出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ
【課題】出力電圧調節が可能な棒型イオナイザを提供する。
【解決手段】本発明は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザに対するものであって、特に、放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする。そして、本発明で、表示をするための手段は、リモコン、RMS(遠隔監視システム)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて、選択された項目及び設定された数値を表示し、放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することができる。
【代表図】図3
【解決手段】本発明は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザに対するものであって、特に、放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする。そして、本発明で、表示をするための手段は、リモコン、RMS(遠隔監視システム)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて、選択された項目及び設定された数値を表示し、放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することができる。
【代表図】図3
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ放電によって帯電物体の静電気を除去するイオナイザに係り、より詳細には、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒に設けられた調節ボタンで容易に調節できる棒(bar)型イオナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電式のイオナイザは、放電針に電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する装置である。このようなコロナ放電式のイオナイザは、放電針に印加される数kVの高電圧が放電針の端部に強い電界を発生させることによって、空中に浮遊するホコリ(particle)が放電針に付着されて経時的に必然的に除電効果は落ちる。一般的に、放電針に印加される出力電圧が大きくなるほどイオン生成量が多くなるので、除電速度が速くて有効除電距離も増えるが、出力電圧が大きくなれば、放電針の端部にさらに強い電界が発生して放電針に付着されるホコリの量がさらに増加するという問題点がある。したがって、イオナイザが設けられる環境によって放電針に印加される出力電圧の大きさは、調節される必要がある。例えば、イオナイザが、ホコリが多く発生する環境に設けられる場合であれば、そうではない環境に比べて相対的に出力電圧を低く設定する必要がある。
【0003】
ところで、従来のイオナイザは、初めて設けられる環境に合わせて製造社であらかじめ前記出力電圧の大きさを固定させた状態で出荷され、設けられた以後には、設けられた環境の変化などユーザの必要によって出力電圧の大きさを調節できないという問題点があった。
【0004】
この技術分野の先行技術としては、本発明の出願人によって2005年4月19日に出願された大韓民国特許出願番号第10−2005−0032534号の“棒型イオナイザ”がある。この技術は、コロナ放電でイオンを発生して帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザに関するものであって、棒自体でアドレス、パルス交流高電圧のデューティー比(duty ratio)、周波数を調節できるようにし、エア噴射ソケットを改善して静電気除去のためのイオンが円滑に放出されるようにしたものである。
【0005】
しかし、この先行技術はイオナイザのアドレス、周波数、デューティー比を棒自体で調節することはできるが、前述したような出力電圧調節に関する問題点は、依然として解決することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題を解決するために創案されたものであって、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒自体に設けられた調節手段で容易に調節できるようにし、ユーザが製造社で設定した初期値に拘らずに、自らの判断によって出力電圧の大きさを調節できる棒型イオナイザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明による出力電圧調節が可能な棒型イオナイザの望ましい一実施形態は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザにおいて、
放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする。
【0008】
本実施形態において、前記表示をするための手段は、リモコン、RMS(遠隔監視システム:RemoteMonitoring System)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて前記で選択された項目及び設定された数値を表示することが望ましい。
