説明

冷蔵庫

【課題】信頼性の向上した回路構成を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】冷蔵庫内を冷却する冷却器2と、冷却器2へ付着した霜を溶かすための除霜用ヒータ4と、除霜用ヒータ4の温度上昇を防止するための温度ヒューズ3と、除霜用ヒータ4への通電をオン/オフするスイッチング素子19と、除霜用ヒータ4へ電源を供給する電源プラグ13と、を有し、この電源プラグのライブライン13a側へ除霜用ヒータ4とスイッチング素子19を不特定順列に直列接続し、さらに直列に温度ヒューズ3を経由してニュートラルライン13b側へ接続された回路を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開平07−085757号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、例えば感温素子と、この感温素子の両端に接続するリード線と、一端部側を密封して、前記感温素子を内装し、前記リード線を外部へ取り出す側を密封した樹脂チューブを内装すると共に、熱交換器の本体側に取り付けられる熱伝導率の良い部材からなる支持管とを具備し、前記樹脂チューブの前記リード線を外部へ取り出す側の端部を前記支持管の対応する端部より若干突出させ、前記支持管をかしめて前記支持管と前記樹脂チューブとを固定したことを特徴とする熱交換器の温度検出器と記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−085757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、熱交換器に付着した霜を除去するために除霜用ヒータが配設されており、且つ、ヒータ温度の異常上昇を防止するために感温素子として温度ヒューズ素子を熱交換器の近傍に配置している。しかし、回路上へ絶縁保護の手段を設けられていないため、温度ヒューズと外部の絶縁が保てなかった場合に信頼性が低下する。例えば、温度ヒューズ素子の絶縁保護として設けられている樹脂チューブを、温度ヒューズ素子の接続端子が作業時に貫通してしまった場合や、工程上何らかの要因により樹脂チューブに穴が開いていた場合、温度ヒューズ素子と外部の導電性を有する熱交換器間の絶縁が保てず、温度ヒューズ素子から熱交換器を通してリーク電流(漏電)が発生する。仮に温度ヒューズ素子と直列に除霜用ヒータを配置している場合は、リーク電流により常時ヒータが通電される恐れがある。
【0005】
そこで本発明は、信頼性の向上した回路構成を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、冷蔵庫内を冷却する冷却器と、該冷却器へ付着した霜を溶かすための除霜用ヒータと、該除霜用ヒータの温度上昇を防止するための感温素子と、前記除霜用ヒータへの通電をオン/オフするスイッチング素子と、前記除霜用ヒータへ電源を供給する電源プラグと、を有し、該電源プラグのライブ側へ前記除霜用ヒータと前記スイッチング素子を不特定順列に直列接続し、さらに直列に感温素子を経由して前記電源プラグのニュートラル側へ接続された回路を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信頼性の向上した回路構成を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に係る冷蔵庫の等角投影図である。
【図2】図1の冷蔵庫の断面図である。
【図3】温度ヒューズの内部構成図である。
【図4】図1の冷蔵庫の制御系の構成図である。
【図5】図4の制御系における除霜用ヒータの制御動作を示すフローチャートである。
【図6】第二の実施形態の冷蔵庫の制御系の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。各実施形態の図における同一符号は同一物又は相当物を示す。
【0010】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態の冷蔵庫を図1〜図5を用いて以下説明する。
【0011】
まず、本実施形態の冷蔵庫の概要について説明する。図1は本実施形態の冷蔵庫の等角投影図、図2は冷蔵庫の断面図を示す。
【0012】
冷蔵庫50は、冷蔵庫本体51、貯蔵室ドア52〜56、冷凍サイクル、制御系等から構成されている。冷蔵庫本体51は、鋼板製の外箱61と樹脂製の内箱62との間に可燃性のウレタン発泡断熱材63及び真空断熱材(図示せず)を有して構成され、上から冷蔵室72、製氷室73及び急冷凍室74、冷凍室75、野菜室76の順に複数の貯蔵室を有している。冷蔵室72及び野菜室76は冷蔵温度帯の貯蔵室であり、製氷室73及び急冷凍室74、冷凍室75は、0℃以下の冷凍温度帯(例えば、約−20℃〜−18℃の温度帯)の貯蔵室である。
【0013】
