説明

凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法

【課題】 運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供すること。
【解決手段】 試料を添加し遠心を行った後に凝集の有無を判定するための少なくとも1のカラムを具備する凝集判定容器であって、前記カラムは、当該試料を添加するための開口部と、当該開口部より添加された当該試料に含まれる非凝集粒子のみが通過可能な形状に配置された障害部を含む分離部と、前記分離部を通過した非凝集粒子を受ける液溜部と
を具備する凝集判定用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液型の判定や不規則抗体の検出には、試験管を用いた方法が用いられていた。しかしながら近年になり、特に臨床の場においては、より利便性のあるマイクロカラムやマイクロチューブを用いた遠心凝集法が普及するようになっている。例えば、特許文献1に開示される発明は、カード上に配置された細長いマイクロ反応容器に、10〜200μmのポリマー粒子やガラス粒子に代表される不溶性粒子を充填し、遠心によって効率よく、赤血球の凝集物と非凝集物を区別できる反応容器を考案している。
【0003】
特許文献1に開示される反応容器では、当該カラムに入ったセファデックスゲルやガラスビーズを担体として用いる。これによって反応凝集像が試験管法に比べて明瞭になり、陰性と陽性の判定がより確実なものとなる。また、カラム上に被検血球または血清を添加すると、凝集しない血球は遠心操作により当該ゲルまたはビーズの間を通過してカラム底部に溜まるが、凝集した血球は通過できずゲルの上部に留まることになる。これにより、このような装置を利用した陽性判定は凝集の強さ(即ち、分離パターン)によって4+〜W+と段階的に判別することが可能である。
【0004】
しかしながら、上述のようなカラムに充填されているゲルは各ロット間および同一カード中で均一且つ一定量で充填されていることが必要である。そうでない場合には、ゲル密度の高低やゲル量が不均一になるために、同じ環境下での分析が困難になってしまう。
【0005】
また、当該ゲル上端は水平に充填されていなければならない。従って、運搬時や取扱い時の不注意により、ゲル表面の乱れや飛び散りが生じた場合、そのまま当該カードを使用すれば血球凝集塊の分離が不均一になるので満足な判定結果は得られない。また、当該装置の製造においては、当該カラム(またはマイクロチューブ)へのゲルの注入は、細長いカラムに対してゲルを注入するという工程を経ているために気泡が混在していることが多い。そのような気泡の混入は凝集塊の分離に悪影響をもたらす。また更に、セファデックスゲル(DiaMed社MTSカードのゲル)など、そのような装置に使用されるゲルは一般的に価格が高いことが問題である。
【特許文献1】特公平8−7215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の状況から本発明の目的は、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するための鋭意研究の結果、本発明者らは以下のような手段を見出した。即ち、
(1) 試料を添加し遠心を行った後に凝集の有無を判定するための少なくとも1のカラムを具備する凝集判定容器であって、
前記カラムは、
当該試料を添加するための開口部と、
当該開口部より添加された当該試料に含まれる非凝集粒子のみが通過可能な形状に配置された障害部を含む分離部と、
前記分離部を通過した非凝集粒子を受ける液溜部と
を具備する凝集判定用容器;
(2) (1)に記載の凝集判定用容器であって、前記カラムは複数でカード型基板に具備され、且つ前記複数のカラムは全てカード型基板の厚み方向の断面に平行な1つの面に開口し、流れ方向で並行して配置される凝集判定容器;
(3) (1)または(2)に記載の凝集判定容器であって、1つのカラムに具備される前記分離部は、流れ方向と並行する複数の壁からなる障害部とそれにより構成される溝とからなる凝集判定容器;
(4) (1)または(2)に記載の凝集判定容器であって、1つのカラムに具備される前記分離部が流れ方向と並行する屈曲する複数の壁からなる障害部とそれにより構成される溝とからなる凝集判定容器;
(5) (2)に記載の凝集判定容器であって、当該カード型基板の厚み方向に対して垂直な平面による前記障害部の断面の形状が、多角形、円形および楕円形からなる群より選択される凝集判定容器;
(6) (1)〜(5)の何れか1項に記載の凝集判定容器を用いた凝集判定方法であって、
