説明

凹部から凸部への嵌合境界面を伴うロック機構を有する固定軸受膝プロテーゼ

【課題】固定軸受プロテーゼを提供する。
【解決手段】固定軸受プロテーゼは、内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントを備える。膝プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面と、を有する軸受も備える。脛骨トレイは、軸受に固定される。脛骨トレイは、プラットフォームを有し、プラットフォームは、その下面から下方に延びる細長い茎部を含む。後方バットレスは、トレイのプラットフォームの周辺部の後方部分に沿って延び、前方バットレスは、トレイのプラットフォームの周辺部の前方部分に沿って延びる。異なる寸法の脛骨トレイは、異なる寸法の軸受と互換性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、埋め込み型整形外科用プロテーゼ、より具体的には、埋め込み型膝プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の生涯において、例えば、病気又は外傷の結果として、患者の関節置換手術を行う必要がある場合がある。膝置換手術は、1つ以上の患者の骨に移植されるプロテーゼの使用を伴い得る。膝置換手術の場合、脛骨トレイが患者の脛骨に埋め込まれる。軸受は、脛骨トレイに固定される。代替的な大腿骨コンポーネントの顆表面は、脛骨軸受を支える。
【0003】
1つの種類の膝プロテーゼは、固定軸受膝プロテーゼである。その名の示すとおり、固定軸受膝プロテーゼの軸受は脛骨トレイに対して動かない。固定軸受設計は通常、患者の軟組織(即ち、膝靱帯)の状態が、可動軸受を有する膝プロテーゼの使用を許さない場合に使用される。
【0004】
固定軸受膝プロテーゼのコンポーネントは、典型的に、一致する寸法で製造者によって提供される。詳細には、現在最も入手可能な固定軸受膝プロテーゼは、外科医が、特定の寸法の大腿骨コンポーネントに多数の軸受の寸法を使用することが可能になるが、それぞれの軸受の寸法は、特定の寸法の脛骨トレイと略一致する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、固定軸受膝プロテーゼは、内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントを備える。プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節接合なすように構成された内側軸受面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面と、を有する軸受も備える。脛骨トレイは、軸受に固定される。脛骨トレイはプラットフォームを有し、前記プラットフォームは、該プラットフォームの下面から下方に延びる固定部材を備える。プラットフォームは、プラットフォームの周辺部の後方部分から離れて前方に延び、かつプラットフォームの上面から上方に延びる後方バットレスを含む。後方バットレスは、凹面に移行する凸面を有する最外側縁部と、凹面に移行する凸面を有する最内側縁部とを含む。
【0006】
脛骨トレイの後方バットレスは最上位面を含み、後方バットレスはプラットフォームの上面から後方バットレスの最上位面へ上方に延びる。後方バットレスの最外側縁部の凸面は、後方バットレスの最上位面から下方に延び、後方バットレスの最外側縁部の凹面に移行する。同様に、後方バットレスの最内側縁部の凸面は、後方バットレスの最上位面から下方に延び、後方バットレスの最内側縁部の凹面に移行する。
【0007】
後方バットレスの最外側縁部の凹面は、後方バットレスの最外側縁部の凸面から下方に延び、プラットフォームの上面に移行する。同様に、後方バットレスの最内側縁部の凹面は、後方バットレスの最内側縁部の凸面から下方に延び、プラットフォームの上面に移行する。
【0008】
後方バットレスは、略Y型であり、かつプラットフォームの後方縁部に沿って延びる第1のアームと、第1のアームから離れる方向にプラットフォームの後方縁部に沿って延びる第2のアームと、を有する。後方バットレスの最外側縁部は第1のアーム内に画定され、後方バットレスの最内側縁部は第2のアーム内に画定されている。第3のアームは、第1のアーム及び第2のアームから離れて前方に延びる。
【0009】
後方バットレスの最外側縁部は、後方バットレスの最外側縁部が後方バットレスの第1のアームに沿ってプラットフォームの後方縁部から離れて前方に延び、かつ第3のアームに移行するように、第3のアーム内に画定されている。反対側では、後方バットレスの最内側縁部は、後方バットレスの最内側縁部が、後方バットレスの第2のアームに沿ってプラットフォームの後方縁部から離れて前方に延び、かつ第3のアームに移行するように、第3のアーム内に画定されている。
【0010】
脛骨トレイの後方バットレスは、最前方縁部を含む。後方バットレスの最外側縁部は、後方バットレスの第3のアームに沿って第1のアームから離れて前方に延び、かつ後方バットレスの最前方縁部に移行する。後方バットレスの最内側縁部は、後方バットレスの第3のアームに沿って第2のアームから離れて前方に延び、かつ後方バットレスの最前方縁部に移行する。
【0011】
軸受は、上面及び下面を有する。内側軸受面及び外側軸受面の両方は、軸受の上面内に画定されている。軸受の下面は、脛骨トレイのプラットフォームの上面と接触する。軸受の下面は、内部に形成された後方凹部を有し、脛骨トレイの後方バットレスが軸受の後方凹部内に配置される。
【0012】
