説明

冷蔵庫

【課題】ミストを発生する静電霧化装置を備えた冷蔵庫において、水が補給されずミストが発生されなくなっても、食品の鮮度保持や殺菌などに有効なマイナスイオンを発生することができる。
【解決手段】静電霧化装置9に負の電圧が印加されることによってマイナスイオンを発生するイオン発生導電体33を設けて、ミスト放出部23およびイオン発生導電体33に対し、一の電源装置によって負の電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化装置で発生したミストを貯蔵室に供給する構成とした冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫において、ミスト発生装置(超音波式霧化装置或いは静電霧化装置)を、貯蔵室のうちの野菜室に設けて、そのミスト発生装置から発生したミストを野菜室に供給することにより、野菜の鮮度保持を行う構成が考えられている(例えば、特許文献1参照)。また、このようなミスト発生装置を、殺菌や脱臭に利用したり(例えば、特許文献2参照)することも考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4179398号公報
【特許文献2】特開2003−79714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ミスト発生装置として超音波式の霧化装置を用いたものでは、ミストの粒径が大きく、ミスト発生装置の貯留水の中に含まれた汚れの成分もミストとして飛ばされてしまい、それが貯蔵室へ供給されてしまうおそれがある。
一方、静電霧化装置を用いたものでは、ミストの粒径を細かくできる(例えば数nm〜数十nmレベル)。このため、ミスト発生装置の貯留水の中に含まれた汚れの成分がミストとして飛ばされることを防止できるので、静電霧化装置を用いることが好ましい。
【0005】
特許文献1では、静電霧化装置を用いているが、霧化させるための水として、霧化電極を野菜室の露点以下に冷やすことによって当該霧化電極に結露する結露水を利用したり、或は、冷却器を除霜する際に生ずる除霜水を利用したりしている。しかし、結露水や除霜水を霧化のために利用する構成では、適当な水量を安定して得ることが難しい。
【0006】
霧化させるための水を安定して得るには、やはり、ユーザによって水が定期的に補給される貯水部を設け、この貯水部からミスト発生装置に自動的に水が供給されるように構成することが好ましいが、半面、ユーザが貯水部への水の補給を忘れると、貯水部が空になり、その結果、ミストを発生させることができずに野菜の鮮度保持ができなくなってしまうという問題を生ずる。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、貯水部を有する静電霧化装置を備えた冷蔵庫において、貯水部への水の補給がなされず、静電霧化装置がミストを発生しなくなっても、静電霧化装置から食品の鮮度保持に有効なマイナスイオンを発生させることができる冷蔵庫を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、貯水部および当該貯水部から水分が供給されかつ負の電圧が印加されることによってミストを放出するミスト放出部を有した静電霧化装置を備え、前記静電霧化装置に、負の電圧が印加されることによってマイナスイオンを発生するイオン発生導電体を設けて、前記ミスト放出部および前記イオン発生導電体に一の電源装置から負の電圧を印加し、前記ミスト放出部が放出するミストおよび前記イオン発生導電体が発生するマイナスイオンを前記貯蔵室に供給する構成を採用した。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を採用した本発明によれば、貯水部に水分があるときには、ミスト放出部からミストを放出することができる。ユーザが貯水部への水の補給を忘れるなどして貯水部に水分がなくなると、ミスト放出部からミストが放出されなくなる。しかしながら、イオン発生導電体からは依然としてマイナスイオンが放出され、このマイナスイオンによって食品の鮮度保持が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すもので、図3のI−I線に沿って切断して示す要部の縦断面図
【図2】図3とは異なる位置で切断して示す静電霧化装置部分の縦断側面図
