸発器12及びアキュムレータ14が順次介挿され、そして、低圧経路部分2bの上流端と高圧経路部分2aの下流端との間には膨張手段としての電気式の膨張弁16が配置されている。この膨張弁16はその弁口(開口)の開度、つまり、その弁開度が調整可能なものである。なお、アキュムレータ14は蒸発器12から流出した冷媒に対して気液分離作用をなし、その気相部分のみをコンプレッサ4に向けて供給する。
【0016】
更に、ガスクーラ10と膨張弁16との間における高圧経路部分2a及びアキュムレータ14とコンプレッサ4との間における低圧経路部分2bにて、これら高圧経路部分2a及び低圧経路部分2bはそれらの一部が互いに隣接して配置され、内部熱交換器18を構成している。
上述したコンプレッサ4の吐出量、電磁クラッチ6の断続及び膨張弁16の弁開度はコントローラ20からの制御信号を受けて制御され、このため、コントローラ20は各種のセンサやスイッチ類が電気的に接続されている。なお、コントローラ20はマイクロプロセッサ(MPU)、ROM,RAM等の記憶装置、入出力ポート(I/O)及び種々のドライバを含む。
【0017】
具体的には、センサには、蒸発器12を通過した後の調和空気、つまり、車両の車室内に供給される調和空気の温度を検出する空気温度センサ22、コンプレッサ4の入口側(吸入側)での低圧側冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する冷媒圧力センサ24及び冷媒温度センサ26、ガスクーラ10の出口での高圧側冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する冷媒圧力センサ28及び冷媒温度センサ30があり、そして、スイッチ類には車室内の温度を設定する室温設定スイッチ32及び空調システムのオンオフを切り換えるA/Cスイッチ34がある。
【0018】
コントローラ20は上述したセンサ及びスイッチ類からの検出信号や、設定又は切換信号により冷凍機の運転を制御し、以下、この運転制御について詳述する。
図2はコントローラ20が実行するメインルーチンを示す。
メインルーチンにて、コントローラ20は先ず、初期化処理(ステップS1)を実施した後、信号処理を実施する(ステップS2)。このステップS2にて、センサ及びスイッチ類からの信号を読み込むための所定の処理が実施される。
【0019】
次に、コントローラ20は、電磁クラッチ6のためのクラッチ制御(ステップS3)、
コンプレッサ4のための吐出量制御(ステップS4)、そして、膨張弁16のための弁開度制御(ステップS5)を順次実施する。
クラッチ制御は、前述したA/Cスイッチ34からの切換信号に基づいて実施され、A/Cスイッチ34がオン操作されたとき、コントローラ20は電磁クラッチ6に制御信号を送信して電磁クラッチ6を繋ぎ、電磁クラッチ6を経てエンジン8の動力をコンプレッサ4に伝達させる。従って、この時点から、コンプレッサ4が駆動され、循環経路2内にて冷媒が循環し、車室内の冷房が開始される。
【0020】
吐出量制御は図3に具体的に示されている。
吐出量制御では、先ず、前述の室温設定スイッチ32からの設定信号に基づき、調和空気の目標温度TOが読み込まれ(ステップS40)、そして、空気温度センサ22からの検出信号に基づき調和空気の実温度TAが読み込まれる(ステップS41)。この後、コントローラ20は、目標温度TO及び実温度TAに基づき、コンプレッサ4の目標吐出量QOを演算し(ステップS42)、そして、目標吐出量QOに応じたコンプレッサ4の制御量を出力する。従って、コンプレッサ4はその実吐出量を目標吐出量QOに一致させるべく、その駆動が制御され、ステップS4が繰り返して実施されることで、車室内の温度は目標温度TOに維持される。
【0021】
なお、上述の吐出量制御が実施されるにあたり、コントローラ20は膨張弁16の弁開度調整をも併せて実施する。具体的には、膨張弁16の弁開度の初期値は、室温設定スイッチ32にて設定された目標温度TOにより決定され、この後、弁開度はコンプレッサ4における吐出圧の上昇に伴い、予め実験により定められている吐出圧−弁開度マップに従って調整される。
【0022】
次の弁開度制御は、上述の吐出量が所定時間実施された後、一定の間隔毎に実施されるものであり、その詳細が図4に示されている。
弁開度制御にて、コントローラ20は先ず、コンプレッサ(コンプ)の駆動が開始(オン)されているか否かを判別し(ステップS50)、ここでの判別結果が真(Yes)の場合、コンプレッサの吐出量が最大吐出であるか否かを判別する(ステップS51)。そして、ここでの判別結果が偽(No)の場合、コントローラ20は更に、循環経路2の高圧経路部分2aを流れる冷媒、つまり、高圧側冷媒の圧力がその臨界圧以上であるか否かを判別する(ステップS52)。ここでの判別は、前述の冷媒圧力センサ28からの検出信号に基づいて実施され、冷媒圧力センサ28はガスクーラ10の出口での圧力を高圧側冷媒の圧力PHとして検出する。
【0023】
ステップS52の判別結果が真の場合、つまり、高圧側冷媒が超臨界状態にあると、コントローラ20は高圧側冷媒の目標温度TTGを演算し(ステップS60)、このステップの詳細は図5に示されている。
高圧側冷媒の目標温度TTGを演算するにあたり、コントローラ20は循環経路2の低圧経路部分2b内を流れる冷媒、つまり、低圧側冷媒の圧力PSを読み込む(ステップS61)。具体的には、ここでは、前述の冷媒圧力センサ24からの検出信号が読み込まれ、この冷媒圧力センサ24はコンプレッサ4に吸引される低圧側冷媒の圧力を圧力PSとして検出する。
【0024】
次に、コントローラ20は低圧側冷媒の過熱度(SH)を検出し(ステップS62)、そして、圧力PS及び過熱度(SH)に基づいて、最適なCOPを達成するための最適線を選定する(ステップS63)。ここで、最適線とは、最適なCOPを達成するためのガスクーラ10の出口での高圧側冷媒の圧力PHとその温度TGとの関係を示し。具体的には、図6は過熱度(SH)が0であるとき、低圧側冷媒の圧力PSをパラメータとした最適線の一例を表し、これに対し、図7は圧力PSが一定(PS=3.5MPa)であるとき、過熱度(SH)をパラメータとした最適線の一例を表す。
