説明

出窓

【課題】 嵌め殺し部を備えた出窓において、シングルガラスからペアガラスへの変更作業を現場において簡単に行うことができる出窓を提供する。
【解決手段】 上枠5、下枠6および左右の縦枠により構成される枠体7に、シングルガラス8が取り付けられている嵌め殺し部9を備え、下枠6の端部に水抜き穴が設けられている出窓であって、下枠6の幅はペアガラスを取り付け可能な幅を有しており、下枠6にアタッチメント20を介在させてシングルガラス8が取り付けられているとともに、アタッチメント20は下枠6の水抜き穴を露出させるような長さに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌め殺し部を備えた出窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シングルガラスが取り付けられている嵌め殺し部を備えた出窓を、建物の躯体に設置した後に、断熱性等を高めるために、シングルガラスをペアガラスに変更することがある。このような場合には、ガラスの厚さが変わるので、ガラスを取り付ける枠体も変更している。
なお、このような出窓は従来から慣用されているものであるため、先行技術文献は特に記載しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のこのような出窓にあっては、建物の躯体への設置後、シングルガラスをペアガラスに代えるために、既に設置されている枠体を取り外して、新たな枠体を設置するので、変更作業が大変である。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたもので、嵌め殺し部を備えた出窓において、シングルガラスからペアガラスへの変更作業を現場において簡単に行うことができる出窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の出窓は、上枠、下枠および左右の縦枠により構成される枠体に、シングルガラスが取り付けられている嵌め殺し部を備え、前記下枠の端部に水抜き穴が設けられている出窓であって、前記下枠の幅はペアガラスを取り付け可能な幅を有しており、前記下枠にアタッチメントを介在させて前記シングルガラスが取り付けられているとともに、前記アタッチメントは前記下枠の前記水抜き穴を露出させるような長さに設定されていることを特徴とする
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の出窓によれば、下枠のアタッチメントを取り外すことにより、下枠を取り替えることなく、嵌め殺し部のシングルガラスをペアガラスに変えることができ、変更作業を現場において簡単に行うことができる。さらに、アタッチメントが下枠の水抜き穴を露出させるような長さに設定されているので、下枠にアタッチメントを介在させてシングルガラスを取り付けても、下枠からの水抜きに支障がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る出窓を示す横断面図であり、図2は嵌め殺し部の縦断面図である。
この出窓は、建物の躯体Tの窓開口部Kの屋外側に、平面視において台形状に突出して設けられている。この出窓は、正面部および両側面部を形成する出窓本体1を備えており、この出窓本体1の上部には天板や屋根が設けられ、出窓本体1の下部にはテーブル板や底面板が設けられる。出窓本体1は、躯体Tの柱Hの屋外面にネジ2等で固定される左右一対の縦枠3、3と、これらの縦枠3、3と平行に屋外側に配置される左右一対の方立4、4とを備えている。
【0008】
縦枠3と方立4との上端部間および下端部間には、側面上枠5および側面下枠6が掛け渡され、また両方立4、4の上端部間および下端部間には、正面上枠および正面下枠(ともに図示せず)が掛け渡されて、出窓本体1が構成されている。縦枠3、方立(縦枠)4、側面上枠(上枠)5および側面下枠(下枠)6で構成される方形の枠体7に、シングルガラス(単板ガラス)8が取り付けられて、嵌め殺し部9が形成されている。また、両方立4、4、正面上枠および正面下枠で構成される方形の枠体11に、引き違い障子12および網戸13が取り付けられて、引き違い窓サッシ部14が形成されている。出窓本体1を構成する各枠材および障子の框材は、アルミニウム合金の押出形材からなる。
【0009】
嵌め殺し部9のシングルガラス8は、枠体7に次にようにして取り付けられている。
すなわち、図3および図4に示すように、側面下枠6の溝内には、アルミニウム合金の押出形材からなるアタッチメント20が取り付けられている。さらに詳しく説明すると、側面下枠6の屋内側側壁31には、下方に直角に折曲している鉤状の係合部32が形成されており、この係合部32にアタッチメント20の係合部21が係合されて、アタッチメント20が上方に抜けるのを阻止されているとともに、側面下枠6の溝の底壁35にアタッチメント20の固定部22がビス37により固定されている。このアタッチメント20の長さは、側面下枠6の溝の底壁35の両端部に形成されている水抜き穴38、38の間に位置するように設定されており、アタッチメント20が取り付けられても、水抜き穴38、38は露出している。アタッチメント20の長さは、アタッチメント20の両端がそれぞれ各水抜き穴38、38から内側に少し位置し、アタッチメント20の両端部に指が入るようになっており、これによりアタッチメント20を容易に取り外すことができるようになっている。
【0010】
また、側面上枠5および縦枠3、方立4にはそれぞれ、アルミニウム合金の押出形材からなる押縁40および押縁50が取り付けられている。さらに詳しく説明すると、側面上枠5には、2箇所の係合部41、42が形成されており、これらの係合部41、42にそれぞれ押縁40の2箇所の係合部45、46が係合されて、側面上枠5に押縁40が固定されている。同様に、縦枠3および方立4にはそれぞれ、2箇所の係合部51、52が形成されており、これらの係合部51、52にそれぞれ押縁50の2箇所の係合部55、56が係合されて、縦枠3に押縁50が固定されている。縦枠3および方立4の各押縁50、50を取り付けたとき、アタッチメント20の両端部が各押縁50、50の下端部で隠れるようになっており、これによりアタッチメント20の両側の隙間が隠れるようになっている。
【0011】
