説明

分散媒体の第1フラクションとマトリックスの第2フラクションを有し、第2フラクションが胃腸の液体に少なくとも部分的に最初に曝される固形の医薬組成物

第1フラクションが、体温で十分に流体である分散媒体中に分散された治療的および/または予防的に活性な物質を含み、第2フラクションが、実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーまたは実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーの混合物を含むマトリックスを含み、該第1フラクションが、投与において、該第1フラクションが胃腸の液体に曝されるようになる以前に、該第2フラクションの少なくとも一部が該液体に最初に曝されるような様式の組成物中に含まれる、該第1フラクションおよび第2フラクションを含む経口使用のための一回投与単位形態にある固形の医薬組成物。本システムは、投与後の所定の時間後に活性物質を放出するよう設計され、その時点での活性物質の放出は比較的速い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序文
本発明は、診断的、治療的および/または予防的に活性な物質を含む経口投与用薬物送達システムに関する。本システムは、投与後の所定の時間後に活性物質を放出するよう設計され、その時点での活性物質の放出は比較的速い。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
活性物質の多くは、胃腸管において比較的狭い吸収ウインドー(window)で吸収される。さらに、例を挙げると、例えば関節硬化症のようないくつかの病態または疾病に関して、多くの患者は早朝硬直に苦しみ、そのときに適当な薬物療法を必要とする。そのような場合、朝に活性物質を放出するが、就寝前にとっくに投与済みである医薬組成物を投与することが有利になるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、組成物の投与後、ある一定の遅延時間後に活性物質を放出するように設計される医薬組成物を開発する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の詳細な説明
一つの観点において、本発明は、第1フラクションが、体温で十分に流体である分散媒体中に分散された治療的および/または予防的に活性な物質を含み、第2フラクションが実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーまたは実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーの混合物を含むマトリックスを含み、該第1フラクションが、投与において、該第1フラクションが胃腸の液体に曝されるようになる以前に、該第2フラクションの少なくとも一部が該液体に最初に曝されるような様式の組成物中に含まれる、該第1フラクションおよび第2フラクションを含む経口使用のための一回投与単位形態にある固形の医薬組成物に関する。
【0005】
本発明による組成物は、典型的には、例えばWO 99/51208(同一出願人による)に開示されたマトリックス原理に基づく。そのようなマトリックスは、それらが侵食される点で特異な性質を有する。すなわち、それは、胃腸の液体に曝されたときにより小さな粒子または粒子の凝塊物に崩壊しない。簡略化すると、侵食とは、層がその組成物から回りの媒体中に、ほとんどあたかもマトリックスの薄片が切り離されるように徐々に破壊されることを意味する。外側の面のみが侵食に曝され、活性物質がマトリックス中に存在する条件で、この外側の層から活性物質が放出および/または溶出される。このことは、もし一定の大きさを維持することによりその表面積の大きさを制御することが可能なら、放出速度の程度を制御することが可能であり、さらに0次放出速度が得られる。
【0006】
本発明をより詳細に説明するために、本明細書の図1が参考として挙げられるが、本発明はこのタイプおよび形の組成物に限定されない。しかしながら、一般的な概念は、層状の組成物を有することであり、ここで、第1フラクションおよび第2フラクションは別々の層の形態で組成物中に含まれる。したがって、第1フラクションは組成物の内層に含まれ、その内層の少なくとも一つの面は第2フラクションのマトリックスの少なくとも一つの面と接触している。本発明による医薬組成物の最も単純なバージョンは、図2および図3にそれぞれ示すように、球形または卵形の第2フラクションにより取り囲まれた球形または卵形のどちらかの第1フラクションである。
【0007】
図1において、第1フラクションは内側の詰め物(plug)に対応し、第2フラクションは外側の詰め物に対応する(すなわち、二つの第2フラクションがある)。本明細書の後で説明されるように、本発明による組成物は、それがコーティングのない明確な面領域を残すように塗布されるコーティングで提供され得る。一方、残りの面は覆われ、同時に、そのコーティングが、コーティングを通って水のマトリックス(または組成物のその他の部分)への移送が起こらない(または、いくらかの水が入っても、そのときは、コーティングを通って外への、溶解した活性物質の移送をもたらさない)要求を満たすことを保証する。言い換えると、時間が経過する間、除去されず(水性の環境に曝されたマトリックスの制御不可能な面領域を残し)、そしてマトリックスと比較して適当な性質を有するコーティングを開発することが目的であった。すなわち、コーティングが溶解するか、さもなければ消失する場合は、それは、マトリックスが侵食された後にのみ起こるべきである(但し、それが関与する部分が、既に侵食の対象となっているマトリックスの部分に及んでいる場合は、放出期間の間、コーティングは、勿論、部分的に溶解または消失もし得る、このようにして、マトリックスの侵食が起こる開放端から離れたコーティングにより取り囲まれたマトリックスを有する「無損傷の(intact)」残留組成物を残す)。
【0008】
もし、組成物に施されるコーティングが幾分堅ければ、第1フラクションが第2フラクションの侵食により作られる空洞から流出できることを保証することが重要である。これは、典型的に分散媒体が、体温で液体の形態または半固体の形態の媒体であることを保証することによって得られる。そして、もしそれが半固体の形態であれば、そのときは、それは、それが流れることを可能にする流動性を有する。このことは、第1フラクションの分散媒体および/または第1フラクション自身が、本明細書に記載されたフローテスト(Flow Test)にしたがって試験されたとき、その試験をパスしたときに達成される。
【0009】
通常、第1フラクションの好適な分散媒体および/または第1フラクション自身は、最大でも約50℃の溶融遮断(cut off)点を有する。本文脈において、「溶融遮断点」は、増加する温度を伴いピークからベースラインに下落するDSC曲線の接線がベースラインを遮断して得られる温度として定義される。第1フラクション中に含まれる活性物質が好適に放出されることを保証するために、分散媒体および/または第1フラクションの端の温度(end temperature)は、例えば最大で約45℃、最大で約40℃または最大で約38℃のような、最大でも約50℃でなければならない。言い換えると、溶融遮断点は、開始温度を用いて同様に決定される。ただ違いは、開始温度はDSC曲線の増加部分を基に決定されるが、遮断温度はDSC曲線の減少部分を基に決定されることである。
【0010】
分散媒体は、室温またはより低い温度においてでも流体であってもよい。このことは、第1フラクションは、通常、二つの第2フラクションの間、コーティングと第2フラクションの間に配置されるか、あるいは、第2フラクションで完全に取り囲まれるので可能である。そのときは、第1フラクションの好適な分散媒体および/または第1フラクション自身は、例えば約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上または25℃以上のような、約0℃以上の溶融開始点を有する。
【0011】
分散媒体は、通常、1以上の溶媒、1以上の補助溶媒、1以上のオイル、1以上のワックスおよび/または1以上の半固形物質を含む。それは、脂質ベースの媒体であり得るか、それは、例えばエマルジョンのような水ベースの媒体であり得る。
【0012】
分散媒体中での使用に適した物質の例は、カカオバター、エステル化、水素化、分別化等により改質された例えば植物油のようなコカブッテ(coca butte)代用品、シアバター、出発物質として異なるトリグリセリドを用いたものを含むアデプス ソリダス、蜜蝋を含むワックス、カカオ脂、脂肪性基剤、ウェコビー基剤、ウィテップゾールベースの水溶性基剤のような水素化植物油基剤、ココナッツ油、パーム核油、綿実油、オリーブ油、トウモロコシ油、ピーナツ油、ゴマ油、ヒマワリ油およびミグリオール813を含む植物油、ならびそれらの混合物からなる群から選択される親油性物質である。その他の例は、例えば20,000以下の分子量を有するポリエチレングリコール、グリセリン化されたゼラチン、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルのような親水性物質である。
【0013】
本発明の具体的な態様において、第1フラクションは水ベースであり、界面活性剤、乳化剤および/またはナノ粒子を含む。
本発明による組成物の第1フラクションは活性物質を含む。前記のように、経口投与後、第1フラクションが胃腸の液体に曝される以前に、第2フラクション(または第2フラクションの一部)は侵食されなければならないので、活性物質の放出は遅延される。
【0014】
そのような遅延は、インビトロ溶出に関する要件として表すことができる。したがって、本発明による組成物は、インビトロの溶出試験で試験されたとき、第1フラクション中に含まれる活性物質の最大で約5重量%が、試験開始後15分以上の時間で組成物から放出される組成物である。
より具体的には、第1フラクションに含まれる活性物質の最大で約5重量%が、試験開始後、例えば1時間以上、1.5時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上または8時間以上のような、30分以上の時間で組成物から放出される。
【0015】
あるいは、インビトロ溶出試験法を用いて試験されたとき、試験開始後、例えば3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、10時間以上、11時間以上、12時間以上、13時間以上、14時間以上、15時間以上または16時間以上のような、2時間以上で測定したとき、第1フラクションからの活性物質の放出が、最大で約15重量%、最大で約10重量%、最大で5重量%、最大で約2.5重量%、最大で約1重量%または最大で約0.1重量%のような、最大で約20重量%である。
【0016】
溶出試験に関する詳細は、米国薬局方および欧州薬局方で規定されるもののような、医薬の開発の当業者に公知である。
