説明

処方箋発行用コンピュータ、2次元コードリーダ、レセプトコンピュータ、処方箋読取装置、並びに処方箋管理システム

【課題】設計が比較的容易で、メンテナンス性に優れ、安定した処方箋発行処理を行なうことができるだけでなく、保険薬局での調剤行為における負荷を軽減すると共に、調剤ミスを効果的に防止し得る処方箋読取装置を提供する。
【解決手段】医療機関に設置されたホストコンピュータ21から出力された処方情報とそれに相当する2次元コードが記載された処方箋を発行する処方箋発行装置2と、保険薬局に設置され、発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取って処方情報に変換して記憶保存する処方箋読取装置3とを備え、処方箋読取装置3には、各医療機関のホストコンピュータから出力される種々異なる処方情報の書式に対応する書式が記憶保存され、処方箋発行装置2で発行される処方箋の2次元コードに、種々異なる処方情報の書式を備えた各ホストコンピュータの識別情報を含ませたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関で医師が作成する処方箋に記載された処方情報を入力することにより、当該処方情報に相当する2次元コードを作成し、前記処方情報及び前記2次元コードが記載された処方箋を発行する処方箋発行用コンピュータ、前記2次元コードを読み取る処方箋読取装置及びこれらを備えた処方箋管理システム及びそれに用いられる2次元コードリーダ、レセプトコンピュータ、並びに処方箋読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院や診療所等の医療機関では、医師が手書きした処方箋の内容(処方情報)をレセプトコンピュータ等のホストコンピュータに入力して、当該処方情報をデジタルデータとして管理している。より具体的には、レセプトコンピュータに記憶された処方情報に基づき、レセプト(保険基金に対する診療報酬明細表)を作成する他、処方箋を発行している。院内又は院外の保険薬局では、発行された処方箋に基づき、患者に投薬するべき医薬品の調剤行為を行っている。
【0003】
ここで、近年の医薬分業政策に伴い、患者を診療した医療機関では、医薬品の調剤を行わずに処方箋を発行するに留まる一方、院外の保険薬局において、患者が持参した処方箋に基づく調剤行為を行う場合が増えている。この場合、院外の保険薬局では、前述した処方箋に基づく調剤行為を行う他、レセプト作成や薬歴簿作成等のため、保険薬局に設置されたレセプトコンピュータ等に処方情報を入力しているのが一般的である。従って、保険薬局では、処方箋を見ながらレセプトコンピュータが具備するキーボード等で処方情報を入力しなければならないという手間がかかる上、誤入力が生じるおそれもあった。
【0004】
そこで、患者が持参する処方箋、つまり、医療機関のレセプトコンピュータで発行する処方箋に、テキストデータとしての処方情報のみならず、処方情報に相当する2次元コード(QRコード等)も併せて印刷するシステムが開発されている。斯かるシステムを利用すれば、院外の保険薬局では、当該薬局のレセプトコンピュータに接続した2次元コードリーダで、処方箋に記載された2次元コードを読み取ることにより、手入力を介さずに処方情報を直接入力することができるため、前述したような入力の手間や誤入力といった問題を回避することが可能である。
【特許文献1】特開2002−092166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記システムは、既存のレセプトコンピュータに、処方情報に相当する2次元コードを作成し、当該2次元コードと処方情報とを含む処方箋として発行する処理(以下、2次元コード発行処理という)を行わせるべく、レセプトコンピュータが内蔵する制御プログラムに追加変更等の改良を施したり、或いは、制御プログラム全体を入れ替えて構成したものである。従って、制御プログラムの改良等の際に、2次元コード発行処理以外の既存の処理(レセプト作成処理や、2次元コードを含まない通常の処方箋(例えば、2次元コード読取装置を具備しない保険薬局向けの処方箋として使用される)の発行処理など)に及ぼす影響を十分に考慮しなければならないなど、煩雑なシステム設計を要し、ひいては、メンテナンスが面倒になったり、コストの高騰を招くという問題があった。また、レセプトコンピュータ1台あたりの処理負荷が大きくなる結果、2次元コード発行処理のみならず他の既存の処理の不安定動作を招く場合もあった。
【0006】
