説明

冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造

【課題】 CPUの端子の位置を変換する端子変換用ソケットをCPUとソケットとの間に介挿すると、CPUクーラーをソケットに取り付けることができなくなった。
【解決手段】 ソケット10とCPUクーラー(冷却器)40との間に介挿される係合部材50を設け、この係合部材50とソケット10との間に同係合部材50が固定される第一の係合機構を形成するとともに、同係合部材50とCPUクーラー40との間に同CPUクーラー40が固定される第二の係合機構を形成した。係合部材50を用いることによりCPUクーラー40を取り付ける高さを変えることが可能となるので、ソケット10に装着されるCPU(集積回路)20の位置が高くなっても、同CPU20を冷却するCPUクーラー40をソケット10に取り付けることが可能となる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造に関し、特に、集積回路を装着するソケットに集積回路を冷却する冷却器を取り付ける冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、動作中のCPUを冷却するため、CPUを装着する略長方形に形成されたソケットに冷却器としてCPUクーラーが取り付けられている。この種の冷却器取付構造は、図13に示すように、略長方形に形成されたソケット1の相対向する辺部の略中央部に二つの凸部1aが側方へ立設され、CPUクーラー2の相対向する側面に設けられるとともに曲げられてソケット1方向へ突出した二つの突出部材3にそれぞれ貫通穴3aが形成されている。そして、ソケット1にCPU4を装着し、凸部1aと貫通穴3aを係合させると、CPUクーラー2は二つの突出部材3にて凸部1aに支持されてソケット1に取り付けられる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上述した従来の冷却器取付構造において、CPUを変更しようとして端子の位置を変換する端子変換用ソケットをCPUとソケットとの間に介挿すると、CPUの位置が高くなるためCPUクーラーの位置を高くする必要がある。しかし、CPUクーラーをソケットに取り付ける位置は固定されており、CPUクーラーをソケットに取り付けることができなかった。
本考案は、上記課題にかんがみてなされたもので、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても同集積回路を冷却する冷却器をソケットに取り付けることが可能な冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる考案は、集積回路を装着するソケットに同集積回路を冷却する冷却器を取り付ける冷却器取付構造であって、上記ソケットと上記冷却器との間に介挿される係合部材を具備し、この係合部材と上記ソケットとの間に同係合部材が固定される第一の係合機構が形成されるとともに、同係合部材と上記冷却器との間に同冷却器が固定される第二の係合機構が形成されている構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項1にかかる考案においては、係合部材がソケットと冷却器との間に介挿されている。そして、第一の係合機構がソケットに係合部材を固定し、第二の係合機構が係合部材に冷却器を固定する。すると、冷却器は係合部材を介してソケットに取り付けられる。
すなわち、係合部材を用いることにより冷却器を取り付ける高さを変えることが可能となる。したがって、例えば端子変換ソケットを集積回路とソケットとの間に介挿する場合のように、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても、同集積回路を冷却する冷却器をソケットに取り付けることが可能となる。
なお、冷却する冷却器をソケットに取り付ける際、ソケットに係合部材を固定してから係合部材に冷却器を固定してもよいし、係合部材に冷却器を固定してからソケットに係合部材を固定してもよい。むろん、ソケットに係合部材を固定するのと、係合部材に冷却器を固定するのを同時に行ってもよい。
【0006】
ここで、第一の係合機構は係合部材とソケットとの間で同係合部材を固定することができればよく、第二の係合機構は係合部材と冷却器との間で同冷却器を固定することができればよい。その具体的な構成の一例として、請求項2にかかる考案は、請求項1に記載の冷却器取付構造において、上記第一の係合機構は、上記ソケットの側面に立設された第一の凸部と、上記係合部材に形成されるとともに同第一の凸部と係合可能な第一の係合部とを備え、上記第二の係合機構は、上記係合部材に立設された第二の凸部と、上記冷却器に設けられて上記ソケット方向に突出した突出部材に形成されるとともに同第二の凸部と係合可能な第二の係合部とを備える構成としてある。
