説明

分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン含有製品

【課題】分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体を有効成分とする水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存する場合に、水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を抑制すること。
【解決手段】エチレンオキサイドガス滅菌処理を施した樹脂製容器に、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体を有効成分とする水性液剤を保存する。これにより、水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体またはその塩を含有する水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存した製品であって、滅菌処理をエチレンオキサイドガスで行うことにより水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を抑制することを特徴とするプロスタグランジン含有製品および同製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、水性液剤を保存する容器として、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレンなどの合成樹脂を成形した樹脂製容器が用いられている。ここで、点眼液のような水性液剤は、人体における特に鋭敏な器官である目に直接投与されるために、点眼時まで無菌状態を保つことが厳しく求められている。そのため、点眼液を保存する容器は、無菌状態であることが求められ、滅菌処理を行う必要がある。該容器の滅菌方法としては、ガンマ線滅菌、電子線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、過酸化水素水滅菌、高圧蒸気滅菌などが知られている。
【0003】
他方、プロスタグランジンは、生理活性を有する物質であり、多数のプロスタグランジン誘導体が研究開発されている。眼科用途に有用なプロスタグランジンとしては、特許文献1には、13,14−ジヒドロ−15−ケト−プロスタグランジン誘導体が、特許文献2には、13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノル−プロスタグランジンF2α誘導体が、特許文献3には、15−デオキシ−15−モノフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が、また、特許文献4には、15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が開示されている。プロスタグランジン誘導体の構造に関して、特許文献1および特許文献2は、分子内にフッ素原子を有しないプロスタグランジン誘導体が対象となっているのに対し、特許文献3および4には、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体が対象となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−108号公報
【特許文献2】特表平3−501025号公報
【特許文献3】特開平10−251225号公報
【特許文献4】特開平11−71344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、プロスタグランジン誘導体の保存安定性に関しては、分子内にフッ素原子を有しないプロスタグランジン誘導体である13,14−ジヒドロ−17−フェニル−18,19,20−トリノル−プロスタグランジンF2αイソプロピルエステル(ラタノプロスト)は、例えば、ガンマ線や電子線によって滅菌処理した樹脂製容器に保存してもラタノプロストの含有率が経時的に低下しないのに対し、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体ではガンマ線または電子線によって滅菌処理した樹脂製容器に保存するとその含有率が低下しやすいという特異性がある。
【0006】
従って、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体を含有する水性液剤を樹脂製容器に保存する場合、水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を抑制できる滅菌手段を見出すことは重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体を含有する水性液剤をエチレンオキサイド滅菌処理した樹脂製容器に保存すれば、水性液剤中の分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体の含有率の低下を顕著に抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体またはその塩を含有する水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存した製品であって、同容器の滅菌処理をエチレンオキサイドガスで行うことにより水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体またはその塩の含有率の低下を抑制することを特徴とするプロスタグランジン含有製品、
(2)水性液剤が点眼液である前記(1)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(3)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体が、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体またはその塩である前記(1)または(2)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(4)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が、15位にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体である前記(3)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(5)15位にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が、15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体である前記(4)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(6)15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステルである(5)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(7)樹脂製容器の材質がポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートである前記(1)または(2)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(8)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体が、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステルであり、樹脂製容器の材質がポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートである前記(1)または(2)に記載のプロスタグランジン含有製品、