【図3】静電霧化装置設置部分の縦断側面図
【図4】冷蔵庫全体の縦断側面図
【図5】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図6】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図7】本発明の第4の実施形態を示す図1相当図
【図8】本発明の第5の実施形態を示す図1相当図
【図9】本発明の第6の実施形態を示す図1相当図
【図10】本発明の第7の実施形態を示す図1相当図
【図11】本発明の第8の実施形態を示すもので、(a)は要部の底面図、(b)は要部の縦断面図
【図12】本発明の第9の実施形態を示す図11(a),(b)相当図
【図13】本発明の第10の実施形態を示す図11(a),(b)相当図
【図14】本発明の第11の実施形態を示す図1相当図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1から図4を参照して説明する。まず、図4において、冷蔵庫本体1の断熱箱体2は、外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して形成されている。この断熱箱体2の内部には、上方から冷蔵室3、野菜室4、そして製氷室5と小冷凍室(図示せず)を左右に並設し、最下部に冷凍室6を配設している。このうち、冷蔵室3および野菜室4は、庫内温度が例えば1〜4℃に制御される冷蔵温度空間であり、どちらも冷蔵温度帯の貯蔵室を構成する。これら冷蔵室3および野菜室4は、同じ冷蔵温度帯の貯蔵室であることから、合成樹脂により形成された仕切板7によって上下に区画されている。他の貯蔵室の製氷室5、小冷凍室および冷凍室6は、冷凍温度帯の貯蔵室を構成するものである。冷蔵温度帯の下部の野菜室4と、これのすぐ下に存する冷凍温度帯の製氷室5および小冷凍室との間は、断熱仕切壁8によって区画されている。なお、製氷室5の隣の小冷凍室は、使用者によって設定温度を切り替えることが可能な温度切替室としてもよい。
【0012】
各貯蔵室(冷蔵室3、野菜室4、製氷室5、小冷凍室、冷凍室6)の前面は開口されており、その前面開口は、冷蔵室3については、横開き式の回動可能な扉3aによって開閉され、他の野菜室4、製氷室5、小冷凍室および冷凍室6については、それぞれ引き出し式の扉4a,5a,6aによって開閉されるようになっている。なお、各貯蔵室には、対応する扉3a,4a,5a,6aの開閉を検出する扉スイッチ(図示せず)が設けられている。
【0013】
冷蔵室3と野菜室4との間を仕切る前記仕切板7の前部分に、静電霧化装置9が着脱可能に設置されており、以下、この静電霧化装置9の構成について、図1〜図3をも参照して説明する。静電霧化装置9は、仕切板7の前部分において、左右方向のほぼ中央部に配置されている。この静電霧化装置9の設置のために、仕切板7の下面にベース板10が取り付けられ、このベース板10に静電霧化装置9の霧化ユニット11を収容するためのユニット収容部12が設けられている。仕切板7には、霧化ユニット11を出し入れするための開口部13が形成され、その開口部13を開閉する蓋14が前後方向にスライド可能に設けられている。
【0014】
静電霧化装置9の霧化ユニット11は、水Wを貯留する貯水タンク15(貯水部に相当)と、この貯水タンク15の上部に組み付けられた上部ケース(主ケース)16と、この上部ケース16を上方から覆うユニット蓋(蓋体)17とを有している。そのうち、ユニット蓋17には、貯水タンク15に注水するための筒状の注水口18が形成され、その注水口18の上端には、着脱可能なキャップ(栓部材)19が設けられている。
【0015】
上部ケース16には、シート状の導電性保水材20と、保水材21と、吸水ピン22と、複数本のミスト放出部23が設けられている。このうち、導電性保水材20は、例えば、ポリエステル繊維と、導電性物質としてのカーボン繊維を混ぜてフェルト状(不織布状)に形成したもので、保水性と、水分の吸い上げ性と、導電性を有していて、上部ケース16内の上部に配置されている。
【0016】
保水材21は、例えばウレタンスポンジからなり、保水性および水分の吸い上げ性に優れていて、上面が導電性保水材20の下面に接触する状態で配置されている。保水材21は、導電性保水材20よりも厚く形成されている。
