説明

凝縮センサー

【課題】測定精度が高く、設置が容易で、しかも小型化が可能な凝縮センサーを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る凝縮センサー1aは、レーザ光Lを照射する投光装置4と、凝縮検知用プリズム20と、レーザ光Lを受光する受光装置7とで構成した。そして、投光装置4、凝縮検知用プリズム20、及び受光装置7をアイソレーター2内にそれぞれ設置した。さらに、投光装置4から照射されたレーザ光Lが、凝縮検知用プリズム20を通過し、この凝縮検知用プリズム20により直角に偏向されたレーザ光Lを受光装置7で受光するようにした。そして、アイソレーター2内に過酸化水素ガスXを投入し、凝縮検知用プリズム20の表面に凝縮液30を形成し、受光装置7で受光量を測定し、凝縮の有無を把握するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉室(例えば、アイソレーターやチャンバ)等に投入した除染ガス(例えば、過酸化水素ガス)が凝縮したことを検知する凝縮センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
外界から気密的に遮断された密閉室内に過酸化水素ガス等の除染ガスを投入し、該密閉室に内在する除染対象物の表面に当該除染ガスを凝縮させて当該表面を除染する除染方法は、既に良く知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、前記除染対象物の表面に、除染ガスが凝縮したか否かを判別可能とする凝縮センサーも既に提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0003】
具体的に説明すると、特許文献2で開示される凝縮センサーは、所定波長の光を発する測定光源、所定厚のガラス板、及び測定光源から発せられた光を受光する光センサーを備えている。また、前記ガラス板は、その表面は密閉室空間に臨み、裏面は臨まない態様で、密閉室の壁面に固定される。そして、かかる状態で測定光源の光を、ガラス板内部に照射して、ガラス板内を通過させる。さらに、ガラス板内を通過させた光を密閉室空間の外に配設した光センサーで検出し、その受光量を測定する。かかる構成にあって、密閉室に投入された除染ガスが、ガラス板の表面で凝縮すると、ガラス板内部を通過する光の一部は、その凝縮液に起因してガラス板外に逃避し、光センサーで検出される受光量が非凝縮時の受光量に比して減少する。したがって、この受光量が減少するタイミングを特定することにより、ガラス板面における凝縮の形成開始タイミングを把握することができる。
【0004】
また、特許文献3で開示される凝縮センサーは、投光装置、受光装置、及び複数のガラス板が列設されてなる凝縮形成部を備えている。なお、この凝縮形成部は、密閉室内に設置されている。そして、これら複数のガラス板に、光を照射し、透過させて、透過光の受光量を測定する。かかる構成にあって、各ガラス板の表面に除染ガスが凝縮すると、この凝縮液に起因して、ガラス板を通過する光が散乱・吸収され、透過光の受光量が非凝縮時の受光量に比して減少することとなる。したがって、この受光量が減少するタイミングを特定することにより、ガラス板面における凝縮の形成開始タイミングを把握することができる。
【0005】
【特許文献1】特表2003−527211号公報
【特許文献2】特表2003−528310号公報
【特許文献3】WO03/095994A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2で開示される構成は、ガラス板内に光を通過させ、凝縮液による光の逃避を利用して凝縮開始タイミングを検知する構成であるから、正確な情報を得るためには、あらかじめ凝縮液が形成される部分の面積を十分に確保しておく必要があった(例示品として、ガラス板の全長:約20cm、板厚:約1cm)。したがって、かかる凝縮センサーは大型化してしまう問題があり、設置箇所が制限される場合があった。
【0007】
また、特許文献3で開示される構成は、複数のガラス板を所定間隔を置いて列設する構成であると共に、投光装置、凝縮形成部、及び受光装置が一直線上に並ぶ必要があり、ある程度奥行きのある広い設置スペースを要した。このため、かかる構成も、小型化には限界があり、設置箇所が制限される場合があった。
【0008】
そこで本発明は、設置箇所が制限されにくく、従来構成に比して小型化できる凝縮センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一方向に光を照射する投光部を具備する投光装置と、除染ガスが投入される密閉室内に配置され、前記投光部から照射された光が入射する入射面、該入射面から入射した光が反射する、入射面に対して傾斜した反射面、及び、該反射面で反射した光を密閉室空間に放射する放射面を具備し、入射面、反射面、及び放射面のうち、少なくともいずれかの面に、投入された除染ガスの凝縮液が形成される凝縮検知用プリズムと、凝縮検知用プリズムの放射面から放射された光を受光する受光部を具備し、受光した光の受光量に対応した電圧出力を発生する受光装置とを備えたことを特徴とする凝縮センサーである。ここで、除染とは、化学T期除染、無菌、殺菌、滅菌等が含まれる。
【0010】