軸受の後方凹部は、軸受の最下位面から上方に延びる最外側側壁と、軸受の最下位面から上方に延びる最内側側壁と、により画定されている。最外側側壁は凹面に移行する凸面を含み、最内側側壁は同様に凸面に移行する凹面を含む。
【0013】
後方凹部の最外側側壁の凸面は軸受の最下位面から上方に延び、かつ後方凹部の最外側側壁の凹面に移行する。同様に、後方凹部の最内側側壁の凸面は軸受の最下位面から上方に延び、かつ後方凹部の最内側側壁の凹面に移行する。
【0014】
別の態様によれば、固定軸受膝プロテーゼは、内側顆表面と外側顆表面とを有する大腿骨コンポーネントを備える。プロテーゼは、大腿骨コンポーネントの内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、大腿骨コンポーネントの外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面と、を有する、軸受も備える。脛骨トレイは、軸受に固定される。脛骨トレイはプラットフォームを有し、前記プラットフォームは、その下面から下方に延びる固定部材を備える。プラットフォームは、プラットフォームの周辺部の前方部分に沿って延び、かつプラットフォームの上面から上方に延びる前方バットレスを有する。前方バットレスは、凹面に移行する凸面を含む最後方縁部を含む。
【0015】
脛骨トレイの前方バットレスは、最上位面を含む。前方バットレスは、プラットフォームの上面から後方バットレスの最上位面へ上方に延びる。前方バットレスの最後方縁部の凸面は、前方バットレスの最上位面から下方に延び、かつ後方バットレスの最後方縁部の凹面に移行する。
【0016】
前方バットレスの最後方縁部の凹面は、前方バットレスの最後方縁部の凸面から下方に延び、プラットフォームの上面に移行する。
【0017】
軸受は上面及び下面を有し、内側軸受面及び外側軸受面の両方は、軸受の上面内に画定されている。軸受の下面は、脛骨トレイのプラットフォームの上面と接触する。軸受の下面は、内部に形成された前方凹部を有し、脛骨トレイの前方バットレスが軸受の前方凹部内に配置される。
【0018】
軸受の前方凹部は、軸受の最下位面から上方に延びる最後方側壁により画定されている。最後方側壁は、凹面に移行する凸面を含む。
【0019】
前方凹部の最後方側壁の凸面は、軸受の最下位面から上方に延び、かつ前方凹部の最後方側壁の凹面に移行する。
【0020】
想像線が前方バットレスの最後方縁部に沿って延び、このような想像線が一定半径を有する曲線を画定する。
【0021】
前方バットレスの最後方縁部は内部に画定されたアンダーカットを有し、このようなアンダーカットは想像線の中点に中心がある。
【0022】
軸受は、前方バットレス内に画定されたアンダーカット内に配置されている固定用タブを含む。
【0023】
前方バットレスの内側末端部は、プラットフォームの最前方地点とプラットフォームの最内側地点との間のプラットフォームの前方縁部上の位置に配置され、前方バットレスの外側末端部は、プラットフォームの最前方地点とプラットフォームの最外側地点との間のプラットフォームの前方縁部上の位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
「発明を実施するための形態」においては、特に以下の図面を参照する。
【図1】固定軸受膝プロテーゼの分解斜視図。
【図2】図1の膝プロテーゼの軸受の底部面の斜視図。
【図3】図1の膝プロテーゼの脛骨トレイの斜視図。
【図4】図1の膝プロテーゼの脛骨トレイの平面図。
【図5】脛骨トレイにスナップ嵌めする脛骨軸受を示す断面図。
【図6】図5において円で囲まれた範囲をより詳細に示す拡大図。
【図7】図1の膝プロテーゼの多数の異なる寸法の脛骨トレイの線図式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に記載する。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点を理解すべきである。
【0026】
解剖学的基準を表す前方、後方、内側、外側、上方、下方等の用語は、本開示全体にて、本明細書に記載される整形外科用インプラントと、患者の自然の解剖学的構造との両方に関して使用され得る。これらの用語は、解剖学的研究及び整形外科分野の両方において十分に理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準の用語の使用は、特に言及しない限り、それらの十分理解された意味と一致することが意図される。
【0027】
以下、図1〜4を参照すると、固定軸受膝プロテーゼ10が示されている。膝プロテーゼ10は、大腿骨コンポーネント12、脛骨トレイ14及び脛骨軸受16を含む。脛骨トレイ14は、プラットフォーム18であって、その下面22から離れて延びる、細長い茎部20等の固定部材を有する。細長い脛骨茎部20は、患者の脛骨の外科的に準備された末端部(図示せず)内に埋め込まれるように構成される。1つ以上の短いペグ又は柱等の他の固定部材は、細長い茎部20の代わりに使用し得ることを理解されたい。軸受16は、脛骨トレイ14に固定可能である。具体的には、より詳細に以下に説明されるように、軸受16は、脛骨トレイ14にスナップ嵌めされ得る。かかる方法では、軸受16は、脛骨トレイ14に対して固定される(即ち、軸受は、前方/後方又は内側/外側の方向に回転することも移動可能することもできない)。
【0028】
