冷却ファンの取付構造および取付方法
【課題】冷却ファンをインバータ装置に強固に固定して取り付けるとともに、その冷却ファンの交換作業を容易に行う。
【解決手段】本実施形態の取付構造によれば、インバータ装置の筐体に備えられ、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、ファンケースに収納された冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、冷却ファンに押付力を与えることによって、冷却ファンを所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。また、本実施形態の取付方法によれば、インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに冷却ファンをスライドさせて収納し、ファンケースに収納された冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、冷却ファンを所定位置において固定する。
【解決手段】本実施形態の取付構造によれば、インバータ装置の筐体に備えられ、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、ファンケースに収納された冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、冷却ファンに押付力を与えることによって、冷却ファンを所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。また、本実施形態の取付方法によれば、インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに冷却ファンをスライドさせて収納し、ファンケースに収納された冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、冷却ファンを所定位置において固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明の実施形態は、冷却ファンの取付構造および取付方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品（例えば、半導体素子など）を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける場合には、従来では、冷却ファンを、ファンケースに鋲螺類によって固定し、あるいは、ファンケースに爪部によって固定し、そして、このように冷却ファンを固定したファンケースを、インバータ装置の筐体に例えばスナップロックの爪構造によって着脱可能に取り付けている。
【０００３】
しかしながら、このような取付構造あるいは取付方法では、冷却ファンがファンケースに強固に固定されることから、例えば冷却ファンを交換する場合に、その冷却ファンの取り外し作業を容易に行うことができない。一方、冷却ファンをファンケースに強固に固定しないようにすれば、冷却ファンの交換作業を容易に行うことが可能となる。しかし、冷却ファンを強固に固定しない取付構造あるいは取付方法では、取り付けた冷却ファンがインバータ装置内でがたつくなどの不具合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平７−２０３６８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
そこで、冷却ファンをインバータ装置に強固に固定して取り付けることができ、しかも、その冷却ファンの交換作業を容易に行うことができる冷却ファンの取付構造および取付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本実施形態の冷却ファンの取付構造は、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。
【０００７】
また、本実施形態の冷却ファンの取付方法は、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】第１実施形態に係るインバータ装置の外観を概略的に示す斜視図
【図２】インバータ装置の一部を拡大して示す斜視図
【図３】ファンケースを取り外した状態でガイド部およびその周辺部分を示すインバータ装置の斜視図
【図４】ファンケースを示す斜視図
【図５】ファンケースが開放した状態を示すインバータ装置の一側面図
【図６】ファンケースが開放した状態を示すインバータ装置の斜視図
【図７】（ａ）はファンケースが開放した状態における当該ファンケースおよびその周辺部分を拡大して示す図、（ｂ）はファンケースが閉塞した状態における当該ファンケースおよびその周辺部分を拡大して示す図
【図８】第２実施形態に係る図１相当図
【図９】図６相当図
【図１０】冷却ファンを取り外した状態を示すインバータ装置の斜視図
【図１１】図４相当図
【図１２】第３実施形態に係る図１相当図
【図１３】第１回動構造を示す図６相当図
【図１４】第２回動構造を示す図６相当図
【図１５】図３相当図
【図１６】ファンケースを取り外した状態で固定用板ばね部およびその周辺部分を示すインバータ装置の斜視図
【図１７】図４相当図
【図１８】第１回動構造を示す図５相当図
【図１９】第２回動構造を示す図５相当図
【図２０】（ａ）は第１回動構造を示す図７（ａ）相当図、（ｂ）は第１回動構造を示す図７（ｂ）相当図
【図２１】（ａ）は第２回動構造を示す図７（ａ）相当図、（ｂ）は第２回動構造を示す図７（ｂ）相当図
【発明を実施するための形態】
【０００９】
（第１実施形態）
以下、第１実施形態を図１から図７を参照して説明する。図１は、インバータ装置１０の外観を概略的に示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、図１に示す上下方向、左右方向および前後方向を、インバータ装置１０の上下方向、左右方向および前後方向として設定する。
インバータ装置１０は図１中、下部に、図示しない交流電源装置に接続される入力端子、並びに負荷（例えば図示しない誘導電動機）に接続される出力端子を備える。また、図示は省略するが、インバータ装置１０は、例えばＭＯＳＦＥＴやＩＧＢＴなどのスイッチング素子を３相ブリッジ接続して構成されるインバータ主回路、当該インバータ主回路を制御する制御部、その制御プログラムが格納された記憶手段などを備えている。こうして、インバータ装置１０は、前記交流電源装置から電源が与えられ、制御プログラムに基づきインバータ主回路が制御されることにより、誘導電動機を駆動するようになっている。なお、インバータ装置１０は、上記端子とは別に、図示しない外部装置（マスターコンピュータなどの外部の制御手段）に接続するための入出力端子を備えており、その外部装置との間で制御信号、データ信号、シリアル通信信号などの送受信が可能に構成されている。
【００１０】
図１に示すように、インバータ装置１０の筐体１１（本体）は例えば合成樹脂材料からなり、ほぼ矩形箱状をなす。この筐体１１の手前側たる前面側には、当該筐体１１に比し小さな矩形箱状をなす表示操作部１４が備えられている。
筐体１１内には、前記インバータ主回路など各種の電子部品などが収容されると共に、それらを冷却するための空冷装置が収容されている。また、空冷手段として、筐体１１の周壁には多数の放熱孔１５が形成されている。詳しい図示は省略するが、表示操作部１４は、操作パネル部として前記制御部に接続され、運転開始・停止などを入力するための各操作キーや、運転周波数などの各種パラメータを設定するための各設定キー、表示部などを備えている。この表示部は、現在の運転状態、運転周波数指令値、電圧、電流、入出力端子状態、トリップ履歴などを表示可能となっている。
【００１１】
次に、上記構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３（図５から図７参照）を収納するファンケース１２およびその周辺部分の構成について図２から図４も参照しながら詳細に説明する。この冷却ファン１３は、上記の空冷装置の一部を構成するものであり、主としてインバータ装置１０の筐体１１内に配設されている例えば半導体素子などの発熱部品を冷却（空冷）するものである。筐体１１内においてこの冷却ファン１３によって冷却される領域は冷却部として設定されており、筐体１１内部の発熱部品は、主として、この冷却部を中心に配設されている。
【００１２】
即ち、図２および図３に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース１２が取り付けられる部分、図では上部）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部２１が設けられている。そして、このファンケース収納部２１において相互に対向する１組の壁部２１ａ，２１ｂ（図では左右方向に対向する１組の壁部２１ａ，２１ｂ）には、１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄおよび１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆが形成されている。１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄは、１組の壁部２１ａ，２１ｂのうち後側（１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆとは反対側）の部分において、左右方向に相互に対向する位置に形成されている。また、１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆは、１組の壁部２１ａ，２１ｂのうち前側（１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄとは反対側）の部分において、左右方向に相互に対向する位置に形成されている。
【００１３】
また、このファンケース収納部２１において相互に対向する１組の壁部２１ｇ，２１ｈ（図では前後方向に対向する１組の壁部２１ｇ，２１ｈ）のうち一方の壁部（この場合、壁部２１ｇ）には、図３に示すように、壁部２１ｇから後方側（壁部２１ｈ側）に向かって延出するガイド部２３（案内部に相当）が設けられている。この場合、ガイド部２３は、左右方向に相互に対向する１組のガイド板２３ａ，２３ｂからなる。このガイド部２３は、壁部２１ｈに対向する後方側の面（各ガイド板２３ａ，２３ｂの後方側の面であり、以下、ガイド面と称する）が、下部ほど後方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに抉れるように湾曲した形状となっている。また、ガイド部２３（各ガイド板２３ａ，２３ｂ）の下部の後端側の面（ガイド面の下部の面であり、以下、当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００１４】
一方、このファンケース収納部２１に収納されるファンケース１２は、図４に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部１２ａと、このベース板部１２ａに一体的に形成され当該ベース板部１２ａからほぼ垂直に立設された１組の外壁１２ｂ，１２ｃおよび１組の内壁１２ｄ，１２ｅとを有している。
【００１５】
ベース板部１２ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部１２ｆを有している。この通気孔部１２ｆは、後述するようにしてファンケース１２内に収納され所定の固定位置にて固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。
【００１６】
１組の外壁１２ｂ，１２ｃは、このベース板部１２ａの外縁部において、相互に対向するように形成されている。また、１組の内壁１２ｄ，１２ｅは、１組の外壁１２ｂ，１２ｃよりも内側において、上記した通気孔部１２ｆを挟むようにして相互に対向するように形成されている。また、これら内壁１２ｄ，１２ｅの間には、間壁１２ｔが設けられている。上記した通気孔部１２ｆは、これら内壁１２ｄ，１２ｅおよび間壁１２ｔによって、一部（間壁１２ｔとは反対側の部分、図４では上側部分）のみが開放した状態で囲まれるようになっている。これら内壁１２ｄ，１２ｅおよび間壁１２ｔによって形成される空間は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部２２として機能するようになっている。また、間壁１２ｔのほぼ中央部には、ファンケース１２の内方（冷却ファン収納部２２内）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部１２ｕ（押付力付与部に相当）が設けられている。この固定用板ばね部１２ｕは、ファンケース１２の外方（固定用板ばね部１２ｕが冷却ファン収納部２２内に突出する方向とは反対方向）に弾性変形可能となっている。
【００１７】
外壁１２ｂ，１２ｃには、外方に突出する１組の固定爪部（図では、外壁１２ｂに設けられた固定爪部１２ｇのみ示し、外壁１２ｃに設けられた固定爪部の図示は省略する）が形成されている。これら固定爪部は、外壁１２ｂ，１２ｃの一端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース１２の自由端側、図４では上端側）において相互に対向する位置に形成されている。これら固定爪部は、板ばね状に設けられており、ファンケース１２の内側（通気孔部１２ｆ側）に向かって弾性変形可能となっている。
【００１８】
また、外壁１２ｂ，１２ｃには、外方に突出する１組の回動軸部（図では、外壁１２ｂに設けられた回動軸部１２ｈのみ示し、外壁１２ｃに設けられた回動軸部の図示は省略する）が形成されている。これら回動軸部は、外壁１２ｂ，１２ｃの他端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース１２の基端側、図４では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、外壁１２ｂ，１２ｃの外側面から円柱状に突出している。
【００１９】
内壁１２ｄ，１２ｅの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド１２ｐ，１２ｑおよびスライドガイド１２ｒ，１２ｓが形成されている。スライドガイド１２ｐ，１２ｑは、ファンケース１２の一端側（固定爪部が設けられた側であり、図４では上端側）において相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド１２ｒ，１２ｓは、ファンケース１２の他端側（回動軸部が設けられた側であり、図４では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド１２ｐ〜１２ｓは、冷却ファン収納部２２内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部２２内にて支持する機能を有する。
【００２０】
