説明

分散性が高く、非特異的吸着を防止した複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、粒子表面修飾方法、及び複合粒子の製造方法

【課題】生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着を防止し、高い分散性を有し、かつ生体分子の結合のための官能基の導入が可能な複合粒子及び複合粒子コロイド、ならびにその製造方法を提供する。測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い分析試薬を提供する。
【解決手段】シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着してなる、シリカ粒子と有機分子よりなる複合粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機分子を粒子表面に静電的引力により吸着させてなる、分散性が高い複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、粒子表面修飾方法、及び複合粒子の製造方法に関する。さらに、本発明は、生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着の発生を防止した複合粒子、複合粒子コロイド、それを用いた分析試薬、粒子表面修飾方法、及び複合粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、数nm〜1μm程度の微粒子が様々な分野に応用され、注目を集めている。例えば、吸着剤、触媒などに用いられる、多孔質シリカ粒子やゼオライト粒子、顔料に用いられるカーボンブラック、金属酸化物粒子、無機化合物粒子、導電材料に使われる金属ナノ粒子、樹脂の補強剤に使われるシリカ粒子など粒子の材質および用途は多岐にわたる。また、半導体ナノ粒子や、蛍光物質を封入したシリカ粒子は、特にバイオ分野において、新たな蛍光標識剤として、蛍光試薬への応用が期待されている。
蛍光試薬は、蛍光粒子表面にタンパク質や、DNAが結合したものであり、このタンパク質やDNAが特定の生体分子と相互作用することによって、生体分子の検出、定量、染色等に利用されるものである。半導体ナノ粒子や蛍光シリカ粒子などの蛍光粒子は高輝度かつ高い光安定性を有するため、蛍光粒子を用いた蛍光試薬の開発が注目を集めている。
蛍光粒子を蛍光試薬として用いるためには、下記の課題を満足する表面修飾が必要である。
(1)生体分子を結合するための官能基の導入
(2)緩衝液中での分散安定化
(3)非特異的吸着防止
以下、上記(1)〜(3)それぞれの課題について具体的に述べる。
(1)生体分子を結合するための官能基の導入
シリカ粒子と生体分子を一体化し安定に機能させるためには、シリカ粒子と生体分子を不可逆的に結合させることが必要である。そのためにはイオン結合や物理化学的吸着ではなく、シリカ粒子と生体分子を共有結合させることが必要である。
タンパク質は、アミノ基、カルボキシル基、チオール基等を有する。また、DNAについても、末端修飾によってアミノ基やチオール基を付与することが出来る。よってシリカ粒子にもアミノ基、カルボキシル基、チオール基等を導入すれば、架橋剤や縮合剤を用いて、シリカ粒子と生体分子を共有結合させることが可能である。
(2)緩衝液中での分散安定化
粒子の凝集・分散に働く引力と斥力をモデル化して表現したものとして、DLVO理論が知られている。これは粒子間の静電的反発力とファンデルワールス力で、粒子の凝集・分散を説明するものである(例えば、非特許文献1参照。)。
生体分子は、生理食塩水等のイオン濃度が高い水溶液中で用いられることが多い。イオン濃度が高い水溶液中では、遮蔽効果によってイオンがシリカ粒子の静電的反発力を弱めるため、粒子の凝集が起こりやすくなる。イオン濃度が高い水溶液中でも粒子が安定に分散するためには、静電的反発力以外の反発力を付与することが必要である。
静電的反発力以外に粒子間の斥力として働くものとして、立体反発力がある。これは、自由度をもった分子の鎖が互いに反発することにより、粒子間の斥力として働くものである。従って、粒子表面に自由度の高い分子鎖を導入することにより、粒子の分散性を向上させることができる。
(3)非特異的吸着防止
蛍光粒子が蛍光試薬として機能するためには、蛍光粒子に結合した生体分子がターゲットに対して特異的結合等により選択的に結合することが必要である。ターゲット以外の生体分子に非特異的に結合したり、基板に吸着が起きると、それだけ測定の感度や正確性、信頼性が低下することになる。
非特異的吸着を低減させるためには、分散性向上と同様に、立体反発力の付与が必要である。
【0003】
以上の観点より、蛍光粒子の応用には表面修飾が必要となる。粒子の表面修飾の方法には、シランカップリング剤でシランコーティングする方法、高分子のビーズに取り込ませる方法、脂質二重膜に内包させる方法、チオール基を介して低分子を結合する方法などが知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、シランカップリング剤でコーティングする方法は、適用できる粒子の材質が無機粒子、金属粒子、シリカ粒子などに限られ、また、シランコーティングしただけでは十分な分散性が得られないことが問題である。高分子のビーズに取り込ませる方法は、コストがかかり、また、粒径が増大してしまうことが問題である。脂質二重膜に内包させる方法は、水中での分散性は高いものの、脂質二重膜自体が不安定なため、長期的な分散性の点で問題がある。チオール基を介して低分子を結合させる方法に関しても、適用できる粒子が金属に限られる。
以上のように、様々な材質の粒子に適用でき、かつ、長期間安定な表面修飾方法は未だ知られていない。
【非特許文献1】北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995
【特許文献1】特開2003−11505公報
【特許文献2】特開2004−77389公報
【特許文献3】特開2006−131771公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑みて、生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着の発生を防止し、高い分散性を有し、かつ生体分子の結合のための官能基の導入が可能な複合粒子及び複合粒子コロイドを提供することにある。
また、本発明の目的は、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い分析試薬を提供することにある。また、本発明の目的は、粒子表面上にカチオン性有機分子とアニオン性有機分子とを重畳的に吸着でき、様々な材質の粒子に適用できる粒子表面修飾方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、様々な材質の粒子に適用でき、非特異的吸着の発生を防止し、高い分散性を有し、かつ生体分子の結合のための官能基の導入が可能な複合粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は下記の手段により達成された。
(1) シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着してなる、シリカ粒子と有機分子よりなる複合粒子。
(2) シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着し、ポリエチレングリコール誘導体が共有結合し、かつ前記有機分子の外側に位置してなる、シリカ粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の複合粒子。
(3) シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着し、ポリエチレングリコール誘導体が、前記誘導体の一方の末端で前記有機分子に共有結合し、前記有機分子の外側に位置し、かつ前記ポリエチレングリコール誘導体の他方の末端に生体分子が共有結合してなる、シリカ粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の複合粒子。
