説明

冷蔵庫

【課題】冷蔵室内部に冷蔵温度帯と異なる第3の温度帯を有する貯蔵室を備え、保存する収納物が異なることを利用者に視覚的に認識させる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】断熱壁で形成した冷蔵庫本体1と、上部に設けた冷蔵室2と、冷蔵室2内の下部に区画形成した貯蔵室7と、冷蔵室2内を照射する第1の照明装置30と、貯蔵室7内を照射する第2の照明装置32とを備え、貯蔵室7は冷蔵温度帯と冷凍温度帯の間の温度を設定できる第3の温度帯に設定可能で、貯蔵室7が第3の温度帯に設定され、冷蔵室の扉を開放した時に、第1の照明装置30と第2の照明装置32の両方を点灯し、第2の照明装置32は貯蔵室7の天面に配置し、光軸を鉛直下方よりも手前側に照射するように傾けて配置したので、利用者は、視覚的に認識することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷蔵庫に関するもので、庫内に光を照射する発光素子を備える冷蔵庫。
【背景技術】
【0002】
従来、図5のように、庫内に光を照射する半導体発光素を備えている冷蔵庫40が知られている。例えば、特許文献1には、冷蔵庫の野菜室62の奥の内壁に、LED(Light Emitting Diode)を有する発光装置52を備えている冷蔵庫が開示されている。
【0003】
この発光装置により、野菜室62に収納された野菜に後方から所定の波長の光が照射され、これにより、野菜室の内部を照らすとともに、例えば、収納された野菜の鮮度を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−329614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、野菜室62に収納される野菜に光を間欠照射して、野菜にストレスを与え、自己防衛機能を刺激し、ポリフェノールなどの栄養分を増加させて、保鮮性をアップさせるための食品品質の保鮮、栄養UPの付加機能として照射手段を使用するものであり、特に冷蔵室60内に設置された冷蔵室照明装置(図示しない)とは別に、冷蔵室内にあり、冷蔵温度帯とは異なる第3の温度帯室(冷凍温度と冷蔵温度との間の温度帯を有する室)である内蔵の切替室を有する冷蔵庫で、この切替室を専用に照射する照明機能としての照射手段を備え、切替室の視認性を高めるという課題については開示されていない。
【0006】
また、切替室は第3の温度帯室とチルド室とに切替が可能な区画である。例えば、第3温度帯室は約−3℃の微凍結温度帯であり、冷蔵室60よりも肉や魚を美味しく長持ちさせることが可能な室である。一方、チルド室は冷蔵室2よりも低く、約1℃の温度帯を有し、ヨーグルトや生クリームなどの乳製品、かまぼこなどの練り製品、漬物などを保存するのに適している。
【0007】
特に、冷蔵室空間の一部に第3の温度帯に切り替え可能な切替室を形成していることから、切替室は冷蔵室内で断熱区画されるため、冷蔵室を照明する冷蔵室照明手段は第3の温度帯室内に光を透過できず、視認性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、冷蔵室内に第3の温度帯室を有する冷蔵庫で、冷蔵室用の第1の照明手段とは別に第3の温度帯室用の第2の照明手段を備え、冷蔵室とは温度帯が異なる第3の温度帯室が冷蔵室内の空間に形成されていて、保存する収納物が異なることを利用者に視覚的に認識させる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、断熱壁で形成した冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の上部に設けた冷蔵室と、前記冷蔵室内の下部に区画形成した貯蔵室と、前記冷蔵室内を発光素子によって照射する第1の照明装置と、前記貯蔵室内を発光素子
によって照射する第2の照明装置とを備えた冷蔵庫において、前記貯蔵室は冷蔵温度帯と冷凍温度帯の間の温度を設定できる第3の温度帯に設定可能で、前記貯蔵室が第3の温度帯に設定され、前記冷蔵室の扉を開放した時に、前記第1の照明装置と前記第2の照明装置の両方を点灯し、前記第2の照明装置は前記貯蔵室の天面に配置し、光軸を鉛直下方よりも手前側に照射するように傾けて配置したものである。
【0010】