軸受16の上面は、外側軸受面26及び内側軸受面28を含む。軸受面26、28は、大腿骨コンポーネント12の外側顆表面30及び内側顆表面32とそれぞれ関節接合をなすように構成される。詳細には、大腿骨コンポーネント12は、患者の大腿骨の外科的に準備された末端部(図示せず)内に埋め込まれるように構成され、患者の自然の大腿骨顆の構成を模倣するように構成される。したがって、外側顆表面30及び内側顆表面32は、自然の大腿骨の顆を擬態する方法で構成(例えば、湾曲)される。外側顆表面30及び内側顆表面32は、互いから離れて離間していて、それによって、それらの間に顆間の切痕を画定する。
【0029】
大腿骨コンポーネント12及び脛骨トレイ14等の自然の骨に係合する膝プロテーゼ10のコンポーネントは、コバルトクロム合金等の生体適合性金属で構成され得るが、他の材料も使用し得る。これらのコンポーネントの骨に係合する表面は、骨のコンポーネントへのセメント接合を促進するように非平滑化され得る。かかる表面はまた、永久固定のために骨の内部成長を推進するように多孔質コーティングされてもよい。
【0030】
軸受16は、高分子材料等の、軸受16と大腿骨コンポーネント12との間の円滑な関節を可能にする材料で構成され得る。かかる高分子材料の1つは、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等のポリエチレンである。
【0031】
図2に示すように、軸受16の下面36は、外側台部34及び内側台部38を含んでいる。軸受16内に、前方タブ42も画定されている。
【0032】
図3及び4に示すように、略Y型の後方バットレス44は、脛骨トレイ14の上面24から上方に延びる。本明細書に記載する例示的な実施形態では、後方バットレス44は、脛骨トレイのプラットフォーム18の周辺部の後方部分に沿って延びる、一対のアーム46、48を、有する。詳細には、後方バットレス44の外側アーム46は、プラットフォーム18の外側部上の後方縁部50に沿って延び、後方バットレス44の内側アーム48は、外側アーム46から離れる方向に、プラットフォーム18の内側部上の後方縁部50に沿って延びる。後方バットレス44の第3のアーム52は、外側アーム46及び内側アーム48の交点から離れて前方に(即ち、プラットフォーム18の中心に向かう方向に)延びる。
【0033】
また図3及び4に示すように、前方バットレス64は、脛骨トレイ14の上面24から上方に延びる。本明細書に記載する例示的な実施形態では、前方バットレス64は、脛骨トレイのプラットフォーム18の周辺部の前方部分に沿って延びる、一対のアーム66、68を有する。詳細には、前方バットレス64の外側アーム66は、プラットフォーム18の外側部上の前方縁部70に沿って延び、前方バットレス64の内側アーム68は、外側アーム66から離れる方向に、プラットフォーム18の内側部上の前方縁部70に沿って延びる。
【0034】
前方バットレス64は、外側アーム66及び内側アーム68の近位端が、トレイのプラットフォーム18の最前方地点98における前方縁部70上の位置で結合される(即ち、空間的に互いに固定される)、隣接モノリシック構造を画定する。外側アーム66は、トレイのプラットフォームの最前方地点98から外側に延び、トレイのプラットフォームの最前方地点98とトレイのプラットフォームの最外側地点104との間のプラットフォーム18の前方縁部70上の地点102に位置する、その外側端100で終端する。内側アーム68は、トレイのプラットフォームの最前方地点98から離れて内側に延び、トレイのプラットフォームの最前方地点98とトレイのプラットフォームの最内側地点110との間のプラットフォーム18の前方縁部70上の地点108に位置する、その内側端106で終端する。
【0035】
前方バットレス64の最後方縁部90、92は、湾曲している(即ち、弓形である)。具体的には、図4に最も明確に示すように、外側アーム66の最後方縁部90及び内側アーム68の最後方縁部92に沿って延びる想像線94は、一定半径に沿って湾曲する。前方バットレス64のアーム66、68が連続するため、外側アーム66の最後方縁部90及び内側アーム68の最後方縁部92は、単一の隣接する連続縁90、92を画定する。
【0036】
本明細書に記載する例示的な実施形態では、膝プロテーゼ10の前方バットレス64は、後方バットレス44と連続していない。換言すれば、バットレス44、64は、それらの間に間隙が存在するように、互いから離れて離間される。しかしながら、バットレスが互いに連続している配置を含む、他の実施形態も想定される。更に、2つのバットレス44、64は、同様の高さのものとして本明細書に記載されるが、バットレスは、異なる高さを有するものとして、具体化し得る。
【0037】
前方バットレス64は、前方アンダーカット74を含む。前方アンダーカット74は、前方バットレス64を画定する2つのアーム66、68の交点に中心がある。換言すれば、外側アーム66の最後方縁部90及び内側アーム68の最後方縁部92に沿って延びる想像線94は、中点112を有する。前方アンダーカット74は、中点112を中心とする。以下に記載するように、軸受16の前方タブ42は、前方バットレス64の前方アンダーカット74内に受容される寸法を有しかつ受容されるよう配置されて、脛骨トレイ14に対する軸受16の固定化を容易にする。
【0038】
図3、5及び6から明らかなように、後方バットレス44及び前方バットレス64の垂直側壁は、S型(又は見る斜視図に応じて、逆S型)プロファイルを有する。詳細には、後方バットレス44の最外側縁部114及び最内側縁部116の両方は、凹面120に移行する凸面118を含む。具体的には、縁114、116の両方は、脛骨トレイ14の上面24から、後方バットレス44の最上位面122に延びる。最外側縁部114及び最内側縁部116のそれぞれの凸面118は、最上位面122から下方に延び、最外側縁部114及び最内側縁部116のそれぞれの対応する凹面120に移行する。次に、最外側縁部114及び最内側縁部116のそれぞれの凹面120は、それらの対応する凸面118から下方に延び、脛骨トレイ14の上面24に移行する。
