説明

冷却貯蔵庫の冷却器室

【課題】冷却器室のベースの周縁部において冷気が洩れることを極力抑える。
【解決手段】貯蔵庫本体10の上面壁10Aに形成された開口部14を覆って装着され、冷却器50が載置されるドレンパン40とその両側に吸込口41と吹出口42とが設けられた合成樹脂製の基部31と、この基部31の上面に被着される下面開放の断熱カバー30と、基部31においてドレンパン40、吸込口41及び吹出口42の回りを囲んで形成された環形溝37と、この環形溝37内に嵌着された断熱材とが具備されている。この断熱材は、断熱カバー55の周壁56の下端部によって形成されている。環形溝37の底面は開放されていて、周壁56の下端面が、開口部14の口縁部に当てられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却貯蔵庫における冷却器室の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫の上面に装備される冷却器室の一形式として、構造の簡略化と軽量化を図る上から、貯蔵庫本体の上面に形成された開口部を覆って装着される合成樹脂製のベースに対して、冷却器の載置部と同載置部を挟んだ両側に吸込口と吹出口とを形成し、載置された冷却器並びに吸込口と吹出口とを覆うようにして、発泡スチロール等の発泡樹脂製の断熱カバーを被着した構造のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−251608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造のものでは、冷却器の冷熱が、載置部から、断熱カバーの外側に出て外部に露出しているベースの周縁部にまで伝わりやすく、冷気洩れに繋がり、また同ベースの周縁部で結露が生じるという問題があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、ベースの周縁部での冷気洩れを抑えるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、貯蔵庫本体の上面には冷却器を収容した冷却器室が設けられ、庫内空気が前記冷却器室内を通って循環流通されて庫内が冷却されるようにした冷却貯蔵庫の前記冷却器室であって、前記貯蔵庫本体の上面に形成された開口部を覆って装着され、前記冷却器が載置される載置部と同載置部を挟んだ両側に吸込口と吹出口とが設けられた合成樹脂製のベースと、このベースの上面に被着される下面開放の断熱カバーと、前記ベースにおいて前記載置部、前記吸込口及び前記吹出口の回りを囲んで形成された溝部と、この溝部内に嵌着された断熱材と、が具備されているところに特徴を有する。
冷却器の冷熱が載置部からベースの周縁部に伝達しようとするのが、溝部に嵌着された断熱材で遮断され、すなわち冷熱が伝わり難くなる。そのため、外部への冷気洩れが抑えられて冷却性能が低下することが防止され、またベース周縁部への結露も防止される。
【0006】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記ベースに形成された前記溝部の底面が開口され、前記溝部に充填された前記断熱材が、前記貯蔵庫本体の上面における前記開口部の口縁に当接している。溝部の内側から外側への熱伝達がさらに遮断される。
(2)前記溝部には、内外の側面を連結する複数のリブが間隔を開けて設けられ、前記溝部に嵌着される前記断熱材には、前記リブが挿入される挿入溝が形成されている。溝部の内側から外側への熱伝達を小さく抑えた上で、構造的な増強が図られる。また、リブと嵌合溝との嵌合により断熱材が溝部内に強固に保持される。
【0007】
(3)前記断熱カバーの周壁の開放端が、前記ベースの前記溝部に嵌着されている。断熱カバーの開放端の周壁をベースの溝部に嵌めるだけで、載置部等の回りに断熱層が形成されるとともに、冷却器室も自ずから構成される。
(4)前記断熱カバーの周壁の開放端側における所定高さ領域が分割され、その分割面に互いに凹凸嵌合する結合部が設けられており、分割された断熱材が前記溝部内に予め嵌着された状態から、前記断熱カバーの周壁の分割面が前記断熱材の分割面に合わせられて結合されている。