これによって、第2の照明手段を備えたことで第3の温度帯室を照明することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の冷蔵庫は、冷蔵室内に内蔵される冷蔵温度帯とは異なる第3の温度帯室の視認性と保鮮性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1における冷蔵庫の正面図
【図2】本発明の実施形態の図1のA−A断面図
【図3】本発明の実施形態の図2の要部拡大図
【図4】本発明の実施形態の図3の斜視図
【図5】従来の冷蔵庫の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、断熱壁で形成した冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の上部に設けた冷蔵室と、前記冷蔵室内の下部に区画形成した貯蔵室と、前記冷蔵室内を発光素子によって照射する第1の照明装置と、前記貯蔵室内を発光素子によって照射する第2の照明装置とを備えた冷蔵庫において、前記貯蔵室は冷蔵温度帯と冷凍温度帯の間の温度を設定できる第3の温度帯に設定可能で、前記貯蔵室が第3の温度帯に設定され、前記冷蔵室の扉を開放した時に、前記第1の照明装置と前記第2の照明装置の両方を点灯し、前記第2の照明装置は前記貯蔵室の天面に配置し、光軸を鉛直下方よりも手前側に照射するように傾けて配置したことによって、高さ寸法が低い貯蔵室内を照射する光軸の距離を大きくとることができ、その分、光の照射幅が広がり、照射空間を大きくすることができ、手前方向に向かって照明しているので、収納ケースがある場合に、収納ケースを前方に引出しても収納ケース内を照射できるので、引出し動作時の視認性も向上する。
【0014】
第2の発明は、第1の発明にさらに、前記貯蔵室の天面には、冷却器によって熱交換された冷気を導く天面ダクトが形成され、前記天面ダクトは断熱性を有する断熱ダクト部材と前記断熱ダクト部材の外周を覆うダクトカバーで構成され、前記ダクトカバーに前記第2の照明装置は設置され、前記ダクトカバーの設置面は前記第2の照明装置が手前側に向くように傾斜面となっているものであり、手前に傾斜配置する第2の照明装置の取付け構造を構成し、取り付けバラツキを低減できる。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明にさらに、前記貯蔵室内に光を反射する反射部材を配置したことで、貯蔵室内の温度の均温化を図るとともに、第2の照明装置の光を貯蔵室内で反射させるので、収納物が多い場合でも利用者に光が届き視覚的に認識することが可能となる。
【0016】
第4の発明は、第1から第3のいずれか1つの発明にさらに、前記第1の照明装置と前記第2の照明装置は、可視光線領域内の波長を発光する発光素子を備えた照明装置であり、前記第2の照明装置の発光素子は400nm〜500nmの範囲内に中心波長を有する発光素子であり、この範囲の波長を有する発光素子にすることによって、冷蔵室温度帯よりは低温空間であることを印象付けることができ、視認性を高めることができる。
【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の形態に係る冷蔵庫1について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態に係る冷蔵庫を模式的に表した冷蔵庫の正面図を示したものであり、図2は、図1のA−A断面図を示したものである。
【0019】
図1に示すように、実施の形態に係る冷蔵庫1は、上段、中段及び下段の5つに区画された貯蔵室を備える。具体的には、上段の貯蔵室は冷蔵室2であり、下方に引き出しドアを備える冷凍室3と、それと並列に引き出しドアを備える製氷室5があり、最下部に配置される引き出しドアを備えた野菜室6と、製氷室5と野菜室6の間に配置した冷凍室4とから構成される。
【0020】
冷蔵室2の下方に位置し、冷蔵室2と、横並びの製氷室5と冷凍室3と、を上下に断熱区画する断熱区画壁11cを形成している。
【0021】
また図2に示すように、外箱12と内箱13の間に充填された断熱壁11bで形成した冷蔵庫1は、上部に設けた冷蔵室2内の下部に貯蔵室7を区画形成している。貯蔵室7は、実施例の場合は切替室として構成され、0℃以上の冷蔵温度帯と、約−6℃以下の冷凍温度帯との間の温度帯となる約−3℃の第3の温度帯に設定可能な切替室7である。
【0022】
また冷凍室4の背面後方には、冷却室14が形成され、内部に冷蔵庫を冷却する冷却サイクルに接続された冷却器22を配置し、さらに冷却器22で熱交換された冷気を強制循環させるファン25が配置している。