【0025】
従って、コントローラ20は圧力PS及び過熱度(SH)から最適線の1つを選出でき、そして、選出した最適線と読み込んだ高圧側冷媒の圧力PH(ステップS64)とに基づき、最適なCOPを達成する高圧側冷媒の目標温度TTGを設定する(ステップS65)。
なお、図6及び図7から明らかなように、最適線で表される高圧側冷媒の圧力PH及び温度TGは、圧力PSや過熱度(SH)の相違に対して余り変化しないリニアな関係であるから、圧力PSや過熱度(SH)を無視することも可能であり、この場合、目標温度TTGは圧力PHに基づき、次式から演算することも可能である。
【0026】
TTG=A×PH+B
ここで、A,Bは定数である。
上述したようにして高圧側冷媒の目標温度TTGが設定されると、コントローラ20は次のステップS53(図4参照)にて、目標温度TTGに基づいて目標弁開度OEを演算する。具体的には、ここでは、目標温度TTGと高圧側冷媒の実温度TGAとの間の偏差が演算され、この偏差の解消に必要な膨張弁16の目標弁開度OEが演算される。なお、実温度TGAは前述の冷媒温度センサ30により検出される。
【0027】
この後、コントローラ20は、目標弁開度OEに現在の実弁開度を一致させるべく、膨張弁16に制御信号を送信し、膨脹弁16を駆動する(ステップS54)。
より詳しくは、図8から明らかなように膨脹弁16の目標弁開度OEは、目標温度TTGに対して高圧側冷媒の実温度TGAが高ければ、現弁開度を減少する閉方向に設定され、逆に、目標温度TTGに対して高圧側冷媒の実温度TGAが低ければ、現弁開度を増加する開方向に設定される。
【0028】
また、膨脹弁16の弁開度は目標弁開度OEに直ちに変更されるのではなく、目標弁開度OEに向けて小刻みに増減され、これにより、循環経路2内での冷媒の圧力変動が抑制される。
以下の表1は、膨脹弁16の弁開度を変化させたとき、ガスクーラ10における出口での高圧側冷媒の圧力PH、温度TG及び冷媒の循環量を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
また、表1の状態(i)〜(v)に対応するモリエル線図を図9の(i)〜(v)にそれぞれ示す。図9中、a〜fは、蒸発器12の入口、蒸発器12の出口、コンプレッサ4の吸い込み口、コンプレッサ4の吐出口、ガスクーラ10の出口及び内部交換器18の出口の位置をそれぞれ示し、これらの位置は図1中にも同一の参照符号を付して示されている。更に、図9中、参照符号Lは前述した最適線を示す。
【0031】
図9から明らかなように、膨脹弁16の弁開度が変化すれば、ガスクーラ10における出口での高圧側冷媒の状態もまた変化することが分かる。ここで、膨脹弁16の弁開度が変化すれば、低圧側冷媒の圧力PSもまた変化するものの、この圧力PSは調和空気の温度に対応するため、コンプレッサ4は圧力PSの変化を打ち消す方向にその吐出量を変化させるので、高圧側冷媒の状態はその温度TGのみが変化する。それ故、前述した最適線L上の目標温度TTGに高圧側冷媒の温度TGを一致させるべく、膨脹弁16の弁開度を制御することにより、最適なCOP(図9中の(iv),(v)の状態を参照)を達成することができる。
【0032】
即ち、冷凍機の運転中、高圧側冷媒が超臨界状態にあるときには、膨脹弁16の弁開度は高圧側冷媒の温度TGに応じて制御され、そして、コンプレッサ4の吐出量は低圧側冷媒の圧力PSに応じて制御されるので、これらの制御が互いに干渉し合うようなことはない。
一方、図4の弁開度制御ルーチンにおいて、ステップS52での判別結果が偽となる場合、つまり、高圧側冷媒の圧力PHが臨界圧よりも低い場合、コントローラ20はステップS52からステップS55を実施し、このステップにて膨脹弁16の弁開度を所定の固定開度に設定する。それ故、次のステップS54にて、膨脹弁16はその弁開度を固定開度にすべく制御される。
【0033】
ステップS52の判別結果が偽となる状況とは、高圧側冷媒が亜臨界状態にあることを表しているが、図10のモリエル線図ではガスクーラ10における出口(e位置)を仮に飽和液線上に位置付けて示してある。
出口(e位置)での高圧側冷媒の圧力PH及び温度TGは2相域に入るため、これら圧力PH及び温度TGを実質的に把握することはできない。しかしながら、ガスクーラ10の能力を測定し、ガスクーラ10の入口及び出口での高圧側冷媒の状態を算出したところ、実際の出口は図10中のα位置となる。
【0034】
上述の状況下にて、膨脹弁16の弁開度を可変すれば、α位置は図10でみて左右に変化し、また、内部熱交換器18の働きにより、蒸発器12の出口を実際に示すβ位置もまた図10でみて左右に変化することが実験により確認された。
以下の表2は、膨脹弁16の弁開度を種々に変化させた際の冷凍機の挙動を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
また、表2の(i)〜(viii)に対応するモリエル線図を図11の(i)〜(iii)にそれぞれ示す。
表2中の蒸発器12の能力及びガスクーラ10の能力を参照すれば、膨脹弁16の弁開度が変化されたとき、前述したα位置及びβ位置はそれぞれ左右に動くものと推定される。それ故、最適なCOPを達成するにあたり、膨脹弁16の弁開度を固定開度に設定可能であり、これは実験により確認された。なお、実験に使用した冷凍機の場合、弁開度指示値が約28となる弁開度を固定開度としたとき、最適なCOPが達成された。
【0037】