本実施形態において、前記表示をするための手段は、PCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含んでなることが望ましい。
【0009】
本実施形態において、前記選択された項目の所望の数値を設定するための手段は、イオナイザの正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択するための選択ボタンと、選択された項目の数値を設定する設定ボタンと、を備えてなることが望ましい。
本実施形態において、前記放電針に印加される高電圧の出力電圧を設定するための手段は、直流電源を提供する直流電源部と、前記直流電源部から入力された直流電源の電圧を必要な大きさに低めるレギュレーターと、前記レギュレーターによって設定された出力電圧値が入力されれば、該入力された出力電圧値に対応するレベルの負の出力電圧と正の出力電圧値とを出力するレベル調節器と、前記レベル調節器の出力値に対応する出力電圧値を生成するのに必要な大きさの抵抗値を作る可変抵抗と、前記可変抵抗によって作られた可変抵抗値によって、ユーザが設定した高電圧を発生させて放電針に提供する高電圧モジュールと、を含んでなることが望ましい。
【0010】
本実施形態において、前記高電圧モジュールに故障が発生した場合にイオナイザの動作を止めさせるかどうかを選択するための手段をさらに備えることが望ましい。
【0011】
本実施形態において、前記正の出力電圧と負の出力電圧は、複数のレベルであらかじめ設定されていることが望ましい。
【0012】
本実施形態において、前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することが望ましい。
【0013】
本実施形態において、前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節するために、前記レベル調節器が、各レベル別に負の出力電圧値と正の出力電圧値とを異ならせて設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施を通じて、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒自体に設けられた調節手段のみで容易に調節することができて、イオナイザが設けられる環境によって最適の出力電圧の大きさをユーザが自ら設定することで、効率的な除電をなしうる。また、本発明では、設定された出力電圧の大きさを棒自体に表示することで、ユーザが容易にイオナイザの出力電圧を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による棒型イオナイザの左側面図である。
【図2】本発明による棒型イオナイザの正面図である。
【図3】本発明による棒型イオナイザの右側面図である。
【図4】本発明による棒型イオナイザの底面図である。
【図5】本発明による棒型イオナイザの棒を回転させた場合の右側面図である。
【図6】本発明による棒型イオナイザの制御装置の正面図である。
【図7】図6の制御装置でアドレスを設定する場合の例示図である。
【図8】図6の制御装置で周波数を設定する場合の例示図である。
【図9】図6の制御装置でデューティー比を設定する場合の例示図である。
【図10】図6の制御装置で正の出力電圧を設定する場合の例示図である。
【図11】図6の制御装置で負の出力電圧を設定する場合の例示図である。
【図12】本発明による棒型イオナイザの出力電圧設定回路のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態による棒型イオナイザの特徴を説明する。
【0017】
本発明の課題を解決するために、イオナイザが特定の形態を有していなければならないものではないが、理解を助けるために、本発明に使われるイオナイザの外観及び動作状態を、図1及び図5を参照して説明する。
【0018】
棒200の両端には、スロットホール210が設けられて棒200がボルトによって壁体などに固定されるようにする。棒200の中には、棒200が長くても中間部分が下に垂れないようにミドルブラケット300が設けられており、前記ミドルブラケット300にも、壁体などでの固定のためのスロットホール310が設けられる。棒200の下側には、イオンが出るチップ100が多数個設けられる。
各チップ100には、高電圧モジュール640で発生する高電圧が印加された放電針が設けられており、コロナ放電によって放電針で発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する。
【0019】
図5に示すように、必要によって棒200を回転させることができて、帯電物体の位置に合わせて前記チップ100の方向を調節することができる。そして、棒200は、ヒンジ400とフック450とを介してミドルブラケット300と連結されており、ヒンジ400とフック450とによって棒が45゜、90゜などの角度で回転されうる。
【0020】
本発明の棒型イオナイザは、図6ないし図11に示すように、表示部510をイオナイザ棒に設置してイオナイザの設定及び動作状態を表示することで、ユーザがイオナイザの状態を容易に把握できる。
【0021】