【0023】
ファン25の上方には冷蔵室2と切替室7に流入する冷気を分配するダンパ装置17が配置している。
【0024】
各貯蔵室において、冷蔵室2の庫内温度は約2〜3℃であり、野菜室6の庫内温度は約2〜5℃であり、冷凍室3、4の庫内温度は約−18〜−20℃と温度帯を分けて使用可能である。それにより、食品の保存に適した温度帯を選択肢し、食品を貯蔵することによって、より高い保鮮性と長期保存を実現することができる。
【0025】
また冷蔵室2内には上下段に区画した複数の棚板100が配置され、棚板100よりも手前に冷蔵室2内を照明する第1の照明装置30が配置し、第1の照明装置30は内箱13を外箱12側に部分的に凹ませて埋設している。また第1の照明装置30は複数の棚板100に跨って上下方向に延在して配置している。
【0026】
第1の照明装置30は、可視光線領域内の波長を発光する発光ダイオードを複数個実装した実装基板(図示しない)と、この実装基板を覆う透明樹脂性カバーとで構成されている。具体的には白色に発光する発光素子のLEDを使用している。
【0027】
また冷蔵室2の背面に形成され、ダンパ装置17から分配された冷蔵室へ循環する冷気が通る冷蔵室ダクト18が形成され、冷蔵室ダクト18内で、最上部の棚板100よりも上部の位置に第1の補助照明装置31が配置されている。第1の補助照明装置31と対面する冷蔵室ダクト18の一部分は光透過性部材で構成され、光透過性部材を照射することで間接的に冷蔵室2内を照明する構成となっている。
【0028】
また第1の補助照明装置31の近傍に光触媒を配置することで、冷蔵室ダクト18内を流れる冷気に含まれる菌を除菌する作用を有し、冷蔵室2内に吐出される冷気を吐出口の
手前で除菌することができる。
【0029】
次に切替室7の構成について説明する。
【0030】
切替室7は、その上面が冷蔵室2の最下段に位置する棚板としても利用できる合成樹脂製の上面カバー101と、上面カバー101の下方に、前後方向に引き出し可能に収容された合成樹脂製の収納ケース34と、切替室7の上面カバー101の前面開口部に開閉自在に設けられた蓋体102で構成されている。
【0031】
収納ケース34の後方には、ダンパ装置17で分配された冷気を切替室7に導く切替室背面ダクト103が形成され、切替室7の天面には切替室天面ダクト33が配置し、切替室背面ダクト103の下流側に接続されている。
【0032】
切替室天面ダクト33は、断熱性を有する発泡断熱部材で形成された断熱ダクト部材33aと、その外周を覆う化粧板となる樹脂性のダクトカバー33bとで構成されている。
【0033】
ダクトカバー33bの一部分には傾斜面が形成されている。
【0034】
切替室天面ダクト33は上面カバー101とともにダクトを構成し、収納ケース34の上面部となる位置に切替室7内へ冷気を吐出する吐出口35が形成されている。
【0035】
また切替室7内には室内を照射する第2の照明装置32が備えられている。第2の照明装置は、切替室天面ダクト33のダクトカバー33bの傾斜面部に配置されている。
【0036】
第2の照明装置32も、第1の照明装置30と同様に、可視光線領域内の波長を発光する発光ダイオードを実装した実装基板と、この実装基板を覆う透明樹脂性カバーとで構成されている。発光ダイオードは中心波長が400〜500nmで、実施例の場合は発光素子として青色LEDを取り付けている。また切替室7は冷蔵室2と比較して空間容量が小さいので、第2の照明装置32の青色LEDは第1の照明装置のLEDよりも取り付けている個数は少なくなっている。
【0037】
そして第2の照明装置32の実装基板をダクトカバー33bの一部分に形成した傾斜面に対面させて設置しており、この傾斜面の傾斜角度によって第2の照明装置32の青色LEDの光軸が特定されるようになっている。
【0038】
また第2の照明装置32は切替室7の天面上部から前方に向かって照射するように配置され、具体的には、第2の照明装置32の光軸は収納ケース34の蓋体102に向かって照射するように鉛直下方よりも前方に照射するように配置している。
【0039】
また収納ケース34の底面には、第2の照明装置32の光を反射させる反射部材104が備えられている。反射部材104は実施例の場合、アルミ板である。
【0040】
