分割ゴルフパター
【課題】従来のゴルフパターはヘッドからシャフトまでが一体であり、使用者の体格や好みやその日のコンディションに合わせて適宜に調整することができなかった。
【解決手段】パターヘッドとネック部とシャフトに分割し、パターヘッドとネック部の間と、ネック部とシャフトの間にそれぞれ回転軸と係止ボルトを設け、それぞれの回転軸の間に所定の角度を設けたことによりパターヘッドとシャフトの位置関係を自由に変更できる。
【解決手段】パターヘッドとネック部とシャフトに分割し、パターヘッドとネック部の間と、ネック部とシャフトの間にそれぞれ回転軸と係止ボルトを設け、それぞれの回転軸の間に所定の角度を設けたことによりパターヘッドとシャフトの位置関係を自由に変更できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフのパターに関して、特にパターヘッドとネック部とシャフトに分割出来るパターに関する。
【課題】
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドからグリップまで一体に形成されたゴルフパターが広く知られている。販売店ではパターヘッドの形状、大きさ、重さ、シャフトの長さ、グリップの太さや形状がそれぞれ異なるパターを揃えており、使用者は体格やパットスタイルに合致させるべくこれらの中から選択し購入している。
しかし使用者の体格やパットスタイルはさまざまで多くの組み合わせが必要であるのに対して、ゴルフパターメーカーはこれらの組み合わせを全て用意することが出来ない。このため使用者は限られた中から選択しなければならず、試打をしたとしても使用者に適したものを購入しているとは限らない。
また、使用者の体格やパットスタイルが変ったりした場合には新たにパターを買いなおす必要があったり、当日のコンディションの違いに対応するために複数のパターを用意する必要があった。
【0003】
このような問題に対して各部分の調整可能なゴルフパターが知られており、シャフト部分とパターヘッド部分とを各々独立させ、使用時にはシャフト部分とパターヘッド部分とを結合させることによって、パターヘッド部分の交換が可能なゴルフパターが提案されている(特許文献1)。
また、パターヘッドをカスタマイズ可能なパターにおいてホーゼルに付随伸長部を有しているものが提案されている(特許文献2)。
さらに、パターヘッドにシャフトを連結するための複数の凹部を設け適宜取り付け位置および角度を選択出来るゴルフパターが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2002−272885号公報
【特許文献2】 特開2002−224254号公報
【特許文献3】 特開2007−222257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によればシャフト部分とパターヘッド部分と各々独立させ、重さの異なる複数のヘッドを差し替えて使用するゴルフパターが提案されている。しかし、シャフトのほぞ組A3とネック部のほぞ組B5を一致させて常に同じ角度で固定するため、パターヘッドとシャフトの位置関係を自由に変更出来ないという問題がある。すなわち、このようなパターヘッド部分の差し替え方法では複数のパターヘッドのなかから選択出来るが固定角度を変更することが出来ない。
また、特許文献2のゴルフパターはパターヘッドとネック部が分割可能であることが示唆されているが、ネック部とパターヘッドの固定角度は一定であり自由に変更出来ないという問題がある。
さらに、特許文献3では、パターヘッドに複数の凹部を設けパターヘッドとシャフトの取り付け位置を選択出来るゴルフパターが提案されている。
一般的にパターヘッドをブレにくくするために、パターヘッドのヒールとトーの近傍に大きな質量を与え慣性を持たせたり、パターヘッドの打面の奥行き方向に厚みを持たせたりすることが行われている。このようにパターヘッドの重量配分はスイングの安定性に大きく影響する。しかし特許文献3の構成のようにパターヘッドに対するシャフトを取り付ける位置を変更するということはパターのヘッドバランスを大きく変えることであって、変更されたヘッドバランスに使用者が慣れるのに時間がかかるという問題がある。
【0006】
