説明

出力紙検出装置及び画像形成システム

【課題】両面の画像形成にて2系統のラインセンサを設けずに画像形成条件を調整する。
【解決手段】第1光源に照射された転写紙の第1面の光学情報を通過させる第1光路と、前記第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置された第2光源に照射された前記転写紙の第2面の光学情報を通過させる第2光路と、前記第1光路の光学情報と前記第2光路の光学情報とを通過させる第3光路と、前記第3光路を通過した光学情報を読み取るラインセンサと、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させる制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成されて出力される転写紙の両面を読み取る出力紙検出装置、およびこの出力紙検出装置を備えて転写紙両面の画像形成条件を調整可能な画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージデータに応じて感光体を露光して光学像を形成し、該光学像をトナー像として転写紙に転写することで画像を形成する画像形成装置が使用されており、複数色のトナー像を重ねることでカラー画像を形成することが可能である。また、この画像形成装置において、転写紙の両面に画像を形成することも行われている。また、この画像形成装置は、複写機やプリンタとして用いられるだけでなく、印刷装置として高品位な画像を形成するものも存在している。
【0003】
ところが、カラー画像形成装置は、環境の変化や長時間の使用による装置各部の消耗や変動があると、色の変動が生じ、カラーバランスを崩す恐れがある。また、両面の画像形成装置では、両面の画像位置にずれが生じると、好ましくない場合がある。
【0004】
また、両面の画像形成の場合には、第1面へのトナー像の転写と定着の後に第2面へのトナー像の転写と定着を行うため、第1面については定着器を2回通過することになり、第1面と第2面とで転写紙上の画像の状態が異なった状態になることが知られている。このような現象は、カラーであってもモノクロであっても発生するものであり、熱による転写紙の収縮によって第1面と第2面とで画像の位置や大きさが微妙に異なる状態になることが知られている。
【0005】
そこで、所定のパッチや記号を両面に画像形成した転写紙をセンサで検知することで、画像形成位置や画像形成条件を調整することが以下の特許文献に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−215340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の特許文献1に開示された画像形成装置では、転写器を通過した転写紙の両面それぞれにランプとラインセンサとを配置し、所定のパッチや記号を両面に画像形成した転写紙を2つのラインセンサそれぞれで検知することで、画像形成条件を調整するようにしている。
【0008】
この特許文献1記載の技術では、CCDセンサ等のラインセンサと処理回路とを2系統設ける必要がある。また、2つのラインセンサの特性が等しくなるようにキャリブレーションや正確な位置合わせも必要になる。この結果、装置の大型化や高価格化を避けることができないという問題があった。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、両面の画像形成を行う場合の各面について、2系統のラインセンサを設けることなく、画像形成条件の調整を行うことが可能な出力紙検出装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、前記した課題を解決する本発明は、以下の通りである。
【0011】
(1)第1の発明は、画像形成されて搬送される転写紙の第1面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第1光源と、前記第1光源に照射された第1照射領域の光学情報を通過させる第1光路と、前記第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置されており、前記転写紙の第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第2光源と、前記第2光源に照射された第2照射領域の光学情報を通過させる第2光路と、前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて同一光路を通過させる第3光路と、前記第3光路を通過した光学情報を読み取るラインセンサと、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する制御部と、前記第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する信号処理部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第1の発明は、転写紙に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置でパッチ画像が形成された転写紙を読み取って補正情報を生成する出力紙検出装置と、により構成される画像形成システムであって、前記出力紙検出装置は、画像形成されて搬送される転写紙の第1面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第1光源と、前記第1光源に照射された第1照射領域の光学情報を通過させる第1光路と、前記第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置されており、前記転写紙の第