シングルガラス8の下端部は、側面下枠6とアタッチメント20との間の開口部から側面下枠6の溝内に入れられ、またシングルガラス8の上端部および両側端部はそれぞれ、側面上枠5および縦枠3、方立4と押縁40、50との間の開口部に挿入されている。
【0012】
また、シングルガラス8の室外面と側面下枠6、側面上枠5および縦枠3、方立4との間にはそれぞれ、合成樹脂からなるビート61、62、63が介在されている。これらのビート61、62、63はそれぞれ、側面下枠6、側面上枠5および縦枠3、方立4に取り付けられている。
【0013】
また、シングルガラス8の室内面とアタッチメント20、押縁40および左右の押縁50との間にはそれぞれ、合成樹脂からなる後付けビート65、66、67が介在されている。これらのビート65、66、67はそれぞれ、シングルガラス8とアタッチメント20のビート押圧部23、押縁40のビート押圧部47および左右の押縁50のビート押圧部57との間に押し込まれている。
【0014】
嵌め殺し部9のシングルガラス8を枠体7に取り付けるには、次のようにする。
すなわち、予め、側面下枠6にアタッチメント20を取り付けておく。このとき、アタッチメント20の両端部に指が入るように、アタッチメント20の両端がそれぞれ各水抜き穴38、38から少し内側に位置している。また、側面下枠6、側面上枠5および縦枠3、方立4にそれぞれ、ビート61、62、63を取り付けておく。
そして、まず、シングルガラス8の下端部を側面下枠6とアタッチメント20との間の開口部から挿入し、側面下枠6の溝内に入れて、立てる。
次いで、押縁40および押縁50をそれぞれ、側面上枠5および縦枠3、方立4に取り付ける。このとき、アタッチメント20の両端部それぞれが縦枠3および方立4の各額縁50の下端部により隠れる。
次いで、シングルガラス8の室内面とアタッチメント20、押縁40および左右の押縁50との間にそれぞれ、後付けビート65、66、67を押し込み、シングルガラス8をビート61、62、63およびビート65、66、67で両側から挟持する。
【0015】
このように躯体Tの開口部Kの屋外側に設置されている出窓において、嵌め殺し部9のシングルガラス8をペアガラス(複合ガラス)に変更するには、次のようにする。
すなわち、まず、後付けビート65、66、67をそれぞれ、シングルガラス8の室内面とアタッチメント20、押縁40および左右の押縁50との間から取り外す。
次いで、押縁40および押縁50をそれぞれ、側面上枠5および縦枠3、方立4から取り外す。
次いで、シングルガラス8を取り外す。
次いで、側面下枠6からアタッチメント20を取り外す。アタッチメント20は、アタッチメント20の両端部から指を入れて容易に取り外すことができる。
【0016】
次いで、図5および図6に示すように、ペアガラス78を取り付けるために、まず、ペアガラス78の下端部を側面下枠6の溝内に入れて、立てる。
次いで、押縁40Aおよび押縁50Aをそれぞれ、側面上枠5および縦枠3、方立4に取り付ける。これらの押縁40Aおよび押縁50Aは、押縁40および押縁50とは、ビート押圧部47Aおよびビート押圧部57Aの長さがそれぞれビート押圧部47およびビート押圧部57の長さよりも短くなっているのみで、その他の構成は同じであり、側面上枠5および縦枠3、方立4への取付方法も同じである。
次いで、ペアガラス78の室内面と側面下枠6、押縁40Aおよび左右の押縁50Aとの間にそれぞれ、後付けビート65A、66A、67Aを押し込み、シングルガラス78をビート61、62、63およびビート65A、66A、67Aで両側から挟持する。
【0017】
このような出窓にあっては、側面下枠6のアタッチメント20を取り外すことにより、側面上枠5および縦枠3、方立4だけでなく、側面下枠6も取り替えることなく、嵌め殺し部9のシングルガラス8をペアガラス78に変えることができるので、変更作業を現場において簡単に行うことができる。加えて、アタッチメント20の長さが側面下枠6の両端部の水抜き穴38、38の間に位置するように設定され、アタッチメント20が取り付けられても水抜き穴38、38が露出しているので、側面下枠6にアタッチメント20を介在させてシングルガラス7を取り付けても、側面下枠6から水抜きを支障なく行うことができる。
【0018】
なお、上述の実施の形態では、出窓の側面部に嵌め殺し部9を設け、側面下枠6にアタッチメント20を取り付けたが、嵌め殺し部は出窓の正面部等の他の箇所にあってもよい。また、嵌め殺し部9の左右の縦枠として縦枠3と方立4とを用いたが、左右の縦枠として方立と方立とを用いてもよく、また左右の縦枠として縦枠と縦枠とを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る図であって、出窓の横断面図である。
【図2】同、嵌め殺し部の縦断面図である。
【図3】側面下枠とアタッチメントとの取付状態を示す縦断面図である。
【図4】同、平面図である。
【図5】図1の出窓においてシングルガラスをペアガラスに変更した場合の図であって、出窓の横断面図である。
【図6】同、嵌め殺し部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0020】
3 縦枠
4 方立(縦枠)
5 側面上枠(上枠)
6 側面下枠(下枠)
7 枠体
8 シングルガラス
9 嵌め殺し部
20 アタッチメント
38 水抜き穴
78 ペアガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠および左右の縦枠により構成される枠体に、シングルガラスが取り付けられている嵌め殺し部を備え、前記下枠の端部に水抜き穴が設けられている出窓であって、前記下枠の幅はペアガラスを取り付け可能な幅を有しており、前記下枠にアタッチメントを介在させて前記シングルガラスが取り付けられているとともに、前記アタッチメントは前記下枠の前記水抜き穴を露出させるような長さに設定されていることを特徴とする出窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−28898(P2006−28898A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209678(P2004−209678)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】