したがって本願発明は、ヘッドバランスを大きく変えることなくパターヘッドとシャフトの位置関係を自由に設定でき、必要に応じてそれぞれの部品を即時に選択交換しうることが出来るゴルフパターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によるゴルフパターは、パターヘッド1、ネック部2、シャフト3からなり、前記パターヘッド1と前記ネック部2との間を回転軸Aで接続し、前記ネック部2と前記シャフト3との間を回転軸Bで接続し、前記回転軸Aと前記回転軸Bとの間に所定の角度を持つとともに、前記回転軸Aの回転を固定するネック係止ボルト6と、前記回転軸Bの回転を固定するシャフト係止ボルト7からなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1の発明によれば、パターヘッド1とネック部2が回転軸Aで接続され、ネック部2とシャフト3が回転軸Bで接続され、回転軸Aをネック係止ボルト6、回転軸Bをシャフト係止ボルト7で固定されているので、両係止ボルトを緩めた後に適宜角度を変更して締め付けることによりパターヘッド1とネック部2とシャフト3の位置関係を変更して使用者の好みに合致させることが出来るという優れた効果を有する。また回転軸Aと回転軸Bは所定の角度を持っているため回転軸Aと回転軸Bの固定角度によりライ角やオフセット量を任意に設定することができる。
【0009】
請求項2の発明によるゴルフパターは、前記回転軸Aはネック係止ボルト6を、前記回転軸Bはシャフト係止ボルト7を緩めることにより前記回転軸Aと前記回転軸Bは着脱できることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明によれば、回転軸Aと回転軸Bが着脱可能な回転軸で、両係止ボルトを緩めることによりパターヘッド1とネック部2とシャフト3の分離が出来るのでそれぞれの部品が交換出来るという優れた効果を有する。
【0011】
請求項3の発明によるゴルフパターは、請求項1〜2の構成に加えて前記ネック部2を略クランク形状とすることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を変更出来ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、ネック部2の形状が略クランク状であり、パターヘッド1とネック部2の取り付け角度を変更出来ることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3のオフセット位置を容易に変更可能であるという優れた効果を有する。
【0013】
請求項4の発明によるゴルフパターは、請求項1〜3の構成に加えて前記パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置で前記回転軸Aを接続し、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用することが出来ることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明によれば、パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置に前記回転軸Aを配置し、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用出来るという優れた効果を有する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のゴルフパターによれば、パターヘッドとネックとシャフトの取り付け角度を自由に変更でき、しかも構成が複雑になることを可及的に防止するとともに安価に製造することが出来るという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明のゴルフパターを示す側面図。
【図2】 図1のゴルフパターの正面図。
【図3】 パターヘッドに取り付けたネック部を前後に移動してシャフトの取り付け角度を前後に傾斜させた例を示す図。
【図4】 図5の平面図。
【図5】 略クランク状ネック部の例の側面図
【図6】 L型ネック部の例による側面図。
【図7】 略クランク状ネック部の変形例の側面図
【図8】 図7の平面図。
【図9】 シャフトに取り付けられた扁平部をもつグリップを示す図。
【図10】 従来技術(特許文献3)のパターヘッドを示す上面図。
【図11】 従来技術の一体に形成されたパターを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態1に係るゴルフパターについて詳細に説明すると、図1、図2に示すように、本発明の実施形態1に係るゴルフパターはパターヘッド1にネック取り付け孔8が開けられ、ネック部2の下部は回転軸Aとしてネック取り付け孔8に挿入され、パターヘッド1の底面からネック取り付けボルト6で締め付けてネック部2が回転しないように固定されている。ネック部2の上部にはソケット部5が設けられ、シャフト3の下部が回転軸Bとしてソケット5に挿入され、シャフト3が回転しないようにシャフト係止ボルト7を締め付けて固定されている。シャフト3の上部には滑り防止用のグリップ4が取り付けられており、グリップ4には上面位置を示すグリップ扁平部9が設けられている。