【0039】
図3及び4から明らかなように、S型(又は見る斜視図に応じて逆S型)の縁114、116は、後方バットレス44の前方/後方の長さに沿って延びる。具体的には、後方バットレス44の最外側縁部114は、後方バットレス44の外側アーム46に沿って、脛骨トレイのプラットフォーム18の後方縁部50から離れて前方に延び、後方バットレスの第3のアーム52に移行する。次いで、最外側縁部114は、後方バットレス44の第3のアーム52に沿って、外側アーム46から離れて前方に延び、後方バットレスの最前方縁部124に移行する。同様に、後方バットレス44の最内側縁部116は、後方バットレス44の内側アーム48に沿って、脛骨トレイのプラットフォーム18の後方縁部50から離れて前方に延び、後方バットレスの第3のアーム52の反対側に移行する。その後、最内側縁部116は、後方バットレス44の第3のアーム52に沿って、内側アーム48から離れて前方に延び、後方バットレスの最前方縁部124に移行し、ここで最外側縁部114と結合する。
【0040】
前方バットレス64の最後方縁部90、92は、後方バットレス44の垂直表面と同様の様式で凹面140に移行する凸面138を含む。具体的には、図3に示すように、前方バットレス64の最後方縁部90、92は、脛骨トレイ14の上面24から前方バットレス64の最上位面142に延びる。前方バットレス64の最後方縁部90、92の凸面138は、最上位面122から下方に延び、前方バットレス64の最後方縁部90、92の凹面140に移行する。次に、前方バットレス64の最後方縁部90、92の凹面140は、凸面138から下方に延び、脛骨トレイ14の上面24に移行する。
【0041】
図3及び4から明らかなように、前方バットレス64のS型(又は見る斜視図に応じて逆S型)の最後方縁部90、92は、前方バットレス64の内側/外側の長さに沿って延びる。具体的には、前方バットレス64の最後方縁部90、92は、外側アーム66の外側末端部100から内側アーム68の内側末端部106へ延びる。
【0042】
図2に示すように、軸受16の下面36は後部凹部78及びそこに画定される前部凹部80を有する。後方凹部78は、脛骨トレイ14の後方バットレス44の形状を補完する(compliment)ように構成される。つまり、軸受16が脛骨トレイ14に固定されるときに、後方凹部78を画定する台部34、38の側壁は、後方バットレス44の縁に嵌まり込む。具体的には、後方凹部78は、最外側側壁144及び最内側側壁146により部分的に画定されている。軸受16の下面36の最上位面154は、後方凹部78の上位境界面を画定する。軸受の後方凹部78の最外側側壁144及び最内側側壁146は、S型(又は見る斜視図に応じて逆S型)プロファイルを有し、これは脛骨トレイの後方バットレス44の最外側縁部114及び最内側縁部116の同様の形状のプロファイルを補完(compliment)する。詳細には、後方凹部78の最外側側壁144及び最内側側壁146の両方は、軸受16の最下位面148から上方に延びる。図2から明らかなように、側壁144、146の両方は、軸受16の最下位面148から上方に延び、かつ凹面152に移行する凸面150を含む。側壁144の凹面152は、軸受16の下面36の最上位面154に移行する。
【0043】
同様に、前方凹部80は、脛骨トレイ14の前方バットレス64の形状を補完(compliment)するように構成される。つまり、軸受16が脛骨トレイ14に固定されるときに、後方凹部78を画定する台部34、38の側壁は、後方バットレス64の縁に嵌まり込む。具体的には、前方凹部80は、最後方側壁164により部分的に画定されている。後方凹部78と同様、軸受16の下面36の最上位面154は、前方凹部80の上位境界面を画定する。図1に示すように、軸受の前方凹部80の最後方側壁164は、S型(又は見る斜視図に応じて逆S型)プロファイルを有し、これは脛骨トレイの前方バットレス64の最後方縁部90、92の同様の形状のプロファイルを補完(compliment)する。詳細には、軸受の前方凹部80の最後方側壁164は、軸受16の最下位面148から上方に延びる。図1から明らかなように、軸受の前方凹部80の最後方側壁164は、軸受16の最下位面148から上方に延び、凹面168に移行する凸面166を含む。最後方側壁164の凹面168は、軸受16の下面36の最上位面154に移行する。
【0044】
軸受の凹部78、80及び脛骨トレイのバットレス44、64の寸法は、比較的きつい嵌め合いが達成されるように選択される。これにより、軸受16は脛骨トレイ14に対して固定される。具体的には、バットレス44、64及び軸受16の下面36に形成された台部34、38の構成によって、脛骨トレイ14に対する軸受16の前方/後方方向及び内側/外側方向の運動が防止される。更に、トレイ/軸受境界面の構造に使用されているS型プロファイル(即ち、トレイのバットレス44、64及び軸受の凹部78、80のS型プロファイル)は、脛骨トレイ14からの軸受16の離昇を防止する。具体的には、そのような凹部/凸部のS型プロファイルは、トレイ/軸受境界面に沿った特定の位置に干渉を提供して、対向する方向において力を生成する(かかる干渉は、図5の想像線(I)に示される)。これらの対向する力(図5の想像ベクトル(F)に示される)は、(i)バットレス44、46及び台部34、38の側面、並びに(ii)脛骨トレイ14の上面24と軸受16の最下位面148との水平面の面外にある。このような対向する力の面外の配置は、軸受16を下方に(即ち、下方に)押し進め、離昇を最小限にし、インサート/トレイ境界面の間に必要な押し下げを提供する。更に、軸受16の凹部78、80内への脛骨トレイ14のバットレス44、64の比較的きついスナップ嵌めにより、回転微動が、全てまとめて防止されないまでも、低減される。