第1フラクションが胃腸の液体(または別の水性媒体)に曝されるとすぐに、活性物質の放出が起こり得る。侵食されるマトリックス(すなわち、第2フラクションの一つのようなマトリックス)からの放出と比較して、第1フラクションからの活性物質の放出は、0次放出とは異なる動態に従う。本製剤の原理は、放出を遅らせ、0次放出または制御もしくは修正された放出組成物を設計するときに適切なその他のタイプの放出動態を出来なくするように設計される。しかしながら、本発明の基本的な製剤の原理は、公知の製剤の原理と組み合わされ得る。例えば、もし活性物質も第2フラクションのマトリックス中に含まれる場合、そのときは、この活性物質は0次の動態、すなわち制御された様式で放出され、そして第1フラクション中に含まれる活性物質は、遅延された様式で放出されるが、いったん第1フラクションからの放出が始まると、それは比較的速くなり得る。
【0017】
したがって、本発明による組成物は、インビトロ溶出試験法を用いて試験され、その試験の開始時点が、第1フラクション中に含まれる活性物質の全量の20重量%が放出されたときの時点として定義されるときに、第1フラクション中に含まれる活性物質の全量の、例えば少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%または少なくとも約95重量%のような、少なくとも約75重量%が、90分以内に放出される組成物であり得る。
【0018】
第2フラクション−マトリックス
第2フラクションはマトリックスを含む。具体的な態様において、マトリックスが第2フラクションである。
【0019】
マトリックス
第2フラクションのマトリックスは、
a) ポリマーまたはポリマーの混合物、
b) 任意に、活性物質および
c) 任意に、1以上の医薬的に許容される賦形剤
を含む。
具体的な態様において、ポリマーは、実質的に水溶性であるかもしくは結晶性のポリマーであるか、または実質的に水溶性でありかつ/もしく結晶性のポリマーの混合物である。
【0020】
ポリマー
本発明による使用に適したポリマーは、典型的には、例えばホモポリマーおよび/またはコポリマーの形態のポリグリコールを含む。具体的な態様において、ポリマーは、実質的に水溶性であるかもしくは結晶性のポリマーであるか、または実質的に水溶性でありかつ/もしく結晶性のポリマーの混合物である。本発明による組成物中への使用に適したポリマーは、ポリエチレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマーである。マトリックス組成物中への使用に適したポリエチレンオキサイドは、例えば約20,000〜約700,000ダルトン、約20,000〜約600,000ダルトンのような、約20,000ダルトンからの分子量、例えば約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約75,000ダルトン、約100,000ダルトン、約150,000ダルトン、約200,000ダルトン、約250,000ダルトン、約300,000ダルトンまたは約400,000ダルトンのような、約35,000〜約500,000ダルトン、約35,000〜約400,000ダルトン、約35,000〜約300,000ダルトン、約50,000〜約300,000ダルトンの分子量を有するものである。
【0021】
特に適したポリエチレンオキサイドは、それ自体で、ポリマーへの水の拡散速度とポリマーの溶解速度との間に好適なバランスを有するものである。好適な例は、約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約100,000ダルトン、約200,000ダルトン、約300,000ダルトンおよび約400,000ダルトンの分子量を有するポリエチレンオキサイドである。
【0022】
ポロキサマーは、コポリマーまたはブロックコポリマーであり、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との様々な非イオン性界面活性剤である。その組成物は、2個の1級の官能性ヒドロキシを生じるポリエチレンオキシド鎖で側面が挟まれたPOブロックかまたは逆の構造(ここで、中央のEOブロックはポリプロピレングリコール基の間に差し込まれ、倍(overtone)の2級ヒドロキシ末端基をもたらす)にすることができる。
【0023】
ケミカルアブストラクトにおいて、ジオールEO/POブロックコポリマーは、CAS登録番号を組み合わせた科学名-ヒドロキシ-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)-ブロックコポリマーのところに記載されている。
【0024】
マトリックスにおける使用に適した特定のブロック-コポリマーの例は:
ポロキサマー 101、ポロキサマー 105、ポロキサマー 108、ポロキサマー 123、ポロキサマー 124、ポロキサマー 181、ポロキサマー 182、ポロキサマー 184、ポロキサマー 185、ポロキサマー 188、ポロキサマー 217、ポロキサマー 231、ポロキサマー 234、ポロキサマー 235、ポロキサマー 237、ポロキサマー 238、ポロキサマー 282、ポロキサマー 284、ポロキサマー 288、ポロキサマー 331、ポロキサマー 333、ポロキサマー 334、ポロキサマー 335、ポロキサマー 338、ポロキサマー 401、ポロキサマー 402、ポロキサマー 403、ポロキサマー 407
である。
ポロキサマーは、商標名Pluronic(登録商標)またはLutrol(登録商標)のもとで固体である。
【0025】
具体的な態様において、本発明の組成物のマトリックスにおいての使用に適したポロキサマーは、例えば少なくとも約20のような少なくとも約18のHLB値を有する。好適なポロキサマーの平均分子量は、典型的には、少なくとも約2,000である。組成物中のポロキサマーの濃度は、典型的には、例えば約10重量%〜約90重量%、約10重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、約10重量%〜約60重量%。約10重量%〜約50重量%、約15重量%〜約50重量%、約15重量%〜約45重量%、約15重量%〜約40重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約35重量%または約20重量%〜約30重量%のような、約0重量%〜約95重量%である。
【0026】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの典型的なブロックコポリマーは、約2,000ダルトン、典型的には、例えば約4,000〜約15,000ダルトンのような、約3,000〜約30,000ダルトンの分子量を有する。
ポリエチレングリコール(分子量が約20,000を超えるときにはポリエチレンオキサイドと表示される)は、エチレングリコールの縮合ポリマーの混合物である。
【0027】
異なる平均分子量を有するPEOの混合物が、所望の平均分子量を有するPEOを得るために用いられる。そのような場合、所望の分子量に非常に近いMWを有するPEOを用いることが必要であることに注意することが重要である。所望のMWを有するPEOを得るのに必要な二つのPEOのそれぞれの量は、ヒドロキシ数(hydroxyl number)および前記の均衡(equation)から計算することができる。
【0028】
ポリマーは、その組成物が使用されるヒトまたは動物の体温を超える融点を有し得る。したがって、マトリックス組成物中に用いられるポリマーは、好適には、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような、約20〜120℃の融点を有するであろう。
【0029】
上記のポリグリコールタイプのポリマーの代わりに、その他のポリマーがマトリックス組成物中のa)としての使用に適し得る。したがって、本発明のその他の態様において、ポリマーは、1以上の次のポリマー:グルコマンナン、ガラクタン、グルカン、ポリガラクツロン酸、ポリキシラン、ポリガラクトマンナン、ラノガラクツラン、ポリキシログリカン、アラビノガクタンおよび澱粉のような水溶性天然ポリマー;PVA、PVB、PVP、メトセル、オイドラギット L メチルエステルおよびPHPVのような水溶性ポリマー;PHAおよびPLAのような生分解性ポリマー;オリアクリルアミドおよびデキストランのようなヒドロゲル;ポリグリコール酸を有するポリ乳酸のようなコポリマー;ならびにアルギネートおよび低メチル化またはメトキシ化ペクチンを含むペクチンのようなその他から選択される。
【0030】
マトリックス中のポリマーの濃度は、典型的には、約10〜約95重量%のような約5〜約99.9重量%、20〜85重量%のような、30重量%〜85重量%のような、約15重量%〜約90重量%、例えば約35〜約95重量%、約35〜約90重量%、約35〜約85重量%、約35〜約80重量%、約40〜約75重量%、約45〜約70重量%、約45〜約65重量%、約55〜約85重量%または約60〜約85重量%のような、約30〜約99重量%である。
【0031】
典型的には、1以上のポリマーが、マトリックス組成物の重量%として計算して、10〜95%のような、15%〜90%のような、20〜85%のような、30%〜85%のような、5〜99.9%の濃度量で本発明の組成物のマトリックス中に存在する。
マトリックスを含む第2フラクションは、典型的には、(未被覆)組成物の、例えば約30%〜約90%、約40%〜約80%、約50%〜約70%または約60〜65%のような、約20%〜約95%になる。
【0032】
活性物質
本発明による組成物は、1以上の活性物質を含む。活性物質の少なくとも一つは組成物の第1フラクション中に含まれるが、第2フラクションも、第1フラクション中に含まれる活性物質と同一であるかまたは異なってもよい1以上の活性物質を含み得る。
典型的には、第1フラクション中の活性物質の量は、1日治療用量の1日量または一部の量に相当する。
【0033】
したがって、本発明による医薬組成物は、1以上の活性物質、すなわち治療的、予防的、診断的および/または生物学的に活性な物質を含み得る。本明細書中で用いられる「活性物質」の用語は、組成物から送出され有益な結果を生むことができるあらゆる化合物、またはそれらの混合物を幅広く含む。活性でかつ有益な作用物質は、農薬、除草剤、殺菌剤、殺生物剤、殺藻剤、殺鼠剤、抗真菌剤、殺虫剤、抗酸化剤、植物ホルモン促進剤、植物生長阻害剤、防腐剤、消毒剤、滅菌剤、触媒、化学反応剤、醗酵物質、栄養補助食品、栄養剤、化粧品、治療的に活性な物質(医薬物質)、ビタミン、性不稔剤(sex sterilants)、受精阻害剤、受精促進剤、空気清浄剤、微生物減弱剤、生態的作用物質およびそれらが用いられる環境のためになるその他の作用物質を含む。
【0034】
本文脈において、「医薬物質」の用語は、動物、特にヒトおよび霊長類を含む哺乳動物において局部的または全身的な効果を生じる、生理的または薬理的に活性なあらゆる物質を含む。その他の動物は、ヒツジ、ヤギ、ウシおよびブタのような家庭用動物、スポーツ動物または家畜、マウス、ラットおよびモルモットのような実験動物、魚、鳥、爬虫類および動物園動物を含む。「治療的、予防的および/または診断的に活性な物質」の用語は、その意味の中に医薬物質の用語を含む。