このように構成されたファンケース１２は、回動軸部の軸方向（図４に示す破線Ａ１参照）が、当該ファンケース１２に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図４および図５に示す矢印Ｂ１，Ｃ１方向参照、冷却ファン収納部２２を形成する内壁１２ｄ，１２ｅが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に直交する構成となる。そして、ファンケース１２は、その回動軸部を、ファンケース収納部２１の回動軸受２１ｃ，２１ｄに回動可能に挿入することで、図５および図６に矢印Ｄ１，Ｅ１で示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。なお、図４および図５に示す矢印Ｂ１方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ１方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図５および図６に示す矢印Ｄ１方向がファンケース１２の開放方向であり、矢印Ｅ１方向がファンケース１２の閉鎖方向である。
【００２１】
以上のような構成により、ファンケース１２は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ１，Ｃ１方向）に直交する回動軸部を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ１，Ｅ１方向）に回動可能に備えられる。そして、このように取り付けられたファンケース１２が開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動されると、冷却ファン収納部２２が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部２２内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。一方、ファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動されると、固定爪部が固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆに嵌合し、これにより、ファンケース１２の回動がロックされるようになる。
【００２２】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース１２を開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部２２内に冷却ファン１３を取り付け方向（矢印Ｂ１方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース１２を閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動し、当該ファンケース１２をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００２３】
このとき、このようにファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動されることに伴い、図７（ａ）に示すように、ファンケース１２内（冷却ファン収納部２２内）の冷却ファン１３は、ガイド部２３のガイド面に案内されながら冷却ファン収納部２２の奥部側（間壁１２ｔ側）に徐々に押し付けられるようになる。また、ファンケース１２の固定用板ばね部１２ｕは、冷却ファン収納部２２の奥部側（間壁１２ｔ側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部２２から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部１２ｕによって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース１２が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部２２の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部１２ｕの弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００２４】
そして、最終的には、つまり、ファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に完全に回動されて当該ファンケース１２がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図７（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、ガイド部２３の当接面と固定用板ばね部１２ｕとの間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部２２内に最も後に挿入される側の面であり、壁部２１ｇに対向する面）がガイド部２３の当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部２２内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部２３の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部２１ｈに対向する面）に固定用板ばね部１２ｕから押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図７（ｂ）に示す所定の固定位置（ガイド部２３の当接面と固定用板ばね部１２ｕとの間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００２５】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、固定爪部を弾性変形させて固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆから外して固定爪部と固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆとの嵌合状態（ファンケース１２のロック状態）を解除し、ファンケース１２を開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動する。このとき、ファンケース１２が開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が図７（ｂ）に示す所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部２３の当接面に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部１２ｕから押付力が付与された状態（所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部２２内の冷却ファン１３を取り外し方向（矢印Ｃ１方向）にスライドさせて取り外す。
【００２６】
以上に説明したように本実施形態によれば、ファンケース１２内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部２３と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部１２ｕとによって冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース１２内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンを例えば鋲螺類や爪部によってファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
【００２７】
このように、本実施形態は、ファンケース１２の回動方向を、ファンケース１２に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（矢印Ｂ１，Ｃ１方向）に直交する軸Ａ１を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ１，Ｅ１方向）に設定することが可能である。
【００２８】
（第２実施形態）
次に、第２実施形態を図８から図１１を参照して説明する。本実施形態では、図８に示すファンケース３１の回動方向が、上述のファンケース１２の回動方向と異なっている。
即ち、図９および図１０に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース３１が取り付けられる部分）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部３２が設けられている。そして、このファンケース収納部３２において相互に対向する１組の壁部３２ａ，３２ｂ（図では前後方向に対向する１組の壁部３２ａ，３２ｂ）には、１組の回動軸受（図示せず）が形成されている。また、ファンケース収納部３２において壁部３２ａ，３２ｂ以外の一壁部３２ｃ（図では左方の壁部３２ｃ）には、１つの固定爪嵌合部３２ｄが形成されている。１組の回動軸受は、１組の壁部３２ａ，３２ｂのうち右側（固定爪嵌合部３２ｄとは反対側）の部分において、前後方向に相互に対向する位置に形成されている。また、固定爪嵌合部３２ｄは、一壁部３２ｃのうち前後方向のほぼ中央部に形成されている。
【００２９】
なお、図示はしないが、壁部３２ａ，３２ｂのうち一方の壁部（この場合、壁部３２ｂ）には、上述の第１実施形態と同様に、壁部３２ｂから後方側（壁部３２ａ側）に向かって延出するガイド部（案内部に相当）が設けられている。
【００３０】
一方、このファンケース収納部３２に収納されるファンケース３１は、図１１に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部３１ａと、このベース板部３１ａに一体的に形成され当該ベース板部３１ａからほぼ垂直に立設された１組の内壁３１ｂ，３１ｃとを有している。
【００３１】
ベース板部３１ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部３１ｄを有している。この通気孔部３１ｄは、後述するようにしてファンケース３１内に収納され所定の固定位置に固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。また、ベース板部３１ａの一端部（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース３１の自由端側、図１１では右側の端部）の前後方向のほぼ中央部には、外方に突出する１つの固定爪部３１ｅが形成されている。この固定爪部３１ｅは、板ばね状に設けられており、ファンケース３１の内側（通気孔部３１ｄ側）に向かって弾性変形可能となっている。
【００３２】
また、ベース板部３１ａの他端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース３１の基端側、図１１では左端側）には、外方に突出する１組の回動軸部（図では、一方の回動軸部３１ｆのみ示し、他方の回動軸部の図示は省略する）が形成されている。これら回動軸部は、ベース板部３１ａの他端部側において相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、ベース板部３１ａの外側面から円柱状に突出している。
【００３３】
１組の内壁３１ｂ，３１ｃは、上記した通気孔部３１ｄを挟むようにして相互に対向するように形成されている。また、これら内壁３１ｂ，３１ｃの間には、間壁３１ｇが設けられている。上記した通気孔部３１ｄは、これら内壁３１ｂ，３１ｃおよび間壁３１ｇによって、一部（間壁３１ｇとは反対側の部分、図１１では上側部分）のみが開放した状態で囲まれるようになっている。これら内壁３１ｂ，３１ｃおよび間壁３１ｇによって形成される空間は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部３３として機能するようになっている。また、間壁３１ｇのほぼ中央部には、ファンケース３１の内方（冷却ファン収納部３３内）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部３１ｕ（押付力付与部に相当）が設けられている。この固定用板ばね部３１ｕは、ファンケース３１の外方（固定用板ばね部３１ｕが冷却ファン収納部３３内に突出する方向とは反対方向）に弾性変形可能となっている。
【００３４】
内壁３１ｂ，３１ｃの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド３１ｐ，３１ｑおよびスライドガイド３１ｒ，３１ｓが形成されている。スライドガイド３１ｐ，３１ｑは、ファンケース３１の一端側（冷却ファン収納部３３が開放する側であり、図１１では上端側）において相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド３１ｒ，３１ｓは、ファンケース３１の他端側（冷却ファン収納部３３が閉塞する側であり、図１１では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド３１ｐ〜３１ｓは、冷却ファン収納部３３内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部３３内にて支持する機能を有する。なお、内壁３１ｂの両端部には、リブ３１ｗ，３１ｘが設けられている。また、内壁３１ｃの両端部には、リブ３１ｙ，３１ｚが設けられている。
【００３５】
このように構成されたファンケース３１は、回動軸部の軸方向（図１１に示す破線Ａ２参照）が、当該ファンケース３１に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図１０および図１１に示す矢印Ｂ２，Ｃ２方向参照、冷却ファン収納部３３を形成する内壁３１ｂ，３１ｃが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に平行する構成となる。そして、ファンケース３１は、その回動軸部を、ファンケース収納部３２の回動軸受に回動可能に挿入することで、図９および図１０に矢印Ｄ２，Ｅ２で示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。なお、図１０および図１１に示す矢印Ｂ２方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ２方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図９および図１０に示す矢印Ｄ２方向がファンケース１２の開放方向であり、矢印Ｅ２方向がファンケース１２の閉鎖方向である。
【００３６】
以上のような構成により、ファンケース３１は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ２，Ｃ２方向）に平行する回動軸部を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ２，Ｅ２方向）に回動可能に備えられる。そして、このように取り付けられたファンケース３１が開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動されると、冷却ファン収納部３３が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部３３内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。一方、ファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動されると、固定爪部３１ｅが固定爪嵌合部３２ｄに嵌合し、これにより、ファンケース３１の回動がロックされるようになる。