パターヘッド1に開けられたネック取り付け孔8は貫通孔であるのでネック2に対してパターヘッド1は自由に回転させることができ、ネック取り付けボルト6を緩めたり締めたりすることによってどんな角度でも固定可能である。
また、ソケット部5に対してシャフト3は自由に回転でき、ソケット部5の側面からシャフト係止ボルト7によってねじ留めされ、シャフト3も同様にどんな角度でも固定可能である。
【0018】
図3に示すように、使用者はパターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を回転軸Aによって自由に設定出来る。回転軸Aはネック取り付け孔8を介してネック係止ボルト6でネック部2を固定しているのでどんな角度でも固定することができ、例えば図3における(P)の位置ではパターヘッドの打面10に近い位置、(Q)の位置ではパターヘッド1の中央付近の位置というように、オフセット量を自由に設定することが出来る。
このとき、グリップ扁平部9の平面を上面に向けたときにその平面とフェース10とが直角であることが望ましいので(フェース角±0°)、回転軸Bの取り付け角度を適宜変更すればよい。具体的には図1に示すように、ネック部2に取り付けられたソケット部5にシャフト3の先端が挿入され回転可能になっており、シャフト係止ボルト7でその角度を固定出来る。
【0019】
ここで図8に示すように、ネック部2の回転軸Aに対して回転軸Bは取り付け角度θ1が設定されている。パターヘッド1とネック部2の回転軸Aの取り付け角度を決めると、取り付け角度θ1がライ角と打ち出し方向のシャフト3の傾きに配分されることになる。ここで、フェース10とグリップ扁平部9の平面の向きを直角にして、ライ角とシャフト3の傾きが適正になるようにシャフト係止ボルト7で固定すればよい。
このように回転軸Aと回転軸Bの取り付け角度を変更して、ネック係止ボルト6とシャフト係止ボルト7で固定することにより、ゴルフパターの使用者に合わせてパターヘッド1とシャフト3との位置関係を自由に変更することが出来る。取り付け角度θ1はライ角とシャフト3の傾きに分配されることを考慮して10〜30°程度に設定する。
このように回転軸Aでパターヘッド1とネック部2を接続しており、どのような角度であっても取り付け位置は常に同じなのでパターヘッドのモーメントが大きく変化することはない。
【0020】
さらに、ネック係止ボルト6を緩めることによりパターヘッド1とネック部2を分離させることが出来る。シャフト係止ボルト7についても同様で、ネック部2とシャフト3を分離させることが出来る。
すなわち、パターヘッド1、ネック部2、シャフト3が独立しているため各々が交換可能である。したがって、パターヘッド1とシャフト3の位置関係が求める範囲に入らない場合には、取り付け角度θ1の異なるネック部2だけを交換するだけでよい。
【0021】
ネック部2は図8のようなL型の形状以外に、図5に示すような略クランク状であってもよい。オフセット量を大きく変えたい場合には、略クランク状の2箇所の曲げ部分の中間の長さを大きくするとよい。
図1、2の回転軸Aはパターヘッド1にネック取り付け孔8を介してネック部2にネック係止ボルト6で固定されているがこの方法以外に、回転軸Aはパターヘッド1の上面に設けて突出させ、ネック部2の下部にはソケット部を設けて、ソケット部の側方から係止ボルトで固定する構造であってもよい。
また回転軸Aと回転軸Bは取り付け角度θ1以外に図8のようにθ2の角度を設けることも出来る。取り付け角度θ2を設けることによって、より微細な調整が可能となる。
取り付け角度θ2は図8ではネック部2の曲げ部に設けるものとしたが、図4のように中間部分で略への字形状に曲げることによるものでもよい。
なお回転軸として回転軸Aと回転軸Bにさらにもう1つ以上の回転軸を加え、3つ以上の回転軸を持つゴルフパターであってもよい。具体的にはネック部2の途中を分割して回転軸Cを加えると、調整の範囲を増やすことが出来る。特に、回転軸Aと回転軸Bと回転軸Cはそれぞれが平行ではないことが望ましい。
【0022】
また、ネック係止ボルト6の締め付けが弱すぎた場合に、ちょっとした衝撃などで回転軸Aが意図せず回転してしまうことも考えられる。そこで、ネック部2の下部の軸にスプライン状に縦溝を配し、パターヘッド1のネック取り付け孔8にはスプライン軸受け状に縦溝を配することが考えられる。縦溝同士の山谷がかみ合うことにより回転しないので、一度設定した回転軸の固定角度は意図せず変更されることはない。回転軸Bについてもソケット部5とシャフト3に縦溝を設ければよい。
【0023】
さらに本発明の実施形態2について述べる。図3に示すように、パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置に回転軸Aが設けられネック部2と接続されている。ネック部2の上方はパターヘッド1のヒール11側に向くように取り付けられるが、回転軸Aによってトー12側に向くようにも取り付けることが出来る。このとき扁平部9が上面に向くように回転軸Bによってシャフト3を回転させることによって左打ち用のパターになる。このとき右打ち用のヒール11は左打ち用のトー12に相当する。