そして、図示していないが、表示部510は、棒自体だけではなく、イオナイザを遠隔で制御するためのリモコンと遠隔地で多数のイオナイザを監視するシステムであるRMS(遠隔監視システム:Remote Monitoring System)にも設置可能である。RMS自体は、既に公知の技術であるので、これについては、説明しない。
【0022】
一方、前記表示部510は、後述するようなユーザが選択したイオナイザの項目と各項目別にユーザが設定した数値とを表示し、その他のPCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含む。放電針に異物が吸着されれば、イオン電流量が基準値より低くなり、高電圧を発生する高電圧モジュールに故障が発生すれば、放電針に印加される電圧が基準値より低くなりうる。各発光部は、発光ダイオード(LED、Light Emitted Diode)として具現可能である。
【0023】
前記表示部510の左側には、動作スイッチ520が設けられている。このスイッチを上に上げれば、高電圧モジュール640に故障が発生した場合にも、イオナイザが動作し続ける。複数個のイオナイザの動作状態を一括して監視するシステム(RMS)を構築した場合には、如何なるイオナイザで異常が発生したかを確認するために、前記動作スイッチ520を上げて使うことが望ましい。このスイッチを下げれば、高電圧モジュール640に故障が発生した場合、イオナイザが動作を止めるようになる。高電圧モジュール640に異常が発生すれば、除電がなされないので、除電能を喪失した場合、イオナイザの動作を止めるようにする必要がある環境では、前記動作スイッチ520を下に下げて使うことが望ましい。
【0024】
前記表示部510の右側には、調節部530が設けられてイオナイザ動作に必要な各種の数値を設定することができる。前記調節部530は、外部リモコンによる遠隔調節有無を選択するリモコン選択ボタン531、設定される項目を選択する選択ボタン532、選択された項目の数値を設定するアップボタン533及びダウンボタン534で構成されている。
【0025】
図7は、アドレスを設定する場合、図8は、周波数を設定する場合、図9は、デューティー比を設定する場合、図10は、正の出力電圧を設定する場合、図11は、負の出力電圧を設定する場合を示す。
【0026】
ユーザは、選択ボタン532を数回押して設定しようとする項目が表示部510に表われるようにする。“A”はアドレス、“F”は周波数、“d”はデューティー比、“P”は正の出力電圧レベル、“n”は負の出力電圧レベルを表わす。次いで、アップボタン533及びダウンボタン534を押して当該項目の所望の設定値を入力する。アップボタン533及びダウンボタン534を押すことによって、表示部510にも変化する数値が表われる。
【0027】
設定された各項目別の数値は、表示部510に表われるようになって、ユーザが容易に各項目別の設定値を確認することができる。表示部で、項目と設定値とが表示される部分は、FND(フレキシブル数値表示部:Flexible Numeric Display)として具現可能である。
【0028】
前記正の出力電圧と負の出力電圧は、例えば、下記の表1のように、8kVから12.5kVまで0.5kV間隔で10個のレベルで分けられて既設されており、正と負との出力電圧をそれぞれ異なるように設定することができるので、設けられる環境によって発生する正イオンと負イオンとの比率を調節することが可能である。
【0029】
【表1】
【0030】
図12は、出力電圧設定回路600のブロック構成図である。レギュレーター620は、直流電源610の入力電圧を適切に調節して、高電圧モジュール640に供給する。例えば、レギュレーター620は、24V入力電圧を低めて高電圧モジュール640に供給し、レギュレーター620と高電圧モジュール640との間には、可変抵抗630が挿入されており、ユーザが調節部530を通じて設定した出力電圧レベルで合わせて抵抗値が変わる。このように変化された抵抗値によってレギュレーター520の出力電圧は、13〜20Vに調節されて高電圧モジュール640に供給され、高電圧モジュール640は、これより8〜12.5kVのパルス交流高電圧を生成して放電針に印加する。この際、レベル調節器650は、ユーザが調節部530によって所望のレベルを設定すれば、表1のように、各レベルによって既定の正と負との出力電圧を生成するために、抵抗値をそれに合わせて調節するように可変抵抗630に指示をする。このような過程を経て正と負との出力電圧が生成されれば、それに対応する量の負イオンと正イオンとが生成されるので、二つのイオンの量を調節することができる。
【符号の説明】
【0031】
100:チップ 200:棒
210:スロットホール 300:ミドルブラケット
310:スロットホール 400:ヒンジ
450:フック 510:表示部
520:動作スイッチ 530:調節部
531:リモコン選択ボタン 532:選択ボタン
533:アップボタン 534:ダウンボタン
600:イオナイザ出力電圧設定回路 610:直流電源
620:レギュレーター 630:可変抵抗
640:高電圧モジュール 650:レベル調節器
