説明

分子的な撮像用の超音波造影剤

複数の金属のナノ粒子と共に基材の粒子を含む、新しいタイプの造影剤が、それと共に撮像する方法のみならず、記載されたものである。複数の金属のナノ粒子は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子の中にカプセル化される、及び/又は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子に付けられるが、それら基材の粒子の基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、界面活性剤、及び有機の液体、又はそれらの混合物からなる群より選択される。それら基材の粒子は、生体適合性の及び/又は生分解性のものであると共に、標的とされた可視化のための標的とする分子へ結合されることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子的な撮像のための新しいタイプの超音波造影剤(ultrasound contrast agent)(UCA)に、それと共に撮像する方法のみならず、関係する。
【背景技術】
【0002】
最近の15年で、ドップラー(Doppler)信号を向上させる、気体で充填されたマイクロバブル(microbubble)、及び、シェルでカプセル化された小滴のような、数多くの安全な且つ実用的な超音波造影剤(UCA)が、開発されてきた(Hall C.S.et al.(2000)J.Acoust.Soc.Am.108(6),3049−3057)(非特許文献1)。
【0003】
理想的には、超音波造影剤は、以下に続く特徴:
− 例.30分以上の間に標的とされた器官における検出を可能にする、血液における安定な且つ十分な寿命;
− それらが毛細血管を通過することを可能とするために、8ミクロン未満の粒子の大きさ;
− 非毒性のもの、又は、許容可能な毒性;
− 十分な反射の向上;
− 生産及び臨床的な使用の容易さ;
− 高度に特異的な標的とすることを可能にすること、
の可能な限り多数のものを有するべきである。
【0004】
その上、その超音波造影剤は、好ましくは、Philips Ultrasound Imaging Systemのような、既存の超音波撮像システムと共に適用可能なものであるべきである。
【0005】
磁気的な性質を備えた金属又は金属の酸化物を含む異なる粒子が、磁気共鳴画像法(magnetic resonance imaging)(MRI)用の造影剤としての使用のために開発されてきた。米国特許出願公開第2002/0136693号明細書(特許文献1)は、診断の目的のための試剤を記載するが、その試剤は、磁性の二重の金属の酸化物/水酸化物又は磁性の金属及び自由選択で錯生成剤を含む磁性の粒子を含有する。米国特許出願公開第2003/0082237号明細書(特許文献2)は、ナノ粒子を記載するが、それら粒子は、ブロックコポリペプチド又は単独重合体の重合体電解質によって、小胞の内側の層及び外側の層を有する球体へと構造化される。ナノ粒子の外側の層又は内側の層のいずれかは、金属又は金属の酸化物を含むことができるが、それら金属又は金属の酸化物は、字湯選択で、サイト選択性の医学的な撮像のために官能化される。
【0006】
金属のナノ粒子を、超音波造影剤として使用することができる。特に、標的とされた金属のナノ粒子は、より高い局所的な超音波造影剤の濃度に、このように増加させられた反射の向上に、帰着すると共にこのようにこれらの安定な試剤で分子の情報を得る性質を有する、それらの組織に特異的な性質のおかげで、関心のあるものである。標的とされてない金属のナノ粒子の超音波造影剤は、要求された組織に集積しないことになると共に、それらの濃度は、より低い周波数で検出可能であるためには十分に高いものではないことになる。より高い周波数を使用することによって、反射の向上における顕著な増加を、図2、3及び4に描いたように得ることができる。にもかかわらず、表1に示したような浸透の深さの限定の理由のために、高い周波数を、例.器官の研究のために、今までは、使用することができない。
【0007】
表1 超音波の周波数、分解能、及び浸透
【表1】

この表が、与えられた超音波の設備についての周波数の分解能及び浸透依存性の典型的な例を反映することに留意すること。その分解能及び浸透は、そのトランスデューサーの周波数に依存性のものである。しかし、同じ周波数の二つのトランスデューサーは、必ずしも常に、同じ分解能及び浸透を有するものではない。
【0008】
金属のナノ粒子の濃度を増加させることは、特に、超音波の放射が適度な浸透の深さを有する相対的に低い周波数で、超音波の反射率を向上させるであろう。国際公開第02/11771号パンフレット(特許文献3)及びBekeredjian et al.(2002),Ultrasound Med.&Biol.28(5),691−695(非特許文献2)は、超音波造影剤としての金で結び付けられた微小管の潜在的な使用を記載する。このような金で結び付けられた微小管は、ジュライの造影剤(マイクロバブル)よりも、造影の活性のより長い持続性を見せた。しかしながら、絶対的な強度は、一般には、より低いものであった。このように、局所的に高い濃度の金属のナノ粒子に至る、金属のナノ粒子を含む代替の化合物についての要望がある。
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0136693号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0082237号明細書
【特許文献3】国際公開第02/11771号パンフレット
【非特許文献1】Hall C.S.et al.(2000)J.Acoust.Soc.Am.108(6),3049−3057
【非特許文献2】Bekeredjian et al.(2002),Ultrasound Med.&Biol.28(5),691−695
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、分子的な撮像のための代替の超音波造影剤(ultrasound contrast agent)(UCA)を、それと共に撮像する方法のみならず、提供することである。本発明の利点は、局所的に高い濃度の金属のナノ粒子に至る化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一つの態様において、本発明は、医学的な診断及び撮像用の造影剤に関係するが、その造影剤は、複数の金属のナノ粒子を含むと共に、ここで、前記の複数の金属のナノ粒子は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子の中にカプセル化される、及び/又は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子に付けられると共に、それら基材の粒子の基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、界面活性剤、及び有機の液体、又は、それらの混合物からなる群より選択される。このような基材は、例えば、小胞のシェルであることができる。それら金属のナノ粒子は、ある一定の実施形態に従って、少なくとも35.10g/cms又は50.10g/cmsより上の音響のインピーダンスを有することができる。それら金属のナノ粒子は、ある一定の実施形態に従って、1nmと100nmとの間の、又は、1nmと50nmとの間の直径を有することができる。前記の金属のナノ粒子の金属は、ある一定の実施形態に従って、金、銀、白金、パラジウム、タングステン若しくはタンタル、レニウム、又はそれらの混合物のような、非磁性の金属であることができる。前記の金属のナノ粒子の金属は、ある一定の実施形態に従って、貴金属であることができる。それら造影剤のそれら基材の粒子は、具体的な用途に依存するが、1ナノメートルと10マイクロメートルとの間の、例.1マイクロメートルと8マイクロメートルとの間の、又は、25ナノメートルと250ナノメートルとの間の直径を有することができる。ある一定の実施形態に従って、前記の金属のナノ粒子は、前述した基材において少なくとも5%(体積/体積)の濃度で存在する。ある一定の実施形態に従って、一つ以上の標的とする分子を、前記の基材の粒子に、及び/又は、前記基材のナノ粒子の表面に、付けることができる。