このようにネック部2に回転軸Aと回転軸Bを設けることにより右打ち用のパターと左打ち用のパターを共用させることが出来る。そしてパターヘッド1のヒール11からトー12までの距離の中央の位置に回転軸Aが設けられているので、パターのヘッドバランス(モーメント)を変化させずに右打ち用から左打ち用に切り替えることが出来る。なお、パターヘッド1はヒール11からトー12までの長さに対する中央の位置を通る中心線に対して対称の形状や対称の重量配分であることが望ましい。
左右打者共用で部品を製造することが出来るのでコストを抑えることができ、使用者もパターの選択肢が多くなるというメリットがある。
【符号の説明】
【0024】
1 パターヘッド
2 ネック部
3 シャフト
4 グリップ
5 ソケット部
6 ネック係止ボルト
7 シャフト係止ボルト
8 ネック取り付け孔
9 グリップ扁平部
10 フェース(パターヘッドの打面)
11 ヒール
12 トー
A 回転軸
B 回転軸
θ1 取り付け角度
θ2 取り付け角度
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフのパターに関して、特にパターヘッドとネック部とシャフトに分割出来るパターに関する。
【課題】
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドからグリップまで一体に形成されたゴルフパターが広く知られている。販売店ではパターヘッドの形状、大きさ、重さ、シャフトの長さ、グリップの太さや形状がそれぞれ異なるパターを揃えており、使用者は体格やパットスタイルに合致させるべくこれらの中から選択し購入している。
しかし使用者の体格やパットスタイルはさまざまで多くの組み合わせが必要であるのに対して、ゴルフパターメーカーはこれらの組み合わせを全て用意することが出来ない。このため使用者は限られた中から選択しなければならず、試打をしたとしても使用者に適したものを購入しているとは限らない。
また、使用者の体格やパットスタイルが変ったりした場合には新たにパターを買いなおす必要があったり、当日のコンディションの違いに対応するために複数のパターを用意する必要があった。
【0003】
このような問題に対して各部分の調整可能なゴルフパターが知られており、シャフト部分とパターヘッド部分とを各々独立させ、使用時にはシャフト部分とパターヘッド部分とを結合させることによって、パターヘッド部分の交換が可能なゴルフパターが提案されている(特許文献1)。
また、パターヘッドをカスタマイズ可能なパターにおいてホーゼルに付随伸長部を有しているものが提案されている(特許文献2)。
さらに、パターヘッドにシャフトを連結するための複数の凹部を設け適宜取り付け位置および角度を選択出来るゴルフパターが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特開2002−272885号公報
【特許文献2】 特開2002−224254号公報
【特許文献3】 特開2007−222257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によればシャフト部分とパターヘッド部分と各々独立させ、重さの異なる複数のヘッドを差し替えて使用するゴルフパターが提案されている。しかし、シャフトのほぞ組A3とネック部のほぞ組B5を一致させて常に同じ角度で固定するため、パターヘッドとシャフトの位置関係を自由に変更出来ないという問題がある。すなわち、このようなパターヘッド部分の差し替え方法では複数のパターヘッドのなかから選択出来るが固定角度を変更することが出来ない。
また、特許文献2のゴルフパターはパターヘッドとネック部が分割可能であることが示唆されているが、ネック部とパターヘッドの固定角度は一定であり自由に変更出来ないという問題がある。
さらに、特許文献3では、パターヘッドに複数の凹部を設けパターヘッドとシャフトの取り付け位置を選択出来るゴルフパターが提案されている。
一般的にパターヘッドをブレにくくするために、パターヘッドのヒールとトーの近傍に大きな質量を与え慣性を持たせたり、パターヘッドの打面の奥行き方向に厚みを持たせたりすることが行われている。このようにパターヘッドの重量配分はスイングの安定性に大きく影響する。しかし特許文献3の構成のようにパターヘッドに対するシャフトを取り付ける位置を変更するということはパターのヘッドバランスを大きく変えることであって、変更されたヘッドバランスに使用者が慣れるのに時間がかかるという問題がある。
【0006】