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第2光源と、前記第2光源に照射された第2照射領域の光学情報を通過させる第2光路と、前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて同一光路を通過させる第3光路と、前記第3光路を通過した光学情報を読み取るラインセンサと、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する制御部と、前記第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する信号処理部と、を備えて構成され、前記画像形成装置は、予め定められた所定の基準に基づいたパッチ画像を前記転写紙上に形成して前記出力紙検出装置に供給すると共に、該パッチ画像が形成された転写紙を前記出力紙検出装置が読み取って生成した前記補正情報を参照して画像形成条件を制御する、ことを特徴とする。
【0013】
(2)第2の発明は、上記(1)において、前記第3光路は、前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて、いずれか一方を反射させると共に他方を透過させることで、同一光路を通過させる、ことを特徴とする。
【0014】
(3)第3の発明は、上記(1)〜(2)において、前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、ことを特徴とする。
【0015】
(4)第4の発明は、上記(1)〜(2)において、前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御すると共に、搬送される前記転写紙が前記第1光路と前記第2光路とのいずれか一方を遮る場合には他方の光路を通過する光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、ことを特徴とする。
【0016】
(5)第5の発明は、上記(1)〜(4)において、前記画像形成装置は、濃度、カラーバランス、画像形成位置、画像形成倍率のいずれかの予め定められた所定の基準に基づいて形成されるパッチ画像を含む前記転写紙を前記出力紙検出装置に供給し、前記出力紙検出装置)において、前記信号処理部は、前記転写紙両面に形成された前記パッチ画像の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、以下のような効果が得られる。
【0018】
この発明では、転写紙に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置でパッチ画像が形成された転写紙を読み取って補正情報を生成する出力紙検出装置と、により構成される画像形成システムであって、出力紙検出装置では、画像形成されて搬送される転写紙の第1面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第1光源により照射された第1照射領域の光学情報を第1光路を通過させて、第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置されており転写紙の第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第2光源により照射された第2照射領域の光学情報を第2光路を通過させ、第1光路を通過する光学情報と第2光路を通過する光学情報とについて同一光路である第3光路を通過させてラインセンサで読み取る。
【0019】
この際に、制御部は、第1光源と第2光源とを異なるタイミングで発光させて、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を第3光路経由で単一のラインセンサで交互に読み取るよう制御し、信号処理部では第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する。
【0020】
ここで、画像形成装置は、予め定められた所定の基準に基づいたパッチ画像を転写紙上に形成して出力紙検出装置に供給すると共に、該パッチ画像が形成された転写紙を出力紙検出装置が読み取って生成した補正情報を参照して画像形成条件を制御する。
【0021】
この結果、両面の画像形成を行う場合の各面について、2系統のラインセンサを設けることなく、単一のラインセンサによる読み取りで、画像形成条件の調整を行うことが可能な出力紙検出装置及び画像形成システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態の画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図12】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図13】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図14】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図15】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図17】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図18】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【図19】本発明の実施形態の出力紙検出装置の動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、実施形態)を詳細に説明する。
【0024】
〈画像形成システムの構成〉