【0011】
本発明は、さらに、超音波造影剤の製造のための、複数の金属のナノ粒子を含む、非タンパク質性の基材の粒子の使用に関係するが、ここで、前記の基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、及び有機の液体、又は、それらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0012】
本発明は、また、動物又は人間の患者についての情報を取得する、例.撮像する又は診断の方法に関係するが、その動物又は人間の患者には、本発明の造影剤が投与されてしまっていると共に、当該方法は、その動物又は人間の超音波撮像の検査を行うこと:を含む。
【0013】
本発明は、また、器官の単離された組織の試料を撮像する方法に関係するが、その方法は、前記の組織の試料又は器官へ本発明の造影剤を投与すること、及び、それの超音波撮像の検査を行うことを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を、特定の実施形態を参照して、及び、ある一定の図面を参照して、記載することにするが、本発明は、それらに限定されるものではなく、請求項によってのみ限定される。記載された図面は、単に概略的なものであると共に非限定的なものである。図面において、それら要素のいくつかの大きさは、誇張されることもあると共に例示の目的のために一定の尺度で描かれたものではない。単数の名詞を参照するとき、不定冠詞又は定冠詞、例.“ある”又は“その/それら”が、使用される場合、これは、何か他のことが具体的に述べられない限り、複数のその名詞を含む。
【0015】
さらには、本記載における及び請求項における用語、第一の、第二の、第三の、及び同様のものが、類似の要素の間で区別をするために、及び、逐次の又は経時的な順序を必ずしも記載するためにではなく、使用される。そのように使用された用語が、適切な状況の下で互換性のものであること、及び、ここに記載された本発明の実施形態が、ここに記載された又は例示されたものとは他の系列で動作の可能なものであることは、理解されることである。
【0016】
一つの態様において、本発明は、複数の金属のナノ粒子を含む、医学的な撮像又は診断用の造影剤において、それら複数の金属のナノ粒子は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子の中にカプセル化されるという点で特徴付けられた、造影剤に関係する。あるいは、又は加えて、それら複数の金属のナノ粒子は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子に付けられる。これらの粒子の基材の材料は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、界面活性剤、及び有機の液体、又は、それらの混合物からなる群より選択されたいずれのものでもあることができる。一つの実施形態において、その造影剤の基材は、小胞のシェルである。
【0017】
別の態様は、超音波造影剤の製造のための、複数の金属のナノ粒子を含む、非タンパク質性の基材の粒子の使用に関係するが、ここで、それら粒子の基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、及び有機の液体、界面活性化合物、又は、それらの混合物からなる群より選択される。
【0018】
本発明の別の態様は、人間又は動物の患者の撮像又は診断の方法に関係するが、その患者には、上に述べた非タンパク質性の基材の粒子を含む造影剤が、投与されてしまっていると共に、その方法は、その動物又は人間の超音波撮像の検査を行うことを含む。その方法は、その動物又は人間の患者への上に述べた非タンパク質性の基材の粒子を含む造影剤の投与を含むこともある。
【0019】
本発明の造影剤は、一つの基材の構成成分内に複数の金属のナノ粒子を含むことができるか、又は、それの基材の中に複数の金属のナノ粒子を含むことができる。本発明のある実施形態に従って、基材における金属の粒子の存在は、あまり好適な金属イオンの浸出を有するものではないか又は毒性の効果を有し得るであろう金属の使用を可能にする。
【0020】
さらには、本発明に従った基材の粒子を、細胞、細胞膜、細胞壁若しくは細胞体、例.ゴルジ(Golgi)体、組織、微生物、例.寄生体、又は、生体分子、例.タンパク質、DNA若しくはRNAに特異的な標的の試剤のような、特異的な標的の試剤を使用することで、標的とすることができるが、それら試剤の抗体又はそれらのフラグメントは、単に一つの例である。
【0021】
ある基材の粒子と関連した複数の金属のナノ粒子は、体の組織との強い音響のインピーダンスの差異のおかげで、音響の反射体であると共に、現行の商業的なUCA、例.マイクロバブルにわたって、安定なものであるという利点を有すると共に、現行の標的とされた造影剤と同じ方式で変更されることができる。
【0022】
本発明のクラスター化された金属のナノ粒子で、十分な反射の向上を、例.1MHzから20MHzの周波数で得ることができるが、それら周波数は、通常、器官又は組織の超音波撮像に使用される。
【0023】
さらには、本発明の基材の粒子を、その基材を治療薬で被覆することによって、又は、その基材の中にその治療薬をカプセル化することによって、薬物の送達に使用することができる。
【0024】
本発明の特定の実施形態は、好ましくは、35.10g/cmsより上の音響のインピーダンスを有する、又はいっそうより好ましくは、50.10g/cmsより上の音響のインピーダンスを有する、金属の粒子を含む複数の金属のナノ粒子を含む造影剤に関係する。本発明の特定の実施形態は、複数の金属のナノ粒子を含む造影剤に関係するが、ここで、その金属は、非磁性の金属である。それの例は、金、銀、白金、パラジウム、タングステン若しくはタンタル、レニウム、又はそれらの混合物である。さらなる実施形態に従って、それら基材の粒子におけるそれら金属の粒子は、貴金属である金属、又は、他の金属、例.金、銀、白金、パラジウム、タングステン若しくはタンタル、レニウム、との一つ以上の貴金属の混合物を含む。本発明のより特定の実施形態に従って、その基材の粒子におけるそれら金属のナノ粒子は、金で作られる。
【0025】
好ましくは、使用される金属は、良好な音響の(即ち、高い音響のインピーダンスを有する)反射体であると共に貴金属である。金及び白金は、これらの二つの特徴を有する。
