刃型装置
【課題】刃型を簡単にチェースへ固定でき、かつ、固定された刃型を傷めずに簡単に取り外しできる刃型装置を提供する。
【解決手段】刃型装置は、打ち抜き刃を有する刃型と、刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、この係止部と一体的に形成された支持部と、この支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、マグネットをチェースに磁着することにより刃型をチェースに係止する複数の刃型固定具とを備えている。刃型固定具は刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置される。
【解決手段】刃型装置は、打ち抜き刃を有する刃型と、刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、この係止部と一体的に形成された支持部と、この支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、マグネットをチェースに磁着することにより刃型をチェースに係止する複数の刃型固定具とを備えている。刃型固定具は刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やフィルム等のシート状基材を打ち抜く場合に用いられる刃型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシール、ラベル、又はステッカー等の印刷物を製造する場合、紙やフィルム等のシート状基材に印刷を施し、この印刷済みのシート状基材を刃型で所望の形状に打ち抜くことが行われる。ここで用いられる刃型は、通常、シール製造機の打ち抜きユニットを構成するチェース上に固定され、打ち抜き刃の刃先がシート状基材の方を向くように、チェースごとシール製造機に取り付けられて使用される。
【0003】
打ち抜きに用いる刃型は、印刷物の製造の都度、所望の形状のものが選択されてチェース上に固定される。刃型をチェース上に固定する場合に、一般的に行われている従来方法は、刃型の裏面に両面テープを貼り付けたり、接着剤を塗布することにより、チェース上の所定の位置に刃型を接着する方法である。
【0004】
また、特許文献1には、この種の刃型とチェースとの固定方法として、チェースと同寸法の直方板からなる刃台と刃型とを位置合わせしてから、押さえ板とネジとを用いて刃型を刃台に固定し、さらにこの刃台とチェースとをネジで固定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2657609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した一般的な従来方法では、刃型とチェースとの間が両面テープや接着剤で固定されているため、別の刃型に交換する際に、チェースから刃型を簡単に取り外すことができなかった。刃型を取り外すには、刃型とチェースとの間にスクレーパーを差し込んでチェースから刃型を剥がしたり、溶剤で両面テープの接着層や接着剤を溶解させる等してチェースと刃型とを分離させなくてはならず、非常に手間がかかるものであった。また、上記のようにしてチェースから刃型を取り外すために、刃型が損傷しやすいという問題もあった。
【0007】
さらに、チェース上の間違った位置に刃型を接着してしまった場合には、一旦、上記のようにしてチェースから刃型を取り外し、刃型の裏面やチェース上に付着している両面テープや接着剤をきれいに除去した後に、刃型の裏面に両面テープや接着剤を再度付け、チェース上の所定の位置に接着しなければならなかった。
【0008】
他方、特許文献1に記載の刃型とチェースの固定方法は、刃台と刃型とを押さえ板とネジを用いて固定した後、さらに刃台とチェースとをネジで固定する必要があることから、刃型の固定にも取り外しにも工具が必要であり、多大な手間がかかっていた。
【0009】
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、刃型を簡単にチェースに固定でき、かつ、チェースに固定されている刃型を傷めずに簡単に取り外しできる刃型装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、刃型をチェース上の所定の位置に容易に固定することができ、間違った位置に刃型を固定してしまった場合においても、固定位置を簡単に修正することのできる刃型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の刃型装置は、打ち抜き刃を有する刃型と、刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、この係止部と一体的に形成された支持部と、この支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、マグネットをチェースに磁着することにより刃型をチェースに係止する複数の刃型固定具とを備えている。刃型固定具は刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置される。
【0012】
本発明の刃型装置は刃型と複数の刃型固定具とを備えており、このうち刃型固定具は、主に係止部と支持部とマグネットとから構成されている。刃型固定具の係止部は、刃型の外縁部に係合することにより、刃型を係止する爪のような役割を果たす。刃型固定具の支持部に固着されたマグネットは、チェースに磁着することにより、支持部と一体的に形成されている係止部が刃型をチェース方向に押さえ、刃型を固定する。また、刃型を固定する際には、刃型固定具を刃型の少なくとも1つの対向する辺又は角部に配置するのみでよく、これにより、刃型は安定してチェース上に固定される。他方、いったん固定された刃型を取り外す際には、刃型固定具のマグネットとチェースとの磁着を解消すること、即ち、チェースから刃型固定具を指でつまんで持ち上げ、刃型固定具を外すこと等により行われる。このように、刃型の外縁部に刃型固定具を配置することにより、刃型を簡単にチェースに固定することができ、固定された刃型から刃型固定具をつまんで外すことにより、刃型を簡単にチェースから取り外すことができる。
【0013】
また、本発明のマグネットは支持部の裏面の一部に固着され、支持部の裏面にはマグネットが固着されない自由端部を有することも好ましい。支持部の裏面全体に亘ってマグネットが設けられていないため、固定された刃型を取り外す際に、マグネットが固着されていない自由端部に指先を引掛けて刃型固定具をチェースから持ち上げることができる。また、裏面に自由端部を有する支持部の表面を指でチェース方向に押すことにより、マグネットの端部が支点となって支持部が回転し、マグネットをチェースから持ち上げることができる。それゆえ、チェース上に固定された刃型固定具を簡単に取り外すことができる。なお、本明細書中において、表面とは、本発明の刃型装置を使用する際に、刃型の打ち抜き刃を有する面の方向に位置する面のことを意味しており、裏面とは、チェースと接する面の方向に位置する面のことを意味する。
【0014】
そして、本発明の刃型装置は、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に段状に形成された切り欠きを備え、刃型固定具の係止部は切り欠きに嵌合する形状であることも好ましい。刃型の切り欠きに刃型固定具の係止部が嵌合して刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、より安定して刃型を固定することができる。さらに、通常、刃型の表板からの打ち抜き刃の刃高さは数ミリ程度と僅かであるところ、刃型の表板よりも低い位置にある切り欠きにて刃型固定具の係止部と嵌合して刃型を係止することができるため、刃型の打ち抜き刃に影響を与えることなく、刃型を固定することができる。
【0015】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に段状に形成された突出部を備え、刃型固定具の係止部は突出部に嵌合する形状であることも好ましい。刃型の突出部に刃型固定具の係止部が嵌合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、刃型を安定して固定することができる。
【0016】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部の端部が上方に向いて傾斜したテーパ面を備え、刃型固定具の係止部はテーパ面に係合する下方に向いて傾斜する逆テーパ面を備えていることも好ましい。刃型のテーパ状の端部に刃型固定具の逆テーパ状の係止部が当接係合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、安定して刃型を好適に固定することができる。
【0017】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に貫通孔を備え、刃型固定具のマグネットは貫通孔に嵌入してチェースと磁着するように構成されており、係止部は貫通孔の開口周縁部に係合するように構成されていることも好ましい。刃型に備えられた貫通孔を通じて刃型固定具のマグネットがチェースに固定されると共に、刃型固定具の係止部が貫通孔の開口周縁部に係合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、安定して刃型を好適に固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する刃型装置を提供することができる。
(1)工具や接着剤を使用せずに、刃型を簡単かつ迅速にチェース上に固定することができる。
(2)刃型を傷めずに、チェース上に固定された刃型を簡単かつ迅速に取り外すことができる。
(3)刃型をチェース上の所定の位置に容易に固定することができ、間違った位置に刃型を固定してしまった場合においても、簡単に固定位置を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る刃型装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示す刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図6】図5に示すB−B線に沿う断面図である。
【図7】図5に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図9】図8に示すC−C線に沿う断面図である。
【図10】図8に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図12】図11に示すD−D線に沿う断面図である。
【図13】図11に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図15】図14に示すE−E線に沿う断面図である。
【図16】本発明の第6の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図17】図16に示すF−F線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図4を参照しつつ本発明の第1の実施形態に係る刃型装置10について説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る刃型装置10は、複数の刃型固定具20と刃型30とを備えている。刃型固定具20は刃型30の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部20aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部30aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具20の固定具側係止部20aが刃型30の1つの辺に設けられた刃型側係止部30aに嵌合すると共に刃型固定具20のマグネット20cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型30はチェース4上に固定される。
【0022】
まず、刃型固定具20について説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態における刃型固定具20は、固定具側係止部20aと支持部20bとねじ20dと支持部20bの裏面にねじ20dによって固着されたマグネット20cとから主として構成されている。固定具側係止部20aは支持部20bから同一平面上で突出した係止片から構成されており、この固定具側係止部20aと支持部20bとは、全体として凸字形状の平面を有するように一体的に形成されている。
【0023】
