説明

分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置

【課題】 半導体チップパッケージの製造工程で発生する静電気放電の不良を防止して半導体チップの信頼性を向上させて製造コストを低減する分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置を提供する。
【解決手段】 矩形状で厚みを有した胴体部112を設け、この胴体部112の上部面の中央部に接続されて真空を供給する真空印加管114を有し、胴体部112の下部から4つに分割された位置に突出して半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部118を備え、胴体部112の内部を介して真空印加管114に貫通させて更に吸着部118の各々にまで連通することにより、真空印加管114から供給される真空が胴体部112の内部を介して吸着部に供給されて半導体チップの絶縁保護膜と当接印加することで半導体チップを吸着する真空孔116とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置に関し、より詳しくは、半導体チップパッケージの製造工程においてウェーハから分離された半導体チップの上部面を真空で吸着して移送する分割型チップ吸着手段及びそれを備えるチップ接着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体チップパッケージの製造において、チップの接着(chip attaching)というのは、多数のチップを有するウェーハから一つのチップを分離(ダイシング)し、接着剤を使用してリードフレームに接着することを意味する。また、ウェーハから分離された個々のチップはダイともいい、チップ接着はダイボンディングともいう。
【0003】ウェーハから分離されたチップは、一旦、マウントステージ(mount stage又は、precise stage)に載置され、位置整列工程を経て、リードフレームに供給される。この際、ウェーハからチップをピックアップしてマウントステージまで移送し、更に、マウントステージからリードフレームまでチップを移送する手段として、コレット(collet)といわれるチップ吸着手段が使用されている。このコレットは、チップの上部面を真空で吸着する装置であり、ウェーハとマウントステージとの間、及びマウントステージとリードフレームとの間においてチップの移送を実行する。この各工程で移送するコレットを各々トランスファコレット(transfer collet)、ボンドコレット(bond collet)と称する。図6は、このような典型的なコレットを使用した従来のチップ吸着手段を示す斜視図である。
【0004】図6に示すように、従来のチップ吸着手段は、前述したコレット10を備えており、このコレット10の胴体12上部に接続した真空印加管14を介して真空を供給する。真空が供給されると、コレット10の胴体12中央部から真空印加管14まで貫通して設けた真空孔16を介して空気が吸入される。これにより半導体チップは、コレット胴体12の下部から突出した突出部18に接触して真空孔16を介して吸入される空気により吸着される。逆に、真空印加管14を介した空気吸入を中断し、空気又は窒素ガスを吹き込むと、突出部18に接触して吸着していた半導体チップはコレット10から離れる。
【0005】一方、半導体チップは、一連のチップ接着工程で、種々の要因により静電気放電(electrostatic discharge)の影響を受けることがある。すなわち、工程設備または作業者との接触や分離などのような種々の原因により、チップの内部に静電気が生ずることがある。また、外部から静電気が急激に流入された際、またはチップの内部に帯電された静電気が外部に急激に放電される際に、チップ回路の破壊及び製品の動作特性が低下するなどの不良が生ずる。特に、このような静電気による不良は、主にコレットと関連して生ずる。図7は、半導体チップの上部面を図示した平面図であり、図6に示したチップ吸着手段と半導体チップとの接触状態を説明するための図である。
【0006】図7に示すように、半導体チップ20の上部面は、回路を保護するための絶縁保護膜22で覆われている。しかしながら、チップパッド24(chip pad)及びヒューズ26(fuse)は、外部に露出しなければならない。言い換えると、チップパッド24及びヒューズ26は、絶縁保護膜24で覆われてはならない。それは、チップパッド24が外部との電気的接続通路であり、チップの接着後に金属線をボンディングする部位であるからである。