図1は本発明の第1実施形態の画像形成システムの全体構成例を示しており、画像形成装置100と出力紙検出装置200とが接続された画像形成システムを構成している。なお、画像形成装置100の前段に給紙装置が接続されてもよいし、画像形成装置100の後段のいずれかの位置に後処理装置が接続されていてもよい。なお、記録紙の流れに沿って上流側を前段、下流側を後段と呼ぶことにする。
【0025】
画像形成装置100は、画像形成装置100内の各部を制御すると共に画像形成システムとしてシステム全体を制御する制御部101と、接続されている他の装置と通信するための通信部102と、操作者による操作入力と画像形成装置100の状態表示とを行う操作部105と、画像形成する際のイメージデータや各種データを記憶する記憶部130と、画像形成に必要な各種画像処理を実行する画像処理部140と、画像形成命令とイメージデータとに基づいて画像形成(印刷)を実行する画像形成部150と、を備えて構成されている。
【0026】
ここで、制御部101は、後述する出力紙検出装置200からの補正情報または誤差情報に基づいて画像形成条件を制御する機能を有しており、画像濃度、カラーバランス、画像形成位置、画像形成サイズなどを調整することが可能である。
【0027】
操作部105では、オペレータが給紙から排紙に至るまでの画像形成の指示を入力する。ここで、オペレータは、操作部105において、操作部105の画面表示を参照しつつ、キー入力やポインタ操作により、必要な指示を与えることができる。
【0028】
記憶部130は、各種データを記憶する記憶手段であり、上述したイメージデータのほかに、画像形成位置、濃度、カラーバランス等各種の画像形成条件を制御する際に用いられるパッチ画像の濃度やパターン、パッチ画像形成位置、制御時における各種データなどを有する。
【0029】
画像形成部150は、イメージデータを含む印刷ジョブのデータ(以後、これをジョブデータと呼ぶ。)を受信し、該イメージデータに基づいて記録紙上にカラー画像またはモノクロ画像を形成して出力するプリント出力機能を果たす。また、画像形成部150は、記憶部130に記憶されているパッチ画像のデータに基づいて記録紙上にカラーまたはモノクロのパッチ画像を形成して出力するプリント出力機能を果たす。
【0030】
出力紙検出装置200は、画像形成装置100の後段に接続されており、出力紙検出装置200内の各部を制御する制御部201と、画像形成装置と通信するための通信部202と、画像形成されて画像形成装置100から供給される転写紙を搬送ローラ220aや220bで挟持しつつ所定の速度で搬送する搬送駆動部210と、画像形成されて搬送される転写紙Pの第1面について搬送方向と直交する方向(図1紙面垂直方向)を長手方向とする読み取り領域(図3:230a1参照)を照射する第1光源230aと、第1光源230aに照射された第1照射領域230a1の光学情報をミラー240aで反射させて後述する第3光路M3に向けて通過させる第1光路M1と、第1光源230aに対して搬送方向に異なる位置に配置されており転写紙Pの第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域(図5:230b1参照)を照射する第2光源230bと、第2光源230bに照射された第2照射領域230b1の光学情報をミラー240bと240cとで反射させて後述する第3光路M3に向けて通過させる第2光路M2と、第1光路M1を通過する光学情報と第2光路M2を通過する光学情報とについて反射/透過ミラー240dを用いて同一光路を通過させる第3光路M3と、第3光路M3を通過した光学情報を読み取るラインセンサ250と、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する信号処理部260と、を備えて構成される。
【0031】
ここで、制御部201は、第1光源230aと第2光源230bとを異なるタイミングで発光させて、第1光路M1と第2光路M2とを通過する第1照射領域と第2照射領域の光学情報を、第3光路M3経由でラインセンサ250で読み取るよう制御する。ここでは、第1光源230aと第2光源230bの搬送方向の位置の違い、及び、制御部201による第1光源230aと第2光源230bの発光タイミングの違いとにより、転写紙P両面の搬送方向同一位置の光学情報を単一のラインセンサ250で読み取ることが可能に制御される。
【0032】
また、画像形成装置100と出力紙検出装置200の接続を示したが、画像形成装置100と出力紙検出装置200の間に後処理装置(図示せず)を接続しても良いし、出力紙検出装置200の後段に後処理装置(図示せず)を接続しても良い。
【0033】
〈出力紙検出装置、画像形成システムの動作〉
以下、図2のフローチャート、図3以降の説明図を参照して、出力紙検出装置200の動作、および、画像形成システムの動作についての説明を行う。
【0034】
ここでは、予め定められた所定の位置に所定の色や濃度で両面にパッチ画像が形成された転写紙Pが画像形成装置100から出力紙検出装置200に供給され、転写紙Pのパッチ画像を出力紙検出装置200が読み取ることで画像形成条件を制御するための補正情報を生成する場合について説明する。
【0035】
図3に示すように、転写紙Pの搬送方向の先端から両面の同じ位置にパッチ画像群p1とp2(図3)とが形成されており、画像形成位置を検知するためのトンボと呼ばれる十字の記号や、画像形成倍率を検知するための「フ」字形の記号が形成されている。これにより、転写紙Pにおける両面の画像形成位置のずれや、両面の画像形成倍率の誤差を読み取ることが可能になっている。この場合に読み取る誤差としては、両面の相対的な差であってもよいし、両面それぞれで目標値に対する誤差であってもよい。
【0036】
