説明

分散物

【課題】活性酸素除去剤または抗酸化剤の分散物に光安定化能を付与する。
【解決手段】活性酸素除去剤又は抗酸化剤、及び、光安定化剤を含有することを特徴とする分散物。より詳しくは、光安定化剤が下記一般式(I)で表される構造を有する化合物である。
一般式(I): X−Y−X
一般式(I)中、
Xはベンゼン環を有する基を表す。
Yは2価の連結基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤の分散物の耐光性に関し、更には、活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤の分散物と特定の化合物を用いることにより、耐光性を高めた分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カルテノイドなどの天然物から抽出された色素成分の活性酸素除去性もしくは抗酸化性が、生体内の酸化ストレス除去に有効であることが見出され、健康食品、外用医薬品、化粧料などの分野に応用が期待されている。しかしながら、それらの成分は、高活性ゆえに安定性に問題があった。例えば、カロテノイドの一種であるアスタキサンチンは、サケ、マス、あるいは海老、蟹などに含まれる赤色の成分であるが、近年、その活性に注目し、その成分だけを効率的に抽出して外用剤などに用いることも提案されており、例えば、特許文献1(特開平9−143063号)に外用剤に利用する例が記載されている。しかしアスタキサンチンは、かなり不安定な物質であることが知られており、高温においては容易に分解するといわれている(特開平4−173058号公報)。これらを改善するために、安定性においては、例えば、特開平8−12896号公報に記載されるように、酸素非透過性の包装材料に密封するという物理的な方法、また、特許文献1(特開平8−332052号公報)に記載されているようにフラバノール及びコウジ酸を併用する方法、特許文献2(特開2002−218940号公報)に記載されているように有機酸及び有機酸塩と没食子酸とを併用する方法などの化学的な方法などで安定化されることが知られている。しかし、これらの方法は、光による退色を抑制する充分な手段ではなく、改善が求められていた。
【特許文献1】特開平8−332052号公報
【特許文献2】特開2002−218940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、活性酸素除去剤または抗酸化剤の分散物に光安定化能を付与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明者らは、活性酸素除去剤または抗酸化剤に光安定化剤を組み合わせることで光安定化が可能であることを見出した。即ち、本願発明は下記構成より成る。
【0005】
<1>活性酸素除去剤又は抗酸化剤、固体分散状態の光安定化剤、及び、分散媒を含有することを特徴とする分散物。
<2>光安定化剤が下記一般式(I)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする上記<1>に記載の分散物。
一般式(I): X−Y−X
一般式(I)中、
Xはベンゼン環を有する基を表す。
Yは2価の連結基を表す。
<3>一般式(I)におけるXが、ベンゼン環を有するヘテロ環であることを特徴とする上記<2>に記載の分散物。
<4>一般式(I)におけるYが、環状構造を有することを特徴とする上記<2>または<3>に記載の分散物。
<5>一般式(I)におけるYが、共鳴構造を有することを特徴とする上記<2>〜<4>のいずれかに記載の分散物。
<6>活性酸素除去剤が、カロテノイド類、ルチン及びその誘導体、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、カテキン、カテキン誘導体、没食子酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、及び、カルテノイドから選ばれることを特徴とする上記<1>〜<5>のいずれかに記載の分散物。
<7> 抗酸化剤が、ビタミンA類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンC類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩、ジブチルヒドロキシトルエン、及び、ブチルヒドロキシアニソールから選ばれることを特徴とする上記<1>〜<6>のいずれかに記載の分散物。
<8> 活性酸素除去剤が、アスタキサンチン又はその誘導体であることを特徴とする上記<1>〜<7>のいずれかに記載の分散物。
<9> 抗酸化剤が、ビタミンC類及びその誘導体並びにその塩であることを特徴とする上記<1>〜<8>のいずれかに記載の分散物。
【発明の効果】
【0006】
本願発明により、光安定化能を付与した活性酸素除去剤または抗酸化剤の分散物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の分散物は、活性酸素除去剤または抗酸化剤及び光安定化剤を含有する。
【0008】
本発明の光安定化剤は、ある成分の光による退色や分解を抑える目的で添加する材料である。光安定化剤は、化合物単体の場合や、複数の化合物の組合せで用いられることもある。その形態は、一般的には、媒質中に均一に溶解していても、固体状態のまま、安定に分散されている形でも良い。本発明においては、固体分散状態で用いられる。
