説明

冷陰極放電管内蔵照明器具

【課題】電気的に安全で環境に配慮され、かつ使用者に違和感を与えずに省エネを達成する照明器具を提供する
【解決手段】 変換部と前記冷陰極放電管の電気的接続がランプケース側面側に設けられた電気的接続部材で行われる事で、電気的な安全を確保する。また、水銀の使用量が少なく寿命が残っているインバータを廃棄する必要が無いために、環境に配慮した照明器具を実現できる。さらに長い冷陰極放電管を使用した際には保持部材を用いて使用者の違和感を解消する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は冷陰極放電管を内蔵した冷陰極蛍光ランプおよびその装着構造に関する。より詳細には従来の蛍光灯の長所である光指向性の広さを維持しつつ長寿命を実現した冷陰極放電管照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子(LED)を用いた照明は、昨今精力的に開発が続いている。一般的に半導体発光素子を用いた照明には長寿命を謳うものが多い。また昨今の環境意識の高まりにより、低電力駆動(省エネ)を重視する消費者の増加も半導体発光素子を用いた照明のニーズは高まっている。しかし従来一般に使用されている蛍光灯(蛍光灯(熱陰極放電管)を用いた照明器具)と比較した際の以下の欠点については充分な解決がなされていないというのが現状である。
【0003】
半導体発光素子は点光源であり、光の指向性が狭いという点である。半導体発光素子を照明用途として使う上では避けて通れない課題であり、例えば以下のように拡散材を塗布し、使用者から半導体発光素子が外側から目視できないように工夫されている照明装置が提案されている。
【特許文献1】特開2005-019260号公報
【0004】
しかし、拡散材の塗布を厚くすることに比例して光の透過量が減少する。照明装置としての一定の輝度を実現するためには半導体発光素子に流す電流量を増やし半導体発光素子自体の輝度を増大させなければならない。半導体発光素子へ流す電流量の増加は発熱による半導体発光素子の劣化、寿命短縮を招き、前述の長寿命・省エネの利点は消失してしまう。
【0005】
また、冷陰極放電管を用いた冷陰極放電管照明器具においては以下の先行特許が開示されている。
【特許文献2】特開2008-210804号公報
【特許文献3】特開2006-147514号公報上記に開示されている冷陰極放電管照明器具には以下のような欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に開示されている照明器具において蛍光灯(熱陰極放電管)で使用されている2穴のソケットの間隔は規格(蛍光灯G13口金) により1センチ程度である。しかし冷陰極放電管を点灯させるためには2000V程度の電圧を印加する必要がある。これは絶縁距離の面で不安があり、安全性の面で課題を有していた。
【0007】
また、上記特許文献2に記載されている照明器具は比較的小型の蛍光灯(120cm級蛍光灯)の代替を想定したものである。しかし、これよりも大型の蛍光灯(240cm級蛍光灯)の代替を想定した場合、ランプケース2の中央の領域で冷陰極放電管1が自身の自重で垂れ下がるという問題が発生していた。ランプケース2の中央の領域で冷陰極放電管1が垂れ下がることにより天井に設置された冷陰極放電管1を使用した照明器具の中央にランプが視認できてしまい、照明器具の美観を損ねる問題を抱えていた。
【0008】
また、上記特許文献3に記載されている照明器具はランプケース内にインバータを内蔵している。このようにランプケース内にインバータを内蔵している場合は、(1)内蔵部位は非発光領域のため照明器具として違和感を使用者に与え得る(2)インバータ分の重量がランプケースに内蔵されるため自重による落下の危険性の増大(3)インバータの寿命は冷陰極放電管の寿命と比較して長い。そのため使用者は冷陰極放電管の寿命が来た場合にインバータまで廃棄せねばならず環境配慮的視座から好ましくない、等の欠点があった。
【0009】
本発明はこれら安全面・美観面での問題を解決し、長寿命で蛍光管に比べて水銀使用量が少なく環境負荷が低く、美観を損ねない冷陰極放電管照明器具を実現するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するために、冷陰極放電管1への給電を給電ケーブル8により行う事を特徴とする。冷陰極放電管1は、金属製の電極リード3及び電極リード3に固着された電極を備えた電極組立体と、電極組立体が両端に固定され内部に放電用ガスが充填されたガラス管とガラス管の内部に被覆され且つ電極の放電によって発生する紫外線の照射を受けて可視光線を放出する蛍光膜とを備えている。冷陰極放電管1は電極リード3により基板5に固着される。電極リード3は、基板5との固着により電気的に導通される。