【００３７】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース３１を開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部３３内に冷却ファン１３を取り付け方向（矢印Ｂ２方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース３１を閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動し、当該ファンケース３１をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００３８】
このとき、このようにファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動されることに伴い、ファンケース３１内（冷却ファン収納部３３内）の冷却ファン１３は、図示しないガイド部のガイド面に案内されながら冷却ファン収納部３３の奥部側（間壁３１ｇ側）に徐々に押し付けられるようになる。また、ファンケース３１の固定用板ばね部３１ｕは、冷却ファン収納部３３の奥部側（間壁３１ｇ側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部３３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部３１ｕによって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース３１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部３３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部３１ｕの弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００３９】
そして、最終的には、つまり、ファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に完全に回動されて当該ファンケース３１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、冷却ファン１３が、図示しないガイド部の当接面と固定用板ばね部３１ｕとの間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部３３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部３２ｂに対向する面）が図示しないガイド部の当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部３３内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部３２ａに対向する面）に固定用板ばね部３１ｕから押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、所定の固定位置（ガイド部の当接面と固定用板ばね部３１ｕとの間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００４０】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、固定爪部３１ｅを弾性変形させて固定爪嵌合部３２ｄから外して固定爪部３１ｅと固定爪嵌合部３２ｄとの嵌合状態（ファンケース３１のロック状態）を解除し、ファンケース３１を開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動する。このとき、ファンケース３１が開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部の当接面に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部３１ｕから押付力が付与された状態（所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部３３内の冷却ファン１３を取り外し方向（矢印Ｃ２方向）にスライドさせて取り外す。
【００４１】
以上に説明したように本実施形態によれば、ファンケース３１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部３１ｕとによって冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース３１内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンをファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
【００４２】
このように、本実施形態は、ファンケース３１の回動方向を、ファンケース３１に対して前記冷却ファン１３がスライドされる方向（矢印Ｂ２，Ｃ２方向）に平行する軸Ａ２を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ２，Ｅ２方向）に設定することが可能である。
【００４３】
（第３実施形態）
次に、第３実施形態を図１２から図２１を参照して説明する。本実施形態では、図１２に示すファンケース４１が複数方向（この場合、２方向）に回動可能である点が、単一方向に回動する上述のファンケース１２やファンケース３１と異なっている。
即ち、図１３および図１４に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース４１が取り付けられる部分）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部４２が設けられている。そして、このファンケース収納部４２において相互に対向する１組の壁部４２ａ，４２ｂ（図では左右方向に対向する１組の壁部４２ａ，４２ｂ）には、相互に対向する２組の嵌合孔部（図１３に、壁部４２ａに設けられた各組の一方の嵌合孔部４２ｃ，４２ｄのみを示し、各組の他方の嵌合孔部の図示は省略する）が形成されている。これら嵌合孔部は、一方の組の嵌合孔部（例えば、嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）が回動軸受として機能する場合には他方の組の嵌合孔部（この場合、嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）が固定爪嵌合部として機能し、逆に、一方の組の嵌合孔部が固定爪嵌合部として機能する場合には他方の組の嵌合孔部が回動軸受として機能するようになっている。
【００４４】
また、１組の壁部４２ａ，４２ｂには、２組の嵌合孔部よりも内側に位置して、２組の操作用切り込み部（図１３に、壁部４２ａに設けられた各組の一方の操作用切り込み部４２ｅ，４２ｆ、および、操作用切り込み部４２ｆと組をなす壁部４２ｂ側の操作用切り込み部４２ｇを示し、図１４に、操作用切り込み部４２ｅと組をなす壁部４２ｂ側の操作用切り込み部４２ｈを示す）が形成されている。
【００４５】
また、このファンケース収納部４２において相互に対向する１組の壁部４２ｊ，４２ｋ（図では前後方向に対向する１組の壁部４２ｊ，４２ｋ）のうち一方の壁部（この場合、壁部４２ｊ）には、図１５に示すように、壁部４２ｊから後方側（壁部４２ｋ側）に向かって延出するガイド部４４（案内部に相当）が設けられている。この場合、ガイド部４４は、左右方向に相互に対向する１組のガイド板４４ａ，４４ｂからなる。このガイド部４４は、壁部４２ｋに対向する後方側の面（各ガイド板４４ａ，４４ｂの後方側の面であり、以下、第１ガイド面と称する）が、下部ほど後方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに膨らむように湾曲した形状となっている。また、ガイド部４４（各ガイド板４４ａ，４４ｂ）の後端側の面のうち下部側の殆どの面（第１ガイド面の下部側の殆どの面であり、以下、第１当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００４６】
一方、１組の壁部４２ｊ，４２ｋのうち他方の壁部（この場合、壁部４２ｋ）には、図１６に示すように、壁部４２ｋから前方側（壁部４２ｊ側）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部４５（後述する第１回動構造では押付力付与部に相当、第２回動構造では押付力付与部および案内部に相当）が設けられている。この場合、固定用板ばね部４５は、壁部４２ｋから突出して下方に湾曲する板状の片部から構成されており、ファンケース収納部４２の外方側（壁部４２ｋ側）に弾性変形可能となっている。なお、この固定用板ばね部４５の断面形状は、上記したガイド部４４（このガイド部４４を構成するガイド板４４ａ，４４ｂ）の外形（延出端部の外形）と一致（ほぼ一致）する形状となっている。即ち、この固定用板ばね部４５は、壁部４２ｊに対向する前方側の面（以下、第２ガイド面と称する）が、下部ほど前方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに膨らむように湾曲した形状となっている。また、固定用板ばね部４５の前端側の面のうち下部側の殆どの面（第２ガイド面の下部側の殆どの面であり、以下、第２当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００４７】
一方、このファンケース収納部４２に収納されるファンケース４１は、図１７に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部４１ａと、このベース板部４１ａに一体的に形成され当該ベース板部４１ａからほぼ垂直に立設された１組の外壁４１ｂ，４１ｃおよび１組の内壁４１ｄ，４１ｅとを有している。
【００４８】
ベース板部４１ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部４１ｆを有している。この通気孔部４１ｆは、後述するようにしてファンケース４１内に収納され所定の固定位置に固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。
【００４９】
１組の外壁４１ｂ，４１ｃは、このベース板部４１ａの外縁部において、相互に対向するように形成されている。また、１組の内壁４１ｄ，４１ｅは、１組の外壁４１ｂ，４１ｃよりも内側において、上記した通気孔部４１ｆを挟むようにして相互に対向するように形成されている。これら内壁４１ｄ，４１ｅ間に形成される空間（通気孔部４１ｆに対向する空間）は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部４３として機能するようになっている。
【００５０】
外壁４１ｂ，４１ｃには、外方に突出する２組の突起部（図では、外壁４１ｂに設けられた各組の一方の突起部４１ｇ，４１ｈのみ示し、外壁４１ｃに設けられた突起部の図示は省略する）が形成されている。これら突起部は、一方の組の突起部（例えば、突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす壁部４１ｃ側の突起部）が回動軸部として機能する場合には他方の組の突起部（この場合、突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす壁部４１ｃ側の突起部）が固定爪部として機能し、逆に、一方の組の突起部が固定爪部として機能する場合には他方の組の突起部が回動軸部として機能するようになっている。
【００５１】
これら突起部は、外壁４１ｂ，４１ｃの一端部側（図１７では上端側）および他端部側（図１７では下端側）において、それぞれ相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、外壁４１ｂ，４１ｃの外側面から概ね円柱状に突出しているが、その一部（ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされた状態、つまり、図１２に示すようにファンケース４１がファンケース収納部４２を閉塞した状態において、下側となる部分、図１７では手前側の部分）が斜めに切り落とされた形状となっている。
【００５２】
また、外壁４１ｂ，４１ｃの一端部側（図１７では上端側）および他端部側（図１７では下端側）、つまり、突起部が形成された部分は、板ばね状に設けられており、ファンケース４１の内側（通気孔部４１ｆ側）に向かって弾性変形可能となっている。また、この板ばね状に設けられた部分の先端部には、突起部の近傍に位置して、押し込み部（図では、外壁４１ｂに設けられた押し込み部４１ｍ，４１ｎのみ示し、外壁４１ｃに設けられた押し込み部の図示は省略する）が設けられている。
【００５３】
内壁４１ｄ，４１ｅの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド４１ｐ，４１ｑおよびスライドガイド４１ｒ，４１ｓが形成されている。スライドガイド４１ｐ，４１ｑは、相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド４１ｒ，４１ｓは、相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド４１ｐ〜４１ｓは、冷却ファン収納部４３内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３内にて支持する機能を有する。
【００５４】
このように構成されたファンケース４１は、回動軸部（突起部４１ｇと当該突起部４１ｇと組をなす突起部からなる回動軸部、あるいは、突起部４１ｈと当該突起部４１ｈと組をなす突起部からなる回動軸部）の軸方向（図１７に示す破線Ａ３、あるいは、破線Ａ４参照）が、当該ファンケース４１に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図１７から図１９に示す矢印Ｂ３，Ｃ３方向参照、冷却ファン収納部４３を形成する内壁４１ｄ，４１ｅが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に直交する構成となる。
【００５５】
そして、このファンケース４１は、第１回動方向に回動可能な第１回動構造（図１３および図１８に示す構造）および第２回動方向に回動可能な第２回動構造（図１４および図１９に示す構造）の何れかによって、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。
【００５６】
即ち、第１回動構造では、ファンケース４１は、その回動軸部（突起部４１ｇと当該突起部４１ｇと組をなす壁部４１ｃ側の突起部からなる回動軸部、図１７に示す破線Ａ３参照）を、ファンケース収納部４２の回動軸受（嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の回動軸受）に回動可能に挿入することで、図１３および図１８に矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａで示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。この矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａで示す方向が第１回動方向である。
【００５７】