【0026】
自由選択で、それら金属の粒子は、金属の酸化物を含むか又は安定な薄い酸化物の層を有する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、撮像又は診断の試剤としての、より詳しくは超音波撮像、例.標的とされた超音波造影撮像における超音波造影剤としての、本発明の複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子の使用に関係する。このように、本発明は、超音波造影撮像における使用のための、造影剤の生産における上述した特性の一つ以上のものを有する複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子の使用に関係する。これは、組織又はそれの部分の可視化のための複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子の使用を、細胞のマーカー、病原体、などのような、しかし、それらに限定されることはない、特異的な標的の検出におけるそれらの使用のみならず、含む。
【0028】
その上、本発明の特定の実施形態に従って、複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子を、また、組み合わせられた撮像の技術のために本発明の粒子の使用を可能にする他の撮像の手段を使用することで、検出することができる。
【0029】
本発明の別の態様は、動物又は人間の患者への本発明に従った造影剤の投与、及び、その動物又は人間の超音波撮像の検査を行うことを含む撮像又は診断の方法である。あるいは、本発明の別の態様に従って、その造影剤は、生体外の診断のために動物又は人間の組織へ投与される。
【0030】
本発明は、超音波造影剤の調製及び設計にのみならず、超音波造影剤における複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子の使用に、関係する。
【0031】
血流における造影剤としての使用のための基材の粒子は、好ましくは、10マイクロメートル未満の、例.8マイクロメートルの、特に約3マイクロメートルの、又は、約1マイクロメートルまで下がった、直径を有する。血管の壁を通じて浸透するための能力を有するべきである造影剤は、好ましくは、ナノメートルの範囲における直径を有する、例.本発明は、250nmと1nmとの間の、及び、より詳しくは、100nmと25nmとの間の、直径を備えた基材の粒子を提供する。25nmより下の直径を備えた基材の粒子は、体内における短い保持時間を有することになると共に、短い保持時間が重要である用途に適切なものである。本発明の一つの態様において、それら粒子は、好ましくは、十分な体の保持時間を有すると共に、超音波造影剤の標的とすることを可能にする、及び/又は、それらが、体によって、劣化させられる、及び/又は、排出される前に、その患者の超音波の検査を行う。本発明に従った基材の粒子における金属のナノ粒子は、1から100nmまでの間の、好ましくは50nm未満の、より詳しくは30nm以下の、直径を有する。それら金属の粒子の形状は、本発明に重大なもの又は限定と考慮されるものではない。いずれの規則的な(例.球状の、多角形の、など)又は不規則な形状は、採用可能なものである。その基材の粒子のいくつかの形状は、組織が標的とされたとき、より高い充填密度を可能にすることになる、例.伸張させられた粒子は、一般には、丸い球体よりも低い充填密度を有することになる。同様に、その基材における金属の粒子の大きさの分布は、いくつかの用途においてある一定の大きさの範囲が好都合のものであることもあるとはいえ、本発明に重大なもの又は限定と考慮されるものではない。溶液における核形成(即ち、化学的な合成)及び蒸気の凝結又は火炎若しくは噴霧の技術(Gutsch et al.(2002)KONA 20,24−34;Axelbaum(2001)Powder Metall.43(3),323−325)を含む、ナノ粒子を生産するための異なる方法が、記載されてきたが、しかし、レーザーアブレーション、動く液体における真空蒸着(vacuum evaporation on running liquids)(VERL)、及び、化学気相蒸着(chemical vapor deposition)(CVD)のより最近記載された技術もまた、適切なものである。加えて、又は、あるいは、適当な大きさにされたナノ粒子の分布を、濾過又は遠心分離によって得ることができる。この発明に有用な粒子の大きさまで固体を研削するためのいずれの従来の方法をも、用いることができる。
【0032】
本発明の複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子の重要な特性は、それらの音響的なインピーダンスであるが、それらインピーダンスは、それらを、超音波の試剤としての使用に適切なものにする。音響のインピーダンス(Z)は、ある媒体における密度(ρ)及び音のスピード(c)の積として定義される(Kinsler et al.,1982,Fundamentals of acoustics.3rd edition,John Wiley and sons,New York)。本発明の金属のナノ粒子の音響的なインピーダンスは、体の組織のものよりも顕著に高いものであるべきであるが、ほとんどの体の組織の音響的なインピーダンスは、1.58×10g/cmsの典型的な平均と共に1.3−1.7×10g/cmsの範囲内にある。
【0033】
本発明は、本発明の金属のナノ粒子が、少なくとも35×10g/cms、より詳しくは、少なくとも50×10g/cmsの音響的なインピーダンスを有することを提供する。最大限の音響のインピーダンスは、本発明の限定する因子ではなく、およそ100−120×10g/cmsであることが予見される。
【0034】
上に述べた範囲内の音響的なインピーダンスを備えた金属の例は、それらが、本発明の基材の中における組み込みに適当なものであるが、例.金、銀、白金、パラジウム、タングステン若しくはタンタル、レニウム、若しくはそれらの混合物、又は、白金及びイリジウムの合金のような、金属の合金である(選択された数の金属については、表2を参照のこと)。
【0035】
表2 密度(ρ)、速度(v)及び音響のインピーダンスZについての典型的な値
【表2】

それら金属のナノ粒子における使用のための金属は、好ましくは、化学的に安定な且つ非毒性のものである金属であると共に、適当な被覆物によって化学的に安定なものにされてきた。この点において特に関心のあるものは、安定性及び非毒性又は限定された毒性と適当な音響的なインピーダンスの特徴を組み合わせる金属である。それら金属の粒子が、その基材の中に埋め込まれるか又は組み込まれる他の出願において、高い音響のインピーダンスを備えた毒性の金属を、生体内の用途について使用することができる。一つの実施形態に従って、その金属は、貴金属である。本発明の特定の態様に従って、その金属は、非磁性のものである。
【0036】