また、図3に示すように、一方の面の搬送方向の後端に近い位置(図3:p3参照)に、画像形成濃度やカラーバランスを検知するための、各色の濃度を予め定められた状態で段階的に変えた濃度パッチが第3パッチ画像群p3として形成されている。これにより、転写紙Pにおける濃度やカラーバランスのずれを読み取ることが可能になっている。なお、濃度やカラーバランスについては転写紙Pの面に依存するものではないため、片面のみの読み取りと補正で何ら問題はない。
【0037】
出力紙検出装置200では、図示されない転写紙センサが配置されており、転写紙が搬送されている位置を制御部201は把握することが可能に構成されている。ここで、画像形成装置100からのパッチ画像が形成された転写紙Pが出力紙検出装置200に進入すると(図2中のステップS101でYES)、出力紙検出装置200の制御部201は以下の処理を開始する。
【0038】
第1照射領域230a1に転写紙Pの先端が到達したことが不図示のセンサにより検知されると(図2中のステップS102でYES)、制御部201は第1光源230aを点灯状態にして第1照射領域230a1を照明する(図2中のステップS103)。
【0039】
第1照射領域230a1において第1光源230aで照明された転写紙Pの第1面の第1パッチ画像群p1の光学情報は、図4及び図5に示すようにして、ミラー240aで反射されて第1光路M1を通過してミラー240dに達し、ミラー240dとミラー240eとで反射されて第3光路M3を通過して、ラインセンサ250に到達する。このようにして、搬送中の転写紙Pの第1面の第1パッチ画像群p1がラインセンサ250で読み取られる(図2中のステップS104)。
【0040】
転写紙Pが搬送されて、第2照射領域230b1に転写紙Pの先端が到達したことが不図示のセンサにより検知されると(図2中のステップS105でYES)、制御部201は第1光源230aを消灯状態にする(図2中のステップS106)と共に、第2光源230bを点灯状態にして第2照射領域230b1を照明する(図2中のステップS107)。
【0041】
第2照射領域230b1において第2光源230bで照明された転写紙Pの第2面の第2パッチ画像群p2の光学情報は、図6及び図7に示すようにして、ミラー240bとミラー240cで反射されて第2光路M2を通過してミラー240dに達し、ミラー240dを透過すると共にミラー240eで反射されて第3光路M3を通過して、ラインセンサ250に到達する。このようにして、搬送中の転写紙Pの第2面の第2パッチ画像群p2がラインセンサ250で読み取られる(図2中のステップS108)。
【0042】
以上のように、第1光源230aと第2光源230bの搬送方向の位置の違い、及び、制御部201による第1光源230aと第2光源230bの発光タイミングの違いにより、転写紙P両面の搬送方向同一位置の光学情報(第1パッチ画像群p1と第2パッチ画像群p2)が単一のラインセンサ250で読み取られる。
【0043】
ここで、信号処理部260は、転写紙P両面の搬送方向同一位置の光学情報(第1パッチ画像群p1と第2パッチ画像群p2)により、転写紙P両面の画像形成位置のずれや両面の画像形成倍率の誤差を算出し、算出した位置ずれや倍率誤差を解消するための補正情報を生成して、通信部202を経由して画像形成装置100に送信する(図2中のステップS109)。
【0044】
更に転写紙Pが搬送されて、ミラー240cとミラー240dの間の第2光路M2を遮断する位置に転写紙Pの先端が到達したことが不図示のセンサにより検知されると(図2中のステップS110でYES)、制御部201は第2光源230bを消灯状態にする(図2中のステップS111)と共に、第1光源230aを点灯状態にして第1照射領域230a1を照明する(図2中のステップS112)。
【0045】
第1照射領域230a1において第1光源230aで照明された転写紙Pの第1面の第3パッチ画像群p3の光学情報は、図8及び図9に示すようにして、ミラー240aで反射されて第1光路M1を通過してミラー240dに達し、ミラー240dとミラー240eとで反射されて第3光路M3を通過して、ラインセンサ250に到達する。このようにして、搬送中の転写紙Pの第1面の第3パッチ画像群p3がラインセンサ250で読み取られる(図2中のステップS113)。
【0046】
以上のように、搬送に伴って転写紙Pによって第2光路M2が遮断された状態では、転写紙Pの第1面の搬送方向後端に近い位置に設けられた第3パッチ画像群p3がラインセンサ250で読み取られる。
【0047】
ここで、信号処理部260は、転写紙Pの第3パッチ画像群p3(カラー画像形成に用いられるYMCK各色の濃度パッチ)の読み取り結果により、予め定められた濃度予測値と検知された濃度値の違いから濃度むらやカラーバランスのずれを算出し、算出した濃度むらやカラーバランスのずれを解消するための補正情報を生成して、通信部202を経由して画像形成装置100に送信する(図2中のステップS114)。
【0048】
更に転写紙Pが搬送されて、転写紙Pの後端が第1照射領域230a1を抜けたことが不図示のセンサにより検知されると(図2中のステップS115でYES)、制御部201は第1光源230aを消灯状態にする(図2中のステップS116)と共に、以上の一連の処理を終了する(図2中のエンド)。
【0049】
なお、以上の説明において、信号処理部260は、第1パッチ画像群p1と第2パッチ画像群p2により、転写紙P両面の画像形成位置のずれや両面の画像形成倍率の誤差を算出し、算出した位置ずれや倍率誤差を解消するための補正情報を生成していたが、これに限定されるものではない。すなわち、画像形成位置ずれや画像形成倍率の誤差情報そのものを画像形成装置100に通知してもよい。同様に、以上の説明において、濃度むらやカラーバランスのずれを算出し、算出した濃度むらやカラーバランスのずれを解消するための補正情報を生成していたが、これに限定されず、濃度むら情報やカラーバランスずれ情報そのものを画像形成装置100に通知してもよい。
【0050】