したがって本願発明は、ヘッドバランスを大きく変えることなくパターヘッドとシャフトの位置関係を自由に設定でき、必要に応じてそれぞれの部品を即時に選択交換しうることが出来るゴルフパターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によるゴルフパターは、パターヘッド1、ネック部2、シャフト3からなり、前記パターヘッド1と前記ネック部2との間を回転軸Aで接続し、前記ネック部2と前記シャフト3との間を回転軸Bで接続し、前記回転軸Aと前記回転軸Bとの間に所定の角度を持つとともに、前記回転軸Aの回転を固定するネック係止ボルト6と、前記回転軸Bの回転を固定するシャフト係止ボルト7からなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1の発明によれば、パターヘッド1とネック部2が回転軸Aで接続され、ネック部2とシャフト3が回転軸Bで接続され、回転軸Aをネック係止ボルト6、回転軸Bをシャフト係止ボルト7で固定されているので、両係止ボルトを緩めた後に適宜角度を変更して締め付けることによりパターヘッド1とネック部2とシャフト3の位置関係を変更して使用者の好みに合致させることが出来るという優れた効果を有する。また回転軸Aと回転軸Bは所定の角度を持っているため回転軸Aと回転軸Bの固定角度によりライ角やオフセット量を任意に設定することができる。
【0009】
請求項2の発明によるゴルフパターは、前記回転軸Aはネック係止ボルト6を、前記回転軸Bはシャフト係止ボルト7を緩めることにより前記回転軸Aと前記回転軸Bは着脱できることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明によれば、回転軸Aと回転軸Bが着脱可能な回転軸で、両係止ボルトを緩めることによりパターヘッド1とネック部2とシャフト3の分離が出来るのでそれぞれの部品が交換出来るという優れた効果を有する。
【0011】
請求項3の発明によるゴルフパターは、請求項1〜2の構成に加えて前記ネック部2を略クランク形状とすることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を変更出来ることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3の発明によれば、ネック部2の形状が略クランク状であり、パターヘッド1とネック部2の取り付け角度を変更出来ることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3のオフセット位置を容易に変更可能であるという優れた効果を有する。
【0013】
請求項4の発明によるゴルフパターは、請求項1〜3の構成に加えて前記パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置で前記回転軸Aを接続し、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用することが出来ることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明によれば、パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置に前記回転軸Aを配置し、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用出来るという優れた効果を有する。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明のゴルフパターによれば、パターヘッドとネックとシャフトの取り付け角度を自由に変更でき、しかも構成が複雑になることを可及的に防止するとともに安価に製造することが出来るという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】 本発明のゴルフパターを示す側面図。
【図2】 図1のゴルフパターの正面図。
【図3】 パターヘッドに取り付けたネック部を前後に移動してシャフトの取り付け角度を前後に傾斜させた例を示す図。
【図4】 図5の平面図。
【図5】 略クランク状ネック部の例の側面図
【図6】 L型ネック部の例による側面図。
【図7】 略クランク状ネック部の変形例の側面図
【図8】 図7の平面図。
【図9】 シャフトに取り付けられた扁平部をもつグリップを示す図。
【図10】 従来技術(特許文献3)のパターヘッドを示す上面図。
【図11】 従来技術の一体に形成されたパターを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施形態1に係るゴルフパターについて詳細に説明すると、図1、図2に示すように、本発明の実施形態1に係るゴルフパターはパターヘッド1にネック取り付け孔8が開けられ、ネック部2の下部は回転軸Aとしてネック取り付け孔8に挿入され、パターヘッド1の底面からネック取り付けボルト6で締め付けてネック部2が回転しないように固定されている。ネック部2の上部にはソケット部5が設けられ、シャフト3の下部が回転軸Bとしてソケット5に挿入され、シャフト3が回転しないようにシャフト係止ボルト7を締め付けて固定されている。シャフト3の上部には滑り防止用のグリップ4が取り付けられており、グリップ4には上面位置を示すグリップ扁平部9が設けられている。