本発明の複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子を、個々の標的とされた金属のナノ粒子の層についての代替物として使用することができる。それは、また、国際公開第02/11771号パンフレットのタンパク質−金属の凝集体についての代替物を与える。ここにおいて、粒子は、集められたタンパク質を金属の粒子又は金属の塩と接触させることによって、関連したものであった。得られるものである凝集した粒子は、不規則な形状及び大きさを有すると共に、それら金属の粒子の一様でない分布に至る。その結果として、低い密度の金属の粒子が、得られた。本発明は、その基材の粒子における明確に定められた大きさ、形状、並びに、制御された分布及び濃度を備えた金属の粒子の発生を可能にする。本発明の基材の粒子を使用することで、より高い密度の粒子を、達成することができると共に、その結果として、優れた反射が向上させられる。本発明の基材の粒子は、その造影剤の改善された且つ調節可能な化学的な且つ生物学的な安定性を提供する。加えて、本発明の基材の粒子は、生産することが、単純なものであると共に、増加させられた過程の窓を許容する。さらには、本発明の基材の粒子を、ある一定の化学的な又は生物学的な群、例.ホルモンの類似体、受容体についてのペプチドを模倣する配位子で効率的に変更することができるが、そのことは、器官、組織、又は細胞の特異的な標的とすることを許容する。
【0037】
25nmの半径を備えた金属のナノ粒子の単層で0.5マイクロメートルの半径を備えた円形の表面(約3.14平方メートル)を覆うためには、25nmの半径を備えた約360個のナノ粒子は、前記の円形の表面を覆うために、必要とされる。[円形の面積/ナノ粒子の面積=π500/π25=785398/1963=400、円形の面積/正方形のナノ粒子の面積=π500/π50=785398/2500=314、六方充填:(円形の面積・六方充填密度)/ナノ粒子の面積=(π500・0.9069)/π25=(785398・0.9069)/1963=362]。15nmの半径を備えた金属のナノ粒子を使用するとき、約1000個の粒子が、前記の円形の表面を覆うために、必要とされるであろう。本発明に従って、それら金属のナノ粒子が、0.5マイクロメートルの半径を備えた基材の粒子の中でクラスター化されるとき、上に述べた例の約360個の金属のナノ粒子(r=25nm)は、その体積の約5%を占有する。上に述べた例の約1000個の粒子(r=15nm)は、その体積の約3%を占有する。
【0038】
基材の粒子における金属のナノ粒子の比を増加させることによって、上に述べた単層と比較すると、表面単位当たりの金属のナノ粒子のより高い密度を、得ることができる。このように、本発明の一つの実施形態は、金属のナノ粒子の少なくとも2%を、少なくとも5%を、少なくとも10%を、少なくとも20%を、又は、少なくとも50%(体積/体積)さえも、含む基材の粒子に関係した。
【0039】
本発明の事情における“基材”は、複数の金属のナノ粒子が、存すること、及び/又は、移動において制限されることができるものであるいずれの材料をも指す。基材は、固体の(剛性の又は柔軟な)材料であることができるが、しかしまた、液体であることもできる。
【0040】
液体の例は、米国特許出願公開第20040115192号明細書に記載されたような、ペルフルオロカーボンの乳濁液のような乳濁液である。それら基材の粒子は、均質なものであることができるが、しかしまた、不均質なものであることもできる。基材は、整理された構造を有することができるが、しかし、これは、強制的なものではない。基材は、多孔質の、又は中空のものであることができる。ある一定の密度を備えた基材の材料を、所望の流動学的な性質に依存するが、使用することができる。同じ程度に、それら金属のナノ粒子を含む基材の粒子の密度を変調するためには、特に、金のような高い密度を備えた高い濃度の金属が、その基材の粒子に存在するときには、気体の泡を含む基材を、予見することができる。
【0041】
複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子は、異なる配置を指すが、ここで、金属のナノ粒子が、基材の中に分布させられるか、又は、基材に付けられる。これの例は、それらに限定されることなく、
− その基材に存する、金属のナノ粒子。これらを、その基材へ共有又は非共有結合させることができるか、その基材の構成要素によって囲むことができるか、又は、その基材における孔内に存する(図7a)。
【0042】
− 金属のナノ粒子は、その金属の粒子における末端をキャップする層として使用された有機の分子によって、各々の他の近接に配置される(図7b)。
【0043】
− 金属のナノ粒子は、マイクロバブルの造影剤のシェルの中にクラスター化されるか、又は、マイクロバブルの造影剤のシェルの外側若しくは内側へ付けられる(図7c)。
【0044】
− 金属のナノ粒子は、重合体の、脂質の、界面活性剤の、又はタンパク質でさえも、そのシェルによって安定化させられる小滴に分散させられる(図7d)。
:である。これらの安定化された小滴を、例.標的とされたとき、超音波造影剤として、それ自体によって使用することができる。その小滴のシェルの中に、上に、又は下に、金属のナノ粒子を加えることによって、反射の向上における増加を、得ることができる。この実施形態において、本発明に従った基材は、その小滴の分散である。本発明の小滴は、ナノメートルの又は結局マイクロメートルの寸法を有すると共に、体の組織との低い音響の不整合を有する。これは、より大きい寸法(マイクロメートル)及人間の組織とのび高い音響の不整合を通常有する先行技術のマイクロバブルと対照的なものである。また、本発明の小滴は、先行技術のマイクロバブルと比較されると、増加させられた寿命を有する。
【0045】
本発明に従って、複数の金属のナノ粒子は、それら金属のナノ粒子をクラスター化するためには、生体適合性の及び/又は生分解性の基材と関連させられる。これの目的のために適切な基材は、当技術において記載されてきたと共に、天然の及び合成の炭水化物、脂質、又は、(アプタマーを含む)生理学的に許容可能な合成の重合体、界面活性剤、水性の若しくは有機の液体、又は、それらの混合物若しくは誘導体を含む。
【0046】
炭水化物は、ペクチン及びポリガラクツロン酸のようなペクチンのフラグメント、グリコサミノグリカン類、並びに、ヘパリノイド類、例.ヘパリン、ヘパラン、ケラタン、デルマタン、コンドロイチン及びヒアルロン酸、デキストラン類、セルロース類、並びに、アルギナート、カラギーナン類、及びキトサン類のような海洋の多糖類、並びに、それらの誘導体のような、天然の及び合成の構造的な多糖類を含む。
【0047】
基材として使用することができる合成の重合体は、ポリアクリラート類、ポリビニルピロリドン、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリエチレングリコール類、及び、ポリスチレン類を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。その上、ポリ乳酸(polylactic acid)(PLA)、ポリグリコール酸(polyglycolic acid)(PGA)、ポリ酸無水物、ポリホスファゼン類、又は、ポリカプロラクトン(polycaprolactone)(PCL)のマルチブロックのような、マルチブロック共重合体の基材もまた、予見される。特定の実施形態に従って、それら金属のナノ粒子には、最初に、上の材料の一つの被覆物が提供されると共に、その後さらに、同じ材料又は別の材料の基材と共に凝集させられる。
【0048】