ところで、医薬品の名称には、各製薬メーカーによって付けられた商品名と、医薬品の組成・成分、用法・用量、効能・効果等に応じて付けられた一般名とが存在する。つまり、同一の一般名を有する医薬品であっても、商品名としては種々の異なる名称が存在する場合があり、この点で、一般名は言わば商品名を総称するものである。ここで、医師が処方箋を作成する際、医薬品の名称を商品名で記載する場合と、一般名で記載する場合とがある。
【0007】
医師が商品名で処方箋を記載した場合、前述した従来のシステムでは、院外の保険薬局に患者が持参する処方箋(処方情報及び2次元コード)には、医薬品の商品名が記載されることになる。従って、保険薬局では、斯かる商品名に基づき調剤行為を行うことになるが、仮に、その商品名の医薬品を取扱っていない場合や、在庫切れが生じている場合等には、当該商品名の医薬品と一般名としては同一である他の商品名の医薬品を、医薬品の用語集等を参照しながら探し出す必要が生じ、面倒な作業を強いると共に、場合によっては調剤ミスに通じる可能性すらある。
【0008】
一方、医師が一般名で処方箋を記載した場合には、保険薬局に患者が持参する処方箋(処方情報及び2次元コード)には、医薬品の一般名が記載されることになる。しかしながら、保険薬局では、医薬品を商品名で管理しているのが一般的であるため、前記処方箋に記載された一般名を有する医薬品に、自局で取扱っている何れの商品名の医薬品が相当するのかを調べる必要が生じ、面倒な作業を強いると共に、場合によっては調剤ミスに通じる可能性すらある。
【0009】
以上のように、従来は、医師が処方箋を作成する際、医薬品の名称を商品名又は一般名(若しくは両者が混在する場合もある)の何れで記載したとしても、保険薬局に面倒な作業を強いると共に、場合によっては調剤ミスに通じる可能性があるという問題がある。
【0010】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、設計が比較的容易で、メンテナンス性に優れ、安定した処方箋発行処理を行なうことができるだけでなく、保険薬局での調剤行為における負荷を軽減すると共に、調剤ミスを効果的に防止し得る処方箋発行用コンピュータ、2次元コードリーダ、レセプトコンピュータ、処方箋読取装置、並びに処方箋管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するべく、本発明は、医療機関に設置され、入力された医薬品の処方情報を記憶保存すると共に外部に出力可能である既存のホストコンピュータに接続されたコンピュータであって、前記ホストコンピュータから出力された前記処方情報が入力されると、当該処方情報に相当する2次元コードを作成し、前記処方情報及び前記2次元コードが記載された処方箋を発行する処方箋発行用コンピュータにおいて、前記ホストコンピュータから出力される処方情報の書式は、各医療機関に設置されているホストコンピュータの機種に応じて種々異なり、前記種々異なる処方情報の書式を備えた各ホストコンピュータの識別情報を、前記発行される処方箋の2次元コードに含ませておくことを特徴とする処方箋発行用コンピュータを提供するものである。
【0012】
また、保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取り、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とする2次元コードリーダを提供するものである。
【0013】
また、保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピュータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取る2次元コードリーダに通信回線を介して接続されたレセプトコンピュータであって、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とするレセプトコンピュータを提供するものである。
【0014】
さらに、保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピュータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取り、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とする処方箋読取装置を提供するものである。
【0015】