図3及び図4を参照しつつ、刃型固定具20の固定具側係止部20aについてより詳細に説明する。固定具側係止部20aの形状は、後述する刃型30の刃型側係止部30aと嵌合して刃型30をチェース4に係止できる形状となっている。具体的には、固定具側係止部20aは、例えば矩形形状、台形形状、半円形状、三角形状又はくさび形状の係止片から構成されている。固定具側係止部20a及び支持部20bの素材としては、特に限定されないが、加工が容易な観点から、アクリル等の樹脂や鋼板等が好適に用いられる。また、固定具側係止部20aの厚みについては、刃型30に設けられている打ち抜き刃30bの表板30cからの刃高さがトムソン刃では通常約5〜7mm、ゼンマイ刃では通常約1〜3mmと僅かであることから、固定具側係止部20aが刃型側係止部30aと嵌合して刃型30を固定した場合に、打ち抜き刃30bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部20aを刃型30の刃型側係止部30aと嵌合させた際、打ち抜き刃30bの刃高さより嵌合させた固定具側係止部20aが低くなるようにこの固定具側係止部20aの厚みが調整されていることが好ましい。刃型30の表板30cの表面より固定具側係止部20aの方が低くなるように厚みが調整されていること、即ち、刃型30の刃型側係止部30aの切り欠き深さよりも、固定具側係止部20aの厚みが薄いことがより好ましい。
【0024】
刃型固定具20の固定具側係止部20aと支持部20bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。マグネット20cの支持部20bへの固着は、強固に両者を固着できる観点から、ねじ20d及び/又は接着剤により実施されていることが好ましい。また、マグネット20cは支持部20bの裏面に接して固着されるが、刃型固定具20の取り外しを容易とする観点から、支持部20bの裏面の一部にマグネット20cが固着されることが好ましい。それゆえ、マグネット20cが固着されていない支持部20bの裏面の自由端部20fに指先を引掛けて刃型固定具20を容易に持ち上げることができ、チェース4上に固定された刃型固定具20を簡単に取り外すことができる。また、裏面に自由端部20fを有する支持部20bの表面を指でチェース4方向に押すことによっても、マグネット20cの端部が支点となって支持部20bが回転し、マグネット20cをチェース4から容易に持ち上げることができる。本実施態様にかかる刃型固定具20については、支持部20bの裏面の略中央に支持部20bよりも一回り小さいマグネット20cがねじ20dにより固着され、支持部20bの固定具側係止部20aの突出方向に対して横方向の両端に自由端部20fがそれぞれ備えられる。ここで使用されるマグネット21cは強い磁力を有するものが好ましく、具体的には、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石又はアルニコ磁石等が挙げられる。
【0025】
また、図3に示すように、刃型固定具20の支持部20bは、固定具側係止部20aが刃型30の刃型側係止部30aと嵌合しかつ刃型30を安定して固定できる位置にこの固定具側係止部20aを支持する。本実施態様においては、固定具側係止部20aと支持部20bとが同一薄板で一体的に形成されていることから、支持部20bに固着されているマグネット20cの厚みにより、固定具側係止部20aの位置が調整されている。具体的には、刃型30の裏面から刃型側係止部30aまでの高さと支持部20bに固着されるマグネット20cの厚みとが、略同じ長さであるか、若干マグネット20cの厚みにかかる長さが長くなるように調整されている。
【0026】
さらに、支持部20b及びマグネット20cのトータルの厚みは、打ち抜き刃30bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具20をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃30bの刃高さより支持部20bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、刃型30の表板30cの表面より支持部20bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることがさらに好ましい。
【0027】
なお、図4に示すように、刃型固定具20には、刃型30のチェース4上での位置合わせを容易にするための位置合わせガイド20gを設けることができる。本実施態様において、位置合わせガイド20gは、刃型30の刃型側係止部30aと刃型固定具20の固定具側係止部20aとを嵌合させた際に、刃型30をチェース4上の所定の位置、即ちチェース4の中心に合わせることができる位置に設けられる。本実施態様においては、刃型30の刃型側係止部30aが各辺の中央に設けられていることから、刃型固定具20の位置合わせガイド20gも、固定具側係止部20aの中央に対応する位置に設けられている。
【0028】
次に、刃型30について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態における刃型30はその各辺に設けられた刃型側係止部30aと打ち抜き刃30bと表板30cと裏板30dとを備えている。各刃型側係止部30aは、表板30cに形成された凹状平面の切り欠きと、裏板30dの表面とから構成されている。
【0029】
刃型側係止部30aは、刃型30の各辺に1つ形成され、本実施形態においては、刃型30の位置合わせを容易にする観点から、各辺の中央に形成されている。刃型側係止部30aの形状は、刃型固定具20の突出した固定具側係止部20aが嵌合する形状に形成されている。即ち、刃型側係止部30aは、例えば矩形形状、台形形状、半円形状、三角形状又はくさび形状に形成されている。本実施形態における刃型30は、打ち抜き刃30bを埋め込んだ表板30cを形成したのち、表板30cの所定の位置に切り欠きを形成し、その後、この表板30cを裏板30dと貼り合わせることにより製造される。刃型30の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、表板30cに切り欠きを設けた後に打ち抜き刃30bをこの表板30cに埋め込んでも良いし、全ての組み立てを行った後、最後に切り欠きを設けることにより、本実施形態の刃型30を製造することも可能である。
【0030】
上述した第1の実施形態においては、刃型30の各辺に刃型側係止部30aを設け、この刃型側係止部30aに嵌合する固定具側係止部20aを有する刃型固定具20を各辺に配置しているが、刃型30の対向する2つの辺のみに、これら刃型側係止部30a及び刃型固定具20を設けても良い。また、刃型30の各辺に2つ以上の刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良い。さらに、刃型30の各辺の中央部から偏位した位置に刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良いし、刃型30の角部に刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良い。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る刃型装置10を使用する際には、刃型30をチェース4上に載置した後、刃型固定具20を刃型30の各辺に配置し、刃型固定具20の固定具側係止部20aを刃型30の刃型側係止部30aに嵌合させると共に刃型固定具20のマグネット20cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型30は、刃型固定具20の支持部20bと一体的に形成されている固定具側係止部20aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。刃型30をチェース4に固定する際に、刃型固定具20に備えられた位置合わせガイド20fをチェース4上の中心線に合わせて刃型30を固定することにより、刃型30の位置合わせを簡単に行うことができる。
【0032】
チェース4上に固定された刃型30を取り外す際には、刃型固定具20のマグネット20cとチェース4との磁着を解消すること、即ち、チェース4から刃型固定具20を指でつまんで持ち上げる等により簡単に取り外すことができる。また、刃型固定具20のマグネット20cが固着されていない支持部20b裏面の自由端部20fに指先を引掛けて刃型固定具20の支持部20bを持ち上げること、裏面に自由端部20fを有する支持部20bの表面を指でチェース4方向に押し、マグネット20cの端部を支点として支持部20bを回転させること等により、マグネット20cをチェース4から容易に持ち上げることができ、チェース4上に固定された刃型固定具20を簡単に取り外すことができる。
【0033】
次に、図5〜図7を参照しつつ本発明の第2の実施形態に係る刃型装置11について説明する。
【0034】
図5に示すように、本実施形態に係る刃型装置11は、複数の刃型固定具21と刃型31とを備えている。刃型固定具21は刃型31の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部21aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部31aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具21の固定具側係止部21aが刃型31の各辺の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合すると共に刃型固定具21のマグネット21cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型31はチェース4上に固定される。
【0035】
まず、刃型固定具21について説明する。図5〜図7に示すように、本実施形態における刃型固定具21は、固定具側係止部21aと支持部21bと支持部21bの裏面に接着剤によって固着されたマグネット21cとから主として構成されている。固定具側係止部21aと支持部21bとは、全体として矩形形状の平面を有するように一体的に形成されている。
【0036】
図6及び図7を参照しつつ、刃型固定具21の固定具側係止部21aについてより詳細に説明する。本実施形態において、刃型固定具21の固定具側係止部21aと支持部21bとは、矩形形状の板部材を短軸方向に2分割した部分からそれぞれ構成されている。固定具側係止部21aは、後述する刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合して刃型31を係止できるように設計されている。固定具側係止部21a及び支持部21bの素材としては、特に限定されないが、これらを薄く加工できる観点から鋼板が好適に用いられる。また、固定具側係止部21aの厚みとしては、刃型31に設けられている打ち抜き刃31bの表板31cからの刃高さがトムソン刃では通常約5〜7mm、ゼンマイ刃では通常約1〜3mmと僅かであることから、固定具側係止部21aが刃型側係止部31aに係合して刃型31を固定した際に、打ち抜き刃31bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部21aを刃型31の刃型側係止部31aに係合させた際、打ち抜き刃31bの刃高さより係合させた固定具側係止部21aが低くなるようにこの固定具側係止部21aの厚みが調整されていることが好ましく、打ち抜き刃31bの刃高さより係合させた固定具側係止部21aの方が1mm以上低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。
【0037】
刃型固定具21の支持部21bと固定具側係止部21aとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。マグネット21cの支持部21bへの固着は、接着剤21e及び/又はねじにより実施されていることが好ましく、打ち抜き刃31bに影響を及ぼさない高さとする観点から、接着剤21eのみにより固着されていることがより好ましい。
【0038】
また、図6に示すように、支持部21bは、固定具側係止部21aが刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aと係合し、かつ刃型31を安定して固定できる位置にこの固定具側係止部21aを支持する。本実施態様においては、固定具側係止部21aと支持部21bとが同一薄板で一体的に形成されていることから、支持部21bに固着されているマグネット21cの厚みにより、固定具側係止部21aの位置が調整されている。具体的には、刃型31の厚みと支持部21bに固着されるマグネット21cの厚みとが、略同じであるか、マグネット21cの厚みにかかる長さが若干長くなるように調整されている。さらに、支持部21b及びマグネット21cのトータルの厚みは、打ち抜き刃31bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具21をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃31bの刃高さより支持部21bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、打ち抜き刃31bの刃高さより支持部21bの表面の方が1mm以上低くなるように厚み調整されていることがより好ましい。