(a)試料をカラムの開口部に添加することと、
(b)当該凝集判定容器を遠心することと、
(c)前記(b)において遠心に供された当該凝集判定容器を観察することと、
(d)前記(c)における観察することにより、凝集の有無の判定を行うことと、
を具備する凝集判定方法;
(7) (6)に記載の凝集判定方法であって、さらに当該(c)の観察することにおいて、当該液溜部以外のカラム内に存在する凝集粒子を観察することを具備する凝集判定方法;
(8) (6)または(7)の何れかに記載の凝集判定方法であって、当該試料が、互いに特異的に結合することが可能な2種以上の物質を含む方法;
(9) (8)に記載の凝集判定方法であって、当該方法が血液型判定のためのおもて試験である方法;
(10) (8)に記載の凝集判定方法であって、当該方法が血液に関する型判定のためのうら試験である方法;
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によって、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.凝集判定容器の第1の態様
図1を用いて、本発明の第1の態様である凝集判定容器を説明する。
【0010】
凝集判定容器1は、カード型の基板2にカラム3を複数具備する例である。全てのカラム3は、カード型基板2の厚み方向の断面に平行な1つの面に開口し、且つ流れ方向で並行して配置される(図1(A))。図1(A)に記載されるように、全てのカラムは平行に配置される。
【0011】
カラム3の当該開口部から、試料が当該カラム3に対して添加される。添加された試料は、好ましくは当該開口部の下方の任意に構成される保持部に遠心が行われるまで一旦保持される。更に保持部の下方には当該試料に含まれる凝集粒子と非凝集粒子とを分離するための分離部4が配置される(図1(B))。分離部4は複数の障害部6を含み、2つの障害部6とカラム内壁とにより複数の溝5が構成される。当該溝5は、試料の流れるための流路として機能し、障害部6は、非凝集粒子のみ通過可能な形状に配置され、従って、溝5も非凝集粒子のみ通過可能な形状に配置される。図1(C)は、図1(A)の線C−C’に沿って当該凝集判定容器1を切断した断面図である。図1(C)に示す通り、カード型基板2のカラム3に具備される分離部4は、複数の障害部6と、2つの障害部6の1つの面とカラム内壁とで囲まれることにより形成される溝5とにより構成されている。本態様では、図1(B)に示すように障害部6は、1つのカラムに複数含まれ、流れ方向で並行する直線的な形状であり、それにより構成される溝5も流れ方向で並行する直線的な形状である。言い換えると、本態様においては、障害部6は、カラムの流れ方向に並行する壁である。
【0012】
更に、カラム3の分離部4の下方には当該溝5を通過した物質を受けるための液溜部7が配置される(図1(A))。
【0013】
次に、当該凝集判定用容器1の製造方法の1例を説明する。当該凝集判定用容器1は、プラスチック基板またはガラス基板などをエッチングすることにより形成されてよい。例えば、2枚の基板の一方に所望の溝をエッチングにより形成し、その後、当該2枚の基板を張り合わせてカード型基板2を形成してよい。また、当該2枚の基板の両方にエッチングを施すことにより溝を形成し、それらの基盤を張り合わせてカード型基板2を形成してもよい。
【0014】
当該エッチング技術は、それ自身公知の何れのエッチング技術を利用してよい。例えば、X線を利用するLIGAプロセスを利用してもよい。LIGAプロセスは、例えば、以下のように行うことができる。まず、レジストを施された金属基板に、溝が形成される以外の部分をマスクで覆い、その後X線照射によるX線リソグラフィーによりパターニングしてレジストに溝を形成する。その後、例えば、スルファミン酸系ニッケル浴で電解メッキを行ってニッケル製の鋳型を形成する。その後、ポリカーボネートを用い加熱加圧形成することにより鋳型のレプリカを形成する。次に、同様な溝を施した、または施していないポリカーボネートの基板を、前記レプリカと張り合わせることにより、本発明の凝集判定用容器が製造できる。
【0015】
上記の例では、ポリカーボネートを使用する例を示したが、これに限定するものではない。例えば、当該カード型基板の材料の非限定的な更なる例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、環状シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテート、硝酸セルロース、フルオロカーボン樹脂、ポリカーボネートおよびポリジメチルシロキサンがあり、これらの材料から1が選択されてもよく、またはこれらが組み合わされて使用されてもよい。
