説明

出口専用の車両用ゲート

【課題】一般道路に面した出口専用の車両用ゲートにおいて、車両の運転者等が自ら外側の通行状況を確認して、タイミングを計って、適時に車両を出行可能な車両用ゲートを提案する。
【解決手段】車両用ゲートを、以下の構成により構成する。すなわち、外側から内側の視認を抑制する視認抑制板4を一部に備えると共に、開閉動作により出行を可能とする門扉2と、門扉前に停車した車両位置の両側に配置して、外側からの車両の視認を抑制する視認抑制板を備えた側面壁3と、門扉前での停車時に車両内から操作可能な門扉を開放させるスイッチ5と、から構成している。視認抑制板は、可視光線透過率の低下処理、又はハーフミラー処理を施したものを門扉や側面壁の適宜の部位に配置して構成する。起動手段としては、運転者等が操作可能な手押しボタン式のものを採用している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、出口専用の車両用ゲートであって、特に、一般道路に隣接して適時を計って道路側への出行を可能とする車両用ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場、作業用施設、又は宿泊施設、特殊施設など一般道路から内部への伺いを遮蔽したい地域では、通常はその周囲を遮蔽壁で囲っている。この遮蔽壁には、外部と人や資材等の出行のためにその都度開閉させる車両用ゲートを設けている場合がある。
【0003】
かかる車両用ゲートとしては、以下に示すものがある。例えば、特許文献1にはスイング状に開閉する自動門扉であって、複数のスイッチ(センサ)を組み合わせることにより、車両の接近に伴って自動的に開き、車両の通過後は速やかに閉じる自動門扉が開示されている。この自動門扉は、車両出行時の扉開放時間を短縮する効果を有している。
【0004】
また、特許文献2には、固定梁に昇降可能な可動梁を配置すると共に、可動梁に左右に折り畳み可能な開閉扉を吊懸状態に配設する工事現場用の仮設用ゲートが開示されている。この仮設用ゲートは、適宜にゲートの開口部を高くすることが可能であるため、背丈のあるクレーン車等の出行も容易となる効果を有する。
【特許文献1】特開平6−272465号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】特開平6−108765号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献に示す車両用ゲート等は、通行量の多い一般道路に面している場合には、必要以上に開放させることは粉塵の飛散や一般道路側からの不要な覗き見や好奇の目にさらすことになる。このため、門扉の開閉時間を短縮可能とする特許文献1の自動門扉、及び出口の開口高さを短時間に変更できて車両の出行をスムーズにする特許文献2のゲートは、かかる問題の解消を意図している。
【0006】
しかしながら、これら車両用ゲート等は、車両乗車人(主に、運転者や同乗者等、「運転者等」と称する。)が遮蔽壁の内部側からは一般道路側を伺うことは極めて困難であるため、運転者等は扉等の開放後に車両に乗車しつつゲートの周囲を確認する必要があった。この確認行為は、不用意な車両の出行による事故を防止する安全確保の観点からも特に必要な行為であるが、非常に煩雑なものとなっていた。また、この行為が円滑な通行の妨げになるばかりか、扉の開放時間が必要以上に長くなる事態を招いていた。なお、工事車両などの出入りが頻繁な所では、専属の確認・誘導係を配置して安全性を確保することが義務付けられているが、これには人件費が嵩むため、小規模で出入り間隔の長い施設では現実的ではなかった。
【0007】
そこで、本願発明は、特に一般道路等に面した出口専用の車両用ゲートにおいて、車両の運転者等が自ら外側の通行状況を確認して、タイミングを計って、適時に車両を出行させることを可能とする車両用ゲートを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本願発明にかかる出口専用の車両用ゲートは(以下、「本ゲート」と略称する。)は、以下のように構成している。