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナ放電によって帯電物体の静電気を除去するイオナイザに係り、より詳細には、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒に設けられた調節ボタンで容易に調節できる棒(bar)型イオナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電式のイオナイザは、放電針に電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する装置である。このようなコロナ放電式のイオナイザは、放電針に印加される数kVの高電圧が放電針の端部に強い電界を発生させることによって、空中に浮遊するホコリ(particle)が放電針に付着されて経時的に必然的に除電効果は落ちる。一般的に、放電針に印加される出力電圧が大きくなるほどイオン生成量が多くなるので、除電速度が速くて有効除電距離も増えるが、出力電圧が大きくなれば、放電針の端部にさらに強い電界が発生して放電針に付着されるホコリの量がさらに増加するという問題点がある。したがって、イオナイザが設けられる環境によって放電針に印加される出力電圧の大きさは、調節される必要がある。例えば、イオナイザが、ホコリが多く発生する環境に設けられる場合であれば、そうではない環境に比べて相対的に出力電圧を低く設定する必要がある。
【0003】
ところで、従来のイオナイザは、初めて設けられる環境に合わせて製造社であらかじめ前記出力電圧の大きさを固定させた状態で出荷され、設けられた以後には、設けられた環境の変化などユーザの必要によって出力電圧の大きさを調節できないという問題点があった。
【0004】
この技術分野の先行技術としては、本発明の出願人によって2005年4月19日に出願された大韓民国特許出願番号第10−2005−0032534号の“棒型イオナイザ”がある。この技術は、コロナ放電でイオンを発生して帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザに関するものであって、棒自体でアドレス、パルス交流高電圧のデューティー比(duty ratio)、周波数を調節できるようにし、エア噴射ソケットを改善して静電気除去のためのイオンが円滑に放出されるようにしたものである。
【0005】
しかし、この先行技術はイオナイザのアドレス、周波数、デューティー比を棒自体で調節することはできるが、前述したような出力電圧調節に関する問題点は、依然として解決することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題を解決するために創案されたものであって、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒自体に設けられた調節手段で容易に調節できるようにし、ユーザが製造社で設定した初期値に拘らずに、自らの判断によって出力電圧の大きさを調節できる棒型イオナイザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明による出力電圧調節が可能な棒型イオナイザの望ましい一実施形態は、放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザにおいて、
放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする。
【0008】
本実施形態において、前記表示をするための手段は、リモコン、RMS(遠隔監視システム:RemoteMonitoring System)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて前記で選択された項目及び設定された数値を表示することが望ましい。
本実施形態において、前記表示をするための手段は、PCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含んでなることが望ましい。
【0009】
本実施形態において、前記選択された項目の所望の数値を設定するための手段は、イオナイザの正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択するための選択ボタンと、選択された項目の数値を設定する設定ボタンと、を備えてなることが望ましい。
本実施形態において、前記放電針に印加される高電圧の出力電圧を設定するための手段は、直流電源を提供する直流電源部と、前記直流電源部から入力された直流電源の電圧を必要な大きさに低めるレギュレーターと、前記レギュレーターによって設定された出力電圧値が入力されれば、該入力された出力電圧値に対応するレベルの負の出力電圧と正の出力電圧値とを出力するレベル調節器と、前記レベル調節器の出力値に対応する出力電圧値を生成するのに必要な大きさの抵抗値を作る可変抵抗と、前記可変抵抗によって作られた可変抵抗値によって、ユーザが設定した高電圧を発生させて放電針に提供する高電圧モジュールと、を含んでなることが望ましい。
【0010】
本実施形態において、前記高電圧モジュールに故障が発生した場合にイオナイザの動作を止めさせるかどうかを選択するための手段をさらに備えることが望ましい。
【0011】
本実施形態において、前記正の出力電圧と負の出力電圧は、複数のレベルであらかじめ設定されていることが望ましい。
【0012】
本実施形態において、前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することが望ましい。
【0013】