また、第２回動構造では、ファンケース４１は、その回動軸部（突起部４１ｈと当該突起部４１ｈと組をなす壁部４１ｃ側の突起部からなる回動軸部、図１７に示す破線Ａ４参照）を、ファンケース収納部４２の回動軸受（嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の回動軸受）に回動可能に挿入することで、図１４および図１９に矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂで示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。この矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂで示す方向が第２回動方向である。
【００５８】
なお、第１回動構造では、図１７および図１８に示す矢印Ｂ３方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ３方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図１３および図１８に示す矢印Ｄ３ａ方向がファンケース４１の開放方向であり、矢印Ｅ３ａ方向がファンケース４１の閉鎖方向である。
【００５９】
また、第２回動構造では、図１７および図１９に示す矢印Ｃ３方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｂ３方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。即ち、第１回動構造と第２回動構造とでは、ファンケース４１に対する冷却ファン１３の取り付け方向および取り外し方向が相互に逆になる構成である。また、図１４および図１９に示す矢印Ｄ３ｂ方向がファンケース４１の開放方向であり、矢印Ｅ３ｂ方向がファンケース４１の閉鎖方向である。
【００６０】
以上のような構成により、ファンケース４１は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ３，Ｃ３方向）に直交する回動軸部を回動中心とする回動方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂ方向）に回動可能に備えられる。
【００６１】
そして、このように取り付けられたファンケース４１が開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動されると、冷却ファン収納部４３が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部４３内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。
【００６２】
一方、ファンケース４１が閉鎖方向（第１回動構造では矢印Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｅ３ｂ方向）に回動されると、回動軸部として機能していない突起部（第１回動構造では突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす突起部、第２回動構造では突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす突起部）が回動軸受として機能していない嵌合孔部（第１回動構造では嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす嵌合孔部、第２回動構造では嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす嵌合孔部）に嵌合し、これにより、ファンケース４１の回動がロックされるようになる。
【００６３】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース４１を開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部４３内に冷却ファン１３を取り付け方向（第１回動構造では矢印Ｂ３方向、第２回動構造では矢印Ｃ３方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース４１を閉鎖方向（第１回動構造では矢印Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｅ３ｂ方向）に回動し、当該ファンケース４１をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００６４】
このとき、第１回動構造の場合では、このようにファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ａ方向）に回動されることに伴い、図２０（ａ）に示すように、ファンケース４１内（冷却ファン収納部４３内）の冷却ファン１３は、ガイド部４４の第１ガイド面に案内されながら冷却ファン収納部４３の奥部側（固定用板ばね部４５側）に徐々に押し付けられるようになる。また、第１回動構造の場合、ファンケース収納部４２の固定用板ばね部４５は、冷却ファン収納部４３の奥部側（固定用板ばね部４５側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部４５によって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース４１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部４３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部４５の弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００６５】
そして、最終的には、つまり、ファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ａ方向）に完全に回動されて当該ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図２０（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、ガイド部４４の第１当接面と固定用板ばね部４５との間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部４２ｊに対向する面）がガイド部４４の第１当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部４４の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部４２ｋに対向する面）に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図２０（ｂ）に示す所定の固定位置（ガイド部４４の第１当接面と固定用板ばね部４５との間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００６６】
また、第２回動構造の場合では、このようにファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ｂ方向）に回動されることに伴い、図２１（ａ）に示すように、ファンケース４１内（冷却ファン収納部４３内）の冷却ファン１３は、固定用板ばね部４５の第２ガイド面に案内されながら冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に押し付けられるようになる。また、第２回動構造の場合、ファンケース収納部４２の固定用板ばね部４５は、冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に押し込むとともに、冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に進入していく冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部４５によって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース４１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部４３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部４５の弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００６７】
そして、最終的には、つまり、ファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ｂ方向）に完全に回動されて当該ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図２１（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、固定用板ばね部４５の第２当接面とガイド部４４との間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部４２ｋに対向する面）が固定用板ばね部４５の第２当接面に当接するとともに、その一方の面に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態となる。また、これに伴い、冷却ファン１３は、その他方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も先に挿入される側の面であって、固定用板ばね部４５の第２当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部４２ｊに対向する面）が、固定用板ばね部４５からの押付力によってガイド部４４の第１当接面に強固に押し付けられた状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図２１（ｂ）に示す所定の固定位置（固定用板ばね部４５の第２当接面とガイド部４４との間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。即ち、第２回動構造では、固定用板ばね部４５は、ファンケース４１に収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内する案内部としての機能と、その冷却ファン１３に押付力を与えることによって当該冷却ファン１３を所定の固定位置において固定する押付力付与部としての機能を兼ね備える構成である。
【００６８】
ファンケース４１をインバータ装置１０の筐体１１にロックした状態では、図１２に示すように、ファンケース４１の各押し込み部（例えば、図１２に示す押し込み部４１ｍ，４１ｎ）は、操作用切り込み部（例えば、図１２に示す操作用切り込み部４２ｅ，４２ｆ）を介して外部に露出した状態となる。従って、ファンケース４１の各押し込み部を、外部から押し込むことが可能である。
【００６９】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、回動軸部として機能していない突起部、つまり、固定爪部として機能している突起部（第１回動構造では突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす壁部４２ｂ側の突起部、第２回動構造では突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす壁部４２ｂ側の突起部）を、外部に露出している押し込み部を押し込むことで弾性変形させて、回動軸受として機能していない嵌合孔部、つまり、固定爪嵌合部として機能している嵌合孔部（第１回動構造では嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部、第２回動構造では嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）から外して、固定爪部と固定爪嵌合部との嵌合状態（ファンケース４１のロック状態）を解除する。そして、ファンケース４１を開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動する。
【００７０】
このとき、ファンケース４１が開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が図２０（ｂ）あるいは図２１（ｂ）に示す所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部４４に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態、あるいは、一方の面がガイド部４４に当接し、且つ、他方の面が固定用板ばね部４５に当接し当該固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態（要するに、所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部４３内の冷却ファン１３を取り外し方向（第１回動構造では矢印Ｃ３方向、第２回動構造では矢印Ｂ３方向）にスライドさせて取り外す。
【００７１】
以上に説明したように本実施形態によれば、第１回動構造では、ファンケース４１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部４４と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部４５とによって、第２回動構造では、ファンケース４１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するとともに当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部４５によって、冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース４１内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンを例えば鋲螺類や爪部によってファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
このように、本実施形態は、ファンケース４１の回動方向を複数に設定することが可能である。
【００７２】
なお、本実施形態は、第１回動構造および第２回動構造を択一的に切り換え可能である。
また、本実施形態は、ファンケースを、冷却ファンのスライド方向に平行する軸を回動中心とする複数の回動方向に回動可能に備える構成としてもよい。
【００７３】
以上に説明した少なくとも何れか１つの実施形態によれば、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。また、以上に説明した少なくとも何れか１つの実施形態によれば、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する。これにより、冷却ファンをインバータ装置に強固に固定して取り付けることができ、しかも、その冷却ファンの交換作業（取付作業）を容易に行うことができる。
【００７４】
なお、本実施形態では、上述の各実施形態において共通の冷却ファン１３を使用することができる。
上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【００７５】
図面中、１０はインバータ装置、１１は筐体、１２，３１，４１はファンケース、１２ｕ，３１ｕ，４５は固定用板ばね部（押付力付与部）、１３は冷却ファン、２３，４４，４５はガイド部（案内部）を示す。
