説明

分取液体クロマトグラフ装置及び該装置を用いた分取精製方法

【課題】試料液に含まれる目的成分を抽出し、これを同量ずつ小分けにした粉体を取得できるようにする。
【解決手段】ピーク検出部12は検出器5による検出信号に基づいて作成されたクロマトグラム上で目的成分のピークの開始点を検出し、これにより制御部14は溶出液がトラップカラム7aに流れるようにバルブ6を切り替える。ピーク面積演算処理部13は時間経過に伴い目的成分のピークの面積を計算し、その面積が閾値を超えると制御部14は溶出液が次のトラップカラム7bに流れるようにバルブ6を切り替える。こうして1つのピークの中で各面積が同一になるようにトラップカラム7a〜7dを順次切り替え、トラップカラム7a〜7dに溶出液中の目的成分を捕集させる。その後、トラップカラムから目的成分を溶出させて溶媒を蒸発させることにより、目的成分の粉体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフのカラムで分離された成分を複数のトラップカラムに捕集する分取液体クロマトグラフ装置、及び該装置を用いた分取精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製薬分野などにおいては、化学合成により得られた各種の化合物をライブラリとして保管したり或いは詳細に分析したりするためのサンプルを収集するために、液体クロマトグラフを利用した分取精製装置が使用されている。こうした分取精製装置として、従来、特許文献1、特許文献2などに記載の装置が知られている。
【0003】
これら従来の装置では、試料溶液中の目的成分(化合物)を液体クロマトグラフにより時間的に分離することにより目的成分毎に別のトラップカラムに導入して一旦捕集する。その後に各トラップカラムに溶媒を流して該カラム内に捕集していた成分を短時間で溶出させることで、目的成分を高い濃度で含有する溶液を容器に回収する。こうして分取した各溶液について蒸発・乾固処理を行って溶媒を除去し、目的成分を固形物として回収する。こうした蒸発・乾固処理は、回収した溶液を加熱したり、真空遠心分離したりするなどといった方法により行われるのが一般的である。
【0004】
こうした分取精製を行う際に、試料溶液中に比較的多量に含まれる成分については、まとまった固形物としてではなく、高い精度で等量に小分けした状態で固形物を回収したいという要望がある。こうした要望に応えるためには、例えば、目的成分を含む溶出液を分取する際に、溶出液を等量ずつ分取するのではなく、含まれる目的成分の量が等量になるように溶出液の量自体を調整して分取を行う必要がある。
【0005】
分取LC装置において、複数の容器に分取する溶出液中の目的成分の量を均一にすることを意図したものとして、特許文献3に記載の装置が知られている。この従来の分取装置では、クロマトグラムに現れるピークの高さに基づいて、ピーク高さが高いほど容器に分取される溶出液の容量が少なくなるように分取制御を実行している。このようにピーク高さに基づいて分取する溶出液の容量を制御する構成では、ピーク波形形状が比較的きれいであればよいが、ピーク波形形状がきれいでない場合、例えばピークトップの前方でカーブが単調増加でなく、ピークトップの後方でカーブが単調増加でないような場合、分取された溶出液中の目的成分の量のばらつきが大きくなり易い。
【0006】
また、特許文献3に記載の分取装置のように試験管などの容器に分取を行う場合、試料に含まれる目的成分の濃度が低いと、多量の溶出液を容器に採取する必要があり、容器の容量を超えて溶出液が溢れ出てしまうおそれがある。
【0007】
【特許文献1】特開平2−122260号公報
【特許文献2】特開2003−149217号公報
【特許文献3】特許第3864876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その第1の目的は、ピーク波形形状に拘わらす従来よりも高い精度で均一量の目的成分を分取することができ、且つ成分濃度が低い場合であっても溶出液の溢れ等の問題が生じることのない分取液体クロマトグラフ装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、試料液中の目的成分を高い精度で等量に小分けして固形物として回収することができる分取精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明は、試料中の成分を分離するカラム及び該カラムからの溶出液中の成分を検出する検出器を含む液体クロマトグラフと、前記溶出液中の成分を捕集するための複数のトラップカラムと、前記溶出液を前記複数のトラップカラムの1つに選択的に流すように流路を切り替える流路切替え手段と、を具備する分取液体クロマトグラフ装置において、