再度、図4の弁開度制御ルーチンを参照すれば、ステップS50の判別結果が偽の場合、つまり、コンプレッサ4の吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されている状況にあるとき、膨脹弁16の弁開度は全開に設定され(ステップS56)、ステップS54経て、膨脹弁16はその弁開度を全開させるべく駆動される。
一方、ステップS51の判別結果が真となる場合、つまり、コンプレッサ4の吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されている状況にあるとき、ステップS70にて、高圧側冷媒の目標圧TPGが演算され、その詳細を図12に示す。
【0038】
目標圧TPGの演算に際しては、前述した目標温度TTGの演算ルーチンでのステップS61〜S63と同様なステップS71〜S73が実施され、そして、選定した最適線及び圧力TG(ステップS74)とに基づき、目標圧TPGが設定される(ステップS75)。
なお、目標圧TPGは次式から演算することができる。
【0039】
TPG=C×TG+D
なお、C,Dは定数である。
この後、次のステップS57では、目標圧TGPに基づいて膨脹弁16の目標弁開度OEが演算され、ステップS54の実施を経て、膨脹弁16の弁開度は目標弁開度OEに一致すべく小刻みに変化される。
【0040】
上述したステップS56を経て膨脹弁16の弁開度が全開にされれば、膨脹弁16における弁開度の初期値が全開に設定されることで、冷凍機のCOPを速やかに最適値に到達させることできる。
一方、ステップS70を経て、膨脹弁16の弁開度が制御されても、このとき、コンプレッサ4はその吐出量を実質的に可変できる状況にないから、弁開度制御と吐出量制御とが互いに干渉し合うようなことはなく、よって、最適なCOPを達成することができる。
【0041】
本発明は、上述の一実施例に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、本発明が適用可能な冷凍機のコンプレッサはその吐出量が温度TA,圧力PS、その吐出圧PD又はPD−PSの差圧を一定に維持すべき制御されるものであってよく、また、冷凍機はオイルパレータやレシーバを備えるものであってよいことは言うまでもない。
【0042】
更に、膨脹弁は電気式に限らず、その弁開度が機械式に制御されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一実施例の冷凍機を示した概略構成図である。
【図2】図1のコントローラが実施するメインルーチンを示したフローチャートである。
【図3】図2の吐出量制御の詳細を示したフローチャートである。
【図4】図2の弁開度制御の詳細を示したフローチャートである。
【図5】図4中のTTGの演算の詳細を示したフローチャートである。
【図6】圧力PSをパラメータとした最適線を示すグラフである。
【図7】過熱度をパラメータとした最適線を示すグラフである。
【図8】膨脹弁の弁開度が高圧側冷媒の目標温度により変化されることを示すグラフである。
【図9】高圧側冷媒が超臨界状態にあるときのモリエル線図であり、(i)〜(v)は膨脹弁の弁開度の変化に伴う状態をそれぞれ示す。
【図10】高圧側冷媒が亜臨界状態にあるときのモリエル線図である。
【図11】高圧側冷媒が亜臨界状態にあるときのモリエル線図であり、(i)〜(viii)は膨脹弁の弁開度の変化に伴う状態をそれぞれ示す。
【図12】図4中のTPGの演算の詳細を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2 循環経路
2a 高圧経路部分
2b 低圧経路部分
4 コンプレッサ
6 電磁クラッチ
10 ガスクーラ
12 蒸発器
14 アキュムレータ
16 膨脹弁
18 内部熱交換器
20 コントローラ(制御装置)
22 空気温度センサ
26,30 冷媒温度センサ
24,28 冷媒圧力センサ
32 室温設定スイッチ
34 A/Cスイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調システムに組み込まれる冷凍機に係わり、特に、冷媒に二酸化炭素を使用する冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
この主の車両用空調システムのための冷凍機は、冷媒循環経路中に介挿された可変容量型のコンプレッサ、ガスクーラ、電気式膨張弁及び蒸発器を備え、ガスクーラ出口での高圧側冷媒の圧力を臨界圧以上に維持した状態で運転される(特許文献1,2)。
具体的には、特許文献1,2の冷凍機にあっては、最適なCOP(成績係数)を達成するため、高圧側冷媒の圧力をその目標圧に維持すべく電気式膨張弁の弁開度が制御されている。
【特許文献1】特開平11-304268号公報
【特許文献2】特開2002-22288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の特許文献の冷凍機が最適なCOPを達成すべく運転されていたとしても、負荷変動により車室の温度がその設定温度を超えて上昇すれば、これに応じて、可変容量型のコンプレッサは冷凍能力を高めるべく、その吐出容量を調整する。このため、高圧側冷媒の圧力はその目標圧から外れ、これを補償すべく電気式膨張弁はその弁開度を調整し、コンプレッサの吸入側、つまり、低圧側冷媒の圧力を変化させてしまう。
【0004】
このようにコンプレッサは要求される冷凍能力、即ち、低圧側冷媒の圧力に応じて吐出量を可変し、これに対し、膨張弁は高圧側冷媒の圧力により弁開度を調整することから、高圧側及び低圧側の双方にて冷媒の圧力を変動させる。
上述の圧力変動を避けるため、特許文献1の冷凍機にあっては電気式膨張弁の弁開度制御とコンプレッサの容量制御と同時に実施しないようにしているものの、冷媒に対する制御の対象が何れも圧力であるため、高圧側冷媒及び低圧側冷媒の一方の圧力が制御されれば、その他方の側での圧力の変動を必然的に伴い、冷凍機の運転を不安定させる要因となる。
【0005】