前記処方箋読取装置には、医薬品の商品名と、商品名を総称する一般名とが関連付けられたデータベースが記憶されており、前記処方箋読取装置は、前記データベースから、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報に含まれる医薬品の一般名に対応する商品名を抽出し、前記一般名を前記抽出した商品名に置換した処方情報を記憶保存することを特徴とするものである。
【0016】
さらにまた、医療機関に設置され、入力された医薬品の処方情報を記憶保存すると共に外部に出力可能である既存のホストコンピュータと、請求項1記載の処方箋発行用コンピュータと、請求項4又は5記載の処方箋読取装置とを備えることを特徴とする処方箋管理システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、本発明に係る処方箋管理システムによれば、レセプトコンピュータ等の既存のホストコンピュータとは独立別個に、処方情報及び2次元コードが記載された処方箋を発行するための処方箋発行用コンピュータを備える構成であるため、従来のように全ての処理をレセプトコンピュータで行う場合に比べ、設計が比較的容易で、メンテナンス性に優れ、安定した処方箋発行処理を行なうことが可能である。
また、本発明に係る処方箋読取装置によれば、処方箋に記載された2次元コードを処方箋読取装置で読み取ることにより、手入力を介さずに処方情報を記憶保存することができるため、入力の手間や誤入力といった問題を回避しつつ、記憶保存された処方情報をレセプト作成や薬歴簿作成に供することができる。
さらに、前記処方箋発行装置と、前記処方箋読取装置とを備えることを特徴とする本発明に係る処方箋管理システムによれば、医療機関と保険薬局との間における効率的な処方箋管理が実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る処方箋管理システムの概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る処方箋管理システム(以下、適宜「管理システム」という)1は、医療機関Mに設置された処方箋発行装置2と、保険薬局Dに設置された処方箋読取装置3とを備えている。
【0019】
処方箋発行装置2は、ホストコンピュータとしてのレセプトコンピュータ21と、処方箋発行用コンピュータ22とを備えている。
【0020】
レセプトコンピュータ21は、CPU等の制御手段、メモリやハードディスク等の記憶手段、モニタ等の表示手段、キーボードやマウス等からなる入力手段及びプリンタ等の出力手段を備えた汎用のパーソナルコンピュータやワークステーションを利用して構成されている。前記記憶手段には、以下に述べるような動作を前記制御手段に行わせるためのプログラムが記憶され、当該プログラムが適宜読み出され起動されるように構成されている。つまり、レセプトコンピュータ21の制御手段は、キーボード等の入力手段を通じて医師の手書きした処方箋の内容(処方情報)が入力されると、当該処方情報を記憶手段に記憶保存すると共に、当該処方情報に基づき、レセプト(保険基金に対する診療報酬明細表)を作成したり、通常の院外処方箋(後述する2次元コードを含まないテキストデータのみの処方箋)を作成して、これらを前記表示手段に表示したり、前記出力手段から出力(印刷)する動作を行うように構成されている。また、レセプトコンピュータ21の制御手段は、LAN等の通信回線N1を介して、前記記憶手段に記憶保存された処方情報を外部に出力する動作を行うことが可能とされている。
【0021】
処方箋発行用コンピュータ22は、通信回線N1を介して、レセプトコンピュータ21に接続されており、レセプトコンピュータ21と同様に、CPU等の制御手段、メモリやハードディスク等の記憶手段、モニタ等の表示手段、キーボードやマウス等からなる入力手段及びプリンタ等の出力手段を備えた汎用のパーソナルコンピュータやワークステーションを利用して構成されている。前記記憶手段には、以下に述べるような動作を前記制御手段に行わせるためのプログラムが記憶され、当該プログラムが適宜読み出され起動されるように構成されている。つまり、処方箋発行用コンピュータ22の制御手段は、通信回線N1を介して、処方情報が入力されると、当該処方情報に相当するQRコード等の2次元コードを作成し、前記出力手段から前記処方情報及び前記2次元コードが記載された処方箋を発行(印刷)する動作を行うように構成されている。なお、QRコード等の2次元コードは、漢字やかな等も含む大容量の情報を小さなサイズのコードで表現できるため、処方情報をコード化する上でバーコード等よりも好適である。また、そのコード化アルゴリズムは、JISやISO等で規格化されており、本実施形態に係る処方箋発行用コンピュータ22でも、規格化された公知のアルゴリズムに従って、2次元コードを作成している。