本実施形態において、前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節するために、前記レベル調節器が、各レベル別に負の出力電圧値と正の出力電圧値とを異ならせて設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施を通じて、放電針に印加される出力電圧の大きさを棒自体に設けられた調節手段のみで容易に調節することができて、イオナイザが設けられる環境によって最適の出力電圧の大きさをユーザが自ら設定することで、効率的な除電をなしうる。また、本発明では、設定された出力電圧の大きさを棒自体に表示することで、ユーザが容易にイオナイザの出力電圧を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による棒型イオナイザの左側面図である。
【図2】本発明による棒型イオナイザの正面図である。
【図3】本発明による棒型イオナイザの右側面図である。
【図4】本発明による棒型イオナイザの底面図である。
【図5】本発明による棒型イオナイザの棒を回転させた場合の右側面図である。
【図6】本発明による棒型イオナイザの制御装置の正面図である。
【図7】図6の制御装置でアドレスを設定する場合の例示図である。
【図8】図6の制御装置で周波数を設定する場合の例示図である。
【図9】図6の制御装置でデューティー比を設定する場合の例示図である。
【図10】図6の制御装置で正の出力電圧を設定する場合の例示図である。
【図11】図6の制御装置で負の出力電圧を設定する場合の例示図である。
【図12】本発明による棒型イオナイザの出力電圧設定回路のブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態による棒型イオナイザの特徴を説明する。
【0017】
本発明の課題を解決するために、イオナイザが特定の形態を有していなければならないものではないが、理解を助けるために、本発明に使われるイオナイザの外観及び動作状態を、図1及び図5を参照して説明する。
【0018】
棒200の両端には、スロットホール210が設けられて棒200がボルトによって壁体などに固定されるようにする。棒200の中には、棒200が長くても中間部分が下に垂れないようにミドルブラケット300が設けられており、前記ミドルブラケット300にも、壁体などでの固定のためのスロットホール310が設けられる。棒200の下側には、イオンが出るチップ100が多数個設けられる。
各チップ100には、高電圧モジュール640で発生する高電圧が印加された放電針が設けられており、コロナ放電によって放電針で発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する。
【0019】
図5に示すように、必要によって棒200を回転させることができて、帯電物体の位置に合わせて前記チップ100の方向を調節することができる。そして、棒200は、ヒンジ400とフック450とを介してミドルブラケット300と連結されており、ヒンジ400とフック450とによって棒が45゜、90゜などの角度で回転されうる。
【0020】
本発明の棒型イオナイザは、図6ないし図11に示すように、表示部510をイオナイザ棒に設置してイオナイザの設定及び動作状態を表示することで、ユーザがイオナイザの状態を容易に把握できる。
【0021】
そして、図示していないが、表示部510は、棒自体だけではなく、イオナイザを遠隔で制御するためのリモコンと遠隔地で多数のイオナイザを監視するシステムであるRMS(遠隔監視システム:Remote Monitoring System)にも設置可能である。RMS自体は、既に公知の技術であるので、これについては、説明しない。
【0022】
一方、前記表示部510は、後述するようなユーザが選択したイオナイザの項目と各項目別にユーザが設定した数値とを表示し、その他のPCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含む。放電針に異物が吸着されれば、イオン電流量が基準値より低くなり、高電圧を発生する高電圧モジュールに故障が発生すれば、放電針に印加される電圧が基準値より低くなりうる。各発光部は、発光ダイオード(LED、Light Emitted Diode)として具現可能である。
【0023】
前記表示部510の左側には、動作スイッチ520が設けられている。このスイッチを上に上げれば、高電圧モジュール640に故障が発生した場合にも、イオナイザが動作し続ける。複数個のイオナイザの動作状態を一括して監視するシステム(RMS)を構築した場合には、如何なるイオナイザで異常が発生したかを確認するために、前記動作スイッチ520を上げて使うことが望ましい。このスイッチを下げれば、高電圧モジュール640に故障が発生した場合、イオナイザが動作を止めるようになる。高電圧モジュール640に異常が発生すれば、除電がなされないので、除電能を喪失した場合、イオナイザの動作を止めるようにする必要がある環境では、前記動作スイッチ520を下に下げて使うことが望ましい。
【0024】
前記表示部510の右側には、調節部530が設けられてイオナイザ動作に必要な各種の数値を設定することができる。前記調節部530は、外部リモコンによる遠隔調節有無を選択するリモコン選択ボタン531、設定される項目を選択する選択ボタン532、選択された項目の数値を設定するアップボタン533及びダウンボタン534で構成されている。