【0035】
本文脈において、「生態的作用物質」の用語は、その環境中の植物または動物に生物学的効果を有する非治療的な物質を意味する。生態的作用物質は、殺虫剤または除草剤のような農薬、肥料、フェロモン、植物生長ホルモン等を含み得る。
本発明の医薬組成物中に含まれる活性物質(substance or substances)は、多くの治療的なカテゴリーから、特に経口的に、直腸に、膣に投与されるか、または体腔(例えば膀胱、腎盤、胆嚢、子宮、中枢神経系腔、感染/悪性腫瘍/術後の巣等)に投与されるのが有利である物質から選択され得る。
【0036】
そのような物質の例は、睡眠剤、鎮静剤、精神安定剤、抗痙攣剤、筋肉弛緩剤、鎮痛剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗攣縮剤、抗潰瘍剤、駆虫剤、抗菌剤、抗真菌剤、心血管剤、利尿剤、細胞増殖抑制剤、抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗緑内障剤、抗鬱剤、交感神経作用剤、血糖低下剤、診断用薬、抗咳剤、フィジックエナジャイザーズ(physic energizers)、抗パーキンソン病剤、局所麻酔剤、筋収縮剤、抗マラリア剤、ホルモン剤、避妊剤、食欲減退剤、抗関節炎剤、抗糖尿病剤、抗高血圧剤、解熱剤、抗コリン剤、気管支拡張剤、中枢神経系、イノトロピック(inotropic)、血管拡張剤、血管収縮剤、うっ血除去剤、ヘマチン、鉄塩および錯体、電解質補完剤、殺菌剤、副交感神経遮断剤、副交感神経刺激剤、制吐剤、精神刺激剤、ビタミン、β-ブロッカー、H-2ブロッカー、β-2アゴニスト、反対刺激剤、凝血調節剤、興奮剤、抗ホルモン剤、薬物-拮抗剤、脂質-調節剤、尿酸排泄剤、強心配糖体、麦角およびその誘導体、去痰剤、筋肉-弛緩剤、抗ヒスタミン剤、下剤、コントラスト物質、放射性医薬品、造影剤、抗アレルギー剤である。
【0037】
本発明の組成物においての使用に適した活性物質の具体例は:
カルベジロール、モルヒネ、ジクロフェナック、ニフェジピン、カルシトニン、リバスチグミン、バクロフェン、セレコキシプ、チザニジン、バルサルタン、テルミサルタン、ロサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ガランタミン、メチルフェニデート、フルオロキセチン、ロシグリタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、コデイン、エチルモルヒネ、デキストロメトルファン、ノスカピン、ペントキシベリン、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、エピネフリン、イソプレナリン、オルシプレナリン、エフェドリン、フェノテロール、リミテロール、イプラトロピウム、コリンエテオフィリネート、プロキシフィリン、ベクロメタゾン、ブデソニド、デスラノシド、ジゴキシン、ジギトキシン、ジソピラミド、プロスチラリジン、チニジン、プロカイナミド、メキシレチン、フレカイニド、アルプレノロール、プロプロアノロール、ナドロール、ピンドロール、オキシプレノロール、ラベタロール、チモロール、アテノロール、ペンタエリトリチルテトラニトレート、イソソルビドジニトレート、イソソルビドモノニトレート、ニフェジピン、フェニルアミン、ベラパミル、ジルチアゼム、シクランデラール、ニコチニルアルコールホール、イノシトールニコチネート、アルプロスタットジル、エチレフリン、プレナルテロール、ドブタミン、ドーパミン、
【0038】
ジヒドロエルゴタミン、グアネチジン、ベタニジン、メチルドーパ、レセルピン、グアンファシン、トリメタファン、ヒドララジン、ジヒドララジン、プラゾシン、ジアゾキシド、カプトプリル、ニフェジピン、エナラプリル、ニトロプルシド、ベンドロフルメチアジド、ヒドロクロルチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、クロルタリドン、シネタゾン、クロパミド、メフルシド、メトラゾン、ブメタニド、エタクリナシド、スピロノラクトン、アミロリド、クロフィブレート、ニコチン酸、ニケリトロール、ブロムフェニラミン、シンナリジン、デキスクロルフェニラミン、クレマスチン、アンタゾリン、シプロヘプタジン、プロエタジン、シメチジン、ラニチジン、スクラルファート、パパベリン、モキサベリン、アトロピン、ブチルスコポラミン、エメプロン、グルコピロン、ヒオスシアミン、メペンソラール、メチルスコポラミン、オキシフェンシクリミン、プロバンテリン、テロジリン、センナグリコシド、サグラダエキシトラクト、ダントロン、ビサコジル、ナトリウムピコサルフェート、エツロス、ジフェノールキシラート、ロペラミド、サラゾスルファピリジン、ピルビン、メベンダゾール、ジメチコン、フェロフマレート、フェロスクシネート、フェリテトラセミナトリウム、シアノコバラミン、ホリッド酸(folid acid)ヘパリン、ヘパリン副因子、
【0039】
ジクルマロール、ワルファリン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、血液凝固第VIII因子、血液凝固IX因子、ビタミンK、チオペタ、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、メルカトプリン、チオグアニン、アザチオプリン、シタラビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、プロカルバジン、ダカルバジン、ロムスチン、エストラムスチン、テニポシド、エトポシド、シスプラチン、アムサクリン、アミノグルテチミド、ホスヘストロール、メドロキシプログレステロン、ヒドロキシプロゲステロン、メゲステロール、ノルエチステロン、タモキシフェン、シクロスポリン、スルフォソミジン、ベンシルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、ジクロキサシリン、クロキサシリン、フルコキサシリン、アムピシリン、アモキシシリン、ピバムピシリン、バカムピシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム、ピブメシリナム、セファロチン、セファレキン、セフラジン、セファドロキシル、セファクロール、セフロキシム、セフォタキシム、セフタジダイム、セフォキチン、アズトレオナム、イミペネム、シラスタチン、テトラサイクリン、リメサイクリン、デメクロサイクリン、メタサイクリン、オキシテトラサイクリン、
【0040】
ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、スピラマイシン、フシジン酸、リンコマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、リファムピシン、アムホテリシンB、グリセオフルビン、ナイスタチン、バンコマイシン、メトロニダゾール、チニダゾール、トリメトプリム、ノルフロキサシン、サラゾスルファピリジン、アミノサリル、イソニアジド、エタムブトール、ニトロフラントイン、ナリジクス酸、メタナミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、チニダゾール、ケトコナゾール、アシクロビル、インターフェロン イドクスウルジン、レチナール、チアミン、デクスパンテノール、ピリドキシン、葉酸、アスコルビン酸、トコフェロール、フィトミナジオン、フェンフルラミン、コルチコトロピン、テトラコサクチド、チロトロピン、ソマトトプリン、ソマトレム、バソプレシン、リプレシン、デスモプレシン、オキシトシン、クロルイオンゴナドトロピン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルオドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、フルオキシメステロン、メステロロン、ナンドロロン、スタノゾロール、オキシメトロン、シプロテロン、レボチロキシン、リオチロニン、プロピルチオウラシル、カルビマゾール、チアマゾール、ジヒドロタキステロール、アルファカルシドール、カルシチロール、インスリン、トルブタミド、クロルプラミド、トラザミド、
【0041】
グリピジド、グリベンクラミド、フェノバルビタール、メチプリロン、ピリチリジオン、メプロバマト、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、ジカリウムクロラゼパト、ロラゼパム、フルニトラゼパム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ヒドロキシジン、クロメチアゾール、プロピオンマジン、アリメマジン、クロルプロマジン、レボメプロマジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、トリフルオペラジン、ジキシラジン、チオジラジン、ペリシアジン、クロプロチキセン、ズクロペンチゾール、フルペンチゾール、チチキセン、ハロペリドール、トリミプラミン、オピラモール、クロミプラミン、デシプラミン、ロフェプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、マプトロチリン、カフェイン、シンナリジン、シクリジン、ジメンヒジネート、メクロジン、プロメタジン、チエチルペラジン、メトクロプラミド、スコポラミン、フェノバルビタール、フェニトイン、エトスキミド、プリミドン、カルバマゼピン、クロナゼパム、オルフェナドリン、アトロピン、ベサトロピン、ビペリデン、メチキセン、プロシリジン、レボドーパ、ブロモクリプチン、アマンタジン、アムベノン、ピリドスチグミン、シンスチグミン、
【0042】
ジスルフィラム、モルヒネ、コデイン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ペチジン、フェノペリジン、フェンタニル、メタドン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、ケトベミドン、アセチルサリチル酸、フェナゾン、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、ピロキシカム、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、シプロヘプタジン、ピジチフェン、フルメドロキソン、アロプリノール、プロベニシド、ナトリウムオウロチオマレートオウロノフィン、ペニシラミン、エスタラジオール、エストラジオールバレリアネート、エストリオール、エチニルエストラジオール、ジヒドロゲステロン、リネストレノール、メドロキシプログレステロン、ノレチステロン、シクロフェニレ、クロミフェン、レボノルゲストレル、メストラノール、オルニダゾール、チニダゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、ナタマイシン、ミコナゾール、スルベンチン、メチルエルゴタミン、ジノプロスト、ジノプロストン、ゲメプロスト、ブロモクリプチン、フェニルプロパノールアミン、ナトリウムクロモグリケート、アゼタソラミド、ジクロフェナミド、ベータカロテン、ナロキソン、カルシウムフォリネート、特にクロニジン、テオフィリン、ジピラダモール、ヒドロクロチアザド、スコポラミン、インドメタシン、フロセミド、塩化カリウム、モルヒネ、イブプロフェン、サルブタモール、テルブタリン、スルホニルウレア、メトホルミン、インスリン、カルシトニン、グルカゴン様ペプチド-1、またはそれらの組合せである。