【技術分野】
【０００１】
本発明の実施形態は、冷却ファンの取付構造および取付方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品（例えば、半導体素子など）を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける場合には、従来では、冷却ファンを、ファンケースに鋲螺類によって固定し、あるいは、ファンケースに爪部によって固定し、そして、このように冷却ファンを固定したファンケースを、インバータ装置の筐体に例えばスナップロックの爪構造によって着脱可能に取り付けている。
【０００３】
しかしながら、このような取付構造あるいは取付方法では、冷却ファンがファンケースに強固に固定されることから、例えば冷却ファンを交換する場合に、その冷却ファンの取り外し作業を容易に行うことができない。一方、冷却ファンをファンケースに強固に固定しないようにすれば、冷却ファンの交換作業を容易に行うことが可能となる。しかし、冷却ファンを強固に固定しない取付構造あるいは取付方法では、取り付けた冷却ファンがインバータ装置内でがたつくなどの不具合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平７−２０３６８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
そこで、冷却ファンをインバータ装置に強固に固定して取り付けることができ、しかも、その冷却ファンの交換作業を容易に行うことができる冷却ファンの取付構造および取付方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本実施形態の冷却ファンの取付構造は、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。
【０００７】
また、本実施形態の冷却ファンの取付方法は、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】第１実施形態に係るインバータ装置の外観を概略的に示す斜視図
【図２】インバータ装置の一部を拡大して示す斜視図
【図３】ファンケースを取り外した状態でガイド部およびその周辺部分を示すインバータ装置の斜視図
【図４】ファンケースを示す斜視図
【図５】ファンケースが開放した状態を示すインバータ装置の一側面図
【図６】ファンケースが開放した状態を示すインバータ装置の斜視図
【図７】（ａ）はファンケースが開放した状態における当該ファンケースおよびその周辺部分を拡大して示す図、（ｂ）はファンケースが閉塞した状態における当該ファンケースおよびその周辺部分を拡大して示す図
【図８】第２実施形態に係る図１相当図
【図９】図６相当図
【図１０】冷却ファンを取り外した状態を示すインバータ装置の斜視図
【図１１】図４相当図
【図１２】第３実施形態に係る図１相当図
【図１３】第１回動構造を示す図６相当図
【図１４】第２回動構造を示す図６相当図
【図１５】図３相当図
【図１６】ファンケースを取り外した状態で固定用板ばね部およびその周辺部分を示すインバータ装置の斜視図
【図１７】図４相当図
【図１８】第１回動構造を示す図５相当図
【図１９】第２回動構造を示す図５相当図
【図２０】（ａ）は第１回動構造を示す図７（ａ）相当図、（ｂ）は第１回動構造を示す図７（ｂ）相当図
【図２１】（ａ）は第２回動構造を示す図７（ａ）相当図、（ｂ）は第２回動構造を示す図７（ｂ）相当図
【発明を実施するための形態】
【０００９】
（第１実施形態）
以下、第１実施形態を図１から図７を参照して説明する。図１は、インバータ装置１０の外観を概略的に示す斜視図である。なお、説明の便宜のため、図１に示す上下方向、左右方向および前後方向を、インバータ装置１０の上下方向、左右方向および前後方向として設定する。
インバータ装置１０は図１中、下部に、図示しない交流電源装置に接続される入力端子、並びに負荷（例えば図示しない誘導電動機）に接続される出力端子を備える。また、図示は省略するが、インバータ装置１０は、例えばＭＯＳＦＥＴやＩＧＢＴなどのスイッチング素子を３相ブリッジ接続して構成されるインバータ主回路、当該インバータ主回路を制御する制御部、その制御プログラムが格納された記憶手段などを備えている。こうして、インバータ装置１０は、前記交流電源装置から電源が与えられ、制御プログラムに基づきインバータ主回路が制御されることにより、誘導電動機を駆動するようになっている。なお、インバータ装置１０は、上記端子とは別に、図示しない外部装置（マスターコンピュータなどの外部の制御手段）に接続するための入出力端子を備えており、その外部装置との間で制御信号、データ信号、シリアル通信信号などの送受信が可能に構成されている。
【００１０】
図１に示すように、インバータ装置１０の筐体１１（本体）は例えば合成樹脂材料からなり、ほぼ矩形箱状をなす。この筐体１１の手前側たる前面側には、当該筐体１１に比し小さな矩形箱状をなす表示操作部１４が備えられている。
筐体１１内には、前記インバータ主回路など各種の電子部品などが収容されると共に、それらを冷却するための空冷装置が収容されている。また、空冷手段として、筐体１１の周壁には多数の放熱孔１５が形成されている。詳しい図示は省略するが、表示操作部１４は、操作パネル部として前記制御部に接続され、運転開始・停止などを入力するための各操作キーや、運転周波数などの各種パラメータを設定するための各設定キー、表示部などを備えている。この表示部は、現在の運転状態、運転周波数指令値、電圧、電流、入出力端子状態、トリップ履歴などを表示可能となっている。
【００１１】
次に、上記構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３（図５から図７参照）を収納するファンケース１２およびその周辺部分の構成について図２から図４も参照しながら詳細に説明する。この冷却ファン１３は、上記の空冷装置の一部を構成するものであり、主としてインバータ装置１０の筐体１１内に配設されている例えば半導体素子などの発熱部品を冷却（空冷）するものである。筐体１１内においてこの冷却ファン１３によって冷却される領域は冷却部として設定されており、筐体１１内部の発熱部品は、主として、この冷却部を中心に配設されている。
【００１２】
即ち、図２および図３に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース１２が取り付けられる部分、図では上部）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部２１が設けられている。そして、このファンケース収納部２１において相互に対向する１組の壁部２１ａ，２１ｂ（図では左右方向に対向する１組の壁部２１ａ，２１ｂ）には、１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄおよび１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆが形成されている。１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄは、１組の壁部２１ａ，２１ｂのうち後側（１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆとは反対側）の部分において、左右方向に相互に対向する位置に形成されている。また、１組の固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆは、１組の壁部２１ａ，２１ｂのうち前側（１組の回動軸受２１ｃ，２１ｄとは反対側）の部分において、左右方向に相互に対向する位置に形成されている。
【００１３】
また、このファンケース収納部２１において相互に対向する１組の壁部２１ｇ，２１ｈ（図では前後方向に対向する１組の壁部２１ｇ，２１ｈ）のうち一方の壁部（この場合、壁部２１ｇ）には、図３に示すように、壁部２１ｇから後方側（壁部２１ｈ側）に向かって延出するガイド部２３（案内部に相当）が設けられている。この場合、ガイド部２３は、左右方向に相互に対向する１組のガイド板２３ａ，２３ｂからなる。このガイド部２３は、壁部２１ｈに対向する後方側の面（各ガイド板２３ａ，２３ｂの後方側の面であり、以下、ガイド面と称する）が、下部ほど後方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに抉れるように湾曲した形状となっている。また、ガイド部２３（各ガイド板２３ａ，２３ｂ）の下部の後端側の面（ガイド面の下部の面であり、以下、当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００１４】
一方、このファンケース収納部２１に収納されるファンケース１２は、図４に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部１２ａと、このベース板部１２ａに一体的に形成され当該ベース板部１２ａからほぼ垂直に立設された１組の外壁１２ｂ，１２ｃおよび１組の内壁１２ｄ，１２ｅとを有している。
【００１５】
ベース板部１２ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部１２ｆを有している。この通気孔部１２ｆは、後述するようにしてファンケース１２内に収納され所定の固定位置にて固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。
【００１６】
１組の外壁１２ｂ，１２ｃは、このベース板部１２ａの外縁部において、相互に対向するように形成されている。また、１組の内壁１２ｄ，１２ｅは、１組の外壁１２ｂ，１２ｃよりも内側において、上記した通気孔部１２ｆを挟むようにして相互に対向するように形成されている。また、これら内壁１２ｄ，１２ｅの間には、間壁１２ｔが設けられている。上記した通気孔部１２ｆは、これら内壁１２ｄ，１２ｅおよび間壁１２ｔによって、一部（間壁１２ｔとは反対側の部分、図４では上側部分）のみが開放した状態で囲まれるようになっている。これら内壁１２ｄ，１２ｅおよび間壁１２ｔによって形成される空間は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部２２として機能するようになっている。また、間壁１２ｔのほぼ中央部には、ファンケース１２の内方（冷却ファン収納部２２内）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部１２ｕ（押付力付与部に相当）が設けられている。この固定用板ばね部１２ｕは、ファンケース１２の外方（固定用板ばね部１２ｕが冷却ファン収納部２２内に突出する方向とは反対方向）に弾性変形可能となっている。
【００１７】
外壁１２ｂ，１２ｃには、外方に突出する１組の固定爪部（図では、外壁１２ｂに設けられた固定爪部１２ｇのみ示し、外壁１２ｃに設けられた固定爪部の図示は省略する）が形成されている。これら固定爪部は、外壁１２ｂ，１２ｃの一端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース１２の自由端側、図４では上端側）において相互に対向する位置に形成されている。これら固定爪部は、板ばね状に設けられており、ファンケース１２の内側（通気孔部１２ｆ側）に向かって弾性変形可能となっている。
【００１８】
また、外壁１２ｂ，１２ｃには、外方に突出する１組の回動軸部（図では、外壁１２ｂに設けられた回動軸部１２ｈのみ示し、外壁１２ｃに設けられた回動軸部の図示は省略する）が形成されている。これら回動軸部は、外壁１２ｂ，１２ｃの他端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース１２の基端側、図４では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、外壁１２ｂ，１２ｃの外側面から円柱状に突出している。
【００１９】
内壁１２ｄ，１２ｅの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド１２ｐ，１２ｑおよびスライドガイド１２ｒ，１２ｓが形成されている。スライドガイド１２ｐ，１２ｑは、ファンケース１２の一端側（固定爪部が設けられた側であり、図４では上端側）において相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド１２ｒ，１２ｓは、ファンケース１２の他端側（回動軸部が設けられた側であり、図４では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド１２ｐ〜１２ｓは、冷却ファン収納部２２内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部２２内にて支持する機能を有する。
【００２０】
このように構成されたファンケース１２は、回動軸部の軸方向（図４に示す破線Ａ１参照）が、当該ファンケース１２に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図４および図５に示す矢印Ｂ１，Ｃ１方向参照、冷却ファン収納部２２を形成する内壁１２ｄ，１２ｅが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に直交する構成となる。そして、ファンケース１２は、その回動軸部を、ファンケース収納部２１の回動軸受２１ｃ，２１ｄに回動可能に挿入することで、図５および図６に矢印Ｄ１，Ｅ１で示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。なお、図４および図５に示す矢印Ｂ１方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ１方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図５および図６に示す矢印Ｄ１方向がファンケース１２の開放方向であり、矢印Ｅ１方向がファンケース１２の閉鎖方向である。
【００２１】
以上のような構成により、ファンケース１２は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ１，Ｃ１方向）に直交する回動軸部を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ１，Ｅ１方向）に回動可能に備えられる。そして、このように取り付けられたファンケース１２が開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動されると、冷却ファン収納部２２が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部２２内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。一方、ファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動されると、固定爪部が固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆに嵌合し、これにより、ファンケース１２の回動がロックされるようになる。