a)試料のクロマトグラフ分析実行中に前記検出器による検出信号に基づいてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)前記クロマトグラム上に出現する目的成分のピークに対し、後記制御手段による流路切替えの時点を起点とするピーク面積をリアルタイムで計算するピーク面積算出手段と、
c)前記ピーク面積算出手段により得られる面積値が所定値に達する毎に、前記溶出液を流すトラップカラムを切り替えるように前記流路切替え手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0010】
また本発明に係る分取液体クロマトグラフ装置では、トラップカラムに捕集したい目的成分の量を設定する入力設定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記入力設定手段により設定された量に応じて、前記ピーク面積算出手段により得られる面積値を判定する所定値を決定する構成とすることが好ましい。
【0011】
また本発明に係る分取精製方法は、上述した本発明に係る分取液体クロマトグラフ装置を用いた分取精製方法であって、
該分取液体クロマトグラフ装置により複数のトラップカラムにそれぞれ目的成分を捕集させる分取行程と、
目的成分がそれぞれ捕集された複数のトラップカラムに溶媒を供給して、捕集されている目的成分を溶出させる溶出行程と、
複数のトラップカラムからの溶出液中の溶媒を蒸発させ、それぞれ固形物の目的成分を回収する回収行程と、
を順次実行することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る分取液体クロマトグラフ装置では、目的成分のピーク高さではなく、ピーク面積算出手段により算出されるピーク面積に基づいて、複数のトラップカラムへの溶出液の供給が制御される。このピーク面積は溶出液中に含まれる目的成分の量を正確に反映している。したがって、本発明に係る分取液体クロマトグラフ装置によれば、複数のトラップカラムにそれぞれ捕集される目的成分の量を高い精度でもって揃えることができる。
【0013】
また、トラップカラムに溶出液が供給されると、溶出液中の目的成分がトラップカラム内の例えば充填剤に捕集され、目的成分が除去された溶出液はトラップカラムを通過して排出される。したがって、1本のトラップカラムに供給される溶出液の量が多い(通常、溶出液の供給流量は一定であるので供給時間が長い)場合でも、容器に採取する場合とは異なり、溶出液が溢れ出るという問題は起こらない。したがって、本発明に係る分取液体クロマトグラフ装置によれば、試料中の目的成分の濃度の高低に拘わらず、正確に意図する量の目的成分を各トラップカラムに捕集することができる。
【0014】
また本発明に係る分取精製方法によれば、等量の固形状の目的成分を簡便に得ることができるので、例えば特定の成分を一定量ずつ含有する医薬品や試薬などの作製が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例である分取液体クロマトグラフ(LC)装置及び該装置を用いた分取精製方法について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
まず、本実施例の分取LC装置を利用した目的成分の分取精製の手順について、図4のフローチャートに従って説明する。
【0017】
まず最初の工程として、目的成分のほかに不純物などを含む試料をLCにより成分分離し、且つ目的成分を規定量ずつ分割して異なるトラップカラムに捕集する(ステップS20)。このような目的成分の分取を行うために、後述する分取LC装置が利用される。次の工程として、目的成分が捕集されたトラップカラムに溶媒を流し、目的成分を溶出させる(ステップS21)。このとき溶媒として高い溶離能を有するものを使用することで、短時間で、つまり少ない量の溶媒で、トラップカラムに捕集されている目的成分全てを溶出させることができる。
【0018】
それから、回収した溶出液を加熱することで溶媒の蒸発を促し、目的成分を乾固して粉体状の目的成分を回収する(ステップS22)。溶出液中の目的成分濃度が高いほど溶媒の蒸発に要する時間が短くて済み、作業の効率化が図れる。ステップS20で複数のトラップカラムにそれぞれ規定量の目的成分を捕集させるようにすることにより、ステップS22において、規定量ずつに小分けされた目的成分を得ることができる。
【0019】