【0016】
また、本発明に従う凝集判定容器の製造方法は、上述した例に限定されるものではなく、鋳型を使用せずに直接的にマスクを用いて溝を形成する何れの技術を使用してもよく、その他、当業者にそれ自身公知の何れの技術を使用してもよい。
【0017】
溝5の流れ方向に垂直な断面の形態は、矩形であってよく、円形であってもよく、他の何れの形態であってもよい。しかしながら、製造が容易であるので、長方形または正方形であることは好ましい。溝5の断面の面積は、開口部から液溜部7の方向にGが掛かるような遠心を行った場合に、当該試料に含まれる粒子のうち、凝集の生じていない粒子(即ち、非凝集粒子)のみを通すことが可能な面積および/または形状にすることが必要である。
【0018】
上述したが、開口部から分離部4までの間には、遠心前に所望の量の試料を保持することが可能な体積からなる保持部があることが望ましい。
【0019】
また液溜部7は、少なくとも当該所望の遠心後に非凝集粒子が十分に回収されるのに必要な容量があればよい。
【0020】
例えば、カラムの長さは約0.5〜約7cmであってよい。また、1つの凝集判定用容器に具備されるカラムの数は例えば1〜20本、例えば、1〜10本、例えば6本であってよいが、これに限定されるものではない。また、当該凝集判定容器に具備されるカード型基板の最終的な寸法は、縦1〜20cm、横1〜30cm、厚み1〜10mmであってよいが、これに限定されるものではない。このような凝集判定用器の形状に関する設計事項は、用途や使用する試料の量および遠心の条件などによって決定すればよい。
【0021】
2.凝集判定方法
上述した本発明に従う凝集判定容器は、ABO型およびRh型血液型試験のおもて試験およびうら試験、並びに不規則抗体検査、その他の抗原抗体反応を利用する何れの試験においても利用することが可能である。また、抗原抗体反応以外にも、特異的に互いに結合することが可能な結合対に関して、結合対を構成する2つの物質のうちの一方の存在の有無を判定するために使用されてもよい。
【0022】
例えば、血液型のおもて試験に使用する場合、例えば次のように行えばよい。まず、被験者から赤血球を採取する。この赤血球を、第1のカラムには抗A抗体と共に、第2のカラムには抗B抗体と共に添加する。このとき、別の容器において反応させた後に当該カラムに添加しても、それぞれを別々に当該カラムに添加した後で、当該カラムの保持部において抗原抗体反応が行われてもよい。
【0023】
その後、一般的な遠心手段により適切な回転数且つ時間で遠心する。このような条件はそれ自身当業者に公知の何れの条件であってもよい。
【0024】
このような遠心により、被験者がB型の場合、第1のカラムでは図2(A)のように、当該被験者からの赤血球と抗A抗体は反応せず、赤血球における凝集が生じない。従って、当該遠心により、非凝集粒子8としての当該赤血球は溝5を通過して液溜部7へと沈殿していく(図(A))。一方、第2のカラムにおいては図2(B)のように、当該赤血球と抗B抗体が抗原抗体反応を生じ、その結果、凝集粒子9が形成される。溝5は、非凝集粒子のみを通過することが可能であるように設計されている。従って、凝集粒子9は、溝5を通過できずに、溝5の上部(即ち、分離部の上部)または溝5の内部に遠心後も留まる。
【0025】
このような遠心を行った後に、凝集判定容器2を観察し、凝集の有無を判定し、血液型を特定すればよい。この場合の観察は、肉眼で行ってもよく、顕微鏡などを行ってもよく、また、当該凝集判定容器をコピー機、CCDカメラ、画像処理機などにより得た画像を基に判定してもよい。
【0026】
また、上述ではおもて試験の例を記述したが、うら試験またはその他の抗体を検出する場合には、調べようとする抗体に対する抗原を具備するように製造したビーズや血球、またはその他の材料と抗体とを本発明に従う凝集判定容器に添加し、遠心した後に観察を行えばよい。このような所望の抗体を具備する何れかの材料は粒子状であればよい。また、所望の粒子の大きさに適切なように溝5の断面の形態および/または大きさを調整してもよい。このような抗体を具備する粒子の製造方法および材料は、それ自身当業者に公知の何れの方法および材料を使用してよい。
【0027】
本発明に従う凝集判定容器は、例えば、免疫学的凝集反応による凝集パターンの判定に用いる粒子凝集判定用容器として有用である。また、例えば、本発明の方法および容器は、血球粒子の凝集パターンから各種の血液型の判定、抗原および抗体反応の検出を行うためにも有用な手段である。
【0028】