(4) 前記シリカ粒子の表面に吸着した有機分子が、カチオン性有機分子およびアニオン性有機分子であって、最も内側のカチオン性有機分子が前記シリカ粒子に吸着し、更にアニオン性有機分子が前記カチオン性有機分子に吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造、又は前記アニオン性有機分子が前記カチオン性有機分子に吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造を複数回繰り返し、最も外側に前記アニオン性有機分子が位置する構造を有する、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(5) 前記カチオン性有機分子及びアニオン性有機分子が、それぞれ、有機分子層を形成していることを特徴とする、(4)に記載の複合粒子。
(6) 前記最も外側のアニオン性有機分子に、前記ポリエチレングリコール誘導体が共有結合していることを特徴とする、(4)又は(5)に記載の複合粒子。
(7) 前記アニオン性有機分子が、ポリアクリル酸、アルギン酸、ポリスチレンスルホン酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、又はグルタミン酸もしくはアスパラギン酸の少なくとも1種を含有するポリペプチドのいずれかであって、前記カチオン性有機分子が、ポリアリルアミン塩酸塩、キトサン、ポリリシン、又はリシンのいずれかである、(6)に記載の複合粒子。
(8) 前記アニオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、前記カチオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、及び/又は前記アニオン性有機分子と前記カチオン性有機分子とが部分的に共有結合を介して結合していることを特徴とする、(6)又は(7)に記載の複合粒子。
(9) 前記ポリエチレングリコール誘導体が有する、前記有機分子と共有結合する末端の官能基が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、マレイミド基又はスクシンイミジルエステル基のいずれかであり、前記ポリエチレングリコール誘導体が有する他方の末端の官能基が、カルボキシル基、チオール基、メトキシ基、水酸基、アミノ基、マレイミド基又はスクシンイミジルエステル基のいずれかである、(4)〜(8)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(10) 前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド又は化学物質であることを特徴とする、(3)〜(9)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(11) 前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmである、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の複合粒子。
【0006】
(12) 前記有機分子の分子量が50〜100000である、(1)〜(11)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(13) pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜60mVである、(1)〜(12)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(14) pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が35〜60mVである、(1)〜(13)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(15) 前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmで、前記有機分子の分子量が50〜100000である、(1)〜(14)のいずれか1項に記載の複合粒子。
(16) さらに、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜60mVである、(15)に記載の複合粒子。
(17) さらに、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が35〜60mVである、(16)に記載の複合粒子。
(18) 前記(1)〜(17)のいずれか1項に記載の複合粒子が、分散媒中に分散した複合粒子コロイド。
(19) 前記分散媒が緩衝液である、(18)に記載の複合粒子コロイド。
(20) 前記(18)又は(19)に記載の複合粒子コロイドを用いてなる分析試薬。
(21) 粒子の表面に、カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらにアニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回前記吸着処理を行うことにより前記粒子表面上に複数の有機分子を重畳的に吸着させることを特徴とする粒子表面修飾方法。
(22) 前記粒子がシリカ粒子である、(21)に記載の粒子表面修飾方法。
【0007】
(23) 粒子の表面に、カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらにアニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回前記吸着処理を行うことを特徴とする、粒子と有機分子よりなる複合粒子の製造方法。
(24) 前記粒子のコロイドと、前記粒子の表面電荷に対し反対の電荷を有する有機分子の溶液とを混合することを特徴とする、(23)に記載の複合粒子の製造方法。
(25) さらに、前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子のコロイドと、前記複合粒子の表面電荷に対し反対の電荷を有する有機分子の溶液を混合することを特徴とする、(23)又は(24)に記載の複合粒子の製造方法。
(26) 前記(23)〜(25)のいずれか1項に記載の製造方法により前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子を製造した後、
前記複合粒子の最も外側に位置する有機分子に、ポリエチレングリコール誘導体を縮合剤または架橋剤により共有結合させることを特徴とする、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の複合粒子の製造方法。
(27) 前記粒子と有機分子よりなる前記複合粒子のコロイドと、前記ポリエチレングリコール誘導体の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することを特徴とする、(26)に記載の複合粒子の製造方法。
(28) 前記(26)に記載の製造方法により前記粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子を製造した後、
さらに、前記ポリエチレングリコール誘導体の1つの末端に生体分子を共有結合させることを特徴とする、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の複合粒子の製造方法。
(29) 前記ポリエチレングリコール誘導体の1つの末端への前記生体分子の共有結合が、前記粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子のコロイドと、前記生体分子の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することにより行われることを特徴とする、(28)に記載の複合粒子の製造方法。