かかる構成にあって、凝縮検知用プリズムが設置された密閉室内に除染ガスが継続して投入されると、密閉室が飽和状態となり、凝縮検知用プリズムの表面に除染ガスが凝縮し始める。すなわち、入射面、反射面、及び放射面のうち、少なくともいずれかの面に、投入された除染ガスの凝縮液が形成される。かかる状態で投光装置から光を照射すると、照射光は凝縮液を透過等すると共に、凝縮検知用プリズム内を進行し、最終的に受光装置で検出される。ここで、かかる凝縮状況における受光装置で検出される受光量は、非凝縮時に測定される受光量に比べてその量が減少する。これは、照射光が、凝縮検知用プリズムに形成された凝縮液を透過する際に散乱・吸収されるため、又は、光の入射角度が変化し、全反射が生ずるためである。したがって、換言すれば、測定される受光量が減少するタイミングを特定することにより、凝縮検知用プリズム上で凝縮の形成が開始されたタイミングを特定することが可能となる。また、凝縮液が凝縮検知用プリズム上に形成された後、さらに凝縮が進行して凝縮膜が形成され、その膜厚等が増大すると、測定される受光量がそれに対応してさらに減少することとなる。すなわち、本発明は、受光装置で検出される受光量の変化をモニタリングすることにより、投入された除染ガスの凝縮開始タイミングを検出できると共に、さらにその後の凝縮液の凝縮検知用プリズム上における経時的な態様変化についても検出することが可能となる。そして、当該凝縮センサーにより凝縮が検知されると、従来構成と同様に、密閉室内での凝縮状態を間接的に把握することができ、様々な対応が精度良く実現できることとなる。なお、本発明にあっては、照射光が凝縮検知用プリズムを通過する際に、反射面の角度に基づいて偏向することとなる。これにより、各装置の設置箇所が障害物により制限が生じた場合であっても、その障害物を回避すべく、投光装置と受光装置との配置を様々に変更することが可能となり、センサーの設置自由度が飛躍的に向上することとなる。しかも、凝縮検知用プリズムの表面は、凝縮検知のために必要な凝縮液の形成面を兼ねているため、全体として凝縮センサーの小型化が可能となる。なお、凝縮検知用プリズムの形状は、様々なものを適宜選択して採用することができる。例えば、凝縮検知用プリズムは、単一の45°直角プリズムで構成することができる。
【0011】
また、上記構成にあって、凝縮検知用プリズムは、投入された除染ガスの凝縮液が、入射面、反射面、及び放射面に形成されるものである構成が提案される。
【0012】
かかる構成にあっては、投光装置から照射された光は、受光装置で受光されるまでに、入射面上に形成された凝縮液、反射面上に形成された凝縮液、及び放射面上に形成された凝縮液により、散乱、吸収、又は全反射するため、減少する受光量が上記構成に比して、より一層積算されることとなる。したがって、各面に形成される凝縮液がたとえ微小厚であり、それ単独では検出困難である場合であっても、受光装置で受光される際には確実に減少量が検出されることとなる。
【0013】
また、凝縮検知用プリズムは、投光装置と受光装置との間で複数列設された凝縮検知用プリズムで構成されてなり、投光装置から照射された光が複数の凝縮検知用プリズムを通過するものである構成が提案される。
【0014】
このように投光装置から照射された光が、複数の凝縮検知用プリズムを通過する構成とすることにより、照射光が、各凝縮検知用プリズムに形成された凝縮液を通過することとなり、受光装置で照射光を受光した際には、各位置における情報が積算されるため、測定誤差が可及的に捨象されて精度の高い測定結果が得られることなる。
【0015】
また、凝縮検知用プリズムの表面温度を測定する凝縮検知用プリズム用温度測定手段と、凝縮検知用プリズム用温度測定手段が測定した凝縮検知用プリズムの表面温度を変更する凝縮検知用プリズム用表面温度変更手段とを備えた構成が提案される。
【0016】
かかる構成にあって、凝縮検知用プリズムの表面温度を高くするほど、当該凝縮検知用プリズムでの除染ガスの凝縮は起こりにくくなり、当該凝縮センサーの凝縮開始タイミングを遅らせたり、所定時間内での凝縮量を少なくしたり、凝縮持続時間を短くしたりすることができる。一方、凝縮検知用プリズムの表面温度を低くするほど、当該凝縮検知用プリズムでの除染ガスの凝縮は生じやすくなり、当該凝縮センサーの凝縮開始タイミングを早めたり、所定時間内での凝縮量を多くしたり、凝縮の持続時間を長くしたりすることができる。ここで、このような構成は、以下のような態様で用いられる。
【0017】
ここで、一般的に、密閉室に除染ガスを投入する際にあっては、室内形状や除染対象物の形状等が要因となって、同じ室内であっても除染ガスの行き渡り方に差が生じる。すなわち、密閉室内には、他の場所に比して除染ガスの凝縮が起こりにくい、いわゆるコールドスポットが存在する。ここで、従来までの考えによれば、当該密閉室内の単数又は複数の位置に係る凝縮開始タイミング、所定時間内での凝縮量、又は凝縮の持続時間等を考慮した上で、いくつかあるコールドスポットのうち、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットを特定し、その位置に凝縮センサーを設置していた。そして、このコールドスポットで凝縮が検知され、なおかつ十分な凝縮量が所定時間だけ保持された場合に除染が完了したと判断していた。これに対し、上記構成の凝縮センサーは、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットに設置しなくても、密閉室を確実に除染することができるものである。さらに詳述すると、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットでない箇所(例えば、当該凝縮センサーの管理が容易な箇所)にある凝縮センサーの設置位置に、擬似的にコールドスポットを形成し、当該センサーに基づいて除染管理することを特徴としている。これは、凝縮センサーに係る凝縮検知用プリズムの表面温度を変更し、当該凝縮センサーで把握される凝縮状態(例えば、凝縮開始タイミング、所定時間内での凝縮量、又は凝縮の持続時間)を、特定したコールドスポットにおける凝縮状態とほぼ等しくするようにしたためである。なお、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットは、例えば、過去に得られた種々の実験データに基づいて設定することができる。
【0018】