また、本発明に従う凝集判定容器は、カラム遠心凝集法用のカラムとして使用することが可能であり、その形状がカードタイプなので、当該カード本体を複写機によってコピーし、判定結果を長期保存することも可能である。また、当該障害部を設けることによって、判定後に検体がカラム内部に留まるので、二次感染や汚染の危険性が軽減される。更に、高価なゲルを使用しないので安価に製造することが可能であり、また、ゲルを均一に且つ空気が入らないようにカラムに充填するという従来困難とされていた工程をなくすことが可能である。
【0029】
以上のような本発明の凝集判定用容器およびそれを用いた凝集判定方法により、運搬や使用時において安定した操作性が提供された。また、本発明の凝集判定用容器は安価に且つ容易に製造することが可能である。更に本発明により、安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法が提供された。
【0030】
3.凝集判定容器の第2の態様
図3に示す本発明の態様に従う凝集判定容器の第2の態様は、異なる形状の当該障害部26を用いることにより、それにより形成される溝25が複数の屈曲部を有すること以外は上述の第1の態様と同様である。
【0031】
第2の態様である凝集判定容器は、第1の態様と同様に製造することが可能であり、且つ同様に使用されてよい。本態様においては、障害部6は、非直線的な壁、即ち、複数の屈曲部を有する壁であるために非凝集粒子と凝集粒子との分離に有用である。屈曲部の屈曲角度および屈曲回数は所望に応じて適宜選択してよい。また、当該屈曲部が屈曲せずに、曲線的に湾曲することによって湾曲部を形成してもよい。
【0032】
以上のような本発明の凝集判定用容器およびそれを用いた凝集判定方法により、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供することが可能になった。
【0033】
4.凝集判定容器の第3の態様
図5(A)、(B)、(C)および(D)は、第1の態様である凝集判定容器の分離部4を構成する障害部の例を示す。図5は、障害部の当該カード型基板の厚み方向に対して垂直な平面による断面の形状である。本発明の第3の態様は、当該分離部4を構成する障害部の形状が異なる以外は、第1の態様と同様に製造することが可能であり、また同様に使用することが可能な凝集判定容器である。
【0034】
図5を参照されたい。図5は、当該分離部4に具備される障害部の断面は、第3の態様においては、56(A)のような三角形であっても、56(B)および56(C)に示すような菱形などの矩形またはその他の多角形であってもよく、また56(D)に示すような円形または楕円形であってもよい。当該障害部56によって当該非凝集粒子が通過するための溝5が形成される。構成される溝5は、第1の態様と同様に非凝集粒子は通すが、凝集粒子は当該障害部56を含む分離部4の上部または当該分離部4の中、即ち、溝5の途中で留まるように設計されればよい。当該溝5は、隣り合う障害部56の間の隙間から形成され、開口部から添加された試料に含まれる液体および非凝集粒子が通過するための流路として機能してよい。
【0035】
以上のような本発明の凝集判定用容器およびそれを用いた凝集判定方法により、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供することが可能になった。
【0036】
5.凝集判定容器の第4の態様
本発明に従う第4の態様は、図6に示すような当該カラム63の上部が下方部よりも広い形状を有するカラムである以外は、上述の第1〜第3の態様の何れかと同様に構成され、製造される凝集判定容器61である(図6)。凝集判定容器61はカード型の基板62にカラム63が形成され、分離部64に所望の形状の障害部を具備する。このように開口部およびカラムの上部が広いことにより、試料の添加を容易且つ安全に行うことが可能である。また、点線で囲んだ分離部64には、上述した何れの形態の障害部が配置されてもよい。
【0037】
以上のような本発明の凝集判定用容器およびそれを用いた凝集判定方法により、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供することが可能になった。
【0038】
6.凝集判定容器の第5の態様
また、本発明に従う凝集判定容器は、以下のようであってもよい。即ち、当該溝を形成するための障害部の表面、即ち、当該溝に接する面に対して抗体をコーティングしてもよい。それにより、目的とする凝集を促進し、凝集塊と非凝集物との分離を容易にすることが可能である。また、本第5の態様は、抗体のコーティング以外は、上述した何れの態様と同じように設計および製造されてよい。
【0039】