(30) 前記粒子がシリカ粒子である、(23)〜(29)のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複合粒子は、シリカ粒子表面に電荷を有する有機分子を吸着してなるので、前記複合粒子間での静電的反発力を高め、分散性を向上させることができる。
本発明の複合粒子は、さらに、前記吸着した有機分子にポリエチレングリコール誘導体を共有結合させることによって、前記複合粒子間での立体的反発力を高め、分散性向上とともに、生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着を防ぐことができる。また、生体分子の結合のための官能基の導入も可能とすることができる。
したがって、本発明の複合粒子は、低分子化合物ないしは高分子化合物による非特異的吸着、基板ないしは容器に対する非特異的吸着を防止し、また、分散性に優れ、生理食塩水等イオン強度が高い水分散コロイド中でも凝集を起こしにくい。
ここで、「非特異的吸着」とは、特定の官能基又はリガンドに特異的に結合する以外の規則に従わない吸着をいい、意図する以外の吸着現象をいう。
【0009】
本発明の複合粒子コロイドは、前記複合粒子を用いてなるので、生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着を防止し、分散性に優れ、生理食塩水等イオン強度が高い水分散コロイドでも凝集を起こしにくい。
本発明の分析試薬は、生体分子を特異的に結合させる場合に、意図する以外の非特異的吸着を防止し、分散性に優れる前記複合粒子コロイドを用いてなるので、測定結果の再現性に優れ、信頼性が高く、シグナル/ノイズ比の高い極微量標的試料の高感度分析が可能である。
【0010】
本発明の粒子表面修飾方法は、予め粒子のζ電位を測定し、粒子が正に帯電しているか負に帯電しているかを調べ、正に帯電しているときはアニオン性有機分子を、負に帯電しているときはカチオン性有機分子を吸着処理させることにより粒子表面上に有機分子を吸着でき、粒子の材質によらず、様々な材質の粒子に適用が可能である。
本発明の粒子表面修飾方法は、カチオン性有機分子とアニオン性有機分子とを交互に吸着処理させることによって、粒子表面上にカチオン性有機分子とアニオン性有機分子とを重畳的に吸着できる。
本発明の複合粒子の製造方法も同様に、予め粒子のζ電位を測定し、粒子が正に帯電しているか負に帯電しているかを調べ、正に帯電しているときはアニオン性有機分子を、負に帯電しているときはカチオン性有機分子を吸着処理させることにより粒子表面上に有機分子を吸着でき、粒子の材質によらず、様々な材質の粒子に適用が可能である。また、カチオン性有機分子とアニオン性有機分子とを交互に吸着処理させることによって、粒子表面上に、カチオン性有機分子とアニオン性有機分子とを重畳的に吸着できる。
本発明の複合粒子の製造方法は、生理食塩水等イオン強度が高い水分散液中でも凝集を起こしにくい複合粒子を提供できる。また、粒子に対する低分子化合物及び高分子化合物の非特異的吸着と、粒子の基板や容器に対する非特異的吸着とを抑制できる複合粒子を提供できる。さらに、生体分子の結合のための官能基の導入も行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、本発明の複合粒子の第1の実施態様について説明する。
本発明の複合粒子は、シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着してなる、シリカ粒子と有機分子よりなる構造を有する。
ここで、「静電的引力」とは、正電荷と負電荷間に働くクーロン力をいう。また、前記「吸着」とは、静電的引力、ファンデルワールス力または疎水性相互作用による一体化をいう。
本発明において、用いるシリカ粒子は特に制限はなく、任意のいかなる調製方法によって得られたシリカ粒子であってもよい。例えば、Journal of Colloid and Interface Science,159,150−157(1993)に記載のゾル−ゲル法で調製されるシリカ粒子等が挙げられる。
本発明者らは、蛍光色素化合物含有コロイドシリカ粒子の調製方法について特許出願している(例えば、特願2005−376401)。その方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いることが特に好ましい。
ここで、前記機能性化合物の具体例としては、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等が挙げられる。
具体的には、前記機能性化合物を含有するシリカ粒子は、前記機能性化合物とシラン化合物とを反応させ、共有結合、イオン結合その他の化学的に結合もしくは吸着させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を重合させることにより調製することができる。
前記機能性化合物を含有するシリカ粒子の好ましい調製方法の態様としては、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基、マレイミド基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、アルデヒド基、パラニトロフェニル基、ジエトキシメチル基、エポキシ基、シアノ基等の活性基を有する前記機能性化合物と、それら活性基と対応して反応する置換基(例えば、アミノ基、水酸基、チオール基)を有するシランカップリング剤とを反応させ、共有結合させて得られた生成物に1又は2種以上のシラン化合物を重合させることにより調製することができる。
【0012】
前記活性基を有する前記機能性化合物の具体例として、下記式でそれぞれ表されるDY550−NHSエステル又はDY630−NHSエステル(いずれも商品名、Dyomics GmbH社製)等のNHSエステル基を有する蛍光色素化合物を挙げることができる。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
前記置換基を有するシランカップリング剤の具体例として、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル-トリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤を挙げることができる。中でも、APSが好ましい。
【0016】
前記重合させる前記シラン化合物としては、特に制限はされないが、テトラエトキシシラン(TEOS)、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)、3−チオシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、及び3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピル−トリエトキシシランを挙げることができる。中でも、TEOS、MPS又はAPSが好ましい。
【0017】
上述のように調製すると、球状、もしくは、球状に近いシリカ粒子が製造できる。球状に近いシリカ粒子とは、具体的には長軸と短軸の比が2以下の形状である。
所望の平均粒径のシリカ粒子を得るためには、YM−10、YM−100(いずれも商品名、ミリポア社製)等の限外ろ過膜を用いて限外ろ過を行い、粒径が大きすぎたり小さすぎる粒子を除去するか、または適切な重力加速度で遠心分離を行い、上清または沈殿のみを回収することで可能である。
【0018】
また、本発明は、シリカ粒子ではない任意の材質の粒子にも適用することができる。具体的には、金、銀、銅などの金属粒子、フェライト、酸化チタンなどの酸化物粒子、セレン化カドミウムなどの半導体ナノ粒子であってもよいし、ポリスチレン、ポリメチルメタクリル酸などの高分子粒子であってもよい。
【0019】
本発明において、用いる有機分子は、静電的引力によってシリカ粒子の表面に吸着させる観点から、カチオン性有機分子またはアニオン性有機分子であることが好ましい。