断熱カバーの開放端の周壁の分割面を、溝部の上部位置まで上がった断熱材の分割面に合わせて結合すればよいから、断熱カバーの開放端の周壁を溝部の底部まで押し込む場合と比較すると、断熱カバーの着脱の作業がしやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベースの周縁部において冷気が洩れることを極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る低温貯蔵庫の正面図
【図2】同側面図
【図3】ユニットベースの平面図
【図4】図3のIV−IV線断面図
【図5】同斜視図
【図6】断熱カバーの斜視図
【図7】ユニットベースに冷凍回路が搭載された状態の平面図
【図8】同斜視図
【図9】冷却器室の設置部分における分解断面図
【図10】冷却器室が形成された状態の断面図
【図11】実施形態2に係る冷却器室の設置部分における分解断面図
【図12】その冷却器室が形成された状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図10によって説明する。この実施形態では、穀物等を貯蔵する低温貯蔵庫を例示している。
図1及び図2において、符号10は貯蔵庫本体であって、前面開口の縦長の断熱箱体により形成されて内部が貯蔵室11となっており、底面に配された脚12によって支持されているとともに、前面の出入口に断熱扉13が揺動開閉可能に装着されている。
貯蔵庫本体10の上面には、冷却ユニット15が設置されている。この冷却ユニット15は、図8及び図10に参照して示すように、ユニットベース20上における一側に、冷却器50が収容された断熱性の冷却器室30が設けられているとともに、他側に冷凍装置80が設置されており、これらの上方がケース95で覆われた構造となっている。
【0011】
ユニットベース20は、ABS樹脂等の合成樹脂製であって、図3ないし図5に示すように、当該貯蔵庫本体10の奥行方向にやや長い平面長方形をなす略浅皿状に形成されており、奥側(図4の右側)の略半分が冷却器室30等を設けるための第1領域21Aで、残りの手前側が冷凍装置80等を設置するための第2領域21Bとなっている。前後の周壁の下端からは、ねじの挿通孔23Aが形成された取付板23が張り出し形成され、貯蔵庫本体10の上面にねじ止めできるようになっている。
【0012】
第1領域21A側では、正面から見た左端部に小幅の収容室25が形成されているとともに、残りの右側領域に、平面視で左右方向(横方向)にやや長い長方形をなす冷却器室30の基部31が形成されている。
なお収容室25は、後記する蒸発皿70とは隔離された深皿状をなし、配線やコネクタ等をまとめて収容可能であり、ケース95を外した場合でも配線がばらけず、水にも濡れないようになっている。
冷却室の基部31の周縁には、外壁32が全周に亘って形成されているとともに、この外壁32の内側には、平面視で外壁32よりも一回り小さい横長の長方形をなし、ただし同外壁32よりも背の高い内壁33が、間隔を開けてほぼ同心に形成されている。外壁32と内壁33とは、それぞれ手前側の壁面の横幅方向の中央部同士が、内壁33と同じ高さの厚肉の連結壁35によって連結されている。これにより、外壁32と内壁33との間には、後記する断熱カバー55の下端部を嵌めるための上下両面に開口した方形の環形溝37が形成されている。なお、連結壁35の上面には、冷媒配管86等を逃がすほぼ半円形の凹面35Aが形成されている。
また、環形溝37の底部側では、周方向の適宜間隔を開けた位置ごとに、内外の側面に亘る板状のリブ38が形成され、これにより形状保持のための補強がなされている。
【0013】
貯蔵庫本体10の上面壁10Aにおける奥側に寄った位置には、図10に示すように、横長の長方形をなす開口部14が形成されており、ユニットベース20が正規位置に取り付けられた際には、冷却器室30の基部31における内壁33の下縁が、上記した開口部14の上側の口縁に整合して当接するようになっている。言い換えると、内壁33の内部と開口部14内とが整合して連通した状態となる。
内壁33内の上面部には、その横幅方向の中央部に冷却器50等の載置部を兼ねたドレンパン40が形成されているとともに、その右側と左側には吸込口41と吹出口42とが形成されている。吸込口41と吹出口42とには、それぞれルーバ43が形成されている。
【0014】