(9)分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体またはその塩を含有する水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存した製品を製造するに当たり、容器の滅菌処理をエチレンオキサイドガスで行うことにより水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体またはその塩の含有率の低下を抑制することを特徴とするプロスタグランジン含有製品の製造方法、
(10)水性液剤が点眼液である前記(9)に記載の方法、
に関する。
【0009】
本発明におけるプロスタグランジン含有製品の有効成分である分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体(以下、本プロスタグランジン誘導体という)は、分子内にフッ素原子を含有したものであれば特に限定されないが、好ましくは分子内にフッ素原子を含有するプロスタグランジンF2α誘導体であり、より好ましくは、15位にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体であり、さらに好ましくは、15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体である。特に好ましい例として、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステル、またはそれらの塩が挙げられる。アルキルエステルの具体例としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、tert−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステルなどの低級アルキルエステルが挙げられる。
【0010】
エチレンオキサイドガス滅菌処理を施した樹脂製容器は、エチレンオキサイドガスで滅菌処理を行った樹脂製容器であれば、特に制限されない。
【0011】
エチレンオキサイドガス滅菌は、エチレンオキサイドガスを用いて滅菌処理する方法であれば特に制限されないが、例えば、次の手順で行われる。所定の温度、所定の湿度の下、滅菌するのに十分な時間、樹脂製容器をエチレンオキサイドガスに曝し、滅菌を行い、その後、エチレンオキサイドガスを除去するためにエアレーションを行えばよい。滅菌温度は、樹脂容器の特性に応じて適宜選択できるが、好ましくは30〜60℃である。また、相対湿度は20〜90%、好ましくは30〜80%である。
【0012】
樹脂製容器の材質としては、例えば、ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリスチレンなどが挙げられ、好ましくは、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられ、特に好ましくは、ポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマーなどが挙げられる。ここで、プロピレン−エチレンコポリマーとは、エチレン成分を含有するプロピレン重合体であれば特に制限されないが、好ましくは、エチレン成分を10モル%以下含有するプロピレン重合体である。
【0013】
本発明のプロスタグランジン含有製品では、本プロスタグランジン誘導体は容器内にて水に溶解した状態で存在することが望ましい。本プロスタグランジン誘導体の濃度は、水性液剤の用途等を考慮して適宜選択すればよい。例えば点眼液の場合は、点眼液中の本プロスタグランジン誘導体の濃度は、対象疾患や症状等に応じて適宜選択できるが、0.00005〜0.05%(W/V)が好ましい。
【0014】
特許請求の範囲および明細書全体を通して、本プロスタグランジン誘導体の含有率とは、プロスタグランジン含有製品の製造当初に水性液剤中に存在した本プロスタグランジン誘導体の濃度に対する、所定期間後に水性液剤中に存在する本プロスタグランジン誘導体の濃度の割合(%)をいい、例えば、本プロスタグランジン誘導体を水に溶解した場合、溶解させた本プロスタグランジン誘導体の濃度に対する、所定期間後に水溶液中に存在する本プロスタグランジン誘導体の濃度の割合(%)をいう。
【0015】
本発明のプロスタグランジン含有製品が点眼液であるときは、必要に応じて界面活性剤、抗酸化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤等を添加することができる。界面活性剤としては、例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ステアリン酸ポリオキシル40等を挙げることができる。抗酸化剤としては、エチレンジアミン四酢酸若しくはその塩、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。緩衝剤としては、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸、リン酸水素二ナトリウム、ε−アミノカプロン酸等が挙げられる。防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル等が挙げられる。本プロスタグランジン誘導体を含有する点眼液の調製方法は特別な手法や操作を要さず、汎用されている方法によって点眼液を調製することができる。点眼液のpHは3〜8、特に4〜7とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
後述する保存安定性試験の項で詳細に説明するが、本発明の水性液剤をエチレンオキサイド滅菌処理した樹脂製容器に本プロスタグランジン誘導体を保存すれば、ガンマ線滅菌および電子線滅菌のいずれかで処理した樹脂製容器に保存する場合よりも、水性液剤中の本プロスタグランジン誘導体の含有率の低下を顕著に抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、保存安定性試験を実施して、本発明を詳しく説明するが、これは本発明をよりよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
1 点眼液の調製
1−1 点眼液1の調製方法
本プロスタグランジン誘導体の代表例として、0.0005%(W/V)の16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2αイソプロピルエステル(以下、本化合物という)を使用した。非イオン性界面活性剤としてポリソルベート80を0.05%(W/V)用いて本化合物を精製水に溶解し、エチレンジアミン四酢酸(適量)、濃グリセリン(適量)ならびに塩化ベンザルコニウム(適量)などの点眼液に通常用いられる添加剤等を配合して、浸透圧が約1で、pHが約6の点眼液1を得た。
【0019】
1−2 点眼液2の調製方法
本化合物の代わりに、分子内にフッ素原子を有しないプロスタグランジン誘導体であるラタノプロストを使用して、1)点眼液1の調整方法と同様の操作により点眼液2を得た。
【0020】
2.樹脂製容器の製造
プロピレン−エチレンランダムコポリマー(エチレン成分を3%含有)をインジェクションブローにて成形加工して、5ml点眼樹脂製容器を得た。
