説明

冷菓の供給方法および装置

【課題】冷菓製造機で製造された冷菓を包装機へ供給するまでの搬送経路において、冷菓を搬送部に接触させることなく袋内に供給する。
【解決手段】搬送装置12の挟持部材14で挟持して引継ぎ位置Aに臨む1行の冷菓10を、受取り部において第1移送体24の第1クランパ22で挟持して受け取る。第1移送体24は受取り部から供給部に横移動し、第1移送体24の第1クランパ22で挟持している1行の冷菓10を、第2移送体28の第2クランパ26で挟持して受け取る。袋充填位置Bに前進移動した第2クランパ26を複数の包装部Pの並び方向に移動し、各包装部Pの上方に所定数おき毎に第2クランパ26で保持した冷菓10を臨ませる毎に該第2クランパ26による冷菓10の挟持を解除することで、該冷菓10が包装部Pにおいて製袋手段で成形される筒状フィルム中に同時供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷菓製造機で製造されたアイスキャンディ等の冷菓を袋詰め包装する包装機に向けて供給する方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷菓製造機で製造されたスティック付きのアイスキャンディやアイスクリーム等の冷菓を袋詰めする自動包装ラインにおいては、特許文献1,2に開示された技術の如く、冷菓製造機のモールド内から抜取り装置によって抜取った冷菓は、一旦反転シャッターに載置した後に、バケットコンベヤに横置きに移載して横形製袋充填機の供給コンベヤの供給位置まで搬送して、該供給コンベヤに順次送り込むことで、個々の袋詰め包装品を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−123806号公報
【特許文献2】実開平6−20346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に開示の装置では、冷菓はモールドから抜取られた後に包装機の包装フィルム内に至るまでの搬送経路において、前記した反転シャッターやバケットコンベヤ等の各種搬送手段の搬送部に対して凍結した冷菓本体が直接触れて搬送されるため、搬送手段の搬送部に冷菓本体が冷気の影響を受けて固着したり、あるいは冷菓本体に対して雑菌が付着したりするおそれがあった。
【0005】
すなわち本発明は、冷菓製造機で製造された冷菓を包装機へ供給するまでの搬送経路において、冷菓を搬送部に接触させることなく袋内に供給し得る方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る冷菓の供給方法は、
冷菓製造機のモールドから取り出した冷菓を、その冷菓本体から突出したスティックを挟持して吊り下げ搬送する搬送装置における引継ぎ位置で受け継ぎ、該搬送装置の外側に並設された包装部に供給する方法であって、
前記搬送装置で吊り下げ搬送される複数の冷菓を、前記引継ぎ位置においてクランパでスティックを挟持して受け継ぎ、
該クランパで吊り下げ保持した冷菓を、前記包装部の上方位置まで移送するようにしたことを特徴とする。
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項2の発明に係る冷菓の供給装置は、
冷菓製造機のモールドから取り出した冷菓を、その冷菓本体から突出したスティックを挟持して吊り下げ搬送する搬送装置における引継ぎ位置で受け継ぎ、該搬送装置の外側に並設された包装部に供給する装置であって、
前記搬送装置より外方の袋充填位置において所定間隔毎に整列して配置された包装部と、
前記搬送装置の間欠搬送停止時に、前記引継ぎ位置において複数の冷菓におけるスティックを挟持して受け継ぐ複数のクランパを備えた移送体と、
該移送体を前記引継ぎ位置と前記袋充填位置との間で横移動可能に配設した移送手段とを備え、