これら導電性保水材20および保水材21は、導電性保水材20を保水材21の上に重ねた状態で上部ケース16とユニット蓋17との間に充填されている。
吸水ピン22は、例えば、ポリエステル繊維を撚り合せてピン状に形成したもので、保水性と、水分の吸い上げ性に優れている。この吸水ピン22は、上端部が前記保水材21を貫通して導電性保水材20に接触している。また、吸水ピン22の下端部は、上部ケース16の筒部16aを通して貯水タンク15内の水Wの中に浸漬された状態となっている。
【0017】
ミスト放出部23は、例えば、ポリエステル繊維と、導電性物質としてのカーボン繊維を混ぜて撚り合せて先端部が先細の棒状に形成したもので、吸水ピン22と同様に保水性および水分の吸い上げ性を有するとともに、導電性保水材20と同様に導電性を有している。各ミスト放出部23には、白金ナノコロイドを担持させている。白金ナノコロイドは、例えば、当該白金ナノコロイドを含む処理液にミスト放出部23を浸漬して、これを焼成することによって担持させることができる。これら各ミスト放出部23は、上部ケース16の底面部に貫通状態にして取り付けられ、上端部が導電性保水材20に接触している。
【0018】
また、各ミスト放出部23の先細状をなす下端部は、上部ケース16の下方へ垂下する状態で突出している。上部ケース16の下部には、それらミスト放出部23を覆うように放出部カバー24が着脱可能に設けられている。その放出部カバー24には、ミスト放出部23の下方に位置するミスト出口25が形成されている。ベース板10には、そのミスト出口25の後方に位置させて、ミスト供給口26が形成されている。ミスト供給口26は、霧化ユニット11のミスト出口25に連通し、かつ野菜室4内の上部とも連通している。従って、前記ミスト放出部23からミストが放出されると、そのミストは、図3に矢印Aで示すように、ミスト出口25からミスト供給口26を通して野菜室4内に供給されるようになっている。
【0019】
ここで、吸水ピン22は、貯水タンク15内の水Wを吸い上げて保水材21および導電性保水材20に供給する。保水材21および導電性保水材20は、吸水ピン22から供給された水を保持するとともに、その水をミスト放出部23に供給する。この場合、吸水ピン22、保水材21、導電性保水材20は、貯水タンク15内の水をミスト放出部23へ水分を供給する給水部を構成すると共に、ミスト放出部23へ供給するための水を溜めておく貯水部としての機能も有する。
【0020】
貯水タンク15に水を補給したり、ミスト放出部23を掃除したりするために、霧化ユニット11をユニット収容部12から取り出す際には、図3に矢印B1で示すように、手前にスライドさせた後、霧化ユニット11を持ち上げて開口部13から取り出すようにする。また、貯水タンク15に水を補給したり、ミスト放出部23を掃除したりした後に、霧化ユニット11をユニット収容部12にセットする際には、前記蓋14を後方に押して開口部13を開放させた状態で、図3に矢印B2で示すように、開口部13からユニット収容部12内に挿入した後、後方へスライドさせることによって正規のセット位置にセットする。
【0021】
霧化ユニット11には、図2に示すように、受電ピン27が後方へ向けて突出するように設けられている。霧化ユニット11をユニット収容部12内の正規の位置にセットすると、受電ピン27の先端部が、ベース板10側に設けられたコネクタ28に挿入接続される。このコネクタ28は、図3に示す電源装置29が有する高電圧トランス(図示せず)の二次側の一端に接続されている。
【0022】
受電ピン27の基端部には、電源用電極30が接続されている。電源用電極30の先端部は、図1に示すように、上部ケース16内の保水材21の中を通る上向きの筒状の押え部材31内に下方から挿入されている。電源用電極30の先端(上端)には、押え部材31より径大な円形の導電板32が設けられている。この導電板32は、押え部材31によって導電性保水材20に押圧されて電気的に接続された状態になっている。
【0023】
電源装置29は、電源用電極30に負の高電圧をパルス状に印加するようになっており、電源用電極30に印加された負の高電圧は、導電性保水材20を介して各ミスト放出部23に印加される。負の高電圧が各ミスト放出部23に印加されると、各ミスト放出部23の上部ケース16から下方に突出する部分において、自然放電現象によりイオン風が発生し、このイオン風により表面の水分が分裂して微細なミスト(例えば数nm〜数十nmレベル)として放出されるようになる。本実形態の静電霧化装置9では、ミスト放出部23に対する対極を、当該ミスト放出部23の近傍に設置してはいない。但し、本発明は、ミスト放出部23に対する対極を近傍に設置することを否定するものではない。