【0045】
脛骨軸受16を脛骨トレイ14に固定するためには、軸受16の後方部分を、脛骨トレイ14の後方部分と接触させて配置する。その後、脛骨軸受16の前方部分が脛骨トレイ14に向かって下方に前進され、それにより脛骨軸受16の前方タブ42が、前方バットレス64によって曲げられた後、前方バットレスの前方アンダーカット74内に嵌め込まれて、軸受16がトレイ14に固定される。その際に、軸受の後方凹部78の最外側側壁144及び最内側側壁146は、それぞれ、脛骨トレイの後方バットレス44の最外側縁部114及び最内側縁部116にスナップ固定される。同様に、軸受の前方凹部80の最後方側壁164が、脛骨トレイの前方バットレス64の最後方縁部90にスナップ固定される。
【0046】
上記に指摘するように、本明細書に記載した例示的な実施形態では、後方バットレス44は、脛骨トレイ14の後方縁部50から前方に(トレイのプラットフォーム18の中心に向かう方向に)延びる第3のアーム52を備え、トレイのプラットフォーム18の後方縁部50に沿って、反対方向に延びる一対のアーム46、48を有する略Y型構造として具体化される。図4に示すように、外側アーム46の最外側縁部114に沿って想像線82が延び、内側アーム48の最内側縁部116に沿って延びる想像線84と交差して、交角(α)を規定する。本明細書に記載した典型的な実施形態では、交角(α)は、45〜145°である。より特定の例示的な実施形態では、交角(α)は、60〜120°である。かかる特定の例示的な一実施形態では、交角(α)は、約90°である。交角(α)が増大すると微動は減少し、一方、交角(α)が減少すると脛骨トレイ14の荷重軸受面の面積が増加することを理解されたい。他の構成も使用し得るが、上述のとおり、後方バットレス44のアーム46、48を配列する(即ち、60〜120°の交角(α)を有する)ことは、これらの2つの考慮事項の間で予想外の有益な作業バランスをもたらすことが分かっている。後方バットレス44の特に良好にバランスの取れた配列は、交角(α)が約90°である例示的な実施形態において見られる。
【0047】
固定軸受式膝関節プロテーゼの所定の構成は、通常は広範に異なる寸法、特に広範に異なる幅で市販される。これは、ある集団にわたって患者の大きさ及び解剖的構造における多くの変動に適応するために行われる。しかしながら、本開示の固定式膝関節プロテーゼ10の構成は、脛骨トレイ14及び軸受16の寸法決めに関して高度の融通性が可能となる。具体的には、図7は、互いに重ね合わせられた複数の異なる寸法の脛骨トレイ14の線図式表示である。見て分かるように、個別トレイ14のそれぞれが、その群の他のトレイ14と異なる寸法(例えば、幅)を有しているにも関わらず、後方バットレス44及び前方バットレス64の基本構成は、一連の異なる寸法のトレイ14にまたがって同一のままである。例えば、前方バットレスのアーム66、68の幅が、所与のトレイ14の全幅に適応するように異なるが、前方バットレス内に画定されるアンダーカット74の位置は、一連の異なる寸法のトレイ14にまたがって同一のままである。図7に示すように、後方バットレス44の第3のアーム52の寸法及び構成は、一連の異なる寸法のトレイ14にまたがって変化がない。
【0048】
異なる寸法の軸受16を同様に構成することもできる。具体的には、複数の軸受16を、こうした複数の軸受16のそれぞれが異なる寸法、特に異なる幅を有するように設計することができる。しかしながら、こうした異なる寸法の軸受16はそれぞれ、上述した脛骨トレイ14の共通の寸法及び共通の位置を有する構造と共通の寸法及び共通の位置を有する嵌合構造を含んでもよい。具体的には、一連の異なる寸法の軸受16にまたがる軸受16のそれぞれは、一連の異なる寸法のトレイ14にまたがる脛骨トレイ14のそれぞれの後方バットレス44及び前方バットレス64の縁に対して、それぞれ、きつく嵌め合うように位置付けられ、寸法決めされた、後方凹部78及び前方凹部80を含んでもよい。その際に、前方タブ42は一連の異なる寸法の軸受16にまたがって共通の寸法及び共通の位置となるように構成されることにより、一連の異なる寸法のトレイ14にまたがって各脛骨トレイ14の前部アンダーカット74内に配置される。
【0049】
バットレス44、64の一般構成が、一連の異なる寸法の脛骨トレイ14にまたがって同一であることを、上記の説明から理解されたい。同様に、凹部78、80の一般構成及びタブ42の一般構成は、一連の異なる寸法の軸受16にまたがって同一である。その場合、任意の寸法の軸受16は、任意の寸法の脛骨トレイ14に固定され得る。このことは、整形外科医に特定の患者の生体構造に膝プロテーゼ10をマッチングさせるのにより大きな融通性を提供する。
【0050】
膝プロテーゼ10の設計において、固定用タブの他の構成を使用し得ることも認識するべきである。具体的には、脛骨軸受16は、前方固定用タブ42と同様の追加の固定用タブを用いて具体化されてもよい。そのような固定用タブは、脛骨軸受16上に配置されて、脛骨トレイの後方バットレス44の最外側縁部114及び最内側縁部116内に形成されたアンダーカット内に受容されてもよい。そのようなタブは、前方タブ42に加えて又は前方タブ42の代わりに使用されてもよい。代替的に、膝プロテーゼ10は、いずれの固定用タブも使用することなく設計されてもよい。そのような場合、軸受16の凹部78、80内への脛骨トレイ14のバットレス44、64のスナップ嵌め構成は、脛骨トレイ14と軸受16との間の機械的連動の単独供給源を提供する。
