説明

出力装置

【課題】触覚だけで位置の認識がし易く、操作性の良い操作部を有する出力装置を提供する。
【解決手段】(a)に示すように、ヘッドホーン1の面には、操作部材2(この場合十字キー)が設けられているが、その周りに、ガイド部材3が設けられている。(b)、(c)に示すように、ガイド部材3の表面のうち一番高い部分は、ヘッドホーン1の面より盛り上がっており、操作部材2よりも高くされている。よって、装着者が手で操作部材2の位置を探るとき、手がまずガイド部材3に接触し、直接、操作部材2に触れることが少なくなる。操作者は、まず、ガイド部材3の位置を確認し、それを頼りに操作部材2の位置を知って、操作部材2を操作する。また、ガイド部材3の表面には、中央部に行くに従って低くなるように傾斜がついているので、ガイド部材3をガイドとして操作部材2に接触するときに操作性が良くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘッドマウントディスプレイ、ヘッドホーン等の出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネル(LCD)等のディスプレイ上に表示された映像を、接眼レンズやハーフミラー等を有する光学系を介して拡大した虚像として観察する眼鏡タイプの映像表示装置が種々と提案され、ヘッドマウントディスプレイと呼ばれている。このようなヘッドマウントディスプレイの例は、例えばWO2004/061519A1公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
この映像表示装置は、多くの場合、頭に巻いた形で顔面に装着する構成とされ、両眼に対応する位置に映像表示系を形成した両眼タイプと左右眼の一方の眼に対応する位置に映像表示系を形成した片眼タイプとがある。このようなヘッドマウントディスプレイは、通常は、映像を表示する表示部と音声を出力するヘッドホーンとを有している。ヘッドマウントディスプレイは、映像を表示しない場合には、単なるヘッドホーンとして使用することができる。
【特許文献1】WO2004/061519A1公報
【特許文献2】特開2004−233776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドホーンやヘッドマウントディスプレイは頭部に装着して使用するため、それらにスイッチなどを配置するとユーザがスイッチの位置を視認できず、手探りでスイッチを探す必要があった。特開2004−233776号公報(特許文献2)では、ヘッドマウントディスプレイの画面に、接触したボタンの映像を表示する機能を有しているが、必ず画面が必要なこと、また触っているキーをユーザに知らせるためには接触センサなどを使用する必要があり、コストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、触覚だけで位置の認識がし易く、操作性の良い操作部を有する出力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するための第1の手段は、頭部に装着して映像又は音声の少なくとも一方を出力する出力装置であって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、当該出力装置又は当該出力装置と接続されて動作する外部装置の少なくともいずれかを操作する操作部材を有し、当該操作部材の周囲にガイド部を有することを特徴とする出力装置である。
【0007】
本手段においては、操作部材の周囲にガイド部を有するので、装着者がガイド部を手探りで認識することにより、その中に囲まれている操作部材の位置を認識することができる。
【0008】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記ガイド部の頂点の高さは、前記操作部材よりも高く設定され、前記ガイド部の頂点から前記操作部材に向かって斜面が構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本手段においては、ガイド部の高さが、操作部材よりも高く設定されているので、装着者は、操作部材よりも早くガイド部に接触しやすく、直接操作部材に触れることが少なくなる。又、ガイド部は、ガイド部の頂点から前記操作部材に向かって斜面が構成されているので、ガイド部をガイドとして、自然に操作部材に接触することが可能となる。
【0010】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、前記操作部材は複数の操作部品から構成され、前記操作部品のうち中央に配置された部品の高さが低く、周辺に配置されている部品の高さが高くされていることを特徴とするものである。
【0011】
本手段においては、中央に配置された部品の高さが低く、周辺に配置されている部品の高さが高くされているので、操作部材の操作がし易い。
【0012】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記ガイド部は回転部材からなり、回転中心に向かって高さが低くなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本手段においては、ガイド部そのものが回転部材からなっているので、その回転量を検知して入力の1つとして使用することができる。又、回転中心に向かって高さが低くなるように構成されているので、回転部材の操作がし易い。
【0014】
前記課題を解決するための第5の手段は、頭部に装着して映像又は音声の少なくとも一方を出力する出力装置であって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、当該出力装置又は当該出力装置と接続されて動作する外部装置の少なくともいずれかを操作する操作部材を有し、当該操作部材は少なくとも回転部材を有し、前記回転部材の高さは回転中心に向かって低くなるように構成されていることを特徴とする出力装置である。