【0039】
なお、刃型固定具21の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0040】
次に、刃型31について説明する。図5及び図6に示すように、本実施形態における刃型31は従来より用いられている刃型31に加工等を施すことなく、そのまま用いることができる。刃型側係止部31aが刃型31の外縁部の一部で構成されているため、刃型31の外縁部の任意の位置を刃型側係止部31aとすることができる。
【0041】
上述した第2の実施形態においては、刃型31の各辺の刃型側係止部31aに係合する固定具側係止部21aを有する刃型固定具21を各辺に配置しているが、刃型31の対向する2つの辺のみに、刃型固定具21を配置するようにしても良い。また、刃型31の各辺に2つ以上の刃型固定具21を配置しても良い。さらに、刃型31の各辺の中央部から偏位した位置に刃型固定具21を設けても良いし、刃型31の角部に刃型固定具21を配置しても良い。
【0042】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る刃型装置11を使用する際には、刃型31をチェース4上に載置した後、刃型固定具21を刃型31の各辺に配置し、刃型固定具21の固定具側係止部21aを刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合させつつ、刃型固定具21のマグネット21cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型31は、刃型固定具21の支持部21bと一体的に形成されている固定具側係止部21aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。刃型固定具21の各辺における配置位置は、固定具側係止部21aが刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合できればよいため、特に限定されないが、刃型31を安定して固定するために、刃型31の対向する辺の中央付近に刃型固定具21を配置することが好ましい。このように、本実施形態にかかる刃型装置11は、刃型固定具21を用いることにより、従来の刃型31をも簡単に固定することができるため、汎用性が広く便利である。
【0043】
さらに、本実施形態に係る刃型装置11の使用方法並びに刃型固定具21及び刃型31の取り扱い方法に係るその他の説明は、上述した第1の実施形態と同様であり、その作用効果も同様である。
【0044】
以下、図8〜図10を参照しつつ本発明の第3の実施形態に係る刃型装置12について説明する。
【0045】
図8に示すように、本実施形態に係る刃型装置12は、複数の刃型固定具22と刃型32とを備えている。ここで、固定具側係止部22aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部32aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。刃型固定具22は刃型32の各角部に1つ配置され、刃型固定具22の固定具側係止部22aが刃型32の角部に設けられた刃型側係止部32aに係合すると共に刃型固定具22の複数のマグネット22cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型32はチェース4上に固定される。
【0046】
まず、刃型固定具22について説明する。図8〜図10に示すように、本実施形態における刃型固定具22は、固定具側係止部22aと支持部22bと2つのねじ22dと支持部22bの裏面にねじ22dによって固着された2つのマグネット22cとから主として構成されている。この固定具側係止部22aと支持部22bとは、全体として、L字形状の平面を有するように一体的に形成されており、L字状に折曲した部分の内側に略三角形状の固定具側係止部22aが設けられている。
【0047】
図9及び図10を参照しつつ、刃型固定具22の固定具側係止部22aについてより詳細に説明する。固定具側係止部22aの形状は、後述する刃型32の角部に設けられた刃型側係止部32aと嵌合して刃型32をチェース4に係止できる形状となっている。本実施形態においては、刃型32の各角部に三角形状の切り欠きを有する刃型側係止部32aが設けられていることから、固定具側係止部22aもその切り欠きの形状に対応する三角形状に形成されている。また、刃型固定具22の固定具側係止部22aの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態と同様であり、その作用効果も同様である。
【0048】
刃型固定具22の固定具側係止部22aと支持部22bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。固定具側係止部22aと支持部22bとを備える薄板は、刃型32の角部に沿うように略直角状のL字形状に形成されており、L字の折曲した部分の内側に固定具側係止部22aが設けられ、支持部22bは固定具側係止部22aと、固定具側係止部22aを挟んだ両側に固着される2つのマグネット22cとを支持している。本実施形態における支持部22bの裏面には、固着される2つのマグネット22cと22cとの間に自由端部22fが備えられている。刃型固定具22の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0049】
次に、刃型32について説明する。図8及び図9に示すように、本実施形態における刃型32はその各角部に設けられた刃型側係止部32aと打ち抜き刃32bと表板32cと裏板32dとを備えている。各刃型側係止部32aは、表板32cに形成された略三角形状の切り欠きと、裏板32dの表面とから構成されている。各刃型側係止部32aは、刃型32の各角部に1つ形成され、その形状が刃型固定具22の固定具側係止部22aと嵌合する略三角形状となるように形成されている。本実施形態における刃型32は、打ち抜き刃32bを埋め込んだ表板32cを形成したのち、表板32cの外縁の各角部に切り欠きを形成し、その後、この表板32cを裏板32dと貼り合わせることにより製造される。刃型32の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、表板32cに切り欠きを設けた後に打ち抜き刃32bをこの表板32cに埋め込んでも良いし、全ての組み立てを行った後、最後に切り欠きを設けることにより、本実施形態の刃型32を製造することも可能である。なお、刃型32に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0050】
上述した第3の実施形態においては、刃型32の各角部に刃型側係止部32aを設け、この刃型側係止部32aに嵌合する固定具側係止部22aを有する刃型固定具22を各角部に配置しているが、刃型32の対向する2つの角部のみに、刃型固定具22を配置するようにしても良い。
【0051】
図8及び図9に示すように、本実施形態に係る刃型装置12を使用する際には、刃型32をチェース4上に載置した後、刃型固定具22を刃型32の外縁の各角部に配置し、刃型固定具22の固定具側係止部22aを刃型32の刃型側係止部32aに嵌合させると共に刃型固定具22の2つのマグネット22cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型32は、刃型固定具22の支持部22bと一体的に形成されている固定具側係止部22aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0052】
本実施形態に係る刃型装置12の使用方法並びに刃型固定具22及び刃型32の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0053】
以下、図11〜図13を参照しつつ本発明の第4の実施形態に係る刃型装置13について説明する。
【0054】
図11に示すように、本実施形態に係る刃型装置13は、複数の刃型固定具23と刃型33とを備えている。刃型固定具23は刃型33の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部23aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部33aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具23の固定具側係止部23aが刃型33の1つの辺に設けられた刃型側係止部33aに嵌合すると共に刃型固定具23のマグネット23cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型30はチェース4上に固定される。
【0055】
まず、刃型固定具23について説明する。図11〜図13に示すように、本実施形態における刃型固定具23は、固定具側係止部23aと支持部23bとねじ23dと支持部23bの裏面にねじ23dによって固着されたマグネット23cとから主として構成されている。固定具側係止部23aと2つの支持部23bとは、全体として矩形形状の平面を有するように一体的に形成されており、2つの支持部23bの間に固定具側係止部23aが挟まれて配置されている。
【0056】
図12及び図13を参照しつつ、刃型固定具23の固定具側係止部23aについてより詳細に説明する。固定具側係止部23aの形状は、後述する刃型33の刃型側係止部33aと嵌合して刃型33をチェース4に係止できる形状となっている。本実施形態においては、刃型33の各辺に矩形形状に突出する凸部を有する刃型側係止部33aが設けられていることから、固定具側係止部23aもその凸部の形状に嵌合する矩形形状の凹部を有するように形成されている。また、固定具側係止部23aの厚みについては、刃型側係止部33aと嵌合して刃型33を固定した場合に、打ち抜き刃33bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部23aを刃型33の刃型側係止部33aと嵌合させた際、打ち抜き刃33bの刃高さより嵌合させた固定具側係止部23aが低くなるようにこの固定具側係止部23aの厚みが調整されていることが好ましく、刃型33の表板33cの表面より固定具側係止部23aの方が低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。また、刃型固定具23の固定具側係止部23aの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0057】
刃型固定具23の固定具側係止部23aと支持部23bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。さらに、刃型固定具23の固定具側係止部23a及び支持部23bの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0058】
次に、刃型33について説明する。図11及び図12に示すように、本実施形態における刃型33はその各辺に設けられた刃型側係止部33aと打ち抜き刃33bと表板33cと裏板33dとを備えている。刃型側係止部33aは、刃型33の各辺に1つ形成され、本実施形態においては、刃型33の位置合わせを容易にする観点から、各辺の中央に形成されている。各刃型側係止部33aは、裏板33dに形成された凸状の突出部から構成されており、刃型固定具23の固定具側係止部23aと嵌合する矩形形状に形成されている。本実施形態における刃型33は、打ち抜き刃33bを埋め込んだ表板33cを形成したのち、この表板33cを突出部を形成した裏板33dと貼り合わせることにより製造される。刃型33の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、全ての組み立てを行った後、最後に突出部を付加することにより、本実施形態の刃型33を製造することも可能である。なお、刃型33の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0059】
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る刃型装置13を使用する際には、刃型33をチェース4上に載置した後、刃型固定具23を刃型33の対向する辺に配置し、刃型固定具23の固定具側係止部23aを刃型33の刃型側係止部33aに嵌合させると共に刃型固定具23のマグネット23cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型33は、刃型固定具23の支持部23bと一体的に形成されている固定具側係止部23aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0060】