特に、前記シリカ粒子の表面に直接吸着させ、形成させる有機分子は、前記シリカ粒子の表面電荷と反対の電荷を有する観点から、前記カチオン性有機分子であることが好ましい。
前記アニオン性有機分子としては、ポリアクリル酸、アルギン酸、ポリスチレンスルホン酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、又はグルタミン酸もしくはアスパラギン酸の少なくとも1種を含有するポリペプチドなどが挙げられ、ポリアクリル酸又はアルギン酸であることが好ましい。
前記カチオン性有機分子としては、ポリアリルアミン塩酸塩、キトサン、ポリリシン、又はリシンなどが挙げられ、ポリアリルアミン塩酸塩又はキトサンであることが好ましい。
これら有機分子の分子量に関しては、50〜100000であることが好ましく、2000〜20000であることがより好ましい(本発明においては、特に断りのない限り、分子量とは重量平均分子量を意味する。高分子化合物は多分散系であり、必ずしも同一の分子量または粒子量を持たない。したがって、分子量を測定して得られた値は、なんらかの形で平均された平均分子量になる。その主なものは次の3種類である。すなわち、1)数平均分子量Mn、2)重量平均分子量Mw、3)Z平均分子量Mzであり、Mn<Mw<Mzの関係が成立する。)。
【0020】
本発明の複合粒子において、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とが交互に吸着した構造を形成していることが好ましく、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子が、それぞれ、有機分子層を形成してなる多層構造を形成していることがより好ましい。
例えば、前記シリカ粒子は、後述するζ電位が負であるので、4層の有機分子を処理する場合には、内側から1層目がカチオン性有機分子、2層目がアニオン性有機分子、3層目がカチオン性有機分子、最も外側の4層目がアニオン性有機分子とすることができる。
前記シリカ粒子表面の露出を十分に小さくし、前記粒子表面に対する非特異的吸着を抑制する観点から、前記交互に吸着する数に関しては2〜10が好ましく、層を形成している場合も同様に2〜10層が好ましい。
PBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液中で、本発明の複合粒子を使用する場合、前記緩衝液は吸着性の高いマイナスのイオン種を含有していることから、前記イオン種が前記複合粒子に静電的引力で吸着し、静電的反発力が弱められ、前記複合粒子が凝集することを防止する観点から、前記複合粒子の最も外側に位置する前記有機分子は、アニオン性有機分子が好ましい。
【0021】
本発明の複合粒子は、前記シリカ粒子の表面に吸着したカチオン性有機分子に、前記アニオン性有機分子が吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造、又は前記アニオン性有機分子が前記カチオン性有機分子に吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造を複数回、好ましくは2〜10回繰り返し、最も外側に前記アニオン性有機分子が位置する交互構造を有することが特に好ましい。
また、前記交互構造を形成している前記有機分子は、有機分子同士が、架橋剤ないしは縮合剤を用いることによって、共有結合を介して結合していることが好ましい。前記アニオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、前記カチオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、及び/又は前記アニオン性有機分子と前記カチオン性有機分子とが部分的に共有結合を介して結合していることがより好ましい。これによって、有機分子同士の吸着が安定化され、有機分子が脱離することを防止できる。その結果、前記複合粒子の長期的な分散安定化が可能である。
ここで、「部分的に共有結合を介して結合している」とは、本発明においては、前記アニオン性有機分子と前記カチオン性有機分子とが、吸着によって結合しているが、共有結合による結合も混在していることをいう。
用いる前記架橋剤ないしは縮合剤の具体例としては、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、グルタルアルデヒド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等が挙げられる。反応に用いる前記架橋剤ないしは縮合剤の当量数、分散媒ないしは溶媒の種類・容量、及び反応温度等の反応条件については反応が進行する限り特に制限はない。
【0022】
次に、本発明の複合粒子の第2の実施態様について説明する。
本発明の複合粒子は、ポリエチレングリコール誘導体(以下、単に「PEG誘導体」ということもある。)が前記有機分子に共有結合し、かつ前記有機分子の外側に位置してなる、シリカ粒子/有機分子/PEG誘導体よりなる構造を有することが好ましく、前記最も外側のアニオン性有機分子に前記PEG誘導体が共有結合していることがより好ましい。本発明の複合粒子の第2の実施態様においても、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とが交互に吸着した構造において、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子が、それぞれ、有機分子層を形成していることがさらに好ましい。
本発明において、「PEG誘導体」とは、PEGを基本骨格に有し、その両末端に後述する官能基を有する化合物をいう。
本発明において、前記有機分子に共有結合させる前記PEG化合物は架橋剤もしくは縮合剤を用いて前記有機分子と共有結合を形成することができる。また、前記PEG誘導体の分子量は、50〜10000であることが好ましく、2000〜8000であることがより好ましい。
前記架橋剤ないしは縮合剤の具体例としては、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo−NHS)との任意の混合比の水溶液ないしは緩衝液等が挙げられる。反応に用いる前記架橋剤ないしは縮合剤の当量数、分散媒ないしは溶媒の種類・容量、及び反応温度等の反応条件については反応が進行する限り特に制限はない。
前記PEG誘導体の末端の官能基に関して、前記有機分子と共有結合する末端については、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、マレイミド基、スクシンイミジルエステル基等が挙げられ、水酸基又はアミノ基であることが好ましい。
前記有機分子と共有結合する末端と反対側の他方の末端の官能基については、カルボキシル基、チオール基、メトキシ基、水酸基、アミノ基、マレイミド基、スクシンイミジルエステル基等が挙げられ、カルボキシル基又はチオール基であることが好ましい。
【0023】
次に、本発明の複合粒子の第3の実施態様について説明する。
本発明の複合粒子は、前記PEG誘導体が、その一方の末端で共有結合し、前記有機分子の外側に位置し、かつ前記PEG誘導体の他方の末端に生体分子が共有結合してなる、シリカ粒子/有機分子/PEG誘導体/生体分子よりなる構造を有することが特に好ましい。また、前記最も外側のアニオン性有機分子に前記PEG誘導体が共有結合していることが好ましい。
本発明の複合粒子の第3の実施態様においても、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とが交互に吸着した構造において、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子が、それぞれ、有機分子層を形成していることがさらに好ましい。
前記生体分子は、直接または架橋剤を介して前記PEG誘導体と共有結合することが好ましい。前記架橋剤の具体例としては、N−(6−マレイミドカプロイルオキシ)スクシンイミド(EMCS)、グルタルアルデヒド等が挙げられる。反応に用いる前記架橋剤の当量数、分散媒ないしは溶媒の種類・容量、及び反応温度等の反応条件については反応が進行する限り特に制限はない。