また、除染ガスが投入される密閉室に内在する除染対象物の表面温度を測定する除染対象物用温度測定手段と、凝縮検知用プリズム用表面温度変更手段に、凝縮検知用プリズム用温度測定手段が測定した凝縮検知用プリズムの表面温度を、除染対象物用温度測定手段が測定した除染対象物の表面温度以上とするように指令する温度変更指令制御手段とを備えた構成が提案される。
【0019】
かかる構成にあって、凝縮検知用プリズムの表面温度が、除染対象物の表面温度以上となると、例えば、凝縮検知用プリズムの表面と除染対象物表面とがほぼ同じ凝縮量の凝縮膜が生成されるか、又は、凝縮検知用プリズム表面の方が少ない凝縮量の凝縮膜が生成されることとなる。すなわち、本発明に係る凝縮センサーに基づいて除染終了タイミングを判断することにより、除染対象物の表面は除染が完了していないのに除染を終了してしまう、ということを防ぐことができる。
【0020】
また、密閉室内に配置された凝縮検知用プリズムの周囲にある空気を流動させて、当該凝縮検知用プリズムの表面上に一方向流を形成する送風手段と、送風手段が形成した一方向流の流速を測定する流速測定手段と、送風手段が形成した一方向流の流速を変更する流速変更手段と、流速測定手段が測定した流速に基づいて、流速変更手段に流速を変更させるように指令する流速変更指令制御手段とを備えた構成が提案される。
【0021】
かかる構成にあっては、前記一方向流の流速を大きくするほど、凝縮検知用プリズム表面に凝縮膜が吸着しにくくなるため、当該凝縮検知用プリズムで除染ガスは凝縮しにくくなり、当該凝縮センサーの凝縮開始タイミングを遅らせたり、所定時間内での凝縮量を少なくしたり、凝縮の持続時間を短くしたりすることができる。一方、一方向流の流速を小さくするほど、凝縮検知用プリズム表面に凝縮膜が吸着しやすくなるため、当該凝縮検知用プリズムで除染ガスは凝縮しやすくなり、当該凝縮センサーの凝縮開始タイミングを早めたり、所定時間内での凝縮量を多くしたり、凝縮の持続時間を長くしたりすることができる。
【0022】
ここで、上述したように、従来までの考えによれば、当該密閉室内の単数又は複数の位置に係る凝縮開始タイミング、所定時間内での凝縮量、又は凝縮の持続時間等を考慮した上で、いくつかあるコールドスポットのうち、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットを特定し、その位置に凝縮センサーを設置していた。そして、このコールドスポットで凝縮が検知され、なおかつ十分な凝縮量が所定時間だけ保持された場合に除染が完了したと判断していた。これに対し、上記構成の凝縮センサーは、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットに設置しなくても、密閉室を確実に除染することができるものである。さらに詳述すると、最も除染ガスが行き渡りにくいコールドスポットでない箇所(例えば、当該凝縮センサーの管理が容易な箇所)にある凝縮センサーの設置位置に、擬似的にコールドスポットを形成し、当該センサーに基づいて除染管理することを特徴としている。これは、凝縮センサーに係る凝縮検知用プリズム周囲にある空気の流速を変更し、当該凝縮センサーで把握される凝縮状態(例えば、凝縮開始タイミング、所定時間内での凝縮量、又は凝縮の持続時間)を、特定したコールドスポットにおける凝縮状態とほぼ等しくするようにしたためである。これにより、凝縮センサーの設置可能な場所が、広範囲となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る凝縮センサーは、入射面に対して傾斜した反射面を具備した凝縮検知用プリズムを備えた構成としたため、照射光が反射面で偏向することとなり、この照射光の偏向角度に応じて障害物を避けて、投光装置又は受光装置を様々な態様で配置することが可能となる。これにより、設置箇所の自由度が飛躍的に向上する効果が生ずる。しかも、本発明に係る凝縮検知用プリズムは、その表面に凝縮液が形成される構成としたため、全体として凝縮センサーの小型化が可能となる効果がある。
【0024】
また、投入された除染ガスの凝縮液が、凝縮検知用プリズムの入射面、反射面、及び放射面に形成されてなる構成とした場合は、照射光が凝縮液を常に複数回通過することとなるため、各通過時に減少する受光量が積算されることとなり、受光装置で確実に受光量を検出することができる。これにより、高い測定制度を確保することができる利点がある。
【0025】
また、投光装置と受光装置との間に、凝縮検知用プリズムを複数列設して構成した場合は、照射光が、多数回にわたって凝縮液を通過等することとなり、受光装置で照射光を受光した際には、各位置における情報が積算されるため、測定誤差が可及的に捨象されて精度の高い測定結果が得られる利点がある。
【0026】
また、凝縮検知用プリズムの表面温度を変更する表面温度変更手段を備えた構成とした場合は、凝縮検知用プリズムの表面温度を高くして例えば凝縮開始タイミングを遅らせたり、凝縮検知用プリズムの表面温度を低くして例えば凝縮開始タイミングを早めたりすることができ、仮に当該凝縮センサーの設置位置がコールドスポットでなくても、除染対象物表面の除染を行うにあたって精度良く対応できる利点がある。
【0027】
また、上記構成にあって、表面温度変更手段により、凝縮検知用プリズムの表面温度を、除染対象物の表面温度以上とするようにした構成とした場合は、除染対象物表面よりも凝縮検知用プリズムの表面の方が凝縮しにくい環境、又はほぼ凝縮のしやすさが等しい環境となり、本発明に係る凝縮センサーに基づいて除染終了タイミングを判断することにより、除染対象物の表面は除染が完了していないのに除染を終了してしまう、ということを防ぐことができる効果が生まれる。
【0028】