また、金属のナノ粒子を含む基材は、脂質の性質のものであることができる。脂質は、一般に両親媒性の且つ生体適合性のものである、合成の又は天然に生ずる化合物を指す。それら脂質は、典型的には、親水性の構成成分及び疎水性の構成成分を含む。例示的な脂質は、例えば、脂肪酸、中性脂肪、リン脂質、糖脂質、界面活性剤(界面活性物質)、脂肪族アルコール、ワックス、テルペン、及びステロイドを含む。
【0049】
脂質は、脂質から配合されたコロイド状の実態へ向かうものである、ミセルの中に配置することができる。ある一定の実施形態において、それらミセルは、単層の又は六方晶系のH2相の構成を含む。他の実施形態においては、それらミセルは、二層の構成を含むこともある。脂質は、また、小胞に配置することができる。これらは、一般に、一つ以上の壁の存在によって特徴付けられる球状の実在、又は、一つ以上の内部の空隙を形成する膜である。小胞の例は、脂質から配合された壁又は膜を含むものである。これらの小胞において、それら脂質は、単層の又は二層の形態にあることもあると共に、それら単層又は二層の脂質は、一つ以上の単層又は二層を形成するために、使用されることもある。一つよりも多くの単層又は二層の事例では、それら単層又は二層は、同心のものであることもある。脂質は、(一つの単層若しくは二層が含まれた)単層状の小胞、(約二つの若しくは三つの単層若しくは二層が含まれた)少数層状の小胞、又は、(約三つよりも多くの単層若しくは二層が含まれた)多層状の小胞を形成するために、使用されることもある。脂質は、また、リポソームの中へ配置することができる。これらは、一般には、典型的には一つ以上の同心の層、例えば、二層の形態における、両親媒性の化合物、脂質の化合物、の球状のクラスター又は凝集体である。それらは、また、ここでは脂質の小胞と称されることもある。リポソームは、例えば、イオン性の脂質及び/又は非イオン性の脂質から、配合されることもある。非イオン性の脂質から配合されるリポソームは、また、“ニオソーム(niosome)”とも称されることもある。
【0050】
別の実施形態において、それら金属のナノ粒子は、非タンパク質の性質のものである小胞の壁に組み込まれる。小胞は、例えば、前に記載した様々な脂質を含む、脂質、又は、天然の、合成の、及び半合成の重合体を含む、重合体の材料から、配合されることもある。同様にして、重合体から調製された小胞は、一つ以上の同心の壁又は膜を含むこともある。重合体から調製された小胞の壁又は膜は、実質的に固体(均一なもの)であることもあるか、又は、それらは、多孔質のもの若しくは半多孔質のものであることもある。ここにおいて記載された小胞は、一般的に、例えば、リポソーム、ミセル、バブル、マイクロバブル、微小球、脂質又は重合体で被覆されたバブル、マイクロバブル、及び/又は微小球、微小中空粒子、エーロゲル、包接の結び付けられた小胞、及び同様のものと称されたこのような実在を含む。それら小胞の内部の空隙は、望まれるような、例えば、標的とする配位子及び/又は生理活性の試剤を含む、(例えば、水性の液体を含む)液体、気体、気体状の前駆体、及び/又は、固体又は溶質の材料で、充填されることもある。
【0051】
別の実施形態においては、それら金属のナノ粒子は、小胞の内腔の中に組み込まれる。この実施形態においては、その小胞は、単に、それらナノ粒子を含む基材の内腔のまわりのシェルとして、機能するが、そのシェルの材料の組成は、それら金属のナノ粒子の分布に影響を有するものではないと共に前に述べた構成要素のいずれのものでもあることができるが、しかし、また、タンパク質の性質のものであることもできる。
【0052】
別の実施形態においては、それら金属のナノ粒子は、小胞の壁の外側の又は内側の表面に局在化される。
【0053】
別の実施形態においては、それら金属のナノ粒子は、小胞の壁及び小胞の内腔の両方の中に組み込まれる。
【0054】
このように、それら金属のナノ粒子の局在化に依存するが、その小胞の内腔及び/又は壁は、本発明の命名法に従って、基材の粒子である。
【0055】
基材の構成成分は、アミン、活性なエステル、アルコール、チオール、及びカルボキシラートのような反応性の官能基を含有することもある。このような官能基は、基材の粒子の生物学的に活性な分子の、特に、生物標的に特異的な試剤の、表面の上へ付くために、使用されることもある。適切な生物標的に特異的な試剤は、ペプチド若しくはタンパク質、又は、抗体若しくはそれらのフラグメントのような、細胞に、微生物に、例.線虫のような寄生体に、又は、細菌に、器官に、若しくは、組織に特異的な分子であることもある。用語の生物標的に特異的な試剤の内に含まれるものは、特異的な外来の及び/又は毒性の試剤に方向付けられた分子又は官能基である。その基材は、また、その粒子の電荷、親油性若しくは親水性、又は、細胞膜を通じて入るためのそれの能力に影響を及ぼす分子を含むこともある。
【0056】
その予見された用途に依存するが、本発明の粒子の基材の構成成分は、その基材を、腎臓によって分泌することができる粒子へと細分化するためには、生分解性のものである。一般には、その基材の構成成分は、器官又は病的なサイトへの標的とすること及びそれの撮像を許容するためには、好ましくは、少なくとも30分間は無処置なままである。特定の実施形態において、例.毒性の金属を使用するとき、その基材は、不均質なものであると共に、ここで、それら金属のナノ粒子は、第一の材料、例.被覆物に存するが、その第一の材料は、生分解性のものではないか、又は、遅い速度で劣化すると共に、前記の第一の材料は、より高い劣化の速度を備えた第二の基材の材料と関連させられるものである。これは、ある大きさへのその基材の粒子の分解を許容するが、ここで、その第一の材料のフラグメントは、その第一の材料からのその金属のナノ粒子の解放より先に、腎臓によって分泌される。
【0057】
本発明の特定の実施形態は、基材の材料に関係するが、それら基材の材料は、特定の器官又は組織に対して標的とされる。これを、その基材の粒子の表面へ組織又は器官に特異的な分子を付けることによって、達成することができる。一つのこのような分子は、器官又は組織に特異的な抗原に対して向けられた、抗体である。例えば、このような抗体は、組織に関連させられた抗原又は抗ミオシンに特異的な多クローン性の又は単クローン性の抗体であることができる。共役のために使用することができる多クローン性の又は単クローン性の抗体の限定しない例は、特に、その細胞膜に見出された抗原に主として向けられるものを含む。例えば、組織の可視化に適切なものは、それ自体、多クローン性の又は単クローン性の抗体、及び/又は、それらのフラグメント(Fab、F(ab))であるが、それらは、例えば、癌胎児性抗原(carcinoembryonal antigen)(CEA)、人間の絨毛性ゴナドトロピン(choriogonadotrophin)(.ベータ.−hCG)、又は、糖タンパク質のような組織に見出された他の抗原に向けられる。抗ミオシン、抗インシュリン、及び抗フィブリンの抗体及び/又はフラグメントは、とりわけ、また適切なものである。あるいは、その分子は、組織に特異的な発現のパターンを備えた受容体についての配位子である。本発明の事情においては、用語‘細胞のマーカー’は、いずれの分子をも指すために、使用されるが、その分子は、特異的な細胞、細胞のタイプ、組織、組織のタイプ、器官、又は、器官のタイプの識別を許容する。
【0058】