さらに、本実施形態に係る刃型装置13の使用方法並びに刃型固定具23及び刃型33の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0061】
次に、図14及び図15を参照しつつ本発明の第5の実施形態に係る刃型装置14について説明する。
【0062】
図14に示すように、本実施形態に係る刃型装置14は、複数の刃型固定具24と刃型34とを備えている。刃型固定具24は刃型34の対向する2辺にそれぞれ配置される。ここで、固定具側係止部24aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部34aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。刃型固定具24の固定具側係止部24aが刃型34の2つの辺の端部に設けられた刃型側係止部34aにそれぞれ当接させて係合させると共に刃型固定具24のマグネット24cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型34はチェース4上に固定される。
【0063】
まず、刃型固定具24について説明する。図14及び図15に示すように、本実施形態における刃型固定具24は、固定具側係止部24aと支持部24bと支持部24bの裏面に接着剤によって固着されたマグネット24cとから主として構成されている。固定具側係止部24aと支持部24bとは、全体として細長い矩形形状となるように一体的に形成されている。
【0064】
図14及び図15を参照しつつ、刃型固定具24の固定具側係止部24aについてより詳細に説明する。本実施形態において、固定具側係止部24aの形状は、後述する刃型34の刃型側係止部34aと当接し、係合して刃型34をチェース4に係止できる形状となっている。即ち、本実施形態においては、刃型34の対向する2辺に設けられている刃型側係止部34aの各々は、斜め上方に向いて傾斜したテーパ面を有しており、一方、各刃型側係止部34aに当接し係合する各固定具側係止部24aは、斜め下方に向いて傾斜した逆テーパ面を有している。
【0065】
刃型固定具24の固定具側係止部24aと支持部24bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。本実施形態において、マグネット24cは、支持部24bとほぼ同じ長さを備えており、支持部24bの裏面のほぼ全域に渡って接着剤によって固着されている。ここで使用されるマグネット24cは強い磁力を有するものが好ましく、具体的には、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石又はアルニコ磁石等が挙げられる。
【0066】
図14に示すように、本実施形態における刃型固定具24の固定具側係止部24aは、刃型34の刃型側係止部34aとその全長に渡って当接係合しているため、刃型34を安定して固定支持する。また、本実施態様においては、刃型34の裏面から刃型側係止部34aの下面までの高さと支持部24bに固着されるマグネット24cの厚みとが、略同じ長さであるか、若干マグネット24cの厚みにかかる長さが長くなるように調整されている。さらに、支持部24b及びマグネット24cのトータルの厚みは、打ち抜き刃34bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具24をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃34bの刃高さより支持部24bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、刃型34の表板34cの表面より支持部24bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることがさらに好ましい。
【0067】
次に、刃型34について説明する。図14及び図15に示すように、本実施形態における刃型34は対向する2辺に刃型側係止部34aと、打ち抜き刃34bと表板34cと裏板34dとを備えている。刃型34の刃型側係止部34aは、刃型34の辺の長さ方向の全体に渡って形成されているが、刃型34の辺の端部の一部に形成することも可能である。各刃型側係止部34aは、表板34cの端部に形成された斜め上方に向いて傾斜したテーパ面を有しており、刃型固定具24の固定具側係止部24aと当接して係合するように構成されている。本実施形態における刃型34は、打ち抜き刃34bを埋め込んだ表板34cを形成したのち、表板34cの端部をテーパ状に削り、その後、裏板34dと貼り合わせることにより製造される。刃型34の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、全ての組み立てを行った後、最後にテーパ面を形成することにより、本実施形態の刃型34を製造することも可能である。なお、刃型34及び刃型固定具24の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0068】
図14及び図15に示すように、本実施形態に係る刃型装置14を使用する際には、刃型固定具24を刃型34の対向する辺に沿って配置し、刃型34の刃型側係止部34aに刃型固定具24の固定具側係止部24aを当接させて係合させると共に刃型固定具24のマグネット24cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型34は、刃型固定具24の支持部24bと一体的に形成されている固定具側係止部24aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0069】
本実施形態に係る刃型装置14の使用方法並びに刃型固定具24及び刃型34の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0070】
次に、図16及び図17を参照しつつ本発明の第6の実施形態に係る刃型装置15について説明する。
【0071】
図16に示すように、本実施形態に係る刃型装置15は、複数の刃型固定具25と刃型35とを備えている。刃型固定具25は刃型35の各角部に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部25aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部35aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具25の固定具側係止部25aが刃型35の貫通孔の開口周縁部である刃型側係止部35aに係合すると共に刃型固定具25のマグネット25cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型35はチェース4上に固定される。
【0072】
まず、刃型固定具25について説明する。図16及び図17に示すように、本実施形態における刃型固定具25は、固定具側係止部25aと支持部25bと支持部25bの裏面に接着剤25eによって固着された円柱状のマグネット25cとから主として構成されている。この固定具側係止部25aと支持部25bとは、全体として円盤形状となるように一体的に形成されており、支持部25bは円盤形状の内周側に、固定具側係止部25aは円盤形状の外周側に設けられている。本実施形態において、固定具側係止部25aの形状は、後述する刃型35の各貫通孔の開口周縁部である刃型側係止部35aと係合して刃型35をチェース4に係止できる形状となっている。固定具側係止部25aの厚みは、刃型35の打ち抜き刃35bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計され、具体的には、打ち抜き刃35bの刃高さより固定具側係止部25aの方が低くなるように厚みが調整されていることが好ましい。さらに、刃型35の打ち抜き刃35bの刃高さより固定具側係止部25aの方が1mm以上低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。また、円柱状のマグネット25cの厚みは、後述する刃型35に形成された貫通孔の孔深さと略同じであるか、若干長くなるように調整されている。刃型固定具25の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0073】
次に、刃型35について説明する。図16及び図17に示すように、本実施形態における刃型35は、各角部の近傍に、貫通孔とこの各貫通孔の開口周縁部で構成される刃型側係止部35aと打ち抜き刃35bと表板35cと裏板35dとを備えている。各貫通孔は、刃型35の表板35c及び裏板35dを貫通して開けられた孔により構成されている。貫通孔の形状は、刃型固定具25のマグネット25cが嵌入できる形状に形成されており、本実施形態においては、円筒状の貫通孔が形成されている。本実施形態における刃型35は、打ち抜き刃35bを埋め込んだ表板35cを形成し、裏板35dと貼り合わせた後、貫通孔を所定の位置に形成することにより製造される。また、刃型35に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0074】
図16及び図17に示すように、本実施形態に係る刃型装置15を使用する際には、刃型固定具25を刃型35の貫通孔内に挿入し、貫通孔の開口周縁部で構成される刃型側係止部35aに刃型固定具25の固定具側係止部25aを係合させると共に刃型固定具25のマグネット25cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型35は、刃型固定具25の支持部25bと一体的に形成されている固定具側係止部25aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0075】
さらに、本実施形態に係る刃型装置15の使用方法並びに刃型固定具25及び刃型35の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0076】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0077】
10、11、12、13、14、15 刃型装置
20、21、22、23、24、25 刃型固定具
20a、21a、22a、23a、24a、25a 固定具側係止部
20b、21b、22b、23b、24b、25b 支持部
20c、21c、22c、23c、24c、25c マグネット
20d、22d、23d ねじ
21e、24e、25e 接着剤
20f、21f、22f、23f 自由端部
20g 位置合せガイド
30、31、32、33、34、35 刃型
30a、31a、32a、33a、34a、35a 刃型側係止部
30b、31b、32b、33b、34b、35b 打ち抜き刃
30c、31c、32c、33c、34c、35c 表板
30d、31d、32d、33d、34d、35d 裏板
4 チェース
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙やフィルム等のシート状基材を打ち抜く場合に用いられる刃型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシール、ラベル、又はステッカー等の印刷物を製造する場合、紙やフィルム等のシート状基材に印刷を施し、この印刷済みのシート状基材を刃型で所望の形状に打ち抜くことが行われる。ここで用いられる刃型は、通常、シール製造機の打ち抜きユニットを構成するチェース上に固定され、打ち抜き刃の刃先がシート状基材の方を向くように、チェースごとシール製造機に取り付けられて使用される。
【0003】
打ち抜きに用いる刃型は、印刷物の製造の都度、所望の形状のものが選択されてチェース上に固定される。刃型をチェース上に固定する場合に、一般的に行われている従来方法は、刃型の裏面に両面テープを貼り付けたり、接着剤を塗布することにより、チェース上の所定の位置に刃型を接着する方法である。
【0004】
また、特許文献1には、この種の刃型とチェースとの固定方法として、チェースと同寸法の直方板からなる刃台と刃型とを位置合わせしてから、押さえ板とネジとを用いて刃型を刃台に固定し、さらにこの刃台とチェースとをネジで固定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2657609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した一般的な従来方法では、刃型とチェースとの間が両面テープや接着剤で固定されているため、別の刃型に交換する際に、チェースから刃型を簡単に取り外すことができなかった。刃型を取り外すには、刃型とチェースとの間にスクレーパーを差し込んでチェースから刃型を剥がしたり、溶剤で両面テープの接着層や接着剤を溶解させる等してチェースと刃型とを分離させなくてはならず、非常に手間がかかるものであった。また、上記のようにしてチェースから刃型を取り外すために、刃型が損傷しやすいという問題もあった。