また、一方向流の流速を変更する流速変更手段を備えた構成とした場合は、一方向流の流速を大きくして例えば凝縮開始タイミングを遅らせたり、一方向流の流速を小さくして例えば凝縮開始タイミングを早くしたりすることができ、仮に当該凝縮センサーの設置位置がコールドスポットでなくても、除染対象物表面の除染を行うにあたって精度良く対応できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
<第一実施例>
本実施例に係る凝縮センサー1aを図1に従って説明する。
凝縮センサー1aは、投光装置4、受光装置7、及び凝縮検知用プリズム20を備えている。そして、投光装置4、受光装置7、及び凝縮検知用プリズム20が、過酸化水素ガスX(除染ガス)が投入されるアイソレーター2内に設置され、アイソレーター2内における過酸化水素ガスXの凝縮状態を把握可能としている。なお、アイソレーター2内には、除染対象物Yも設置されている。ここで、本実施例に係るアイソレーター2は公知品が好適に用いられる。なお、このアイソレーター2により、本発明に係る密閉室が構成される。
【0030】
前記投光装置4の一側面には、投光部9が備えられている。この投光部9からは、所定波長のレーザ光Lが一方向に照射される。一方、他側面には、配線ケーブル17aを介して電源供給装置15が接続されている。そして、この電源供給装置15に備えられた操作盤(図示省略)を操作することにより、所望のタイミングで投光部9からレーザ光Lが照射されるように設定されている。なお、投光装置4は、アイソレーター2内に設置され、電源供給装置15は、アイソレーター2外に配置される。また、本実施例に係るレーザ光Lは、半導体レーザ光であるが、他の種類のレーザ光であっても良い。また、光源としては、レーザ光以外であっても良い。また、本実施例では、近赤外領域の波長を採用しているが、その波長は適宜選択することが可能である。
【0031】
また、前記受光装置7は、一側面にレーザ光Lを受光する受光部8を備えている。そして、前記投光装置4から発せられたレーザ光Lが、後述する凝縮検知用プリズム20を通過した後、受光部8で受光されるような位置に設置される。さらに、かかる受光装置7は、この受光部8で受光したレーザ光Lの受光量とほぼ比例する電圧出力を発生し、配線ケーブル17bを介して接続される出力装置16の測定値表示部(図示省略)にその測定値を表示する。なお、受光装置7は、アイソレーター2内に設置され、出力装置16は、アイソレーター2外に設置される。
【0032】
なお、投光装置4及び受光装置7は、公知品が好適に採用される。また、投光装置4の電源供給装置15と受光装置7の出力装置16とは一体型の構成であっても良い。
【0033】
次に、本発明の要部である凝縮検知用プリズム20について説明する。
この凝縮検知用プリズム20は、図1に示すように、前記アイソレーター2内に設置される。さらに詳述すると、図2に示すように、この凝縮検知用プリズム20は、上下面が直角二等辺三角形である三角柱状の、いわゆる45°直角プリズムである。さらに詳述すると、凝縮検知用プリズム20の側面のうち、直角を挟む側面を反射面10b,10bとしている。さらに、この直角の対向位置にある側面を入射面10aとしている。すなわち、反射面10bが、入射面10aに対して45°の角度で傾斜していることとなる。ここで、入射面10aから入射した前記レーザ光Lは、反射面10bで全反射する。なお、後述するように、図1,2に示す本実施例に係る凝縮検知用プリズム20にあっては、入射面10aは、反射面10bで反射した光をアイソレーター2内に放射する放射面10cを兼ねている。
【0034】
かかる構成にあって、投光装置4、及び受光装置7は、図1に示すように、アイソレーター2内における図中の左方に配置され、凝縮検知用プリズム20は、図中の右方に配置されている。さらに、凝縮検知用プリズム20の入射面10aが、投光装置4及び受光装置7側に向けられている。
【0035】
かかる配置で、投光装置4からレーザ光Lが照射されると、レーザ光Lは凝縮検知用プリズム20の入射面10aにほぼ垂直に入射する。そして、この光は、凝縮検知用プリズム20内を直進し、図中上側に位置する反射面10bで反射し、図中下方に偏向する。すなわち、レーザ光Lが、もう一つの反射面10b方向に直進することとなる。
【0036】
さらに、その光は、図中下側に位置する反射面10bで反射し、今度は図中右方に偏向する。すなわち、受光装置7のある方向に直進する。そして、入射面10aを兼ねた放射面10cからアイソレーター2の室内空間に放射され、受光装置7で受光されることとなる。
【0037】
次に、凝縮センサー1aの使用態様をさらに詳述する。
まず、アイソレーター2内部に過酸化水素ガスXを投入する前に、凝縮検知用プリズム20上に過酸化水素ガスXが凝縮していない状態での受光量(以下、基準受光量という)を測定しておく。これは、後述する凝縮状態における受光量と比較するためである。
【0038】
そして、基準受光量を測定した後、除染対象物Yが内在するアイソレーター2内部に、過酸化水素ガスXを投入開始し、除染を開始する。そして、これと共に、連続的に又は間欠的に、投光装置4からレーザ光Lを照射し、凝縮検知用プリズム20を通過させて、当該レーザ光Lを受光装置7で受光する。さらに、出力装置16で表示される測定値に基づいて受光量をモニタリングする。なお、本実施例に係る出力装置16にあっては、この測定値をレーザ光Lの透過率で表示するようにしている。
【0039】
継続して過酸化水素ガスXを投入し続けると、アイソレーター2内部で過酸化水素ガスXが飽和状態となり、凝縮検知用プリズム20の表面に過酸化水素ガスXが凝縮し始める(図3参照)。さらに詳述すると、入射面10a、反射面10b、及び放射面10c等に、凝縮液30が形成され始める。
【0040】
ここで、かかる状況で照射されるレーザ光Lは、凝縮検知用プリズム20上に形成された凝縮液30により散乱・吸収されたり、又は光の入射角度が変化し、全反射が生ずるため、受光装置7で検出される受光量は、前記基準受光量よりも減少することとなる。すなわち、出力装置16で表示される透過率が減少することとなる。したがって、過酸化水素ガスXを投入した後であって、基準受光量よりも受光量が減少したタイミングを特定すれば、凝縮検知用プリズム20に凝縮液30が形成され始めたタイミングを特定することが可能となる。