上記のように構成した請求項2にかかる考案においては、冷却器には、ソケット方向に突出した突出部材が設けられている。この突出部材に形成された第二の係合部と係合部材に立設された第二の凸部とを係合させると、冷却器が係合部材に固定される。また、係合部材に形成された第一の係合部とソケットの側面に立設された第一の凸部とを係合させると、係合部材がソケットに固定される。すると、冷却器は係合部材を介してソケットに取り付けられる。
すなわち、上記構成にて、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても冷却器をソケットに取り付けることが可能である。
【0007】
また、第一の係合部と第二の係合部の一例として、請求項3にかかる考案は、請求項2に記載の冷却器取付構造において、上記第一の係合部は、上記係合部材を貫通する第一の貫通穴であり、上記第二の係合部は、上記突出部材を貫通する第二の貫通穴である構成としてある。
上記のように構成した請求項3にかかる考案においては、係合部材を貫通する第一の貫通穴とソケットの側面に立設された第一の凸部とが係合し、冷却器の突出部材を貫通する第二の貫通穴と係合部材に立設された第二の凸部とが係合する。したがって、簡易な構造で第一の係合部と第二の係合部とが形成され、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても冷却器をソケットに取り付けることが可能である。
むろん、これらの係合部を貫通穴とする構成は一例に過ぎない。例えば、係合部材や突出部材に窪みを形成して係合部としてもよいし、係合部材や突出部材の縁部に切り欠き部を設けて係合部としてもよく、その構成は様々可能である。また、第一の係合機構において、ソケットの側面に凸部を立設する構成は一例に過ぎず、例えば係合部材に凸部を立設するとともにソケットの側面に形成した窪みを係合部としてもよい。一方、第二の係合機構においても、係合部材に凸部を立設する構成は一例に過ぎず、例えば冷却器の突出部材に凸部を立設するとともに係合部材に形成した窪みを係合部としてもよい。このように、第一の係合機構と第二の係合機構は、様々な構成が可能である。
【0008】
ここで、ソケットと冷却器との間に介挿される係合部材は様々な形状が可能である。その一例として、請求項4にかかる考案は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む形状に形成されるとともに、同集積回路の上面に当接する当接面を備える構成としてある。
上記のように構成した請求項4にかかる考案においては、係合部材は集積回路を囲んでソケットと冷却器との間に介挿される。その際、係合部材に設けられた当接面が集積回路の上面に当接する。したがって、冷却器はより安定するようにソケットに取り付けられる。
【0009】
また、第一の係合機構と第二の係合機構は、それぞれ一つずつ形成されていてもよいし、複数形成されていてもよい。第一の係合機構と第二の係合機構とをそれぞれ複数形成する構成の一例として、請求項5にかかる考案は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記第一および第二の係合機構は、上記冷却器と上記ソケットとを挟んで相対向する位置に複数形成されている構成としてある。
上記のように構成した請求項5にかかる考案においては、ソケットと係合部材とは同ソケットを挟んで相対向する位置で係合され、係合部材と冷却器とは同冷却器を挟んで相対向する位置で係合される。したがって、係合部材を介して、より確実に冷却器をソケットに取り付けることが可能となる。
【0010】
ここで、略長方形に形成されたソケットに冷却器を取り付ける構成の一例として、請求項6にかかる考案は、請求項5に記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む略長方形の枠状に形成されるとともに、同集積回路の上面に当接する当接面を有する枠体部を備え、上記第一の係合機構は、上記枠体部の相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に形成され、上記第二の係合機構は、上記第一の係合機構が形成された位置から上記冷却器方向に形成されている構成としてある。
上記のように構成した請求項6にかかる考案においては、ソケットと係合部材とは、同係合部材に設けられた略長方形の枠体部の相対向する辺部の略中央部からソケット方向で係合される。また、係合部材と冷却器とは、ソケットと係合部材とが係合された位置から冷却器方向の位置で係合される。その際、枠体部に設けられた当接面が集積回路の上面に当接する。すなわち、上記構成にて、確実に冷却器をソケットに取り付けることが可能である。
なお、ソケットと係合部材とを係合させる第一の係合機構は、同ソケットの相対向する二辺の略中央部のみに形成される構成としてもよいし、四辺すべての略中央部に形成される構成としてもよい。また、係合部材と冷却器とを係合させる第二の係合機構についても同様である。