【0007】また、ヒューズ26は、当業界において広く知られているように、ウェーハを製造した後、ウェーハからチップを分離する前に、チップの電気的選別検査(electrical die sorting:EDS)工程でチップを修理するために必要なものである。この外部に露出されたチップパッド24及びヒューズ26は、アルミニウムなどの金属材から形成されているため、静電気放電が起こる場合、脆弱な部分である。
【0008】ここで、図8及び図9を参照して従来のチップ吸着手段、すなわちコレット10を用いた場合に発生する典型的な静電気放電状態を説明する。図8は、図6に示したチップ吸着手段のA−A線の断面を示しており、チップ吸着手段の使用により半導体チップに静電気放電が発生する状態を示す断面図である。また、図9は、図8に示したチップ吸着手段において半導体チップに静電気放電が発生する他の状態を示す断面図である。
【0009】図8に示すように、静電気放電が発生する第1の状態は、コレット10に吸着された半導体チップ20をマウントステージ30に載置する場合に発生する。コレット10の真空印加管14を介して空気又は窒素ガスを吹き込むと、半導体チップ20はコレット10から外れてマウントステージ30に載置する。この際、真空印加管14を介して吹き込む空気又は窒素ガスにより、静電気が発生しやすくなる。この静電気は、空気又は窒素ガスの流れにより、真空孔16内に露出したヒューズ26またはチップパッド24(図7参照)側に急激に流入する。そして、静電気は、マウントステージ30を介して接地の方向に急激に抜け出る。このような静電気放電による放電電流は、半導体チップ20の低抵抗領域を通過しつつ熱を発生させる。この熱により、ヒューズの辺りのゲートポリ(gatepoly)が融けたり、チップパッドが損傷するなどの回路破壊が生じてしまうという不具合があった。特に、コレット10が電気絶縁性材により形成され、マウントステージ30が電気伝導性材で形成されている場合、このような不良は一層頻繁に生じる。
【0010】次に、静電気放電が発生する第2の状態を説明する。静電気放電が発生する第2の状態は、電気伝導性のコレット10’を使用して、ウェーハ50からチップ20をピックアップする際に生ずる不良が挙げられる。図9に示すように、ウェーハ50を分離(ダイシング)した状態での半導体チップ20は、接着テープ40に取り付けられており、テーブル44上に載置されている。接着テープ40からチップ20を分離することは、コレット10’及びプランジャ42(plunger)が同時に動作することにより実行される。
【0011】すなわち、ウェーハ50の下部でプランジャ42がチップ20の下部を押し上げるとともに、コレット10’がチップ20の上部を吸着して上昇させることにより、半導体チップ20をテープ40から分離することができる。このチップ20がテープ40から分離する際に、チップ20に静電気が発生することがある。この静電気は、突出部18に近接するチップパッド24a及びヒューズ26a(図7参照)を介して電気伝導性を備えたコレット10’に放電することにより半導体チップ20に損傷を与える。静電気放電によるチップの損傷は、チップの集積度が高まり、且つ回路の配線幅が狭くなる程、一層深刻になる。
【0012】静電気のこのような課題を解決するための1つの方法は、電気的選別検査(EDS)工程において、ヒューズの使用(即ち、チップを修理するためのヒューズ切断)を終えた後、チップパッドを除くチップの上部面に絶縁保護膜を塗布することである。また、他の方法としては、チップの設計工程で各ヒューズにキャパシタを追加して接続することで静電気放電を抑制する方法である。
【0013】このように、従来のチップ吸着手段は、所定の原因により発生する静電気によって起こる不良を防止するため、絶縁保護膜の塗布、またはキャパシタを追加的に接続するなどの処理により放電を抑制することで半導体チップが損傷することを防止していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のチップ吸着手段では、静電気による半導体チップの損傷を防止するために前述した電気的選別検査(EDS)工程においてヒューズの使用後に絶縁保護膜を塗布する場合、電気的選別検査工程での清浄度を絶縁保護膜塗布工程の清浄度レベルにまで強化しなければならないため、静電気によるチップ損失のコストに比べて一層大きな清浄化コストを必要とする不具合があった。また、ヒューズに絶縁保護膜を塗布しても依然としてチップパッドは外部に露出しているという問題点が残ってしまう。また、従来のチップ吸着手段では、静電気による半導体チップの損傷を防止するためにキャパシタを追加する方法があるが、部品コストがかかり、製造コストを増加させるため、採用するには多少無理があるという不具合があった。