【0043】
活性物質は、例えば、非電荷もしくは電荷分子、分子複合体、結晶形、非晶形、多形、溶媒和物、無水物、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ラウリル酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、およびサリチル酸塩のような薬理学的に許容される塩のような種々の形態で存在し得る。酸性の活性物質に対して、金属、アミン、アミノ酸もしくは有機カチオンの塩、4級アンモニウムの塩が用いられ得る。本明細書中の使用に適した溶解性を有する、例えばエステル、エーテルおよびアミドのような活性物質の誘導体が、単独またはその他の薬物との混合で用いられ得る。薬物送達システムからの誘導体の放出後、それは、親薬物または別の生物学的に活性な形に、酵素により変換されるか、生体pHもしくはその他の代謝工程により加水分解され得る。
【0044】
本発明の医薬組成物は、さらに、例えばリパーゼ、プロテアーゼ、カルボハイドレート(carbohydrates)、アミラーゼ、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、リゾチーム、ナノ粒子等のようなホルモン、酵素のようなペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質および抗体の送達にも適し得る。本組成物は、例えば連鎖球菌(例えばエス・フェシウム(S. faecium))、バチルス エスピーピ(spp.)(例えばビー・ズブチリス(B. subtilis)およびビー・リケニフォルミス(B. licheniformis))、ラクトバクテリア、アスペルギルス エスピーピ(spp.)のような胃腸のバクテリアのようなバクテリア、ビフィドジェニック(bifidogenic)因子、または常在ウイルス(indigenous vira)、エンテロウイルス(enterovira)、バクテリオファージのようなウイルス(例えばワクチン)、ならびにパン酵母、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)および不完全菌類のような菌類のような、生存しているか、弱毒化されているか、または死んでいる微生物の送達にも採用され得る。
【0045】
本発明の組成物が適しているさらなる使用は、動物への活性物質の送達である。動物への使用のためのそのような活性物質の例は、駆虫剤、コルチコステロイド、抗生物質、抗炎症剤、成長促進剤およびパーミッタント(permittants)、抗真菌剤ならびに抗蠕虫薬である。
【0046】
本発明の医薬組成物の第2フラクションのマトリックスは、もし活性物質があるなら、0次放出メカニズムによるような制御された様式で活性物質を放出するように設計され得る。したがって、本組成物は、活性物質の制御された放出、すなわち、最初に活性物質の(マトリックス、第2フラクションからの)制御された放出、そして次に(第1フラクションからの)同一または異なる活性物質の比較的速い放出またはその他の好適な放出の組合せにも適する。本文脈において、「制御された放出」の用語は、所定の放出期間中、放出が所望の速度を示すことに用いられる。「修飾された(modified)」、「遅延された(delayed)」、「持続された(sustained)」、「延長された(prolonged)」、「拡張された(extended)」等の放出のような用語は、本文脈において、「制御された放出」の用語と同意語である。
【0047】
本発明の態様において、活性物質は医薬的に活性な粉末である。典型的には、粉末は、約0.1 μm〜約500 μm、典型的には約0.5 μm〜約300 μm、より典型的には約1 μm〜約200 μm、特に約5 μm〜約100 μmの粒子サイズを有する。
【0048】
本発明による医薬組成物は、水溶性のならびに溶けにくいかまたは溶けない活性物質への使用に適している。しかしながら、少なくとも一つの治療的、予防的および/または診断的に活性な物質が、周囲温度で水に対して、例えば最大で約1 mg/ml、最大で約0.1 mg/ml、例えば最大で約0.001 mg/mlのような最大で約0.05 mg/mlのような、最大で約3 mg/ mlの溶解度を有するときの使用に、組成物が特に適することが意図される。
【0049】
少なくとも一つの治療的、予防的および/または診断的に活性な物質は、本組成物または第1フラクションの、例えば0.1重量%〜80重量%のような、0.25重量%〜75重量%のような、0.5重量%〜60重量%のような、0.75重量%〜50重量%のような、1重量%〜40重量%のような、1.5重量%〜35重量%のような、1.75重量%〜30重量%のような、約80重量%まで、典型的には約70重量%まで、約60重量%までまたは約50重量%までの量で存在するのが適当である。1以上の活性物質が第2フラクション中に含まれる場合、約60〜80重量%の含量が、最大含量であることが意図され、それは、該組成物中に、ポリマーおよび該当するときは医薬的に許容される賦形剤の十分な含量をまだ可能にする。一方、活性物質は、当該活性物質の性質および効力に依存して、ずっと少量で組成物中に存在し得る。
【0050】
医薬物質を含む本発明による組成物は、典型的には、経口投与用である。活性物質の放出速度を制御することを可能にするため、本組成物は、1日当たり1〜6回、通常、1日1〜3回、1〜2回または1回のような、1〜4回の経口投与が適応される。科学技術により、1日1または2回だけの投与用組成物も提供し得る。本文脈において、「1日1回」の用語は、適当な治療的および/または予防的応答を得るために、1日当たり1回の医薬組成物を投与することのみが必要であることを意味することが意図される。しかしながら、要求される活性物質の量が、1つだけの組成物中に製剤化できないか、またはより小さいサイズの組成物が好ましい場合、あらゆる投与は、1以上の投薬単位、例えば2〜4の投薬単位の共-投与を含み得る。
【0051】
活性物質の投与量は、特定の物質、その組成物等で治療されるヒトまたは動物の年齢、体重状態等に依存する。そのような因子の全ては、当業者によく知られている。
【0052】
医薬的に許容される賦形剤
本発明による医薬組成物は、1以上の医薬的に許容される賦形剤を含み得る。賦形剤は組成物の第1フラクションおよび/または第2フラクション中に存在し得る。
本発明の組成物中への使用に適した医薬的に許容される賦形剤は、充填剤、希釈剤、崩壊剤、グリダント(glidants)、pH調整剤、粘度調整剤、溶解性増加または減少剤、浸透活性剤(osmotically active agents)および溶剤からなる群から選択され得る。
【0053】
好適な賦形剤は、通常の錠剤またはカプセル賦形剤を含む。これらの賦形剤は、例えばリン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、乳糖もしくはショ糖もしくはその他の2糖類、セルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、乾燥澱粉、グルコースもしくはその他の単糖類、デキストリンもしくはその他の多糖類、ソルビトール、イノシトールまたはそれらの混合物のような希釈剤;アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、澱粉、ゼラチン、糖類(グルコース、ショ糖、デキストロースおよび乳糖を含む)、糖蜜、アイリッシュモス抽出物、パンワールガム(panwar gum)、ガッチ(ghatti)ガム、イサポール皮(isapol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヴィーガム(veegum)、カラマツ アラボラクタン(arabolactan)、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、水、アルコール、ワックス、例えばPVP K90 (ポリマーとその他の成分との混合を改善するために用いられ得る)のようなポリビニルピロリドンまたはそれらの混合物のような結合剤;
【0054】
タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、カーボワックス4000、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびそれらの混合物のような滑沢剤;澱粉、クレイ、クロスカルメロースを含むセルロース誘導体、ガム、アリグン(aligns)、炭酸水素塩と弱酸との種々の組合せ(例えば炭酸水素ナトリウム/酒石酸またはクエン酸) クロスプロビドン(crosprovidone)、ナトリウム澱粉グリコレート、寒天、カチオン交換樹脂、カンキツ類の果肉、ヴィーガムHV、天然の海綿、ベントナイトまたはそれらの混合物のような崩壊剤;水性アルコールを含むアルコール、石油ベンジン、アセトン、エーテルまたはそれらの混合物のような揮発性溶剤;ソルビトールおよびグリセリンのような可塑剤;およびカカオバター、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキサイド(例えば約1,000〜500,000 ダルトン、典型的には約1,000〜100,000 ダルトン、より典型的には1,000〜50,000 ダルトン、特に約1,000〜10,000 ダルトン、とりわけ約1,500〜5,000 ダルトンの分子量を有するもの)、およびそれらの混合物、水素化植物油、グリセリン化されたゼラチンまたはそれらの混合物のようなその他のものであり得る。
【0055】
さらに、マトリックス組成物はセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択されるセルロース誘導体を含み得る。これらのセルロース誘導体の中で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびメチルセルロースが、本組成物中に組み込むのに好ましい。
【0056】