前記移送体は、前記袋充填位置に至った際に該位置で整列した複数の包装部の並び方向に移動し、各包装部の上方に所定数おき毎にクランパで保持した冷菓を臨ませるよう構成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記移送体は、前記搬送装置における搬送方向と交差する一行の冷菓を、前記引継ぎ位置で受け取り得る複数のクランパを備え、前記袋充填位置における移送体の横移動により各包装部の上方に臨んだクランパを開放して複数の包装部の夫々に各冷菓を供給するよう構成したことを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記搬送装置は、その間欠搬送停止時に搬送装置で挟持した一行の冷菓を下降するよう構成され、その冷菓を下降した位置を前記引継ぎ位置に設定すると共に、前記移送手段を該引継ぎ位置を挟む一方と他方との夫々に配設し、引継ぎ位置において前記一方と他方の移送手段における各移送体にて前記一行の冷菓を交互に受け取り、前記袋充填位置に向けて移送するよう構成したことを要旨とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記移送手段は、前記引継ぎ位置で冷菓を受け取る第1移送体と、該第1移送体から冷菓を受け取り、該冷菓を前記袋充填位置まで移送する第2移送体とを備え、該第2移送体は袋充填位置において横移動して該移送体に設けた複数のクランパの内、所定数おきのクランパを同時に開放して袋充填位置に整列配置した複数の包装部へ冷菓を同時供給するよう構成したことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および請求項2に係る発明によれば、冷菓を冷菓製造機から取り出して包装部へ移送するまでの間に、凍結した冷菓本体が搬送手段の搬送部等に触れることがないので、袋内に至るまでの搬送過程において搬送手段の搬送部等への冷菓本体の固着が発生せず、またその搬送過程において搬送部等から冷菓本体に直接雑菌等が付く問題を解消し得る。更に、包装機へ供給するまでの冷菓の搬送過程において、冷菓本体が搬送部等に触れることで表面が部分的に溶けることに起因して包装機でフィルム包装する際に冷菓がフィルムに付着して包装不良となる事態を未然に防止できる。
請求項3〜請求項5に係る発明によれば、包装部への供給効率を更に高め、高速処理を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例に係る冷菓の供給装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施例に係る冷菓の供給装置を示す概略平面図である。
【図3】実施例に係る冷菓の供給装置の概略縦断側面図である。
【図4】実施例に係る第1移送体を示す要部概略平面図である。
【図5】実施例に係る第1移送体を示す要部概略背面図である。
【図6】実施例に係る第2移送体を示す概略平面図である。
【図7】実施例に係る第1移送体で搬送装置から冷菓を受け取る工程を示す概略図である。
【図8】実施例に係る第1移送体から第2移送体への冷菓の受け渡し工程、および第2移送体から筒状フィルムへの冷菓の供給工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る冷菓の供給方法およびその装置につき、好適な実施例として、冷菓製造機で製造された冷菓を縦形製袋充填機の複数の包装部に供給する態様について、以下添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0014】
先ず、実施例に係るスティック付きの冷菓(以下「冷菓」と称す)の供給装置の説明に先立ち、冷菓を製造する冷菓製造機の概略構成につき簡単に説明する。冷菓製造機は、冷菓原料が充填される多数のモールドを配設したコンベヤの走行中にモールド内における凍結途中の冷菓原料にスティック10bを上方から差し込み、凍結した冷菓本体10aから上方に突出するスティック10bを挟持部材14で挟持してモールドから抜き取った冷菓10を多列で多数行に整列した状態で吊り下げ保持して間欠的に搬送する搬送装置12を備える。
【0015】
前記搬送装置12は、図1に示す如く、搬送方向と交差する横方向に離間する一対の無端チェン間に複数のキャリア16を搬送方向に所定間隔毎に架設した無端コンベヤからなり、各キャリア16には、搬送方向と交差する方向である横方向に向けた一行毎のモールドから冷菓10(実施例では16個)のスティック10bを挟持して抜き取り可能な挟持部材14が配設されている。搬送装置12は、その搬送終端において一時停止してキャリア16を下降し、挟持部材14で吊り下げている冷菓10を引継ぎ位置Aに臨ませる。