【0011】
ところで、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができるようにしてもよく、その構成の一例として、請求項7にかかる考案は、請求項2〜請求項6のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記第二の凸部と複数箇所形成された上記第一の係合部とが略同一直線上に配置されている構成としてある。
上記のように構成した請求項7にかかる考案においては、ソケットの側面に立設された第一の凸部は、係合部材に設けられるとともに第二の凸部との間隔が異なる複数の第一の係合部と係合可能である。すると、第一の係合部と第二の凸部との間隔に応じてソケットと取り付けられる冷却器との間隔が変わる。したがって、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができ、利便性が向上する。
【0012】
また、別の構成の一例として、請求項8にかかる考案は、請求項2〜請求項7のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記第一の係合部と複数箇所形成された上記第二の凸部とが略同一直線上に配置されている構成としてある。
上記のように構成した請求項8にかかる考案においては、冷却器の突出部材に形成された第二の係合部は、係合部材に設けられるとともに第一の係合部との間隔が異なる複数の第二の凸部と係合可能である。この場合でも、第一の係合部と第二の凸部との間隔に応じてソケットと取り付けられる冷却器との間隔が変わるので、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができ、利便性が向上する。
【0013】
さらに、別の一例として、請求項9にかかる考案は、請求項2〜請求項8のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む略正方形の枠状に形成された枠体部と、この枠体部の相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に向けて突出するとともに、上記第一の係合部と上記第二の凸部とが設けられた一対の第一の突出部と、同枠体部において上記第一の突出部が設けられていない相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に向けて突出するとともに、上記第一の突出部における上記第一の係合部と上記第二の凸部の間隔とは異なる間隔で上記第一の係合部と上記第二の凸部とが設けられた一対の第二の突出部とを備える構成としてある。
上記のように構成した請求項9にかかる考案においては、略正方形の枠状に形成された係合部材の枠体部がソケットに装着された集積回路を囲んでいる。この枠体部の相対向する辺部の略中央部からソケット方向に向けて一対の第一の突出部が形成されるとともに、第一の突出部が設けられていない相対向する辺部の略中央部からソケット方向に向けて別に一対の第二の突出部が形成されている。ここで、第一の突出部と第二の突出部とに設けられた第一の係合部と第二の凸部との間隔は異なるので、ソケットに取り付けられる係合部材を略90度回転させると、ソケットと取り付けられる冷却器との間隔が変わる。したがって、この場合でも、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができ、利便性が向上する。
【0014】
ところで、本冷却器取付構造を、CPUを装着する略長方形に形成されたソケットに同CPUを冷却するCPUクーラーの取り付けに適用する具体例として、請求項10にかかる考案は、CPUを装着する略長方形に形成されたソケットに同CPUを冷却するCPUクーラーを取り付けるCPUクーラー取付構造であって、上記ソケットに装着された上記CPUを囲む形状に形成されるとともに同ソケットと上記CPUクーラーとの間に介挿される係合部材を具備し、上記ソケットは、相対向する略長方形の辺部の略中央部に一対の第一の凸部が側方へ立設され、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記CPUを囲む略長方形の枠状に形成されるとともに相対向する辺部において同CPUの上面に当接する当接面を有する枠体部と、同当接面を有しない相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に上記一対の第一の凸部に対応して同第一の凸部と係合可能に形成された一対の第一の貫通穴と、同一対の第一の貫通穴に対応して立設された一対の第二の凸部とを備え、上記CPUクーラーは、相対向する側面に設けられるとともに曲げられて上記ソケット方向へ突出した一対の突出部材を有し、同一対の突出部材に上記一対の第二の凸部に対応して同第二の凸部と係合可能な一対の第二の貫通穴が形成されている構成としてある。