その上、マトリックス組成物は、上品でかつ口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、着香剤および着色剤からなる群から選択される1以上の剤を含み得る。着色剤の例は、水溶性FD&C染料ならびに対応するレーキおよびAmstarからのDi-Pacのような直接圧縮糖とそれらとの混合物である。さらに、トラガカントゴム、アラビアゴムまたはアタパルガイトタルクのような着色された染料移動阻害剤(colored dye migration inhibitors)が添加され得る。具体的な例は、炭酸カルシウム、クロム-コバルト-アルミニウムオキサイド、フェロシアン第2鉄、酸化第2鉄、クエン酸鉄アンモニウム、酸化鉄(III)水和物、酸化鉄、炭酸マグネシウム、二酸化チタンを含む。
【0057】
適当な充填剤の例は、デキストリン、スクラルフェート、カルシウムヒドロキシ-アパタイト、リン酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムのような脂肪酸塩もである。
充填剤は、充填剤と活性物質との組合せが、第1の組成物の約60重量%まで、典型的には約50重量%まで含むような量で加えられ得る。
【0058】
組成物を軟らかくするために、可塑剤が組成物に組み込まれ得る。好適な可塑剤は、リン酸エステル;フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸および脂肪酸エステル;脂肪アルコール;植物油ならびにアセチル化され、水素化された綿実グルセリドおよびアセチル化され、水素化された大豆油グリセリドを含む水素化された植物油;クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、ジプロピレングリコールサリチレートグリセリン、グリセリルココエート(cocoate)、モノ-およびジ-アセチル化モノグリセリド、ニトロベンゼン、二硫化炭素、サリチル酸β-ナフチル、グリコール酸フタリル、フタル酸ジオクチル;ソルビトール、ソルビトールグリセリルトリシトレート;スクロースオクタアセテート;α-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、リン酸エステル;
【0059】
フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸および脂肪酸エステル;脂肪アルコール;および植物油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールおよびミリスチルアルコールを含む脂肪アルコール;アビエチン酸メチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、アジピン酸ジイソオクチル、アミルオレエート、リシノール酸ブチル、安息香酸ベンジル、脂肪酸のブチルおよびグリコールエステル、ブチルジグリコールカーボネート、ブチルオレエート、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ(β-メトキシエチル)、セバシン酸ジブチル、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、トリエチレングリコールジ(β-エチルブチレート)、ポリエチレングリコールジ(2-エチルへキソエート)、ジエチレングリコールモノラウレート、単量体の(monomeric)ポリエチレンエステル、ロジンの水素化メチルエステル、メトキシエチルオレエート、ステアリン酸ブトキシエチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、グリセロールトリブチレート、トリエチレングリコールジペラルゴネート(dipelargonate)、β-(p-tert-アミル フェノキシ)エタノール、β(p-tert-ブチルフェノキシ)エタノール、β-(p-tert-ブチルフェノキシエチル)アセテート、ビス(β-p-tert-ブチルフェノキシジエチル)エーテル、カンファー、クマール(Cumar)W-1、クマールMH-1、クマールV-1、フタル酸ジアミル、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキサイド、工業用ヒドロアビエチルアルコール(technical hydroabietyl alcohol)、ベッコリン(beckolin)、ベンゼンへキサヒドロクロンデ(benzene hexahydrochlonde)、クロラフィン(Clorafin)40、ピッコラスティック(Piccolastic)A-5、ピッコラスティックA-25、フレキソール(Flexol)B-400、グリセロールα-メチルα-フェニルエーテル、塩素化ナフタレン、HB-40、モノアミルフタレート、ネヴィラック(Nevillac)10 o-ニトロジフェニルおよびパラクリル(Paracril)26からなる群から選択される。
【0060】
好ましい抗酸化剤は、TPG(例えば界面活性のためにTPGSの形態で)、BHA、BHT、t-ブチルヒドロキノン、アスコルビン酸カルシウム、没食子酸、ヒドロキノン、マルトール、没食子酸オクチル、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、トコフェロールおよびその誘導体、クエン酸、酒石酸、およびアスコルビン酸を含む。その他の抗酸化剤は、例えばホスファイトのような3価のリン、フェノール性抗酸化剤、ヒドロキシルアミン、置換されたベンゾフラノンのようなラクトンを含む。ヒンダード(Hindered)フェノール、チオシンナージスト(thiosynergists)および/またはヒンダードアミンが、ポリマーの長期安定性に対して有益である。一方、次の抗酸化剤:酸(アスコルビン酸、エリソルビン酸、エチドロン酸、没食子酸、次亜リン酸、ノルジヒドログアイレチックアシッド(nordihydroguairetic acid)、プロピオン酸等)、フェノール(例えばBHA、BHT、t-ブチルヒドロキノン、没食子酸ドデシル、没食子酸オクチル、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン)、有機および無機塩(アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム)、エステル(アスコルビン酸カルシウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリシチル、チオジプロピオン酸ジステアリル)、ピラノン(マルトール)、およびビタミンE(トコフェロール、D-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、トコフェリルアセテート、d-α-トコフェリルアセテート、dl-α-トコフェリルアセテート)は活性物質が酸化の影響を受けやす状況においても好適である。しかしながら、当該技術分野で公知のその他の抗酸化剤も、本発明に従って用いられ得る。
【0061】
コーティング
上記のように、本発明による組成物は、コーティングされ得る。マトリックスの制御された面領域が周囲の体液に曝されることを確実にするように、コーティングが機能するような場合、コーティングは、通常、第2フラクションのマトリックスの一つの面を露出する、少なくとも一つの開口を有する。しかしながら、本発明の組成物がコーティングを必要としない場合、すなわち第1フラクションが、第2フラクション中に、埋め込まれるかまたはカプセル化されている場合、そのとき組成物はコーティングを施されるか、または施されなくてもよい。カプセル化されている場合、そのようなコーティングは、活性物質をさらに遅延して放出する性質を与えるか、または放出を遅らせないが、例えば組成物をより飲み込みやすくするかもしくは例えば悪い味をマスクする、フィルム-コーティングもしくはその他の種類のコーティングであってもよい。そのようなコーティングに適した材料は、当業者にとって周知であり、情報は、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipientsのような教科書の最新版またはRemington's Pharmaceutical Sciences中に見出すことができる。
【0062】
従って、本明細書の前で述べたように、本医薬組成物は、意図した放出期間、体液のような液体に実質的に不溶性でありかつ不浸透性であるコーティングが施され得る円筒形の棒状の形態を有してもよく、そのコーティングは片端または両端に開放を有する。コーティング材として有用なポリマーは、好ましくは、押出し、溶液または分散体の形態により処理することが可能なものである。食品用または医薬用品質で入手可能なのものが、最も好ましい。そのようなポリマーの例は、セルロースアセテート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレネム(polypropylenem)ポリウレタン、ポリビニルアセテート、ポリビニルクロライド、シリコンラバー、ラテックス、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、テフロン(登録商標)、ポリ乳酸またはポリグリコール酸およびそれらのコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、スチレン-ブタジエンスチレン(SBS)およびスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)のようなコポリマーである。
【0063】
本コーティングは、コーティングがマトリックス組成物よりも非常にゆっくりと溶解するので、マトリックスが侵食され、活性物質を放出するまでコーティングが原形を保つ条件で、意図した放出期間、体液のような液体に実質的に溶解性でありかつ浸透性であるコーティングでもあり得る。好適なポリマーの例は、本明細書に記載のポリオールを含む。
【0064】
本コーティングは、マトリックスの残りよりも実質的により遅い速度で侵食する形態で、上記のあらゆるマトリックス材料をさらに含み得る。このように、本コーティングは、1以上の実質的に水溶性の結晶性ポリマーおよび任意に非イオン性の乳化剤のマトリックスを含んでもよく、該コーティングは、活性物質を含むマトリックス組成物より実質的に遅い速度で水相中で侵食されるものであり、それにより、活性物質を含むマトリックス組成物の実質的に一定の面積がマトリックス組成物の侵食の間に露出され、そしてそれにより、活性物質を含むマトリックス組成物の侵食においてコーティングが実質的に侵食される。そのようなコーティングは、その長期的な侵食速度が、マトリックスの長期的な侵食速度と実質的に同じであるように設計され、それにより、マトリックスおよびコーティングが、実質的に同一の速度で組成物の中心に向かって長期的に侵食される。したがって、マトリックス組成物が、水性媒体により完全に侵食されたとき、コーティングも実質的に完全に侵食される。そのようなコーティングを有するマトリックス組成物は、活性物質の放出において、完全に生物分解される明らかな利点を有する。そのようなコーティングは、典型的には、ポリエチレングリコールと例えばポリエチレングリコール400モノステアレートまたはもう一つの非イオン性の乳化剤の混合物との組合せであり、充填剤も含み得る。コーティング中の非イオン性の乳化剤と充填剤との混合の含量は、それぞれの特定の場合において、活性物質を含むマトリックスの例えば侵食速度およびサイズのような特性により決定されるであろう。