【0009】
すなわち、外側から内側の視認を抑制する可視制御手段(4)を一部又は全部に備えると共に、開閉動作により出行を可能とする門扉(2)と、該門扉(2)の前に停車した車両位置の片側又は両側に配置して、外側からの当該車両の視認を抑制する可視制御手段(4)を備えた側面壁(3)と、該門扉(2)の前での停車時に車両内からの操作により上記門扉(2)を開放させる起動手段(5)と、から構成したことを特徴としている。
【0010】
上記の可視制御手段は、可視光線透過率の低下処理、又はハーフミラー処理を施した視認抑制板(4)を、門扉(2)や側面壁(3)の適宜の部位に配置して構成することが好適であるが、いわゆる窓等に配置するブラインドを、門扉(2)や側面壁(3)の適宜の部位に配置して構成しても良い。
【0011】
これらの可視制御手段となる視認抑制板(4)は、本ゲート(1)を設置する施設によるが、運転者等が内側から外側の通行状況を伺える部分に配設する必要がある。したがって、視認抑制板(4)は門扉(2)の全面に配設する必要はなく、少なくとも、外側から車両(C)の一部、特に運転席部分の視認を抑制する部分に配設するようにしても良い。例えば、粉塵の飛散防止を主目的とする工事現場などでは、門扉(2)の一部を視認抑制板(4)等とし、他の部分は遮蔽板(22a)として構成しても良い。一方、出行状況を一般道路側から観察されたくない宿泊施設、特殊施設等では、門扉(2)の一部をハーフミラー処理した視認抑制板(4)とし、他の部分の遮蔽板(22a)を省略する構成としても良い。
【0012】
また、門扉(2)を開放させる起動手段(5)としては、運転者等が操作可能なものであれば、手押しボタン式のスイッチ、上方から吊り下げ配置した紐、光路遮断により起動するレーザーラインセンサ等の既存技術から適宜に構築すれば良い。
【0013】
さらに、本ゲート(1)には、ゲート外部に配置されてゲート前の一般道路(R)の通行状況を撮るテレビカメラ(6)と、該テレビカメラ(6)からの画像を運転者等に見せるディスプレイ装置(7)とを配置しても良い。このテレビカメラ(6)は、本ゲート(1)の外側の門扉開放部分と一般道路(R)の左右の両方向を確認するために、少なくも2台を配置することが望ましい。また、テレビカメラ(6)及びディスプレイ装置(7)は、本ゲート(1)の門扉(2)の前面に出行する車両(C)が停車したときのみ起動するのが好ましい。
【0014】
なお、上述した括弧付き符号は、発明の構成の理解を得るために図面符号を参考に付記したものであり、この図面上の形態に限定するものではない。
【発明の効果】
【0015】
本ゲートは、上記の構成であるため、以下の効果を奏する。
すなわち、出口専用の車両用ゲートが一般道路等に面した場合において、ゲートの内側に停車した車両の運転者等が自ら外側の通行状況を確認しつつ、タイミングを計ってゲートの門扉を開放させて適時に車両を出行させることができ、出行時の安全性の確保と素早い門扉の開閉作動が可能となる効果を奏する。
【0016】
また、門扉の開放時間の短縮は、工事現場では粉塵等の飛散防止の効果があり、秘匿性が要求される宿泊施設や特殊施設では、出向時の運転者等が一般道路側から視認されることや内部の不要な覗き見を防止できる効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本ゲートの実施形態例について、図面に基づいて詳細に説明する。
本ゲートは、通行量が多いと想定される一般道路に面した車両用ゲートであって、工事現場、宿泊施設等の敷地等の内部を一般道路等の外側からの視認を抑制すると共に、運転者等が自ら適宜に門扉を開閉して車両を通過させる出口専用のゲートである。本実施例では、特に出行時の車両の秘匿性を重視する宿泊施設(いわゆる、ブティックホテル)に設置するゲートとして以下に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は実施例1の本ゲートを車両内からの視点で示す説明図であり、図2は実施例1の本ゲートを内部側から示す一部切り欠き斜視図であり、図3は実施例1の本ゲートを示す一部切り欠き平面図である。