また、車室内の設定温度がその目標値よりも低下するような状況を考えると、この場合、コンプレッサはその吐出量を減少させ、これは低圧側冷媒の圧力を上昇させる一方、高圧側冷媒の圧力を低下させる。このような高圧側冷媒の圧力低下は最適なCOPを達成する目標圧からの外れを意味することから、電気式膨張弁はその弁開度を小さくし、高圧側冷媒の圧力を目標圧まで上昇させる。これに伴い、低圧側冷媒の圧力が低下するので、蒸発器での冷媒の蒸発温度が低下し、そして、これを補償するため、コンプレッサがその吐出量を更に減少させることになり、上述の不所望な作動が繰り返される。従って、最終的に電気式膨張弁は全閉状態となり、コンプレッサがその最小吐出量で駆動されてしまう事態となる。
【0006】
このような事態に至ると、この後、車室内の温度が設定温度よりも大きく低下するので、コンプレッサはその吐出量を増加させようとし、上述の動作が逆向きに繰り返される。この結果、冷媒の圧力制御が収束せず、発散してしまい、冷媒の圧力を著しく変動させる。
更に、特許文献1,2の冷凍機にあっては何れも、高圧側冷媒の圧力が臨界圧以上にあるとき、最適なCOPを達成すべく電気式膨張弁の弁開度を制御しているが、冷凍機の実際の運転に際しては、高圧側冷媒の圧力が臨界圧よりも低くなることも考えられ、このような状況下での制御の確立が望まれている。
【0007】
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、冷媒の不所望な圧力変動を抑制し、超臨界及び亜臨界の状態にあっても最適なCOPを達成することができる冷凍機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の冷凍機は、高圧経路部分と低圧経路部分に分けられる冷媒の循環経路と、高圧経路部分に介挿され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型のコンプレッサと、高圧経路部分に前記コンプレッサの下流に位置して介挿され、コンプレッサから吐出された高圧側冷媒を冷却するガスクーラと、高圧経路部分の上流端と低圧経路部分の下流端との間に設けられた開口を有し、この開口の開度を調整可能とした膨張手段と、低圧経路部分に介挿され、膨張手段の開口から流出した低圧側冷媒を蒸発させ、調和空気を冷却する蒸発器と、この蒸発器から供給されるべき調和空気の設定温度を設定する調和温度設定手段と、調和空気の実温度を検出する空気温度検出手段と、高圧経路部分内の高圧側冷媒の実温度を検出する冷媒温度検出手段と、高圧経路部分内の高圧側冷媒の実圧力を検出する冷媒圧力検出手段と、膨張手段における開口の開度を制御する制御装置とを備え、この制御装置は、高圧側冷媒の実圧力に基づき、高圧側冷媒の目標温度を演算する目標温度演算手段と、高圧側冷媒の目標温度とその実温度との間の偏差に基づき、膨張手段における開口の目標開度を設定する開度設定手段と、目標開度に基づいて、膨張手段に開度信号を出力する開度信号出力手段とを含む(請求項1)。
【0009】
具体的には、制御装置は、調和空気の目標温度とその実温度との間の偏差に基づき、コンプレッサの目標吐出量を演算する吐出量演算手段と、この目標吐出量に基づき、コンプレッサに容量信号を出力する容量信号出力手段とを更に含むことができる(請求項2)。
上述の請求項1,2の冷凍機によれば、膨張手段における開口の開度が高圧側冷媒の圧力ではなく、高圧側冷媒の目標温度にその実温度を一致させるべく制御されるので、ここでの開度制御がコンプレッサの吐出量制御と干渉することはない。
【0010】
また、制御装置は、コンプレッサの吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されているとき、高圧側冷媒の目標圧を演算する目標圧演算手段と、この目標圧に基づいて、膨張手段に開度信号を出力する第2開度信号出力手段とを更に含むことができる(請求項3)。
更に、制御装置は、コンプレッサの吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されているとき、膨張手段に所定の開度信号を出力する第3開度信号出力手段を更に含むことができ(請求項4)、この場合、所定の開度信号は全開度信号であるのが望ましい(請求項5)。
【0011】
請求項3〜5の冷凍機によれば、膨張手段における開口の開度が高圧側冷媒の目標圧に基づく開度信号又は所定の開度信号により制御されても、このとき、コンプレッサの吐出量は実質的に可変されることがなく、開度制御がコンプレッサの吐出量制御と干渉することはない。
更に、開度設定手段は、高圧側冷媒の実圧力が臨界圧以上にあるときに膨張手段の目標開度を設定し、高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低いときには目標開度として所定の固定開度を設定する(請求項6)。
【0012】
高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低い場合、膨張手段の開口開度を変化させても、ガスクーラ及び蒸発器における能力の増減が互いに打ち消し合うことから、開口開度を冷凍機に固有の固定開度することで、実質的に最適なCOPが達成される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1〜5の冷凍機は、膨張手段における開口の開度制御とコンプレッサの吐出量制御とを互いに干渉させないので、これら開度制御及び吐出量制御を実施するにあたり、制御の発散やハンチングを伴うことなく冷媒の圧力変動を効果的に抑制でき、最適なCOPの達成が可能となる。
請求項6の冷凍機は、高圧側冷媒の圧力が臨界圧よりも低い亜臨界状態にあっても、膨張手段の開口開度を固定開度にするだけで、最適なCOPが得られ、亜臨界状態での制御が頗る簡単なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、車両用空調システムに組み込まれる冷凍機を概略的に示し、この冷凍機は冷媒として、例えば二酸化炭素を使用する。この種の冷凍機の基本構成は公知であり、それ故、冷凍機の基本構成については以下に簡単に説明する。