【0041】
さらに、過酸化水素ガスXを投入し続けると、凝縮が進行し、凝縮検知用プリズム20上に形成された凝縮液30が凝集して凝縮膜が形成され始め、その膜厚、形成面積等が順次増大して透過率がさらに減少していくこととなる。したがって、受光量の減少傾向を特定すれば、凝縮膜の増大傾向を適確に把握することが可能となる。
【0042】
なお、本実施例は、投光装置4から照射したレーザ光Lを、凝縮検知用プリズム20により180°偏向して受光装置7で受光する構成であるが、適宜、凝縮検知用プリズム20の形状等を変更し、レーザ光Lを所望の角度で偏向させることができる。これにより、適宜、アイソレーター2内の障害物を避けて各装置4,7を設置することができ、凝縮センサー1aの設置の自由度が広がり、利便性が向上することとなる。しかも、本発明は、凝縮検知用プリズム20自体に凝縮液30が形成されるため、別途検知用の器具が不要であり、凝縮センサー1aの小型化が可能となる。
【0043】
なお、投光装置4、凝縮検知用プリズム20、及び受光装置7の配置態様は、種々に変更することができる。例えば、第一実施例の変形例として、図4に示すように、直角を挟む二側面のうち、一側面を入射面10aとし、他側面を放射面10cとし、直角に対向する斜面を反射面10bとする凝縮センサー1bが提案される。かかる構成とすることにより、レーザ光Lを90度偏向させることが可能となる。
【0044】
<第二実施例>
また、図5に示す配置態様の凝縮センサー1cが提案される。
すなわち、凝縮検知用プリズム20を所定間隔をおいて二つ並置する構成である。本実施例にあっては、両凝縮検知用プリズム20,20の直角に対向する側面を、共に入射面10a(放射面10cを兼ねる)とし、直角を挟む二側面を反射面10bとしている。
【0045】
かかる構成にあって、投光装置4から照射されたレーザ光Lは、図中上側に位置する第一凝縮検知用プリズム20aの入射面10aに入射し、反射面10bで反射された後、当該第一凝縮検知用プリズム20aの放射面10cから、一旦、アイソレーター2内へ放射される。そして、図中下側に位置する第二凝縮検知用プリズム20bの入射面10aに入射し、反射面10bで反射された後、当該第二凝縮検知用プリズム20bの放射面10cから放射されて、受光装置7で受光される。
【0046】
かかる構成とすることにより、レーザ光Lが凝縮液30を通過する回数が増え、測定精度が向上することとなる。また、レーザ光Lを所望角度で偏向させることが可能となり、投光装置4と受光装置7の設置の自由度が増すこととなるため、利便性が向上することとなる。なお、凝縮検知用プリズム20a,20bの列設数は、二つに限定されることはなく、適宜増設されうる。
【0047】
また、第二実施例の変形例として、図6に示す配置態様の凝縮センサー1dが提案される。すなわち、凝縮検知用プリズム20を二つ用い、各プリズム20,20をそれぞれ第一凝縮検知用プリズム20aと第二凝縮検知用プリズム20bとするものである。具体的には、両凝縮検知用プリズム20a,20bの各々直角に対向する側面を、共に反射面10bとし、直角を挟む側面を、入射面10a、及び放射面10cとする構成である。
【0048】
かかる構成としても、レーザ光Lを所望角度で偏向させることが可能となり、投光装置4と受光装置7の設置の自由度が増すこととなるため、利便性が向上することとなる。なお、凝縮検知用プリズム20a,20bの列設数は、二つに限定されることはなく、適宜増設されうる。
【0049】
<第三実施例>
また、図7に示す配置態様の凝縮センサー1eが提案される。
すなわち、これまでに述べた凝縮検知用プリズム20を二つ接続し、一体的な接続型凝縮検知用プリズム20cとする構成である。さらに詳述すると、二つの凝縮検知用プリズム20の直角に対向する側面を、互いに面接触させながら、図中上下方向にずれた状態で配置する。そして、図中上側にある凝縮検知用プリズム20の直角に対向する側面を入射面10aとし、図中下側にある凝縮検知用プリズム20の直角に対向する側面を放射面10cとしている。そして、両凝縮検知用プリズム20の直角を挟む側面を、それぞれ反射面10bとしている。そして、全体として、入射面10a、反射面10b、及び放射面10cを備えた構成としている。
【0050】
かかる構成にあって、投光装置4から照射されたレーザ光Lは、図中上側にある凝縮検知用プリズム20で構成される入射面10aに入射し、隣接する反射面10bで複数回反射された後、図中下側にある凝縮検知用プリズム20で構成される放射面10cからアイソレーター2内へ放射される。そして、受光装置7で受光される。
【0051】
かかる構成とすることにより、所望角度でレーザ光Lを偏向させることが可能となり、投光装置4と受光装置7の設置の自由度が増すこととなる。なお、凝縮検知用プリズム20の列設数は、二つに限定されることはなく、適宜増設されうる。
【0052】
また、上記構成の変形例として図8に示す配置態様の凝縮センサー1fが提案される。
すなわち、二つの凝縮検知用プリズム20を、直角を挟む側面を対面させて接続して、接続型凝縮検知用プリズム20dとする構成である。そして、図中上側にある凝縮検知用プリズム20に係る直角を挟む一側面を入射面10aとし、図中下側にある凝縮検知用プリズム20に係る直角を挟む一側面を放射面10cとし、各凝縮検知用プリズム20の直角に対向する側面を反射面10bとしている。
【0053】
かかる構成とすることによっても、投光装置4と受光装置7の設置の自由度が増し、利便性が向上することとなる。なお、凝縮検知用プリズム20の列設数は、二つに限定されることはなく、適宜増設されうる。
【0054】