【0065】
本発明の態様において、コーティングは、マトリックスの侵食後に崩壊するかまたは粉々に砕けるものである。このタイプのコーティングは、それが活性物質を含むマトリックスにより担持されるかぎり、原形を保っているが、マトリックスの侵食後に原形を保つ能力は欠けている。なぜなら、それは、そのとき崩壊するかまたは粉々に砕け、それゆえ、それは、マトリックスの完全な侵食および活性物質の放出後、いかなる有意な期間、例えばヒトまたは動物中に残存しないであろうからである。
【0066】
本コーティングは、メタクリレート、メタクリレート−ガラクトマンナンのコポリマー等を用いる腸溶コーティングであってもよい。
興味ある態様において、本発明の制御された放出組成物は、マトリックスの少なくとも一つの面を露出した少なくとも一つの開口を有するコーティングをさらに含み、該コーティングは、水性媒体に対する曝露で、マトリックスが水性媒体中で侵食される速度と同一かまたはより遅い速度で粉々に砕け、そして/または侵食され、水性媒体に対するマトリックスの該面の曝露が制御されることを可能にするものである。このタイプのコーティングは、参考とされ、そして参照して本明細書に組み込まれるWO 95/22962に記載されている。
【0067】
これらのコーティングは:
(a) 熱可塑性を有し、組成物が用いられる水性媒体に実質的に不溶性の第1セルロース誘導体、例えば44.5〜52.5%の範囲のエトキシ含量を有するエチルセルロースのようなエチルセルロース、またはセルロースアセテート、セルロースプロピオネートもしくはセルロースナイトレート;
【0068】
および少なくとも一つの:
(b) 水に可溶性であるかまたは分散し得る第2セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、セルロースアセテートフタレート、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択されるセルロース誘導体;
【0069】
(c) 例えばリン酸エステル;フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸、およびポリエチレングリコール、グリセリンもしくは糖と脂肪酸とのエステル;脂肪アルコール、およびポリエチレングリコール、グリセリンもしくは糖と脂肪アルコールとのエーテル;および植物油からなる群;または非イオン性の界面活性剤から選択される可塑剤;ならびに
(d) 例えば希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤のような慣用の錠剤またはカプセル賦形剤から選択される賦形剤(filler)
を含む。
【0070】
例えばエチルセルロースのような第1のセルロース誘導体(a)は、典型的には、例えば約20〜約95重量%、約30〜約90重量%、約40〜約90重量%、約45〜約90重量%、約50〜約85重量%または約50〜約80重量%のような、約10〜99重量%の濃度で、コーティング中に含まれる。
【0071】
可塑剤の使用は、コーティングの加工性を改善するためにしばしば望ましいであろう。可塑剤は、非イオン性の界面活性剤、例えばジアセチル化モノグリセリド、ジエンチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノステアレート、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、マクロゴールエステル、マクロゴールステアレート400、マクロゴールステアレート2000、ポリオキシエチレン50ステアレート、マクロゴールエーテル、セトマクロゴール1000、ラウロマクロゴール、ノノキシノール、オクトシノール、チロキサポール、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレートおよびスクロースエステルからなる群から選択される非イオン性の界面活性剤のような界面活性剤;ニトロベンゼン、二硫化炭素、サリチル酸β-ナフチル、フタリルグリコレート、ジオクチルフタレートであってもよい。
その他の好適な可塑剤は、参考とされるEP-B-0 746 310から明らかである。
【0072】
医薬組成物の製造
本発明による医薬組成物は、押出し成形、溶融-押出し成形、射出成形等により製造され得る。コーティングは、コーティングと組成物との同時押出し成形(co-extrusion)、押出し成形と浸漬コーティング、射出成形と浸漬コーティングにより、または押出しもしくは射出成形と噴霧もしくは浸漬による溶剤コーティングによって塗布され得る。あらゆるコーティングと同様に第2フラクションは、もし存在するなら、押出し可能および/または射出成形可能であるのが好ましい。
【0073】
材料および方法
次の材料が用いられた:
アデプス ソリダス(Adeps Solidus)、Unikem、製薬品質
トウモロコシ油、Unikem、製薬品質
精製されたココナツ油、Unikem、製薬品質
ラッカセイ油、Unikem、製薬品質
セチルステアリルアルコール(CSA)、Broste、製薬品質
ステアリン酸、Sigma-Aldrich、分析品質
ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、Unikem、製薬品質
PEO 100 000、DOW、製薬品質
PEO 200 000、DOW、製薬品質
ポロキサマー188、BASF、製薬品質
オイドラギットRL、Rohm、製薬品質
カルシトニン、Bachem、製薬品質
コハク酸ヒドロコルチゾン、Sigma-Aldrich、分析品質
塩基としてカフェイン、Unikem、製薬品質
【0074】
溶出試験はUSP 25に従って行われた。
溶出媒体:USP 25に従った擬腸液(Simulated Intestinal Fluid)pH 6.8(リン酸二水素カリウム6.8 gと0.2N NaOH 77 mlを蒸留水ad. 1Lに溶解し、pHをpH 6.8に調整して製造)
【0075】
装置
2つの異なる装置を使用した:
溶出装置 1:Disslabバーション1.1を用いるオンライン システム モデルSOTAX AT7およびUV検出器モデルPEラムダ2(USP 25 装置2、パドルによる装置)
試験条件は37℃、50 rpmであった。
【0076】
溶出装置2:媒体温度制御のための標準VK 750D 外部加熱器/循環器を有するオフライン システム モデルVanKelバイオ-ディス(bio-dis)、延長放出試験器(USP 25、装置3による装置)
試験条件は37.5℃、12 dip/分であった。
【0077】
示差走査熱量測定(DSC)
N2供給PE 50 μlパンを有するDSCモデルPE Pyris 1およびインタークーラー モデルPE 1
一般的に、DSC曲線は次の条件を用いて得られた:
1) 10.00℃で2.0分間の保持
データ ポイント:120
2) 実施例1および2(カルシトニン)に対して、15.00℃/分で10.00〜50.00℃に加熱
データ ポイント:266
【0078】
フローテスト
フローテスト装置は、2 mmの厚さ、135 mmの長さおよび85 mmの幅のステンレス鋼板で、長さに交差して曲げられ、それゆえ、一部分(85×90 mm)は平坦で、もう一方(85×45 mm)は45°の角度に配置されている。傾斜した部分の上面に、1 mmの深さで3 mmの幅の7つの溝があり、より高い端から始める。溝は長さに沿って一列に並べられ、それらの間に5 mmの間隔がある。図4の1番目の部分は、上からのフローテスト装置を概略的に示し、図4の2番目の部分は側面からのフローテスト装置を概略的に示す。
【0079】
試験方法
装置は、使用前に約1/2時間、38℃±1℃(温度は温度計で測定される)でオーブン中に入れられる。内側の詰め物が、透明な(被覆)チューブ(4 mm×12 mm)に入れられ、一方の端に挿入される。そのチューブを、詰め物を上部にして、溝に置く。チューブとともに装置を5分間、38℃のオーブンに入れる。もし詰め物が溶融し(または十分に流動的になり)、チューブの端に流れ落ちるかまたはそれから流れ出れば、その製剤は本試験をパスする。
【実施例】
【0080】
実施例1
50 000ユニット カルシトニン オイル投薬単位を含む本発明による組成物
活性物質としてカルシトニンを含む、図1に概略したような形を有する3層の被覆された組成物は、次のようにして製造された:
【表1】

【0081】
外側の詰め物は、
重量%
PEO 200 000 60
クエン酸 5
PEG 2000 ms 5
トウモロコシ澱粉 30
を用いて、EP 0493 513 B1)の記載に従って製造された。
【0082】
カルシトニンを含む内側の詰め物は、次の組成を有した:
重量% mg
アデプス ソリダス 63 630
トウモロコシ澱粉 27 270
カルシトニン 10 100
【0083】
油状成分は、40℃より低い温度を保って溶融するまで、水浴中で加熱され、次いで、その溶融物を乳鉢に入れ、一定の撹拌下に約27℃まで冷却する。カルシトニンをその溶融物に加え、均一物になるまで撹拌し、内側のマトリックス組成物を得る。
【0084】
内側の詰め物の製造のために、金型(12 mmの投薬単位のために、直径4 mm×長さ4 mmの16の丸い穴を有するプレート)を用いる。金型は、製造前に少なくとも1時間、冷蔵庫中に置かれ、次いで、冷たい金型をガラス板の上に置き、溶融した/軟らかくなった内側のマトリックス組成物を金型中に注ぐ、そして、必要なら、金型の穴に圧入する。冷圧縮(すなわち、部分的に溶融している)は、活性物質の沈殿を避けるために用いられる。その金型は冷却され、フィルムで包まれ、使用まで冷蔵庫中に保管された。内側の詰め物は、質量の均一性を確保するために使用前に秤量される。
【0085】
マトリックスは、EP 0493 513 B1に記載された方法を用いて、
重量%
エチルセルロース 79
セチルステアリルアルコール 20
二酸化チタン 1
を含む組成物で被覆された。
【0086】
内側および外側の詰め物は、冷たい金属ピンで被覆中に冷たい内側の詰め物を圧縮することにより作られた。外側の詰め物は、同じように作られる。完成品の被覆された組成物は、使用まで冷蔵庫中に保管される。
【0087】
被覆は、直径4 mm、長さ12 mmおよび厚さ0.8 mmであった。外側の詰め物は、直径4 mmおよび長さ4 mmであった。内側の詰め物は、直径4 mmおよび長さ4 mmであった。
組成物は、溶出装置1を用いて、5時間かけて溶出試験に付された。溶出曲線は、273 nmでのUV検出を用いて、37℃、50 rpmで得られた。
その結果を図5に示す。約1と1/2〜2と1/4時間の遅延時間後に、カルシトニンの放出が始まり、約1/2時間後に全てのカルシトニンが放出された。
【0088】
組成物は、次の条件
1) 10.00℃で2.0分間の保持
データ ポイント:120
2) 15.00℃/分で10.00〜50.00℃に加熱