また収納ケース34を構成する後面壁34aは少なくとも光透過性部材で形成されており、引出し時の取っ手となる前面壁34bの上部に位置する開閉自在に設けられた蓋体102も光透過性部材で形成されている。
【0041】
また後面壁34aの表面は凹凸形状がなく、透明な平面形状で構成され、蓋体102は凹凸形状を有している。
【0042】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下の動作、作用を説明する。
【0043】
冷蔵室扉2aの表面に配置された庫内温度設定操作部105を操作して切替室7を第3の温度帯(以降、第3の温度帯室という)室に設定し、冷蔵室扉2aを開放すると、冷蔵室2内を照明する第1の照明装置30が点灯し、同時に第3の温度帯室7を照明する第2の照明装置32が点灯する。冷蔵室扉2aを閉じると第1の照明装置30と第2の照明装置32は消灯する。
【0044】
第1の照明装置30は白色LEDによって冷蔵室2の各棚板100に載置された収納物を前から照明し、第2の照明装置32は青色LEDによって第3の温度帯室7内に収納された収納物を上方から前方に向かって照明している。利用者が冷蔵庫1の前に立って冷蔵室扉2aを開放したとき、一般的に目線の高さ位置には各棚板100があり、目線よりも低い位置に切替室7が配置している。
【0045】
このため、第1の照明装置30は棚板100の前方から後方に向かって照射するほうが、発光する光の光軸が目に入るのを防止し、まぶしさを低減できる。また第2の照明装置32は低い位置にあるので上方から前方に向かって照射しても、直接光が目に入ることはなく、また目線よりも低い位置に切替室7があり、上面カバー101も冷蔵室2空間と断熱されることから上面カバー101を通して切替室7内を見ることはできず、上側から手前に照射することで切替室7が第3の温度帯室に設定されていることを視認的に高めることができる。
【0046】
また第2の照明装置32を構成する青色LEDを実装した実装基板をダクトカバー33bに設けた傾斜面部に沿って対面させて設置することで、青色LEDの光軸の照射方向が前方下向きに特定される。またダクトカバー33bに第2の照明装置32を固定した後に冷蔵庫に組み付けることができるので作業性を向上することができる。
【0047】
さらに収納ケース34の底面には反射部材であるアルミ板104を配置することで、第2の照明装置32の光をアルミ板104によって反射させることができ、収納ケース34内に収納物が多く収納されていても視認性を確保することができる。さらにアルミ板104に凹凸形状を施せば、反射と拡散作用によって、より視認性を高めることができる。
【0048】
また蓋体102に凹凸形状を設けることで、蓋体102の面方向への拡散を行うことができ、利用者が切替室7を見たときに前面となる蓋体102が局部的に青色に照射されているのを低減し、蓋体102の面全体が青色に拡散されて視認することができるので、第3の温度帯に設定され、冷蔵室2の温度帯とは異なることをアピールすることができる。
【0049】
また収納ケース34が前方手前に引出された場合でも、第2の照明装置32は上方から前方に照射するので、収納ケース34が引出された状態でも収納ケース34内を照射することができる。このため切替室7が第3の温度帯室に設定されている場合は、冷蔵室扉2aの開放から、収納ケース34が前方に引出され収納物の出し入れを行い、収納ケース34を後方の所定位置に戻し、冷蔵室扉2aを閉じるまで、収納ケース34内を連続して照射し、収納ケース34内に光を透過させるので、利用者が途中で目を放しても、利用者の目に入る方向に収納ケース34内を照射しているので視認性を継続して維持することができる。
【0050】
本実施の形態においては、冷蔵室内蔵の切替室7と第2照明装置32は、その切替室7の設置位置から、冷蔵庫の使用者が貯蔵室の扉を開けた場合に、発光装置からの光が目に入り、不快なまぶしさを感じる可能性を低減させる。
【0051】
また、本実施の形態においては、切替室7内に一個の半導体発光素子を光源とする照明
装置32によって、切替室7が引き出された状態において収納容器34の内低部の両側辺部および前後辺部まで、収納容器34内部の照明すべき領域への照明を充分行うことができるため、切替室7に収納された食品の視認性を高め使い勝手のよい冷蔵庫1を得ることができるだけでなく、照明装置32は一個の半導体発光素子を光源としているため、発光時の発熱量を抑えて冷凍効率を向上することができるとともに、安価に製造することができる。
【0052】