なお、これまでに述べた構成は、過酸化水素ガスXが凝縮開始すると、凝縮検知用プリズム20の入射面10a、反射面10b、及び放射面10cに凝縮液30が形成される構成であるが、本発明は、少なくともいずれかの面に凝縮液が形成される構成を排除するものではない。
【0055】
<第四実施例>
また、図9に示すように、凝縮検知用プリズム20に、当該凝縮検知用プリズム20の表面温度を測定する温度センサー31と、当該凝縮検知用プリズム20の表面温度を変更する温度変更装置37とを接続した凝縮センサー1gが提案される。さらに詳述すると、図10に示すように、凝縮検知用プリズム20上には、電源部31bが接続された、温度測定部31aが装着されている。この温度測定部31aと電源部31bとにより、温度センサー31が構成される。また、凝縮検知用プリズム20上には、シリコンラバヒーター37aと、ペルチェ素子を内蔵する冷熱部37bとが装着されている。また、シリコンラバヒーター37aには、シリコンラバヒーター用電源部37cが接続され、冷熱部37bには、冷熱部用電源部37dが接続されている。このシリコンラバヒーター37a、冷熱部37b、シリコンラバヒーター用電源部37c、及び冷熱部用電源部37dにより、温度変更装置37が構成される。また、前記温度センサー31により、本発明に係る凝縮検知用プリズム用温度測定手段が構成される。また、前記温度変更装置37により、本発明に係る凝縮検知用プリズム用表面温度変更手段が構成される。なお、温度センサーは、熱電対を用いた接触式の市販品が好適に用いられる。
【0056】
上記構成により、凝縮検知用プリズム20の表面温度を測定することができると共に、その表面温度を確認しながら適宜温度調整することができる。そして、凝縮検知用プリズム20の表面温度を高くするほど、当該凝縮検知用プリズム20での過酸化水素ガスXの凝縮は起こりにくくなり、所定時間内での凝縮量を少なくすることができる。一方、凝縮検知用プリズム20の表面温度を低くするほど、当該凝縮検知用プリズム20での過酸化水素ガスXの凝縮は生じやすくなり、所定時間内での凝縮量を多くすることができる。
【0057】
ここで、かかる構成は、以下のような態様で好適に用いられる。まず、アイソレーター2内の任意の位置で、所定時間内での凝縮量等を種々の実験により特定し、最も除染が完了しにくいコールドスポットを特定する。次に、上記構成の凝縮センサー1gを、例えば、管理作業者が凝縮センサー1gを管理しやすい位置に設置する。この管理容易な設置位置は、先に特定したコールドスポット以外の位置であっても良い。
【0058】
次に、アイソレーター2に過酸化水素ガスXを投入する。このガス投入は、除染対象物Yを除染するためのものでなく、凝縮センサー1gが検知する所定時間内での凝縮量を、特定したコールドスポットにおける所定時間内での凝縮量にほぼ一致させるためのものである。具体的には、レーザ光Lを照射して受光量をモニタリングし、凝縮検知用プリズム20上に形成される凝縮液30を測定すると共に、当該凝縮検知用プリズム20上の表面温度を変更して、所定時間内に測定される凝縮液30の凝縮量を前記所望値に一致させていく。例えば、特定したコールドスポットにおける、過酸化水素ガス投入時から所定時間までの凝縮量が、凝縮膜の膜厚Tmmとして把握されていた場合、当該凝縮センサー1gの設置環境で、過酸化水素ガス投入時から所定時間までの凝縮量がTmmとして検知されるようにする。
【0059】
次に、アイソレーター2に除染対象物Yの除染を目的とする過酸化水素ガスXの投入を開始する。そして、アイソレーター2内で過酸化水素ガスXが飽和し、上記態様に設定済みの凝縮センサー1gが所定の凝縮量を検知すると、除染対象物Yの表面にも所定の凝縮量以上の凝縮液30が形成したと判断する。これは、凝縮センサー1gが検知する所定時間内での凝縮量は、コールドスポットにおける所定時間内での凝縮量とほぼ等しく調整されているため、当該凝縮量は、アイソレーター2内で最も少ない凝縮量となる。すなわち、凝縮センサー1gが所定量の凝縮量を検知したときには、当該アイソレーター2の除染対象物Y表面にあっては、既に少なくともそれ以上の凝縮量の凝縮液30が形成されていると推定できる。
【0060】
<第五実施例>
また、図11に示す凝縮センサー1hが提案される。この凝縮センサー1hは、凝縮検知用プリズム20にそれぞれ接続された温度センサー31、及び温度変更装置37を備えている。また、かかる凝縮センサー1hは、除染対象物Yの表面温度を測定する除染対象物用温度センサー32を備えている。そして、これら温度センサー31、温度変更装置37、及び除染対象物用温度センサー32が、制御装置33と電気的に接続されている。なお、除染対象物用温度センサー32は、前記温度センサー31と同様の構成である。ここで、この除染対象物用温度センサー32により、本発明に係る除染対象物用温度測定手段が構成される。
【0061】
ここで、制御装置33は、図12に示すように、CPU34を備えている。そして、このCPU34には、記憶装置ROM35と記憶装置RAM36とが接続されている。さらに詳述すると、記憶装置ROM35は、アドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)を介してCPU34に接続している。また、記憶装置RAM36は、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介してCPU34に接続している。ここで、記憶装置ROM35には、演算処理に用いる制御プログラム等の固定データが記憶保持されている。一方、記憶装置RAM36には、記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
【0062】