データ ポイント:266
を用いてDSCにも付された。
【0089】
図6にカルシトニン オイル マトリックスのDSCプロファイルを示す。カルシトニン製剤は、ピーク温度32.1℃および溶融区間の終了温度36.7℃を有し、それは体温以下である。
【0090】
実施例2
15,000ユニット カルシトニンを含む本発明による組成物
本組成物は上記の実施例1に記載のようにして製造したが、内側の詰め物が異なる組成:
材料 重量% mg
アデプス ソリダス 66.8 2004
ココナツ油 28.8 864
カルシトニン 4.4 132
を有する。
【0091】
本組成物は、溶出装置2を用いた溶出試験に付された。約5時間後に、擬腸液中でカルシトニンの放出が始まり(その溶液は、透明な無色の溶液から放出の最後に濁った溶液に変化する)、1/2時間内で終了する。
投薬単位は、破裂した。
【0092】
組成物は、次の条件
1) 10.00℃で2.0分間の保持
データ ポイント:120
2) 15.00℃/分で10.00〜50.00℃に加熱
データ ポイント:266
を用いてDSCにも付された。
図7にカルシトニン オイル マトリックスのDSCプロファイルを示す。
【0093】
実施例3
活性物質として20 mgのヒドロコルチゾンを含む本発明による組成物
本組成物は、前記の実施例1に記載のようにして製造したが、内側の詰め物が異なる組成:
材料 重量% mg
アデプス ソリダス 44.8 672
トウモロコシ油 19.2 288
コハク酸ヒドロコルチゾン 36 540
を有する。
【0094】
油状成分は、40℃より低い温度を保って溶融するまで、水浴中で加熱され、その溶融物を乳鉢に入れ、一定の撹拌下に約27℃まで冷却し、コハク酸ヒドロコルチゾンをその溶融物に加え、均一物になるまで撹拌した。
組成物は、溶出装置1を用いて、15時間かけて溶出試験に付され、溶出曲線が、273 nmでのUV検出を用いて、37℃、50 rpmで得られた。
その結果を図8に示す。約5と1/2時間後に、コハク酸ヒドロコルチゾンの放出が始まり、1/2時間後に終わる。投薬単位は破裂した。
【0095】
組成物は、次の条件
1) 10.00℃で2.0分間の保持
データ ポイント:120
2) 10.00℃/分で10.00〜100.00℃に加熱
データ ポイント:
を用いてDSCにも付された。
図9にコハク酸ヒドロコルチゾン組成物のDSCプロファイルを示す。コハク酸ヒドロコルチゾン組成物は、ピーク温度32.3℃および終了温度36.0℃を有し、それは体温以下である。
【0096】
実施例4
1.5 mgのカフェインを含む本発明による組成物
本組成物は、前記の実施例1に記載のようにして製造したが、内側の詰め物が異なる組成:
材料 重量%
アデプス ソリダス 67.9
トウモロコシ油 29.1
カフェイン 3
を有した。
【0097】
油状成分は、40℃を超えないで溶融するまで、ホットプレート上で加熱され、その溶融物を乳鉢に入れ、一定の撹拌下に約27℃まで冷却し、次いで、カフェインをその溶融物に加え、均一物になるまで撹拌した。
錠剤は、冷たい金属ステックを用いて、シェル中に冷たい内側の詰め物を圧縮するか、または内側の詰め物に対する下層としてガラスプレートを用いることにより作られる。外側の詰め物は同じようにして作られる。完成品の錠剤は使用まで冷蔵庫中に保管される。
【0098】
組成物は、溶出装置1を用いて、15時間かけて溶出試験に付され、溶出曲線が、273 nmでのUV検出を用いて、37℃、50 rpmで得られた。
その結果を図10に示す。1.5時間後にカフェインの放出が始まり、1/2時間後に終わる。投薬単位は1.5時間後に破裂した。
【0099】
組成物は、次の条件
1) 10.00℃で2.0分間の保持
データ ポイント:120
2) 15.00℃/分で10.00〜50.00℃に加熱
データ ポイント:266
を用いてDSCにも付された。
図11にカフェイン組成物のDSCプロファイルを示す。
カフェイン組成物は、ピーク温度30.3℃および終了温度34.7℃を有し、それは体温より低い。
【0100】
実施例5
本発明による組成物
以下の組成物(表1)は、本発明による組成物の内側の詰め物を製造するために用いることができる分散媒体における例である。得られる内側の詰め物は、外側の詰め物が消失するとすぐに、内側の詰め物がコーティングまたはコーティングの残りの部分から流れ出ることができるように設定された適当な融点(本明細書中に定義されたように)を有するオイル-ベースのマトリックスである。
【0101】
SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えることは、オイル小滴の張力を低下する。
内側の詰め物は、活性な成分の速い放出を達成するために用いられる。特に、水溶性の活性な成分が、より速い放出を達成するであろう。
【0102】
【表2】

【0103】
実施例6
本発明による組成物に対する種々のコーティング
次の組成物(表2)は、本発明による医薬組成物に塗布されうる異なる被覆の例である。これは、例えば、内側の詰め物、2つの外側の詰め物および被覆を含む、図2に示した形状を有する3層のコーティングされた組成物をもたらし得る。表2の被覆組成物は、例えば、実施例1に記載した投薬単位に塗布され得る。
【0104】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】3層の被覆された組成物の概略図である。
【図2】球形の第2フラクションにより取り囲まれた球形の組成物の概略図である。
【図3】卵形の第2フラクションにより取り囲まれた卵形の組成物の概略図である。
【図4】フローテスト装置の概略図である。
【図5】実施例1の組成物の溶出曲線である。
【図6】実施例1のカルシトニン オイル マトリックスのDSCプロファイルである。
【図7】実施例2のカルシトニン オイル マトリックスのDSCプロファイルである。
【図8】実施例3の組成物の溶出曲線である。
【図9】実施例3のコハク酸ヒドロコルチゾン組成物のDSCプロファイルである。
【図10】実施例4の組成物の溶出曲線である。
【図11】実施例4のカフェイン組成物のDSCプロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フラクションが、体温で十分に流体である分散媒体中に分散された治療的および/または予防的に活性な物質を含み、第2フラクションが実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーまたは実質的に水溶性でありかつ/もしくは結晶性のポリマーの混合物を含むマトリックスを含み、該第1フラクションが、投与において、該第1フラクションが胃腸の液体に曝されるようになる以前に、該第2フラクションの少なくとも一部が該液体に最初に曝されるような様式の組成物中に含まれる、該第1フラクションおよび第2フラクションを含む経口使用のための一回投与単位形態にある固形の医薬組成物。
【請求項2】
本明細書に記載されたフローテストに従って試験されたとき、第1フラクションの分散媒体がその試験をパスする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
本明細書に記載されたフローテストに従って試験されたとき、第1フラクションがその試験をパスする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
第1フラクションの分散媒体が、最大で約50℃の溶融遮断点を有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
第1フラクションが、最大でも約50℃の溶融遮断点を有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
第1フラクションの分散媒体が、例えば約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上または約25℃以上のような、約0℃以上の溶融開始点を有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
第1フラクションが、例えば約5℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上または約25℃以上のような、約0℃以上の溶融開始点を有する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
第1フラクション中に含まれる活性物質の遅延放出を有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
インビトロの溶出試験で試験されたとき、第1フラクション中に含まれる活性物質の最大で約5重量%が、試験開始後15分以上の時間で組成物から放出される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
第1フラクション中に含まれる活性物質の最大で約5重量%が、試験開始後、例えば1時間以上、1.5時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上または8時間以上のような、30分以上の時間で組成物から放出される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
分散媒体が、1以上の溶媒、1以上の補助溶媒、1以上のオイル、1以上のワックスおよび/または1以上の半固形物質を含む、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
分散媒体が脂質ベースの媒体である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
分散媒体が水ベースの媒体である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
分散媒体が、カカオバター、エステル化、水素化、分別化等により改質された例えば植物油のようなコカブッテ代用品、シアバター、出発物質として異なるトリグリセリドを用いたものを含むアデプス ソリダス、蜜蝋を含むワックス、カカオ脂、脂肪性基剤、ウェコビー基剤、ウィテップゾールベースの水溶性基剤のような水素化植物油基剤、ココナッツ油、パーム核油、綿実油、オリーブ油、トウモロコシ油、ピーナツ油、ゴマ油、ヒマワリ油およびミグリオール813を含む植物油、ならびそれらの混合物からなる群から選択される物質を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
分散媒体が、20,000以下の分子量を有するポリエチレングリコール、グリセリン化されたゼラチン、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを含む、請求項1〜14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