冷凍機は冷媒の循環経路2を備え、この循環経路2は高圧経路部分2aと、低圧経路部分2bとに区分される。高圧経路部分2aには可変容量型のコンプレッサ4が介挿され、このコンプレッサ4は電磁クラッチ6を介してエンジン8に接続され、このエンジン8からの動力が電磁クラッチ6を経て伝達されることで駆動される。
【0015】
また、高圧経路部分2aにはガスクーラ10が介挿されており、このガスクーラ10は放熱器であって、コンプレッサ4にて圧縮され、そして、コンプレッサ4から吐出された高圧側冷媒を冷却する。
一方、低圧経路部分2bには冷媒の循環方向に蒸発器12及びアキュムレータ14が順次介挿され、そして、低圧経路部分2bの上流端と高圧経路部分2aの下流端との間には膨張手段としての電気式の膨張弁16が配置されている。この膨張弁16はその弁口(開口)の開度、つまり、その弁開度が調整可能なものである。なお、アキュムレータ14は蒸発器12から流出した冷媒に対して気液分離作用をなし、その気相部分のみをコンプレッサ4に向けて供給する。
【0016】
更に、ガスクーラ10と膨張弁16との間における高圧経路部分2a及びアキュムレータ14とコンプレッサ4との間における低圧経路部分2bにて、これら高圧経路部分2a及び低圧経路部分2bはそれらの一部が互いに隣接して配置され、内部熱交換器18を構成している。
上述したコンプレッサ4の吐出量、電磁クラッチ6の断続及び膨張弁16の弁開度はコントローラ20からの制御信号を受けて制御され、このため、コントローラ20は各種のセンサやスイッチ類が電気的に接続されている。なお、コントローラ20はマイクロプロセッサ(MPU)、ROM,RAM等の記憶装置、入出力ポート(I/O)及び種々のドライバを含む。
【0017】
具体的には、センサには、蒸発器12を通過した後の調和空気、つまり、車両の車室内に供給される調和空気の温度を検出する空気温度センサ22、コンプレッサ4の入口側(吸入側)での低圧側冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する冷媒圧力センサ24及び冷媒温度センサ26、ガスクーラ10の出口での高圧側冷媒の圧力及び温度をそれぞれ検出する冷媒圧力センサ28及び冷媒温度センサ30があり、そして、スイッチ類には車室内の温度を設定する室温設定スイッチ32及び空調システムのオンオフを切り換えるA/Cスイッチ34がある。
【0018】
コントローラ20は上述したセンサ及びスイッチ類からの検出信号や、設定又は切換信号により冷凍機の運転を制御し、以下、この運転制御について詳述する。
図2はコントローラ20が実行するメインルーチンを示す。
メインルーチンにて、コントローラ20は先ず、初期化処理(ステップS1)を実施した後、信号処理を実施する(ステップS2)。このステップS2にて、センサ及びスイッチ類からの信号を読み込むための所定の処理が実施される。
【0019】
次に、コントローラ20は、電磁クラッチ6のためのクラッチ制御(ステップS3)、
コンプレッサ4のための吐出量制御(ステップS4)、そして、膨張弁16のための弁開度制御(ステップS5)を順次実施する。
クラッチ制御は、前述したA/Cスイッチ34からの切換信号に基づいて実施され、A/Cスイッチ34がオン操作されたとき、コントローラ20は電磁クラッチ6に制御信号を送信して電磁クラッチ6を繋ぎ、電磁クラッチ6を経てエンジン8の動力をコンプレッサ4に伝達させる。従って、この時点から、コンプレッサ4が駆動され、循環経路2内にて冷媒が循環し、車室内の冷房が開始される。
【0020】
吐出量制御は図3に具体的に示されている。
吐出量制御では、先ず、前述の室温設定スイッチ32からの設定信号に基づき、調和空気の目標温度TOが読み込まれ(ステップS40)、そして、空気温度センサ22からの検出信号に基づき調和空気の実温度TAが読み込まれる(ステップS41)。この後、コントローラ20は、目標温度TO及び実温度TAに基づき、コンプレッサ4の目標吐出量QOを演算し(ステップS42)、そして、目標吐出量QOに応じたコンプレッサ4の制御量を出力する。従って、コンプレッサ4はその実吐出量を目標吐出量QOに一致させるべく、その駆動が制御され、ステップS4が繰り返して実施されることで、車室内の温度は目標温度TOに維持される。
【0021】
なお、上述の吐出量制御が実施されるにあたり、コントローラ20は膨張弁16の弁開度調整をも併せて実施する。具体的には、膨張弁16の弁開度の初期値は、室温設定スイッチ32にて設定された目標温度TOにより決定され、この後、弁開度はコンプレッサ4における吐出圧の上昇に伴い、予め実験により定められている吐出圧−弁開度マップに従って調整される。
【0022】
次の弁開度制御は、上述の吐出量が所定時間実施された後、一定の間隔毎に実施されるものであり、その詳細が図4に示されている。
弁開度制御にて、コントローラ20は先ず、コンプレッサ(コンプ)の駆動が開始(オン)されているか否かを判別し(ステップS50)、ここでの判別結果が真(Yes)の場合、コンプレッサの吐出量が最大吐出であるか否かを判別する(ステップS51)。そして、ここでの判別結果が偽(No)の場合、コントローラ20は更に、循環経路2の高圧経路部分2aを流れる冷媒、つまり、高圧側冷媒の圧力がその臨界圧以上であるか否かを判別する(ステップS52)。ここでの判別は、前述の冷媒圧力センサ28からの検出信号に基づいて実施され、冷媒圧力センサ28はガスクーラ10の出口での圧力を高圧側冷媒の圧力PHとして検出する。
【0023】
ステップS52の判別結果が真の場合、つまり、高圧側冷媒が超臨界状態にあると、コントローラ20は高圧側冷媒の目標温度TTGを演算し(ステップS60)、このステップの詳細は図5に示されている。