本発明のさらなる特定の実施形態は、基材の粒子に関係するが、それら基材の粒子は、薬物のような生物学的に若しくは治療的に活性な試剤で被覆されるか、又は、ここで、その試剤、例.薬物は、薬物送達の試剤としての使用のために、若しくは、組み合わせられた診断の及び治療的な使用のために、その基材の中にカプセル化される。治療薬は、広い範囲の薬物にわたって選択されることができると共に、治療的な標的によって決定される。
【0059】
自由選択で、それら基材の粒子は、肝臓による摂取を最小にするためには、血液の構成成分の摂取及び粒子−細胞の相互作用に対する立体障害を最小にするための親水性の被覆物をそれらに提供する材料でさらに被覆される。このような材料の例は、tetronic 908として知られたブロック共重合体である(米国特許第4,904,497号明細書)。
【0060】
米国特許第6,165,440号明細書に記載されたように、超音波の波を、組織の血管の穿孔、間質におけるマイクロ対流、及び/又は、癌細胞の膜の穿孔を得るために、使用することができる。この原理に従うことで、本発明の複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子を、正常な組織への最小限の熱的な及び機械的な損傷で癌細胞の中への巨大分子の治療薬の向上させられた送達を得るために、使用することができる。
【0061】
本発明の基材の粒子で、十分な反射の向上を、より低い周波数で得ることができるが、それら周波数は、通常、その体の中に向かってより深い器官又は組織の超音波撮像に使用されるものである。本発明の基材の粒子を使用することで、7dBの反射の向上を許容する約22MHzの周波数を使用する超音波撮像が、行われる。7dBの反射の向上が、30nmのクラスター化された銀のナノ粒子の層で見出されたが、その層は、例3に記載したような、50nmの銀の層と対応する。クラスター化されたナノ粒子のより厚い層、このようにまた、より大きい基材の粒子、及び、より高い音響のインピーダンスを有する金属は、その反射率を、いっそう、より向上させることになる。
【0062】
同じ金属を含むが、しかし、金属のナノ粒子の大きさの点で異なる又は金属のナノ粒子の濃度の点で異なる基材の粒子の集団;異なる金属のナノ粒子の混合物を含む基材;異なる組成及び/又は形状の基材の粒子の混合物、及び、それらの他の組み合わせのような、本発明の基材の粒子の異なる組み合わせを、予見することができる。
【0063】
この発明の基材の粒子は、自由選択で、経腸性の又は腸管外性の投与のための診断の組成物へと配合される。例えば、腸管外性の配合物は、都合良くは、この発明に従った被覆された金属の粒子の無菌の水性の溶液又は懸濁液を含有する。適切な薬学的な溶液及び懸濁液を調製するための様々な技術は、当技術において知られたものである。このような溶液は、また、薬学的に許容可能な緩衝剤、及び自由選択で、(塩化ナトリウムのような)電解質又は抗酸化剤のような、しかし、それらに限定されるものではない、添加剤を含有することもある。腸管外性の組成物は、直接的に注入されるか、又は、ガレヌス製剤における通例の一つ以上の補助剤、例.メチルセルロース、ラクトース、マンニット、及び/又は、界面活性剤、例.レシチン、Tween、Myrjと混合させられることもある。本発明の基剤の粒子を、撮像、血流の研究、及び血液の分析のような多種多様な撮像の用途に使用することができる。
【0064】
従来の賦形剤は、腸管外性の、経腸性の、又は局所的な適用に適切な薬学的に許容可能な有機の又は無機の担体の物質であるが、それら物質は、それら試剤と有害に反応するものではない。適切な薬学的に許容可能な補助剤は、水、塩の溶液、アルコール類、アラビアゴム、野菜の油、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性のパラフィン、香油、脂肪酸のモノグリセリド及びジグリセリド、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ヒドロキシ−メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、などを含むが、しかし、それらに限定されるものではない。それら薬学的な製剤を、滅菌すると共に、望まれるとすれば、補助的な試剤、例.潤滑剤、防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色する、味付けする、及び/又は、芳香性の物質、及び同様のものと混合することができるが、それらは、それら活性な化合物を有害に反応するものではない。
【0065】
経腸性の投与のための配合物は、当技術において周知であるように、幅広く変動することもある。一般には、このような配合物は、水性の溶液又は懸濁液の中に診断的に有効な量のそれら金属の粒子を含む。シロップ、エリキシル剤、又は同様のものを、使用することができるが、ここで、甘くさせたビヒクルが、用いられる。あるいは、その配合物は、タルク及び/又は炭水化物の担体若しくは結合剤又は同様のものを有する、錠剤、糖衣錠、坐剤、又は、カプセルの中にあることもできるが、その担体は、好ましくは、ラクトース及び/又はトウモロコシのデンプン及び/又はじゃがいものデンプンである。
【0066】
腸管外性の適用については、特に適切なものは、坐剤を含む、懸濁液、乳濁液、又は移植材料のみならず、注入可能な滅菌の溶液、好ましくは油性の又は水性の溶液である。アンプルは、便利な単位投与量である。複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子を含有する造影剤は、好ましくは、腸管外性の適用において、例.注入可能な溶液として、使用される。
【0067】
この発明の診断の組成物は、超音波の手順において従来の様式で使用される。それら診断の組成物は、撮像されるものである器官又は組織へ全身的に又は局所的にいずれかで、温血動物に対して、適度な可視化を提供するための十分な量で投与されると共に、そして、その動物は、その医学的な診断の手順にさらされる。このようなものは、撮像させられるものである器官のみならず、用いられた診断の技術に依存するが、幅広く変動することもあるものである。この発明の造影剤は、一般に、リットル当たり、1マイクロモルから1モルまでの、好ましくは0.1ミリモルから100ミリモルまでの金属を含有すると共に、通常は、体重のキログラム当たり金属の0.001マイクロモルから100マイクロモルの、好ましくは0.1マイクロモルから10マイクロモルの量で服用される。それらは、人間を含む、哺乳動物へ経腸的に及び腸管外で投与可能なものである。典型的には、診断の測定は、投与の後の約5−30分に、始められる。
【0068】
本発明の具体的な重合体に従って、本発明の診断の組成物は、生体外で、即ち、動物又は人間の体から完全に又は部分的に単離されてしまった組織の試料又は器官において、組織の試料又は器官における組織の構造又は標的の分子の撮像、即ち、可視化のために使用される。
【0069】
本発明の造影剤の使用は、例.トレーサーのような、組織、それらの部分、又はそれらにおける構造の可視化及び診断のような、しかし、それらに限定されるものではない、当技術における造影撮像について記載されてきた全ての適用を含む、広い範囲の適用で予見される。例えば、造影撮像は、心臓血管系の可視化、例.壁の運動の分析、心筋の潅流、心筋における梗塞又は虚血のエリアを識別すること、血餅を識別すること、又は、肝臓、例.肝臓の機能、肝臓の腫瘍の検出において使用される。予見された造影撮像の他の用途は、胃腸管の可視化、腫瘍の可視化、精巣の及び卵巣の捻転を識別すること、腎の及び他の移植された器官の評価、生理学的な圧力、並びに、造影剤で案内された及び制御された局所的な薬物の送達を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。