【0007】
さらに、チェース上の間違った位置に刃型を接着してしまった場合には、一旦、上記のようにしてチェースから刃型を取り外し、刃型の裏面やチェース上に付着している両面テープや接着剤をきれいに除去した後に、刃型の裏面に両面テープや接着剤を再度付け、チェース上の所定の位置に接着しなければならなかった。
【0008】
他方、特許文献1に記載の刃型とチェースの固定方法は、刃台と刃型とを押さえ板とネジを用いて固定した後、さらに刃台とチェースとをネジで固定する必要があることから、刃型の固定にも取り外しにも工具が必要であり、多大な手間がかかっていた。
【0009】
本発明は上述した点に鑑み案出されたもので、その目的は、刃型を簡単にチェースに固定でき、かつ、チェースに固定されている刃型を傷めずに簡単に取り外しできる刃型装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、刃型をチェース上の所定の位置に容易に固定することができ、間違った位置に刃型を固定してしまった場合においても、固定位置を簡単に修正することのできる刃型装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の刃型装置は、打ち抜き刃を有する刃型と、刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、この係止部と一体的に形成された支持部と、この支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、マグネットをチェースに磁着することにより刃型をチェースに係止する複数の刃型固定具とを備えている。刃型固定具は刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置される。
【0012】
本発明の刃型装置は刃型と複数の刃型固定具とを備えており、このうち刃型固定具は、主に係止部と支持部とマグネットとから構成されている。刃型固定具の係止部は、刃型の外縁部に係合することにより、刃型を係止する爪のような役割を果たす。刃型固定具の支持部に固着されたマグネットは、チェースに磁着することにより、支持部と一体的に形成されている係止部が刃型をチェース方向に押さえ、刃型を固定する。また、刃型を固定する際には、刃型固定具を刃型の少なくとも1つの対向する辺又は角部に配置するのみでよく、これにより、刃型は安定してチェース上に固定される。他方、いったん固定された刃型を取り外す際には、刃型固定具のマグネットとチェースとの磁着を解消すること、即ち、チェースから刃型固定具を指でつまんで持ち上げ、刃型固定具を外すこと等により行われる。このように、刃型の外縁部に刃型固定具を配置することにより、刃型を簡単にチェースに固定することができ、固定された刃型から刃型固定具をつまんで外すことにより、刃型を簡単にチェースから取り外すことができる。
【0013】
また、本発明のマグネットは支持部の裏面の一部に固着され、支持部の裏面にはマグネットが固着されない自由端部を有することも好ましい。支持部の裏面全体に亘ってマグネットが設けられていないため、固定された刃型を取り外す際に、マグネットが固着されていない自由端部に指先を引掛けて刃型固定具をチェースから持ち上げることができる。また、裏面に自由端部を有する支持部の表面を指でチェース方向に押すことにより、マグネットの端部が支点となって支持部が回転し、マグネットをチェースから持ち上げることができる。それゆえ、チェース上に固定された刃型固定具を簡単に取り外すことができる。なお、本明細書中において、表面とは、本発明の刃型装置を使用する際に、刃型の打ち抜き刃を有する面の方向に位置する面のことを意味しており、裏面とは、チェースと接する面の方向に位置する面のことを意味する。
【0014】
そして、本発明の刃型装置は、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に段状に形成された切り欠きを備え、刃型固定具の係止部は切り欠きに嵌合する形状であることも好ましい。刃型の切り欠きに刃型固定具の係止部が嵌合して刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、より安定して刃型を固定することができる。さらに、通常、刃型の表板からの打ち抜き刃の刃高さは数ミリ程度と僅かであるところ、刃型の表板よりも低い位置にある切り欠きにて刃型固定具の係止部と嵌合して刃型を係止することができるため、刃型の打ち抜き刃に影響を与えることなく、刃型を固定することができる。
【0015】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に段状に形成された突出部を備え、刃型固定具の係止部は突出部に嵌合する形状であることも好ましい。刃型の突出部に刃型固定具の係止部が嵌合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、刃型を安定して固定することができる。
【0016】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部の端部が上方に向いて傾斜したテーパ面を備え、刃型固定具の係止部はテーパ面に係合する下方に向いて傾斜する逆テーパ面を備えていることも好ましい。刃型のテーパ状の端部に刃型固定具の逆テーパ状の係止部が当接係合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、安定して刃型を好適に固定することができる。
【0017】
また、刃型の外縁部には、外縁部の少なくとも一部に貫通孔を備え、刃型固定具のマグネットは貫通孔に嵌入してチェースと磁着するように構成されており、係止部は貫通孔の開口周縁部に係合するように構成されていることも好ましい。刃型に備えられた貫通孔を通じて刃型固定具のマグネットがチェースに固定されると共に、刃型固定具の係止部が貫通孔の開口周縁部に係合して好適に刃型を係止するため、チェース上に固定した刃型の位置ずれを防ぎ、安定して刃型を好適に固定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下のような優れた効果を有する刃型装置を提供することができる。
(1)工具や接着剤を使用せずに、刃型を簡単かつ迅速にチェース上に固定することができる。
(2)刃型を傷めずに、チェース上に固定された刃型を簡単かつ迅速に取り外すことができる。
(3)刃型をチェース上の所定の位置に容易に固定することができ、間違った位置に刃型を固定してしまった場合においても、簡単に固定位置を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る刃型装置の分解斜視図である。
【図2】図1に示す刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿う断面図である。
【図4】図1に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図6】図5に示すB−B線に沿う断面図である。
【図7】図5に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図9】図8に示すC−C線に沿う断面図である。
【図10】図8に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図12】図11に示すD−D線に沿う断面図である。
【図13】図11に示す刃型装置の刃型固定具の(a)表面及び(b)裏面を示す平面図及び背面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図15】図14に示すE−E線に沿う断面図である。
【図16】本発明の第6の実施形態に係る刃型装置の使用状態を説明する斜視図である。
【図17】図16に示すF−F線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図4を参照しつつ本発明の第1の実施形態に係る刃型装置10について説明する。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る刃型装置10は、複数の刃型固定具20と刃型30とを備えている。刃型固定具20は刃型30の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部20aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部30aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具20の固定具側係止部20aが刃型30の1つの辺に設けられた刃型側係止部30aに嵌合すると共に刃型固定具20のマグネット20cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型30はチェース4上に固定される。
【0022】
まず、刃型固定具20について説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態における刃型固定具20は、固定具側係止部20aと支持部20bとねじ20dと支持部20bの裏面にねじ20dによって固着されたマグネット20cとから主として構成されている。固定具側係止部20aは支持部20bから同一平面上で突出した係止片から構成されており、この固定具側係止部20aと支持部20bとは、全体として凸字形状の平面を有するように一体的に形成されている。
【0023】
図3及び図4を参照しつつ、刃型固定具20の固定具側係止部20aについてより詳細に説明する。固定具側係止部20aの形状は、後述する刃型30の刃型側係止部30aと嵌合して刃型30をチェース4に係止できる形状となっている。具体的には、固定具側係止部20aは、例えば矩形形状、台形形状、半円形状、三角形状又はくさび形状の係止片から構成されている。固定具側係止部20a及び支持部20bの素材としては、特に限定されないが、加工が容易な観点から、アクリル等の樹脂や鋼板等が好適に用いられる。また、固定具側係止部20aの厚みについては、刃型30に設けられている打ち抜き刃30bの表板30cからの刃高さがトムソン刃では通常約5〜7mm、ゼンマイ刃では通常約1〜3mmと僅かであることから、固定具側係止部20aが刃型側係止部30aと嵌合して刃型30を固定した場合に、打ち抜き刃30bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部20aを刃型30の刃型側係止部30aと嵌合させた際、打ち抜き刃30bの刃高さより嵌合させた固定具側係止部20aが低くなるようにこの固定具側係止部20aの厚みが調整されていることが好ましい。刃型30の表板30cの表面より固定具側係止部20aの方が低くなるように厚みが調整されていること、即ち、刃型30の刃型側係止部30aの切り欠き深さよりも、固定具側係止部20aの厚みが薄いことがより好ましい。
【0024】
刃型固定具20の固定具側係止部20aと支持部20bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。マグネット20cの支持部20bへの固着は、強固に両者を固着できる観点から、ねじ20d及び/又は接着剤により実施されていることが好ましい。また、マグネット20cは支持部20bの裏面に接して固着されるが、刃型固定具20の取り外しを容易とする観点から、支持部20bの裏面の一部にマグネット20cが固着されることが好ましい。それゆえ、マグネット20cが固着されていない支持部20bの裏面の自由端部20fに指先を引掛けて刃型固定具20を容易に持ち上げることができ、チェース4上に固定された刃型固定具20を簡単に取り外すことができる。また、裏面に自由端部20fを有する支持部20bの表面を指でチェース4方向に押すことによっても、マグネット20cの端部が支点となって支持部20bが回転し、マグネット20cをチェース4から容易に持ち上げることができる。本実施態様にかかる刃型固定具20については、支持部20bの裏面の略中央に支持部20bよりも一回り小さいマグネット20cがねじ20dにより固着され、支持部20bの固定具側係止部20aの突出方向に対して横方向の両端に自由端部20fがそれぞれ備えられる。ここで使用されるマグネット21cは強い磁力を有するものが好ましく、具体的には、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石又はアルニコ磁石等が挙げられる。
【0025】
また、図3に示すように、刃型固定具20の支持部20bは、固定具側係止部20aが刃型30の刃型側係止部30aと嵌合しかつ刃型30を安定して固定できる位置にこの固定具側係止部20aを支持する。本実施態様においては、固定具側係止部20aと支持部20bとが同一薄板で一体的に形成されていることから、支持部20bに固着されているマグネット20cの厚みにより、固定具側係止部20aの位置が調整されている。具体的には、刃型30の裏面から刃型側係止部30aまでの高さと支持部20bに固着されるマグネット20cの厚みとが、略同じ長さであるか、若干マグネット20cの厚みにかかる長さが長くなるように調整されている。