高圧側冷媒の目標温度TTGを演算するにあたり、コントローラ20は循環経路2の低圧経路部分2b内を流れる冷媒、つまり、低圧側冷媒の圧力PSを読み込む(ステップS61)。具体的には、ここでは、前述の冷媒圧力センサ24からの検出信号が読み込まれ、この冷媒圧力センサ24はコンプレッサ4に吸引される低圧側冷媒の圧力を圧力PSとして検出する。
【0024】
次に、コントローラ20は低圧側冷媒の過熱度(SH)を検出し(ステップS62)、そして、圧力PS及び過熱度(SH)に基づいて、最適なCOPを達成するための最適線を選定する(ステップS63)。ここで、最適線とは、最適なCOPを達成するためのガスクーラ10の出口での高圧側冷媒の圧力PHとその温度TGとの関係を示し。具体的には、図6は過熱度(SH)が0であるとき、低圧側冷媒の圧力PSをパラメータとした最適線の一例を表し、これに対し、図7は圧力PSが一定(PS=3.5MPa)であるとき、過熱度(SH)をパラメータとした最適線の一例を表す。
【0025】
従って、コントローラ20は圧力PS及び過熱度(SH)から最適線の1つを選出でき、そして、選出した最適線と読み込んだ高圧側冷媒の圧力PH(ステップS64)とに基づき、最適なCOPを達成する高圧側冷媒の目標温度TTGを設定する(ステップS65)。
なお、図6及び図7から明らかなように、最適線で表される高圧側冷媒の圧力PH及び温度TGは、圧力PSや過熱度(SH)の相違に対して余り変化しないリニアな関係であるから、圧力PSや過熱度(SH)を無視することも可能であり、この場合、目標温度TTGは圧力PHに基づき、次式から演算することも可能である。
【0026】
TTG=A×PH+B
ここで、A,Bは定数である。
上述したようにして高圧側冷媒の目標温度TTGが設定されると、コントローラ20は次のステップS53(図4参照)にて、目標温度TTGに基づいて目標弁開度OEを演算する。具体的には、ここでは、目標温度TTGと高圧側冷媒の実温度TGAとの間の偏差が演算され、この偏差の解消に必要な膨張弁16の目標弁開度OEが演算される。なお、実温度TGAは前述の冷媒温度センサ30により検出される。
【0027】
この後、コントローラ20は、目標弁開度OEに現在の実弁開度を一致させるべく、膨張弁16に制御信号を送信し、膨脹弁16を駆動する(ステップS54)。
より詳しくは、図8から明らかなように膨脹弁16の目標弁開度OEは、目標温度TTGに対して高圧側冷媒の実温度TGAが高ければ、現弁開度を減少する閉方向に設定され、逆に、目標温度TTGに対して高圧側冷媒の実温度TGAが低ければ、現弁開度を増加する開方向に設定される。
【0028】
また、膨脹弁16の弁開度は目標弁開度OEに直ちに変更されるのではなく、目標弁開度OEに向けて小刻みに増減され、これにより、循環経路2内での冷媒の圧力変動が抑制される。
以下の表1は、膨脹弁16の弁開度を変化させたとき、ガスクーラ10における出口での高圧側冷媒の圧力PH、温度TG及び冷媒の循環量を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
また、表1の状態(i)〜(v)に対応するモリエル線図を図9の(i)〜(v)にそれぞれ示す。図9中、a〜fは、蒸発器12の入口、蒸発器12の出口、コンプレッサ4の吸い込み口、コンプレッサ4の吐出口、ガスクーラ10の出口及び内部交換器18の出口の位置をそれぞれ示し、これらの位置は図1中にも同一の参照符号を付して示されている。更に、図9中、参照符号Lは前述した最適線を示す。
【0031】
図9から明らかなように、膨脹弁16の弁開度が変化すれば、ガスクーラ10における出口での高圧側冷媒の状態もまた変化することが分かる。ここで、膨脹弁16の弁開度が変化すれば、低圧側冷媒の圧力PSもまた変化するものの、この圧力PSは調和空気の温度に対応するため、コンプレッサ4は圧力PSの変化を打ち消す方向にその吐出量を変化させるので、高圧側冷媒の状態はその温度TGのみが変化する。それ故、前述した最適線L上の目標温度TTGに高圧側冷媒の温度TGを一致させるべく、膨脹弁16の弁開度を制御することにより、最適なCOP(図9中の(iv),(v)の状態を参照)を達成することができる。
【0032】
即ち、冷凍機の運転中、高圧側冷媒が超臨界状態にあるときには、膨脹弁16の弁開度は高圧側冷媒の温度TGに応じて制御され、そして、コンプレッサ4の吐出量は低圧側冷媒の圧力PSに応じて制御されるので、これらの制御が互いに干渉し合うようなことはない。
一方、図4の弁開度制御ルーチンにおいて、ステップS52での判別結果が偽となる場合、つまり、高圧側冷媒の圧力PHが臨界圧よりも低い場合、コントローラ20はステップS52からステップS55を実施し、このステップにて膨脹弁16の弁開度を所定の固定開度に設定する。それ故、次のステップS54にて、膨脹弁16はその弁開度を固定開度にすべく制御される。
【0033】
ステップS52の判別結果が偽となる状況とは、高圧側冷媒が亜臨界状態にあることを表しているが、図10のモリエル線図ではガスクーラ10における出口(e位置)を仮に飽和液線上に位置付けて示してある。
出口(e位置)での高圧側冷媒の圧力PH及び温度TGは2相域に入るため、これら圧力PH及び温度TGを実質的に把握することはできない。しかしながら、ガスクーラ10の能力を測定し、ガスクーラ10の入口及び出口での高圧側冷媒の状態を算出したところ、実際の出口は図10中のα位置となる。
【0034】
上述の状況下にて、膨脹弁16の弁開度を可変すれば、α位置は図10でみて左右に変化し、また、内部熱交換器18の働きにより、蒸発器12の出口を実際に示すβ位置もまた図10でみて左右に変化することが実験により確認された。
以下の表2は、膨脹弁16の弁開度を種々に変化させた際の冷凍機の挙動を示す。
【0035】
【表2】
【0036】
また、表2の(i)〜(viii)に対応するモリエル線図を図11の(i)〜(iii)にそれぞれ示す。