【0016】
図1は、実施例に係る冷菓の供給装置を概略的に示すものであって、該装置は、前記引継ぎ位置Aで冷菓10を搬送装置12から受け取る受取り部Cから搬送装置12の搬送路より外方の一側へ所定間隔離間した供給部Dにおいて縦形製袋充填機における複数の包装部Pが設置された袋充填位置Bまで移送する2組の移送手段18,20を備える。引継ぎ位置Aおよび袋充填位置Bは、搬送装置12の搬送方向と直交するライン上で整合するよう配置され、移送手段18,20は、引継ぎ位置Aおよび袋充填位置B(図1参照)を挟んで搬送装置12の搬送方向の前後(一方と他方)に同一構成で対称配置されている。説明の便宜上、2組の移送手段18,20の各構成部材の共通部分については同一の符号を付し、以下、引継ぎ位置Aの前側(搬送方向下流側)に位置する第1移送手段18の構成について詳述する。
【0017】
前記第1移送手段18は、横方向に所定間隔で配設された第1クランパ22を、前記搬送装置12の搬送方向と直交する方向およびこれと交差する前後方向に移動するよう構成された第1移送体(移送体)24と、横方向に所定間隔で配設された第2クランパ26を、前記第1移送体24の各移動と同じ移動方向に移動するよう構成された第2移送体(移送体)28とを設け、それら各移送体24,28が横移動する際に相互に干渉しないよう上下に離間して配設される(図3参照)。第1クランパ22および第2クランパ26の夫々の移送体24,28における配設間隔と配設数とは、以下で詳述する如く、前記搬送装置12における各キャリア16における挟持部材14の配設間隔と配設数とに一致するよう設定される。
【0018】
前記第1移送体24は、図2に示す如く、機枠30に配設されて横方向に延在する第1ガイドレール32に第1移動部材34が移動自在に配設されており、該第1移動部材34には、第1保持部材36が第1移動部材34の移動方向と交差する前後方向に移動自在に配設され、第1保持部材36には、前記第1クランパ22の夫々が、横方向へ所定間隔毎に配設される。第1移動部材34には、サーボモータからなる第1駆動モータ38の駆動により横方向に走行する歯付き無端ベルト40が連結されており、該第1駆動モータ38を正逆駆動して歯付き無端ベルト40を走行することで、第1移動部材34は、前記受取り部Cおよび前記縦形製袋充填機における複数の包装部Pが配置された供給部Dとの間を第1ガイドレール32に沿って水平移動するよう構成される。
【0019】
前記第1移動部材34には、図4に示す如く、第1保持部材36を前後方向に距離x1および距離x2の夫々について進退移動する2連シリンダ42,42からなる第1進退手段44が配設され、該第1進退手段44を作動することにより、第1保持部材36に配設された各第1クランパ22を、前記搬送装置12の挟持部材14で挟持された冷菓10を受け取る引継ぎ位置Aと、該引継ぎ位置Aから所定距離x1後退した中間位置Fと、前記供給部D側に移動した際に中間位置Fから更に所定距離x2後退して冷菓10を第2クランパ26に受け渡し可能な退避位置Gとの夫々に臨むように第1保持部材36が進退移動するよう構成される(図7参照)。なお、第1クランパ22は、引継ぎ置Aにおいて前記挟持部材14で挟持したスティック10bの挟持位置より下側を挟持し得る高さに設定されている。
【0020】
前記第2移送体28は、前記第1ガイドレール32の上方において機枠30に配設されて該第1ガイドレール32と平行に延在する第2ガイドレール46が設けられ、該第2ガイドレール46には第2移動部材48が移動自在に配設され、また第2移動部材48には該第2移動部材48の移動方向と交差する前後方向に第2保持部材50が移動自在に配設される。第2保持部材50には、前記複数の第2クランパ26が横方向に所定間隔毎に配設される。第2移動部材48は、図6に示す如く、機枠30の横方向に延在し、サーボモータからなる第2駆動モータ52に連繋されたねじ軸54が回転駆動されることで第2ガイドレール46に沿って横方向に水平移動するよう構成される。前記袋充填位置Bには、縦形製袋充填機における複数の包装部Pが所定間隔毎に配置され、該袋充填位置Bにおいて第2クランパ26の配設ピッチで第2移動部材48を間欠的に横移動し、各包装部Pにおける製袋手段78の直上位置に各第2クランパ26を順次臨ませ得るよう設定される。
