説明

凍結飲料物および該凍結飲料物の製造方法

【課題】 従来の冷たくして飲用する各種飲料について、飲用の際の厄介さを省いて簡易にし、且つブロック状の氷がなくても常に冷たくして、味があまり変わらず美味しく頂けるようにすること。
【解決手段】 本発明の凍結飲料は、飲料物を濃縮した状態で非透水性の袋状包装材に収納密封し、該袋状包装材に収納した状態で凍結させた構成にしたことにより、これを冷蔵庫の冷凍室に入れて保管することができ、これを飲用に供する場合には、袋体を破って凍結飲料の2〜5倍の飲料水が入ったコップに投入しさえすれば良いのであって、その取り扱いに煩わしさがなく、しかも、凍結飲料の濃厚な外側から徐々に融けてくるので風味と旨味が最後まで変わらずに美味しく飲むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として冷たくして飲食する例えば、アイスコーヒー、アイスティー、各種ジュース、清涼飲料水等を凍結させ、若しくは焼酎等のアルコール飲料を凍結させ、これらを溶解して冷たい状態で簡易に飲用できる凍結飲料物および該凍結飲料物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の冷たくして飲食する飲料は、所要の容器、例えば、ペットボトルなどの瓶に収納し、又は缶詰等にし、冷蔵庫に収納して低温に保管しておき、飲用する場合に、所要量のキュウビック状またはブロック状の氷が入ったコップに所要量の飲料を注ぎ、例えば、ストローなどで全体を掻き混ぜて冷やしながら飲用している。
【0003】
また、濃縮した飲料の場合でも、前記と同様に冷蔵庫に収納して低温に保管しておき、飲用する場合に、所要量のブロック状の氷が入ったコップに濃縮を薄めるための飲料水を所要量注ぎ、次に濃縮飲料を注いでから、ストローなどで全体の濃度が均一になるように掻き混ぜながら飲用している。
【0004】
ところで、飲料を濃縮した状態で凍結させ、その凍結させた飲料を溶解し所要濃度に薄めて簡易に飲用する技術については、公知技術の文献では見当たらなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いずれにしても、冷たくして飲用する飲料については、飲料とブロック状の氷とを冷蔵庫の中で別々に保管しておく必要があり、これらを別々に取り出してコップに入れて飲用に供せなければならず厄介であること、また、ブロック状の氷が常に用意されているとはいえず、冷たくして飲用に供することができない場合もあること、更に、濃縮飲料の場合にはその分量についても注ぎ方によっては区々であり、略予定した濃度に薄めることができず、味が違って美味しく頂けないという種々の問題点を有している。
【0006】
従って、従来の冷たくして飲用する飲料については、飲用の際の厄介さを省いて簡易にし、且つブロック状の氷がなくても常に冷たくして、味が変わらず美味しく頂けるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、飲料物を濃縮した状態で非透水性の袋状包装材に収納密封し、該袋状包装材に収納した状態で凍結させたことを特徴とする凍結飲料物、並びに、飲料物を非透水性の袋状包装材に収納密封し、該袋状包装材に収納した状態で振動を与えながら液体凍結手段により−20〜−50℃で急速凍結させることを特徴とする凍結飲料物の製造方法を最も主要な特徴とする。
【0008】
また、本発明における凍結飲料物について、飲料が収納される袋状包装材は略一回の飲用量に相当する大きさであること、を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する本発明の凍結飲料物は、例えば、1/2〜1/5程度に濃縮し略一回分の小径の三角形状または四角形状の袋体に入れて凍結させてあるので、これを冷蔵庫の冷凍室に入れて保管することができ、これを飲用に供する場合には、袋体を破って凍結飲料の2〜5倍の飲料水が入ったコップに投入しさえすれば良いのであって、その取り扱いに煩わしさがなく、しかも、凍結状態においては振動を与えながら凍結させることにより飲料物の主たる成分が外側程濃厚に凍結しており、初期の融解では濃厚な部分が飲料水に溶け、その後、徐々に濃厚でない部分が融けてくるので風味と旨味が最後まで変わらずに美味しく飲むことができる。
また、ブロック状の氷が常備してなくても凍結飲料物とそれを薄めるための飲料水(水道水でも良い)があれば、手軽に冷たくして飲むことができる等の種々の優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
冷たくして飲用に供するアイスコーヒー、アイスティー等の飲料を、基本的には濃縮した状態で略一回分ずつに区分けして非透水性の袋体に収納し凍結させて冷凍庫で保管し、飲用の際に濃縮を薄める所要量の飲料水の入ったコップ等の容器に、袋体を破って凍結させた飲料を投入しストロー等で掻き混ぜることで、最初は凍結飲料の溶解速度が速いので外側の濃厚な部分が飲料水に溶けて適度に薄められ、冷たい内に飲用に供することができるのであり、その後は濃厚でない内側部分が徐々に溶解してやはり適度に薄められて冷たい内に飲用することができる。