表2中の蒸発器12の能力及びガスクーラ10の能力を参照すれば、膨脹弁16の弁開度が変化されたとき、前述したα位置及びβ位置はそれぞれ左右に動くものと推定される。それ故、最適なCOPを達成するにあたり、膨脹弁16の弁開度を固定開度に設定可能であり、これは実験により確認された。なお、実験に使用した冷凍機の場合、弁開度指示値が約28となる弁開度を固定開度としたとき、最適なCOPが達成された。
【0037】
再度、図4の弁開度制御ルーチンを参照すれば、ステップS50の判別結果が偽の場合、つまり、コンプレッサ4の吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されている状況にあるとき、膨脹弁16の弁開度は全開に設定され(ステップS56)、ステップS54経て、膨脹弁16はその弁開度を全開させるべく駆動される。
一方、ステップS51の判別結果が真となる場合、つまり、コンプレッサ4の吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されている状況にあるとき、ステップS70にて、高圧側冷媒の目標圧TPGが演算され、その詳細を図12に示す。
【0038】
目標圧TPGの演算に際しては、前述した目標温度TTGの演算ルーチンでのステップS61〜S63と同様なステップS71〜S73が実施され、そして、選定した最適線及び圧力TG(ステップS74)とに基づき、目標圧TPGが設定される(ステップS75)。
なお、目標圧TPGは次式から演算することができる。
【0039】
TPG=C×TG+D
なお、C,Dは定数である。
この後、次のステップS57では、目標圧TGPに基づいて膨脹弁16の目標弁開度OEが演算され、ステップS54の実施を経て、膨脹弁16の弁開度は目標弁開度OEに一致すべく小刻みに変化される。
【0040】
上述したステップS56を経て膨脹弁16の弁開度が全開にされれば、膨脹弁16における弁開度の初期値が全開に設定されることで、冷凍機のCOPを速やかに最適値に到達させることできる。
一方、ステップS70を経て、膨脹弁16の弁開度が制御されても、このとき、コンプレッサ4はその吐出量を実質的に可変できる状況にないから、弁開度制御と吐出量制御とが互いに干渉し合うようなことはなく、よって、最適なCOPを達成することができる。
【0041】
本発明は、上述の一実施例に制約されるものではなく種々の変形が可能である。
例えば、本発明が適用可能な冷凍機のコンプレッサはその吐出量が温度TA,圧力PS、その吐出圧PD又はPD−PSの差圧を一定に維持すべき制御されるものであってよく、また、冷凍機はオイルパレータやレシーバを備えるものであってよいことは言うまでもない。
【0042】
更に、膨脹弁は電気式に限らず、その弁開度が機械式に制御されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一実施例の冷凍機を示した概略構成図である。
【図2】図1のコントローラが実施するメインルーチンを示したフローチャートである。
【図3】図2の吐出量制御の詳細を示したフローチャートである。
【図4】図2の弁開度制御の詳細を示したフローチャートである。
【図5】図4中のTTGの演算の詳細を示したフローチャートである。
【図6】圧力PSをパラメータとした最適線を示すグラフである。
【図7】過熱度をパラメータとした最適線を示すグラフである。
【図8】膨脹弁の弁開度が高圧側冷媒の目標温度により変化されることを示すグラフである。
【図9】高圧側冷媒が超臨界状態にあるときのモリエル線図であり、(i)〜(v)は膨脹弁の弁開度の変化に伴う状態をそれぞれ示す。
【図10】高圧側冷媒が亜臨界状態にあるときのモリエル線図である。
【図11】高圧側冷媒が亜臨界状態にあるときのモリエル線図であり、(i)〜(viii)は膨脹弁の弁開度の変化に伴う状態をそれぞれ示す。
【図12】図4中のTPGの演算の詳細を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
2 循環経路
2a 高圧経路部分
2b 低圧経路部分
4 コンプレッサ
6 電磁クラッチ
10 ガスクーラ
12 蒸発器
14 アキュムレータ
16 膨脹弁
18 内部熱交換器
20 コントローラ(制御装置)
22 空気温度センサ
26,30 冷媒温度センサ
24,28 冷媒圧力センサ
32 室温設定スイッチ
34 A/Cスイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧経路部分と低圧経路部分に分けられる冷媒の循環経路と、
前記高圧経路部分に介挿され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型のコンプレッサと、
前記高圧経路部分に前記コンプレッサの下流に位置して介挿され、前記コンプレッサから吐出された高圧側冷媒を冷却するガスクーラと、
前記高圧経路部分の下流端と前記低圧経路部分の上流端との間に設けられた開口を有し、この開口の開度を調整可能とした膨張手段と、
前記低圧経路部分に介挿され、前記膨張手段の前記開口から流出した低圧側冷媒を蒸発させ、調和空気を冷却する蒸発器と、
前記蒸発器から供給されるべき前記調和空気の設定温度を設定する調和温度設定手段と、
前記調和空気の実温度を検出する空気温度検出手段と、
前記高圧経路部分内の前記高圧側冷媒の実温度を検出する冷媒温度検出手段と、
前記高圧経路部分内の前記高圧側冷媒の実圧力を検出する冷媒圧力検出手段と、
前記膨張手段における前記開口の開度を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、
前記高圧側冷媒の実圧力に基づき、前記高圧側冷媒の目標温度を演算する目標温度演算手段と、
前記高圧側冷媒の前記目標温度とその前記実温度との間の偏差に基づき、前記膨張手段における前記開口の目標開度を設定する開度設定手段と、