【0051】
本明細書に記載したように、膝プロテーゼ10の様々な設計は、異なる寸法のコンポーネントの互換性の強化を可能にする。具体的には、複数の異なる寸法の軸受のうちのいずれか1つは、複数の異なる寸法の脛骨トレイのうちのいずれか1つに固定され得る。その結果、軸受の関節表面の形状及び他の特性は、任意の寸法の大腿骨コンポーネントのために強化され得る。また、そのような互換性により、様々な大腿骨コンポーネントの設計において、寸法をより細かく増加させることが可能となっている。
【0052】
凹部/凸部のS型プロファイルは、固定軸受膝プロテーゼ10のトレイ/軸受境界面との関連で説明されてきたが、このような構成は、例えば股関節、肩又は足関節プロテーゼ等の他の種類の整形外科用プロテーゼの構造で使用できることを理解するべきである。
【0053】
以上、図面及び上記の記載において本開示内容を詳細に図示、記載したが、こうした図示、記載はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、記載したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変は全て保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0054】
本開示には、ここに記載した装置、システム及び方法の様々な特徴に基づく複数の利点がある。本開示の装置、システム及び方法の代替的実施形態は、ここで記載した特徴の全てを含むわけではないが、こうした利点の少なくとも一部から利益を享受するものである。当業者であれば、本発明の1以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に含まれる装置、システム、及び方法を独自に実施することが容易に可能である。
【0055】
〔実施の態様〕
(1) 固定軸受膝プロテーゼであって、
内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントと、
軸受であって、(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面とを有する、軸受と、
前記軸受に固定される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイは、プラットフォームを有し、前記プラットフォームは、その下面から下方に延びる固定部材を備え、前記プラットフォームは、前記プラットフォームの周辺部の後方部から離れて前方に延び、かつ前記プラットフォームの上面から上方に延びる後方バットレスを有し、前記後方バットレスは、(i)凹面に移行する凸面を有する最外側縁部と、(ii)凹面に移行する凸面を有する最内側縁部と、を含む、脛骨トレイと、を備える固定軸受膝プロテーゼ。
(2) 前記脛骨トレイの前記後方バットレスが最上位面を含み、
前記後方バットレスが、前記プラットフォームの前記上面から前記後方バットレスの前記最上位面へ上方に延び、
前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凸面が、前記後方バットレスの前記最上位面から下方に延び、前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凹面に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凸面が、前記後方バットレスの前記最上位面から下方に延び、前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凹面に移行する、実施態様1に記載の膝プロテーゼ。
(3) 前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凹面が、前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凸面から下方に延び、前記プラットフォームの前記上面に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凹面が、前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凸面から下方に延び、前記プラットフォームの前記上面に移行する、実施態様2に記載の膝プロテーゼ。
(4) 前記後方バットレスが略Y字形であり、かつ
前記プラットフォームの後方縁部に沿って延びる第1のアームであって、前記後方バットレスの前記最外側縁部は前記第1のアーム内に画定されている、第1のアームと、
前記第1のアームから離れる方向に、前記プラットフォームの前記後方縁部に沿って延びる第2のアームであって、前記後方バットレスの前記最内側縁部は前記第2のアーム内に画定されている、第2のアームと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームから離れて前方に延びる第3のアームと、を有する、実施態様1に記載の膝プロテーゼ。
(5) 前記後方バットレスの前記最外側縁部は、前記後方バットレスの前記最外側縁部が、前記後方バットレスの前記第1のアームに沿って前記プラットフォームの前記後方縁部から離れて前方に延び、かつ前記第3のアームに移行するように、前記第3のアーム内に画定され、
前記後方バットレスの前記最内側縁部は、前記後方バットレスの前記最内側縁部が、前記後方バットレスの前記第2のアームに沿って前記プラットフォームの前記後方縁部から離れて前方に延び、かつ前記第3のアームに移行するように、前記第3のアーム内に画定されている、実施態様4に記載の膝プロテーゼ。