【0024】
霧化ユニット11には、ミスト放出部23の他に、同様に野菜(食品)の鮮度保持などのために、マイナスイオンを発生するイオン発生導電体33が設けられている。このイオン発生導電体33は、放出部カバー24内に配設され、基端部が電源用電極30の途中部分に接続されている。従って、イオン発生導電体33は、ミスト放出部23と同一の電源装置29によって負の高電圧が印加されるようになっている。このイオン発生導電体33の先端部は、先細りの針形状に形成されており、負の高電圧が印加されると、放電が起こり、放出部カバー24内においてマイナスイオンを発生する。本実施形態の場合、イオン発生導電体33に対する対極を、当該イオン発生導電体33の近傍に設けてはいないが、対極を近傍に設けても良い。
【0025】
前記野菜室4内には、図4に示すように、下部容器34と、この下部容器34の上部に配置された上部容器35とが設けられている。上部容器35は、下部容器34よりも前後方向の長さが小さく形成されていて、下部容器34の後部側に配置されている。上部容器35の前端部が、前記ベース板10の前記ミスト供給口26の下方に位置するようになっている。そして、この状態で、ミスト供給口26から野菜室4内へミストおよびマイナスイオンが放出されると、そのミストは下部容器34と上部容器35の両方に供給されるようになる。
【0026】
冷蔵庫本体1の背部には、マイクロコンピュータを含む制御装置(制御手段)が設けられている。この制御装置は、冷凍サイクルのコンプレッサや静電霧化装置9の電源装置29など、冷蔵庫本体1の全体の動作を制御する機能を有している。制御装置は、特に、静電霧化装置9の電源装置29に対しては、各貯蔵室の扉スイッチが扉の閉鎖を検出し、かつ、霧化ユニット11のユニット収容部12へのセット状態を検出する検出スイッチ(図示せず)がセットを検出し、更に、ユニット収容部12の蓋14が開口部13を閉鎖したことを検出する蓋スイッチ(図示せず)が閉鎖を検出した状態で駆動を許容するが、いずれかの貯蔵室の扉が開放されたり、或いは霧化ユニット11がセットされてなかったり、蓋14が開放されたりした場合には、駆動停止するように構成されている。
【0027】
上記構成の作用を説明する。貯水タンク15内に水が貯留された状態で霧化ユニット11がユニット収容部12内にセットされ、ユニット収容部12の蓋14が閉鎖され、かつ、各貯蔵室の扉が閉鎖されると、電源装置29が駆動される。電源装置29が駆動されると、電源用電極30および導電性保水材20を介して各ミスト放出部23に負の高電圧が印加されるとともに、イオン発生導電体33に負の高電圧が印加される。すると、各ミスト放出部23の下部位から微細なミストが放出部カバー24内に放出される。また、イオン発生導電体33の特に先細り形状の先端部から放電が起き、放出部カバー24内にマイナスイオンが発生する。
【0028】
放出部カバー24内において発生した上記のミストおよびマイナスイオンは、ミスト出口25からミスト供給口26を通じて野菜室4の上部容器35および下部容器34内に供給される。そのミストは強い酸化作用を有するヒドロキシラジカルを含んでいて、そのヒドロキシラジカルを含む微細なミストが野菜室4の上部容器35および下部容器34内に供給されることで、それらの除菌や脱臭が可能になる。また、そのミストにより、それら上部容器35および下部容器34内に収容された野菜等の鮮度保持等も期待できる。一方、マイナスイオンは、鮮度保持、除菌や脱臭が可能である。
【0029】
ところで、霧化ユニット11において、その貯水タンク15内の水は、ミスト放出部23からのミストの放出などによって次第に減少する。このため、貯水タンク15に対しては、定期的に給水を行う必要がある。この給水を忘れると、貯水タンク15内の水がなくなり、やがては、保水材21或は導電性保水材20に吸い上げられていた水分もなくなってくる。すると、電源用電極30から導電性保水材20を介してミスト放出部23に負の高電圧が印加された状態になっていても、当該ミスト放出部23からミストが放出されなくなる。