前記目標開度に基づいて、前記膨張手段に開度信号を出力する開度信号出力手段と
を含むことを特徴とする冷凍機。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記調和空気の前記目標温度とその前記実温度との間の偏差に基づき、前記コンプレッサの目標吐出量を演算する吐出量演算手段と、
前記目標吐出量に基づき、前記コンプレッサに容量信号を出力する容量信号出力手段と
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の冷凍機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記コンプレッサの吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されているとき、前記高圧側冷媒の目標圧を演算する目標圧演算手段と、
前記目標圧に基づいて、前記膨張手段に開度信号を出力する第2開度信号出力手段とを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍機。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記コンプレッサの吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されているとき、前記膨張手段に所定の開度信号を出力する第3開度信号出力手段を更に含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の冷凍機。
【請求項5】
前記所定の開度信号は全開信号であることを特徴とする請求項4に記載の冷凍機。
【請求項6】
前記開度設定手段は、前記高圧側冷媒の実圧力が臨界圧以上にあるときに前記膨張手段の前記目標開度を設定し、前記高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低いときには前記目標開度として所定の固定開度を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の冷凍機。
【請求項1】
高圧経路部分と低圧経路部分に分けられる冷媒の循環経路と、
前記高圧経路部分に介挿され、冷媒を圧縮して吐出する可変容量型のコンプレッサと、
前記高圧経路部分に前記コンプレッサの下流に位置して介挿され、前記コンプレッサから吐出された高圧側冷媒を冷却するガスクーラと、
前記高圧経路部分の下流端と前記低圧経路部分の上流端との間に設けられた開口を有し、この開口の開度を調整可能とした膨張手段と、
前記低圧経路部分に介挿され、前記膨張手段の前記開口から流出した低圧側冷媒を蒸発させ、調和空気を冷却する蒸発器と、
前記蒸発器から供給されるべき前記調和空気の設定温度を設定する調和温度設定手段と、
前記調和空気の実温度を検出する空気温度検出手段と、
前記高圧経路部分内の前記高圧側冷媒の実温度を検出する冷媒温度検出手段と、
前記高圧経路部分内の前記高圧側冷媒の実圧力を検出する冷媒圧力検出手段と、
前記膨張手段における前記開口の開度を制御する制御装置と
を具備し、
前記制御装置は、
前記高圧側冷媒の実圧力に基づき、前記高圧側冷媒の目標温度を演算する目標温度演算手段と、
前記高圧側冷媒の前記目標温度とその前記実温度との間の偏差に基づき、前記膨張手段における前記開口の目標開度を設定する開度設定手段と、
前記目標開度に基づいて、前記膨張手段に開度信号を出力する開度信号出力手段と
を含むことを特徴とする冷凍機。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記調和空気の前記目標温度とその前記実温度との間の偏差に基づき、前記コンプレッサの目標吐出量を演算する吐出量演算手段と、
前記目標吐出量に基づき、前記コンプレッサに容量信号を出力する容量信号出力手段と
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の冷凍機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記コンプレッサの吐出量が許容最大値若しくはその近傍に維持されているとき、前記高圧側冷媒の目標圧を演算する目標圧演算手段と、
前記目標圧に基づいて、前記膨張手段に開度信号を出力する第2開度信号出力手段とを更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍機。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記コンプレッサの吐出量が最小値若しくはその近傍に維持されているとき、前記膨張手段に所定の開度信号を出力する第3開度信号出力手段を更に含むことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の冷凍機。
【請求項5】
前記所定の開度信号は全開信号であることを特徴とする請求項4に記載の冷凍機。
【請求項6】
前記開度設定手段は、前記高圧側冷媒の実圧力が臨界圧以上にあるときに前記膨張手段の前記目標開度を設定し、前記高圧側冷媒の実圧力が臨界圧よりも低いときには前記目標開度として所定の固定開度を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の冷凍機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−2706(P2008−2706A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170054(P2006−170054)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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