【0009】
本発明の本発明の光安定化剤は、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
X−Y−X (I)
ここで、Xは、ベンゼン環を有する基を表し、Yは、2価の連結基を表す。
【0010】
一般式(I)において、(X)のベンゼン環を有する基とは、部分構造としてベンゼン環を有する物であれば良く、更に置換基が存在していても良い。
Xは、好ましくはヘテロ環を有する基である。ここでいうヘテロ環は、ベンゼン環と縮環していても良いし、ベンゼン環の置換基として存在していても良い。好ましくは、ベンゼン環と縮環している基である。
具体的には、たとえば、チアゾール母核〔例えばベンゾチアゾール、4-クロルベンゾチアゾール、5-クロルベンゾチアゾール、6-クロルベンゾチアゾール、7-クロルベンゾチアゾール、4-メチルベンゾチアゾール、5-メチルベンゾチアゾール、6-メチルベンゾチアゾール、5-ブロモベンゾチアゾール、6-ブロモベンゾチアゾール、5-ヨードベンゾチアゾール、5-フェニルベンゾチアゾール、5-メトキシベンゾチアゾール、6-メトキシベンゾチアゾール、5-エトキシベンゾチアゾール、5-カルボキシベンゾチアゾール、5-エトキシカルボニルベンゾチアゾール、5-フェネチルベンゾチアゾール、5-フルオロベンゾチアゾール、5-トリフルオロメチルベンゾチアゾール、5,6-ジメチルベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-6- メチルベンゾチアゾール、テトラヒドロベンゾチアゾール、4-フェニルベンゾチアゾール、ナフト〔2,1-d〕チアゾール、ナフト〔1,2-d〕チアゾール、ナフト〔2,3-d〕チアゾール、5-メトキシナフト〔1,2-d〕チアゾール、7-エトキシナフト〔2,1-d〕チアゾール、8-メトキシナフト〔2,1-d〕チアゾール、5-メトキシナフト〔2,3-d〕チアゾール〕、セレナゾール母核〔例えばベンゾセレナゾール、5-クロルベンゾセレナゾール、5-メトキシベンゾセレナゾール、5-メチルベンゾセレナゾール、5-ヒドロキシベンゾセレナゾール、ナフト〔2,1-d〕セレナゾール、ナフト〔1,2-d〕セレナゾール〕、オキサゾール母核〔ベンゾオキサゾール、5-クロルベンゾオキサゾール、5-メチルベンゾオキサゾール、5-ブロムベンゾオキサゾール、5-フルオロベンゾオキサゾール、5-フェニルベンゾオキサゾール、5-メトキシベンゾオキサゾール、5-トリフルオロベンゾオキサゾール、5-ヒドロキシベンゾオキサゾール、5-カルボキシベンゾオキサゾール、6-メチルベンゾオキサゾール、6-クロルベンゾオキサゾール、6-メトキシベンゾオキサゾール、6-ヒドロキシベンゾオキサゾール、5,6-ジメチルベンゾオキサゾール、4,6-ジメチルベンゾオキサゾール、5-エトキシベンゾオキサゾール、ナフト〔2,1-d〕オキサゾール、ナフト〔1,2-d〕オキサゾール、ナフト〔2,3-d〕オキサゾール〕、キノリン母核〔例えば2-キノリン、3-メチル-2- キノリン、5-エチル-2- キノリン、6-メチル-2- キノリン、8 - フルオロ-2- キノリン、6-メトキシ-2- キノリン、6-ヒドロキシ-2- キノリン、8-クロロ-2- キノリン、8-フルオロ-4- キノリン〕、3,3-ジアルキルインドレニン母核(例えば、3,3-ジメチルインドレニン、3,3-ジエチルインドレニン、3,3-ジメチル-5- シアノインドレニン、3,3-ジメチル-5- メトキシインドレニン、3,3-ジメチル-5- メチルインドレニン、3,3-ジメチル-5-クロルインドレニン)、イミダゾール母核(例えば、1-メチルベンゾイミダゾール、1-エチルベンゾイミダゾール、1-メチル-5- クロルベンゾイミダゾール、1-エチル-5- クロルベンゾイミダゾール、1-メチル-5,6- ジクロルベンゾイミダゾール、1-エチル-5,6- ジクロルベンゾイミダゾール、1-エチル-5- メトキシベンゾイミダゾール、1-メチル-5- シアノベンゾイミダゾール、1-エチル-5- シアノベンゾイミダゾール、1-メチル-5- フルオロベンゾイミダゾール、1-エチル-5- フルオロベンゾイミダゾール、1-フェニル-5,6- ジクロルベンゾイミダゾール、1-アリル-5,6- ジクロルベンゾイミダゾール、1-アリル-5- クロルベンゾイミダゾール、1-フェニルベンゾイミダゾール、1-フェニル-5- クロルベンゾイミダゾール、1-メチル-5- トリフルオロメチルベンゾイミダゾール、1-エチル-5- トリフルオロメチルベンゾイミダゾール、1-エチルナフト〔1,2-d〕イミダゾール)、トリアゾール母核(例えば、1-メチルベンゾトリアゾール、1-エチルベンゾトリアゾール、1-メチル-5- クロルベンゾトリアゾール、1-エチル-5- クロルベンゾトリアゾール、1-メチル-5,6- ジクロルベンゾトリアゾール)、ビリジン母核(例えばピリジン、5-メチル-2- ピリジン、3-メチル-4- ピリジン)等を挙げることができる。これらのうち好ましくはチアゾール母核、又は、オキサゾール母核が有利に用いられる。更に好ましくはベンゾチアゾール母核、ナフトチアゾール母核、ナフトオキサゾール母核、ベンゾオキサゾール母核、又は、ベンゾトリアゾール母核があげられる。