【0025】
図7は、アドレスを設定する場合、図8は、周波数を設定する場合、図9は、デューティー比を設定する場合、図10は、正の出力電圧を設定する場合、図11は、負の出力電圧を設定する場合を示す。
【0026】
ユーザは、選択ボタン532を数回押して設定しようとする項目が表示部510に表われるようにする。“A”はアドレス、“F”は周波数、“d”はデューティー比、“P”は正の出力電圧レベル、“n”は負の出力電圧レベルを表わす。次いで、アップボタン533及びダウンボタン534を押して当該項目の所望の設定値を入力する。アップボタン533及びダウンボタン534を押すことによって、表示部510にも変化する数値が表われる。
【0027】
設定された各項目別の数値は、表示部510に表われるようになって、ユーザが容易に各項目別の設定値を確認することができる。表示部で、項目と設定値とが表示される部分は、FND(フレキシブル数値表示部:Flexible Numeric Display)として具現可能である。
【0028】
前記正の出力電圧と負の出力電圧は、例えば、下記の表1のように、8kVから12.5kVまで0.5kV間隔で10個のレベルで分けられて既設されており、正と負との出力電圧をそれぞれ異なるように設定することができるので、設けられる環境によって発生する正イオンと負イオンとの比率を調節することが可能である。
【0029】
【表1】
【0030】
図12は、出力電圧設定回路600のブロック構成図である。レギュレーター620は、直流電源610の入力電圧を適切に調節して、高電圧モジュール640に供給する。例えば、レギュレーター620は、24V入力電圧を低めて高電圧モジュール640に供給し、レギュレーター620と高電圧モジュール640との間には、可変抵抗630が挿入されており、ユーザが調節部530を通じて設定した出力電圧レベルで合わせて抵抗値が変わる。このように変化された抵抗値によってレギュレーター520の出力電圧は、13〜20Vに調節されて高電圧モジュール640に供給され、高電圧モジュール640は、これより8〜12.5kVのパルス交流高電圧を生成して放電針に印加する。この際、レベル調節器650は、ユーザが調節部530によって所望のレベルを設定すれば、表1のように、各レベルによって既定の正と負との出力電圧を生成するために、抵抗値をそれに合わせて調節するように可変抵抗630に指示をする。このような過程を経て正と負との出力電圧が生成されれば、それに対応する量の負イオンと正イオンとが生成されるので、二つのイオンの量を調節することができる。
【符号の説明】
【0031】
100:チップ 200:棒
210:スロットホール 300:ミドルブラケット
310:スロットホール 400:ヒンジ
450:フック 510:表示部
520:動作スイッチ 530:調節部
531:リモコン選択ボタン 532:選択ボタン
533:アップボタン 534:ダウンボタン
600:イオナイザ出力電圧設定回路 610:直流電源
620:レギュレーター 630:可変抵抗
640:高電圧モジュール 650:レベル調節器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザにおいて、
放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項2】
前記表示をするための手段は、
リモコン、RMS(遠隔監視システム)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて前記で選択された項目及び設定された数値を表示することを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項3】
前記表示をするための手段は、
PCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項4】
前記選択された項目の所望の数値を設定するための手段は、
イオナイザの正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択するための選択ボタンと、
選択された項目の数値を設定する設定ボタンと、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項5】
前記放電針に印加される高電圧の出力電圧を設定するための手段は、
直流電源を提供する直流電源部と、
前記直流電源部から入力された直流電源の電圧を必要な大きさに低めるレギュレーターと、
前記レギュレーターによって設定された出力電圧値が入力されれば、この入力された出力電圧値に対応するレベルの負の出力電圧と正の出力電圧値とを出力するレベル調節器と、
前記レベル調節器の出力値に対応する出力電圧値を生成するのに必要な大きさの抵抗値を作る可変抵抗と、
前記可変抵抗によって作られた可変抵抗値によって、ユーザが設定した高電圧を発生させて放電針に提供する高電圧モジュールと、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項6】
前記高電圧モジュールに故障が発生した場合、イオナイザの動作を止めさせるかどうかを選択するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項7】
前記正の出力電圧と負の出力電圧は、