【0026】
さらに、支持部20b及びマグネット20cのトータルの厚みは、打ち抜き刃30bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具20をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃30bの刃高さより支持部20bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、刃型30の表板30cの表面より支持部20bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることがさらに好ましい。
【0027】
なお、図4に示すように、刃型固定具20には、刃型30のチェース4上での位置合わせを容易にするための位置合わせガイド20gを設けることができる。本実施態様において、位置合わせガイド20gは、刃型30の刃型側係止部30aと刃型固定具20の固定具側係止部20aとを嵌合させた際に、刃型30をチェース4上の所定の位置、即ちチェース4の中心に合わせることができる位置に設けられる。本実施態様においては、刃型30の刃型側係止部30aが各辺の中央に設けられていることから、刃型固定具20の位置合わせガイド20gも、固定具側係止部20aの中央に対応する位置に設けられている。
【0028】
次に、刃型30について説明する。図1〜図3に示すように、本実施形態における刃型30はその各辺に設けられた刃型側係止部30aと打ち抜き刃30bと表板30cと裏板30dとを備えている。各刃型側係止部30aは、表板30cに形成された凹状平面の切り欠きと、裏板30dの表面とから構成されている。
【0029】
刃型側係止部30aは、刃型30の各辺に1つ形成され、本実施形態においては、刃型30の位置合わせを容易にする観点から、各辺の中央に形成されている。刃型側係止部30aの形状は、刃型固定具20の突出した固定具側係止部20aが嵌合する形状に形成されている。即ち、刃型側係止部30aは、例えば矩形形状、台形形状、半円形状、三角形状又はくさび形状に形成されている。本実施形態における刃型30は、打ち抜き刃30bを埋め込んだ表板30cを形成したのち、表板30cの所定の位置に切り欠きを形成し、その後、この表板30cを裏板30dと貼り合わせることにより製造される。刃型30の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、表板30cに切り欠きを設けた後に打ち抜き刃30bをこの表板30cに埋め込んでも良いし、全ての組み立てを行った後、最後に切り欠きを設けることにより、本実施形態の刃型30を製造することも可能である。
【0030】
上述した第1の実施形態においては、刃型30の各辺に刃型側係止部30aを設け、この刃型側係止部30aに嵌合する固定具側係止部20aを有する刃型固定具20を各辺に配置しているが、刃型30の対向する2つの辺のみに、これら刃型側係止部30a及び刃型固定具20を設けても良い。また、刃型30の各辺に2つ以上の刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良い。さらに、刃型30の各辺の中央部から偏位した位置に刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良いし、刃型30の角部に刃型側係止部30a及び刃型固定具20を配置しても良い。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る刃型装置10を使用する際には、刃型30をチェース4上に載置した後、刃型固定具20を刃型30の各辺に配置し、刃型固定具20の固定具側係止部20aを刃型30の刃型側係止部30aに嵌合させると共に刃型固定具20のマグネット20cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型30は、刃型固定具20の支持部20bと一体的に形成されている固定具側係止部20aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。刃型30をチェース4に固定する際に、刃型固定具20に備えられた位置合わせガイド20fをチェース4上の中心線に合わせて刃型30を固定することにより、刃型30の位置合わせを簡単に行うことができる。
【0032】
チェース4上に固定された刃型30を取り外す際には、刃型固定具20のマグネット20cとチェース4との磁着を解消すること、即ち、チェース4から刃型固定具20を指でつまんで持ち上げる等により簡単に取り外すことができる。また、刃型固定具20のマグネット20cが固着されていない支持部20b裏面の自由端部20fに指先を引掛けて刃型固定具20の支持部20bを持ち上げること、裏面に自由端部20fを有する支持部20bの表面を指でチェース4方向に押し、マグネット20cの端部を支点として支持部20bを回転させること等により、マグネット20cをチェース4から容易に持ち上げることができ、チェース4上に固定された刃型固定具20を簡単に取り外すことができる。
【0033】
次に、図5〜図7を参照しつつ本発明の第2の実施形態に係る刃型装置11について説明する。
【0034】
図5に示すように、本実施形態に係る刃型装置11は、複数の刃型固定具21と刃型31とを備えている。刃型固定具21は刃型31の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部21aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部31aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具21の固定具側係止部21aが刃型31の各辺の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合すると共に刃型固定具21のマグネット21cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型31はチェース4上に固定される。
【0035】
まず、刃型固定具21について説明する。図5〜図7に示すように、本実施形態における刃型固定具21は、固定具側係止部21aと支持部21bと支持部21bの裏面に接着剤によって固着されたマグネット21cとから主として構成されている。固定具側係止部21aと支持部21bとは、全体として矩形形状の平面を有するように一体的に形成されている。
【0036】
図6及び図7を参照しつつ、刃型固定具21の固定具側係止部21aについてより詳細に説明する。本実施形態において、刃型固定具21の固定具側係止部21aと支持部21bとは、矩形形状の板部材を短軸方向に2分割した部分からそれぞれ構成されている。固定具側係止部21aは、後述する刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合して刃型31を係止できるように設計されている。固定具側係止部21a及び支持部21bの素材としては、特に限定されないが、これらを薄く加工できる観点から鋼板が好適に用いられる。また、固定具側係止部21aの厚みとしては、刃型31に設けられている打ち抜き刃31bの表板31cからの刃高さがトムソン刃では通常約5〜7mm、ゼンマイ刃では通常約1〜3mmと僅かであることから、固定具側係止部21aが刃型側係止部31aに係合して刃型31を固定した際に、打ち抜き刃31bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部21aを刃型31の刃型側係止部31aに係合させた際、打ち抜き刃31bの刃高さより係合させた固定具側係止部21aが低くなるようにこの固定具側係止部21aの厚みが調整されていることが好ましく、打ち抜き刃31bの刃高さより係合させた固定具側係止部21aの方が1mm以上低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。
【0037】
刃型固定具21の支持部21bと固定具側係止部21aとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。マグネット21cの支持部21bへの固着は、接着剤21e及び/又はねじにより実施されていることが好ましく、打ち抜き刃31bに影響を及ぼさない高さとする観点から、接着剤21eのみにより固着されていることがより好ましい。
【0038】
また、図6に示すように、支持部21bは、固定具側係止部21aが刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aと係合し、かつ刃型31を安定して固定できる位置にこの固定具側係止部21aを支持する。本実施態様においては、固定具側係止部21aと支持部21bとが同一薄板で一体的に形成されていることから、支持部21bに固着されているマグネット21cの厚みにより、固定具側係止部21aの位置が調整されている。具体的には、刃型31の厚みと支持部21bに固着されるマグネット21cの厚みとが、略同じであるか、マグネット21cの厚みにかかる長さが若干長くなるように調整されている。さらに、支持部21b及びマグネット21cのトータルの厚みは、打ち抜き刃31bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具21をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃31bの刃高さより支持部21bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、打ち抜き刃31bの刃高さより支持部21bの表面の方が1mm以上低くなるように厚み調整されていることがより好ましい。
【0039】
なお、刃型固定具21の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0040】
次に、刃型31について説明する。図5及び図6に示すように、本実施形態における刃型31は従来より用いられている刃型31に加工等を施すことなく、そのまま用いることができる。刃型側係止部31aが刃型31の外縁部の一部で構成されているため、刃型31の外縁部の任意の位置を刃型側係止部31aとすることができる。
【0041】
上述した第2の実施形態においては、刃型31の各辺の刃型側係止部31aに係合する固定具側係止部21aを有する刃型固定具21を各辺に配置しているが、刃型31の対向する2つの辺のみに、刃型固定具21を配置するようにしても良い。また、刃型31の各辺に2つ以上の刃型固定具21を配置しても良い。さらに、刃型31の各辺の中央部から偏位した位置に刃型固定具21を設けても良いし、刃型31の角部に刃型固定具21を配置しても良い。
【0042】
図5及び図6に示すように、本実施形態に係る刃型装置11を使用する際には、刃型31をチェース4上に載置した後、刃型固定具21を刃型31の各辺に配置し、刃型固定具21の固定具側係止部21aを刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合させつつ、刃型固定具21のマグネット21cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型31は、刃型固定具21の支持部21bと一体的に形成されている固定具側係止部21aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。刃型固定具21の各辺における配置位置は、固定具側係止部21aが刃型31の外縁部で構成される刃型側係止部31aに係合できればよいため、特に限定されないが、刃型31を安定して固定するために、刃型31の対向する辺の中央付近に刃型固定具21を配置することが好ましい。このように、本実施形態にかかる刃型装置11は、刃型固定具21を用いることにより、従来の刃型31をも簡単に固定することができるため、汎用性が広く便利である。
【0043】
さらに、本実施形態に係る刃型装置11の使用方法並びに刃型固定具21及び刃型31の取り扱い方法に係るその他の説明は、上述した第1の実施形態と同様であり、その作用効果も同様である。
【0044】
以下、図8〜図10を参照しつつ本発明の第3の実施形態に係る刃型装置12について説明する。
【0045】
図8に示すように、本実施形態に係る刃型装置12は、複数の刃型固定具22と刃型32とを備えている。ここで、固定具側係止部22aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部32aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。刃型固定具22は刃型32の各角部に1つ配置され、刃型固定具22の固定具側係止部22aが刃型32の角部に設けられた刃型側係止部32aに係合すると共に刃型固定具22の複数のマグネット22cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型32はチェース4上に固定される。