【0019】
実施例1の本ゲート1の主な構成は、出行時における運転者等から視認すると(図1参照)、一般道路側に面すると共に車両Cの前面に配置して両開きする門扉2と、車両Cの両側に配置した側面壁3と、車両Cのサイドガラスの近傍に配設した起動手段となるスイッチ5である。また、門扉2と側面壁3の一部には、外側から内側の視認を抑制する可視制御手段として視認抑制板4を配置している。
【0020】
門扉2は、一般道路Rに面して門形に構築したフレーム21の開放部分に、横方向の格子をもって枠面を分割した4個の枠体を並列状に配置して構成している。フレーム21の中央部に配置した2個の枠体は、車両Cから視て左右方向に両開き式に開いて(矢印a)車両を通過可能とする可動枠22とし、両端の2個の枠体は動かない固定枠23として構成している。
【0021】
門扉2を構成する可動枠22及び固定枠23は、共にその枠面を上下方向に略等分に三分割している。可動枠22は中央部に後述する可視制御手段として機能する視認抑制板4を、上部にはアルミ板から成る遮蔽板22aを配設し、必要により下部は空き状態としている。一方、固定枠23は、中央部のみに樹脂製の透明板23aを配設し、上部と下部は適宜に空き状態又は目隠し状態としている。
【0022】
門扉2は上記構成により、車両側から視認すると、可動枠22の中央部及び空き状態の下部から外側の車両C2を伺うことができるが、外側からは少なくとも車両Cの運転席前面(フロントガラスの部分)の視認が抑制されている。可動枠22及び固定枠23に設置した視認抑制板4、遮蔽板22a、及び透明板23aは、本ゲート1が、例えば、工事現場に設置して粉塵の飛散防止を目的とする場合には、全ての枠面に何れかを配設するように変更することも可能である。
【0023】
門扉2の開閉は、一般的な電動、油圧、又はエアー圧を動力源とした既存の作動機構を用いているため、本実施例での詳細な説明は省略する。
【0024】
側面壁3は、門扉2の可動枠22の幅より若干広めに、かつ門扉2の前に停車した車両Cの両側に立設状に配置した基礎部32と、この基礎部32の上方を覆うように配設する逆L字状のフレーム31と、基礎部32とフレーム31の間に配置した2個の固定枠33、及び固定枠33のそれぞれに配設した視認抑制板4とから構成している。この側面壁3は、門扉2の固定枠側から車両Cの側面の視認を遮断する程度の面積を有している。
【0025】
基礎部32は、一般的な建築用ブロックを積み上げて構築したものであり、その高さは運転者等が固定枠23に配設する視認抑制板4を通して外側を視認できる程度となるようにしている。また、側面壁3は、外側からの視認状態によっては、一方側のみの配置とすることも可能である。
【0026】
門扉2の可動枠22および側面壁3の固定枠33には、上述したように可視制御手段として機能する視認抑制板4を配設している。この視認抑制板4は、可視光線透過率の低下処理(例えば、10%〜50%)、又はハーフミラー処理(ワンウェイ可視構造)を施したフィルムを透明板の板面に貼り付けたものである。この視認抑制板4は、外側からは本ゲート1の内側に停車した車両Cを見え難くする一方、車両側からは外側の状況を伺うことができる構成となるようにそれぞれ可動枠22、固定枠33に配設している。この視認抑制板4の配設により、運転者等は外側の一般道路Rの通行状況を知ることができる。
【0027】
なお、この可視制御手段は、上記のような処理を施した視認抑制板4の他にも、一般的な窓枠に配置する所謂「ブラインド」を、各枠に配置して構成しても良い(図示省略)。この場合は、もちろんブラインドの角度調整をして、外側からの視認を抑制する必要がある。
【0028】
起動手段は、門扉2の前に停車した車両Cの運転者等が容易に操作可能な位置と高さに配置した手押しボタン式のスイッチ5である。このスイッチ5は車両Cの一方側の側面に立設させた基部51の車両面側に配置している。門扉2の可動枠22は、このスイッチ5の起動により左右に開き(矢印a)、車両Cの通過を可能としている。車両Cの通過後には、門扉2のフレーム21に車両Cを適宜な検知する位置センサを配置して、可動枠22を閉じるよう制御しても良い。