【0015】
本手段においては、回転部材の回転量を検知して入力の1つとして使用することができる。又、回転中心に向かって高さが低くなるように構成されているので、回転部材の操作がし易い。
【0016】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第5の手段であって、前記回転部材を取り囲むようにガイド部を有し、当該ガイド部の頂点の高さは、前記回転部材よりも高く設定され、前記ガイド部の頂点から該回転部材に向かって斜面が構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
本手段においては、回転部材の周囲にガイド部を有するので、装着者がガイド部を手探りで認識することにより、その中に囲まれている回転部材の位置を認識することができる。又、ガイド部の頂点から該回転部材に向かって斜面が構成されているので、ガイド部をガイドとして、自然に回転部材に接触することが可能となる。
【0018】
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第4の手段から第6の手段のいずれかであって、前記回転部材を押すことにより、前記回転部材が傾動し、その下に設けられたスイッチを押圧可能とされていることを特徴とするものである。
【0019】
本手段においては、回転部材が、押圧により斜めに傾動して、その下に設けられたスイッチを押圧可能とされているので、回転部材を回転量の入力手段として使用すると共に、押しボタンスイッチとしても使用することができる。
【0020】
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第4の手段から第7の手段のいずれかであって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、人間の手が触ることにより知覚でき、前記固定する部分の方向を示す方向指示部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0021】
本手段においては、人間の手が触ることにより知覚でき、前記固定する部分の方向を示す方向指示部材が設けられているので、回転部材の基準方向を触覚により知ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、触覚だけで位置の認識がし易く、操作性の良い操作部を有する出力装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態であるヘッドマウントディスプレイを示す概要図である。2つのヘッドホーン11、12は、連結部13によって連結されている。そして、ヘッドホーン12には、支持アーム14が取り付けられ、支持アーム14の先端部には、人間の目に画像を表示する表示部15が取り付けられている。
【0024】
このヘッドマウントディスプレイを、頭部に挿着するときは、ヘッドホーン11、12を、両耳を挟むようにして挿着し、固定する。すなわち、ヘッドホーン11、12が固定部(出力装置を当分固定する部分)となり、連結部13は弾力性を有し、この弾力によりヘッドマウントディスプレイが固定される。
【0025】
ヘッドホーン11には、ヘッドマウントディスプレイの作動を操作する操作部材16が設けられている。この操作部材16は、ヘッドホーン11の上側に位置する方が、自然に指がかかり操作しやすくなる。なお、操作部材16がヘッドマウントディスプレイに接続した外部装置を操作するようにしてもよい。
【0026】
図2は、操作部材とガイド部材の例を示す図である。(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面の表面を示す図、(c)は(a)におけるB−B断面の表面を示す図である。図2(a)に示すように、ヘッドホーン1の面には、操作部材2(この場合十字キー)が設けられているが、その周りに、ガイド部材3が設けられている。
【0027】
図2(b)、(c)に示すように、ガイド部材3の表面のうち一番高い部分は、ヘッドホーン1の面より盛り上がっており、操作部材2よりも高くされている。よって、装着者が手で操作部材2の位置を探るとき、手がまずガイド部材3に接触し、直接、操作部材2に触れることが少なくなる。操作者は、まず、ガイド部材3の位置を確認し、それを頼りに操作部材2の位置を知って、操作部材2を操作する。また、ガイド部材3の表面には、中央部に行くに従って低くなるように傾斜がついているので、ガイド部材3をガイドとして操作部材2に接触するときに操作性が良くなる。
【0028】
図3は、操作部材とガイド部材の例を示す図である。(a)は平面図、(b)、(c)は(a)におけるA−A断面の表面を示す図、(d)は平面図、(e)は、(d)におけるB−B断面の表面を示す図である。
【0029】
図3(a)においては、5つの操作部材2があるが、これらの位置関係は、図3(b)に示されるように、周辺部で高く、中央部で低くなっている。よって、操作者が指で操作部材2を操作するときに操作がし易い。ガイド部材3が最高部で操作部材2の位置より高く、かつ、中央部に行くに従って低くなるような傾斜が設けられている点は、図2に示したものと同じである。図3(c)は、図3(b)に示したものと、基本的には同じであるが、操作部材2自身が、中央部に行くに従って低くなっている点が異なっている。このようにすることにより、操作部材2を指で操作するときに操作がし易くなる。
【0030】
図3(d)は、操作部材2が十字キーである場合を示しているが、この場合に、十字キーの表面が、図3(e)に示すように、中央に行くほど低くなっている。よって、十字キーを指で操作するときに操作がし易くなる。
【0031】