また、レセプトコンピュータ21から出力される処方情報の書式(配列)は、各医療機関に設置されているレセプトコンピュータ21の機種等に応じて種々異なるのが一般的である。従って、処方箋発行用コンピュータ22で作成される2次元コードも、処方情報の内容自体は例え同一であったとしても、前記種々異なる書式に応じて異なるものとなる。そこで、後述するように、2次元コードリーダ31又はレセプトコンピュータ32に予め前記書式に対応する書式を記憶させる構成とし、デコードされた処方情報を前記記憶された書式に当てはめ(記憶された書式に適合するように処方情報を配列する)て出力又は記憶保存するように構成されている。なお、複数のレセプトコンピュータ21の異なる書式に対応させる場合には、例えば、各レセプトコンピュータ21の識別情報を2次元コードに含ませておき、2次元コードリーダ31又はレセプトコンピュータ32が予め記憶している複数の書式の中から、読み取った前記識別情報に対応する書式を選択するように構成すればよい。
【0022】
図2は、処方箋発行用コンピュータ22で発行される処方箋(院外処方箋)の一例を示す。図2に示すように、処方箋発行用コンピュータ22で発行される処方箋は、テキストデータとしての処方情報(医薬品の名称、用法、用量等の他、患者の属性情報も含む)の他、当該処方情報をコード化した2次元コードQが記載されている。後述するように、保険薬局では、斯かる処方箋に記載された処方情報を目視で確認する他、2次元コードQを読み取ることにより、簡易且つ確実に処方情報を記憶保存することが可能である。なお、本実施形態では、医療機関Mでは、全て医薬品の一般名で処方箋を記載する運用としており、これに応じて、処方箋発行用コンピュータ22で発行される処方箋(処方情報及び2次元コード)にも医薬品の一般名が記載されている。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態に係る処方箋発行装置2は、レセプトコンピュータ21とは独立別個に、処方情報及び2次元コードが記載された処方箋を発行するための処方箋発行用コンピュータ22を備える構成であるため、従来のように全ての処理をレセプトコンピュータで行う場合に比べ、設計が比較的容易で、メンテナンス性に優れ、安定した処方箋発行処理を行なうことが可能である。
【0024】
次に、図1に示す処方箋読取装置3は、患者が持参した処方箋に記載された2次元コードを読み取り、デコード(2次元コードに相当するテキストデータとしての処方情報に変換)して出力する2次元コードリーダ31と、2次元コードリーダ31から出力された処方情報を、RS232C等の通信回線N2を介して受信し、当該処方情報を記憶保存する既存のレセプトコンピュータ32とを備えている。
【0025】
2次元コードリーダ31は、2次元CCDカメラ等の光学系や、当該光学系で撮像した2次元コード画像を画像処理してデコードするための電子回路等から構成されている。
【0026】
レセプトコンピュータ32は、CPU等の制御手段、メモリやハードディスク等の記憶手段、モニタ等の表示手段、キーボードやマウス等からなる入力手段及びプリンタ等の出力手段を備えた汎用のパーソナルコンピュータやワークステーションを利用して構成されている。レセプトコンピュータ32は、前述のようにして記憶保存された処方情報に基づき、レセプト作成や薬歴簿作成を行い得るように構成されている。
【0027】
なお、2次元コードリーダ31又はレセプトコンピュータ32には、医療機関のレセプトコンピュータ21から出力される処方情報の書式に対応する書式が記憶保存されている。2次元コードリーダ31に前記書式が記憶保存されている場合、2次元コードリーダ31は、2次元コードを読み取ってデコードした後、当該デコードされた処方情報を前記記憶保存された書式に当てはめて、レセプトコンピュータ32に出力することになる。また、レセプトコンピュータ32に前記書式が記憶保存されている場合、レセプトコンピュータ32は、受信した処方情報を前記記憶保存された書式に当てはめた後に記憶保存することになる。
【0028】