【0011】
一般式(I)におけるYの2価の連結基は、特に制限が無く、非環状構造の場合なら、発色団間の原子数が3以下のものが好ましい。例えば、メチレン基、エーテル基、エチレン基、-CH2OCH2-で表される基などが上げられる。環状構造を有する場合は、原子数の制約はなく、共鳴構造を有するものが好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ピリジン環などが上げられる。これらのうち、好ましくは環状構造を有するものであり、より好ましくは共鳴構造を有するものである。
【0012】
本発明の光安定化剤は、活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤が着色している場合、その色調を変えないように、可視部の吸収は、極力小さいことが好ましい。
【0013】
本発明の光安定化剤は、固体分散に適した構造を有することが好ましい。固体分散に適したとは、結晶性が高く、微粒子にしても溶解性が小さいことを言う。結晶性を上げるためには、平面性を上げる、疎水性を上げる、化合物に対称性を持たせるなどの方法があるが、X−Y−Xの構造を持たせることは、前述のすべてに有効である。即ち、一般式(I)における2つのXは、互いに同じ構造であることが好ましい。
【0014】
以下に光安定化剤の具体物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
【化1】

【0016】
【化2】

【0017】
本発明の光安定化剤は、市販のものを使用することもでき、また通常の方法で合成することもできる。光安定化剤を固体分散させる方法については、国際出願公開(WO)88/04794、ヨーロッパ特許(EP)0276566A1、特開昭63−197943号等に記載されているが、ボールミルあるいはサンドミル、コロイドミル、などにより機械的に粉砕する方法、化合物をアルカリ溶液中で溶かした後、pHを下げ析出させる方法などが用いられる。しかし、本発明は、これらの方法に限定されるものではない。
【0018】
光安定化剤は、本発明の分散物中に固体分散物として含まれ、その場合の固形分濃度は、本発明の分散物全量に対して0.001質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは、0.005質量%〜5質量%である。
【0019】
ここでいう固体分散物とは、媒質中に溶解している(分子分散状態)にはなく、素材がある粒子径を有し、媒質に分散されているものを指す。平均粒子径は、目的とする用途に応じて選択可能であるが、10nm〜10μmの大きさが好ましく、より好ましくは50nm〜1μmである。
【0020】
本発明の分散物は界面活性剤を含むことが好ましい。
分散剤は、界面活性を示す化合物であれば特に何を用いても問題ない。好ましくは、荷電を有さない界面活性剤(ノニオン系)であれば、ポリエチレンオキシ基を有する界面活性剤であり、荷電を有する界面活性剤(アニオン系、カチオン系)では、化粧品種別配合成分規格に記載の界面活性剤が上げられる。
本発明において、上記分散剤は、分散する素材に対して0.1質量%から50質量%の間で用いられるのが好ましい。
【0021】
本発明において光安定化剤は一種を単独で、または、複数種を組み合わせて使用することができる。
【0022】
本発明の光安定化剤の分子量は、好ましくは200〜5000であり、より好ましくは300〜2000である。
【0023】
本発明の分散物中における光安定化剤の濃度は、好ましくは 0.001〜10質量%である。
【0024】
本発明の分散物が含有する活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤は、特に制限が無いが、化学合成により得られたものよりも、天然物から抽出または精製されたものの方が好ましい。
【0025】
活性酸素除去剤としては、例えば、スーパーオキシドディスムターゼ、マンニトール、ベータカロチン、アスタキサンチン等のカロテノイド類、ルチン及びその誘導体、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、カテキン、カテキン誘導体、没食子酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、オウゴン抽出物、イチョウ抽出物、ケイケットウ抽出物、サンザシ抽出物、マイカイカ抽出物、ユキノシタ抽出物、メリッサ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ボタンピ抽出物、パセリ抽出物、トルメンチラ抽出物、羅漢果抽出物、ヤシャジツ抽出物及びジコッピ抽出物等のフラボノイドを含む植物抽出物等が挙げられる。
【0026】