そして、出力紙検出装置200から補正情報を受信した画像形成装置100では、補正情報を参照して画像データやクロックパルスを制御することで、転写紙P両面の画像形成位置ずれや画像形成倍率を補正する。同様にして出力紙検出装置200から補正情報を受信した画像形成装置100では、補正情報を参照して露光量、現像条件、転写条件などの画像形成条件を制御することで、各色の濃度や各色間のカラーバランスを補正する。なお、この転写紙P両面の画像形成位置ずれや画像形成倍率の補正、各色の濃度や各色間のカラーバランスの補正については、既知の各種の手法を用いることができる。
【0051】
〈その他の実施形態(1)〉
以上の説明では、転写紙搬送経路に対してラインセンサ250が第1照射領域230a1に近い側に存在しており、第1照射領域230a1が第2照射領域230b1よりも搬送方向上流側に位置していたが、これに限定されるものではない。
【0052】
たとえば、図10に示すように、光源の位置とミラーの位置を変更すると共に、制御部201による点灯制御を変更することで、転写紙搬送経路に対してラインセンサ250が第1照射領域230a1に近い側に存在している状態で、第2照射領域230b1を第1照射領域230a1よりも搬送方向上流側に位置させることも可能である。
【0053】
この場合、図10に示すように搬送中の転写紙Pの第2面(裏面)の第2パッチ画像群p2が先にラインセンサ250で読み取られ、図11に示すように搬送中の転写紙Pの第1面(表面)の第1パッチ画像群p1が後にラインセンサ250で読み取られる。この場合、図11のように、転写紙Pの第1面を読み取っているタイミングで第2光路M2の遮断が発生するものの、遮断による影響は無い。このため、第1照射領域230a1において転写紙Pの第1面全体を連続して読み取ることが可能になる。従って、図12に示すように、転写紙Pの第1面の搬送方向の先端から第1パッチ画像群p1と第3パッチ画像群p3とを連続して配置することが可能になる。
【0054】
図13は転写紙Pの搬送方向のサイズL0と、第1照射領域230a1から第2照射領域230b1までの距離L1と、第2照射領域230b1から第2光路M2遮断位置までの距離L2と、を模式的に示す図である。ここでは、L0<L1、かつ、L0<L2の条件を満たすように構成されている。
【0055】
このような場合には、図13と図14のように第1照射領域230a1において転写紙Pの第1面全体を連続して読み取ることが可能であり、図15と図16のように第2照射領域230b1において転写紙Pの第2面全体を連続して読み取ることが可能である。
【0056】
従って、図17に示すように、転写紙Pの第1面の搬送方向の先端から第1パッチ画像群p1と第3パッチ画像群p3とを連続して配置することが可能になると共に、転写紙Pの第3面の搬送方向の先端から第2パッチ画像群p2と第4パッチ画像群p4とを連続して配置することが可能になる。ここで、第4パッチ画像群p4は、第3パッチ画像群p3と同様に、画像形成濃度やカラーバランスを検知するための、各色の濃度を予め定められた状態で段階的に変えた濃度パッチとすれば良い。これにより、転写紙Pの両面における濃度やカラーバランスのずれを、より正確に読み取って制御することが可能になる。
【0057】
〈その他の実施形態(2)〉
以上の実施形態では、第1光路M1を通過する光学情報と第2光路M2を通過する光学情報とについて反射/透過ミラー240dを用いて同一の第3光路M3を通過させるようにしていたが、これに限定されるものではない。たとえば、反射/透過ミラー240dに代えて、可動式ミラー240d’とミラー駆動源240Dとを用いて、可動式ミラー240d’の位置の違いで、第1光路M1からの光学情報は可動式ミラー240d’により反射(図18)、第2光路M2からの光学情報は可動式ミラー240d’退避により透過(図19)、となるように制御部201により制御してもよい。また、図示しないが、第1光路M1と第2光路M2とが角度の異なる光路を通過して、最終的にラインセンサ250の受光面で受光されるようにしてもよい。
【0058】
〈その他の実施形態(3)〉
また、以上の出力紙検出装置200は、専用の装置として存在していてもよいが、画像形成装置100の定着後や、用紙反転のための中間装置や、後処理のための後処理装置などに内蔵された状態で存在していてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100 画像形成装置
101 制御部
102 通信部
105 操作部
130 記憶部
140 画像処理部
150 画像形成部
200 出力紙検出装置
201 制御部
202 通信部
210 搬送駆動部
230a 第1光源
230b 第2光源
250 ラインセンサ
260 信号処理部
M1 第1光路
M2 第2光路
M3 第3光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成されて搬送される転写紙の第1面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第1光源と、
前記第1光源に照射された第1照射領域の光学情報を通過させる第1光路と、
前記第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置されており、前記転写紙の第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第2光源と、
前記第2光源に照射された第2照射領域の光学情報を通過させる第2光路と、
前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて同一光路を通過させる第3光路と、
前記第3光路を通過した光学情報を読み取るラインセンサと、