【0046】
まず、刃型固定具22について説明する。図8〜図10に示すように、本実施形態における刃型固定具22は、固定具側係止部22aと支持部22bと2つのねじ22dと支持部22bの裏面にねじ22dによって固着された2つのマグネット22cとから主として構成されている。この固定具側係止部22aと支持部22bとは、全体として、L字形状の平面を有するように一体的に形成されており、L字状に折曲した部分の内側に略三角形状の固定具側係止部22aが設けられている。
【0047】
図9及び図10を参照しつつ、刃型固定具22の固定具側係止部22aについてより詳細に説明する。固定具側係止部22aの形状は、後述する刃型32の角部に設けられた刃型側係止部32aと嵌合して刃型32をチェース4に係止できる形状となっている。本実施形態においては、刃型32の各角部に三角形状の切り欠きを有する刃型側係止部32aが設けられていることから、固定具側係止部22aもその切り欠きの形状に対応する三角形状に形成されている。また、刃型固定具22の固定具側係止部22aの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態と同様であり、その作用効果も同様である。
【0048】
刃型固定具22の固定具側係止部22aと支持部22bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。固定具側係止部22aと支持部22bとを備える薄板は、刃型32の角部に沿うように略直角状のL字形状に形成されており、L字の折曲した部分の内側に固定具側係止部22aが設けられ、支持部22bは固定具側係止部22aと、固定具側係止部22aを挟んだ両側に固着される2つのマグネット22cとを支持している。本実施形態における支持部22bの裏面には、固着される2つのマグネット22cと22cとの間に自由端部22fが備えられている。刃型固定具22の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0049】
次に、刃型32について説明する。図8及び図9に示すように、本実施形態における刃型32はその各角部に設けられた刃型側係止部32aと打ち抜き刃32bと表板32cと裏板32dとを備えている。各刃型側係止部32aは、表板32cに形成された略三角形状の切り欠きと、裏板32dの表面とから構成されている。各刃型側係止部32aは、刃型32の各角部に1つ形成され、その形状が刃型固定具22の固定具側係止部22aと嵌合する略三角形状となるように形成されている。本実施形態における刃型32は、打ち抜き刃32bを埋め込んだ表板32cを形成したのち、表板32cの外縁の各角部に切り欠きを形成し、その後、この表板32cを裏板32dと貼り合わせることにより製造される。刃型32の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、表板32cに切り欠きを設けた後に打ち抜き刃32bをこの表板32cに埋め込んでも良いし、全ての組み立てを行った後、最後に切り欠きを設けることにより、本実施形態の刃型32を製造することも可能である。なお、刃型32に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0050】
上述した第3の実施形態においては、刃型32の各角部に刃型側係止部32aを設け、この刃型側係止部32aに嵌合する固定具側係止部22aを有する刃型固定具22を各角部に配置しているが、刃型32の対向する2つの角部のみに、刃型固定具22を配置するようにしても良い。
【0051】
図8及び図9に示すように、本実施形態に係る刃型装置12を使用する際には、刃型32をチェース4上に載置した後、刃型固定具22を刃型32の外縁の各角部に配置し、刃型固定具22の固定具側係止部22aを刃型32の刃型側係止部32aに嵌合させると共に刃型固定具22の2つのマグネット22cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型32は、刃型固定具22の支持部22bと一体的に形成されている固定具側係止部22aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0052】
本実施形態に係る刃型装置12の使用方法並びに刃型固定具22及び刃型32の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0053】
以下、図11〜図13を参照しつつ本発明の第4の実施形態に係る刃型装置13について説明する。
【0054】
図11に示すように、本実施形態に係る刃型装置13は、複数の刃型固定具23と刃型33とを備えている。刃型固定具23は刃型33の各辺に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部23aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部33aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具23の固定具側係止部23aが刃型33の1つの辺に設けられた刃型側係止部33aに嵌合すると共に刃型固定具23のマグネット23cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型30はチェース4上に固定される。
【0055】
まず、刃型固定具23について説明する。図11〜図13に示すように、本実施形態における刃型固定具23は、固定具側係止部23aと支持部23bとねじ23dと支持部23bの裏面にねじ23dによって固着されたマグネット23cとから主として構成されている。固定具側係止部23aと2つの支持部23bとは、全体として矩形形状の平面を有するように一体的に形成されており、2つの支持部23bの間に固定具側係止部23aが挟まれて配置されている。
【0056】
図12及び図13を参照しつつ、刃型固定具23の固定具側係止部23aについてより詳細に説明する。固定具側係止部23aの形状は、後述する刃型33の刃型側係止部33aと嵌合して刃型33をチェース4に係止できる形状となっている。本実施形態においては、刃型33の各辺に矩形形状に突出する凸部を有する刃型側係止部33aが設けられていることから、固定具側係止部23aもその凸部の形状に嵌合する矩形形状の凹部を有するように形成されている。また、固定具側係止部23aの厚みについては、刃型側係止部33aと嵌合して刃型33を固定した場合に、打ち抜き刃33bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、固定具側係止部23aを刃型33の刃型側係止部33aと嵌合させた際、打ち抜き刃33bの刃高さより嵌合させた固定具側係止部23aが低くなるようにこの固定具側係止部23aの厚みが調整されていることが好ましく、刃型33の表板33cの表面より固定具側係止部23aの方が低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。また、刃型固定具23の固定具側係止部23aの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0057】
刃型固定具23の固定具側係止部23aと支持部23bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。さらに、刃型固定具23の固定具側係止部23a及び支持部23bの構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0058】
次に、刃型33について説明する。図11及び図12に示すように、本実施形態における刃型33はその各辺に設けられた刃型側係止部33aと打ち抜き刃33bと表板33cと裏板33dとを備えている。刃型側係止部33aは、刃型33の各辺に1つ形成され、本実施形態においては、刃型33の位置合わせを容易にする観点から、各辺の中央に形成されている。各刃型側係止部33aは、裏板33dに形成された凸状の突出部から構成されており、刃型固定具23の固定具側係止部23aと嵌合する矩形形状に形成されている。本実施形態における刃型33は、打ち抜き刃33bを埋め込んだ表板33cを形成したのち、この表板33cを突出部を形成した裏板33dと貼り合わせることにより製造される。刃型33の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、全ての組み立てを行った後、最後に突出部を付加することにより、本実施形態の刃型33を製造することも可能である。なお、刃型33の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0059】
図12及び図13に示すように、本実施形態に係る刃型装置13を使用する際には、刃型33をチェース4上に載置した後、刃型固定具23を刃型33の対向する辺に配置し、刃型固定具23の固定具側係止部23aを刃型33の刃型側係止部33aに嵌合させると共に刃型固定具23のマグネット23cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型33は、刃型固定具23の支持部23bと一体的に形成されている固定具側係止部23aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0060】
さらに、本実施形態に係る刃型装置13の使用方法並びに刃型固定具23及び刃型33の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0061】
次に、図14及び図15を参照しつつ本発明の第5の実施形態に係る刃型装置14について説明する。
【0062】
図14に示すように、本実施形態に係る刃型装置14は、複数の刃型固定具24と刃型34とを備えている。刃型固定具24は刃型34の対向する2辺にそれぞれ配置される。ここで、固定具側係止部24aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部34aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。刃型固定具24の固定具側係止部24aが刃型34の2つの辺の端部に設けられた刃型側係止部34aにそれぞれ当接させて係合させると共に刃型固定具24のマグネット24cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型34はチェース4上に固定される。
【0063】
まず、刃型固定具24について説明する。図14及び図15に示すように、本実施形態における刃型固定具24は、固定具側係止部24aと支持部24bと支持部24bの裏面に接着剤によって固着されたマグネット24cとから主として構成されている。固定具側係止部24aと支持部24bとは、全体として細長い矩形形状となるように一体的に形成されている。
【0064】
図14及び図15を参照しつつ、刃型固定具24の固定具側係止部24aについてより詳細に説明する。本実施形態において、固定具側係止部24aの形状は、後述する刃型34の刃型側係止部34aと当接し、係合して刃型34をチェース4に係止できる形状となっている。即ち、本実施形態においては、刃型34の対向する2辺に設けられている刃型側係止部34aの各々は、斜め上方に向いて傾斜したテーパ面を有しており、一方、各刃型側係止部34aに当接し係合する各固定具側係止部24aは、斜め下方に向いて傾斜した逆テーパ面を有している。
【0065】
刃型固定具24の固定具側係止部24aと支持部24bとは、本実施形態においては、同一の薄板によって一体形成されている。本実施形態において、マグネット24cは、支持部24bとほぼ同じ長さを備えており、支持部24bの裏面のほぼ全域に渡って接着剤によって固着されている。ここで使用されるマグネット24cは強い磁力を有するものが好ましく、具体的には、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石等の希土類磁石又はアルニコ磁石等が挙げられる。
【0066】
図14に示すように、本実施形態における刃型固定具24の固定具側係止部24aは、刃型34の刃型側係止部34aとその全長に渡って当接係合しているため、刃型34を安定して固定支持する。また、本実施態様においては、刃型34の裏面から刃型側係止部34aの下面までの高さと支持部24bに固着されるマグネット24cの厚みとが、略同じ長さであるか、若干マグネット24cの厚みにかかる長さが長くなるように調整されている。さらに、支持部24b及びマグネット24cのトータルの厚みは、打ち抜き刃34bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計されている。具体的には、刃型固定具24をチェース4上に磁着させた際、打ち抜き刃34bの刃高さより支持部24bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることが好ましく、刃型34の表板34cの表面より支持部24bの表面の方が低くなるように厚み調整されていることがさらに好ましい。