冷蔵庫本体51の前面には、貯蔵室72〜76の前面開口部を開閉する貯蔵室ドア52〜56が設けられている。冷蔵室ドア52は冷蔵室72の前面開口部を開閉するドア、製氷室ドア53は製氷室73の前面開口部を開閉するドア、急冷凍室ドア54は急冷凍室74の前面開口部を開閉するドア、冷凍室ドア55は冷凍室75の前面開口部を開閉するドア、野菜室ドア56は野菜室76の前面開口部を開閉するドアである。冷蔵室ドア52は観音開き式の両開きのドアで構成され、その他のドア53〜56は、引き出し式のドアによって構成されている。
【0014】
冷蔵室ドア52の前面には、表示ランプや液晶パネルで構成される表示部30が設けられている。除霜用ヒータ4は、内箱62における冷凍室75を形成する部分のウレタン発泡断熱材側に設置され、上部に冷却器2、冷却器2の内箱側に温度ヒューズ3(感温素子)を配設し、周りには可燃性のウレタン発泡断熱材63が存在する。冷蔵庫本体の天井面には、冷蔵庫の圧縮機5運転制御や庫内の温度制御を行う制御基板1が設置されている。制御基板1には、除霜用ヒータのオン/オフを制御するヒータ駆動素子が実装されている。
【0015】
温度ヒューズ3について、図3の温度ヒューズの内部構成図を用いて説明する。図中、温度ヒューズ3は過電流による発熱で切断する温度ヒューズ素子6、温度ヒューズ素子6に被覆されたリード線9,10で接続する接続部素子7,8、で内部素子11を構成し、両端開口した所定長の透明のチューブ12に対して内部素子11を挿入し、チューブ12の両端部に高周波ウェルダーによる熱溶着がされる。これによって、チューブ12は、高周波ウェルダーによって密封されウェルダー部12a,12bが形成される。
【0016】
次に、図4を参照しながら、本実施形態の冷蔵庫の制御系の構成について説明する。図4は、図1の冷蔵庫の制御系の構成図である。
【0017】
冷蔵庫の制御系は、電源フラグ13、フィルタ回路14、コンバータ回路15、スイッチング電源回路18、を備えている。なお、コンバータ回路15の出力側にインバータ回路および圧縮機が接続されているが、図4では省略してある。
【0018】
フィルタ回路14は、100Vの電源フラグ13から供給される交流電圧をフィルタリングしてコンバータ回路15に出力するものである。コンバータ回路15は、フィルタリングされた交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路16と、この整流回路16で変換された直流電圧を平滑する平滑回路17とから構成されている。
【0019】
スイッチング電源回路18は、コンバータ回路15で生成された直流電圧が一次側に印加され、当該直流電圧より低い直流電圧を制御用電源として生成して二次側に出力するものである。スイッチング電源回路18は複数種類の直流電圧、例えば、庫内用電源として12V,5V、インバータ用電源として15V,5Vなどを生成して二次側に出力するものであるが、図4では12V,5Vの直流電圧を二次側に出力することのみを表示してある。
【0020】
除霜用ヒータ4は、フィルタ回路14出力後に接続されており、電源のライブライン13a側へ除霜用ヒータ4が接続され、その後、スイッチング素子19、温度ヒューズ3、ニュートラルライン13b側の順列で直列接続にて構成されている。尚、除霜用ヒータ4とスイッチング素子19順列は入れ替えてもよい。
【0021】
温度ヒューズ3は、冷却器2へ配置固定され、冷却器2の温度状態を精度よく測定するために密着構造となっている(図示省略)。尚、冷却器自体はアース接続される構成となる。
【0022】
スイッチング素子19は、除霜用ヒータ4への通電をON/OFFさせるために接続されており、その駆動指令信号は、制御装置20から出力される構成とする。尚、制御装置20は、ドライブ回路21、マイクロコンピュータ22にて構成されている。
【0023】
次に、図5を参照しながら、除霜用ヒータ4の制御動作に関して説明する。図5は、図4の制御装置20における除霜用ヒータ4の制御動作を示すフローチャートである。
【0024】
冷却器温度センサで冷却器2の温度を検出し(ステップS1)、この検出温度が8℃以上かを判定する(ステップS2)。この判定で、検出温度が8℃以上と判定した場合には、除霜用ヒータ4をオフし(ステップS3)、ステップS1に戻り、ステップS2の判定を繰り返す。
【0025】
ステップS2の判定で、8℃未満と判定した場合は、除霜用ヒータ4をオンするための通電指令信号を出力し(ステップS4)、ドライブ回路21を介してスイッチング素子19をオン/オフ制御して除霜用ヒータ4へ通電する(ステップS5)。その際、マイクロコンピュータ22に備わるタイマーを稼動し、除霜用ヒータ4の通電時間を積算する(ステップS6)。この積算通電時間が所定値以内の場合は、ステップS2に戻り、ステップS2〜S7を繰り返して冷却器2の温度が8℃以上になるまで、除霜用ヒータ4への通電をオンする。
【0026】
ステップS7の判定で、除霜用ヒータ4の積算通電時間が所定値以上を超過した場合には、除霜用ヒータ4への通電をオフし(ステップS8)、ヒータ異常を冷蔵庫50の表示部30に点滅もしくは点灯などで表示を行う(ステップS9)。これによって、除霜用ヒータ4の断線などを容易に確認することができる。なお、この表示部30は、冷蔵庫50の貯蔵室ドアに限らず、庫内に設置してもよい。
【0027】