また、本実施形態では、2次元コードリーダ31が2次元コードの読み取り及びデコードの両機能を有する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、2次元コードリーダ31とレセプトコンピュータ32との間に、両者に接続された他のデコード用コンピュータ(図示せず)を設置する構成を採用することも可能である。つまり、2次元コードリーダ31が読み取った2次元コード画像を、前記デコード用コンピュータが受信して所定の画像処理によってデコードし、デコードされた処方情報をレセプトコンピュータ32が受信してこれを記憶保存するように構成することも可能である。この場合、前記デコード用コンピュータに、レセプトコンピュータ21から出力される処方情報の書式に対応する書式を記憶保存しておき、前記デコード用コンピュータが、前記デコードされた処方情報を前記記憶保存された書式に当てはめて、レセプトコンピュータ32に出力することも可能である。
【0029】
以上に説明したように、本実施形態に係る処方箋読取装置3は、2次元コードを読み取ることにより、手入力を介さずに処方情報を記憶保存することができるため、入力の手間や誤入力といった問題を回避しつつ、記憶保存された処方情報をレセプト作成や薬歴簿作成に供することができるという利点を有する。なお、処方箋に記載された処方情報(テキストデータ)は、保険薬局Dにおける調剤行為に供することができる他、2次元コードを読み取ってデコードした内容に誤りが無いかどうかを確認するための資料としても使用することができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る処方箋読取装置3のレセプトコンピュータ32には、医薬品の商品名と、商品名を総称する一般名とが関連付けられたデータベースが記憶されている。より具体的には、例えば、「ア○ファネート錠81mg」、「ク○インチェ錠81mg」、「ニ○ギス錠81mg」、「バ○サミン錠81mg」、「バ○ァリン81mg錠」及び「フ○モター錠81mg」という6つの商品名は、一般名である「アスピリンダイアルミネート錠」で総称されるものであり、斯かる一般名と各商品名とが関連付けられたデータベースが記憶されている。
【0031】
レセプトコンピュータ32は、前記データベースから、前記デコードされた処方情報に含まれる医薬品の一般名に対応する商品名を抽出し、前記一般名を前記抽出した商品名に置換した処方情報を記憶保存することが可能に構成されている。斯かる構成を有する処方箋読取装置3によれば、処方情報に含まれる医薬品の一般名に対応する商品名が抽出され、前記一般名を前記抽出した商品名に置換した処方情報が記憶保存される。従って、前述したように、医療機関Mでは、全て一般名で処方箋を記載する運用とする一方、保険薬局Dでは、前記記憶保存された処方情報(商品名に置換した後の処方情報)を、レセプトコンピュータ32のモニタ等で閲覧するだけでよい。これにより、処方箋に記載された一般名を有する医薬品が、自局で取扱っている何れの商品名の医薬品に相当するのかを医薬品用語集等で調べる必要もなく、調剤行為における負荷が軽減されると共に、調剤ミスを効果的に防止することも可能である。
【0032】
なお、前述した例のように、所定の一般名に対応する商品名が複数ある場合には、斯かる複数の商品名の全てを抽出して、それらのいずれかを選択すれば良いことが分かるような書式(前述した例で説明すれば、医薬品「ア○ファネート錠81mg、ク○インチェ錠81mg、ニ○ギス錠81mg、バ○サミン錠81mg、バ○ァリン81mg錠及びフ○モター錠81mgのいずれか一つ」というような書式)で処方情報を置換すればよい。或いは、対応する商品名が複数あっても、予め決められた規則(例えば、データベースへの登録順など)に従って、いずれか一つの商品名のみを抽出する構成とすることも可能である。また、前記データベースにおいて、各保険薬局Dがそれぞれ取扱っている商品名のみを一般名に関連付ける(前述した例で説明すれば、6つの商品名の内、2つの商品名の医薬品しか取扱っていない場合には、当該2つの商品名と、その一般名とを関連付けたデータベースとする)ように構成すれば、自局で取扱っている商品名を迅速に抽出することが可能である。
【0033】
なお、本実施形態では、処方箋発行装置2のホストコンピュータとして、一般的なレセプトコンピュータ21を適用する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、入力された医薬品の処方情報を記憶保存すると共に外部に出力可能であるホストコンピュータである限り、必ずしもレセプト作成機能を必要とするものではない(本発明に係るホストコンピュータとは別にレセプトコンピュータが設置されている場合でもよい)。
【0034】
また、本実施形態の処方箋読取装置3を構成するレセプトコンピュータ32も、必ずしもレセプト作成機能を必要とするものではなく、2次元コードに相当するテキストデータとしての処方情報を受信して記憶保存し得る限り、種々の構成を採用可能である。
