説明

分割型コンクリートスクリード

分割型のコンクリートスクリードを開示する。スクリードは、夫々独立に上下する複数のスクリードユニットからなるコンクリート打設用型枠上のコンクリートをスクリードすることに用いる。これにより、スクリード操作においてスクリードされるコンクリート中の障害物を選択的に回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートパネルを打設するコンクリート打設機に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに中空コアコンクリートパネルは多くの方法により製造されてきた。その方法には可動型枠または固定型枠を用いる一回打設法および複数回打設法がある。中空コアは、コンクリートが製造される所定の場所にコア材料を残留させるスリップフォーム押し出し機を用いて製造される。養生後にパネルは一定長さに切断され、吊り上げられ、その後傾斜されコア材料が取り出される。コア材料は再使用される。
【0003】
特許文献1に示されるように、中空コアパネルには表面全体にわたって断熱層を有するものがある。基本的に、中空コアパネルが打設され、その後断熱性を有する接着シートが敷かれ、さらに最終のコンクリートが打設される。この断熱性を有する均一層が最終の壁パネルおよび床板のR値を向上させる。
【0004】
最近本願発明者は、棒状発泡材を用いて断熱性を付与する機械および工程を開発し、それによりスリップフォーム押し出し機およびコア材料を用いる必要性を解消した。その発明は2003年6月26日に公開された特許文献2に開示されている。この発明の利点は、窓などの開口を有するコンクリートパネルを打設できることである。打設の際に開口を通過すると、打設機械の現行のスクリード装置が適切に機能していないことがわかる。
【特許文献1】米国特許第4628653号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0115822号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コンクリートパネル打設用機械のコンクリートスクリードを改良することにある。同スクリードは位置調整可能であり、スクリード操作は必要に応じて型枠の一領域を迂回することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の新規な分割型スクリードは、基本的には米国特許第3217375号明細書、同第3523343号明細書、同第4004874号明細書、同第4289293号明細書、および同第4457682号明細書に示される任意の標準的なコンクリート打設装置を改良する。これらの打設機械は固定されていたり、レールに沿って駆動されたりする型枠を有する。型枠は底板および側板を備える。通常スクリードは側板同士の間の打設コンクリートの上方に配置されるので、注入されたコンクリートの頂面をスクリードすることができる。本発明においてスクリードは複数のセグメントを有するように改良されており、各セグメントが独立して他よりも高い位置または低い位置にあることができる。このためスクリード操作は任意の所望部位を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下には、図面を具体的に参照しつつ、本発明の詳細な説明を行う。
分割型スクリードを採用する打設機は、固定されていたり、レールに沿って駆動されたりする型枠10を備える。型枠10は底板14、および側板16,18を有する。製造されるコンクリートパネル20を図1に示す。コンクリートパネル20には、スクリード操作を要する上面22が存在する。コンクリートパネル20には1つ以上の開口28が形成されるとともに、通常は特許文献2に図示および説明されるような複数の棒状発泡材を有
する。この方法により、打設されたコンクリートパネルに関しては、完成したコンクリートパネルを傾斜させて長手方向のボイドからコア材料を除去する必要がなくなる。これにより、開口28を形成する型枠26を使用することが可能となる。ただし、型枠26の頂面は従来技術によるスクリードと干渉し合うであろう。
【0008】
本発明のスクリード30は従来のスクリードと同様に、型枠10の上方に懸架され、型枠が移動したりスクリードが型枠の長手に沿って駆動されたりすることにより、型枠と相対的に移動可能である。スクリード30は枠32を備え、枠32には複数のスクリードユニット34がボルト36により摺動可能に取り付けられている。これによりスクリードユニット34は枠32に対して鉛直方向に移動することができる。スクリードユニット34は下部スクリードプレート38を備え、下部スクリードプレート38は他のスクリードユニットと組み合わされて、コンクリートのスクリード操作を行う。
【0009】
図2に示すように、スクリードユニットは油圧シリンダ42、ピストン44、およびスクリードユニット34への装着点46を有する油圧機構40を備える。油圧機構40に関する従来技術に基づいて、各スクリードユニット34の鉛直方向の位置を制御し、それにより、コンクリートをスクリードするためにコンクリートの上面22にすべてのスクリードユニットを下降させることができる。それに代えて、図1および3に図示するように、一部のスクリードユニット34が型枠26の頂面などの障害物の直前に、コンクリート面22から離間するように上昇し、その後下降して上面22全体のスクリード操作を再開することができる。
【0010】
スクリード30は、油圧技術を用いて個々のスクリードユニット34を昇降させるシステムを有するように図示されている。これに代えて空圧制御または電動機などによる任意の電子制御を使用することができる。
【0011】
本発明は様々な異なる形態として具体化され得るが、本明細書においては本発明の特に好ましい実施態様を詳細に図示および説明がなされている。本開示は本発明の原理を例示するものであって、本発明を特定の図示された実施態様に限定することを意図するものではない。
【0012】
上記の開示は例示的なものであって、網羅的なものではない。本明細書の説明は、当業者に多くの改変および代替を示唆するであろう。これらすべての改変および代替は、請求の範囲に含まれるように意図されている。当業者であれば、本明細書に説明された具体的な実施態様と同等な他の等価物もまた、請求の範囲に含まれるように意図されている。
【0013】
以上で本発明の好ましい実施態様および代替の実施態様の説明を終了する。当業者であれば、本明細書に説明された具体的な実施態様と同等な他の等価物もまた、請求の範囲に含まれるように意図されていることを認識することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明における分割型スクリードの斜視図。
【図2】コンクリートに対して低位に位置するセグメントを示す、分割型スクリードの側面図。
【図3】下降したセグメントを有するスクリードの正面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板および対向する側板を有する長尺状の型枠上にコンクリートパネルを打設するための機械であって、
型枠の上方に位置する枠、および複数のスクリードユニットを有する分割型スクリードと、夫々のスクリードユニットは下部スクリードプレートを有することとを備え、
スクリードユニットは鉛直方向のみに移動するための枠に取り付けられ、下部スクリードプレートは、最下点にあるときに、一体化されたスクリード線をなして型枠上のコンクリートに接触するとともにスクリードを行う機械。
【請求項2】
各スクリードユニットはスクリードユニットを昇降させるための昇降機構を備え、すべてのスクリードユニットを全体的または選択的に昇降させることができる請求項1に記載の機械。
【請求項3】
昇降機構は油圧により操作され、各スクリードユニットは自身に取り付けられたピストンを駆動する油圧シリンダからなる油圧機構を備え、スクリードユニットが枠に対して上下動できる請求項2に記載の機械。
【請求項4】
型枠上のコンクリートをスクリードする分割型コンクリートスクリードであって、分割型コンクリートスクリードは複数のスクリードユニットが摺動可能に装着された長尺状の枠を有し、各スクリードユニットは下部スクリードプレートを有し、スクリードユニットはすべてのスクリードプレートが単一かつ連続的なスクリード線を形成するべく整列されるように枠に装着され、各スクリードユニットは枠に対して最下点と最高点との間において可動である分割型コンクリートスクリード。
【請求項5】
各スクリードユニットは、油圧シリンダおよびスクリードユニットに取り付けられたピストンからなり、枠に対してスクリードユニットを垂直方向に移動することができる油圧機構により、最下点と最高点との間において可動である請求項4に記載の分割型コンクリートスクリード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−530843(P2007−530843A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506128(P2007−506128)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/029939
【国際公開番号】WO2005/103414
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(504237946)ファブコン インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FABCON,INC.
【Fターム(参考)】