(6) 前記脛骨トレイの前記後方バットレスが最前方縁部を含み、
前記後方バットレスの前記最外側縁部が、前記後方バットレスの前記第3のアームに沿って前記第1のアームから離れて前方に延び、かつ前記後方バットレスの前記最前方縁部に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部が、前記後方バットレスの前記第3のアームに沿って前記第2のアームから離れて前方に延び、かつ前記後方バットレスの前記最前方縁部に移行する、実施態様5に記載の膝プロテーゼ。
(7) 前記軸受が上面及び下面を有し、
前記内側軸受面及び前記外側軸受面の両方が、前記軸受の前記上面内に画定され、
前記軸受の前記下面が、前記脛骨トレイの前記プラットフォームの前記上面と接触し、
前記軸受の前記下面が、内部に形成された後方凹部を有し、
前記脛骨トレイの前記後方バットレスが、前記軸受の前記後方凹部内に配置される、実施態様1に記載の膝プロテーゼ。
(8) 前記軸受の前記後方凹部が、(i)前記軸受の最下位面から上方に延びる最外側側壁と、(ii)前記軸受の前記最下位面から上方に延びる最内側側壁と、により画定され、
前記最外側側壁が、凹面に移行する凸面を含み、
前記最内側側壁が、凹面に移行する凸面を含む、実施態様7に記載の膝プロテーゼ。
(9) 前記後方凹部の前記最外側側壁の前記凸面が、前記軸受の前記最下位面から上方に延び、かつ前記後方凹部の前記最外側側壁の前記凹面に移行し、
前記後方凹部の前記最内側側壁の前記凸面が、前記軸受の前記最下位面から上方に延び、かつ前記後方凹部の前記最内側側壁の前記凹面に移行する、実施態様8に記載の膝プロテーゼ。
(10) 固定軸受膝プロテーゼであって、
内側顆表面と外側顆表面とを有する大腿骨コンポーネントと、
軸受であって、(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面とを有する、軸受と、
前記軸受に固定される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイは、プラットフォームを有し、前記プラットフォームは、その下面から下方に延びる固定部材を備え、前記プラットフォームは、前記プラットフォームの周辺部の前方部分に沿って延び、かつ前記プラットフォームの上面から上方に延びる前方バットレスを有し、前記前方バットレスは、凹面に移行する凸面を有する最後方縁部を含む、脛骨トレイと、を備える固定軸受膝プロテーゼ。
【0056】
(11) 前記脛骨トレイの前記前方バットレスが最上位面を含み、
前記前方バットレスが、前記プラットフォームの前記上面から前記後方バットレスの前記最上位面へ上方に延び、
前記前方バットレスの前記最後方縁部の前記凸面が、前記前方バットレスの前記最上位面から下方に延び、かつ前記後方バットレスの前記最後方縁部の前記凹面に移行する、実施態様10に記載の膝プロテーゼ。
(12) 前記前方バットレスの前記最後方縁部の前記凹面が、前記前方バットレスの前記最後方縁部の前記凸面から下方に延び、かつ前記プラットフォームの前記上面に移行する、実施態様11に記載の膝プロテーゼ。
(13) 前記軸受が上面及び下面を有し、
前記内側軸受面及び前記外側軸受面の両方が、前記軸受の前記上面内に画定され、
前記軸受の前記下面が、前記脛骨トレイの前記プラットフォームの前記上面と接触し、
前記軸受の前記下面が、内部に形成された前方凹部を有し、
前記脛骨トレイの前記前方バットレスが、前記軸受の前記前方凹部内に配置される、実施態様10に記載の膝プロテーゼ。
(14) 前記軸受の前記前方凹部が前記軸受の最下位面から上方に延びる最後方側壁により画定され、
前記最後方側壁が凹面に移行する凸面を含む、実施態様13に記載の膝プロテーゼ。
(15) 前記前方凹部の前記最後方側壁の前記凸面が、前記軸受の前記最下位面から上方に延び、かつ前記前方凹部の前記最後方側壁の前記凹面に移行する、実施態様14に記載の膝プロテーゼ。
(16) 想像線が前記前方バットレスの前記最後方縁部に沿って延び、
前記想像線が一定半径を有する曲線を画定する、実施態様10に記載の膝プロテーゼ。
(17) 前記前方バットレスの前記最後方縁部が内部に画定されたアンダーカットを有し、
前記アンダーカットは前記想像線の中点に中心がある、実施態様16に記載の膝プロテーゼ。
(18) 前記軸受が前記前方バットレス内に画定された前記アンダーカット内に配置されている固定用タブを含む、実施態様17に記載の膝プロテーゼ。
(19) 前記前方バットレスの内側末端部が、前記プラットフォームの最前方地点と前記プラットフォームの最内側地点との間の前記プラットフォームの前記前方縁部上の位置に配置され、
前記前方バットレスの外側末端部が、前記プラットフォームの前記最前方地点と前記プラットフォームの最外側地点との間の前記プラットフォームの前記前方縁部上の位置に配置されている、実施態様10に記載の膝プロテーゼ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定軸受膝プロテーゼであって、
内側顆表面及び外側顆表面を有する大腿骨コンポーネントと、
軸受であって、(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面とを有する、軸受と、
前記軸受に固定される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイは、プラットフォームを有し、前記プラットフォームは、その下面から下方に延びる固定部材を備え、前記プラットフォームは、前記プラットフォームの周辺部の後方部から離れて前方に延び、かつ前記プラットフォームの上面から上方に延びる後方バットレスを有し、前記後方バットレスは、(i)凹面に移行する凸面を有する最外側縁部と、(ii)凹面に移行する凸面を有する最内側縁部と、を含む、脛骨トレイと、を備える固定軸受膝プロテーゼ。