【００２２】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース１２を開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部２２内に冷却ファン１３を取り付け方向（矢印Ｂ１方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース１２を閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動し、当該ファンケース１２をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００２３】
このとき、このようにファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に回動されることに伴い、図７（ａ）に示すように、ファンケース１２内（冷却ファン収納部２２内）の冷却ファン１３は、ガイド部２３のガイド面に案内されながら冷却ファン収納部２２の奥部側（間壁１２ｔ側）に徐々に押し付けられるようになる。また、ファンケース１２の固定用板ばね部１２ｕは、冷却ファン収納部２２の奥部側（間壁１２ｔ側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部２２から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部１２ｕによって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース１２が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部２２の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部１２ｕの弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００２４】
そして、最終的には、つまり、ファンケース１２が閉鎖方向（矢印Ｅ１方向）に完全に回動されて当該ファンケース１２がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図７（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、ガイド部２３の当接面と固定用板ばね部１２ｕとの間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部２２内に最も後に挿入される側の面であり、壁部２１ｇに対向する面）がガイド部２３の当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部２２内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部２３の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部２１ｈに対向する面）に固定用板ばね部１２ｕから押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図７（ｂ）に示す所定の固定位置（ガイド部２３の当接面と固定用板ばね部１２ｕとの間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００２５】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、固定爪部を弾性変形させて固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆから外して固定爪部と固定爪嵌合部２１ｅ，２１ｆとの嵌合状態（ファンケース１２のロック状態）を解除し、ファンケース１２を開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動する。このとき、ファンケース１２が開放方向（矢印Ｄ１方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が図７（ｂ）に示す所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部２３の当接面に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部１２ｕから押付力が付与された状態（所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部２２内の冷却ファン１３を取り外し方向（矢印Ｃ１方向）にスライドさせて取り外す。
【００２６】
以上に説明したように本実施形態によれば、ファンケース１２内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部２３と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部１２ｕとによって冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース１２内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンを例えば鋲螺類や爪部によってファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
【００２７】
このように、本実施形態は、ファンケース１２の回動方向を、ファンケース１２に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（矢印Ｂ１，Ｃ１方向）に直交する軸Ａ１を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ１，Ｅ１方向）に設定することが可能である。
【００２８】
（第２実施形態）
次に、第２実施形態を図８から図１１を参照して説明する。本実施形態では、図８に示すファンケース３１の回動方向が、上述のファンケース１２の回動方向と異なっている。
即ち、図９および図１０に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース３１が取り付けられる部分）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部３２が設けられている。そして、このファンケース収納部３２において相互に対向する１組の壁部３２ａ，３２ｂ（図では前後方向に対向する１組の壁部３２ａ，３２ｂ）には、１組の回動軸受（図示せず）が形成されている。また、ファンケース収納部３２において壁部３２ａ，３２ｂ以外の一壁部３２ｃ（図では左方の壁部３２ｃ）には、１つの固定爪嵌合部３２ｄが形成されている。１組の回動軸受は、１組の壁部３２ａ，３２ｂのうち右側（固定爪嵌合部３２ｄとは反対側）の部分において、前後方向に相互に対向する位置に形成されている。また、固定爪嵌合部３２ｄは、一壁部３２ｃのうち前後方向のほぼ中央部に形成されている。
【００２９】
なお、図示はしないが、壁部３２ａ，３２ｂのうち一方の壁部（この場合、壁部３２ｂ）には、上述の第１実施形態と同様に、壁部３２ｂから後方側（壁部３２ａ側）に向かって延出するガイド部（案内部に相当）が設けられている。
【００３０】
一方、このファンケース収納部３２に収納されるファンケース３１は、図１１に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部３１ａと、このベース板部３１ａに一体的に形成され当該ベース板部３１ａからほぼ垂直に立設された１組の内壁３１ｂ，３１ｃとを有している。
【００３１】
ベース板部３１ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部３１ｄを有している。この通気孔部３１ｄは、後述するようにしてファンケース３１内に収納され所定の固定位置に固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。また、ベース板部３１ａの一端部（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース３１の自由端側、図１１では右側の端部）の前後方向のほぼ中央部には、外方に突出する１つの固定爪部３１ｅが形成されている。この固定爪部３１ｅは、板ばね状に設けられており、ファンケース３１の内側（通気孔部３１ｄ側）に向かって弾性変形可能となっている。
【００３２】
また、ベース板部３１ａの他端部側（後述するようにしてインバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられるファンケース３１の基端側、図１１では左端側）には、外方に突出する１組の回動軸部（図では、一方の回動軸部３１ｆのみ示し、他方の回動軸部の図示は省略する）が形成されている。これら回動軸部は、ベース板部３１ａの他端部側において相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、ベース板部３１ａの外側面から円柱状に突出している。
【００３３】
１組の内壁３１ｂ，３１ｃは、上記した通気孔部３１ｄを挟むようにして相互に対向するように形成されている。また、これら内壁３１ｂ，３１ｃの間には、間壁３１ｇが設けられている。上記した通気孔部３１ｄは、これら内壁３１ｂ，３１ｃおよび間壁３１ｇによって、一部（間壁３１ｇとは反対側の部分、図１１では上側部分）のみが開放した状態で囲まれるようになっている。これら内壁３１ｂ，３１ｃおよび間壁３１ｇによって形成される空間は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部３３として機能するようになっている。また、間壁３１ｇのほぼ中央部には、ファンケース３１の内方（冷却ファン収納部３３内）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部３１ｕ（押付力付与部に相当）が設けられている。この固定用板ばね部３１ｕは、ファンケース３１の外方（固定用板ばね部３１ｕが冷却ファン収納部３３内に突出する方向とは反対方向）に弾性変形可能となっている。
【００３４】
内壁３１ｂ，３１ｃの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド３１ｐ，３１ｑおよびスライドガイド３１ｒ，３１ｓが形成されている。スライドガイド３１ｐ，３１ｑは、ファンケース３１の一端側（冷却ファン収納部３３が開放する側であり、図１１では上端側）において相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド３１ｒ，３１ｓは、ファンケース３１の他端側（冷却ファン収納部３３が閉塞する側であり、図１１では下端側）において相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド３１ｐ〜３１ｓは、冷却ファン収納部３３内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部３３内にて支持する機能を有する。なお、内壁３１ｂの両端部には、リブ３１ｗ，３１ｘが設けられている。また、内壁３１ｃの両端部には、リブ３１ｙ，３１ｚが設けられている。
【００３５】
このように構成されたファンケース３１は、回動軸部の軸方向（図１１に示す破線Ａ２参照）が、当該ファンケース３１に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図１０および図１１に示す矢印Ｂ２，Ｃ２方向参照、冷却ファン収納部３３を形成する内壁３１ｂ，３１ｃが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に平行する構成となる。そして、ファンケース３１は、その回動軸部を、ファンケース収納部３２の回動軸受に回動可能に挿入することで、図９および図１０に矢印Ｄ２，Ｅ２で示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。なお、図１０および図１１に示す矢印Ｂ２方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ２方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図９および図１０に示す矢印Ｄ２方向がファンケース１２の開放方向であり、矢印Ｅ２方向がファンケース１２の閉鎖方向である。
【００３６】
以上のような構成により、ファンケース３１は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ２，Ｃ２方向）に平行する回動軸部を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ２，Ｅ２方向）に回動可能に備えられる。そして、このように取り付けられたファンケース３１が開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動されると、冷却ファン収納部３３が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部３３内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。一方、ファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動されると、固定爪部３１ｅが固定爪嵌合部３２ｄに嵌合し、これにより、ファンケース３１の回動がロックされるようになる。
【００３７】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース３１を開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部３３内に冷却ファン１３を取り付け方向（矢印Ｂ２方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース３１を閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動し、当該ファンケース３１をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００３８】
このとき、このようにファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に回動されることに伴い、ファンケース３１内（冷却ファン収納部３３内）の冷却ファン１３は、図示しないガイド部のガイド面に案内されながら冷却ファン収納部３３の奥部側（間壁３１ｇ側）に徐々に押し付けられるようになる。また、ファンケース３１の固定用板ばね部３１ｕは、冷却ファン収納部３３の奥部側（間壁３１ｇ側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部３３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部３１ｕによって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース３１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部３３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部３１ｕの弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００３９】