すなわち、本考案は、上記具体構成を有するCPUクーラー取付構造としても有効である。
【0015】
【考案の効果】
以上説明したように本考案は、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても同集積回路を冷却する冷却器をソケットに取り付けることが可能な冷却器取付構造を提供することができる。
また、請求項2にかかる考案によれば、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても冷却器をソケットに取り付けることが可能な冷却器取付構造の一例を提供することができる。
さらに、請求項3にかかる考案によれば、簡易な構造で第一の係合部と第二の係合部とが形成され、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても冷却器をソケットに取り付けることが可能となる。
【0016】
さらに、請求項4にかかる考案によれば、より安定するように冷却器をソケットに取り付けることが可能となる。
さらに、請求項5にかかる考案によれば、より確実に冷却器をソケットに取り付けることが可能となる。
さらに、請求項6にかかる考案によれば、より確実に冷却器をソケットに取り付けることが可能な冷却器取付構造の具体例を提供することができる。
【0017】
さらに、請求項7、請求項8にかかる考案によれば、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができ、利便性を向上させることが可能となる。
さらに、請求項9にかかる考案によれば、同じ係合部材で冷却器を取り付ける高さを変えることができ、利便性を向上させることが可能な冷却器取付構造の具体例を提供することができる。
さらに、請求項10にかかる考案によれば、ソケットに装着されるCPUの位置が高くなっても同CPUを冷却するCPUクーラーをソケットに取り付けることが可能なCPUクーラー取付構造を提供することができる。
【0018】
【考案の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本考案の実施形態を説明する。
図1は本考案の冷却器取付構造の一実施形態にかかるCPUクーラー取付構造を示す分解斜視図であり、図2は図1のA方向から見て示した側面図である。すなわち、本実施形態は、CPUを装着するソケットに同CPUを冷却するCPUクーラーを取り付けるものである。
同図において、略長方形に形成されたソケット10は、下面に設けられた多数の端子11にて図示を省略した基板上に取り付けられている。ソケット10の上面には、略正方形に形成されたCPU20の下面に設けられた多数の端子21を挿入可能な多数のピン穴12が設けられている。また、ソケット10の短辺側の両側面の略中央部には、一対の本考案にいう第一の凸部13,14が立設されている。なお、第一の凸部13,14の先は、後述する係合部材が容易に離脱しないよう、端子11側に若干曲げられている。
【0019】
本実施形態の場合、CPU20の端子規格をソケット10のピン穴12の規格に合わせるため、CPU20の端子21に略正方形とされた端子変換用ソケット30を取り付けている。端子変換用ソケット30は、下面に多数の端子31が設けられている。そして、これらの端子31をピン穴12に挿入すると、CPU20の端子21とソケット10のピン穴12とが電気的に接続されるとともに、CPU20の端子規格はソケット10のピン穴12の規格に変換される。
【0020】
CPUクーラー40は、CPU20が装着されたソケット10に取り付けられると、CPU20の上面の略中央部に設けられた凸部22に底面を当接させる。
そして、内部に設けられたファンの送風により、熱を発生するCPU20を冷却する。
CPUクーラー40は、相対向する側面に一対設けられるとともに、曲げられてソケット10方向へ突出した本考案にいう突出部材41,42を有している。
突出部材41,42には、図1や図3に示すように、それぞれ本考案にいう第二の係合部である第二の貫通穴41a,42aが形成されている。なお、図3は、CPUクーラー40を図1のB方向から見て示した側面図である。これらの第二の貫通穴41a,42aは、ソケット10に立設された第一の凸部13,14を貫通させることが可能となっている。突出部材41,42は弾性を有する金属製であるので、ソケット10とCPU20との間に端子変換用ソケット30が介挿されていない状態で第二の貫通穴41a,42aと第一の凸部13,14とを係合させることができる。すると、CPUクーラー40はソケット10に取り付けられることになる。
【0021】
しかし、本実施形態の場合、CPU20に端子変換用ソケット30が取り付けられているため、ソケット10に装着されるCPU20の位置は高くなる。すると、CPU20とCPUクーラー40とが接触して、第二の貫通穴41a,42aと第一の凸部13,14とを係合させることができない。そこで、ソケット10とCPUクーラー40との間に本考案にいう係合部材50を介挿することにしている。