また、直進性の高い第2の照明装置32に加えて、側面壁を透過しない反射性の高い白色の合成樹脂材料を使った収納ケース34により、切替室7内に照明の光を反射させることができる。それにより切替室7内の隅の汚れなどを見えやすくし、切替室7の奥の方に入っている収納物が何であるのかを見えやすくすることも可能である。これによって、収納物の使い忘れや、それによって腐敗している状態を確認することが可能となる。
【0053】
また冷蔵室2と断熱するために切替室7の側面壁は光透過しない白色の合成樹脂材料で形成しているので、側面壁を断熱性側面壁とすることが可能となり、側面壁の結露を防止することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、切替室7天面に断熱材を設けることにより、切替室7の照明の光が冷蔵室2内に散乱され、漏れ光を抑制して、効率的に切替室7のみを照らすことができる。
【0055】
これにより、収納ケース34内を万遍なく照射することが可能であり、使用者が冷蔵庫1の食品などの保存物を見渡しやすくなり、食品を素早く出し入れできることで、扉開放による冷気の漏れを抑制することも可能となり、食品の劣化を抑制する、保鮮性の向上だけでなく、省エネ効果も得られる。
【0056】
また庫内温度設定操作部105によって、切替室7が、第3の温度帯以外の温度、例えばチルド設定にされた場合、チルド設定は0℃以上の温度帯であるため、冷蔵室扉2aを開放したときは、第1の照明装置30は点灯するが、第2の照明装置32は消灯し、視認的に切替室7が冷蔵温度帯のチルド設定に設定されていることを利用者に啓蒙することができる。
【0057】
また、本実施の形態においては、視覚的にわかりやすく貯蔵室内の環境を使用者に知らせる報知機能を有する光源を備えたことによって、冷蔵庫使用者が切替室7に保存している食品などを出し入れする際に、前記切替室7が第3の温度帯またはチルド温度帯のどちらに設定されているか、前記発光ユニットに通電し、前記発光素子を点灯させるので、庫内の温度環境を報知用の光源点灯の有無によって、冷蔵庫使用者に対して視覚的に認識させることが可能であり、切替室内の温度上昇を未然に防止する、保存性能を高めるなどの効果が得られるものであり、より使い勝手の良い冷蔵庫1を提供することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、第2の照明装置32に可視領域の色彩の照明光を用いることにより、視覚的にわかりやすく貯蔵室内の環境を使用者に知らせる報知機能を備える。さらに人体や樹脂劣化などの懸念される悪影響が払拭される為、非常に汎用性が向上する。
【0059】
また、400nmから500nmの範囲内の波長である青色光は静的・冷たい・沈静などの傾向が見られ、冷涼感を感じられる照明が設置された区画に、魚・肉類などの生鮮食品を保存することによって、より保鮮性の高い空間であると印象付けることができる。
【0060】
また、本実施の形態においては、第2の照明装置32の青色の照明光と、第2の照明装
置32の近傍で、照射範囲内に可視光応答型触媒を併用して用いることにより、触媒内の成分の化学反応を促進し、酸化物質を発生させる。それにより、除菌、カビ・ウィルスの抑制を促すことができる。加えて、第2の照明32に青色の照明光と可視光応答型触媒を併用させた時の効果は脱臭性能向上をも可能にする。冷蔵庫1内を循環する冷気中の臭気成分の有機物(例えば、アンモニア、アセトアルデヒド、メチルメルカプタン、硫化水素、ホルムアルデヒドなどやエチレンなどの有機化合物分子)を触媒の吸着剤に吸着して集め、光源の光エネルギーにより、有機物を分解する能力を持たせることができる。
【0061】
また図4に示すように、実施の形態に係る冷蔵室内蔵の切替室天面ダクト33には複数の吐出口35が設けられ、また底面部には反射部材であるアルミ板104が配置しているので切替室7内への光の反射と、さらに吐出口35からの冷気をアルミ板104によって熱伝達を高め、切替室7の温度分布を均一にして、低温保鮮を良好にし,冷却効果も向上することができる。
【0062】
また、本実施の形態においては、切替室7を第3の温度帯に設定した時は、保存している食品の鮮度が均一であることを冷蔵庫使用者に対し、認識して頂く必要がある。なぜならば、冷蔵室2と比べ、生鮮食品をおいしく、鮮度を保ちながら、凍らせすぎずに保存する事がこの温度帯の用途だからである。
【0063】