そして、最終的には、つまり、ファンケース３１が閉鎖方向（矢印Ｅ２方向）に完全に回動されて当該ファンケース３１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、冷却ファン１３が、図示しないガイド部の当接面と固定用板ばね部３１ｕとの間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部３３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部３２ｂに対向する面）が図示しないガイド部の当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部３３内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部３２ａに対向する面）に固定用板ばね部３１ｕから押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、所定の固定位置（ガイド部の当接面と固定用板ばね部３１ｕとの間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００４０】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、固定爪部３１ｅを弾性変形させて固定爪嵌合部３２ｄから外して固定爪部３１ｅと固定爪嵌合部３２ｄとの嵌合状態（ファンケース３１のロック状態）を解除し、ファンケース３１を開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動する。このとき、ファンケース３１が開放方向（矢印Ｄ２方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部の当接面に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部３１ｕから押付力が付与された状態（所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部３３内の冷却ファン１３を取り外し方向（矢印Ｃ２方向）にスライドさせて取り外す。
【００４１】
以上に説明したように本実施形態によれば、ファンケース３１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部３１ｕとによって冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース３１内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンをファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
【００４２】
このように、本実施形態は、ファンケース３１の回動方向を、ファンケース３１に対して前記冷却ファン１３がスライドされる方向（矢印Ｂ２，Ｃ２方向）に平行する軸Ａ２を回動中心とする回動方向（矢印Ｄ２，Ｅ２方向）に設定することが可能である。
【００４３】
（第３実施形態）
次に、第３実施形態を図１２から図２１を参照して説明する。本実施形態では、図１２に示すファンケース４１が複数方向（この場合、２方向）に回動可能である点が、単一方向に回動する上述のファンケース１２やファンケース３１と異なっている。
即ち、図１３および図１４に示すように、インバータ装置１０の筐体１１の一部（ファンケース４１が取り付けられる部分）には、全体としてほぼ矩形状に窪んだファンケース収納部４２が設けられている。そして、このファンケース収納部４２において相互に対向する１組の壁部４２ａ，４２ｂ（図では左右方向に対向する１組の壁部４２ａ，４２ｂ）には、相互に対向する２組の嵌合孔部（図１３に、壁部４２ａに設けられた各組の一方の嵌合孔部４２ｃ，４２ｄのみを示し、各組の他方の嵌合孔部の図示は省略する）が形成されている。これら嵌合孔部は、一方の組の嵌合孔部（例えば、嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）が回動軸受として機能する場合には他方の組の嵌合孔部（この場合、嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）が固定爪嵌合部として機能し、逆に、一方の組の嵌合孔部が固定爪嵌合部として機能する場合には他方の組の嵌合孔部が回動軸受として機能するようになっている。
【００４４】
また、１組の壁部４２ａ，４２ｂには、２組の嵌合孔部よりも内側に位置して、２組の操作用切り込み部（図１３に、壁部４２ａに設けられた各組の一方の操作用切り込み部４２ｅ，４２ｆ、および、操作用切り込み部４２ｆと組をなす壁部４２ｂ側の操作用切り込み部４２ｇを示し、図１４に、操作用切り込み部４２ｅと組をなす壁部４２ｂ側の操作用切り込み部４２ｈを示す）が形成されている。
【００４５】
また、このファンケース収納部４２において相互に対向する１組の壁部４２ｊ，４２ｋ（図では前後方向に対向する１組の壁部４２ｊ，４２ｋ）のうち一方の壁部（この場合、壁部４２ｊ）には、図１５に示すように、壁部４２ｊから後方側（壁部４２ｋ側）に向かって延出するガイド部４４（案内部に相当）が設けられている。この場合、ガイド部４４は、左右方向に相互に対向する１組のガイド板４４ａ，４４ｂからなる。このガイド部４４は、壁部４２ｋに対向する後方側の面（各ガイド板４４ａ，４４ｂの後方側の面であり、以下、第１ガイド面と称する）が、下部ほど後方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに膨らむように湾曲した形状となっている。また、ガイド部４４（各ガイド板４４ａ，４４ｂ）の後端側の面のうち下部側の殆どの面（第１ガイド面の下部側の殆どの面であり、以下、第１当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００４６】
一方、１組の壁部４２ｊ，４２ｋのうち他方の壁部（この場合、壁部４２ｋ）には、図１６に示すように、壁部４２ｋから前方側（壁部４２ｊ側）に向かって傾斜して延びる固定用板ばね部４５（後述する第１回動構造では押付力付与部に相当、第２回動構造では押付力付与部および案内部に相当）が設けられている。この場合、固定用板ばね部４５は、壁部４２ｋから突出して下方に湾曲する板状の片部から構成されており、ファンケース収納部４２の外方側（壁部４２ｋ側）に弾性変形可能となっている。なお、この固定用板ばね部４５の断面形状は、上記したガイド部４４（このガイド部４４を構成するガイド板４４ａ，４４ｂ）の外形（延出端部の外形）と一致（ほぼ一致）する形状となっている。即ち、この固定用板ばね部４５は、壁部４２ｊに対向する前方側の面（以下、第２ガイド面と称する）が、下部ほど前方側に延出し、且つ、上部から下部にわたって滑らかに膨らむように湾曲した形状となっている。また、固定用板ばね部４５の前端側の面のうち下部側の殆どの面（第２ガイド面の下部側の殆どの面であり、以下、第２当接面と称する）は、上下方向に真っ直ぐに切り落とされた形状（垂直に切り落とされた形状）となっている。
【００４７】
一方、このファンケース収納部４２に収納されるファンケース４１は、図１７に示すように、全体としてほぼ矩形状をなすベース板部４１ａと、このベース板部４１ａに一体的に形成され当該ベース板部４１ａからほぼ垂直に立設された１組の外壁４１ｂ，４１ｃおよび１組の内壁４１ｄ，４１ｅとを有している。
【００４８】
ベース板部４１ａは、そのほぼ中央部に、通気孔部４１ｆを有している。この通気孔部４１ｆは、後述するようにしてファンケース４１内に収納され所定の固定位置に固定された冷却ファン１３に対向するようになっている。
【００４９】
１組の外壁４１ｂ，４１ｃは、このベース板部４１ａの外縁部において、相互に対向するように形成されている。また、１組の内壁４１ｄ，４１ｅは、１組の外壁４１ｂ，４１ｃよりも内側において、上記した通気孔部４１ｆを挟むようにして相互に対向するように形成されている。これら内壁４１ｄ，４１ｅ間に形成される空間（通気孔部４１ｆに対向する空間）は、後述するようにして冷却ファン１３が収納されて固定される冷却ファン収納部４３として機能するようになっている。
【００５０】
外壁４１ｂ，４１ｃには、外方に突出する２組の突起部（図では、外壁４１ｂに設けられた各組の一方の突起部４１ｇ，４１ｈのみ示し、外壁４１ｃに設けられた突起部の図示は省略する）が形成されている。これら突起部は、一方の組の突起部（例えば、突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす壁部４１ｃ側の突起部）が回動軸部として機能する場合には他方の組の突起部（この場合、突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす壁部４１ｃ側の突起部）が固定爪部として機能し、逆に、一方の組の突起部が固定爪部として機能する場合には他方の組の突起部が回動軸部として機能するようになっている。
【００５１】
これら突起部は、外壁４１ｂ，４１ｃの一端部側（図１７では上端側）および他端部側（図１７では下端側）において、それぞれ相互に対向する位置に形成されている。また、この場合、これら回動軸部は、外壁４１ｂ，４１ｃの外側面から概ね円柱状に突出しているが、その一部（ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされた状態、つまり、図１２に示すようにファンケース４１がファンケース収納部４２を閉塞した状態において、下側となる部分、図１７では手前側の部分）が斜めに切り落とされた形状となっている。
【００５２】
また、外壁４１ｂ，４１ｃの一端部側（図１７では上端側）および他端部側（図１７では下端側）、つまり、突起部が形成された部分は、板ばね状に設けられており、ファンケース４１の内側（通気孔部４１ｆ側）に向かって弾性変形可能となっている。また、この板ばね状に設けられた部分の先端部には、突起部の近傍に位置して、押し込み部（図では、外壁４１ｂに設けられた押し込み部４１ｍ，４１ｎのみ示し、外壁４１ｃに設けられた押し込み部の図示は省略する）が設けられている。
【００５３】
内壁４１ｄ，４１ｅの先端部には、内方に突出する２組のスライドガイド４１ｐ，４１ｑおよびスライドガイド４１ｒ，４１ｓが形成されている。スライドガイド４１ｐ，４１ｑは、相互に対応する位置に形成されている。また、スライドガイド４１ｒ，４１ｓは、相互に対向する位置に形成されている。これらスライドガイド４１ｐ〜４１ｓは、冷却ファン収納部４３内にスライドされる冷却ファン１３を案内する機能を有するとともに、当該冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３内にて支持する機能を有する。
【００５４】
このように構成されたファンケース４１は、回動軸部（突起部４１ｇと当該突起部４１ｇと組をなす突起部からなる回動軸部、あるいは、突起部４１ｈと当該突起部４１ｈと組をなす突起部からなる回動軸部）の軸方向（図１７に示す破線Ａ３、あるいは、破線Ａ４参照）が、当該ファンケース４１に対して冷却ファン１３がスライドされる方向（図１７から図１９に示す矢印Ｂ３，Ｃ３方向参照、冷却ファン収納部４３を形成する内壁４１ｄ，４１ｅが延びる方向であり、以下、スライド方向と称する）に直交する構成となる。
【００５５】
そして、このファンケース４１は、第１回動方向に回動可能な第１回動構造（図１３および図１８に示す構造）および第２回動方向に回動可能な第２回動構造（図１４および図１９に示す構造）の何れかによって、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。
【００５６】
即ち、第１回動構造では、ファンケース４１は、その回動軸部（突起部４１ｇと当該突起部４１ｇと組をなす壁部４１ｃ側の突起部からなる回動軸部、図１７に示す破線Ａ３参照）を、ファンケース収納部４２の回動軸受（嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の回動軸受）に回動可能に挿入することで、図１３および図１８に矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａで示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。この矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａで示す方向が第１回動方向である。
【００５７】
また、第２回動構造では、ファンケース４１は、その回動軸部（突起部４１ｈと当該突起部４１ｈと組をなす壁部４１ｃ側の突起部からなる回動軸部、図１７に示す破線Ａ４参照）を、ファンケース収納部４２の回動軸受（嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の回動軸受）に回動可能に挿入することで、図１４および図１９に矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂで示すように、インバータ装置１０の筐体１１に回動可能に取り付けられる。この矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂで示す方向が第２回動方向である。
【００５８】
なお、第１回動構造では、図１７および図１８に示す矢印Ｂ３方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｃ３方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。また、図１３および図１８に示す矢印Ｄ３ａ方向がファンケース４１の開放方向であり、矢印Ｅ３ａ方向がファンケース４１の閉鎖方向である。
【００５９】
また、第２回動構造では、図１７および図１９に示す矢印Ｃ３方向が冷却ファン１３の取り付け方向（挿入方向）であり、矢印Ｂ３方向が冷却ファン１３の取り外し方向である。即ち、第１回動構造と第２回動構造とでは、ファンケース４１に対する冷却ファン１３の取り付け方向および取り外し方向が相互に逆になる構成である。また、図１４および図１９に示す矢印Ｄ３ｂ方向がファンケース４１の開放方向であり、矢印Ｅ３ｂ方向がファンケース４１の閉鎖方向である。
【００６０】
以上のような構成により、ファンケース４１は、インバータ装置１０の筐体１１に、冷却ファン１３のスライド方向（矢印Ｂ３，Ｃ３方向）に直交する回動軸部を回動中心とする回動方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ，Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ，Ｅ３ｂ方向）に回動可能に備えられる。
【００６１】
そして、このように取り付けられたファンケース４１が開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動されると、冷却ファン収納部４３が外部に開放した状態となり、当該冷却ファン収納部４３内に冷却ファン１３をスライドして収納可能な状態となる。
【００６２】
一方、ファンケース４１が閉鎖方向（第１回動構造では矢印Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｅ３ｂ方向）に回動されると、回動軸部として機能していない突起部（第１回動構造では突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす突起部、第２回動構造では突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす突起部）が回動軸受として機能していない嵌合孔部（第１回動構造では嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす嵌合孔部、第２回動構造では嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす嵌合孔部）に嵌合し、これにより、ファンケース４１の回動がロックされるようになる。