【0022】
係合部材50は、ソケット10に装着されるCPU20を囲む略長方形の枠状とされた枠体部51が形成されている。この枠体部51の短辺側の両辺部の略中央部には、ソケット10方向に突出した一対の突出部52,53が設けられている。また、突出部52,53が設けられていない長辺側の両辺部における下面は、係合部材50をソケット10に取り付けた際にCPU20の上面に当接する当接面51aとなっている。
突出部52,53の各々には、側方へ立設された本考案にいう第二の凸部52a,53aと、第二の凸部52a,53aからソケット10方向であって本考案にいう第一の係合部である第一の貫通穴52b,53bとが形成されている。第二の凸部52a,53aは、CPUクーラー40に設けられた第二の貫通穴41a,42aを貫通することが可能な形状となっている。第二の凸部52a,53aの先端部は、第二の貫通穴41a,42aから容易に離脱しないよう、ソケット10側に曲げられている。また、第一の貫通穴52b,53bは、ソケット10に立設された第一の凸部13,14を貫通させることが可能となっている。なお、突出部53については、第二の凸部53aと第一の貫通穴53bとの間に段部53cが形成され、第一の貫通穴53bは第二の凸部53aよりも側方へ配置されている。なお、係合部材50は金属製であり、板金加工により一体成形されている。
【0023】
係合部材50は弾性を有するので、係合部材50の第一の貫通穴52b,53bとソケット10の第一の凸部13,14とを係合させることができる。すると、係合部材50はソケット10に固定されることになる。また、係合部材50の第二の凸部52a,53aとCPUクーラー40の第二の貫通穴41a,42aとを係合させると、CPUクーラー40は係合部材50に固定される。すなわち、CPUクーラー40は、係合部材50を介してソケット10に固定され、ソケット10に取り付けられることになる。
【0024】
次に、CPUクーラー40をソケット10に取り付けるときの手順を説明する。なお、CPUクーラー40を取り付ける前提として、図4の側面図に示すように、ソケット10は基板60に取り付けられ、CPU20は端子変換用ソケット30とともにソケット10に装着されているものとする。
図4において、係合部材50の第一の貫通穴52b,53bをソケット10の第一の凸部13,14の位置に合わせるように、係合部材50をCPU20の上方から近づける。そして、図5の側面図に示すように、第一の貫通穴52b,53bと第一の凸部13,14のうち、片方を係合させる。なお、図5では、第一の貫通穴52bに第一の凸部13を貫通させて、突出部52をソケット10の側面に当接させている。その後、係合部材50の突出部53を側方へ引っ張りながら、第一の貫通穴53bを第一の凸部14の位置に合わせ、第一の貫通穴53bに第一の凸部14を貫通させる。すると、図6の側面図に示すように、係合部材50の当接面51aがCPU20の上面に当接するとともに、復元力が働いて突出部53はソケット10の側面に当接する。
【0025】
ここで、第一の凸部13,14の先は基板60側に若干曲げられているので、第一の凸部13,14と第一の貫通穴52b,53bとが確実に係合し、ソケット10から突出部52,53は容易に離脱しない。したがって、係合部材50はソケット10に固定される。そして、係合部材50を固定するソケット10の第一の凸部13,14と係合部材50の第一の貫通穴52b,53bとは、本考案にいう第一の係合機構を構成している。
【0026】
その後、ソケット10に係合部材50を取り付けた場合と同様、CPUクーラー40の第二の貫通穴41a,42aを係合部材50の第二の凸部52a,53aの位置に合わせるように、CPUクーラー40を係合部材50の上方から近づける。そして、図7の側面図に示すように、第二の貫通穴41a,42aと第二の凸部52a,53aのうち、片方を係合させる。図7では、第二の貫通穴41aに第二の凸部52aを貫通させて、突出部材41を係合部材50に当接させている。その後、CPUクーラー40の突出部材42を側方へ引っ張りながら、第二の貫通穴42aを第二の凸部53aの位置に合わせ、第二の貫通穴42aに第二の凸部53aを貫通させると、図8の側面図に示すように、復元力が働いて突出部材42は係合部材50に当接する。このとき、CPUクーラー40は第二の凸部52a,53aに支持されながら、底面をCPU20の凸部22の上面に当接させている。
【0027】
第二の凸部52a,53aの先はソケット10側に曲げられているので、第二の凸部52a,53aと第二の貫通穴41a,42aとが確実に係合し、係合部材50から突出部材41,42は容易に離脱しない。したがって、CPUクーラー40は係合部材50に固定される。そして、CPUクーラー40を固定する係合部材50の第二の凸部52a,53aとCPUクーラー40の第二の貫通穴41a,42aとは、本考案にいう第二の係合機構を構成している。