そして、かかる構成にあって、温度センサー31、及び除染対象物用温度センサー32は、それぞれ測定した温度のデータを制御装置33に随時送信する。そして、当該データを受信した制御装置33は、記憶装置RAMに一旦記憶保持する。また、制御装置33は、温度変更装置37に、凝縮検知用プリズム20を所定温度にする制御指令信号を所定タイミングで送信する。そして、かかる信号を受信した温度変更装置37は、当該信号に従って凝縮検知用プリズム20を所定温度とする。
【0063】
具体的には、制御装置33は、温度センサー31により送信された温度データと、除染対象物用温度センサー32により送信された温度データとを比較し、ガラス板5の表面温度が、除染対象物Yの表面温度よりも低いと判定した場合に、温度変更装置37に、凝縮検知用プリズム20の表面温度を除染対象物Yの表面温度とする制御指令信号を送信する制御内容を具備している。
【0064】
かかる構成にあって、凝縮検知用プリズム20の表面温度が除染対象物Yの表面温度と等しくなると、凝縮検知用プリズム20表面と除染対象物Y表面の凝縮環境がほぼ等しくなる。すなわち、凝縮検知用プリズム20上における所定時間内での凝縮量と、除染対象物Yの表面における所定時間内での凝縮量とがほぼ一致することとなる。したがって、本発明に係る凝縮センサー1hで凝縮を検知した場合に、その凝縮量にほぼ等しい凝縮液30が除染対象物Yの表面で形成されたと判断することができる。
【0065】
なお、制御装置33の制御内容を、温度変更装置37に、凝縮検知用プリズム20の表面温度を除染対象物Yの表面温度以上とするような制御指令信号を送信する構成としても良い。かかる構成とすることにより、除染対象物Y表面よりも、凝縮検知用プリズム20表面の方が凝縮が起こりにくくなるため、凝縮センサー1hで凝縮を検知した場合に、そのときには既に除染対象物Yの表面で凝縮液30が形成されていると判断することができると共に、制御技術が前記構成に比して簡易なものとなる。
【0066】
なお、これまでに述べた制御装置33により、本発明に係る温度変更指令制御手段が構成される。
【0067】
<第六実施例>
また、検知される所定時間内での凝縮量を調整できる凝縮センサー1iを、図13〜図15に従って説明する。
【0068】
凝縮センサー1iは、図13,14に示すように、投光装置4、電源供給装置15、受光装置7、出力装置16、凝縮検知用プリズム20、及び多数の空気導入孔47が設けられた通気性筐体45を備えている。そして、投光装置4、凝縮検知用プリズム20、保持ケース6、及び受光装置7が通気性筐体45内に収納され、さらにこの通気性筐体45が、アイソレーター2内に配置されている。なお、アイソレーター2には、除染対象物Yも内在している。
【0069】
次に、通気性筐体45について詳述する。
この通気性筐体45は、図13,14に示すように、底部40を備え、この底部40上に、投光装置4、受光装置7、及び凝縮検知用プリズム20が載置されている。
【0070】
また、通気性筐体45は、図15に示すように、下面から下方に突出する脚部48,48を備え、該脚部48により、アイソレーター2の床面に載置されている。また、通気性筐体45の隣り合う各側面には、配線ケーブル17a,17bが挿通されるケーブル孔46,46が開口している。
【0071】
なお、本実施例にあっては、通気性筐体45は、いわゆるSUSパンチング板を筐体状に成形加工して構成されている。したがって、通気性筐体45の筐壁45aには、アイソレーター2の室内空間51と当該通気性筐体45内を連通させる空気導入孔47がほぼ全域に形成されることとなる。
【0072】
さらに、図15に示すように、通気性筐体45の筐壁45aのうち、天井部39には、内外を連通させる連通口41aが開口している。この連通口41aは、前記空気導入孔47よりも径大としている。そして、この連通口41aに、外筒43の下端が固着されている。この外筒43の内径は、連通口41aの内径にほぼ等しくしている。そして、この外筒43の上端により、排気孔41が構成されるようにしている。
【0073】
また、前記外筒43内には、送風ファン44が配設されている。具体的には、送風ファン44は、外筒43内に配設されたファン42と、該ファン42を回動させるための駆動源となるモーター49とで構成されている。
【0074】
かかる構成にあって、モーター49を駆動させると、外筒43内でファン42が回動し、過酸化水素ガスXを含む室内空間51の空気が、空気導入孔47を介して通気性筐体45内に導入される。さらに、通気性筐体45内に導入された空気は、外筒43内に吸引されて、排気孔41を介して、アイソレーター2内に放出されることとなる。これにより、通気性筐体45内に、過酸化水素ガスXを含む一方向流が形成されることとなる。さらに言えば、凝縮検知用プリズム20周囲の空気が連通開口部14方向へ流動して、当該凝縮検知用プリズム20上に一方向流が形成されることとなる。
【0075】
また、通気性筐体45内には、前記一方向流の流速(m/s)を測定する流速センサー38が設けられている。この流速センサーは、市販品が好適に用いられる。そして、この流速センサー38は、制御装置33aに電気的に接続されている。なお、この制御装置33aには、前記モーター49も電気的に接続されている。
【0076】
かかる構成にあって、制御装置33aは、CPU(図示省略)、記憶装置ROM(図示省略)、及び記憶装置RAM(図示省略)が接続されている。そして、かかる構成にあって、流速センサー38は、測定した流速のデータを制御装置33aに随時送信する。そして、当該データを受信した制御装置33aは、記憶装置RAMに一旦記憶保持する。また、制御装置33aは、モーター49に、所定回転速度でファン42を回転させる制御指令信号を所定タイミングで送信する。そして、かかる信号を受信したモーター49は、当該信号に従ってファン42を所定回転速度で回転させる。
【0077】