第1フラクション中の媒体が水ベースであり、界面活性剤、乳化剤および/またはナノ粒子を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
第1フラクションが組成物の内層中に含まれ、内層の少なくとも一つの面が第2フラクションのマトリックスの少なくとも一つの面と接触している、請求項1〜16のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
組成物が、第2フラクションのマトリックスの一つの面を露出する、少なくとも一つの開口を有するコーティングで被覆されている、請求項1〜17のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
第1フラクションからの活性物質の放出が、0次放出と異なる動態に従う、請求項1〜18のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
インビトロ溶出試験法を用いて試験されたとき、試験開始後、例えば3時間以上、4時間以上、5時間以上、6時間以上、7時間以上、8時間以上、9時間以上、10時間以上、11時間以上、12時間以上、13時間以上、14時間以上、15時間以上または16時間以上のような、2時間以上で測定したとき、第1フラクションからの活性物質の放出が、最大で約15重量%、最大で約10重量%、最大で5重量%、最大で約2.5重量%、最大で約1重量%または最大で約0.1重量%のような、最大で約20重量%である、請求項1〜19のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
インビトロ溶出試験法を用いて試験され、その試験の開始時点が、第1フラクション中に含まれる活性物質の全量の20重量%が放出されたときの時点として定義されるとき、第1フラクション中に含まれる活性物質の全量の、例えば少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%または少なくとも約95重量%のような、少なくとも約75重量%が、90分以内に放出される、請求項1〜20のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
第1フラクション中の活性物質の量が、1日の治療用量または1日の治療用量の一部に相当する、請求項1〜21のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項23】
第2フラクション中に活性物質をさらに含む、請求項1〜22のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項24】
第2フラクション中の活性物質が、第1フラクション中に含まれる活性物質と同一であるかまたは異なる、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
活性物質が、室温で、最大で約3 mg/mlの水溶解性を有する、請求項1〜24のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項26】
活性物質がペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質である、請求項1〜25のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項27】
第2フラクションのマトリックスがポリグリコールを含む、請求項1〜26のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項28】
第2フラクションのマトリックスがホモポリマーおよび/またはコポリマーを含む、請求項1〜27のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項29】
第2フラクションのマトリックスが、ポリ(エチレン-グリコール-b-(DL-乳酸-コ-グリコール酸)-b-エチレングリコール(PEG-PLGA PEG)、ポリ((DL-乳酸-コ-グリコール酸)-g-エチレングリコール)(PLGA-g-PEG)、およびポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド(PEO-PPO)を含む、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマーを含む、請求項1〜28のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項30】
ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマーが、例えば約20,000〜約700,000ダルトン、約20,000〜約600,000ダルトンのような、約20,000ダルトンからの分子量、例えば約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約75,000ダルトン、約100,000ダルトン、約150,000ダルトン、約200,000ダルトン、約250,000ダルトン、約300,000ダルトンまたは約400,000ダルトンのような、約35,000〜約500,000ダルトン、約35,000〜約400,000ダルトン、約35,000〜約300,000ダルトン、約50,000〜約300,000ダルトンの分子量を有する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマーが、プロピレンオキサイドベースのブロックを約30重量%まで含み、約5,000ダルトンの分子量、典型的には、例えば約8,000〜約15,000ダルトンのような、約5,000〜約30,000ダルトンの分子量を有する、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
第2フラクションのマトリックスが、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような、約20〜120℃の融点を有するポリマーを含む、請求項1〜31のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項33】
コーティングが、第2フラクションの前記マトリックスの一つの面で露出する少なくとも一つの開口を有するコーティングであり、該コーティングが
a) 熱可塑性を有し、組成物が用いられる水性媒体中で実質的に不溶性の第1セルロース誘導体、
ならびに
b) 水に可溶または分散し得る第2セルロース誘導体、
c) 可塑剤、および
d) 賦形剤
の少なくとも一つを含む、請求項18〜32のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項34】
組成物が用いられる水性媒体中で、第2フラクションのマトリックスが完全に侵食される前に、コーティングが完全に崩壊しないかまたは侵食されない、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記の第1セルロース誘導体が、加熱されたとき、射出成形、吹込み成形および圧縮成形を含む成形または押出しにより成形可能なセルロースエーテルである、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
セルロースエーテルが少なくとも一つのエチルセルロースを含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
前記のエチルセルロースが44.5〜52.5%の範囲のエトキシ含量を有する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記のエチルセルロースが45〜49.5%の範囲のエトキシ含量を有する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記の第1セルロース誘導体が、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび硝酸セルロースからなる群から選択される、請求項33に記載の組成物。
【請求項40】
前記の第2セルロース誘導体が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、セルロースアセテートフタレート、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択される、請求項33〜39のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
前記のカルボキシメチルセルロースの塩が、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記の可塑剤が、リン酸エステル;フタル酸エステル;アミド;鉱油;脂肪酸、およびポリエチレングリコール、グリセリンもしくは糖と脂肪酸とのエステル;脂肪アルコール、およびポリエチレングリコール、グリセリンもしくは糖と脂肪アルコールとのエーテル;植物油および水素化された植物油;ニトロベンゼン、二硫化炭素、β-ナフチルサリチレート、フタリルグリコレート、およびジオシルフタレートからなる群から選択される、請求項33〜41のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項43】
前記の脂肪アルコールが、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールおよびミリスチルアルコールからなる群から選択される、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記の可塑剤が非イオン性界面活性剤である、請求項33〜43のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項45】
前記の賦形剤が、充填剤、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤または水溶性抗酸化剤、脂溶性抗酸化剤および/もしくは保存剤である、請求項33〜44のいずれか一つに記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−542312(P2008−542312A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513932(P2008−513932)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000312
【国際公開番号】WO2006/128471
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(505360306)
【氏名又は名称原語表記】EGALET A/S
【住所又は居所原語表記】Lejrvej 39−41,Kirke Vaerlose,DK−3500 Vaerlose,DENMARK
【Fターム(参考)】