本発明の複合粒子の第3の実施態様において、前記有機分子と結合した前記PEG誘導体の全てが前記生体分子と結合していなくてもよく、すなわち、前記生体分子が結合した前記PEG誘導体と生体分子が結合していない前記PEG誘導体が混在していてもよい。このような表面修飾を行うにあたっては、前記有機分子に結合する前記PEG誘導体について、末端官能基が異なる前記PEG誘導体を混合して行うことができる。
例えば、一方の末端がアミノ基、他方の末端がカルボキシル基のPEG誘導体と、一方の末端がアミノ基、他方の末端がメトキシ基のPEG誘導体を、任意のモル比で、好ましくは1:4のモル比で混合し、前記PEG誘導体のアミノ基と前記有機分子のカルボキシル基を縮合剤を用いて共有結合させた後、他方の末端がカルボキシル基の前記PEG誘導体に関してのみ、生体分子を結合するという方法で行うことができる。
前記PEG誘導体部分の末端に共有結合させる生体分子としては、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド又は化学物質などが挙げられる。
ここで、リガンドとはタンパク質と特異的に結合する物質をいい、例えば、酵素に結合する基質、補酵素、調節因子、あるいはホルモン、神経伝達物質などをいい、低分子量の分子やイオンばかりでなく、高分子量の物質も含む。
また化学物質とは天然有機化合物に限らず、人工的に合成された生理活性を有する化合物や環境ホルモン等を含む。
【0024】
本発明において、用いる前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmであることが好ましく、20nm〜500nmであることがより好ましい。
本発明の複合粒子の平均粒径は、特に制限はないが1nm〜1μmであることが好ましい。
本発明において、前記平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)等の画像から無作為に選択した50個のシリカ粒子又は複合粒子の合計の投影面積からシリカ粒子又は複合粒子の占有面積を画像処理装置によって求め、この合計の占有面積を、選択したシリカ粒子又は複合粒子の個数(50個)で割った値に相当する円の直径の平均値(平均円相当直径)を求めたものである。
粒度分布の変動係数いわゆるCV値は特に制限はないが、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。
本明細書及び特許請求の範囲において、単分散とはCV値15%以下の粒子群をいう。
【0025】
次に、本発明の複合粒子のζ電位について説明する。
分散媒と、それに対して相対的に運動しているコロイド粒子が接触したときに界面で電荷分離が起こる。このとき粒子表面には粒子と逆の符号を持ったイオンが集まり、層を形成する。これを電気二重層と呼ぶ。粒子表面に十分近い領域では反対電荷を持ったイオンは表面に強く引き付けられ運動性が無いため固定相と呼ばれる。それより外側のイオンは運動性を有しており拡散層と呼ばれる。また固定層と拡散層の接触面を滑り面と呼ぶ。粒子から十分離れた、電荷が中性となっている領域の電位をゼロと定義したときの滑り面の電位がζ電位(以下、単に「ゼータ電位」ということもある)であり、すなわち界面動電電位である。
前記ゼータ電位は、コロイド粒子の分散性、凝集性、表面改質等を評価する上での指標となる。すなわち、コロイド粒子は帯電しており、その帯電による静電的反発力の大きさが前記ゼータ電位の絶対値の大きさに対応しているので、前記ゼータ電位の絶対値の大きさは、コロイド粒子の分散安定性の指標となる(例えば、北原文雄、古澤邦夫、尾崎正孝、大島広行、「Zeta Potentialゼータ電位:微粒子界面の物理化学」、サイエンティスト社、1995参照。)。
また、コロイド粒子がマイナスに帯電すると前記ゼータ電位は負の値となるのに対し、コロイド粒子がプラスに帯電すると前記ゼータ電位は正の値となる。
本発明の複合粒子は、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜60mVであることが好ましく、35〜60mVであることがより好ましい。
前記絶対値が小さすぎると、容易に凝集体が生じる。また、前記絶対値が大きすぎると、静電的相互作用によって非特異的吸着が増大する。
ゼータ電位測定装置としては、ゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)、ELS−Z1(商品名、大塚電子社製)、NICOMP 380ZLS(商品名、IBC社製)等を用いることができる。
【0026】
次に、本発明の複合粒子コロイドについて説明する。
本発明の複合粒子コロイドは、本発明の複合粒子を分散媒中に分散してなる。
前記複合粒子コロイドの分散媒については特に制限はなく、前記複合粒子を均一に分散するものであればよく、例えば、水、エタノール、PBS(リン酸緩衝食塩水)、Tris緩衝液、HEPES緩衝液等の緩衝液が挙げられる。
【0027】
次に、本発明の分析試薬について説明する。
本発明の分析試薬は、前記複合粒子コロイドを用いてなり、前記複合粒子コロイドに含有される前記複合粒子に、蛍光、吸光、磁性、放射線、pH感受性等の標識を付与することで達成される。前記複合粒子に前記標識を付与する方法としては、前述のように、蛍光色素化合物、吸光化合物、磁性化合物、放射線標識化合物、pH感受性色素化合物等の前記機能性化合物を含有するシリカ粒子を用いて前記複合粒子を製造する方法などが挙げられる。
本発明の分析試薬の具体例としては、生体分子検出試薬、生体分子定量試薬、生体分子分離試薬、生体分子回収試薬または免疫染色用試薬が挙げられる。
本発明の複合粒子コロイドに含有される前記複合粒子が、シリカ粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子よりなる構造を有する場合、前記生体分子を分子認識する生体分子ないしは生理活性物質を標的とすることができ、それら標的である生体分子ないしは生理活性物質を検出、定量、分離または回収する分析試薬とすることができる。また、前記生体分子と、標的である生体分子ないしは生理活性物質との分子認識が、抗原−抗体反応である場合は、前記複合粒子コロイドを用いてなる免疫染色用試薬とすることができる。
ここで、分子認識とは、(1)DNA分子間又はDNA−RNA分子間のハイブリダイゼーション、(2)抗原抗体反応、(3)酵素(受容体)−基質(リガンド)間の反応など、生体分子間の特異的相互作用をいう。
【0028】
次に、本発明の粒子表面修飾方法について説明する。
本発明の粒子表面修飾方法は、粒子の表面に、カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらにアニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回、好ましくは2〜10回前記吸着処理を行うことにより前記粒子表面上に前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを重畳的に吸着させることを特徴とする。
本発明の粒子表面修飾方法において、前記粒子の材質は特に制限はなく、シリカ粒子、金、銀、銅などの金属粒子、フェライト、酸化チタンなどの酸化物粒子、セレン化カドミウムなどの半導体ナノ粒子でもよいし、ポリスチレン、ポリメチルメタクリル酸などの高分子粒子であってもよいが、前述のゾル−ゲル法等任意の調製方法によって得られたシリカ粒子であることが好ましく、前述のように、特願2005−376401に記載の方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子であることが特に好ましい。
前記有機分子による吸着処理は、前記有機分子の溶液に前記粒子のコロイドを加え混合する、または前記粒子のコロイドに前記有機分子の溶液を加え、混合することによって行うことが好ましい。前記有機分子の溶液の溶媒については特に制限はなく、前記有機分子を溶解する溶媒であればよい。また、前記有機分子の溶液と前記粒子のコロイドを混合してえられた混合分散液は均一の相をなすことが必要である。