【0028】
以上の手順により、CPUクーラー40は、係合部材50を介してソケット10に固定され、ソケット10に取り付けられる。ここで、係合部材50を介挿することにより、CPUクーラー40を取り付ける高さを変えることが可能となる。したがって、ソケットに装着されるCPUの位置が高くなっても、同CPUを冷却するCPUクーラーをソケットに取り付けることが可能となる。また、係合部材50はCPU20を囲むとともに当接面51aをCPU20の上面に当接させてソケット10とCPUクーラー40との間に介挿されるので、CPUクーラー40は安定するようにソケット10に取り付けられる。さらに、ソケット10とCPUクーラー40とは係合部材50を介して同ソケット10とCPUクーラー40とを挟んで相対向する位置で係合され、確実にCPUクーラー40をソケット10に取り付けることができる。
なお、本実施形態では、ソケット10に係合部材50を固定した後に係合部材50にCPUクーラー40を固定しているが、係合部材50にCPUクーラー40を固定した後にソケット10に係合部材50を固定してもよい。むろん、ソケット10に係合部材50を固定するのと、係合部材50にCPUクーラー40を固定するのを同時に行ってもよい。
【0029】
ところで、本考案の冷却器取付構造は、係合部材とソケットとの間に同係合部材が固定される第一の係合機構が形成されるとともに、同係合部材と集積回路を冷却する冷却器との間に同冷却器が固定される第二の係合機構が形成されていればよい。そこで、種々の構造が可能である。
例えば、ソケット10の側面に第一の凸部13,14の代わりに窪みを形成し、係合部材50の第一の貫通穴52b,53bの代わりに同窪みと係合可能な凸部を形成してもよい。また、係合部材70の第二の凸部52a,53aの代わりに第二の窪みを形成し、CPUクーラー40の第二の貫通穴41a,42aの代わりに第二の窪みと係合可能な第二の凸部を形成してもよい。この場合でも、ソケットの窪みと係合部材の凸部とが係合すると同係合部材はソケットに固定され、係合部材の第二の窪みとCPUクーラーの第二の凸部とが係合すると同CPUクーラーは係合部材に固定されるので、CPUクーラーは係合部材を介してソケットに取り付けられる。
【0030】
また、図9のように係合部材を形成してもよい。図9は、第二の実施形態にかかるCPUクーラー取付構造において、ソケットとCPUクーラーとの間に介挿される係合部材の形状を斜視図により示している。同図において、係合部材70は略平板形状とされ、側方へ立設された第二の凸部70aと、第二の凸部70aからソケット方向に第一の貫通穴70bとが形成されている。すなわち、係合部材70は、上述の係合部材50における突出部のみの形状とされている。
この係合部材70でも、第一の貫通穴70bにソケットの第一の凸部に貫通させて係合させ、CPUクーラーの第二の貫通穴に係合部材70の第二の凸部70aを貫通させて係合させると、CPUクーラーは係合部材70を介してソケットに取り付けられる。なお、図2における第一の凸部13,14と第二の貫通穴41a,42aとに対応して係合部材70を二つ用いると、ソケット10とCPUクーラー40とは係合部材50を介して同ソケット10とCPUクーラー40とを挟んで相対向する位置で係合され、確実にCPUクーラー40をソケット10に取り付けることができる。
【0031】
ここで、同じ係合部材でCPUクーラーを取り付ける高さを変えることができるようにしてもよい。例えば、図10の斜視図に示すように、係合部材80の突出部82に第二の凸部82aと複数の第一の貫通穴82b,82bとを略同一直線上に設け、突出部83に第二の凸部83aと複数の第一の貫通穴83b,83bとを略同一直線上に設けてもよい。そして、突出部82,83と基板とが接触しないように突出部82,83の位置に合わせて基板に適宜貫通穴を設けておけば、ソケットの側面に立設された第一の凸部は複数の第一の貫通穴82b,82bと係合可能となる。すると、ソケットの第一の凸部と係合部材80の第二の凸部82a,83aとの間隔に応じてソケットと取り付けられるCPUクーラーとの間隔が変わる。したがって、同じ係合部材でCPUクーラーを取り付ける高さを変えることができる。
また、図11の斜視図に示すように、係合部材の突出部に第一の貫通穴と複数の第二の凸部とを略同一直線上に設けてもよい。この場合も、CPUクーラーの第二の貫通穴と係合部材の第二の凸部との間隔に応じてソケットと取り付けられるCPUクーラーとの間隔が変わり、同じ係合部材でCPUクーラーを取り付ける高さを変えることができる。
【0032】