【0021】
前記第2移動部材48には、図3または図6に示す如く、第2保持部材50を前後方向に進退移動する一対のシリンダ56,56からなる第2進退手段58が配設され、該第2進退手段58を作動することにより、第2保持部材50に配設された各第2クランパ26を、前記袋充填位置Bに臨ませ得る位置と、該袋充填位置Bより後退して冷菓10を第1クランパ22から受け取り可能な退避位置Gとに臨むように第2保持部材50が進退移動するよう構成される。
【0022】
前記第1移送体24の第1クランパ22および第2移送体28の第2クランパ26との各クランパ22,26についての具体的構成は同じ構成を採用するものであって、以下、夫々同一部材については同じ符号を付して説明する。
【0023】
前記第1保持部材36に配設された前記第1クランパ22は、図5に示すように、一対の爪部60,60がリンク機構62に連繋され、バネ64によって冷菓10のスティック10bを挟持可能な閉成位置に付勢するよう構成される。また第1保持部材36には、リンク機構62を介して爪部60,60を開閉作動する作動杆66が配設され、該作動杆66を後述する第1解除部材68で押上げることで、両爪部60,60を相互に離間してスティック10bの挟持を解除可能な開放位置に移動するよう構成される。第2保持部材50に配設された第2クランパ26における作動杆66は第2保持部材50より上方へ突出する位置に保持されて、該作動杆66を後述する第2解除部材72または第3解除部材76で押下げることで、一対の爪部60,60を開放するよう構成される。
【0024】
前記第1保持部材36の下面側には、図5に示す如く、前記第1クランパ22を作動する作動杆66に係合し得る第1解除部材68が配設され、第1保持部材36に配設した一対の第1解除シリンダ70,70で第1解除部材68を上方へ移動することで全ての作動杆66を押圧作動して各第1クランパ22の爪部60,60を同時に開放し得るよう構成される。また前記機枠30には、前記第2クランパ26を退避位置Gに臨ませた第2保持部材50の上方に、第2クランパ26を作動する作動杆66に係合し得る第2解除部材72が配設され、機枠30に配設した一対の第2解除シリンダ74,74で第2解除部材72を作動して全ての作動杆66を押圧作動して各第2クランパ26の爪部60,60を同時に開放し得るよう構成される。第2解除部材72には、図6に示す如く、前記第2クランパ26が袋充填位置Bに移動した際に該第2クランパ26の作動杆66に係合し得る第3解除部材76が配設され、前記第2解除シリンダ74,74で第3解除部材76を作動して各包装部Pに臨む第2クランパ26の爪部60,60のみを開放するよう構成される。
【0025】
前記搬送装置12における搬送経路の左右何れか一側方に離間した位置における袋充填位置Bには、前記第2クランパ26の数個分の配設間隔(本例では4個)で包装部Pが所定間隔毎に整列して配置され、各包装部Pの上端に製袋手段78が夫々配設される(図1,図6等参照)。そして、供給源から引き出されるフィルムが該製袋手段78で筒状に成形され、得られた上方に開口する筒状フィルム(袋)80に、各包装部Pに臨む第2クランパ26が挟持した冷菓10のスティック10bを解放することで、各包装部Pに対して夫々冷菓10が同時に供給される。従って、冷菓10は複数の包装部Pによって包装されて、複数個づつ同時に包装品を得ることができる。
【0026】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係る冷菓の供給装置の作用につき、供給方法との関係で説明する。
【0027】
前記冷菓製造機で製造された冷菓10は、前記搬送装置12における搬送終端に配設された引継ぎ位置Aの上方に至るタイミングで搬送装置12が間欠搬送停止する度に一行の冷菓10が下降して引継ぎ位置Aに臨む(図1参照)。前記受取り部Cにおいて、前記第1移送体24は、中間位置Fにおいて第1解除部材68の作動によって各第1クランパ22を開放状態として待機しており(図7(a)参照)、冷菓10が引継ぎ位置Aに至った後に開放状態の第1クランパ22が前進移動することで、該クランパ22は引継ぎ位置Aにおいて前記挟持部材14で挟持されている冷菓10のスティック10bに対する挟持位置より下方の挟持空間に至る(図7(b)参照)。次いで、第1解除部材68の作動によって全ての第1クランパ22が閉じてスティック10bを挟持した後に前記挟持部材14によるスティック10bの挟持が解除され、第1クランパ22が後退移動して中間位置Fに臨む(図7(c)参照)。