【0067】
次に、刃型34について説明する。図14及び図15に示すように、本実施形態における刃型34は対向する2辺に刃型側係止部34aと、打ち抜き刃34bと表板34cと裏板34dとを備えている。刃型34の刃型側係止部34aは、刃型34の辺の長さ方向の全体に渡って形成されているが、刃型34の辺の端部の一部に形成することも可能である。各刃型側係止部34aは、表板34cの端部に形成された斜め上方に向いて傾斜したテーパ面を有しており、刃型固定具24の固定具側係止部24aと当接して係合するように構成されている。本実施形態における刃型34は、打ち抜き刃34bを埋め込んだ表板34cを形成したのち、表板34cの端部をテーパ状に削り、その後、裏板34dと貼り合わせることにより製造される。刃型34の製造方法はこれに限定されることはない。例えば、全ての組み立てを行った後、最後にテーパ面を形成することにより、本実施形態の刃型34を製造することも可能である。なお、刃型34及び刃型固定具24の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0068】
図14及び図15に示すように、本実施形態に係る刃型装置14を使用する際には、刃型固定具24を刃型34の対向する辺に沿って配置し、刃型34の刃型側係止部34aに刃型固定具24の固定具側係止部24aを当接させて係合させると共に刃型固定具24のマグネット24cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型34は、刃型固定具24の支持部24bと一体的に形成されている固定具側係止部24aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0069】
本実施形態に係る刃型装置14の使用方法並びに刃型固定具24及び刃型34の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0070】
次に、図16及び図17を参照しつつ本発明の第6の実施形態に係る刃型装置15について説明する。
【0071】
図16に示すように、本実施形態に係る刃型装置15は、複数の刃型固定具25と刃型35とを備えている。刃型固定具25は刃型35の各角部に1つ配置されている。ここで、固定具側係止部25aは本願発明における係止部に対応し、刃型側係止部35aは本願発明における係止部と係合する刃型の外縁部に対応している。各刃型固定具25の固定具側係止部25aが刃型35の貫通孔の開口周縁部である刃型側係止部35aに係合すると共に刃型固定具25のマグネット25cが磁性体によるチェース4に磁着することにより、刃型35はチェース4上に固定される。
【0072】
まず、刃型固定具25について説明する。図16及び図17に示すように、本実施形態における刃型固定具25は、固定具側係止部25aと支持部25bと支持部25bの裏面に接着剤25eによって固着された円柱状のマグネット25cとから主として構成されている。この固定具側係止部25aと支持部25bとは、全体として円盤形状となるように一体的に形成されており、支持部25bは円盤形状の内周側に、固定具側係止部25aは円盤形状の外周側に設けられている。本実施形態において、固定具側係止部25aの形状は、後述する刃型35の各貫通孔の開口周縁部である刃型側係止部35aと係合して刃型35をチェース4に係止できる形状となっている。固定具側係止部25aの厚みは、刃型35の打ち抜き刃35bによる印刷物の打ち抜きに影響を及ぼさない程度の厚みに設計され、具体的には、打ち抜き刃35bの刃高さより固定具側係止部25aの方が低くなるように厚みが調整されていることが好ましい。さらに、刃型35の打ち抜き刃35bの刃高さより固定具側係止部25aの方が1mm以上低くなるように厚みが調整されていることがより好ましい。また、円柱状のマグネット25cの厚みは、後述する刃型35に形成された貫通孔の孔深さと略同じであるか、若干長くなるように調整されている。刃型固定具25の構成に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0073】
次に、刃型35について説明する。図16及び図17に示すように、本実施形態における刃型35は、各角部の近傍に、貫通孔とこの各貫通孔の開口周縁部で構成される刃型側係止部35aと打ち抜き刃35bと表板35cと裏板35dとを備えている。各貫通孔は、刃型35の表板35c及び裏板35dを貫通して開けられた孔により構成されている。貫通孔の形状は、刃型固定具25のマグネット25cが嵌入できる形状に形成されており、本実施形態においては、円筒状の貫通孔が形成されている。本実施形態における刃型35は、打ち抜き刃35bを埋め込んだ表板35cを形成し、裏板35dと貼り合わせた後、貫通孔を所定の位置に形成することにより製造される。また、刃型35に関するその他の説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0074】
図16及び図17に示すように、本実施形態に係る刃型装置15を使用する際には、刃型固定具25を刃型35の貫通孔内に挿入し、貫通孔の開口周縁部で構成される刃型側係止部35aに刃型固定具25の固定具側係止部25aを係合させると共に刃型固定具25のマグネット25cをチェース4上に磁着させる。チェース4上の刃型35は、刃型固定具25の支持部25bと一体的に形成されている固定具側係止部25aによりチェース4表面方向に押さえられて固定される。
【0075】
さらに、本実施形態に係る刃型装置15の使用方法並びに刃型固定具25及び刃型35の取り扱い方法に係る説明は、上述した第1の実施形態の場合と同様であり、その作用効果も同様である。
【0076】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々、設計変更した形態も技術的範囲に含むものである。
【符号の説明】
【0077】
10、11、12、13、14、15 刃型装置
20、21、22、23、24、25 刃型固定具
20a、21a、22a、23a、24a、25a 固定具側係止部
20b、21b、22b、23b、24b、25b 支持部
20c、21c、22c、23c、24c、25c マグネット
20d、22d、23d ねじ
21e、24e、25e 接着剤
20f、21f、22f、23f 自由端部
20g 位置合せガイド
30、31、32、33、34、35 刃型
30a、31a、32a、33a、34a、35a 刃型側係止部
30b、31b、32b、33b、34b、35b 打ち抜き刃
30c、31c、32c、33c、34c、35c 表板
30d、31d、32d、33d、34d、35d 裏板
4 チェース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち抜き刃を有する刃型と、
前記刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、該係止部と一体的に形成された支持部と、該支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、前記マグネットをチェースに磁着することにより前記刃型を前記チェースに係止する複数の刃型固定具とを備えており、
前記刃型固定具は前記刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置されることを特徴とする刃型装置。
【請求項2】
前記マグネットは前記支持部の裏面の一部に固着され、前記支持部の該裏面には前記マグネットが固着されていない自由端部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の刃型装置。
【請求項3】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に段状に形成された切り欠きを備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記切り欠きに嵌合する形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項4】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に段状に形成された突出部を備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記突出部に嵌合する形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項5】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部の端部が上方に向いて傾斜したテーパ面を備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記テーパ面に係合する下方に向いて傾斜する逆テーパ面を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項6】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に貫通孔を備え、前記刃型固定具の前記マグネットは前記貫通孔に嵌入してチェースと磁着するように構成されており、前記係止部は前記貫通孔の開口周縁部に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の刃型装置。
【請求項1】
打ち抜き刃を有する刃型と、
前記刃型の外縁部の少なくとも一部と係合する係止部と、該係止部と一体的に形成された支持部と、該支持部に固着されたマグネットとを各々が有し、前記マグネットをチェースに磁着することにより前記刃型を前記チェースに係止する複数の刃型固定具とを備えており、
前記刃型固定具は前記刃型の少なくとも1対の対向する辺又は角部にそれぞれ配置されることを特徴とする刃型装置。
【請求項2】
前記マグネットは前記支持部の裏面の一部に固着され、前記支持部の該裏面には前記マグネットが固着されていない自由端部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の刃型装置。
【請求項3】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に段状に形成された切り欠きを備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記切り欠きに嵌合する形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項4】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に段状に形成された突出部を備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記突出部に嵌合する形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項5】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部の端部が上方に向いて傾斜したテーパ面を備え、前記刃型固定具の前記係止部は前記テーパ面に係合する下方に向いて傾斜する逆テーパ面を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の刃型装置。
【請求項6】
前記刃型の外縁部は、該外縁部の少なくとも一部に貫通孔を備え、前記刃型固定具の前記マグネットは前記貫通孔に嵌入してチェースと磁着するように構成されており、前記係止部は前記貫通孔の開口周縁部に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の刃型装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−103282(P2013−103282A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247030(P2011−247030)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【特許番号】特許第5000007号(P5000007)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(511274226)株式会社フナミズ刃型製版 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【特許番号】特許第5000007号(P5000007)
【特許公報発行日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(511274226)株式会社フナミズ刃型製版 (1)
【Fターム(参考)】
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