【0011】
ランプケース2は、冷陰極放電管1と比較して全長の長い中空の筒形状を有し、ケース封止部4は照明器具への搭載のための口金突起6を有する。冷陰極放電管1及び基板5はランプケース2に収納される。冷陰極放電管1及び基板5はケース封止部4により左右から封止される。ランプケース両端の封止はケース封止部4とのランプケース2との嵌合・圧入により行われる。ケース封止部4には口金突起6が設けられ、従来の蛍光灯(熱陰極放電管)との固定方法の互換性を実現する。
【0012】
給電ケーブル8はケース封止部4及びランプケース2に設けられた穴部より外部に導出され、コネクタ9を介して収納ケース11に接続される。また給電ケーブル8の保護のためにブッシュ7が設けられる。ブッシュ7は給電ケーブル8の機械的強度を補強するために装着される。
【0013】
コネクタ9は収納ケース11への電気的接続を容易にするために給電ケーブル8の先端に装着される。収納ケース11に収められた変換部15はコンセント14から交流で供給される電力を直流へ変換する部位であり、AC/DCコンバータ12及びインバータ13を有する。前記AC/DCコンバータ12及びインバータ13は収納ケース11内に収納され、ネジ止め若しくは接着剤を介して収納ケース11に固着される。
【0014】
冷陰極管が長尺のものである場合(例えば240cm管)、冷陰極放電管1がランプケース2内で垂れ下がるという問題が発生する。そのため、略透明の保持部材10を設ける事が好ましい。略透明の保持部材を装着する事で、使用者に保持部材を認識される事を防止しつつ冷陰極管の垂れを防止し美観を保つ事が可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明の冷陰極管放電管を用いた照明器具により長寿命で、従来の蛍光灯(熱陰極放電管)に比べて水銀使用量が少ないため環境負荷が低く、さらに冷陰極放電管の垂れによる美観の悪化を効果的に防止できる冷陰極放電管照明器具を実現するためのものである。また、ランプケース内にインバータを内蔵している場合における非発光領域の問題を解決し、全光束照明の実現が可能である。また冷陰極放電管の寿命が来た場合にインバータまで廃棄する必要が無く、環境に配慮した照明器具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明における給電機構の詳細図である。
【図2】は本発明における照明装置全体の概念図である。
【図3】は本発明における保持部材の第1の実施例である。
【図4】は本発明における保持部材の第2の実施例である。
【図5】は本発明における保持部材の第3の実施例である。
【図6】は本発明における給電機構の他の実施例における詳細図である。
【図7】は本発明の他の実施例における照明装置全体の概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。冷陰極放電管1は、金属製の電極リード3及び電極リード3に固着された電極を備えた電極組立体と、電極組立体(が両端に固定され内部に放電用ガスが充填されたガラス管とガラス管の内部に被覆され且つ電極の放電によって発生する紫外線の照射を受けて可視光線を放出する蛍光膜とを備えている。ガラス管には紫外線カットの加工を設けても良い。また蛍光膜の厚さ及び発光スペクトルは種々の変更が可能であるが蛍光灯(熱陰極放電管)の代替としてオフィス照明などに使用する場合は、3波長にブロードなスペクトル(例えばそれぞれ440nm、550 nm、610nmの付近にピークを持つスペクトル)を有する事が望ましい。
【0018】
本発明の実施例として冷陰極放電管1は2本が電気的に直列に接続されている。しかし冷陰極放電管1の本数及び接続方法はこれに限定されるものではない。2本の冷陰極放電管1を電気的並列に、また3本を直列若しくは並列に接続してもよい。また、冷陰極放電管1はU字管であっても良い。U字管とは、冷陰極放電管1が折り畳まれる様に湾曲し、一方の電極と他方の電極が略平行に構成されている冷陰極放電管1を表すものである。
【0019】
ランプケース2は、冷陰極放電管1と比較して全長の長い中空の筒形状を有し、ケース封止部4は収納ケースへの装着を実現する口金形状であり、照明器具への搭載のための口金突起を有し、基板5の位置を規定するための位置決めスリット部を内部に有する。ランプケース2は例えばプラスチックからなる。プラスチックによりランプケース2を形成する事により、落下などにより本発明の冷陰極放電管1内蔵照明器具が落下した場合においても、ガラスによって形成された蛍光ランプのように破裂・飛散する事がなく安全な照明器具を実現する事ができる。