ドレンパン40は、図4に示すように、全周に周壁を巡らせた全体としては平面方形をなす皿状に形成されており、ただし、その底面40Bは、正面から見た左手前の角付近が最も低位置となって周りから同位置に向けて下り勾配となるように傾斜して形成されている。
ユニットベース20の第2領域21Bには、後記するように蒸発皿70が形成されており、上記した基部31の外壁32における手前側の壁面が、蒸発皿70の奥側の壁面70Rを兼ねている。
そして、ドレンパン40の手前側の周壁40Fにおける左端に寄った位置、詳細には上記した連結壁35の左隣の位置に排水口45が切り欠き形成され、同排水口45から蒸発皿70の奥側の壁面70Rに亘るように排水路46が形成されている。排水路46の底面には、ドレンパン40の底面40Bの傾斜に倣った先下がりの勾配が付けられている。
【0015】
ドレンパン40の底面40B上には、右側のほぼ2/3の領域に冷却器50が、左側の残りの領域に冷却ファン51がそれぞれ設置されている。冷却器50は、底面40Bから立てられた4本の支持台47に、下面の四つ角を嵌めることで支持されている。
冷却ファン51はファンモータからなり、ドレンパン40の左側の壁面の内面側に設けられた支持台48に下端部を挿入することにより、軸線を左右方向に向けた姿勢において支持されている。
【0016】
上記した基部31の上面を覆って断熱カバー55が被着されることによって、冷却器室30が形成されるようになっている。断熱カバー55は、発泡スチロール等の発泡樹脂製の断熱材によって形成されており、図6及び図9に示すように、厚肉で下面に開口した方形の箱状に形成されている。
断熱カバー55の周壁56の下端部は、上記した基部31の環形溝37の底までほぼ緊密に嵌合されるようになっている。そのため断熱カバー55の周壁56の下端面には、上記した連結壁35と排水路46とを逃がす逃がし溝57が形成されている。この逃がし溝57の天面のうち、連結壁35の上面と対応する位置にはほぼ半円形をなす凹面58Aが形成され、排水路46の上面と対応する位置には、フラットな閉鎖面58Bが形成されている。
断熱カバー55の周壁56の下端面には、環形溝37の底部側に形成されたリブ38を全高に亘って挿入して逃がす逃がし溝60が形成されている。
なお、断熱カバー55の内面には、正規に被着された場合に、冷却器50の吹き出し側の面(左側面)において、冷却ファン51の前後両面を覆うガイド部61や、冷却器50と冷却ファン51の上面を押さえる押圧部62等が形成されている。
【0017】
ユニットベース20の第2領域21B側には、ほぼ全域に亘って蒸発皿70が形成されている。蒸発皿70は、周縁に周壁を巡らせた上面開放の皿状であって、横長の長方形の右手前の隅部を欠落させた平面形状に形成され、図4に示すように、ユニットベース20の底面から少し浮いた形態で設けられている。
欠落部分には、電装箱71の本体部72Aが一体形成されている。本体部72Aは、電装箱71における底面と、前面及び左右の側面の3側面を構成するものであり、この本体部72Aに対して後面と上面とを塞ぐL型蓋72B(図8参照)が被着されることで、電装箱71が形成されるようになっている。電装箱71の底面は、蒸発皿70の周壁よりも高い位置にあり、また、蒸発皿70との間には溝73が設けられて距離が取られていることによって、仮に蒸発皿70から水が溢れても電装箱70に浸水することが回避されるようになっている。また、同電装箱71の前面壁には表示部74が設けられていて、図1に示すように、ケース95の前面に設けられた窓孔99から同表示部74が臨めるようになっている。
【0018】
蒸発皿70の内部には、圧縮機81、凝縮器ファン83付きの凝縮器82、ドライヤ84、キャピラリチューブ85等からなる冷凍装置80が設置されている。
圧縮機81は、蒸発皿70の左側の広い領域において、下面に設けられた4本の脚を、方形に配された支持部87にそれぞれ固定することで、底面から浮いた形態で設置されている。蒸発皿70の右側の狭い領域には、右側に凝縮器82が、その左側に軸線を左右方向に向けた凝縮器ファン83が、それぞれ支持部88,89に載せられて、同じく底面から浮いた形態で設置されている。
蒸発皿70の左側壁の上縁部にはオーバフロー溝91が形成されているとともに、蒸発皿70の左右両側には把手部92が形成されている。
【0019】