従って、冷たくして飲用する種々の飲料については、飲む前の準備の厄介さを省き、常に冷たく美味しく頂くために、濃縮させた状態で小径の袋体に封入し凍結させて冷凍室で保管できる状態にしたことにより、実現化したものである。
このようにすることで、何時でもコップに飲料水を入れてその凍結飲料を投入すれば濃縮が適度に薄められ、しかも冷たい内に美味しく飲用に供することができるようになる。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係る凍結飲料物の第1の実施例を示す斜視図であり、該凍結飲料1は、全体が略三角形状の立方体を呈するものであって、該立方体は例えば非透水性を有する透明な樹脂フィルムで形成され、一辺の長さが約30〜40mm程度の大きさの袋体2であって、その内部に、例えば、1/4に濃縮した液体のアイスコーヒーを封入して凍結したものである。そして、袋体2が透明であれば、内部に封入した飲料が色などによって見分けることができる。
【0012】
この第1の実施例に係る凍結飲料1の製造に当たっては、例えば、チューブ状の樹脂フィルムを使用し、該チューブの一端を例えば加熱手段(ヒートシール)でシール2aした後に内部に所要量の濃縮した液状のアイスコーヒーを注入して他方の端部を、先のシール2aと略直交する方向に加熱手段でシール2bして切断することによって三角形状の立方体に形成することができ、そのシール2bと同時に次の立方体形成のためのシール2aをし、同様に濃縮したアイスコーヒーを入れ、そのシール2aの手前でチューブをシール2bし切断することで、順次三角形状の立方体を形成するのである。なお、シール2a、2bの端縁部分は、袋体2を破き易くするためにギザギザに形成してある。
【実施例2】
【0013】
図2は、本発明に係る凍結飲料物の第2の実施例を示す斜視図であり、該凍結飲料3は、全体が略四角形状の立方体を呈するものであり、該立方体は非透水性で内側に金属薄膜を蒸着等により形成させ、外側には所要の表示を印刷した樹脂フィルムで形成され、最長の一辺の長さが約30〜40mm程度で、最短の一辺の長さが約20〜30mm程度の大きさの袋体4であって、その内部に、例えば、1/5程度に濃縮した適宜飲料(果実の液体ジュース)を封入して凍結したものである。この場合の所要の表示というのは、封入した内容物の詳細であるとか、メーカー名または賞味期限などであって、適宜の印刷が可能である。
【0014】
この第2の実施例に係る凍結飲料3の製造に当たっては、前記第1の実施例と同様に、チューブ状の樹脂フィルムを使用し、該チューブの一端を加熱手段(ヒートシール)でシール4aした後に内部に濃縮した所要量の適宜飲料を注入して他方の端部を、先のシール4aと略平行する方向にシール4bすることによって四角形状の立方体に形成することができ、そのシール4bと同時に次の立方体形成のためのシール4aがなされるのである。つまり、そのシール4bの中間部分でチューブを切断すると必然的に次のシール4aが形成されるのであり、このようにして順次四角形状の立方体を形成することができるのである。
【0015】
この四角形状の立方体にするための袋体4の形成に当たっては、図3に示したように、袋体4のシール4a、4bにおいて、それぞれ両側から内側への所定長さの折り返し部4cを形成し、該折り返し部4cを内側に重ねた状態で一緒にシールすることによって、立方体の四角形状が確立し易くなるのである。この場合もシール4a、4bの端縁部分は、袋体4を破き易くするためにギザギザに形成してある。
【0016】
そして、袋体2、4内に封入される飲料としては、前記した他に、例えば、アイスティー、アイスココア、各種の野菜ジュース等であって、略1/2〜1/5程度に濃縮した状態で封入する。また飲料として、アルコール飲料も含まれる。特に、アルコール飲料として、例えば、焼酎またはウイスキー等は薄めて飲むことが多いことから、実質的にアルコール分が濃縮されていると理解しても良い。
【0017】
このように袋体2、4に封入された各種飲料は、例えば、適度の振動を与えながら液体冷凍手段によって−20〜−50℃で急速冷凍するものであり、それによって、凍結の結晶が中心部の核部分が最初に凍結し、しかも、飲料物を構成する水分と飲用成分とにおいて、水分の方が先に凍結することになるが、振動を与えることによって水分と飲用成分とが極端に分離することなく、先に凍結する中心部ほど水分が多く外周面は飲用成分が濃厚な状態で凍結するのであり、各種飲料の独特な風味などの旨味成分を封じ込めて冷凍され凍結飲料1、3が製造されるのである。
【0018】