前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する制御部と、
前記第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する信号処理部と、
を備えることを特徴とする出力紙検出装置。
【請求項2】
前記第3光路は、前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて、いずれか一方を反射させると共に他方を透過させることで、同一光路を通過させる、
ことを特徴とする請求項1記載の出力紙検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、
ことを特徴とする請求項1−2に記載の出力紙検出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御すると共に、搬送される前記転写紙が前記第1光路と前記第2光路とのいずれか一方を遮る場合には他方の光路を通過する光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、
ことを特徴とする請求項1−2のいずれか一項に記載の出力紙検出装置。
【請求項5】
前記転写紙には、濃度、カラーバランス、画像形成位置、画像形成倍率のいずれかの予め定められた所定の基準に基づいて形成されるパッチ画像を含み、
前記信号処理部は、前記転写紙両面に形成された前記パッチ画像の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する、
ことを特徴とする請求項1−4のいずれか一項に記載の出力紙検出装置。
【請求項6】
転写紙に画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置でパッチ画像が形成された転写紙を読み取って補正情報を生成する出力紙検出装置と、により構成される画像形成システムであって、
前記出力紙検出装置は、
画像形成されて搬送される転写紙の第1面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第1光源と、
前記第1光源に照射された第1照射領域の光学情報を通過させる第1光路と、
前記第1光源に対して搬送方向に異なる位置に配置されており、前記転写紙の第2面について搬送方向と直交する方向を長手方向とする読み取り領域を照射する第2光源と、
前記第2光源に照射された第2照射領域の光学情報を通過させる第2光路と、
前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて同一光路を通過させる第3光路と、
前記第3光路を通過した光学情報を読み取るラインセンサと、
前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、第1照射領域と第2照射領域の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する制御部と、
前記第1照射領域と第2照射領域の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する信号処理部と、
を備えて構成され、
前記画像形成装置は、予め定められた所定の基準に基づいたパッチ画像を前記転写紙上に形成して前記出力紙検出装置に供給すると共に、該パッチ画像が形成された転写紙を前記出力紙検出装置が読み取って生成した前記補正情報を参照して画像形成条件を制御する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記出力紙検出装置において、前記第3光路は、前記第1光路を通過する光学情報と前記第2光路を通過する光学情報とについて、いずれか一方を反射させると共に他方を透過させることで、同一光路を通過させる、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記出力紙検出装置において、前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を、前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、
ことを特徴とする請求項6−7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記出力紙検出装置において、前記制御部は、前記第1光源と前記第2光源とを異なるタイミングで発光させて、転写紙両面の搬送方向同一位置の光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御すると共に、搬送される前記転写紙が前記第1光路と前記第2光路とのいずれか一方を遮る場合には他方の光路を通過する光学情報を前記第3光路経由で前記ラインセンサで読み取るよう制御する、
ことを特徴とする請求項6−7のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、濃度、カラーバランス、画像形成位置、画像形成倍率のいずれかの予め定められた所定の基準に基づいて形成されるパッチ画像を含む前記転写紙を前記出力紙検出装置に供給し、
前記出力紙検出装置において、前記信号処理部は、前記転写紙両面に形成された前記パッチ画像の光学情報を参照して画像形成条件を制御するための補正情報を生成する、
ことを特徴とする請求項6−9のいずれか一項に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−80058(P2013−80058A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219405(P2011−219405)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】