かかる構成にあっては、ファン42の回転速度を大きくして、一方向流の流速を大きくするほど、凝縮検知用プリズム20で過酸化水素ガスXが凝縮しにくくなり、当該センサー1iが検知する所定時間内での凝縮量を少なくすることができる。一方、ファン42の回転速度を小さくして、一方向流の流速を小さくするほど、凝縮検知用プリズム20で過酸化水素ガスXは凝縮しやすくなり、当該センサー1iが検知する所定時間内での凝縮量を多くすることができる。
【0078】
なお、本実施例に係る送風ファン44により、本発明に係る送風手段が構成される。また、本実施例に係るモーター49により、本発明に係る流速変更手段が構成される。また、本実施例に係る流速センサー38により、本発明に係る流速測定手段が構成される。また、本実施例に係る制御装置33aにより、本発明に係る流速変更指令制御手段が構成される。また、本実施例にあって、流速センサー38を用いずに、モーター49の回転数を制御して流速を管理する構成としても良い。
【0079】
また、本発明に係る凝縮センサー1a〜1iを、無菌パスボックス内や無菌室内等に設置し、かかる内部の過酸化水素ガスXの凝縮状態を検出する構成としても良い。また、過酸化水素ガスXに限定されず他の除染ガスの凝縮状態を検出するようにしても勿論良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第一実施例に係る凝縮センサー1aの概要図である。
【図2】凝縮検知用プリズム20の外観斜視図である。
【図3】レーザ光Lの散乱・吸収を説明する説明図である。
【図4】第一実施例の変形例である凝縮センサー1bの概要図である。
【図5】第二実施例に係る凝縮センサー1cの概要図である。
【図6】第二実施例の変形例である凝縮センサー1dの概要図である。
【図7】第三実施例に係る凝縮センサー1eの概要図である。
【図8】第三実施例の変形例である凝縮センサー1fの概要図である。
【図9】第四実施例に係る凝縮センサー1gの概要図である。
【図10】凝縮センサー1gの凝縮検知用プリズム20を示す外観斜視図である。
【図11】第五実施例に係る凝縮センサー1hの概要図である。
【図12】制御装置33のブロック回路図である。
【図13】第六実施例に係る凝縮センサー1iの概要図である。
【図14】凝縮センサー1iの部分拡大横断面図である。
【図15】凝縮センサー1iの一部切欠側面図である。
【符号の説明】
【0081】
1a〜1i 凝縮センサー
2 アイソレーター
4 投光装置
7 受光装置
8 受光部
9 投光部
10a 入射面
10b 反射面
10c 放射面
20,20a,20b 凝縮検知用プリズム
20c,20d 接続型凝縮検知用プリズム
30 凝縮液
31 温度センサー
32 除染対象物用温度センサー
33,33a 制御装置
37 温度変更装置
38 流速センサー
44 送風ファン
L レーザ光
X 過酸化水素ガス
Y 除染対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に光を照射する投光部を具備する投光装置と、
除染ガスが投入される密閉室内に配置され、前記投光部から照射された光が入射する入射面、該入射面から入射した光が反射する、入射面に対して傾斜した反射面、及び、該反射面で反射した光を密閉室空間に放射する放射面を具備し、入射面、反射面、及び放射面のうち、少なくともいずれかの面に、投入された除染ガスの凝縮液が形成される凝縮検知用プリズムと、
凝縮検知用プリズムの放射面から放射された光を受光する受光部を具備し、受光した光の受光量に対応した電圧出力を発生する受光装置と
を備えたことを特徴とする凝縮センサー。
【請求項2】
凝縮検知用プリズムは、
投入された除染ガスの凝縮液が、入射面、反射面、及び放射面に形成されるものであることを特徴とする請求項1記載の凝縮センサー。
【請求項3】
凝縮検知用プリズムが、投光装置と受光装置との間で複数列設され、投光装置から照射された光が該複数の凝縮検知用プリズムを通過してなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の凝縮センサー。
【請求項4】
凝縮検知用プリズムの表面温度を測定する凝縮検知用プリズム用温度測定手段と、
凝縮検知用プリズム用温度測定手段が測定した凝縮検知用プリズムの表面温度を変更する凝縮検知用プリズム用表面温度変更手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の凝縮センサー。
【請求項5】
除染ガスが投入される密閉室に内在する除染対象物の表面温度を測定する除染対象物用温度測定手段と、
凝縮検知用プリズム用表面温度変更手段に、凝縮検知用プリズム用温度測定手段が測定した凝縮検知用プリズムの表面温度を、除染対象物用温度測定手段が測定した除染対象物の表面温度以上とするように指令する温度変更指令制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項4記載の凝縮センサー。
【請求項6】
密閉室内に配置された凝縮検知用プリズムの周囲にある空気を流動させて、当該凝縮検知用プリズムの表面上に一方向流を形成する送風手段と、
送風手段が形成した一方向流の流速を測定する流速測定手段と、
送風手段が形成した一方向流の流速を変更する流速変更手段と、
流速測定手段が測定した流速に基づいて、流速変更手段に流速を変更させるように指令する流速変更指令制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の凝縮センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−101479(P2007−101479A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294754(P2005−294754)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(599053643)株式会社エアレックス (29)
【Fターム(参考)】