ケース95は、ユニットベース20と同様にABS樹脂等の合成樹脂であって、ユニットベース20の上方を全域に亘って覆うことができる下面開放の箱形に形成されており、前後の側面の下端からは、上記したユニットベース20の取付板23の上面に重なるようにして、同じくねじの挿通孔が形成された取付板96が張り出し形成されている。
また、ケース95の右側面と左側面には、それぞれ冷却風の吸気口97と排気口(図示せず)とが形成されているとともに、両側面の下端には、ユニットベース20に設けられた把手部92を外部に臨ませる窓孔98が切り欠き形成されている。
【0020】
冷却ユニット15は、以下のような手順で組み付けられて設置される。
ユニットベース20に設けられた蒸発皿70内に、圧縮機81と凝縮器82とが取り付けられるとともに、ドレンパン40内に冷却器50が取り付けられる。この状態から、図7に示すように、圧縮機81、凝縮器82、ドライヤ84、キャピラリチューブ85及び冷却器50が冷媒配管86によって循環接続され、冷凍回路が構成される。冷媒配管86のうち冷却器50に対して出し入れされる冷媒配管86は、連結壁35の凹面35Aに載せられる。
次に、蒸発皿70内の凝縮器82の隣に凝縮器ファン83が取り付けられるとともに、ドレンパン40内の左側縁部に冷却ファン51が設置される。
【0021】
続いて、ユニットベース20に設けられた基部31に対して断熱カバー55が被着される。それには、断熱カバー55を所定の向きにして、周壁56の下端部が基部31に形成された環形溝37に嵌合される。断熱カバー55の周壁56の下端部は、連結壁35と排水路46とを逃がし溝57に嵌め、また、環形溝37の底部側に設けられた補強用のリブ38を対応する逃がし溝60に挿入して逃がしつつ押し込まれ、逃がし溝60の奥面がリブ38に当たったところで押し込みが停止される。
このとき、断熱カバー55の周壁56の下端面が、環形溝37の開口した底面よりも若干突出する。また、逃がし溝57の天面の凹面58Aと、連結壁35の上面の凹面35Aとが合わさって円形の挿通孔が形成され、冷媒配管86が同挿通孔内にほぼ緊密に挿通された状態となるとともに、排水路46の上面が、逃がし溝57の天面の閉鎖面58Bで塞がれる。
【0022】
また、ドレンパン40の下面側には、発泡スチロール等の発泡樹脂により予め成形されたブロック状の断熱材44が嵌着される。それとともに、電装箱71の本体部72AにL型蓋72Bが被着される。
最後に、ケース95が被せられる。ケース95は、前後の取付板96がユニットベース20の取付板23に重なった状態で、ユニットベース20の上方を全域に亘って覆った状態で被せられ、このとき左右の側面の窓孔98に把手部92が臨んだ状態となる。また、ケース95の天面が、冷却器室30の断熱カバー55の上面に当てられる。
【0023】
このように組み付けられた冷却ユニット15は、貯蔵庫本体10の上面に設置される。それに先立ち、貯蔵庫本体10の上面に形成された開口部14の口縁部に、断熱カバー55の周壁56の下端の厚さに匹敵する幅を持ったスポンジシート(図示せず)が、全周に亘って貼り付けられる。
冷却ユニット15は、両把手部92に手を掛けて持ち上げられ、図10に示すように、冷却器室30の基部31における内壁33の内部が開口部14と整合した状態で、貯蔵庫本体10の上面に載せられる。そして、ケース95とユニットベース20の取付板96,23が重なった状態で、ねじで共締めされることによって固定される。
このとき、冷却器室30を構成する断熱カバー55がケース95で押さえられた状態となって、周壁56の下面が開口部14の口縁部(スポンジシート)に押し付けられる。
【0024】
冷却運転は、冷凍装置80(圧縮機81、凝縮器ファン83)と、冷却ファン51とが駆動されることで行われ、図10の矢線に示すように、庫内空気が吸込口41から冷却器室30内に吸い込まれて、冷却器50を通過する間に熱交換により冷気が生成され、その冷気が吹出口42から貯蔵室11に吹き出されるといった循環供給が行われることで、貯蔵室11内が冷却される。この間、吸込口41側のルーバ43に装備された庫内サーミスタ(図示せず)によって庫内温度が検知され、その検知温度が予め定められた設定温度よりも高いか低いかによって、冷凍装置80と冷却ファン51のオンオフが制御され、これにより貯蔵室11内がほぼ設定温度に維持される。
【0025】