【0015】そこで、本発明はこのような課題を解決し、静電気放電による半導体チップの不良を防止する分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、半導体チップパッケージ製造の信頼性を高めて製造コストを低減する分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するために、本発明による分割型チップ吸着手段の実施の形態は、半導体チップを吸着して移送するためのものであり、上部面に絶縁保護膜を塗布して上部面に形成されたチップパッド及びヒューズを絶縁保護膜の間から露出させた半導体チップを設けて半導体チップを吸着して移送するチップ吸着手段において、胴体部と、この胴体部に接続されて真空を供給する真空印加管と、胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出して各々前記半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、胴体部の内部を介して真空印加管に貫通させるとともに吸着部の各々にも連通させて、真空印加管から供給される真空が胴体部の内部を介して吸着部の各々に供給されて、半導体チップの絶縁保護膜と接触することで半導体チップを吸着する真空孔とを設ける。特に、半導体チップのチップパッド及びヒューズを半導体チップの上部面の中心線上に沿って十字状に形成し、絶縁保護膜は十字状のチップパッド及びヒューズの外側に露出するように4つに分割するとともに、吸着手段の吸着部は4分割した絶縁保護膜に対応して4つに分割した位置に各々突出させて形成することが好ましい。
【0017】また、本発明によるチップ接着装置の実施の形態は、分割型チップ吸着手段を含むものであり、上部面に塗布した絶縁保護膜の間から露出するチップパッド及びヒューズを形成した半導体チップをリードフレームに接着するチップ接着装置において、ウェーハをダイシングした状態の半導体チップを吸着して移送する第1チップ吸着手段と、この第1チップ吸着手段により移送した半導体チップの位置を整列するマウントステージと、このマウントステージから半導体チップを吸着してリードフレームの上部に移送した後に半導体チップをリードフレームに接着する第2チップ吸着手段とを備える。特に、第1チップ吸着手段及び上記第2チップ吸着手段には、胴体部と、この胴体部に接続されて真空を供給する真空印加管と、胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出して各々半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、胴体部の内部を介して真空印加管に貫通させるとともに吸着部の各々にも連通させて、真空印加管から供給される真空が胴体部の内部を介して吸着部の各々に供給されて、半導体チップの絶縁保護膜と接触することで半導体チップを吸着する真空孔とを設ける。
【0018】また、本発明によるチップ接着装置の他の実施の形態は、上部面に塗布した絶縁保護膜の間から露出するチップパッド及びヒューズを形成した半導体チップをリードフレームに接着するチップ接着装置において、ウェーハをダイシングした状態の半導体チップを吸着して移送するチップ吸着手段と、このチップ吸着手段により移送した半導体チップの位置を整列して半導体チップをリードフレームの下部に移送してリードフレームに接着するマウントステージとを備え、チップ吸着手段は、胴体部と、この胴体部に接続されて真空を供給する真空印加管と、胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出して各々半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、胴体部の内部を介して真空印加管に貫通させるとともに吸着部の各々にも連通させて、真空印加管から供給される真空が胴体部の内部を介して吸着部の各々に供給されて、半導体チップの絶縁保護膜と接触することで半導体チップを吸着する真空孔とを設ける。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、添付図面を参照して本発明による分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明による分割型チップ吸着手段110の実施の形態を示す斜視図である。また、図2は図1に示したチップ吸着手段110の部分断面図である。