図1は本実施例の分取LC装置の概略構成図である。この分取LC装置において、移動相容器1に貯留されている移動相は送液ポンプ2により吸引され、一定流量でインジェクタ3を介して分離カラム4に流される。インジェクタ3において移動相中に試料が注入されると、試料は移動相に乗って分離カラム4に導入され、分離カラム4を通過する間に試料に含まれる各種成分が時間方向に分離されて溶出する。例えば試料に目的成分と不純物成分とが含まれる場合、分離カラム4を通過する間に目的成分と不純物成分とが分離されて異なる保持時間でもって溶出液中に現れる。
【0020】
検出器5は例えば紫外可視分光光度計などであり、分離カラム4からの溶出液中に含まれる成分に応じた検出信号を出力する。検出器5を通過した溶出液はその全量(又は一部でもよい)が、流路切替バルブ6を経て複数本(この例では4本)のトラップカラム7a〜7dのいずれか又は排液流路8に流され、最終的に排出口9に至る。トラップカラム7a〜7dはそれぞれ目的成分を捕捉する捕集剤が充填されたものである。ここではトラップカラムは4本であるが、これに限定されるものではない。
【0021】
検出器5によるアナログ検出信号はA/D変換器16で所定のサンプリング時間ST間隔毎にデジタル値に変換され、処理・制御部10に入力される。処理・制御部10は後述するようなデータ処理を実行するとともに、その処理結果に基づいて流路切替バルブ6の切り替え動作を制御する。処理・制御部10は機能ブロックとして、クロマトグラム作成部11、ピーク検出部12、ピーク面積演算処理部13、バルブ切替制御部14、などを備える。この処理・制御部10はハードウエアとしては汎用のパーソナルコンピュータ(PC)を中心に構成することができ、このPCに搭載された専用の制御/処理用ソフトウエアが実行されることで、上記の各機能ブロックが具現化されるものとすることができる。また、処理・制御部10にはキーボードやマウス等のポインティングデバイスなどの操作部15が接続され、この操作部15から分取のための各種の条件などの設定が可能となっている。
【0022】
次に、本実施例による分取LC装置の特徴的な動作について、図2のフローチャート及び図3の波形図を参照して説明する。いま、ここでは、試料中に含まれる既知の1種類の目的成分を分取する場合を想定する。
【0023】
分析開始前に、まず担当者はトラップカラムに捕集する目的成分の分量、目的成分のおおよその保持時間、ピークの検出条件、などを分取条件として操作部15から入力する。一般に、ピーク検出方法としては、クロマトグラムの信号レベルが規定の閾値LEVを超えたときにピークであると判定する方法と、クロマトグラムのカーブの上向きの傾きが所定値を超えた場合にピークが出現したと判断し、該カーブの下向きの傾きが所定値を超えた状態から所定値以下になったときにピークが終了したと判断するという方法とがあり、いずれか1つの方法、又は両方法の併用によりピーク検出が実施される。ここでは、閾値LEVに対する信号レベルの単純な大小判定によってピーク検出を行うものとして説明するが、ピーク検出方法はこれに限るものではない。また、目的成分の保持時間が不明である場合には、予備的な分析等によりおおよその保持時間を調べておくとよい。
【0024】
処理・制御部10においてピーク検出部12は、設定されたピーク検出条件や保持時間などの情報を記憶する。また、ピーク面積演算処理部13は設定された成分分量に応じて後述する面積値の閾値ACthを定めこれを記憶する。前述のように送液ポンプ2により送出される移動相中にインジェクタ3から試料が注入され、分析が開始されると、ピーク面積演算処理部13は計算に用いる面積値ACをリセットする(ステップS1)。なお、分析開始時にバルブ切替制御部14は、検出器5を通過した溶出液が排液流路8に流れるように流路切替バルブ6を切り替えておく。
【0025】
分析開始とともに、クロマトグラム作成部11は検出器5から得られる検出信号に基づいて、クロマトグラムの作成を開始する(ステップS2)。これにより、図3(a)に示すようなクロマトグラムが時間経過に伴って得られる。ピーク検出部12はクロマトグラムの信号レベルLINを読み取り(ステップS3)、目的成分のピーク開始点であるか否かを判定する(ステップS4)。上述のようにピーク開始点の判断は信号レベルLINを閾値LEVと比較することにより行う。また、そのピークが目的成分のピークであるか否かは、設定されたおおよその保持時間に基づいて判断する。
【0026】