【００６３】
このような構成のインバータ装置１０において、冷却ファン１３を取り付ける場合には、ファンケース４１を開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動し、外部に開放した冷却ファン収納部４３内に冷却ファン１３を取り付け方向（第１回動構造では矢印Ｂ３方向、第２回動構造では矢印Ｃ３方向）にスライドさせて収納する。そして、冷却ファン１３を収納したファンケース４１を閉鎖方向（第１回動構造では矢印Ｅ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｅ３ｂ方向）に回動し、当該ファンケース４１をインバータ装置１０の筐体１１にロックする。
【００６４】
このとき、第１回動構造の場合では、このようにファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ａ方向）に回動されることに伴い、図２０（ａ）に示すように、ファンケース４１内（冷却ファン収納部４３内）の冷却ファン１３は、ガイド部４４の第１ガイド面に案内されながら冷却ファン収納部４３の奥部側（固定用板ばね部４５側）に徐々に押し付けられるようになる。また、第１回動構造の場合、ファンケース収納部４２の固定用板ばね部４５は、冷却ファン収納部４３の奥部側（固定用板ばね部４５側）に徐々に進入してくる冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部４５によって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース４１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部４３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部４５の弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００６５】
そして、最終的には、つまり、ファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ａ方向）に完全に回動されて当該ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図２０（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、ガイド部４４の第１当接面と固定用板ばね部４５との間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部４２ｊに対向する面）がガイド部４４の第１当接面に当接するとともに、他方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も先に挿入される側の面であって、ガイド部４４の当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部４２ｋに対向する面）に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図２０（ｂ）に示す所定の固定位置（ガイド部４４の第１当接面と固定用板ばね部４５との間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。
【００６６】
また、第２回動構造の場合では、このようにファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ｂ方向）に回動されることに伴い、図２１（ａ）に示すように、ファンケース４１内（冷却ファン収納部４３内）の冷却ファン１３は、固定用板ばね部４５の第２ガイド面に案内されながら冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に押し付けられるようになる。また、第２回動構造の場合、ファンケース収納部４２の固定用板ばね部４５は、冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に押し込むとともに、冷却ファン収納部４３の奥部側（ガイド部４４側）に徐々に進入していく冷却ファン１３に対し、弾性変形しながら押付力（冷却ファン１３を冷却ファン収納部４３から押し出す方向の力）を付与するようになる。この固定用板ばね部４５によって冷却ファン１３に付与される押付力は、ファンケース４１が閉鎖方向に回動されることに伴い、つまり、冷却ファン１３が冷却ファン収納部４３の奥部側に案内されることに伴い、固定用板ばね部４５の弾性変形量が大きくなることから、徐々に強くなっていく。
【００６７】
そして、最終的には、つまり、ファンケース４１が閉鎖方向（矢印Ｅ３ｂ方向）に完全に回動されて当該ファンケース４１がインバータ装置１０の筐体１１にロックされると、図２１（ｂ）に示すように、冷却ファン１３が、固定用板ばね部４５の第２当接面とガイド部４４との間に挟まれた状態となる。このとき、冷却ファン１３は、その一方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も後に挿入される側の面であり、壁部４２ｋに対向する面）が固定用板ばね部４５の第２当接面に当接するとともに、その一方の面に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態となる。また、これに伴い、冷却ファン１３は、その他方の面（この場合、冷却ファン収納部４３内に最も先に挿入される側の面であって、固定用板ばね部４５の第２当接面に当接した面とは反対側の面であり、壁部４２ｊに対向する面）が、固定用板ばね部４５からの押付力によってガイド部４４の第１当接面に強固に押し付けられた状態となる。これにより、冷却ファン１３は、図２１（ｂ）に示す所定の固定位置（固定用板ばね部４５の第２当接面とガイド部４４との間に挟まれた位置）にて強固に固定されるようになる。即ち、第２回動構造では、固定用板ばね部４５は、ファンケース４１に収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内する案内部としての機能と、その冷却ファン１３に押付力を与えることによって当該冷却ファン１３を所定の固定位置において固定する押付力付与部としての機能を兼ね備える構成である。
【００６８】
ファンケース４１をインバータ装置１０の筐体１１にロックした状態では、図１２に示すように、ファンケース４１の各押し込み部（例えば、図１２に示す押し込み部４１ｍ，４１ｎ）は、操作用切り込み部（例えば、図１２に示す操作用切り込み部４２ｅ，４２ｆ）を介して外部に露出した状態となる。従って、ファンケース４１の各押し込み部を、外部から押し込むことが可能である。
【００６９】
一方、このように取り付けた冷却ファン１３を取り外す場合には、回動軸部として機能していない突起部、つまり、固定爪部として機能している突起部（第１回動構造では突起部４１ｈおよび当該突起部４１ｈと組をなす壁部４２ｂ側の突起部、第２回動構造では突起部４１ｇおよび当該突起部４１ｇと組をなす壁部４２ｂ側の突起部）を、外部に露出している押し込み部を押し込むことで弾性変形させて、回動軸受として機能していない嵌合孔部、つまり、固定爪嵌合部として機能している嵌合孔部（第１回動構造では嵌合孔部４２ｄおよび当該嵌合孔部４２ｄと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部、第２回動構造では嵌合孔部４２ｃおよび当該嵌合孔部４２ｃと組をなす壁部４２ｂ側の嵌合孔部）から外して、固定爪部と固定爪嵌合部との嵌合状態（ファンケース４１のロック状態）を解除する。そして、ファンケース４１を開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動する。
【００７０】
このとき、ファンケース４１が開放方向（第１回動構造では矢印Ｄ３ａ方向、第２回動構造では矢印Ｄ３ｂ方向）に回動されることに伴い、冷却ファン１３が図２０（ｂ）あるいは図２１（ｂ）に示す所定の固定位置から外れる。つまり、冷却ファン１３は、その一方の面がガイド部４４に当接し、且つ、他方の面に固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態、あるいは、一方の面がガイド部４４に当接し、且つ、他方の面が固定用板ばね部４５に当接し当該固定用板ばね部４５から押付力が付与された状態（要するに、所定の固定位置にて強固に固定された状態）が解除される。そして、冷却ファン収納部４３内の冷却ファン１３を取り外し方向（第１回動構造では矢印Ｃ３方向、第２回動構造では矢印Ｂ３方向）にスライドさせて取り外す。
【００７１】
以上に説明したように本実施形態によれば、第１回動構造では、ファンケース４１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するガイド部４４と当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部４５とによって、第２回動構造では、ファンケース４１内にスライドされて収納された冷却ファン１３を所定の固定位置に案内するとともに当該冷却ファン１３に押付力を付与する固定用板ばね部４５によって、冷却ファン１３をインバータ装置１０に強固に固定して取り付けることができる。また、冷却ファン１３をファンケース４１内にスライドさせて収納する取付構造および取付方法を採用したので、冷却ファンを例えば鋲螺類や爪部によってファンケースに固定する取付構造や取付方法とは異なり、冷却ファン１３の交換作業（着脱作業）が格段に容易となり、その作業性を改善することができる。
このように、本実施形態は、ファンケース４１の回動方向を複数に設定することが可能である。
【００７２】
なお、本実施形態は、第１回動構造および第２回動構造を択一的に切り換え可能である。
また、本実施形態は、ファンケースを、冷却ファンのスライド方向に平行する軸を回動中心とする複数の回動方向に回動可能に備える構成としてもよい。
【００７３】
以上に説明した少なくとも何れか１つの実施形態によれば、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、を備える。また、以上に説明した少なくとも何れか１つの実施形態によれば、インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する。これにより、冷却ファンをインバータ装置に強固に固定して取り付けることができ、しかも、その冷却ファンの交換作業（取付作業）を容易に行うことができる。
【００７４】
なお、本実施形態では、上述の各実施形態において共通の冷却ファン１３を使用することができる。
上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【００７５】
図面中、１０はインバータ装置、１１は筐体、１２，３１，４１はファンケース、１２ｕ，３１ｕ，４５は固定用板ばね部（押付力付与部）、１３は冷却ファン、２３，４４，４５はガイド部（案内部）を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、
前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、
前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、
前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、
を備えることを特徴とする冷却ファンの取付構造。
【請求項２】
前記ファンケースは、前記インバータ装置の筐体に回動可能に備えられていることを特徴とする請求項１に記載の冷却ファンの取付構造。
【請求項３】
前記ファンケースは、
当該ファンケースに対して前記冷却ファンがスライドされる方向に直交する軸を回動中心とする回動方向、および、当該ファンケースに対して前記冷却ファンがスライドされる方向に平行する軸を回動中心とする回動方向のうち少なくとも何れか１つの方向に回動可能に備えられていることを特徴とする請求項２に記載の冷却ファンの取付構造。
【請求項４】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、
前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、
前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、
前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定することを特徴とする冷却ファンの取付方法。
【請求項１】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付構造であって、
前記インバータ装置の筐体に備えられ、前記冷却ファンをスライドさせて収納するファンケースと、
前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを所定位置に案内する案内部と、
前記冷却ファンに押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定する押付力付与部と、
を備えることを特徴とする冷却ファンの取付構造。
【請求項２】
前記ファンケースは、前記インバータ装置の筐体に回動可能に備えられていることを特徴とする請求項１に記載の冷却ファンの取付構造。
【請求項３】
前記ファンケースは、
当該ファンケースに対して前記冷却ファンがスライドされる方向に直交する軸を回動中心とする回動方向、および、当該ファンケースに対して前記冷却ファンがスライドされる方向に平行する軸を回動中心とする回動方向のうち少なくとも何れか１つの方向に回動可能に備えられていることを特徴とする請求項２に記載の冷却ファンの取付構造。
【請求項４】
インバータ装置の筐体内部に配設された発熱部品を冷却する冷却ファンを当該インバータ装置に取り付ける取付方法であって、
前記インバータ装置の筐体に備えられたファンケースに前記冷却ファンをスライドさせて収納し、
前記ファンケースに収納された前記冷却ファンを案内部によって所定位置に案内し、
前記冷却ファンに押付力付与部から押付力を与えることによって、前記冷却ファンを前記所定位置において固定することを特徴とする冷却ファンの取付方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【公開番号】特開２０１２−２４４６５７（Ｐ２０１２−２４４６５７Ａ）
【公開日】平成２４年１２月１０日（２０１２．１２．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１０９３１８（Ｐ２０１１−１０９３１８）
【出願日】平成２３年５月１６日（２０１１．５．１６）
【出願人】（３０２０３８８４４）東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１２月１０日（２０１２．１２．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年５月１６日（２０１１．５．１６）
【出願人】（３０２０３８８４４）東芝シュネデール・インバータ株式会社 (78)
【Ｆターム（参考）】
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