また、適宜の時間間隔を開けて除霜運転が行われる。ここでは、冷凍回路に設けられた切換弁の操作等により、圧縮機81から吐出されたホットガスがホットガス管(図示せず)を通って冷却器50に循環供給され、冷却器50が加熱されることで付着した霜が融かされ、除霜水はその下方に配されたドレンパン40上に滴下する。滴下した除霜水は、底面40Bの傾斜に倣って最下部である排水口45に向けてスムーズに導かれ、排水路46に沿って流下したのち奥側の壁面70Rの手前側から蒸発皿70内に排水される。
蒸発皿70内に貯留された除霜水は、冷却運転に戻った際に、圧縮機81や凝縮器82からの発熱を受けて強制蒸発され、またこの間、凝縮器ファン83により外気が吸引されて、凝縮器82続いて圧縮機81を冷却したのちの排熱が、ケース95の左側面の排気口から排出され、外気が蒸発皿70の上面を通過することから、さらに蒸発が促されるとともに、蒸発皿70から立ち上った蒸気は、外気の流れを受けて排気口から排出されるところとなる。
【0026】
以上説明したように本実施形態によれば、ユニットベース20に対して蒸発皿70や、冷却器50の載置部となるドレンパン40等を含む冷却器室30の基部31を合成樹脂材により一体成形しているから、部品点数と組み立て工数の削減が図られ、また清掃の作業性も向上する。
ここで上記のように、ユニットベース20に対して、冷却器50を載置するドレンパン40等を有する冷却器室30の基部31が一体に形成されているのであるから、冷却器50の冷熱が、外部に露出する基部31の周縁部や取付板23に伝達しようとするが、ドレンパン40並びに吸込口41、吹出口42の周りに環形溝37が形成されて、同環形溝37内に、断熱材である断熱カバー55の周壁56の下端部が嵌着されているから、同断熱材で遮断されて冷熱が伝わり難くなる。そのため、外部への冷気洩れが抑えられて冷却性能が低下することが防止され、また基部31の周縁部への結露も防止される。
特に、環形溝37の底面を開口して、断熱材である断熱カバー55の周壁56の下面を、貯蔵庫本体10の上面の開口部14の口縁部に当てる構造としたから、同環形溝37の内側から外側への冷熱の伝達がさらに有効に遮断される。
【0027】
環形溝37の底部には、内外の側面を連結する複数枚の板状リブ38が間隔を開けて設けられる一方、断熱カバー55の周壁の下端部には、上記のリブ38が挿入される逃がし溝60が形成された構造となっている。リブ38を設けたことで構造的な増強が図られる一方で、環形溝37の内外の面を小面積で接続しただけであるから、熱の伝わりやすさの上昇は、最小限に抑えられる。また、断熱カバー55の周壁56が環形溝37内に強固に固定され、断熱カバー55がぐらついたり、圧縮機81の振動等を受けて隙間ができることが防止される。リブ38自体は縦向きの板物であるから、成形型を簡易構造として成形することができる。
また、断熱カバー55の周壁56の下端部を基部31の環形溝37に嵌めるだけで、冷却器50の載置部分の回りに断熱層が形成されるとともに、冷却器室30も自ずから構成されるのであるから、組付工程が簡略化される。
【0028】
<実施形態2>
図11及び図12は、本発明の実施形態2を示す。
この実施形態2では、ユニットベース20に設けられた冷却器室30の基部31に形成された環形溝37が、底板100が張られた形状となっている。
一方、断熱カバー55Aの周壁56Aは、下端部の所定高さ部分が分割されたような形態となっており、分割された断熱材101の上面には、位置決め用の突条102が全周に亘って形成され、断熱カバー55Aの周壁56Aの分割されて残った下面には、上記した突条102が緊密に嵌る凹溝103が、全周に亘って対応して形成されている。
その他の構造については、上記実施形態1と同様であって、同一機能を有する部材、部位については、実施形態1と同一符号を付すことで、重複した説明は省略する。
【0029】
この実施形態では、環形溝37内に、分割された形態の断熱材101が、大半の深さ部分に亘って予め装着され、そののち、断熱カバー55Aの周壁56Aの下端が、突条102を凹溝103に嵌めて位置決めしつつ、断熱材101の上面に重なるようにして環形溝37内に嵌められる。
断熱カバー55Aの周壁56Aの下端を環形溝37に嵌めるに当たって、同周壁56Aの下面を、環形溝37の上部位置まで上がった断熱材101の上面に合わせて結合すればよいから、断熱カバーの周壁の下端部を環形溝37の底部まで押し込む場合と比較すると、断熱カバー55Aの着脱の作業がしやすくなる。