図4は、操作部材とガイド部材の例を示す図である。(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面の表面を示す図、(c)は平面図、(d)は、(c)におけるB−B断面の表面を示す図である。
【0032】
図4(a)においては、ガイド部材3が回転部材となっており、ガイド部材としての役割を果たすと共に、その回転位置を検知することにより、入力部材とされている。この場合も、図4(b)に示すように、ガイド部材3が最高部で操作部材2の位置より高く、かつ、中央部に行くに従って低くなるような傾斜が設けられている。又、操作部材2も周辺部の方が中央部よりも高さが高くされている。
【0033】
図4(c)は、ガイド部材3が無く、ヘッドホーン1の表面に操作部材2のみが設けられ、操作部材2が回転部材となっている例である。この場合も、図4(d)に示すように、操作部材2の周辺部の方が中央部よりも高さが高くされているので、操作部材2の操作がし易い。
【0034】
図5は、操作部材の例を示す図である。(a)は平面図、(b)は(a)におけるA−A断面図である。図5(a)に示すように、ヘッドホーン1の表面に操作部材2が設けられているが、操作部材2は、回転部材2aと押しボタンスイッチ2bに分かれている。図5(b)に示すように、押しボタンスイッチ2bの下にはマイクロスイッチ4bがあり、押しボタンスイッチ2bを押すことによりオンとなる。
【0035】
又、回転部材2aも、それを表面から押すことにより傾動が可能であり、傾動した場合に、図5(b)に示されるようにその下にあるマイクロスイッチ4aを押してオンとする。このようにすることにより、回転部材2aに回転角度の入力と、マイクロスイッチ4aによる入力との2つの入力機能を持たせることができる。
【0036】
又、図5(a)に示されるように、ヘッドホーン1の表面には、方向指示部材5が設けられている。よって、装着者は、方向指示部材5の位置を触覚で知ることにより、操作部材2の基準位置方向を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態であるヘッドマウントディスプレイを示す概要図である。
【図2】操作部材とガイド部材の例を示す図である。
【図3】操作部材とガイド部材の例を示す図である。
【図4】操作部材とガイド部材の例を示す図である。
【図5】操作部材の例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1…ヘッドホーン、2…操作部材、2a…回転部材、2b…押しボタンスイッチ、3…ガイド部材、4a…マイクロスイッチ、4b…マイクロスイッチ、5…方向指示部材、11…ヘッドホーン、12…ヘッドホーン、13…連結部、14…支持アーム、15…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着して映像又は音声の少なくとも一方を出力する出力装置であって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、当該出力装置又は当該出力装置と接続されて動作する外部装置の少なくともいずれかを操作する操作部材を有し、当該操作部材の周囲にガイド部を有することを特徴とする出力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の出力装置であって、前記ガイド部の頂点の高さは、前記操作部材よりも高く設定され、前記ガイド部の頂点から前記操作部材に向かって斜面が構成されていることを特徴とする出力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の出力装置であって、前記操作部材は複数の操作部品から構成され、前記操作部品のうち中央に配置された部品の高さが低く、周辺に配置されている部品の高さが高くされていることを特徴とする出力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の出力装置であって、前記ガイド部は回転部材からなり、回転中心に向かって高さが低くなるように構成されていることを特徴とする出力装置。
【請求項5】
頭部に装着して映像又は音声の少なくとも一方を出力する出力装置であって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、当該出力装置又は当該出力装置と接続されて動作する外部装置の少なくともいずれかを操作する操作部材を有し、当該操作部材は少なくとも回転部材を有し、前記回転部材の高さは回転中心に向かって低くなるように構成されていることを特徴とする出力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の出力装置であって、前記回転部材を取り囲むようにガイド部を有し、
当該ガイド部の頂点の高さは、前記回転部材よりも高く設定され、前記ガイド部の頂点から該回転部材に向かって斜面が構成されていることを特徴とする出力装置。
【請求項7】
請求項4から請求項6のうちいずれか1項に記載の出力装置であって、前記回転部材を押すことにより、前記回転部材が傾動し、その下に設けられたスイッチを押圧可能とされていることを特徴とする出力装置。
【請求項8】
請求項4から請求項7のうちいずれか1項に記載の出力装置であって、当該出力装置を頭部に固定する部分に、人間の手が触ることにより知覚でき、前記固定する部分の方向を示す方向指示部材が設けられていることを特徴とする出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−329640(P2007−329640A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158334(P2006−158334)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】