【0028】
前記供給部Dにおいて、第2移送体28は、退避位置Gで各第2クランパ26が閉成状態で待機しており(図8(a)参照)、横方向一方の端部から数えて3つおき毎に(第1、第5、第9、第13番目)に位置する各第2クランパ26が所定間隔毎に配置された包装部Pの手前側に臨んでいる。前記搬送装置12から一行の冷菓10を受け取った第1移送体24は、中間位置F上に第1クランパ22が臨んだ状態で前記供給部Dまで横移動し、各第1クランパ22で挟持された冷菓10が第2移送体28の各第2クランパ26の前方に臨む位置で停止する。このとき、第2クランパ26は退避位置Gに臨んでおり、中間位置Fに臨んで第1クランパ22で挟持したスティック10bの上方の延出部が第2クランパ26と干渉することはない。また第1移送体24は、搬送装置12から一行の冷菓10を一括して受け取って搬送装置12の搬送経路から離間する一側方である前記供給部Dに向けて横移動するので、第1移送体24へ冷菓10を受渡した後に搬送装置12による搬送をただちに再開することができ、搬送装置12の間欠搬送停止時間を短縮して処理効率を向上し得る。
【0029】
次に、退避位置Gに第2クランパ26を臨ませている前記第2移送体28は、第2解除部材72の作動によって全ての第2クランパ26が開放する。そして、第1移送体24が後退移動して各第1クランパ22が退避位置Gに至ることで、各第1クランパ22で挟持したスティック10bの上方の突出部が、退避位置Gにおいて開放状態にある各第2クランパ26の間に臨む(図8(b)参照)。次いで、第2解除部材72が作動されることで、全ての第2クランパ26が閉成状態となってスティック10bを挟持した後に、第1移送体24の第1クランパ22によるスティック10bの挟持を解除する。次に、第2クランパ26が前進移動して袋充填位置Bに臨む。この袋充填位置Bに至った複数の第2クランパ26の内、前記した如く所定数おき毎に位置する各第2クランパ26の配設位置に対応する下方には包装部Pが夫々配置されている(図1参照)。第2クランパ26が袋充填位置Bまで前進移動するのに伴って第1移送体24は、第1クランパ22を中間位置Fに臨む位置まで前進移動して供給部Dから受取り部Cまで移動する。
【0030】
前記第2クランパ26が袋充填位置Bに至ることで、第3解除部材76の作動によって前記各包装部Pの上方に臨む第2クランパ26のみが開放され、4個の冷菓10は各包装部Pの製袋手段78で成形された筒状フィルム80中に同時供給される(図8(c)参照)。そして、第2移送体28を第2クランパ26の配設ピッチで間欠的に横移動することで、横方向一方の端部から数えて2番目以降の3つおき毎の各第2クランパ26が各包装部Pの上方に夫々臨む度に、第3解除部材76を作動して第2クランパ26を開放することで、複数の包装部Pにおいて各製袋手段78で成形される筒状フィルム80中に冷菓10が夫々同時供給される(図8(d)参照)。全ての冷菓10の供給を終えた第2移送体28は、第2クランパ26を退避位置Gまで後退し、各第2クランパ26を横移動する前の初期位置に復帰して、次の第1移送体24からの冷菓10の受け取りを待機する。
【0031】
前記引継ぎ位置Aを挟む前後位置には、第1、第2移送手段18,20が対称配置されており、引継ぎ位置Aにおいて第1移送手段18における第1移送体24が冷菓10を受け取って受取り部Cから供給部Dに向けて横移動した後に、次に引継ぎ位置Aに到来する一行の冷菓10は第2移送手段20における第1移送体24による受取り動作が行なわれ、以後前述した各動作工程を経て各包装部Pへ順次冷菓10が供給される。
【0032】