【0070】
一つの態様に従って、本発明の診断の組成物は、異なる撮像の方法における組み合わせられた使用のために、使用される。このように、それらの特性に依存するが、本発明の複数の金属のナノ粒子を含む基剤の粒子は、X線の分析における使用に適当なものであることもある。このように、本発明の特定の実施形態は、組み合わせられた撮像の方法における使用のための診断の組成物に関係する。
【0071】
ここにおいて使用されるように、“を含む”は、述べられた特徴、整数、ステップ、又は、言及されるような構成要素の存在を指定するように、解釈されるものであるが、しかし、一つ以上の特徴、整数、ステップ、若しくは構成要素、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。ここにおいて、‘ある’への言及は、複数を排除するものではない。
【0072】
記載された具体的な実施形態へ本発明を限定することが意図されたものではない、以下に続く例は、ここにおいて参照によって組み込まれた、添付する図との関連で、理解されることもある。
【0073】
今、本発明は、以下に続く例によって、さらに実証される。
【0074】

【実施例1】
【0075】
例1−平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における50nmの金の層及び250nmのPFO層の周波数の関数としての反射の向上の予測。
【0076】
ある層の反射の向上を、数学的なモデル:
[式1]
【数1】

を使用することで、計算することができる。
【0077】
ここで:
‘r(k)’は、非圧縮性の材料の振幅の反射係数である、
‘t’は、媒質1(例.水)、媒質2(超音波造影層/剤)、及び、媒質3(例.基体)の間における複素数の透過係数である、
‘r’は、媒質1(例.水)、媒質2(超音波造影層/剤)、及び、媒質3(例.基体)の間における複素数の反射の係数である(図1を参照のこと)、
‘12’は、媒質1(例.水)及び2(例.金の層)の間の界面及び1から2へ進行する音の方向を指し示す。
‘k’は、造影層における超音波の波の波数である。
‘d’は、造影層の厚さである。
及び、
その向上は、
[式2]
【数2】

であるが、
ここで、‘r(k)’は、非圧縮性の材料の振幅の反射係数であると共に、rは、造影剤無しの基体の表面の振幅の反射係数である。
【0078】
金属の粒子は、生分解性のものであることはないと共に、従って、これらの粒子は、腎臓を通じた排出について十分に小さいものであるべきである。70nmは、その上限であるものと考慮される。PFO(ペルフルオロカーボン)の造影剤の小滴は、異なる経路に従うと共に、それら粒子は、肺を通じて溶解すると共に消失することになる。この例において、比較が、250nmであるそれらの現実の大きさにおけるPFOの粒子と50nmのより小さい金の粒子との間でなされる。
【0079】
250nmのペルフルオロカーボンの乳濁液の小滴の層について計算されたような向上は、脾臓の組織の音響の性質、例.1.6×10g/cms、を備えた材料におけるこのような粒子の層について観察された超音波の反射の向上と一致したものであったが、その材料の音響的なインピーダンスは、人間の組織の平均の音響的なインピーダンス、例.1.58×10g/cmsに非常に近いものである。
【0080】
図2は、周波数の関数としての、血餅、又は、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた別の材料の上部における、50nmのAuの層対250nmの液体のペルフルオロカーボンの脂質でカプセル化されたナノ粒子の乳濁物の層(PFO)の理論的な計算された反射の向上を示す。このグラフは、50nmの金の層の反射の向上が、液体のペルフルオロカーボン(PFO)の250nmの層の反射の向上よりもなお高いものであることを指し示す。
【実施例2】
【0081】
例2−周波数の関数としての、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における50nmの白金の層、50nmのタングステンの層、50nmの金の層、及び50nmのタンタルの層の理論的な予測された反射の向上。
【0082】
例1において上に記載された式を使用することで、周波数の関数としての、血餅、又は、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた別の材料の上部における、50nmの白金の層、50nmのタングステンの層、50nmの金の層、及び50nmのタンタルの層の反射の向上は、計算されると共に図3に示される。白金、タングステン、及びタンタルは、全て高い密度及び高い縦方向の速度を、このように、体の組織との高い音響のインピーダンスの差異を有する(表3)ので、ちょうど金と同様に、良好な音響の反射体であると共に、高い反射の向上を得る。
【0083】
表3 白金、タングステン、金、及び、タンタルの密度、速度、及び音響のインピーダンスの値
【表3】

血餅、又は、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた別の材料の上部における、金の造影層の反射の向上における層の厚さ及び周波数の依存性は、図4に示される。これらの結果は、周波数を増加させること(波長を減少させること)が、反射の向上における増加に帰着することを指し示す。その金属の層の厚さを増加させることは、反射の向上における増加に帰着する。超音波の浸透が、トランスデューサーの周波数に依存したものであるので、(より高い反射の向上を得る)高い周波数を、体の内部におけるより深い器官及び他の組織の医学的な超音波撮像に使用することができない。
【0084】
反射の向上を増加させるための別の方式を、それら金属の粒子の直径の顕著な増加によって得ることができる。図5において、液体のペルフルオロカーボンの層対金及び銀の反射の向上は、それの層の厚さの関数として示される。ペルフルオロカーボンのシェルでカプセル化された小滴に基づいた、例.吸収された層のアプローチについての、PFO、最先端の造影剤は、金属のナノ粒子の造影剤についての比較として使用される。これらの計算は、銀及び金のような、高い音響のインピーダンスを備えた金属の反射の向上が、同じ層の厚さにおけるPFOの造影剤よりも大いに高い反射の向上を有することを指し示す。
【0085】
しかしながら、顕著なより大きい金属の粒子、例.250nmの金属の粒子を使用することは、このようなより大きい粒子が、腎臓のフィルターを通じて排出されないと共に体内へ累積することになるので、許容可能なことではない。
【実施例3】
【0086】
例3−重合体の基体におけるクラスター化された銀のナノ粒子の反射の向上の測定
本例は、小さい金属のナノ粒子のクラスター化が、70nmより上の直径を備えた金属の粒子について許容可能な代替物を提供することを例示する。
【0087】