抗酸化剤としては、例えば、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等のレチノール及びその誘導体、レチナール及びその誘導体、デヒドロレチナール等のビタミンA類;チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩等のチアミン類、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、ピリドキシンジオクタノエート等のピリドキシン類、フラビンアデニンヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、コリン、イノシトール類等のビタミンB類;L−アスコルビン酸、パルミチン酸L−アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、イソパルミチン酸L−アスコルビル、ジイソパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸L−アスコルビル、ステアリン酸L−アスコルビル、ジステアリン酸L−アスコルビル、イソステアリン酸L−アスコルビル、ジイソステアリン酸L−アスコルビル、ミリスチン酸L−アスコルビル、ジミリスチン酸L−アスコルビル、イソミリスチン酸L−アスコルビル、ジイソミリスチン酸L−アスコルビル、オレイン酸L−アスコルビル、ジオレイン酸L−アスコルビル、2−エチルヘキサン酸L−アスコルビル、L−アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルカリウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルカルシウム、L−アスコルビン酸リン酸エステルアルミニウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルカリウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルカルシウム、L−アスコルビン酸硫酸エステルアルミニウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸カリウム、L−アスコルビン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸カルシウム、L−アスコルビン酸アルミニウム等のアスコルビン酸及びその誘導体並びにそれらの塩等のビタミンC類;エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ジヒドロキシスタナール等のビタミンD類; dl−α(β、γ)−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸−dl−α−トコフェロール、リノール酸−dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等トコフェロール及びその誘導体並びにそれらの塩、ユビキノン類等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0027】
上記活性酸素除去剤および抗酸化剤のうち、特に好ましいものとしては、マンニトール、ベータカロチン、アスタキサンチン、ルチン及びその誘導体、イチョウ抽出物、オウゴン抽出物、ケイケットウ抽出物、ユキノシタ抽出物、メリッサ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、エイジツ抽出物、ビタミンC類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩が挙げられる。
【0028】
本発明の分散物中における活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤の濃度は、好ましくは0.00001〜50質量%であり、より好ましくは0.0001〜30質量%である。また、植物抽出物を用いる場合には、乾燥固形分が上記の範囲内であれば問題ない。
【0029】
本発明の分散物が含有する分散媒は、好ましくは水混和溶媒であり、水を20質量%以上含むものがより好ましい。水混和溶媒の例としては、エタノール、グリセリン、(n-、i-)プロピルアルコール、(n-、i-、t-)ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が上げられる。
【0030】
本発明の分散物には、光安定化剤及び活性酸素除去剤もしくは抗酸化剤の他に、通常の皮膚外用剤もしくは化粧料に使用される成分、すなわち、油剤(天然動植物油脂、半合成油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、エステル油、シリコーン油、フッソ系油剤等)、ゲル化剤、金属セッケン、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、両性、粉体(無機粉体、有機粉体、顔料等)、アルコール類(高級アルコール、多価アルコール、ステロール等)、水溶性高分子(動植物系、微生物系、合成系)、皮膜形成剤、樹脂、防腐剤、抗菌剤、香料、精油、塩類、水(精製水、温泉水及び深層水)、PH調整剤、清涼剤、保湿剤、抗炎症剤、美白剤、細胞賦活剤、肌あれ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、アミノ酸類、核酸関連物質、酵素、ホルモン類、包接化合物、植物抽出物、動物及び微生物由来の抽出物、紫外線散乱剤等を添加することができる。
【0031】
本発明の分散物の形態は、特に限定されず、例えば、液状、乳液状、多層状、固形状、粉末状、顆粒状、ペースト状、ゲル状等種々のものを選択することができる。
[実験例]
【0032】
実施例1:
分散物の作成