このように、冷菓製造機のモールドから搬送装置12でスティック10bを挟持して取り出された冷菓10は、その搬送過程において第1移送体24の第1クランパ22および第2移送体28の第2クランパ26でスティック10bの挟持により受け継がれて冷菓本体10aは第2クランパ26で挟持された状態で包装部Pへ向けて供給されるまで何等搬送部等に触れることなく移送処理し得るので、各種搬送手段の搬送部等に凍結した冷菓本体10aが冷温によって固着したり、あるいは冷菓本体10aに対して雑菌が付着したりすることがない。また、搬送装置12から第1移送体24に受け取った冷菓10を第2移送体28に受け渡すことで、該第2移送体28での筒状フィルム80への冷菓10の供給動作中に、第1移送体24で再び搬送装置12からの冷菓10の受け取り動作を行なうことができ、冷菓製造機で得た冷菓10を包装部Pへ供給するまでの処理能力を高めることができる。
【0033】
すなわち、搬送装置12で引継ぎ位置Aまで搬送される一行の冷菓10の処理を2組の移送手段18,20で交互に行なうことで、包装部Pへの供給処理効率を高めることができる。
【0034】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば以下のような実施形態を採用することができる。
(1) 実施例では、包装機を縦形製袋充填機として筒状フィルム80を成形する製袋手段78の上方に臨む位置まで冷菓10を移送するものとして例示したが、包装部Pに各種袋詰め包装機を設置すればよく、例えば上方に開口する袋口の上方まで冷菓10を移送するものであってもよい。
(2) 実施例では、縦形製袋充填機として複数の包装部Pを備えた多列製袋充填機としてその包装部Pを4列として例示したが、包装部Pの配列数は冷菓製造機における冷菓製造能力や移送手段の処理能力に応じて設定すればよい。また、複数列の包装部Pを有する縦形製袋充填機を採用する形態に代えて、1列の包装部Pを備えた複数台の縦形製袋充填機や袋詰め包装機を横並びに配置してもよい。
(3) 搬送装置12の挟持部材14が下降した引継ぎ位置Aの前後両側に第1と第2の移送手段18,20を設けてそれらを交互作動するようにしたが、冷菓製造機での製造能力等、必要に応じて前後何れか一方のみの移送手段とするようにしてもよい。
(4) 実施例では搬送装置12の挟持部材14を下降した位置を引継ぎ位置Aとしたが、該引継ぎ位置Aは、搬送装置12の搬送ラインを変えることなく搬送する搬送終端として、その先頭行から順次冷菓10を移送手段18,20で受け取るようにしてもよい。
(5) 移送体24,28を横方向に移動する機構は、実施例の形態に限るものではなく、公知の各種機構を採用することができる。
(6) 実施例では移送手段18,20の第1、第2移送体24,28を、水平往復移動式としたが、例えば無端状のループに配設した複数のクランパ22,26を循環移動する等、その他各種構成を採用し得る。
(7) 実施例では各移送手段18,20を、受取り部Cから供給部Dまで冷菓10を移送する第1移送体24と、供給部Dで包装部Pに冷菓10を供給する第2移送体28とにより構成したが、それらを1基の移送体としたり、あるいは3基以上の移送体で冷菓10を順次受け渡して行なう構成を採用し得る。
(8) クランパ22,26を開閉する具体的機構は、実施例の形態に限らず各種の開閉機構を採用することができる。また、各移送体24,28に配設される全てのクランパ22,26を一括して開閉する形態に代えて、各クランパ22,26を個々に作動する駆動手段を配設するようにしてもよい。
(9) 実施例では、第1移送体24から第2移送体28への冷菓10の受け渡しに際し、退避位置Gにおいて開放している第2クランパ26の間にスティック10bが臨むように第1クランパ22を退避位置Gに後退するよう構成したが、第2クランパ26を開放状態のまま中間位置Fに前進し得るよう構成することで、中間位置Fにおいて第1クランパ22から第2クランパ26への冷菓10の受け渡しを行ない、その後第2クランパ26を袋充填位置Bまで前進した後に第1クランパ22を中間位置Fに臨ませたまま第1移送体24を横移動することができる。
(10) 実施例では、凍結した冷菓本体10aに1本のスティック10bが挿入してある形態の冷菓10を例示したが、その種類には、例えばスティックが2本差してあるもの等、多種多様な大きさ、形状のものがあり、第1および第2クランパ22,26や挟持部材14は、何れも冷菓10の種類に応じてスティック10bを挟持可能なものを用いるようにすればよい。