【0021】
3.試験方法
実施例1
「2.樹脂製容器の製造」で得た樹脂製容器にエチレンオキサイドガス滅菌処理(エチレンオキサイド濃度20%(V/V)、温度40℃、相対湿度50%、3時間滅菌)を施した後、同容器に「1.点眼液の調製」で得た点眼液1を入れた。この点眼液入り容器について、温度40℃、相対湿度75%で保存開始前および30日間保存した後、高速液体クロマトグラフィー法にて容器内の本化合物の濃度を測定し、保存開始時の濃度を基準(100%)として本化合物の含有率を算出した。その結果を表1に示す。なお、表1中の値は3例の平均値である。
【0022】
比較例1
エチレンオキサイドガス滅菌処理をガンマ線滅菌処理(32kGy)に変えた点を除いて、実施例1と同様の操作で本化合物の含有率を算出した。
【0023】
比較例2
エチレンオキサイドガス滅菌処理を電子線滅菌処理(23kGy)に変えた点を除いて、実施例1と同様の操作で本化合物の含有率を算出した。
【0024】
比較例3
容器として滅菌未処理の容器を用いた点を除いて、実施例1と同様の操作で本化合物の含有率を算出した。
【0025】
比較例4
点眼液1を点眼液2に変えた点を除いて、実施例1と同様の操作でラタノプロストの含有率を算出した。
【0026】
比較例5
点眼液1を点眼液2に変えた点およびエチレンオキサイドガス滅菌処理をガンマ線滅菌処理(32kGy)に変えた点を除いて、実施例1と同様の操作でラタノプロストの含有率を算出した。
【0027】
比較例6
点眼液1を点眼液2に変えた点およびエチレンオキサイドガス滅菌処理を電子線滅菌処理(23kGy)に変えた点を除いて、実施例1と同様の操作でラタノプロストの含有率を算出した。
【0028】
比較例7
点眼液1を点眼液2に変えた点および容器として滅菌未処理の容器を用いた点を除いて、実施例1と同様の操作でラタノプロストの含有率を算出した。
【0029】
【表1】

【0030】
4.試験結果および考察
表1から明らかなように、エチレンオキサイドガス滅菌処理を行ったプロピレン−エチレンランダムコポリマー製容器に本化合物を含有する点眼液を保存した場合、ガンマ線滅菌処理、電子線滅菌処理を行った容器に保存した場合に比べて、一定期間経過後における点眼液中の本化合物の含有率が高かった。また、実施例1および比較例3から明らかなように、エチレンオキサイドガス滅菌処理を行った容器に本化合物を含有する点眼液を保存した場合は、滅菌処理を施さない場合と比べても、一定期間経過後における点眼液中の本化合物の含有率は同程度であった。よって、エチレンオキサイドガス滅菌処理を行った樹脂容器に本化合物を保存した場合、水性液剤中の本化合物の低下を抑制することができることが確認された。
【0031】
さらに、比較例4〜7から明らかなように、ガンマ線、電子線またはエチレンオキサイドガスでの滅菌処理を行った容器に、分子内にフッ素原子を有しないプロスタグランジン誘導体であるラタノプロストを含有する点眼液を保存しても、点眼液中のラタノプロストの含有率はいずれも低下せず、また、滅菌処理を施さない容器に保存した場合と比べても、点眼液中のラタノプロストの含有率は同程度であった。よって、ラタノプロストのような分子内にフッ素原子を有しないプロスタグランジン誘導体を含有する水性液剤は、どの滅菌処理を行った容器に保存しても安定であることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体またはその塩を含有する水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存した製品であって、同容器の滅菌処理をエチレンオキサイドガスで行うことにより水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体またはその塩の含有率の低下を抑制することを特徴とするプロスタグランジン含有製品。
【請求項2】
水性液剤が点眼液である請求項1に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項3】
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体が、分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体である請求項1または2に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項4】
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が、15位にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体である請求項3に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項5】
15位にフッ素原子を有するプロスタグランジンF2α誘導体が、15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体である請求項4に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項6】
15−デオキシ−15,15−ジフルオロプロスタグランジンF2α誘導体が、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステルである請求項5に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項7】
樹脂製容器の材質がポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートである請求項1または2に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項8】
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体が、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−(3−クロロフェノキシ)−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、16−フェノキシ−15−デオキシ−15,15−ジフルオロ−13,14−ジヒドロ−17,18,19,20−テトラノルプロスタグランジンF2α、もしくはそれらのアルキルエステルであり、樹脂製容器の材質がポリプロピレン、プロピレン−エチレンコポリマー、ポリエチレンまたはポリエチレンテレフタレートである請求項1または2に記載のプロスタグランジン含有製品。
【請求項9】
分子内にフッ素原子を有するプロスタグランジン誘導体またはその塩を含有する水性液剤を滅菌処理した樹脂製容器に保存した製品を製造するに当たり、容器の滅菌処理をエチレンオキサイドガスで行うことにより水性液剤中の該プロスタグランジン誘導体またはその塩の含有率の低下を抑制することを特徴とするプロスタグランジン含有製品の製造方法。
【請求項10】
水性液剤が点眼液である請求項9に記載の方法。

【公開番号】特開2011−63625(P2011−63625A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283026(P2010−283026)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【分割の表示】特願2005−355566(P2005−355566)の分割
【原出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【Fターム(参考)】