【0029】
前記粒子の前記有機分子による吸着処理が出来たかどうかは、処理の前後で前記粒子のゼータ電位を測定し、ゼータ電位の符号が反転したかどうか評価することによって確認できる。
前記粒子のゼータ電位が負である場合は、前記カチオン性有機分子の溶液と、前記粒子のコロイドを混合することで第一の吸着処理を行うことができる。前記吸着処理後、前記粒子と前記粒子に吸着していない有機分子との分離は、遠心分離または限外ろ過によって可能である。
洗浄後の複合粒子のゼータ電位を測定し、ゼータ電位が正に反転していることを確認することで、前記有機分子の吸着処理が出来たかどうかがわかる。また、前記有機分子を多層化する処理においても、同様に、ゼータ電位の符号が反転するかどうかで吸着処理が出来たかどうか確認できる。
【0030】
次に、本発明の複合粒子の製造方法について説明する。
本発明の複合粒子の製造方法は、前記粒子の表面に、前記カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらに前記アニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回、好ましくは2〜10回前記吸着処理を行うことを特徴とする。
本発明の複合粒子の製造方法において、前記粒子の材質は特に制限はなく、シリカ粒子、金、銀、銅などの金属粒子、フェライト、酸化チタンなどの酸化物粒子、セレン化カドミウムなどの半導体ナノ粒子でもよいし、ポリスチレン、ポリメチルメタクリル酸などの高分子粒子であってもよいが、前述のゾル−ゲル法等任意の調製方法によって得られたシリカ粒子であることが好ましく、前述のように、特願2005−376401に記載の方法に準じて得られた、機能性化合物を含有するシリカ粒子であることが特に好ましい。
本発明の製造方法において、前記粒子のコロイドと、前記粒子の表面電荷に対して反対の電荷を有する有機分子の溶液とを混合することが好ましい。例えば、シリカ粒子を用いた場合、その表面電荷はマイナスであるので、前記混合する溶液は、前記カチオン性有機分子の溶液とすることができる。
さらに、前述のようにして得られる前記粒子と前記有機分子よりなる複合粒子のコロイドと、前記複合粒子の表面電荷に対し反対の電荷を有する有機分子の溶液を混合することを1ないしは複数回繰り返すことにより目的の複合粒子を製造することができる。
【0031】
本発明の複合粒子の製造方法において、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の複合粒子を製造するためには、前述のようにして、前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子を製造した後、
前記有機分子に、ポリエチレングリコール誘導体を縮合剤または架橋剤により共有結合させることにより達成できる。前記縮合剤または架橋剤については前述した通りである。
前述のように、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子を製造する方法において、前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子のコロイドと、前記ポリエチレングリコール誘導体の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することによって行うことが好ましい。前記ポリエチレングリコール誘導体の溶液の溶媒については特に制限はなく、前記ポリエチレングリコール誘導体を溶解する溶媒であればよい。
【0032】
本発明の前記複合粒子の製造方法において、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の複合粒子を製造するためには、前述のようにして、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子を製造した後、
さらに、前記ポリエチレングリコール誘導体の1つの末端の官能基に前記生体分子を共有結合させることにより達成できる。
前述のように、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の前記複合粒子を製造する方法において、前記粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子のコロイドと、前記生体分子の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することにより行われることが好ましい。前記生体分子の溶液の溶媒については特に制限はなく、前記生体分子を溶解する溶媒であればよい。縮合剤または架橋剤については前述した通りである。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下の実施例において「部」とは「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表し、「分子量」は「重量平均分子量」を表す。
参考例
(本発明の複合粒子の製造に用いるシリカ粒子の調製)
DY550−NHSエステル(商品名、Dyomics GmbH社製)5.6mgを1mlのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに1.3μlのAPSを加え、室温(23℃)で1時間反応を行った。
得られた反応液100μlにエタノール32ml、TEOS100μl、蒸留水7.2ml、28質量%アンモニア水100μlを加え室温で24時間反応を行った。
反応液を22000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行い、上清を除去した。沈殿したシリカ粒子に蒸留水を1ml加え分散させ、再度22000×gの重力加速度で30分間遠心分離を行った。本洗浄操作をさらに2回繰り返し、蛍光シリカ粒子分散液に含まれる未反応のTEOSやアンモニア等を除去し、平均粒径64nmのシリカ粒子24.5mgを得た。収率約91%。
【0034】
実施例1
(PAH/PAAで修飾された複合シリカ粒子の調製法)
PAH(ポリアリルアミン塩酸塩、Fluorochem社製)水溶液(1mg/ml)9mlを30mlのビーカーに入れた。撹拌子をいれ、良く混合した。ここに、前記参考例で調製したシリカ粒子の水分散コロイド(粒径64nm、10mg/ml)1mlを、3分間かけて撹拌を続けながらゆっくりと加えた。
室温(23℃)で、得られた混合分散液を15分撹拌後、遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた後、直ちに上清液を除去した。得られた沈殿物を5mlの蒸留水に再分散させ、再度遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた。同様の操作を3回繰り返し、余分なPAHを除去した。
最後に、粒子を1mlの蒸留水に分散させて、PAHで修飾された複合シリカ粒子を水分散コロイドとして得た(収量10mg/ml×1ml)。
前記水分散コロイド50μlに蒸留水1000μlを加え、ゼータ電位測定装置(ゼータサイザーナノ、マルバーン社製)によって、前記PAHで修飾された複合シリカ粒子のゼータ電位を測定した。
図1は、表面修飾によるゼータ電位の変化を示したグラフである。
図1中、aは、PAH処理前のPAHを有していない表面未処理シリカ粒子のゼータ電位、bは、PAH処理後のPAHで修飾された複合シリカ粒子のゼータ電位、cは、後述のPAAでさらに処理した、PAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子のゼータ電位を示す。
図1から明らかなように、PAH処理前のPAHを有していない表面未処理シリカ粒子のゼータ電位aが負であるのに対し、PAH処理後の複合シリカ粒子のゼータ電位bは正になっているので、前記シリカ粒子が表層にPAHを有していることを確認した。
【0035】