【0020】図1及び図2を参照すると、本発明によるチップ吸着手段110は、胴体部112と、胴体部112の上部に接続した真空印加管114と、胴体部112の下部から突出して半導体チップ20(図3参照)の上部面に直接接触して吸着する吸着部118とを備えている。また、本発明によるチップ吸着手段110は、胴体部112の下部に少なくとも2つ以上の吸着部118を備えることが好ましく、図1に示したように、例えば、4つに分割型成された吸着部118を備えているので分割型チップ吸着手段と称している。この各々の吸着部118には、胴体部112の内部を介して真空印加管114に連通し、且つ、吸着部118の下部面まで延長した真空孔116が形成されている。図3は、図1に示したチップ吸着手段と半導体チップの上部面との接触関係を説明するための図である。
【0021】図3に示すように、分割された吸着部118を備えたチップ吸着手段110は、半導体チップ20の上部面を吸着して把持する際、絶縁保護膜22を塗布した部位を吸着するため、静電気放電による問題を解決することができる。言い換えると、半導体チップ20と吸着部118とが接触する接触部位は、半導体チップ20に絶縁保護膜22を塗布した部位のみに限られるため、従来技術とは異なり、真空印加管114(図2参照)を介して流入する静電気が、半導体チップ20のヒューズ26またはチップパッド24から放電することを防止することができる。同時に、このような構造は、半導体チップ20に生じた静電気がチップ吸着手段110を介して放電する現象も防止することができる。
【0022】特に、このようなチップ吸着手段110は、吸着部118が分割されて半導体チップ20の絶縁保護膜22を塗布した部位のみに接触して吸着することで、チップ吸着手段110が電気伝導性材、或いは電気絶縁性材のいずれかであっても影響を及ぼすことがないという長所がある。
【0023】次に、図4及び図5を参照して前述した本発明の分割型チップ吸着手段を使用したチップ接着装置の実施の形態を詳細に説明する。図4は、本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置の実施の形態を示す概略図である。また、図5は、本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置の他の実施の形態を示す概略図である。
【0024】図4に示すように、本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置100は、ウェーハ50から分離された半導体チップ20を吸着してマウントステージ120に移送する第1チップ吸着手段110と、マウントステージ120から半導体チップ20を吸着してリードフレーム60の上部に移送する第2チップ吸着手段130とを備えている。
【0025】マウントステージ120は、半導体チップ20をリードフレーム60に接着する前、半導体チップ20の位置を正確に整列するためのステージである。このマウントステージ120は、第1チップ吸着手段110によりウェーハ50から移送された半導体チップ20を上部面124に載置した際に、カメラ122により半導体チップ20の正確な位置を感知できるように設けてある。また、マウントステージ120は、カメラ122による感知結果を受信して前後左右、又は回転などの動作をすることにより、半導体チップ20の位置を正確に補正して整列できるように設けてある。
【0026】また、第2チップ吸着手段130は、半導体チップ20をリードフレーム60に供給するだけでなく、半導体チップ20に圧力を加えて、半導体チップ20とリードフレーム60とを接着させる。また、リードフレーム60の下部には、半導体チップ20を接着する際に、リードフレーム60の下部を支えるボンディングステージ140が位置している。このボンディングステージ140は、熱を発生させることにより、半導体チップ20の接着をより円滑に実行できるように設けてある。
【0027】このように形成された本発明によるチップ吸着手段110,130は、前述した図1及び図2に示したチップ吸着手段と同一のものであり、重複する説明は省略する。また、前述したチップ接着装置において、チップ吸着手段の動作を補助する周辺要素、例えば、トランスファアーム、真空ポンプ、モーターなどの装置は、種々の装置が開発されて一般的に広く知られた公知の事項であるため、ここでは説明を省略する。
【0028】また、マウントステージ120が電気伝導性材である場合、半導体チップ20に残存する静電気は、マウントステージ120側に放電する可能性がある。そこでマウントステージ120は、電気絶縁性材による形成、又は上部面124に電気絶縁性物質を塗布するなどの処理を施すことで半導体チップ20の内部に残存する静電気がマウントステージ120に放電することを防止できる。