しかしながら、本実施形態では、イオン発生導電体33からは依然として放電が継続され、マイナスイオンが発生され続ける。このため、マイナスイオンによる鮮度保持効果、殺菌および脱臭効果が継続される。
【0030】
このように本実施形態によれば、ミスト放出部23とイオン発生導電体33に対し、一つの電源装置29によって負の高電圧を印加しているので、貯水タンク15内の水がなくなり、ミスト放出部23からミストが放出されなくなっても、イオン発生導電体33が発生するマイナスイオンを野菜室4内に供給することができる。このため、野菜の鮮度保持、殺菌、脱臭効果を継続して得ることができる。
【0031】
また、本実施形態では、静電霧化装置9としては、特に、ミスト放出部23の対極およびイオン発生導電体33の対極を、当該ミスト放出部23およびイオン発生導電体33の近傍に設置していないため、対極を設ける場合に発生するコロナ放電がなくなり、オゾンなどの有害ガスの発生を抑えることができる。
【0032】
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。なお、この第2の実施形態以降の実施形態においては、第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明することとする。
【0033】
この第2の実施形態における静電霧化装置9では、イオン発生導電体36を、上記第1の実施形態と同様に、放出部カバー24内に設けている。このイオン発生導電体36はジグザグ状に折り曲げられている。このようなイオン発生導電体37であれば、先端部ばかりでなく、複数の折曲部分36aの角部からもマイナスイオンが発生されるので、野菜室4に供給できるマイナスイオン量が増大する。
【0034】
(第3の実施形態)
図6は本発明の第3の実施形態を示す。この第3の実施形態における静電霧化装置9では、複数個のミスト放出部23のうちのいずれか1個のミスト放出部23aの外表面に金属メッキを施し、この金属メッキをイオン発生導電体37としている。イオン発生導電体37を金属メッキにより設けたミスト発生部23aは、ミスト放出能力が低下または失われる。
この実施形態では、負の高電圧は、電源用電極30から導電性保水材20を介して印加される。このため、導電性保水材20に水分がなくなってもイオン発生導電体37に負の高電圧を印加できる。
なお、イオン発生導電体37を金属メッキにより設けるミスト放出部は、複数個でも良く、ミスト放出能力を正常に有したミスト放出部が1個でも残されていれば良い。
【0035】
(第4の実施形態)
図7は本発明の第4の実施形態を示す。この第4の実施形態における静電霧化装置9では、複数個のミスト放出部23のうちのいずれか1個のミスト放出部23aの中に、イオン発生導電体38が埋め込まれている。このミスト放出部23内のイオン発生導電体38は、その一端を導電性保水材20に接触させ、他端をミスト発生部から僅かに外方に突出させている。
このようにイオン発生導電体38をミスト放出部23aの中に通すので、ミスト放出部23aのミスト放出能力が損なわれることがない。また、イオン発生導電体38が補強材として機能するので、イオン発生導電体38が通されたミスト放出部23aの強度が向上する。
【0036】
(第5の実施形態)
図8は本発明の第5の実施形態を示す。この第5の実施形態における静電霧化装置9では、複数個のミスト放出部23の全部に、第4の実施形態のイオン発生導電体38と同様のイオン発生導電体39が埋め込まれている。
このようにイオン発生導電体39をミスト放出部23の全てに設けることにより、マイナスイオン発生量が全体として増加する。
(第6の実施形態)
図9は本発明の第6の実施形態を示す。この第6の実施形態における静電霧化装置9では、前記第4の実施形態と同様に、複数個のミスト放出部23のうちのいずれか1個のミスト放出部23aの中に、イオン発生導電体40が埋め込まれている。このミスト放出部23a内のイオン発生導電体40は、その一端を導電性保水材20に接触させ、他端をミスト発生部23aから所定の長さ以上に長く外方に突出させている。
このように、ミスト放出部23aからイオン発生導電体37を長く外方に突出させることにより、イオン発生導電体40のマイナスイオンの発生量が増加する。
【0037】
(第7の実施形態)