〔本発明の固体分散物の調製〕
表1.に記載の化合物2.5g、界面活性剤(商品名:トリトンX−200、Rohm & Hass 社製)の4.3%水溶液10.3gおよび水58.6gをあらかじめ攪拌混合し、直径0.8mm〜1.2mmのジルコニアビーズ40mlの入ったアイガーモーターミル(M-50、アイガージャパン社製)に入れて、回転数4800r.p.m.にて分散し、粒子サイズ1μm以下の化合物の微結晶分散物を得た。
【0033】
〔評価用分散物の調整〕
1.参照試料の作成
アスタッツ-EC(武田紙器(株)製:アスタキサンチン濃度0.6wt%)を蒸留水にてアスタキサンチン濃度0.0012%となるように希釈して、これを参照試料-01とした。
また、比較として4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン(Tp-1)1gをポリオレイン酸スクロース1.3g、オレイン酸グリセリル2.5gに溶解した後、グリセリン50g、蒸留水45.2gを加えて、回転数3000r.p.m.で15分間攪拌して4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン分散物を作成した。
この分散物を用いて、アスタキサンチン濃度を参照試料-01と同一にして、参照試料-02〜参照試料-03を作成した。使用した化合物種及び化合物濃度は、表1.に示す。
【0034】
2.本発明の試料の作成
アスタキサンチン濃度を参照試料と同一にして、本発明の固体分散物を添加し、試料-01〜試料-09を作成した。化合物濃度は、表1.に示す。
〔分散物の評価〕
メリーゴーランド型キセノン退色試験機を用いて、光照射実験を行った。キセノン光原は、500Wのランプを使用した。評価用の試料は、4面透明な蓋付の10mm石英セルに試料3ml入れて25℃、無攪拌で試験を行った。評価は、光照射なしの470nmの吸収(アスタキサンチンの吸収極大)を100として照射後の残存量を算出した。結果を表1.に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
表1に示すように、本発明の組合せにより、アスタキサンチンの光安定性が良化することがわかる。
【0037】
実施例2:
実施例1と同様に、アスタキサンチンの代わりにアスコルビン酸(ビタミンC)を用いても同様な結果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性酸素除去剤又は抗酸化剤、固体分散状態の光安定化剤、及び、分散媒を含有することを特徴とする分散物。
【請求項2】
光安定化剤が下記一般式(I)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の分散物。
一般式(I): X−Y−X
一般式(I)中、
Xはベンゼン環を有する基を表す。
Yは2価の連結基を表す。
【請求項3】
一般式(I)におけるXが、ベンゼン環を有するヘテロ環であることを特徴とする請求項2に記載の分散物。
【請求項4】
一般式(I)におけるYが、環状構造を有することを特徴とする請求項2または3に記載の分散物。
【請求項5】
一般式(I)におけるYが、共鳴構造を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の分散物。
【請求項6】
活性酸素除去剤が、カロテノイド類、ルチン及びその誘導体、ビリルビン、コレステロール、トリプトファン、ヒスチジン、クエルセチン、クエルシトリン、カテキン、カテキン誘導体、没食子酸及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体並びにそれらの塩、及び、カルテノイドから選ばれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分散物。
【請求項7】
抗酸化剤が、ビタミンA類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンB類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンC類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンD類及びそれらの誘導体並びにそれらの塩、ビタミンE及びその誘導体並びにそれらの塩、ジブチルヒドロキシトルエン、及び、ブチルヒドロキシアニソールから選ばれることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分散物。
【請求項8】
活性酸素除去剤が、アスタキサンチン又はその誘導体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分散物。
【請求項9】
抗酸化剤が、ビタミンC類及びその誘導体並びにその塩であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の分散物。

【公開番号】特開2007−231099(P2007−231099A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53277(P2006−53277)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】