複数のレベルであらかじめ設定されていることを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項8】
前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項9】
前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節するために、前記レベル調節器が、各レベル別に負の出力電圧値と正の出力電圧値とを異ならせて設定することを特徴とする請求項8に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項1】
放電針に高電圧を印加してコロナ放電によって発生する正イオン及び負イオンで帯電物体の静電気を除去する棒型イオナイザにおいて、
放電針に印加される高電圧の正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択して、この選択された項目の所望の数値を設定して、その内容を表示できることを特徴とする出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項2】
前記表示をするための手段は、
リモコン、RMS(遠隔監視システム)及び棒のうち一つ以上に設けられ、これを通じて前記で選択された項目及び設定された数値を表示することを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項3】
前記表示をするための手段は、
PCまたはコントローラと通信がなされる時に点滅するRX/TX発光部、イオン電流量が基準値より低くなった場合に点灯するION発光部、放電針に印加される電圧が基準値より低くなった場合に点灯するH/V発光部、正常に正イオンが発生している場合に点灯するPOS発光部、正常に負イオンが発生している場合に点灯するNEG発光部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項4】
前記選択された項目の所望の数値を設定するための手段は、
イオナイザの正の出力電圧、負の出力電圧、イオナイザのアドレス、周波数、デューティー比のうち何れか一つの項目をユーザが選択するための選択ボタンと、
選択された項目の数値を設定する設定ボタンと、
を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項5】
前記放電針に印加される高電圧の出力電圧を設定するための手段は、
直流電源を提供する直流電源部と、
前記直流電源部から入力された直流電源の電圧を必要な大きさに低めるレギュレーターと、
前記レギュレーターによって設定された出力電圧値が入力されれば、この入力された出力電圧値に対応するレベルの負の出力電圧と正の出力電圧値とを出力するレベル調節器と、
前記レベル調節器の出力値に対応する出力電圧値を生成するのに必要な大きさの抵抗値を作る可変抵抗と、
前記可変抵抗によって作られた可変抵抗値によって、ユーザが設定した高電圧を発生させて放電針に提供する高電圧モジュールと、
を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項6】
前記高電圧モジュールに故障が発生した場合、イオナイザの動作を止めさせるかどうかを選択するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項7】
前記正の出力電圧と負の出力電圧は、
複数のレベルであらかじめ設定されていることを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項8】
前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節することを特徴とする請求項5に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【請求項9】
前記高電圧モジュールで放電針に供給する負イオンと正イオンとの量を異ならせて調節するために、前記レベル調節器が、各レベル別に負の出力電圧値と正の出力電圧値とを異ならせて設定することを特徴とする請求項8に記載の出力電圧調節が可能な棒型イオナイザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−538438(P2010−538438A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523933(P2010−523933)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004679
【国際公開番号】WO2009/031764
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510057981)ションゼ ハイテック カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004679
【国際公開番号】WO2009/031764
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(510057981)ションゼ ハイテック カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]