さらに、係合部材の枠体部が略正方形に形成されていれば、係合部材を図12の斜視図に示すような形状とすることも可能である。図12の係合部材90は、ソケットに装着されるCPUを囲む略正方形の枠状とされた枠体部91が形成されている。この枠体部91の相対向する辺部の略中央部からソケット方向に向けて一対の第一の突出部92,93が形成されるとともに、第一の突出部92,93が設けられていない相対向する辺部の略中央部からソケット方向に向けて別に一対の第二の突出部94,95が形成されている。第一の突出部92,93には、側方へ立設された第二の凸部92a,93aと、第二の凸部92a,93aからソケット方向に第一の貫通穴92b,93bとが形成されている。第二の突出部94,95も、第一の突出部92,93と同様、側方へ立設された第二の凸部94a,95aと第一の貫通穴94b,95bとが形成されている。ここで、第二の凸部94a,95aと第一の貫通穴94b,95bとの間隔は、第二の凸部92a,93aと第一の貫通穴92b,93bとの間隔よりも大きくしている。
ここで、係合部材90を略90度回転させると、ソケットと取り付けられるCPUクーラーとの間隔が変わる。したがって、この場合でも、同じ係合部材でCPUクーラーを取り付ける高さを変えることができる。
【0033】
以上述べたように、本CPUクーラー取付構造は、種々の構造によりCPUの位置が高くなってもソケットにCPUクーラーを取り付けることが可能である。
むろん、CPUと呼ばれない集積回路に冷却器を取り付ける構造にも適用可能である。
このように、本考案の冷却器取付構造は、ソケットと冷却器との間に介挿される係合部材を用いることにより、冷却器を取り付ける高さを変えることが可能となる。したがって、ソケットに装着される集積回路の位置が高くなっても、同集積回路を冷却する冷却器をソケットに取り付けることが可能な冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の冷却器取付構造の一実施形態にかかるCPUクーラー取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】本考案の一実施形態にかかるCPUクーラー取付構造を図1のA方向から見て示した側面図である。
【図3】CPUクーラーを図1のB方向から見て示した側面図である。
【図4】ソケットに端子変換用ソケットとCPUを装着した状態を示す側面図である。
【図5】係合部材をソケットに固定する手順を示す側面図である。
【図6】ソケットに係合部材を固定した状態を示す側面図である。
【図7】CPUクーラーを係合部材に固定する手順を示す側面図である。
【図8】係合部材にCPUクーラーを固定した状態を示す側面図である。
【図9】変形例にかかるCPUクーラー取付構造における係合部材を示す斜視図である。
【図10】別の変形例にかかるCPUクーラー取付構造における係合部材を示す斜視図である。
【図11】別の変形例にかかるCPUクーラー取付構造における係合部材を示す斜視図である。
【図12】別の変形例にかかるCPUクーラー取付構造における係合部材を示す斜視図である。
【図13】従来のCPUクーラー取付構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10…ソケット
13,14…第一の凸部
20…CPU
30…端子変換用ソケット
40…CPUクーラー
41,42…突出部材
41a,42a…第二の貫通穴
50…係合部材
51…枠体部
51a…当接面
52,53…突出部
52a,53a…第二の凸部
52b,53b…第一の貫通穴
70…係合部材
70a…第二の凸部
70b…第一の貫通穴
80…係合部材
82,83…突出部
82a,83a…第二の凸部
82b,83b…第一の貫通穴
90…係合部材
91…枠体部
92,93…第一の突出部
94,95…第二の突出部
92a,93a,94a,95a…第二の凸部
92b,93b,94b,95b…第一の貫通穴

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 集積回路を装着するソケットに同集積回路を冷却する冷却器を取り付ける冷却器取付構造であって、上記ソケットと上記冷却器との間に介挿される係合部材を具備し、この係合部材と上記ソケットとの間に同係合部材が固定される第一の係合機構が形成されるとともに、同係合部材と上記冷却器との間に同冷却器が固定される第二の係合機構が形成されていることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項2】 上記請求項1に記載の冷却器取付構造において、上記第一の係合機構は、上記ソケットの側面に立設された第一の凸部と、上記係合部材に形成されるとともに同第一の凸部と係合可能な第一の係合部とを備え、上記第二の係合機構は、上記係合部材に立設された第二の凸部と、上記冷却器に設けられて上記ソケット方向に突出した突出部材に形成されるとともに同第二の凸部と係合可能な第二の係合部とを備えることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項3】 上記請求項2に記載の冷却器取付構造において、上記第一の係合部は、上記係合部材を貫通する第一の貫通穴であり、上記第二の係合部は、上記突出部材を貫通する第二の貫通穴であることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項4】 