パターヘッド1に開けられたネック取り付け孔8は貫通孔であるのでネック2に対してパターヘッド1は自由に回転させることができ、ネック取り付けボルト6を緩めたり締めたりすることによってどんな角度でも固定可能である。
また、ソケット部5に対してシャフト3は自由に回転でき、ソケット部5の側面からシャフト係止ボルト7によってねじ留めされ、シャフト3も同様にどんな角度でも固定可能である。
【0018】
図3に示すように、使用者はパターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を回転軸Aによって自由に設定出来る。回転軸Aはネック取り付け孔8を介してネック係止ボルト6でネック部2を固定しているのでどんな角度でも固定することができ、例えば図3における(P)の位置ではパターヘッドの打面10に近い位置、(Q)の位置ではパターヘッド1の中央付近の位置というように、オフセット量を自由に設定することが出来る。
このとき、グリップ扁平部9の平面を上面に向けたときにその平面とフェース10とが直角であることが望ましいので(フェース角±0°)、回転軸Bの取り付け角度を適宜変更すればよい。具体的には図1に示すように、ネック部2に取り付けられたソケット部5にシャフト3の先端が挿入され回転可能になっており、シャフト係止ボルト7でその角度を固定出来る。
【0019】
ここで図8に示すように、ネック部2の回転軸Aに対して回転軸Bは取り付け角度θ1が設定されている。パターヘッド1とネック部2の回転軸Aの取り付け角度を決めると、取り付け角度θ1がライ角と打ち出し方向のシャフト3の傾きに配分されることになる。ここで、フェース10とグリップ扁平部9の平面の向きを直角にして、ライ角とシャフト3の傾きが適正になるようにシャフト係止ボルト7で固定すればよい。
このように回転軸Aと回転軸Bの取り付け角度を変更して、ネック係止ボルト6とシャフト係止ボルト7で固定することにより、ゴルフパターの使用者に合わせてパターヘッド1とシャフト3との位置関係を自由に変更することが出来る。取り付け角度θ1はライ角とシャフト3の傾きに分配されることを考慮して10〜30°程度に設定する。
このように回転軸Aでパターヘッド1とネック部2を接続しており、どのような角度であっても取り付け位置は常に同じなのでパターヘッドのモーメントが大きく変化することはない。
【0020】
さらに、ネック係止ボルト6を緩めることによりパターヘッド1とネック部2を分離させることが出来る。シャフト係止ボルト7についても同様で、ネック部2とシャフト3を分離させることが出来る。
すなわち、パターヘッド1、ネック部2、シャフト3が独立しているため各々が交換可能である。したがって、パターヘッド1とシャフト3の位置関係が求める範囲に入らない場合には、取り付け角度θ1の異なるネック部2だけを交換するだけでよい。
【0021】
ネック部2は図8のようなL型の形状以外に、図5に示すような略クランク状であってもよい。オフセット量を大きく変えたい場合には、略クランク状の2箇所の曲げ部分の中間の長さを大きくするとよい。
図1、2の回転軸Aはパターヘッド1にネック取り付け孔8を介してネック部2にネック係止ボルト6で固定されているがこの方法以外に、回転軸Aはパターヘッド1の上面に設けて突出させ、ネック部2の下部にはソケット部を設けて、ソケット部の側方から係止ボルトで固定する構造であってもよい。
また回転軸Aと回転軸Bは取り付け角度θ1以外に図8のようにθ2の角度を設けることも出来る。取り付け角度θ2を設けることによって、より微細な調整が可能となる。
取り付け角度θ2は図8ではネック部2の曲げ部に設けるものとしたが、図4のように中間部分で略への字形状に曲げることによるものでもよい。
なお回転軸として回転軸Aと回転軸Bにさらにもう1つ以上の回転軸を加え、3つ以上の回転軸を持つゴルフパターであってもよい。具体的にはネック部2の途中を分割して回転軸Cを加えると、調整の範囲を増やすことが出来る。特に、回転軸Aと回転軸Bと回転軸Cはそれぞれが平行ではないことが望ましい。
【0022】
また、ネック係止ボルト6の締め付けが弱すぎた場合に、ちょっとした衝撃などで回転軸Aが意図せず回転してしまうことも考えられる。そこで、ネック部2の下部の軸にスプライン状に縦溝を配し、パターヘッド1のネック取り付け孔8にはスプライン軸受け状に縦溝を配することが考えられる。縦溝同士の山谷がかみ合うことにより回転しないので、一度設定した回転軸の固定角度は意図せず変更されることはない。回転軸Bについてもソケット部5とシャフト3に縦溝を設ければよい。