次に、PAA(ポリアクリル酸、平均分子量約5,000、和光純薬社製)水溶液(1mg/ml)を9mlのビーカーに入れた。撹拌子をいれ、水溶液を良く混合した。ここに、前記得られたPAHで修飾された複合シリカ粒子の水分散コロイド1mlを、3分間かけて撹拌を続けながらゆっくりと加えた。
室温で、混合分散液を15分撹拌後、PAHの処理のときと同様に、遠心分離(20,000g)処理で過剰のPAAを除去した。
最後に、粒子を500μlの蒸留水に分散させて、PAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子を水分散コロイドとして得た(収量19mg/ml×500μl)。
水分散液コロイド25μlに蒸留水1000μlを加え、前記ゼータ電位測定装置によって、前記複合シリカ粒子のゼータ電位を測定した。
図1から明らかなように、PAAでさらに処理した複合シリカ粒子のゼータ電位cは負になっているので、前記複合シリカ粒子が最も外側にPAAを有してなる、PAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子であることを確認した。
【0036】
実施例2
(PEG誘導体及びアビジンの結合)
PAH及びPAAの処理を行ったPAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子のコロイド(19mg/ml)200μlをマイクロチューブに入れた。ここに蒸留水を600μl加えた。
10mMのEDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)と25mMのSulfo−NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)を含む水溶液200μlを前記複合シリカ粒子のコロイドに加え、15分間、室温で混合した。15分混合後、一方の末端がアミノ基であり、他方の末端がメトキシ基であるPEG誘導体(分子量2,000、SUNBRIGHT MEPA−20H、日本油脂社製)が4mMの濃度で、一方の末端がアミノ基であり、他方の末端にカルボキシル基であるPEG誘導体(分子量2,000、SUNBRIGHT PA−020HC、日本油脂社製)が1mMの濃度で溶解した、前記2種類のPEG誘導体を含む水溶液を200μl加え、3時間、室温で混合を行った。
3時間混合後、遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた後、直ちに上清液を除去した。得られた沈殿物を1mlの蒸留水に再分散させ、再度遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた。同様の操作を3回繰り返し、余分な、PEG誘導体、EDC及びSulfo−NHSを除去した。最後に沈殿物を800μlの蒸留水に分散させた。
得られた分散液に、10mMのEDCと25mMのSulfo−NHSを含む水溶液200μlを前記複合シリカ粒子コロイドに加え、15分、室温で混合した。15分混合後、2mg/mlのアビジン(商品名、和光純薬社製)溶液を50μl加え、3時間撹拌した。
3時間混合後、遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた後、直ちに上清液を除去した。得られた沈殿物を1mlの蒸留水に再分散させ、再度遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた。同様の操作を4回繰り返し、余分なアビジンを除去した。最後に蒸留水1mlに粒子を分散させ、PAH/PAA/PEG誘導体/アビジンで修飾された複合シリカ粒子を得た(収量3.5mg/ml×1ml)。
【0037】
実施例3
(分散性評価)
PAHとPAAで処理を行って得たPAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子水分散コロイド(10mg/ml)と何ら処理を行っていない表面未処理シリカ粒子水分散コロイド(10mg/ml)それぞれ950μlに対し、1mg/mlアビジン水溶液を50μl加え30分混合した。得られた2種類のコロイド100μlをそれぞれ別のPBS(リン酸緩衝食塩水)900μlに加え、粒径の時間変化を動的光散乱法により、ゼータサイザーナノ(商品名、マルバーン社製)を用いて測定した。測定の結果を図2に示す。
図2に示すように、PAHとPAAの処理を行っていない表面未処理シリカ粒子(図中e)は、PBSに添加して直ぐに液が白濁し、粒径が800nm程度に増大し、凝集が起こっていることが確認された。一方、PAHとPAAで処理したPAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子(図中d)については、3時間後でも粒径はほとんど増大せず、高い分散性が保たれていた。
【0038】
実施例4
(非特異的吸着の抑制)
PAHとPAAで処理を行ったPAH及びPAAで修飾された複合シリカ粒子と、PAHとPAAで処理を行った後、PEG誘導体を結合した複合シリカ粒子をそれぞれ蒸留水に分散させた(粒子濃度0.6mg/ml)。これら複合シリカ粒子のコロイド1mlに、それぞれビオチン−4−フルオレセイン(商品名、Ana Spec Inc社製)を4μg/mlになるように加え、6時間室温で混合した。
6時間混合後、遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた後、直ちに上清液を除去した。得られた沈殿物を1mlの蒸留水に再分散させ、再度遠心分離(20,000g)を30分行い、粒子を沈降させた。同様の操作を4回繰り返し、余分なビオチン−4−フルオレセインを除去した。
得られた粒子の蛍光を測定した。測定は蛍光分光光度計FP−6500(日本分光社製)を用いた。シリカ粒子由来の蛍光強度、すなわち、557nmの励起光における578nmの発光強度とビオチン−4−フルオレセイン由来の発光強度、すなわち490nmの励起光における520nmの発光強度を測定した。
単位粒子あたりに結合したビオチン−4−フルオレセインの量を見積もるため、ビオチン−4−フルオレセイン由来の発光強度をシリカ粒子由来の蛍光強度で割り、得られた値を標識パラメータと定義した。得られた結果を図3に示す。
図3に示すように、PEG誘導体を結合した複合シリカ粒子の標識パラメータはPEG誘導体を結合していない複合シリカ粒子の標識パラメータの1/5であり、PEG誘導体の結合によって非特異的吸着が抑制されたことを確認した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、表面修飾によるゼータ電位の変化を示したグラフである。
【図2】図2は、PBS中での粒子の粒径の時間変化を示したグラフである。
【図3】図3は、標識パラメータを示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着してなる、シリカ粒子と有機分子よりなる複合粒子。
【請求項2】
シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着し、ポリエチレングリコール誘導体が前記有機分子に共有結合し、かつ前記有機分子の外側に位置してなる、シリカ粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の複合粒子。
【請求項3】
シリカ粒子の表面に、有機分子が静電的引力によって吸着し、ポリエチレングリコール誘導体が、前記誘導体の一方の末端で前記有機分子に共有結合し、前記有機分子の外側に位置し、かつ前記ポリエチレングリコール誘導体の他方の末端に生体分子が共有結合してなる、シリカ粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の複合粒子。
【請求項4】