目的成分のピークの開始点でないと判定されると、ピーク検出部12は次に目的成分のピークの終了点であるか否かを判定する(ステップS5)。ピーク終了点の判断も信号レベルLINを閾値LEVと比較することにより行う。目的成分のピーク開始点・終了点のいずれでもないと判定されると、ピーク検出部12はピーク検出中、つまりピーク開始点からピーク終了点までの間の期間中であるか否かを判定する(ステップS6)。ステップS4〜S6のいずれもNoである場合には、目的成分のピークでない期間であるので、定められたサンプリング時間STだけ待って(ステップS13)、分析終了か否かを判定し(ステップS14)、分析終了でなければステップS2へと戻る。
【0027】
図3(a)に示すように、クロマトグラムにピークが出現しても、それが目的成分のピークでない、つまりは不純物成分のピークであると判断されれば、ステップS4〜S6からS13へと進む。したがって、検出器5を通過した溶出液は流路切替バルブ6を経て排液流路8へと流れ、排出口9から排出される。
【0028】
試料中の目的成分が分離カラム4から溶出し検出器5に到達すると、図3(a)、(b)に示すように、目的成分のピークが出現し始める。すると、ピーク検出部12において目的成分のピーク開始点であると判断され、バルブ切替制御部14は予め指定されたトラップカラム、例えば第1トラップカラム7aに溶出液が流れるように流路切替バルブ6を切り替える(ステップS7)。すると、溶出液がトラップカラム7aに流れ、溶出液中の目的成分がトラップカラム7a内の充填剤に捕集される。目的成分が除去された溶液が排出口9から排出される。
【0029】
ピーク開始点と判断された後、サンプリング時間STだけ待機してステップS2に戻ると、次にピーク検出部12はステップS6でピーク検出中であると判断する。すると、ピーク面積演算処理部13は、信号レベルLINにサンプリング時間STを乗じ、それをその直前の面積値ACに加算した値を計算して、この値を新たな面積値ACとする(ステップS9)。これは、面積値ACがリセットされた直近の時点からのピーク面積を計算することを意味する。次に、新たに求められた面積値ACが始めに定めた面積閾値ACthを超えたか否かを判定し(ステップS10)、超えていなければステップS13へと進む。したがって、面積値ACが面積閾値ACthを超えるまで、S2〜S6→S9、S10→S13、S14という処理を繰り返し、面積値ACが面積閾値ACthを超えると、ピーク面積演算処理部13は面積値ACをリセットする(ステップS11)。また、バルブ切替制御部14は溶出液を次のトラップカラムに流すように、例えば第1トラップカラム7aから第2トラップカラム7bに移行するように、流路切替バルブ6を切り替える(ステップS12)。
【0030】
上記のように溶出液が供給されるトラップカラムが切り替わった直後に、サンプリング時間STだけ待機してステップS2に戻ると、ピーク検出部12はステップS6でピーク検出中であると再び判断する。このときには面積値ACが直前にリセットされているため、ステップS9、S10、S13と進み、ステップS10で面積値ACが面積閾値ACthを超えると判断されるまで、ステップS2〜S6→S9、S10→S13、S14を繰り返す。そして、ピーク検出部12により目的成分のピーク終了点であると判断されると、ステップS5からS8へと進み、溶出液が排液流路8に流れるように流路切替バルブ6を切り替える。目的成分が1種類のみである場合には、目的成分が溶出し終えた後の任意の時点で分析を終了することができるが、目的成分が複数種であれば、さらにステップS2へと戻って上記と同様の処理・制御を繰り返せばよい。
【0031】
上記処理・制御により、1種類の目的成分のピークの検出中に、ピークの面積値ACが面積閾値ACthを超える毎に溶出液の供給先であるトラップカラムが切り替えられる。即ち、図3(b)に示すように、クロマトグラム上の目的成分のピークにおいて、a、b、cで示す同面積の範囲に相当する溶出液がそれぞれ第1〜第3トラップカラム7a〜7cに流され、その溶出液に含まれる目的成分が各トラップカラム7a〜7cの充填剤に捕集される。この面積は目的成分の量に対応するから、各トラップカラム7a〜7cには同量の目的成分が捕集されることになる。一方、ピーク終了点と判断された時点で溶出液が供給されていた第4トラップカラム7dには、トラップカラム7a〜7cに捕集された目的成分の量に達しない量の目的成分が捕集されている可能性がある。そこで、第4トラップカラム7dに捕集されている目的成分の量が不足している可能性を担当者に知らせるために、表示等による報知を行うようにするとよい。
【0032】
上記例では、3本のトラップカラム7a〜7cに同量の目的成分が捕集されるから、これらトラップカラムに対し上述したステップS21、S22の工程における目的成分の溶出及び溶媒の蒸発処理を実行することにより、同量の目的成分を小分けした状態で得ることができる。