図10は本発明の第7の実施形態を示す。この第7の実施形態における静電霧化装置9では、前記第4の実施形態と同様に、複数個のミスト放出部23のうちのいずれか1個のミスト放出部23a内にイオン発生導電体41が埋め込まれている。このイオン発生導電体41は、一端側に接続用導電体42を有している。接続用導電体42は、例えば導電性保水材20の中を通って電源用電極30の導電板32側に向かって延長され、当該導電板32に接触している。
【0038】
このように、イオン発生導電体41が電源用電極30に直接接触していれば、電源用電極30とイオン発生導電体41との間の電気的抵抗が小さくなる。また、水が導電性を有しているので、保水材21が水を含んでいるときには、ミスト放出部23には保水材21中の水を介して負の高電圧を印加できるので、導電性保水材20を省略することが可能である。
【0039】
(第8の実施形態)
図11は本発明の第8の実施形態を示す。この第8の実施形態における静電霧化装置9では、イオン発生導電体43はミスト放出部23が設けられている部位の例えば隅角部に配設され、一端たる上端が保水材21の中を上方に延びて導電性保水材20に接し、下部が上部ケース16から下方に突出されている。このイオン発生導電体43の上部ケース16からの突出部分は、上部ケース16に設けられた筒状のガード部材44の中に収容された状態となっている。
このようにイオン発生導電体43の周囲がガード部材44によって囲まれ、先端がガード部材44の先端よりも若干奥まっていることにより、掃除などの際に、指などの人体がイオン発生導電体43の先端に触れる恐れがない。
【0040】
(第9の実施形態)
図12は本発明の第9の実施形態を示す。この第9の実施形態における静電霧化装置9では、イオン発生導電体45は、上記の第8の実施形態と同様のもので、ミスト放出部23が設けられている部位の例えば中央に配設されている。このイオン発生導電体45の上部ケース16からの突出部分は、同じく上部ケース16から突出する複数個のミスト放出部23に囲まれ、かつ、突出長さは、それら複数個のミスト放出部23の突出長さよりも短くなっている。
このようにイオン発生導電体45が複数個のミスト放出部23によって囲まれ、先端がミスト放出部23の先端よりも奥まっていれば、掃除などの際に、イオン発生導電体43の先端に触れる恐れがない。
【0041】
(第10の実施形態)
図13は本発明の第10の実施形態を示す。この第10の実施形態における静電霧化装置9は、上記の第9の実施形態の変形例に相当するもので、第9の実施形態との相違は、イオン発生導電体45を囲む複数個のミスト放出部23を、先端(下端)に向かってイオン発生導電体45に次第に近付くように傾斜させたところにある。
このように構成すれば、イオン発生導電体45に一層触れ難くなる。
【0042】
(第11の実施形態)
図14は本発明の第11の実施形態を示す。この第11の実施形態における静電霧化装置9では、ミストおよびマイナスイオンを冷蔵室3にも供給できるようにしたものである。
即ち、上部ケース16の上部に被せられるユニット蓋46の内部にも保水材47が導電性保水材20に接して収納されている。ユニット蓋46には、その上面部を貫通するようにして複数個のミスト放出部48が設けられている。そして、これらミスト放出部48の下端部は、上部ケース16のミスト放出部23との間に導電性保水材20を挟むようにして当該導電性保水材20に接触している。また、ミスト放出部48の尖端状をなす上端部は、ユニット蓋46の上方へ垂直に立ち上がる状態で突出している。
【0043】
ユニット蓋46には、イオン発生導電体49が設けられている。このイオン発生導電体49の下端は電源用電極30の導電板32に接触し、上端はユニット蓋46から上方に突出されている。
ユニット蓋46の上部には、ミスト放出部48およびイオン発生導電体49を覆う上放出部カバー50が被せられている。この上放出部カバー50には、ミスト出口51が形成されており、この上側のミスト出口51は冷蔵室3内に連通されている。
【0044】
このように構成すれば、電源用電極30に負の高電圧が印加されると、ミスト放出部23,48からミストが放出されると共に、イオン発生導電体33,49からマイナスイオンが発生される。これらミストおよびマイナスイオンは、下側のミスト出口25から野菜室4内に供給されると共に、上側のミスト出口51から冷蔵室3内に供給される。
そして、保水材21,47、導電性保水材20に水分がなくなると、ミストは発生されなくなるが、マイナスイオンは野菜室4および冷蔵室3内に供給される。