例えば、お刺身や、スライス肉等、凍りすぎると困るような食品の保存の対象である。また、凍らせすぎずに保存というのは、包丁で切れる範囲の微凍結状態を指し、数日から1週間程度保存後の食品の保鮮性、安全性を冷蔵庫消費者の方に実感して頂く、指標となる。よって、切替室7内の温度分布を均一にしておくことは、食品の美味しさだけでなく、衛生面にも配慮されているのである。
【0064】
また、本実施の形態においては、切替室7を第3の温度帯に設定し、食品を微凍結状態にしておくことは、冷凍室で食品を保存するのに比べて、調理の際、解凍の手間と時間を省くことができる。ゆえに、第3の温度帯室は冷蔵庫消費者の方の生活に密着した使い勝手の良い冷蔵庫1を実現させることができる。
【0065】
また、貯蔵室7を切替室としたが、第3の温度帯のみに設定された室でもよく、この場合は、冷蔵室扉2aの開放時は常に点灯し、冷蔵温度帯ではないことを利用者に啓蒙することができる。
【0066】
また、第2の照明装置32を青色LEDとしたが、他の可視光線領域内の波長を発光するLEDを取り付けてもよく、第1の照明装置30と異なる波長のLEDであれば、視覚的に視認性を高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、冷蔵室内に第3の温度帯室(冷凍温度と冷蔵温度との間の温度)を設け、その中に照明用光源を配置することによって、冷蔵庫使用者が、冷蔵室内の切替室に保存している食品などを出し入れする際に、点灯の有無によって、庫内の温度環境を視覚的に認識させることが可能であり、また、その認識向上により、切替室の無駄な開閉が削減でき、冷蔵庫の庫内温度上昇を未然に防止する、保鮮性能を高めるなどの効果が得られるので、家庭用または業務用機器においても適用することができ、例えばショーケースやクーラーボックス、業務用冷蔵庫などの保存性の向上に対して利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 冷蔵庫
2 冷蔵室
3 冷凍室
4 冷凍室
5 製氷室
6 野菜室
7 切替室
30 第1の照明装置
32 第2の照明装置
33 切替室天面ダクト
33b ダクトカバー
34 収納ケース
34a 後面壁
34b 前面壁
35 吹出口
100 棚板
101 上面カバー
102 蓋体
103 切替室背面ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱壁で形成した冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の上部に設けた冷蔵室と、前記冷蔵室内の下部に区画形成した貯蔵室と、前記冷蔵室内を発光素子によって照射する第1の照明装置と、前記貯蔵室内を発光素子によって照射する第2の照明装置とを備えた冷蔵庫において、前記貯蔵室は冷蔵温度帯と冷凍温度帯の間の温度を設定できる第3の温度帯に設定可能で、前記貯蔵室が第3の温度帯に設定され、前記冷蔵室の扉を開放した時に、前記第1の照明装置と前記第2の照明装置の両方を点灯し、前記第2の照明装置は前記貯蔵室の天面に配置し、光軸を鉛直下方よりも手前側に照射するように傾けて配置したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室の天面には、冷却器によって熱交換された冷気を導く天面ダクトが形成され、前記天面ダクトは断熱性を有する断熱ダクト部材と前記断熱ダクト部材の外周を覆うダクトカバーで構成され、前記ダクトカバーに前記第2の照明装置は設置され、前記ダクトカバーの設置面は前記第2の照明装置が手前側に向くように傾斜面となっていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室内に光を反射する反射部材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第1の照明装置と前記第2の照明装置は、可視光線領域内の波長を発光する発光素子を備えた照明装置であり、前記第2の照明装置の発光素子は400nm〜500nmの範囲内に中心波長を有する発光素子であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−220047(P2012−220047A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83309(P2011−83309)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】