以上のような本発明の凝集判定用容器およびそれを用いた凝集判定方法により、運搬や使用時において安定した操作性を有し、安価に且つ容易に製造することが可能であり、更に安定して判定を行うことが可能な凝集判定容器およびそれを用いた凝集判定方法を提供することが可能になった。
【0040】
上述した例では血液型や抗体等の免疫学的検査について説明したが、本発明は免疫学的検査に限定されることなく、生化学ないし遺伝学的検査にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に従う凝集判定容器の1態様を示す図。
【図2】図1の凝集判定方容器の分離部を拡大した図。
【図3】本発明に従う凝集判定容器の1態様を示す図。
【図4】図3の凝集判定方容器の分離部を拡大した図。
【図5】本発明に従う凝集判定容器に具備される溝を形成するための障害部のパターンを示す図。
【図6】本発明に従う凝集判定容器の1態様を示す図。
【符号の説明】
【0042】
1 凝集判定容器
2 カード型の基板
3 カラム
4 分離部
5 溝
6 障害部
7 液溜部
8 非凝集粒子
9 凝集粒子
21 凝集判定容器
23 カラム
24 分離部
25 溝
26 障害部
27 非凝集粒子
28 凝集粒子
56 障害部
61 凝集判定容器
62 カード型の基板
63 カラム
64 分離部および液溜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を添加し遠心を行った後に凝集の有無を判定するための少なくとも1のカラムを具備する凝集判定容器であって、
前記カラムは、
当該試料を添加するための開口部と、
当該開口部より添加された当該試料に含まれる非凝集粒子のみが通過可能な形状に配置された障害部を含む分離部と、
前記分離部を通過した非凝集粒子を受ける液溜部と
を具備する凝集判定用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の凝集判定用容器であって、前記カラムは複数でカード型基板に具備され、且つ前記複数のカラムは全てカード型基板の厚み方向の断面に平行な1つの面に開口し、流れ方向で並行して配置される凝集判定容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の凝集判定容器であって、1つのカラムに具備される前記分離部は、流れ方向と並行する複数の壁からなる障害部とそれにより構成される溝とからなる凝集判定容器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の凝集判定容器であって、1つのカラムに具備される前記分離部が流れ方向と並行する屈曲する複数の壁からなる障害部とそれにより構成される溝とからなる凝集判定容器。
【請求項5】
請求項2に記載の凝集判定容器であって、当該カード型基板の厚み方向に対して垂直な平面による前記障害部の断面の形状が、多角形、円形および楕円形からなる群より選択される凝集判定容器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の凝集判定容器を用いた凝集判定方法であって、
(a)試料をカラムの開口部に添加することと、
(b)当該凝集判定容器を遠心することと、
(c)前記(b)において遠心に供された当該凝集判定容器を観察することと、
(d)前記(c)における観察することにより、凝集の有無の判定を行うことと、
を具備する凝集判定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の凝集判定方法であって、さらに当該(c)の観察することにおいて、当該液溜部以外のカラム内に存在する凝集粒子を観察することを具備する凝集判定方法。
【請求項8】
請求項6または7の何れかに記載の凝集判定方法であって、当該試料が、互いに特異的に結合することが可能な2種以上の物質を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の凝集判定方法であって、当該方法が血液型判定のためのおもて試験である方法。
【請求項10】
請求項8に記載の凝集判定方法であって、当該方法が血液に関する型判定のためのうら試験である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−256458(P2008−256458A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97610(P2007−97610)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】