【0023】
さらに本発明の実施形態2について述べる。図3に示すように、パターヘッド1のヒール11からトー12までの距離に対する中央の位置に回転軸Aが設けられネック部2と接続されている。ネック部2の上方はパターヘッド1のヒール11側に向くように取り付けられるが、回転軸Aによってトー12側に向くようにも取り付けることが出来る。このとき扁平部9が上面に向くように回転軸Bによってシャフト3を回転させることによって左打ち用のパターになる。このとき右打ち用のヒール11は左打ち用のトー12に相当する。
このようにネック部2に回転軸Aと回転軸Bを設けることにより右打ち用のパターと左打ち用のパターを共用させることが出来る。そしてパターヘッド1のヒール11からトー12までの距離の中央の位置に回転軸Aが設けられているので、パターのヘッドバランス(モーメント)を変化させずに右打ち用から左打ち用に切り替えることが出来る。なお、パターヘッド1はヒール11からトー12までの長さに対する中央の位置を通る中心線に対して対称の形状や対称の重量配分であることが望ましい。
左右打者共用で部品を製造することが出来るのでコストを抑えることができ、使用者もパターの選択肢が多くなるというメリットがある。
【符号の説明】
【0024】
1 パターヘッド
2 ネック部
3 シャフト
4 グリップ
5 ソケット部
6 ネック係止ボルト
7 シャフト係止ボルト
8 ネック取り付け孔
9 グリップ扁平部
10 フェース(パターヘッドの打面)
11 ヒール
12 トー
A 回転軸
B 回転軸
θ1 取り付け角度
θ2 取り付け角度
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターヘッド1、ネック部2、シャフト3からなり、前記パターヘッド1と前記ネック部2との間を回転軸Aで接続し、前記ネック部2と前記シャフト3との間を回転軸Bで接続し、前記回転軸Aと前記回転軸Bとの間に所定の角度を持つとともに、前記回転軸Aの回転を固定するネック係ボルト6と、前記回転軸Bの回転を固定するシャフト係止ボルト7からなるゴルフパター。
【請求項2】
前記回転軸Aはネック係止ボルト6を、前記回転軸Bはシャフト係止ボルト7を緩めることにより前記回転軸Aと前記回転軸Bは着脱できることを特徴とする請求項1のゴルフパター。
【請求項3】
前記ネック部2は略クランク形状であることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を変更出来ることを特徴とする請求項1,2のゴルフパター。
【請求項4】
前記回転軸Aは前記パターヘッド1の上面のヒール11からトー12まで距離に対する中央の位置で接続され、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用出来ることを特徴とする請求項1〜3のゴルフパター。
【請求項1】
パターヘッド1、ネック部2、シャフト3からなり、前記パターヘッド1と前記ネック部2との間を回転軸Aで接続し、前記ネック部2と前記シャフト3との間を回転軸Bで接続し、前記回転軸Aと前記回転軸Bとの間に所定の角度を持つとともに、前記回転軸Aの回転を固定するネック係ボルト6と、前記回転軸Bの回転を固定するシャフト係止ボルト7からなるゴルフパター。
【請求項2】
前記回転軸Aはネック係止ボルト6を、前記回転軸Bはシャフト係止ボルト7を緩めることにより前記回転軸Aと前記回転軸Bは着脱できることを特徴とする請求項1のゴルフパター。
【請求項3】
前記ネック部2は略クランク形状であることにより、パターヘッド1のフェース10とシャフト3とのオフセット位置を変更出来ることを特徴とする請求項1,2のゴルフパター。
【請求項4】
前記回転軸Aは前記パターヘッド1の上面のヒール11からトー12まで距離に対する中央の位置で接続され、ネック部2の向きを変更して固定することによって右打者用から左打者用に変更して使用出来ることを特徴とする請求項1〜3のゴルフパター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−55672(P2012−55672A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222753(P2010−222753)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000230261)日本メタルガスケット株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000230261)日本メタルガスケット株式会社 (27)
【Fターム(参考)】
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