【0035】
さらに、本実施形態の処方箋読取装置3は、2次元コードリーダ31と、レセプトコンピュータ(汎用のパーソナルコンピュータ等)32とを別体とし、通信回線N2を介して両者を接続した構成としているが、本発明はこれに限るものではなく、例えば2次元コードリーダを内蔵する専用装置として構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る処方箋管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す処方箋発行用コンピュータで発行される処方箋の一例を示す。
【符号の説明】
【0037】
1…処方箋管理システム、2…処方箋発行装置、3…処方箋読取装置、21…ホスト(レセプト)コンピュータ、22…処方箋発行用コンピュータ、31…2次元コードリーダ、32…レセプトコンピュータ、D…保険薬局、M…医療機関、N1,N2…通信回線、Q…2次元コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関に設置され、入力された医薬品の処方情報を記憶保存すると共に外部に出力可能である既存のホストコンピュータに接続されたコンピュータであって、前記ホストコンピュータから出力された前記処方情報が入力されると、当該処方情報に相当する2次元コードを作成し、前記処方情報及び前記2次元コードが記載された処方箋を発行する処方箋発行用コンピュータにおいて、
前記ホストコンピュータから出力される処方情報の書式は、各医療機関に設置されているホストコンピュータの機種に応じて種々異なり、前記種々異なる処方情報の書式を備えた各ホストコンピュータの識別情報を、前記発行される処方箋の2次元コードに含ませておくことを特徴とする処方箋発行用コンピュータ。
【請求項2】
保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取り、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とする2次元コードリーダ。
【請求項3】
保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピュータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取る2次元コードリーダに通信回線を介して接続されたレセプトコンピュータであって、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とするレセプトコンピュータ。
【請求項4】
保険薬局に設置され、各医療機関のホストコンピュータから出力される処方情報の書式に対応する書式が予め記憶保存され、請求項1に記載の処方箋発行用コンピュータによって発行された処方箋に記載された2次元コードを読み取り、予め記憶している書式の中から、読み取った各ホストコンピュータの識別情報に対応する書式を選択し、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報を該選択した書式に当てはめて出力又は記憶保存することを特徴とする処方箋読取装置。
【請求項5】
前記処方箋読取装置には、医薬品の商品名と、商品名を総称する一般名とが関連付けられたデータベースが記憶されており、
前記処方箋読取装置は、前記データベースから、前記読み取った2次元コードに相当する処方情報に含まれる医薬品の一般名に対応する商品名を抽出し、前記一般名を前記抽出した商品名に置換した処方情報を記憶保存することを特徴とする請求項4に記載の処方箋読取装置。
【請求項6】
医療機関に設置され、入力された医薬品の処方情報を記憶保存すると共に外部に出力可能である既存のホストコンピュータと、請求項1記載の処方箋発行用コンピュータと、請求項4又は5記載の処方箋読取装置とを備えることを特徴とする処方箋管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−305416(P2008−305416A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170562(P2008−170562)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【分割の表示】特願2002−202291(P2002−202291)の分割
【原出願日】平成14年7月11日(2002.7.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】