(11) 移送手段18,20における具体的構成その他の機構については、実施例のものに限られるものではなく、公知の各種形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 冷菓,10a 冷菓本体,10b スティック,12 搬送装置
22 第1クランパ(クランパ),24 第1移送体(移送体)
26 第2クランパ(クランパ),28 第2移送体(移送体),A 引継ぎ位置
B 袋充填位置,P 包装部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷菓製造機のモールドから取り出した冷菓(10)を、その冷菓本体(10a)から突出したスティック(10b)を挟持して吊り下げ搬送する搬送装置(12)における引継ぎ位置(A)で受け継ぎ、該搬送装置(12)の外側に並設された包装部(P)に供給する方法であって、
前記搬送装置(12)で吊り下げ搬送される複数の冷菓(10)を、前記引継ぎ位置(A)においてクランパ(22、26)でスティック(10b)を挟持して受け継ぎ、
該クランパ(22,26)で吊り下げ保持した冷菓(10)を、前記包装部(P)の上方位置まで移送するようにした
ことを特徴とする冷菓の供給方法。
【請求項2】
冷菓製造機のモールドから取り出した冷菓(10)を、その冷菓本体(10a)から突出したスティック(10b)を挟持して吊り下げ搬送する搬送装置(12)における引継ぎ位置(A)で受け継ぎ、該搬送装置(12)の外側に並設された包装部(P)に供給する装置であって、
前記搬送装置(12)より外方の袋充填位置(B)において所定間隔毎に整列して配置された包装部(P)と、
前記搬送装置(12)の間欠搬送停止時に、前記引継ぎ位置(A)において複数の冷菓(10)におけるスティック(10b)を挟持して受け継ぐ複数のクランパ(22,26)を備えた移送体(24,28)と、
該移送体(24,28)を前記引継ぎ位置(A)と前記袋充填位置(B)との間で横移動可能に配設した移送手段(18,20)とを備え、
前記移送体(24,28)は、前記袋充填位置(B)に至った際に該位置(B)で整列した複数の包装部(P)の並び方向に移動し、各包装部(P)の上方に所定数おき毎にクランパ(22,26)で保持した冷菓(10)を臨ませるよう構成した
ことを特徴とする冷菓の供給装置。
【請求項3】
前記移送体(24,28)は、前記搬送装置(12)における搬送方向と交差する一行の冷菓(10)を、前記引継ぎ位置(A)で受け取り得る複数のクランパ(22,26)を備え、前記袋充填位置(B)における移送体(24,28)の横移動により各包装部(P)の上方に臨んだクランパ(22,26)を開放して複数の包装部(P)の夫々に各冷菓(10)を供給するよう構成した請求項2記載の冷菓の供給装置。
【請求項4】
前記搬送装置(12)は、その間欠搬送停止時に搬送装置(12)で挟持した一行の冷菓(10)を下降するよう構成され、その冷菓(10)を下降した位置を前記引継ぎ位置(A)に設定すると共に、前記移送手段(18,20)を該引継ぎ位置(A)を挟む一方と他方との夫々に配設し、引継ぎ位置(A)において前記一方と他方の移送手段(18,20)における各移送体(24,28)にて前記一行の冷菓(10)を交互に受け取り、前記袋充填位置(B)に向けて移送するよう構成した請求項2または3記載の冷菓の供給装置。
【請求項5】
前記移送手段(18,20)は、前記引継ぎ位置(A)で冷菓(10)を受け取る第1移送体(24)と、該第1移送体(24)から冷菓(10)を受け取り、該冷菓(10)を前記袋充填位置(B)まで移送する第2移送体(28)とを備え、該第2移送体(28)は袋充填位置(B)において横移動して該移送体(28)に設けた複数のクランパ(26)の内、所定数おきのクランパ(26)を同時に開放して袋充填位置(B)に整列配置した複数の包装部(P)へ冷菓(10)を同時供給するよう構成した請求項2〜4の何れか一項に記載の冷菓の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−97904(P2011−97904A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256448(P2009−256448)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】