クラスター化された銀のナノ粒子は、2マイクロメートルの重合体の基体における堆積物であった。銀の量は、5mmのスポットの大きさを備えたX線光電子分光計(X-ray photoelectron spectrometer)(XPS)と共に測定されると共に表4に示される。
【0088】
表4 白金、タングステン、金及びタンタルの密度、速度、及び音響のインピーダンスの値
【表4】

30nmの堆積させられた銀のナノ粒子の銀の量は、50nmの銀の層と対応する。
【0089】
22MHzのトランスデューサーが備え付けられたTaberna Pro MedicumのDigital Ultrasound Imaging Systemは、30nmのクラスター化された銀のナノ粒子有りで及び無しで、重合体の基体の反射を測定するために、使用された。ゲインの関数としての、2μmの重合体の基体の、及び、クラスター化された銀のナノ粒子を備えた2μmの重合体の基体の、統合された反射された強度(ピーク面積)は、図6に示されたものである。30nmのクラスター化された銀のナノ粒子は、7dBで重合体の基体の反射率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、(非圧縮性の層の)反射の向上についての理論的なモデルにおいて使用されたパラメータの例示。
【図2】図2は、周波数の関数としての、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における、50nmのAuの層対250nmの液体のペルフルオロカーボン、脂質でカプセル化されたナノ微粒子の乳濁物の層(PFO)の理論的な計算された反射の向上。
【図3】図3は、周波数の関数としての、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における、50nmの白金の層、50nmのタングステンの層、50nmの金の層、及び、50nmのタンタルの層の反射の向上。
【図4】図4は、平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における、金の造影の層の反射の向上における層の厚さ及び周波数の依存性。
【図5】図5は、それの層の厚さの関数としての、(平均の人間の組織と同じ音響の性質を備えた材料の上部における)液体のペルフルオロカーボンの層対金及び銀の反射の向上。
【図6】図6は、ゲインの関数としての、2μmの重合体の基体の、及び、クラスター化された銀のナノ粒子を備えた2μmの重合体の基体の、統合された反射された強度(ピーク面積)。
【図7】図7は、複数の金属のナノ粒子を含む基材の粒子。 パネルA:その基材の粒子の中に埋め込まれた金属のナノ粒子。 パネルB:金属のナノ粒子の上における末端をキャップする層として使用された有機の分子によって相互に結び付けられた金属のナノ粒子。 パネルC:マイクロバブル造影剤[二つの泡が描かれる、第二のものは、断面である]のシェルの中に、上に、又は下にクラスター化された金属のナノ粒子。 パネルD:小滴の中に分散させられた金属のナノ粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属のナノ粒子を含む、医学的な診断及び撮像用の造影剤であって、
該複数の金属のナノ粒子は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子の中にカプセル化される、及び/又は、非タンパク質性の生体適合性の又は生分解性の基材の粒子へ付けられると共に、
該基材の粒子の基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、界面活性剤、及び有機の液体、又は、それらの混合物からなる群より選択される、造影剤。
【請求項2】
前記基材は、小胞のシェルである、請求項1に記載の複数の金属のナノ粒子を含む造影剤。
【請求項3】
前記金属のナノ粒子は、少なくとも35.10g/cmsの音響のインピーダンスを有する、請求項1又は2に記載の造影剤。
【請求項4】
前記金属のナノ粒子は、50.10g/cmsより上の音響のインピーダンスを有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の造影剤。
【請求項5】
前記金属のナノ粒子は、1nmと100nmとの間の直径を有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の造影剤。
【請求項6】
前記金属のナノ粒子は、1nmと50nmとの間の直径を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の造影剤。
【請求項7】
前記金属は、非磁性である、請求項1乃至6のいずれかに記載の造影剤。
【請求項8】
前記非磁性の金属は、金、銀、白金、パラジウム、タングステン若しくはタンタル、レニウム、又はそれらの混合物からなる群より選択される、請求項6に記載の造影剤。
【請求項9】
前記金属は、貴金属である、請求項1乃至8のいずれかに記載の造影剤。
【請求項10】
前記基材の粒子は、1マイクロメートルと8マイクロメートルとの間の直径を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の造影剤。
【請求項11】
前記基材の粒子は、25ナノメートルと250ナノメートルとの間の直径を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載の造影剤。
【請求項12】
前記金属のナノ粒子は、前記基材において少なくとも2%体積/体積の濃度で存在する、請求項1乃至11のいずれかに記載の造影剤。
【請求項13】
一つ以上の標的とする分子が、前記基材の粒子に付けられる、請求項1乃至12のいずれかに記載の造影剤。
【請求項14】
一つ以上の標的とする分子が、前記基材のナノ粒子の表面に付けられる、請求項1乃至12のいずれかに記載の造影剤。
【請求項15】
超音波造影剤の製造のための、複数の金属のナノ粒子を含む、非タンパク質性の基材の粒子の使用であって、
該基材は、炭水化物、脂質、合成の重合体、水性の液体、及び有機の液体、又は、それらの混合物からなる群より選択される、使用。
【請求項16】
動物又は人間の患者についての情報を取得する又は診断の方法であって、
該動物又は人間の患者には、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の造影剤が投与されてしまっていると共に、
当該方法は、該動物又は人間の超音波撮像の検査を行うこと:を含む、方法。
【請求項17】
器官の単離された組織の試料を撮像する方法であって、
当該方法は、該組織の試料又は器官へ請求項1乃至14のいずれか一項に記載の造影剤を投与すること、及び、それの超音波撮像の検査を行うことを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公表番号】特表2008−520648(P2008−520648A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542405(P2007−542405)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053763
【国際公開番号】WO2006/054240
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】