【0020】
本発明の他の実施例として照明装置に使用環境などの要因により耐熱性が求められる場合は例えば耐熱性を有したガラスによりランプケース2が形成されても良い。また、ランプケース2の内面に蛍光体を塗布し、冷陰極放電管1の発光色と異なる波長を発光する照明器具としても良い。また、内面若しくは外面に縦スリット、横スリット、梨地加工などの加工を施しレンズ効果により光の指向性を変化させても良い。
【0021】
給電ケーブル8はランプケース2及びケース封止部4に設けられた導出用穴部から外部へと導出され、照明器具への接続を実現する。図6に示すように本発明の請求項2に記載の発明に拠れば給電ケーブル8の代わりにランプケースに設けられたソケット及び収納ケースに設けられたコネクタにより行われても良い。
【0022】
電極リード3は例えばニッケルにより構成されている。基板5の材質はベークライト基板、紙フェノール基板、ガラスエポキシ基板などから選択される。
【0023】
収納ケース11はアクリルやプラスチックなどの加工性が良好で軽量な素材により構成される事が望ましい。また、収納ケースが受ける口金はG13規格のものが好ましい。図7に示すように既存の蛍光灯(熱陰極放電管)の装着器具に収納ケースを装着しても良い。
【0024】
変換部15は交流で供給される電力を直流へ変換する部位であり、コンバータ及びインバータを有する。前記コンバータ及びインバータは収納ケース内に収納され、ネジ止め若しくは接着剤を介して収納ケースに固着される。前記コンバータ及びインバータは集積されて1つの部材としても良い。その場合は照明器具の軽量化に寄与し、落下の可能性を低下させる事が可能となる。
【0025】
冷陰極管が長尺のものである場合(例えば240cm)、冷陰極管がランプケース2内で垂れ下がるという問題が発生する。そのため、略透明の保持部材を設ける事が好ましい。略透明である事で使用者からの視認を防止できる。
【0026】
保持部材の形状は図3に示すように方形で構成され内部に蛍光管を保持する形状10aが好ましい。また図4に示すように円形で構成され内部に蛍光管を保持する形状10bでも良いし、図5に示すようにランプケース2の長手方向に筒状であり、冷陰極放電管1を下方から保持する形状10cでも良い。また、図5のように下方から保持する形状については、球状の保持部材を一定間隔で並べても良い。この場合は光の演出効果において美観的に良好な照明器具が実現できる。
【符号の説明】
【0027】
1、冷陰極放電管
2、ランプケース
3、電極リード
4、ケース封止部
5、基板
6、口金突起
7、ブッシュ
8、給電ケーブル
9、コネクタ
10、ランプ保持部材
11、収納ケース
12、コンバータ
13、インバータ
14、コンセント
15、変換部
16、ソケット
17、蛍光灯(熱陰極放電管)用収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に導出されたリード接続部を有する冷陰極放電管と、前記冷陰極放電管を内部に収納するランプケースと、前記冷陰極放電管と電気的に接続されている基板と、コンセントより供給された電力を変換するインバータを有する収納ケースが設けられた照明器具において、前記変換部と前記冷陰極放電管の電気的接続がランプケース側面側に設けられた電気的接続部材で行われる事を特徴とした照明器具。
【請求項2】
前記電気的接続部材がランプケースから導出された給電ケーブル及び前記給電ケーブルの先端に接続されたコネクタ及び収納ケースに設けられたソケットにより行われる事を特徴とした請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記電気的接続部材がランプケースに設けられたソケット及び収納ケースに設けられたコネクタにより行われる事を特徴とした請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
前記冷陰極放電管にランプ保持部材が装着されている事を特徴とした請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ランプ保持部材は光透過性を有する事を特徴とした請求項1及び2に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272377(P2010−272377A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123595(P2009−123595)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】