【0029】一方、図5に示すように、本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置の他の実施の形態は、半導体チップ20がリードフレーム70の下部に接着される場合に用いられている。この場合、図4に示したチップ接着装置とは異なって、マウントステージ220が直接リードフレーム70の下部に移動して、半導体チップ20をリードフレーム70に接着させる。従って、図4に示した第2チップ吸着手段130及びボンディングステージ140は不要になる。しかし反面、このようなチップ接着装置の他の実施の形態には、リードフレーム70の上部に位置させたボンディングヘッド230を必要とする。このボンディングヘッド230は、リードフレーム70の上部に圧力を加えてチップを接着することを補助する役割をしている。
【0030】このように形成されたチップ接着装置200においても、ウェーハ50から半導体チップ20を分離して、マウントステージ220まで移送する役割は、分割型チップ吸着手段210が実行する。この分割型チップ吸着手段210の構成及び動作は、前述したように図1及び図2に示したチップ吸着手段と同一のものであり、それに対する詳細な説明は重複するため省略する。また、マウントステージ220は、図4に示したマウントステージと同様に静電気放電を防止するため、電気絶縁性材による形成、又は電気絶縁性物質を上部面に塗布するなどの処理を施すことにより放電を防止できる。
【0031】以上、本発明によってなされた本発明の分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置の実施の形態を詳細に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、吸着部118を4つに分割して形成した分割型チップ吸着手段の実施の形態を説明したが、これに限定されるものではなく、吸着部を増やして吸着力を強化してもよい。
【0032】
【発明の効果】このように、本発明による分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置によれば、複数個に分割された吸着部を含むチップ吸着手段が半導体チップを吸着して移送する際、吸着部が半導体チップの上部面に塗布した絶縁保護層のみに接触して吸着しているため、静電気の放電に係る半導体チップの不良を未然に防ぐことができる。また、このように複数個に分割した吸着部を備えるチップ吸着手段の構造は、従来技術のチップ吸着手段の構造を改造することで容易に実現でき、この改造によるコスト負担も少ないため、従来技術のようにヒューズに絶縁保護膜を塗布、またはキャパシタを追加するなどの静電気不良防止方法に比べて、一層、コストを低減することができる。さらに、本発明の分割型チップ吸着手段及びそれを備えたチップ接着装置によると、チップ吸着手段をより半導体チップの吸着に好適な構造にできるとともに、マウントステージの材質も改善されるため、静電気放電による不具合を根本的に防止することができる。これにより、半導体チップパッケージ製造の信頼性を向上させ、製造コストを著しく削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分割型チップ吸着手段の実施の形態を示す斜視図。
【図2】図1に示したチップ吸着手段の部分断面図。
【図3】図1に示したチップ吸着手段と半導体チップの上部面との接触関係を説明するための図。
【図4】本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置の実施の形態を示す概略図。
【図5】本発明による分割型チップ吸着手段を備えたチップ接着装置の他の実施の形態を示す概略図。
【図6】従来のチップ吸着手段を示す斜視図。
【図7】図6に示したチップ吸着手段と半導体チップとの接触状態を説明する図。
【図8】図6に示したチップ吸着手段のA−A線の断面を示しており、チップ吸着手段の使用により半導体チップに静電気放電が発生する状態を示す断面図。
【図9】図8に示したチップ吸着手段において半導体チップに静電気放電が発生する他の状態を示す断面図。
【符号の説明】
20 半導体チップ
22 絶縁保護膜
24 チップパッド
26 ヒューズ
50 ウェーハ
60 リードフレーム
100 チップ接着装置
110,130 チップ吸着手段
114 真空印加管
116 真空孔
118 吸着部
120 マウントステージ
140 ボンディングステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部面に絶縁保護膜を塗布して前記上部面に形成されたチップパッド及びヒューズを前記絶縁保護膜の間から露出させた半導体チップを設け、この半導体チップを吸着して移送するためのチップ吸着手段において、胴体部と、前記胴体部に接続され、真空を供給する真空印加管と、前記胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出し、各々前記半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、前記胴体部の内部を介して前記真空印加管に貫通させるとともに前記吸着部の各々にも連通させて、前記真空印加管から供給される真空が前記胴体部の内部を介して前記吸着部の各々に供給されて、前記半導体チップの絶縁保護膜と接触することで前記半導体チップを吸着する真空孔とを設けたことを特徴とする分割型チップ吸着手段。