【0045】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記しかつ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或は変更が可能である。
貯水タンク15はなくとも良い。この場合には、水の補給は導電性保水材20と保水材21を保水状態にすることによって行う。
霧化ユニット11をユニット収納部12内に設置したままで、貯水タンク15の注水口13から水を注ぎ入れることができれば、霧化ユニット11は着脱可能とする必要はない。
導電性保水材20を導電部材に替えても良い。
図1および図14のイオン発生導電体33,49に、図11の筒状のガード部材44によって包囲する構成を適用しても良い。
イオン放出部としては、棒状のものに限られず、例えば、シート状基材に複数個の円錐状突起を形成した形態のものであっても良い。
【符号の説明】
【0046】
図面中、3は冷蔵室(冷蔵温度帯の貯蔵室)、4は野菜室(冷蔵温度帯の貯蔵室)、9は静電霧化装置、11は霧化ユニット、15は貯水タンク(貯水部)、16は上部ケース、17はユニット蓋、20は導電性保水材(貯水部)、21は保水材(貯水部)、22は吸水ピン(貯水部)、23はミスト放出部、24は放出部カバー、26はミスト供給口、27は受電ピン、29は電源装置、30は電源用電極、32は導電板、33はイオン発生導電体、33はイオン発生導電体、36〜41,43,45,48はミスト放出部、49はイオン発生導電体、44はガード部材を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵温度帯の貯蔵室を有する冷蔵庫において、
貯水部および当該貯水部から水分が供給されかつ負の電圧が印加されることによってミストを放出するミスト放出部を有した静電霧化装置を備え、
前記静電霧化装置に、負の電圧が印加されることによってマイナスイオンを発生するイオン発生導電体を設けて、前記ミスト放出部および前記イオン発生導電体に一の電源装置から負の電圧を印加し、前記ミスト放出部が放出するミストおよび前記イオン発生導電体が発生するマイナスイオンを前記貯蔵室に供給するようにしてなる冷蔵庫。
【請求項2】
前記ミスト放出部は棒状に形成され、
前記イオン発生導電体は、前記棒状のミスト放出部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記ミスト放出部に設けられた前記イオン発生導電体は、前記電源装置に接続されて前記ミスト放出部に負の電圧を印加する電源用電極に接触して設けられていることを特徴とする請求項2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯水部は保水性を有した保水材からなり、
前記電源装置に接続されて前記ミスト放出部に負の電圧を印加する電源用電極は、前記保水材に接して設けられ、
前記保水材は、少なくとも前記電源用電極に接する部分から前記ミスト放出部に接する部分までが導電性材料から構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記イオン発生導電体は、前記ミスト放出部の中を通され、先端部が前記ミスト放出部から突出していることを特徴とする1から4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記イオン発生導電体は、筒状のガード部材の中に位置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記ミスト放出部は棒状に形成され、
前記イオン発生導電体は、複数個の前記棒状のミスト放出部に囲まれていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記イオン発生導電体を囲む複数個の前記棒状のミスト放出部は、先端に向かって前記イオン発生導電体に近付くように傾いていることを特徴とする請求項7記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−12900(P2011−12900A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157794(P2009−157794)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】