【0033】
なお、トラップカラムは捕集可能な成分の最大量が決まっており、その最大量の成分がトラップカラム内に保持された以降に、該成分を含む溶出液が供給されても、該成分は捕集されることなくそのまま流出してしまう。こうした無駄をなくすには、分取条件として設定する、各トラップカラムに捕集する成分の量をトラップカラムの捕集可能最大量以内に制限するようにするとよい。
【0034】
このようにトラップカラムを利用して目的成分のみを選択的に捕集する装置は、試験管などの容器に目的成分を含む溶出液を分取する装置に比べて有利である。即ち、試料中の目的成分の濃度が低い場合、同じ量の成分を採取するためには多量の溶出液が必要である。溶出液を容器に分取する場合には、溶出液量が想定した量よりも多くなると、溶出液が容器から溢れ出るおそれがあり、その場合には規定量の成分を採取することができなくなる。これに対し、溶出液をトラップカラムに流して目的成分のみを捕集する場合には、トラップカラムで成分が除去された後の溶液は排出されてしまうので、溶出液量が多くても何ら問題はない。
【0035】
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例による分取LC装置の概略構成図。
【図2】本実施例の分取LCにおける分取のための処理・制御のフローチャート。
【図3】本実施例の分取LCにおける分取動作を説明するための波形図。
【図4】本実施例の分取LCを用いた目的成分の分取精製の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0037】
1…移動相容器
2…送液ポンプ
3…インジェクタ
4…分離カラム
5…検出器
6…流路切替バルブ
7a〜7d…トラップカラム
8…排液流路
9…排出口
10…処理・制御部
11…クロマトグラム作成部
12…ピーク検出部
13…ピーク面積演算処理部
14…バルブ切替制御部
15…操作部
16…A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の成分を分離するカラム及び該カラムからの溶出液中の成分を検出する検出器を含む液体クロマトグラフと、前記溶出液中の成分を捕集するための複数のトラップカラムと、前記溶出液を前記複数のトラップカラムの1つに選択的に流すように流路を切り替える流路切替え手段と、を具備する分取液体クロマトグラフ装置において、
a)試料のクロマトグラフ分析実行中に前記検出器による検出信号に基づいてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)前記クロマトグラム上に出現する目的成分のピークに対し、後記制御手段による流路切替えの時点を起点とするピーク面積をリアルタイムで計算するピーク面積算出手段と、
c)前記ピーク面積算出手段により得られる面積値が所定値に達する毎に、前記溶出液を流すトラップカラムを切り替えるように前記流路切替え手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする分取液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の分取液体クロマトグラフ装置であって、
トラップカラムに捕集したい目的成分の量を設定する入力設定手段をさらに備え、前記制御手段は、前記入力設定手段により設定された量に応じて、前記ピーク面積算出手段により得られる面積値を判定する所定値を決定することを特徴とする分取液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の分取液体クロマトグラフ装置を用いた分取精製方法であって、
該分取液体クロマトグラフ装置により複数のトラップカラムにそれぞれ目的成分を捕集させる分取行程と、
目的成分がそれぞれ捕集された複数のトラップカラムに溶媒を供給して、捕集されている目的成分を溶出させる溶出行程と、
複数のトラップカラムからの溶出液中の溶媒を蒸発させ、それぞれ固形物の目的成分を回収する回収行程と、
を順次実行することを特徴とする分取精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−8047(P2010−8047A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163995(P2008−163995)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)