前記シリカ粒子の表面に吸着した有機分子が、カチオン性有機分子およびアニオン性有機分子であって、最も内側のカチオン性有機分子が前記シリカ粒子に吸着し、更にアニオン性有機分子が前記カチオン性有機分子に吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造、又は前記アニオン性有機分子が前記カチオン性有機分子に吸着して、前記カチオン性有機分子の外側に位置する構造を複数回繰り返し、最も外側に前記アニオン性有機分子が位置する構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記カチオン性有機分子及びアニオン性有機分子が、それぞれ、有機分子層を形成していることを特徴とする、請求項4に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記最も外側のアニオン性有機分子に、前記ポリエチレングリコール誘導体が共有結合していることを特徴とする、請求項4又は5に記載の複合粒子。
【請求項7】
前記アニオン性有機分子が、ポリアクリル酸、アルギン酸、ポリスチレンスルホン酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、又はグルタミン酸もしくはアスパラギン酸の少なくとも1種を含有するポリペプチドのいずれかであって、前記カチオン性有機分子が、ポリアリルアミン塩酸塩、キトサン、ポリリシン、又はリシンのいずれかである、請求項6に記載の複合粒子。
【請求項8】
前記アニオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、前記カチオン性有機分子同士が共有結合を介して結合しているか、及び/又は前記アニオン性有機分子と前記カチオン性有機分子とが部分的に共有結合を介して結合していることを特徴とする、請求項6又は7に記載の複合粒子。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコール誘導体が有する、前記有機分子と共有結合する末端の官能基が、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、マレイミド基又はスクシンイミジルエステル基のいずれかであり、前記ポリエチレングリコール誘導体が有する他方の末端の官能基が、カルボキシル基、チオール基、メトキシ基、水酸基、アミノ基、マレイミド基又はスクシンイミジルエステル基のいずれかである、請求項4〜8いずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項10】
前記生体分子が、抗原、抗体、DNA、RNA、糖、糖鎖、リガンド、受容体、ペプチド又は化学物質であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項11】
前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項12】
前記有機分子の分子量が50〜100000である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項13】
pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜60mVである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項14】
pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が35〜60mVである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項15】
前記シリカ粒子の平均粒径が1nm〜1μmで、前記有機分子の分子量が50〜100000である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の複合粒子。
【請求項16】
さらに、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が1〜60mVである、請求項15に記載の複合粒子。
【請求項17】
さらに、pH7の純水中におけるζ電位の絶対値が35〜60mVである、請求項16に記載の複合粒子。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の複合粒子が、分散媒中に分散した複合粒子コロイド。
【請求項19】
前記分散媒が緩衝液である、請求項18に記載の複合粒子コロイド。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の複合粒子コロイドを用いてなる分析試薬。
【請求項21】
粒子の表面に、カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらにアニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回前記吸着処理を行うことにより前記粒子表面上に複数の有機分子を重畳的に吸着させることを特徴とする粒子表面修飾方法。
【請求項22】
前記粒子がシリカ粒子である、請求項21に記載の粒子表面修飾方法。
【請求項23】
粒子の表面に、カチオン性有機分子の吸着処理を行い、さらにアニオン性有機分子の吸着処理を行うという手順で、前記カチオン性有機分子と前記アニオン性有機分子とを交互に、複数回前記吸着処理を行うことを特徴とする、粒子と有機分子よりなる複合粒子の製造方法。
【請求項24】
前記粒子のコロイドと、前記粒子の表面電荷に対し反対の電荷を有する有機分子の溶液とを混合することを特徴とする、請求項23に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項25】
さらに、前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子のコロイドと、前記複合粒子の表面電荷に対し反対の電荷を有する有機分子の溶液を混合することを特徴とする、請求項23又は24に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の製造方法により前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子を製造した後、
前記複合粒子の最も外側に位置する有機分子に、ポリエチレングリコール誘導体を縮合剤または架橋剤により共有結合させることを特徴とする、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の複合粒子の製造方法。
【請求項27】
前記粒子と前記有機分子よりなる前記複合粒子のコロイドと、前記ポリエチレングリコール誘導体の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することを特徴とする、請求項26に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項28】
請求項26に記載の製造方法により前記粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子を製造した後、
さらに、前記ポリエチレングリコール誘導体の1つの末端に生体分子を共有結合させることを特徴とする、粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体/生体分子の複合粒子の製造方法。
【請求項29】
前記ポリエチレングリコール誘導体の1つの末端への前記生体分子の共有結合が、前記粒子/有機分子/ポリエチレングリコール誘導体の前記複合粒子のコロイドと、前記生体分子の溶液と、前記縮合剤または架橋剤とを混合することにより行われることを特徴とする、請求項28に記載の複合粒子の製造方法。
【請求項30】
前記粒子がシリカ粒子である、請求項23〜29のいずれか1項に記載の複合粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−222502(P2008−222502A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−64205(P2007−64205)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】