【0030】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、冷却器室の基部の環形溝に嵌合する断熱材として、断熱カバーの周壁の下端部そのもの、または同下端部から分割されたものを嵌合する場合を例示したが、断熱カバーとは全く別の断熱材を嵌合するようにしてもよい。
(2)実施形態1に例示した環形溝に断熱カバーの周壁の下端部を嵌合する形式のものにおいて、環形溝に底板を設けた構造としてもよい。逆に、実施形態2に例示した分割された断熱材を環形溝に嵌合する形式のものにおいて、底板を除去して、同断熱材を開口部の口縁部に直接に接触させる構造としてもよい。
【0031】
(3)上記実施形態に例示した冷却ユニットの組み付け並びに設置手順はあくまでも一例であって、例えばユニットベースを先に貯蔵庫本体の上面に設置してから、断熱カバーを被せて冷却器室を構成する等、必要に応じて任意に変更することができる。
(4)本発明は、冷却器室が冷凍装置とは別に取り付けられるもの、すなわちユニット化されていないものにも同様に適用可能である。
【0032】
(5)本発明は、上記実施形態に例示した低温貯蔵庫に限らず、冷蔵庫、冷凍庫、急速凍結庫等の冷却貯蔵庫全般に装備された冷却器室に対して適用することができる。
(6)なお、電装箱の形成部分の構造において、ユニットベース側から背の高い上面開口の本体部を一体形成する一方、ケースの天面に蓋部を一体形成し、ユニットベースを覆ってケースを被着することに併せて、本体部の上面開口を蓋部で閉じることにより、閉鎖した電装箱が構成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…貯蔵庫本体 10A…上面壁 14…開口部 20…ユニットベース 30…冷却器室 31…基部(ベース) 37…環形溝(溝部) 38…リブ 40…ドレンパン(載置部) 41…吸込口 42…吹出口 50…冷却器 51…冷却ファン 55…断熱カバー 55A…断熱カバー 56…(断熱カバー55の)周壁(断熱材) 56A…(断熱カバー55Aの)周壁 60…逃がし溝(嵌合溝) 101…断熱材 102…突条(結合部) 103…凹溝(結合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫本体の上面には冷却器を収容した冷却器室が設けられ、庫内空気が前記冷却器室内を通って循環流通されて庫内が冷却されるようにした冷却貯蔵庫の前記冷却器室であって、
前記貯蔵庫本体の上面に形成された開口部を覆って装着され、前記冷却器が載置される載置部と同載置部を挟んだ両側に吸込口と吹出口とが設けられた合成樹脂製のベースと、
このベースの上面に被着される下面開放の断熱カバーと、
前記ベースにおいて前記載置部、前記吸込口及び前記吹出口の回りを囲んで形成された溝部と、
この溝部内に嵌着された断熱材と、
が具備されていることを特徴とする冷却貯蔵庫の冷却器室。
【請求項2】
前記ベースに形成された前記溝部の底面が開口され、前記溝部に充填された前記断熱材が、前記貯蔵庫本体の上面における前記開口部の口縁に当接していることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫の冷却器室。
【請求項3】
前記溝部には、内外の側面を連結する複数のリブが間隔を開けて設けられ、前記溝部に嵌着される前記断熱材には、前記リブが挿入される挿入溝が形成されていることを特徴とする請求項2記載の冷却貯蔵庫の冷却器室。
【請求項4】
前記断熱カバーの周壁の開放端が、前記ベースの前記溝部に嵌着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷却貯蔵庫の冷却器室。
【請求項5】
前記断熱カバーの周壁の開放端側における所定高さ領域が分割され、その分割面に互いに凹凸嵌合する結合部が設けられており、分割された断熱材が前記溝部内に予め嵌着された状態から、前記断熱カバーの周壁の分割面が前記断熱材の分割面に合わせられて結合されていることを特徴とする請求項4記載の冷却貯蔵庫の冷却器室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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