従来回路仕様において、温度ヒューズ3のチューブ12から温度ヒューズ3の非絶縁部である接続部素子7,8が露出する不具合が生じた場合に、密着固定されている冷却器2を経由し、大地へリーク電流が流れることで回路上ショートした状態となり、除霜用ヒータ4が常時通電状態となるおそれがある。
【0028】
これに対し本実施形態によれば、温度ヒューズ3からリーク電流が流れた場合でも、除霜用ヒータ4と温度ヒューズ3の間に制御装置20からの駆動指令信号によりオン/オフするスイッチング素子19を中継しているため、除霜用ヒータ4が常時通電状態となった場合でも除霜用ヒータ4の制御動作から冷却器2の温度を検出し、検出温度が8℃以上であればヒータをオフする仕様となる。これにより製品の信頼性を向上することが可能となる。また、電源フラグ13のライブライン13aとニュートラルライン13bに接続する部品を指定することで安全規格上の指定に準拠している形となる。
【0029】
本実施形態は、電源のライブライン13a側へ除霜用ヒータ4が接続し、その後、スイッチング素子19、温度ヒューズ3、ニュートラルライン13b側の順列で直列接続にて回路を構成する。すなわち、冷蔵庫内を冷却する冷却器と、該冷却器へ付着した霜を溶かすための除霜用ヒータと、該除霜用ヒータの温度上昇を防止するための感温素子と、前記除霜用ヒータへの通電をオン/オフするスイッチング素子と、前記除霜用ヒータへ電源を供給する電源プラグと、を有し、該電源プラグのライブ側へ前記除霜用ヒータと前記スイッチング素子を不特定順列に直列接続し、さらに直列に感温素子を経由して前記電源プラグのニュートラル側へ接続された回路を備えたことで、以下の効果を得ることができる。
(1)温度ヒューズ3からリーク電流が流れた場合でも、通常の除霜用ヒータ4の制御動作により必ずヒータをオフするため、容易に信頼性を確保できる。
(2)安全規格上の電源端子に準拠した製品を設計することができる。
【0030】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態の冷蔵庫について図6を用いて説明する。図6は本発明の第二の実施形態の冷蔵庫の制御系の構成図である。この第二の実施形態は、次に述べる点で第一の実施形態と相違するものであり、その他の点については第一の実施形態と基本的には同一であるので、重複する説明を省略する。
【0031】
この第二の実施形態では、電源プラグ13とフィルタ回路14間に電流ヒューズ23を挿入することで、温度ヒューズ3からリーク電流が流れた場合の過電流を防止する。これによって異常なリーク電流(漏電)防止や中継部品の過電流破壊を防止することが可能となる。尚、図中は電流ヒューズ23をライブライン13aへ挿入しているが、これに限らず、ニュートラルライン13bでも良い。
【符号の説明】
【0032】
1 制御基板
2 冷却器
3 温度ヒューズ(感温素子)
4 除霜用ヒータ
5 圧縮機
6 温度ヒューズ素子
7,8 接続部素子
9,10 リード線
11 内部素子
12 チューブ
12a,12b ウェルダー部
13 電源フラグ
13a ライブライン
13b ニュートラルライン
14 フィルタ回路
15 コンバータ回路
16 整流回路
17 平滑回路
18 スイッチング電源回路
19 スイッチング素子
20 制御装置
21 ドライブ回路
22 マイクロコンピュータ
23 電流ヒューズ
30 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫内を冷却する冷却器と、該冷却器へ付着した霜を溶かすための除霜用ヒータと、該除霜用ヒータの温度上昇を防止するための感温素子と、前記除霜用ヒータへの通電をオン/オフするスイッチング素子と、前記除霜用ヒータへ電源を供給する電源プラグと、を有し、該電源プラグのライブ側へ前記除霜用ヒータと前記スイッチング素子を不特定順列に直列接続し、さらに直列に感温素子を経由して前記電源プラグのニュートラル側へ接続された回路を備えたことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記感温素子は前記冷却器と共に配設されたことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記感温素子は、過電流による発熱で溶断する温度ヒューズ素子を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記感温素子と前記電源プラグのニュートラル側との間にスイッチング素子を直列接続したことを特徴とする、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記電源プラグの前記ライブ側と前記ニュートラル側との間に電流ヒューズ素子を挿入したことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88070(P2013−88070A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230255(P2011−230255)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】