【0029】
この起動手段は、上記実施例に限定する必要はなく、運転者等が操作可能なものであれば、上方から吊り下げ配置した紐、光路遮断により起動するレーザーラインセンサ、音声センサ等の既存技術から適宜に構築することが可能である。
【実施例2】
【0030】
次に、実施例2の本ゲート1について説明する。図4は実施例2の本ゲートを示す一部切り欠き平面図である。
【0031】
実施例1の本ゲート1は、視認抑制板4を門扉2及び側面壁3に配置して、運転者等が外側を伺える構成であるが、実施例2の本ゲート1は実施例1の構成に加えて以下の構成としている。
【0032】
すなわち、門扉2の上部の2箇所にゲート前の一般道路Rの通行状況を撮影するテレビカメラ6を配置し、各テレビカメラ6からの画像を運転者等に見せる2台のディスプレイ装置7を各側面壁3の上部に配置する構成である。テレビカメラ6は、本ゲート1の一般道路側の門扉開閉部分と一般道路Rの左右の両方向を確認するために、撮影方向が交差するように配置することが望ましい(図4参照)。また、テレビカメラ6及びディスプレイ装置7は、本ゲート1の門扉2の前面に車両Cが停車したときのみ起動するようにして、省電力を図ることが望ましいものである。
【0033】
実施例2の構成を採用する本ゲート1は、ディスプレイ装置7を通して外側の状況が伺えるため、門扉2及び側面壁3に配置する視認抑制板4を全て遮蔽板22aに変更しても良く、外側の状況確認を更に良好とするために視認抑制板4の変更をしなくとも良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1の本ゲートを車両内からの視点で示す説明図である。
【図2】実施例1の本ゲートを内部側から示す一部切り欠き斜視図である。
【図3】実施例1の本ゲートを示す一部切り欠き平面図である。
【図4】実施例2の本ゲートを示す一部切り欠き平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 本ゲート
2 門扉
21 フレーム
22 可動枠
22a 遮蔽板
23 固定枠
23a 透明板
3 側面壁
31 フレーム
32 基礎部
33 固定枠
4 視認抑制板
5 スイッチ
51 基部
6 テレビカメラ
7 ディスプレイ装置
C 車両
C2 車両(一般道路側に位置するもの)
R 一般道路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般道路に面した出口専用の車両用ゲートであって、
外側から内側の視認を抑制する可視制御手段(4)を一部又は全部に備えると共に、開閉動作により出行を可能とする門扉(2)と、
該門扉(2)の前に停車した車両位置の片側又は両側に配置して、外側からの当該車両(C)の視認を抑制する可視制御手段(4)を備えた側面壁(3)と、
該門扉(2)の前での停車時に車両内からの操作により上記門扉(2)を開放させる起動手段(5)と、
から構成したことを特徴とする出口専用の車両用ゲート。
【請求項2】
可視制御手段を、
可視光線透過率の低下処理、又はハーフミラー処理を施した視認抑制板(4)、若しくはブラインドの何れかとしたことを特徴とする請求項1記載の出口専用の車両用ゲート。
【請求項3】
ゲートの外部に配置されてゲート前の一般道路(R)の通行状況を撮るテレビカメラ(6)と、
該テレビカメラ(6)からの画像を車両乗車人に見せるディスプレイ装置(7)とを配置したことを特徴とする請求項1、又は2記載の出口専用の車両用ゲート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−57165(P2008−57165A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−233737(P2006−233737)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(594195535)東北グリーン興産株式会社 (5)
【Fターム(参考)】