【請求項2】
前記脛骨トレイの前記後方バットレスが最上位面を含み、
前記後方バットレスが、前記プラットフォームの前記上面から前記後方バットレスの前記最上位面へ上方に延び、
前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凸面が、前記後方バットレスの前記最上位面から下方に延び、前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凹面に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凸面が、前記後方バットレスの前記最上位面から下方に延び、前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凹面に移行する、請求項1に記載の膝プロテーゼ。
【請求項3】
前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凹面が、前記後方バットレスの前記最外側縁部の前記凸面から下方に延び、前記プラットフォームの前記上面に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凹面が、前記後方バットレスの前記最内側縁部の前記凸面から下方に延び、前記プラットフォームの前記上面に移行する、請求項2に記載の膝プロテーゼ。
【請求項4】
前記後方バットレスが略Y字形であり、かつ
前記プラットフォームの後方縁部に沿って延びる第1のアームであって、前記後方バットレスの前記最外側縁部は前記第1のアーム内に画定されている、第1のアームと、
前記第1のアームから離れる方向に、前記プラットフォームの前記後方縁部に沿って延びる第2のアームであって、前記後方バットレスの前記最内側縁部は前記第2のアーム内に画定されている、第2のアームと、
前記第1のアーム及び前記第2のアームから離れて前方に延びる第3のアームと、を有する、請求項1に記載の膝プロテーゼ。
【請求項5】
前記後方バットレスの前記最外側縁部は、前記後方バットレスの前記最外側縁部が、前記後方バットレスの前記第1のアームに沿って前記プラットフォームの前記後方縁部から離れて前方に延び、かつ前記第3のアームに移行するように、前記第3のアーム内に画定され、
前記後方バットレスの前記最内側縁部は、前記後方バットレスの前記最内側縁部が、前記後方バットレスの前記第2のアームに沿って前記プラットフォームの前記後方縁部から離れて前方に延び、かつ前記第3のアームに移行するように、前記第3のアーム内に画定されている、請求項4に記載の膝プロテーゼ。
【請求項6】
前記脛骨トレイの前記後方バットレスが最前方縁部を含み、
前記後方バットレスの前記最外側縁部が、前記後方バットレスの前記第3のアームに沿って前記第1のアームから離れて前方に延び、かつ前記後方バットレスの前記最前方縁部に移行し、
前記後方バットレスの前記最内側縁部が、前記後方バットレスの前記第3のアームに沿って前記第2のアームから離れて前方に延び、かつ前記後方バットレスの前記最前方縁部に移行する、請求項5に記載の膝プロテーゼ。
【請求項7】
前記軸受が上面及び下面を有し、
前記内側軸受面及び前記外側軸受面の両方が、前記軸受の前記上面内に画定され、
前記軸受の前記下面が、前記脛骨トレイの前記プラットフォームの前記上面と接触し、
前記軸受の前記下面が、内部に形成された後方凹部を有し、
前記脛骨トレイの前記後方バットレスが、前記軸受の前記後方凹部内に配置される、請求項1に記載の膝プロテーゼ。
【請求項8】
前記軸受の前記後方凹部が、(i)前記軸受の最下位面から上方に延びる最外側側壁と、(ii)前記軸受の前記最下位面から上方に延びる最内側側壁と、により画定され、
前記最外側側壁が、凹面に移行する凸面を含み、
前記最内側側壁が、凹面に移行する凸面を含む、請求項7に記載の膝プロテーゼ。
【請求項9】
前記後方凹部の前記最外側側壁の前記凸面が、前記軸受の前記最下位面から上方に延び、かつ前記後方凹部の前記最外側側壁の前記凹面に移行し、
前記後方凹部の前記最内側側壁の前記凸面が、前記軸受の前記最下位面から上方に延び、かつ前記後方凹部の前記最内側側壁の前記凹面に移行する、請求項8に記載の膝プロテーゼ。
【請求項10】
固定軸受膝プロテーゼであって、
内側顆表面と外側顆表面とを有する大腿骨コンポーネントと、
軸受であって、(i)前記大腿骨コンポーネントの前記内側顆表面と関節接合をなすように構成された内側軸受面と、(ii)前記大腿骨コンポーネントの前記外側顆表面と関節接合をなすように構成された外側軸受面とを有する、軸受と、
前記軸受に固定される脛骨トレイであって、前記脛骨トレイは、プラットフォームを有し、前記プラットフォームは、その下面から下方に延びる固定部材を備え、前記プラットフォームは、前記プラットフォームの周辺部の前方部分に沿って延び、かつ前記プラットフォームの上面から上方に延びる前方バットレスを有し、前記前方バットレスは、凹面に移行する凸面を有する最後方縁部を含む、脛骨トレイと、を備える固定軸受膝プロテーゼ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−71010(P2013−71010A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−213804(P2012−213804)
【出願日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】