上記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む形状に形成されるとともに、同集積回路の上面に当接する当接面を備えることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項5】 上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記第一および第二の係合機構は、上記冷却器と上記ソケットとを挟んで相対向する位置に複数形成されていることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項6】 上記請求項5に記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む略長方形の枠状に形成されるとともに、同集積回路の上面に当接する当接面を有する枠体部を備え、上記第一の係合機構は、上記枠体部の相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に形成され、上記第二の係合機構は、上記第一の係合機構が形成された位置から上記冷却器方向に形成されていることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項7】 上記請求項2〜請求項6のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記第二の凸部と複数箇所形成された上記第一の係合部とが略同一直線上に配置されていることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項8】 上記請求項2〜請求項7のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記第一の係合部と複数箇所形成された上記第二の凸部とが略同一直線上に配置されていることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項9】 上記請求項2〜請求項8のいずれかに記載の冷却器取付構造において、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記集積回路を囲む略正方形の枠状に形成された枠体部と、この枠体部の相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に向けて突出するとともに、上記第一の係合部と上記第二の凸部とが設けられた一対の第一の突出部と、同枠体部において上記第一の突出部が設けられていない相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に向けて突出するとともに、上記第一の突出部における上記第一の係合部と上記第二の凸部の間隔とは異なる間隔で上記第一の係合部と上記第二の凸部とが設けられた一対の第二の突出部とを備えることを特徴とする冷却器取付構造。
【請求項10】 CPUを装着する略長方形に形成されたソケットに同CPUを冷却するCPUクーラーを取り付けるCPUクーラー取付構造であって、上記ソケットに装着された上記CPUを囲む形状に形成されるとともに同ソケットと上記CPUクーラーとの間に介挿される係合部材を具備し、上記ソケットは、相対向する略長方形の辺部の略中央部に一対の第一の凸部が側方へ立設され、上記係合部材は、上記ソケットに装着された上記CPUを囲む略長方形の枠状に形成されるとともに相対向する辺部において同CPUの上面に当接する当接面を有する枠体部と、同当接面を有しない相対向する辺部の略中央部から上記ソケット方向に上記一対の第一の凸部に対応して同第一の凸部と係合可能に形成された一対の第一の貫通穴と、同一対の第一の貫通穴に対応して立設された一対の第二の凸部とを備え、上記CPUクーラーは、相対向する側面に設けられるとともに曲げられて上記ソケット方向へ突出した一対の突出部材を有し、同一対の突出部材に上記一対の第二の凸部に対応して同第二の凸部と係合可能な一対の第二の貫通穴が形成されていることを特徴とするCPUクーラー取付構造。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【登録番号】実用新案登録第3075483号(U3075483)
【登録日】平成12年11月22日(2000.11.22)
【発行日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【考案の名称】冷却器取付構造およびCPUクーラー取付構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−5684(U2000−5684)
【出願日】平成12年8月8日(2000.8.8)
【出願人】(390040187)株式会社メルコ (378)