【請求項2】 前記半導体チップのチップパッド及びヒューズを前記半導体チップの上部面の中心線上に沿って十字状に形成し、前記絶縁保護膜は前記十字状のチップパッド及びヒューズの外側に露出するように4つに分割するとともに、前記吸着手段の吸着部は前記4分割した絶縁保護膜に対応して4つに分割した位置に各々形成していることを特徴とする請求項1に記載の分割型チップ吸着手段。
【請求項3】 上部面に塗布した絶縁保護膜の間から露出するチップパッド及びヒューズを形成した半導体チップを、リードフレームに接着するチップ接着装置において、ウェーハをダイシングした状態の前記半導体チップを吸着して移送する第1チップ吸着手段と、前記第1チップ吸着手段により移送した前記半導体チップの位置を整列するマウントステージと、前記マウントステージから前記半導体チップを吸着して前記リードフレームの上部に移送した後、前記半導体チップを前記リードフレームに接着する第2チップ吸着手段とを備え、前記第1チップ吸着手段及び上記第2チップ吸着手段は、胴体部と、この胴体部に接続されて真空を供給する真空印加管と、前記胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出して各々前記半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、前記胴体部の内部を介して前記真空印加管に貫通させるとともに前記吸着部の各々にも連通させて、前記真空印加管から供給される真空が前記胴体部の内部を介して前記吸着部の各々に供給されて、前記半導体チップの絶縁保護膜と接触することで前記半導体チップを吸着する真空孔とを設けたことを特徴とするチップ接着装置。
【請求項4】 前記第1チップ吸着手段及び第2チップ吸着手段の吸着部は、各々4つに分割させて設けたことを特徴とする請求項3に記載のチップ接着装置。
【請求項5】 前記マウントステージは、電気絶縁性材からなることを特徴とする請求項3に記載のチップ接着装置。
【請求項6】 前記マウントステージは、電気絶縁性物質を塗布することで形成される前記上部面を設けたことを特徴とする請求項3に記載のチップ接着装置。
【請求項7】 前記チップ接着装置にはボンディングステージを更に備え、このボンディングステージは前記リードフレームの下部に位置させて、前記第2チップ吸着手段によりチップを接着する際に前記リードフレームの下部を支えるように設けたことを特徴とする請求項3に記載のチップ接着装置。
【請求項8】 上部面に塗布した絶縁保護膜の間から露出するチップパッド及びヒューズを形成した半導体チップを、リードフレームに接着するチップ接着装置において、ウェーハをダイシングした状態の前記半導体チップを吸着して移送するチップ吸着手段と、前記チップ吸着手段により移送した前記半導体チップの位置を整列して、前記半導体チップを前記リードフレームの下部に移送して前記リードフレームに接着するマウントステージとを備え、前記チップ吸着手段は、胴体部と、この胴体部に接続されて真空を供給する真空印加管と、前記胴体部の下部から少なくとも2つ以上突出して各々前記半導体チップの絶縁保護膜に接触して吸着する吸着部と、前記胴体部の内部を介して前記真空印加管に貫通させるとともに前記吸着部の各々にも連通させて、前記真空印加管から供給される真空が前記胴体部の内部を介して前記吸着部の各々に供給されて、前記半導体チップの絶縁保護膜と接触することで前記半導体チップを吸着する真空孔とを設けたことを特徴とするチップ接着装置。
【請求項9】 前記チップ吸着手段の吸着部は、4つに分割させて設けたことを特徴とする請求項8に記載のチップ接着装置。
【請求項10】 前記マウントステージは、電気絶縁性材からなることを特徴とする請求項8に記載のチップ接着装置。
【請求項11】 前記マウントステージは、電気絶縁性物質を塗布することで形成される前記上部面を設けたことを特徴とする請求項8に記載のチップ接着装置。
【請求項12】 前記チップ接着装置にはボンディングヘッドを更に備え、このボンディングヘッドは前記マウントステージでチップを接着する際に、前記リードフレームの上部を加圧するように設けたことを特徴とする請求項8に記載のチップ接着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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