なお、この冷凍に関しては、振動(振幅も含む)の強弱と冷凍速度(冷凍温度も含む)の高低とを適宜に組み合わせることによって、結晶状態を適宜に変更することができるのである。この場合に、冷凍する飲料の種類によって振動数(例えば、Hz)と冷凍速度との組み合わせを適宜に選択するのであって、この振動に関しては、機械的振動および電気的振動が使用でき、電気的振動においては低周波から高周波までの間で適宜に選択できるのであり、振動数が大きいと水分と飲用成分との分離が少なく、全体として均等な状態で凍結し、逆に振動数が小さいと水分と飲用成分との分離が多くなる。
【0019】
特に、アルコール成分は−20℃でも凍結しない場合があるが、振動を与えながら急速冷凍することによって、水分結晶の間にアルコール成分が封じ込まれる状態となり、それでも、先に凍る中心部においては水分量が多く外周面側はアルコール分が濃厚になって全体として一つの塊に凍結した状態になるのであり、この凍結した状態を維持するために、冷蔵庫の冷凍室に入れて保管できるのである。
【0020】
このように製造された冷凍飲料1、3は、図4に示したように、例えば、コップ等の容器5に、飲料の濃縮の度合いに合わせて2〜5倍の飲料水6を入れ、これに袋体2、4を破って出した凍結飲料1または3を投入し、ストローなどで掻き混ぜることにより凍結飲料を溶かして飲用に供することができるのである。この場合に、凍結飲料の全部を溶かしてから飲むのではなく、外側の濃厚が成分の一部が溶けた状態でも風味および旨味成分が抽出され、冷たい状態で美味しく飲むことができると共に、その後も濃厚でない部分が徐々に溶けてくるので、風味および旨味成分が損なわれることなく最後まで美味しく飲むことができるのである。
【0021】
なお、凍結飲料1、3を濃くして飲みたい場合には、例えば、複数個の凍結飲料をコップ等の容器5に投入すれば良く、また、更に冷たくして飲みたい場合には、別途ブロック状の氷を入れて掻き混ぜて飲めば良いのである。特に、焼酎等のアルコール飲料の凍結飲料の場合には、飲料水の代わりにウーロン茶やソーダ水等を入れて薄めれば良く、この場合も、外側の濃厚なアルコール成分から徐々に溶けてくるので、最後までアルコール濃度が低下せず美味しく飲むことができる。
【0022】
いずれにしても、本発明の凍結飲料1、3は、1/2〜1/5程度に濃縮し略一回分の小径の三角形状または四角形状の袋体2、4に入れて凍結させてあるので、これを冷蔵庫の冷凍室に入れて保管することができ、これを飲用に供する場合には、袋体を破って凍結飲料の2〜5倍の飲料水が入ったコップに投入しさえすれば良いのであって、その取り扱いに煩わしさがなく、しかも、凍結飲料が徐々に融けてくるので風味と旨味が最後まで変わらずに美味しく飲むことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係る凍結飲料1、3は、濃縮して小径の三角形状または四角形状の袋体2、4に収納して凍結させてあり、濃縮した分だけ通常の液体飲料よりも1/2〜1/5程度軽量になっているので、その運搬等の取り扱いが容易になり、しかも、冷蔵庫の冷凍室に入れて長期に渡って保管しすることができ、飲用に供する時は、所要量の飲料水の入ったコップなどに入れさえすれば適度に薄められ冷たい状態で、しかも、最後まで風味と旨味が変わらないで飲むことができるのであり、全ての飲料物に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の具体的な第1の実施例に係る凍結飲料を示した斜視図である。
【図2】本発明の具体的な第2の実施例に係る凍結飲料を示した斜視図である。
【図3】同実施例における袋体のシール部の構成を説明するための斜視図である。
【図4】本発明に係る凍結飲料の飲用状況を説明するための略示的斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1、3 凍結飲料(物)
2、4 袋体
2a、2b、4a、4b シール部
4c 折り返し部
5 コップ等の容器
6 飲料水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料物を濃縮した状態で非透水性の袋状包装材に収納密封し、該袋状包装材に収納した状態で凍結させたことを特徴とする凍結飲料物。
【請求項2】
袋状包装材は一回の飲用量に相当する大きさであること
を特徴とする請求項1に記載の凍結飲料物。
【請求項3】
飲料物を非透水性の袋状包装材に収納密封し、該袋状包装材に収納した状態で振動を与えながら液体凍結手段により−20〜−50℃で急速凍結させること
を特徴とする凍結飲料物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−94808(P2006−94808A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286566(P2004−286566)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390035079)三洋エンジニアリング株式会社 (4)
【出願人】(504367771)
【Fターム(参考)】